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《書評》青山浩之著『基本が身につく 書道の教科書』

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Academic year: 2021

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(1)横浜国立大学国語教育研究 No.44(2019) 《書評》. 青山浩之著『基本が身につく 書道の教科書』 (2018 年 12 月 25 日刊 池田書店 B5 判 160 頁) 木津愛野 1、はじめに. 本書を手に取り気軽に書道をはじめてみてはどう. スマートフォンやパソコンが主流となっている今. だろうか。. 日、文字を手書きする機会が減り、「毛筆」を使用し. 本書の構成(章題)は以下の通りである。. て書くことは日常から遠ざかりつつある。手書きす ることさえも少なくなっている中で、日常生活にお. 第1章. 書く準備をする. いて毛筆を使用することは、とてもハードルが高い. 第2章. 美しい線を書く. ことだと感じている人が多いのではないだろうか。. 第3章. 文字の形を整える①点画の組み立て. 一方、デジタル化にある中で、今一度手書きの良さ. 第4章. 文字の形を整える②部分の組み立て. や毛筆・書道の魅力を味わいたいと思っている人も. 第5章. 文字の形を整える③文字の外形. いるであろう。本書はそうした毛筆を苦手に感じて. 第6章. ひらがな・カタカナの基本. いる人たち、毛筆を楽しみたい人たちへ向けた「書. 第7章. 毛筆を楽しむ. 道の教科書」である。 本書では、書道をはじめる準備から筆づかい、字. 以上に加えて、漢字の行書の書き方と 4 つのコラ. 形の整え方といった書道の基礎・基本をしっかりと. ム(①書道用語 ②古典にふれる-中国の書- ③古. 身につけられるステップが示されている。実践をと. 典にふれる-日本の書- ④発砲スチロールで印を. おして、毛筆・書道の魅力を体感できる一冊となっ. 作る)も掲載されている。これらの内容にも取り組. ている。. むことで、書道に関する知識と技能をより深めるこ とができる。. 2、本書の概要と構成. 毛筆・書道の魅力は、自由で多彩な表現ができる. 書道をはじめる際に、まず、どんな用具・用材を. ところにあろう。行書の書き方を学ぶことで楷書で. そろえたらよいのだろうかと悩む人も多いだろう。. は表現しづらい、やわらかさやのびやかさのある線. また、初心者では、書く時の姿勢や筆の動かし方が. が書け、書表現の幅を広げることができるようにな. 正しくできているかなど、書道をはじめるにあたっ. る。また、できあがった作品に印を押すことで華や. て様々につまずくことが出てくるだろう。第 1 章で. かさを加えることもできる。本書の内容をとおして. は、そうした書道をはじめる準備や書く時の姿勢・. 毛筆・書道の表現を大いに楽しむことができるだろ. 筆の持ち方・動かし方など書くための基本が写真付. う。. きで分かりやすく解説されている。そのため、準備. 3、「“毛筆力”」アップから硬筆へ. 段階に不安を感じることなく、その後の実践に取り 組むことができるようになっている。. 第 2 章で身につけた美しい線を書くための筆づか. また、第 2 章では、初学者にとってつまずきやす. いを土台として第 3 章から第 6 章では、文字の形の. い筆づかいが、朱墨と薄墨の 2 色で書かれたお手本. 整え方、ひらがな・カタカナの書き方を学び、「“毛. を用いて解説されている。2 色で書く方法も紹介さ. 筆力”」をアップすることが目指される。. れているので、その手法で実際に練習してみること. 自分の手書き文字に対して、誰しも一度は不満を. で穂先の通るところが明解になり、書道の基本であ. 抱いたり、もっとうまく書けたらなと理想を抱いた. る筆づかいをしっかりとマスターすることができ. りするだろう。本書には理想の手書き文字を書くた. る。さらに、お手本に書かれた文字だけでは捉えに. めの方法が詰まっている。. くい筆圧も数字で強弱が示されているので学びやす. 普段、硬筆で文字を書く時にも、きれいで読みや. くなっている。. すい文字を書きたいものである。そのためには文字. 85.

(2) 横浜国立大学国語教育研究 No.44(2019) を整えて書く必要がある。本書では、課題に合わせ た文字を練習することで、文字を整えて書くコツが つかめ、毛筆力をアップすることが図られる。本書 のねらいは毛筆力を向上させるところにあるが、こ うして習得した文字を整えて書くためのコツは、普 段の硬筆での書字にも生きるものである。 本書の実践の際には一度、半紙に課題の文字を把 握した上で手本を見ずに課題の文字を書き、その文 字とお手本とを見比べることで自分の課題点が見え てくるだろう。この方法は著者である青山が書写書 道の授業において実践している方法である。 本書の実践を通して、「“毛筆力”」の向上を図る とともに、普段の手書き文字を見直し、硬筆での書 字にも生かしていくと良いだろう。. 4.暮らしの中に息づく書 第 7 章では、毛筆を使って書きたくなるような言 葉、そして、年賀状やのし袋など実用的な書の書き 方が紹介されている。これまで身につけた毛筆力を 日常へと生かし、毛筆で書くことがさらに楽しくな るような内容となっている。 毛筆・書道文化は日本の伝統文化の一つであり、 今もなお私たちの生活に根付き、大切に受け継がれ ている。毛筆は長い歴史の中で日常筆記具として用 いられてきた。しかし、デジタル化にある今日では、 毛筆を普段使いすることは、ほとんどなくなってき ている。本書を通して毛筆・書道にふれ、毛筆で書 くことの楽しさを味わう中で気付かされることがあ るだろう。それは自由に思うままに表現ができると いうこと。決して達筆でなければならないというこ とではない。毛筆は自分らしさを表現できる一つの ツールといえよう。本書に紹介されている言葉や実 用例を参考にして、暮らしの中に書を取り入れ、日 本の文化である書に親しんでみてはどうだろうか。. 86.

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