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活動から学びをつくる英語学習

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Academic year: 2021

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(1)●英語学習. 活動から学びをつくる英語学習. 1. これまでの研究の経緯 昨年度,本校では,「自らかかわり,ともに学ぶ英語学習」とテーマを設定し,研究を進めてきた。 「自らかかわり」とは,英語に対する好意的,肯定的な態度を示している。ここで言う好意的な態度と. は,英語に興味をもち,積極的に取り組もうとする姿勢のことである。また,肯定的な態度とは,英語に よって表現されたものがわかる(できる)という経験を重ねる中で,その子の内なる英語の世界を広げて いくことを楽しむ態度である。つまり, 「おもしろい」 「楽しい」という情意面だけではなく,技能や知識・ 理解を伴った有用感や成就感を味わうことで形成される態度こそ,子どもが将来に渡って英語によるコミ ュニケーションの力を伸ばしていく上での基礎になると考えているのである。 また, 「ともに学ぶ」とは,教師と子ども,子ども同士などで交わされるコミュニケーションの中で,英 語に対する情意や認知,技能を高めていくことを表している。本校では,全学年週一時間ずつの英語学習 の時間を位置づけている。しかし,小学校の限られた時間の中では,いかに子どもに十分な input を与え ようとしても限界がある。そこで,教師と子ども,子ども同士などで交わされるコミュニケーションに必 然性をもたせるようにした。例えば,高学年ではタスク活動を取り入れ,目的意識をもって子どもがコミ ュニケーションに取り組めるようにした。このように,受動的に英語にふれる立場から,自分が知りたい と思う情報を得るために英語を理解しようとする英語使用者の立場へと子どもの立場を変えることをめざ して,ともに学ぶ場を設定しようとしたのである。 そして,このような子どもの姿をめざして,カリキュラム構想の視点を二点提案した。 一つ目は,英語学習の目標についてである。英語学習における目標については,表1のように仮説的に 設定した。低学年は,ゲームや歌などの活動を通して多くの語彙やフレーズにふれる「英語活動」の段階 とした。高学年は,技能や知識・理解を伴った有用感や成就感に支えられた英語に対する好意的・肯定的 な態度を育む「英語学習」の段階とした。そして,中学年を, 「英語活動」から「英語学習」へと移行する 過渡期の段階と位置づけた。これらの目標を設定したことで,教師が「いつ」「何を」「どのように」教え るのかという見通しをもつことができるようになった。また,小中連携に向けての小学校の到達目標を明 確にすることにもつながると考える。 二つ目は,学習内容の配列についてである。低学年においては,できるだけ多くの語彙にふれることを めざした。例えば,数・曜日・色・体の部分・天気・色・形,簡単な動詞など,生活に身近な言葉に,歌.

(2) 表1 低 communication 活動→学習 関. 心. 意. 欲. 態. 度. 聞. く. 話. す. 学. sing. 本校英語学習の目標. 年. 中. say. 学. answer. 多くの語彙やフレーズにふれる英語活動. →. 年 ask. 高. 学. tell. 年. talk. コミュニケーションを通して身近な英語を身につける英語学習. ・ALT の話す英語を聞いて,まね ・ALT や友だち,と質問に答えたり. ・文字やジェスチャーなど,様々な. したりくり返したりして,英語の. 質問したりしながら,英語による. 手段を活用しながら,積極的に英. リズムや音声に親しむ。. コミュニケーションを積極的に. 語によるコミュニケーションを. とろうとする。. とろうとする。. ・ALT の話を聞いてまねたり,簡. ・ALT の話を知っている英語から. ・身近なことや自分のことを,お互. 単な歌を歌ったりすることがで. 推理して聞き取ったり,生活にか. いに聞いたり話したりスピーチ. きる。. かわる身近な質問に学習した英. したりすることができる。. 語を使って答えたりすることが できる。 ・アルファベットの大文字を読むこ. 読. む. とができる. ・簡単な文を,知っている単語や ALT の発話を手がかりに読むこ. ・フォニックスをもとに,簡単な単 語や文を読むことができる。. とができる。 書. く. ・アルファベットの大文字,小文字. ・学習した簡単な単語や文を,スキ. を使い,学習した身近な単語や簡. ットやスピーチなど目的に合わ. 単な文を書き写すことができる。. せて書くことができる。. やゲーム,チャンツ,TPR などの活動を通して数多くふれさせるようにするのである。中学年からは,本 格的に音声・文字指導を導入した。具体的には,アルファベットを書くこととフォニックスを三年生から 導入した。また,「聞く」「話す」「読む」「書く」活動を通して,低学年で学んだ語彙・フレーズを繰り返 す中で覚え,形容詞や動詞を用いた抽象的な内容も活動を通してわかるようにすることをめざした。 このように,目標と内容を設定し,英語学習の実践を開発してきた。その結果,六年間の系統性を意識 しながら,日々の実践を進められるようになってきた。また,中学年以降の「英語学習」の段階では,活 動そのものの楽しさだけではなく,自分の英語が伝わったり,英語の仕組みがわかったりすることを楽し む子どもの姿が見られるようになってきた。 その一方で,教師が活動の中で何を意味づけたり価値づけたりすればよいのかということや小学校の段 階でどのようなことがわかればよいのかということが,新たな課題として生じてきた。 そこで,今年度, 「活動から学びをつくる英語学習」とテーマを設定した。ここには,子どもの活動から 教師が何を見取り,どのように子どもの学びへとつなげていくのかという問題意識が含まれている。. 2. 「活動から学びをつくる」とは. (1)英語教育における活動の意義 ここで言う活動とは,ゲームや歌,クイズ,show & tell,スキット,行事体験なども含む幅広い活動を 示している。これらの活動に対する子どもの反応は,好意的である。しかし,このような活動のみを中心 とした英語活動には,次のような課題があると考える。 一つ目は,ただ活動を続けるだけでは,高学年になるにしたがって情意面の低下が見られるということ がある。英語活動開始当初は,楽しく感じていた活動も,一年,二年と英語活動が続くにつれ,活動の体 験だけでは物足りなくなってくる。本校においても,低学年の時には楽しく歌やゲームに取り組んでいた.

(3) 子どもが,高学年になると同じような活動では物足りなさを感じるということはよく見られることである。 また,高学年になると, 「楽しい」 「おもしろい」ということだけではなく, 「文字を読んだり書いたりし たい」 「もっと英語がわかりたい,できるようになりたい」という思いも,もつようになる。つまり,ALT の英語をまねるだけではなく,英語の仕組みをわかって使えるようになりたいという知的な欲求が生まれ てくるのである。 二つ目は,活動を体験的に行うだけでは,中学校に進学したときに英語に対する学習意欲とコミュニケ ーションへの積極性が次第に低下していく事例が見られるということがある。 もちろん,原因は様々な要 素が関連していると考えられる。しかし,小学校で楽しい活動ばかりしていた子どもが,中学生になって 英語の授業に楽しみを見いだせないということは,容易に想像できることである。 これらの課題から,活動は,英語を学ぶ知的な楽しさを生み出すという意義があると考えられる。つま り,活動そのものを楽しむというよりも,活動を通して「日本語とは異なる英語やそれに付随する文化の おもしろさ」「英語を使ってコミュニケーションするよさ」「英語を学ぶ楽しさ」などの知的な楽しさを感 じさせることが必要であると考える。 (2)活動から学びをつくる ここでは,上記のような知的な楽しさを感じられるような英語教育とはどのようなものかについて説明 する。そのために,本年度の研究テーマである「活動から学びをつくる」ことについて示していく。 「活動から学びをつくる」とは,上記のゲームや歌,show & tell などの様々な英語を使った活動を通し て英語の仕組みを見いだし,共有化していくことととらえる。 ここで言う「英語の仕組み」とは,英語の文法や語順の知識だけではない。例えば,アルファベットの 文字と音の規則 ,学習内容となっているフレーズがどのような場面で用いられるのか,なども含む。そし て,「英語の仕組みを見いだす」とは,普段使っている日本語やこれまでに学んできた英語と比べながら, 相違点や共通点,特徴を見つけ出していくことである。また, 「共有化する」とは,個々が見つけ出した日 本語や既習の英語のとの相違点や共通点,特徴を,交流を通して共通理解していくことである。 つまり, 「活動から学びをつくる」とは,子どもがもつ言語経験や既有知識と活動を結びつけて用いられ た英語の特徴を見いだし,仲間と共有化することだと考えるのである。 このような「活動から学びをつくる」ことを重視する理由は,二つある。 一つ目の理由は,高学年の子どもに英語学習の「知的な楽しさ」を味わわせるためである。2(1)の 項で示したように,活動だけでは,子どもが継続的に英語に対する成就感や達成感を味わうことは難しい。 しかし,「英語の仕組み」を見いだし,仲間と共有化し,それを積み重ねていくことによって,「日本語と は異なる英語やそれに付随する文化のおもしろさ」「英語を使ってコミュニケーションするよさ」「英語を 学ぶ楽しさ」などを味わわせられると考える。 二つ目の理由は,低学年では ALT の発話をそっくりそのまままねできるが,四年生ぐらいからそれが難.

(4) しくなるという発達段階に対応するためである。このような考えは,実践を積み重ねる中で見いだしてき たことだが,研究者の立場からも同様の指摘は見られる。例えば,野呂は, 「低学年児童は知覚的直感,身 体運動や具体的な経験から学習する。児童が高学年になるにつれ,徐々に抽象概念を理解し,分析できる ようになり,論理的で分析的に学習するようになる。1)」と述べている。例えば,「r」の発音について, 低学年の子どもは聞いただけですぐにまねることができるが,高学年はなかなかまねることができない。 しかし,その発音の仕方を理解することで,正しい発音で話すことができる。このように,抽象概念を理 解し,論理的で分析的に学習する高学年の子どもに対して, 「活動から学びをつくる」ことは,発達段階に 沿ったものだと考える。. 3. 「活動から学びをつくる英語学習」の要件 ここまでは,「活動から学びをつくる」ことについて説明してきた。次に課題となるのは,「活動から学. びをつくる」ことを具体的にどのように進めるのかということである。実践を通して導き出した「活動か ら学びをつくる英語学習」の要件を,以下にまとめることとする。 (1)音声・文字指導を位置づける ①フォニックスを位置づける 本校では,三年生よりフォニックスを導入している。三年生から導入した理由は,ALT の発話をそっく りそのまままねることが難しくなる少し前から音と文字の対応規則を学ぶことで,分析的に日本語とは異 なる英語の発話法を理解していくことができると考えたからである。 また,このような音声,文字指導は,中学校との連携を考える際にも有効だと考える。これまでは,中 学校英語開始の段階から「聞く」 「話す」 「読む」 「書く」の四技能を一度に取り扱うことになっていた。し かし,野呂は,「時間的余裕のなさから文字と音の関係についての指導は実際にはあまり行われていない」 こと述べるとともに, 「文法や単語を覚えることよりもっと基礎的な『単語が音読できない』というところ で躓いている生徒が多くいる2)」ことを指摘している。 つまり,子どもの発達段階,中学校英語の現状の両方を鑑みたときに,音声・文字指導としてフォニッ クスを取り入れることは有効なことだと考えるのである。そして,小学校では,読み方のわからないやさ しい単語を,音を組み合わせながらなんとか読めるようにしていきたいと考えている。 ②子どもが英語をわかる手がかりとして,文字を活用する 高学年になれば,低学年とは異なりコミュニケーションの内容が少し抽象的なものになったり,高度に なったりしがちである。その際に,音声やジェスチャーのみでコミュニケーションを進めるのではなく, 理解を促す手がかりの一つとして文字を位置づけてはどうかと考えたのである。これは,音声を中心にし た実践開発を行っていた課題をふまえたものである。 具体的には,「フラッシュカードにイラストだけではなく文字をのせる」「基本表現を板書し,視覚的に.

(5) も聴覚的にも手がかりを与える」などである。留意点としては,文字から指導に入るのではないというこ とである。音声になじませ,音声に合わせて文字をそれとなく合わせて提示するのである。そうすること で,子どもにとってわかる手がかりとしての文字になりうると考える。 (2)子どもの学びを意味づけたり価値づけたりする ①比べて気づいたことの意味づけ,価値づけ 本校では,活動の中で気づいたことや考えたことを日本語で交流することを大切にしている。なぜなら, そこで出される気づきや考えの中に,学級全体の学びにつながることが含まれているからである。 例えば,既習内容「I can play tennis.」をふまえて「Can you play tennis?」を学習した。この二つを 比べて子どもたちは, 「I が you に変わっている」 「Can の場所が違う」 「後ろの二つは変わらない」など様々 な気づきを発表した。これらを教師が意味づけることで,「Can の疑問文」の仕組みについての気づきを 共有した。また,既習内容と比較して考えたことを教師が価値づけることで,比べて考えることの大切さ に気づくようにしたのである。 このような,意味づけや価値づけを行うことができるのは,HRT である。交流の中で比べさせたいこと は,例えば, 「既習内容との比較」 「既有知識や経験との比較」 「日本語との比較」などがある。また,気づ かせる際には,ALT の発話(声,口元,表情,ジェスチャーなど)に注目させるようにしている。これら から,英語の仕組みに子ども自らが気づいていくことができるとともに,子どもが,日本語との違いにも 目を向けるようになると考える。 ②子どものアウトプットに対する評価 活動の中で,子どもたちは様々なアウトプットを行う。時には,正確な発音や語順ではないアウトプッ トを行う場合もある。その際に,アウトプットを評価し,子どもの気づきを促すことが大切になる。 例えば,子どもが「th」の発音を正確にできていないと感じたとき,ALT の発話ともう一度比較させた り,ALT の口元に注目させたりしながら,「th」の正確な発音に気づかせるのである。 この場合も,HRT の役割が重要になる。子どものアウトプットが正確ではないと判断した場合には活動 を一旦止めたり,ALT に注目させたりするなど,子どもの学びが生まれる場をコーディネートすることが HRT に求められるのである。 このような要件を満たすことで,「活動から学びをつくる英語学習」が可能になると考える。その中で, 子どものメタ言語能力も育まれ,英語に対する知的な楽しさを味わわせることができると考える。 (高山. 宗寛). 【引用文献】 1) 2). 野呂忠司(2007) 「小中連携と文字指導」 『小学校英語と中学校英語を結ぶ』松川禮子,大下邦幸(編)pp102-117: 高陵社書店.

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