Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/
Title
№38:顎顔面再建手術のための基礎的研究:腓骨の三
次元骨形態計測
Author(s)
是澤, 和人; 松永, 智; 廣内, 英智; 小髙, 研人; 笠原,
正影; 矢島, 安朝; 阿部, 伸一
Journal
歯科学報, 115(5): 489-489
URL
http://hdl.handle.net/10130/3885
Right
目的:各分野においてインクジェット方式3D プリ ンターを用いた実物大のモデルを作製することが可 能となり,広く普及している。本学口腔外科では以 前より,CT データから石膏の顎骨モデルを外部委 託により作製し顎骨の形成を伴う手術のシミュレー ションに用いてきたが,2014年4月から本学に日本 初 の 医 療 系 Fabrication Laboratory「Fab Lab TDC」が設立され,インクジェット方式3D プリ ンターを導入し,顎顔面疾患の外科的治療への臨床 応用を進めている。今回われわれは本学の Fab Lab で,3D 模型を作製した下顎骨エナメル上皮腫の2 例について報告する。今回の発表にあたり,患者本 人から文書による同意を得た。 方法:Stratasys 社製インクジェット方式3D プリ ンターを用いて良性腫瘍患者2名に対して実態模型 を作製し,術前に模型上で手術を行うとともに使用 する器具のプレベンディングを行った。 症例:症例1:49歳の男性。下顎左側大臼歯から下 顎枝部のエナメル上皮腫で,下顎骨半側切除術,金 属プレートおよび腸骨ブロック移植による再建術を 計画した。症例2:29歳の男性。下顎右側大臼歯か ら下顎枝部のエナメル上皮腫で,下顎骨半側切除 術,金属プレートおよび腸骨ブロック移植による再 建術を計画した。 結果:症例1,2ともに,3D 模型を用いて金属プ レートのプレベンディングをした。術前に予定した 通りの骨離断が可能で,スムースな手術が可能で あった。また,樹脂模型は石膏模型と比較し,色調 を変えることが可能で,三次元的解剖学的構造を把 握することに有用であった。 考察:インクジェット方式3D プリンターが本学に も導入され,多様な症例で応用する機会が増えてい る。樹脂模型は術前に行うモデルオペにおいて必要 な精度,強度,加工性を持ち,石膏と比べ色調を変 えられることにより骨内の解剖学的構造,腫瘍等の 病変も可視化され術者および介助者が術前にシミュ レーションすることに有用であった。また,術前に 金属プレートを屈曲しておくことで手術操作の簡略 化と時間短縮を図れることも大きな利点である。今 後は,術後に撮影した3次元 CT 画像とモデルオペ を行った3D 模型との重ね合わせを行い手術精度管 理の有用性を検討する。 目的:口腔がん治療において術後 QOL の向上は, がんを制御することと同様に重要な課題である。そ の中でも『食』は QOL に直結することから,口腔 顎顔面領域の広域切除後には術前同様の機能回復が 望まれる。血管柄付き腓骨移植による顎顔面再建手 術は,栄養血管を有する移植骨を用いるため,歯科 インプラントによる咀嚼回復が図れる長所があり, 欧米では盛んに行われている。しかしながら,日本 人の腓骨は欧米人と比較して細く移植手術には不向 きであるとされ,顎顔面再建手術において移植骨に 用いられるのは主に腸骨である。そこで本研究で は,日本人腓骨の形態観察と解剖学的構造物の三次 元計測を行い,同条件で計測を行っているヨーロッ パおよびカナダのデータと比較検討することで,歯 科インプラント埋入を想定した腓骨移植可能領域の 同定と,人種間の差異について考察することを目的 とした。 方法:東京歯科大学解剖学講座所蔵の実習用遺体か ら 採 取 し た25体50側 の 腓 骨 を,医 療 用 CT(SO-MATOM Definition AS, München, Germany)にて 撮影した。得られた画像デー タ を も と に Mimics (Materialise, Leuven, Belgium)に て 三 次 元 立 体
構築を行い,形態観察および三次元計測を行った。 計測に先立ち,腓骨頭尖を A 点,外果先端を G 点 と設定して,腓骨を6分割した。一般的に腓骨移植 に用いられる C-E 間を関心領域として,断面形態 や栄養管の走行を観察するとともに,腓骨断面にお ける口径と,各部位における皮質骨厚径,骨内部の 微細構造の三次元計測を行った。 結果:腓骨断面における口径は C-D 間の前縁-後面 間で最も大きくなり,皮質骨厚径は D-E 間の前縁 で最大となった。幅径は腓骨前縁-後面間で最も大 きく,次いで内側稜-外側面間,外側面内側面間で 最も小さかった。栄養管の位置はすべて C-E 間に 存在したが,腓骨前面における開口を確認した。 考察:腓骨の口径,皮質骨厚径・幅径ともに,ヨー ロッパおよびカナダの計測データと同様の傾向を示 した。また栄養管の位置も人種による大きな違いは みられなかった。それ故,術前診査やプレオペレー ションを行い,精度の高い移植骨の作製が可能にな れば,日本人腓骨を用いた顎骨再建は十分に可能で あり,歯科インプラントを応用したより効果の高い 咀嚼回復を期待できる。