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ひずみゲージ式トルク変換器によるトルクの測定 利用統計を見る

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(1)

博多哲郎

桜木正範

(昭和42年9月14日受理)

Measurement of Torque by Strain Gauge Torque Transducer

TetsuroHAKATA MasanoriSAKURAGI

Synopsis  The results of measurement of torque given to the driven machine by the prime mover, by strain gauge torque transducer, are described.  These experiments confirm that  1) this transducer is useful, too, in measurement of transfer torque given to the    driven machine when the rotating system is in steady state,  2) mechanical loss can be measured directly, and easily divided into frictional loss    and windage loss from it’s speed characteristics,  3) and transient transfer torque can be recorded in the electromagnetic oscillogragh    in passable fiderity. 1. ま え が き  回転機において,その発生トルクあるいは原動機か ら被動機への伝達トルクは,特性判定上重要な資料と なるものでそれらの測定にはいくつかの方法が採用さ れる1)。抵抗線ひずみゲージにより,伝達軸の機械的 ひずみを電気的に検出して伝達トルクを求める方法は, 最近のひずみゲージの諸特性の急速な進歩により,従 来の方法に比して種々の利点と広い応用範囲が期待さ れるようになった2)。  本報告においては,上記の抵抗線ひずみゲージ式ト ルク変換器(以下変換器と言う)の一一利用法として, 三相誘導電動機について以下のような実験を行ない結 果を検討した。  1) 定常状態におけるトルク測定結果の妥当性の検   討およびそれに基づく回転子の機械損の速度特性   の測定とその慣性モーメントの算定  2)供試電動機起動時における伝達トルクの記録と   その起動時間の検討 2. 原 理 いま図一1のように慣性モーメントおよび機械損に相 当する機械的反発トルクが,それぞれθ、,M、および θ,,M2であるような誘導電動機IMと直流発電機

DCGの結合された系を無負荷状態でIMにより運転

する場合を考える。ただしM、およびM2は回転数

によって決まる関数である。電動機の発生トルクがD のようであるとすれば,起動された系は,角速度ω。 まで加速され,(M=M、+M2),この点で安定運転を するがこの間,各回転力のつりあいから式(1)が成立す る。 D−(M・+θ・砦)−M・+θ・警 (1)  上式で明らかなごとく原動機の軸端で測定されるト ルクは,伝達トルクにすぎない。発生トルクDを知る には,系を定常状態におく(∂ω、/dt=0, M、既知)か, あるいは4ω、/dtの測定が可能ならば, DCGを除去 し,M,を無視して, D=θ・4ω1μより求めねばな らない。実際この方法を利用した過渡トルクの測定も いろいろ行なわれている3)。  式(1)のごとき回転力のつりあいは,伝達軸上には F、およびF2の表面せん断応力として現われ, この 大きさに比例した表面上ひずみを伝達軸に与える。し たがってこのひずみを検出すれば,伝達トルクの大き

(2)

昭和42年12月 山梨大学工学部研究報告 第18号

   D

   ω]        θ1,M」

六{M・θ剖F,

]「i

吉{D一ぴ・θ1剖

Torque Transducer  ψ 昌 § θz,Mz つ ω2 図一1 トルク変換器の原理 さが算定されるわけである。

3.実

験 ω1) →‘亘

 3.1実験装置

 図一2に示したのが,供試M−G系であり,図中,電 動機と発電機の中央部に変換器がみえる。本変換器の ひずみ検出の方法はつぎのように行なう。  表面せん断応力は,これと45°をなす二軸方向の引 張りおよび圧縮の二応力に分解されるので,この二軸 上にひずみゲージを接着すれば,ゲージの抵抗値は応 力方向とその大きさに応じて変化する。この2ゲージ を伝達軸に対称に2組接着し,これら4ゲージを,ひ ずみが加わるようなブリッジに組む。伝達軸に装置さ れたスリップリングを介して,このブリッジにひずみ 測定器からの5,000c/sの搬送波を与える。ひずみが 生じれば,ゲージの抵抗値変化による不平衡電圧(変 調波)が現われるので,この電圧を増幅器で増幅し, 位相弁別器でひずみの方向を弁別して検波し,ひずみ の現象波形を電気的に再現する。これを測定器の指示 計あるいはオシログラフによって測定するのである。 図一3に示したのが,測定回路の一例であり,実験の種 類によりこれを変形して用いる。なお図中の主要機器 の仕様はつぎのとおりである。  1)巻線形三相誘導電動機 3kW,開放保護,4P,   220V,13A,1,500rpm,50c/s,(原電気製)  2)直流発電機 2kW,110V,18.2A,1500rpm,   4P,複巻 連続(同)

 3)抵抗線式トルク変換器 TP−5KMC

  O∼5kg−m(共和電業製)

 4)動的ひずみ測定器 DPM−1DT,6mA/6V,

図一2 実 験 装 置 Strain Amp @     St E.M.Oscillo. c1⊥1・ Clutch s AC 200V Rφ IM DCG VR TG Torque srans. v Shunt Auto.Switch       φ 図一3 実験回路の一例   5,000c/s,電源DCgV, (同)  5)電磁オシログラフ N−6P型(横河製)  3.2負荷時(定常状態)の伝達トルクと検出トル     クの比較  供試変換器および測定器の指示の妥当性を検討する ため,このM−G系において発電機に負荷をかけ,こ のときの電動機からの伝達トルクを算定してこれとひ ずみゲージにより検出されたトルクとを比較する。  誘導機の伝達トルクの求め方   ‘  実験1)無負荷運転(発電機はクラッチにより切り   離す)この状態において,入力をP。,一次銅損   をアσo(=3∫02・R,),鉄損をPi,機械損をPmと   すれば,    Pr Pco=Pz十PmJ   このとき電圧一定で,回転数が一定ならば,右辺   は一定である。つぎに電圧を変化させてP。,Pc。,   を求め,電圧0におけるPmを予想し,右辺を分   離する(電圧変化法による機械損の分離)。    その結果       ’ 1     電源電圧220VにおいてPo=380W, Io=     9.05Aより, Pz+Pm=313Wとなりさらに電     圧変化法で分離して,Pm=127W, Pi=186W

(3)

表一1誘導機側から測定した伝達トルクと検出トルクの比較 回転数一次電流 〔rpm〕 1〔A〕 1,473 1,470 1,465 1,460 1,4551 9.4 9.6 10.3 11.1 11.8 入 力 P〔W〕 312R7s 〔W〕 二次入力 P2〔W〕 発生トルク 〔N−m〕 伝達トルク T,〔N−m〕 検出ひずみ S〔×10一6st〕 検出トルク T2〔N−m〕 1,284     85 i  1,013 1,662      89 ‘  1,387 2,064     106 1  1,776 2,532 1   109    2,227 2,940 |   139    2,615 6.45 8.84: 11.3 14.2 16.6 T2/T、 5.64 8.031 10.1 1 13.4 1 15.8 320 450 615 790 930 5.20    0.923 7,36    0.917 10.06    0.960 12.9     0.964 15.1     0.958     となった。  実験2)負荷運転(発電機を結合して負荷をかける)   誘導機の全入力をP 一次銅損をP、1(=312R7s)   二次銅損を   P、2負荷への出力をPk   二次入力を   P2   とすれば負荷時の関係はつぎのようになる(ただ   し電圧は定格値一定とする)。    PrPc i=Pz+P,2+Pm十Pk    P2=P−Pci−Pi       .   これより,伝達トルクをT、,機械損に相当する

 ,反発トルクをTmとすれば

  1‘T、=P2/ω、 一’ Tm   この結果を表一1に示す。  電圧は220V 一定,伝達トルクは発生トルクより誘 動機部分の機械損Pm == 127Wに相当する反発トルク 0.81N−m(測定すべり全域にわたり一定とする)を差 し引いたもの,また検出トルフT2は,検出ひずみが トルクに比例し,S=3,000×10−6 strainが,5kg−m に相当する(計器定数)ことから検出ひずみS(×10−6 st)を5×9.81/3,000倍して求めたものである。  結果によれば伝達トルクと検出トルクはほぼ比例関 係にあり,つぎの補正係数kを用いれば,伝達トルク は,検出トルクをk倍して求められることが結論され る(k=20/19=1.05,このkの値は7▼一T2の関係を グラフに書きその傾きから求めたもの)。  そして表一1の測定範囲以下のトルクについては確か める時間的余裕がなかったので,この関係が成立する ものとして補正係tw kを用いることにする。  3.3 回転子の速度一機械損特性  一般に回転体の機械的損失は,摩擦損と風損の和で あり,前者は速度に後者はその自乗に比例する。しか しその実測は容易ではなく,種々の分離法によらねば ならない。        、  ところが前節で検討したように,ひずみゲージ式ト ルク変換器は正しい伝達トルクを与えるから,たとえ ば供試誘導機の機械損を求めだいときは,負荷用の直 ITL a 巴 SO あ も 冥 三 ↑        500         1000         1500        パ       →n[rpm] 図一4誘導機の機械損に相当するひずみ一速度特性 流発電機を電動機として運転し,逆に空回しの誘導機 回転子への伝達トルクを測定することによって,きわ めて容易にその目的を達することができる。  図一4に,上述の条件のもとでの直流機から誘導機へ の伝達トルク(図ではひずみの形で表現)の速度特性 を示す。図によれば,ひずみと回転数は,ほぼ直線関 係にある。これより反発トルク,機械損,回転角速度 をそれぞれT〔N−m〕,P〔W〕,ω〔rad/s〕で表わせば, これらの関係は次式のようになる。   T =i, ,,ks><5>〈9.81/3,000    =5.20><10『4>くn十〇.0227 1    =4・97×10−3×W十〇.0227 〔N−m〕   (2) したがって   P=tuT= 4・97×10−3×ω2十〇.0227ω 〔W〕 (3) たとえば,n=1, 485rpmにおける機械損は,式(3)よ り,  P=4.97×10−3×155.52十〇.0227×155.5=123.7W この値は前節で求めた127Wにほぼ等しい。  3.4、回転子の慣性モ「メ?ト  回転体のエネルギはθω2/2(θ:慣性声ごメンF, ω:‘回転角速度)であるがこれが自由に回転中の機械 的損失をPとすれば,   』丁(θピ)一一θω留        ぴ   θ一二P/(  ゴωω・_  d彦)’   (4)    t

(4)

昭和42年12月 山梨大学工学部研究報告 第18号 2000 1000 表一2 回転子各部分の慣性モーメント 菖5°° ↑、。。

IMのみ

結合状態

DCGのみ

 ω 〔rad/s〕 178.0 156.6 dt・/dt l t・=0 〔rad/s2〕 一14.30 −11.92

P

〔W〕 161.5 194.1 慣性モー メント θ〔kg−m2〕 0.0634 0.1039 0.0405 ∂oo

 O

5 10    15    20    −t〔s〕 図一5 減速中の速度の対数一時間特性 図一6 起動時の電圧,電流,回転数,ひずみ一時間特性(例1) 図一7 起動時の電圧,電流,回転数,ひ    ずみ一時間特性(例2)  したがってある速度におけるP,ω,およびdω/dt を知ることができれば,慣性モーメントは容易に求め られる。  つぎに供試M−G系の慣性モーメントを求めた。図 一5に,誘導機のみおよび両者結合の二つの場合につい て,それぞれ1,700rpm,1, 495rpmから自然に減速 させたときの回転速度と時間の関係を示す。初速度付 近では,摩擦損を無視すれば,図の曲線は直線となる はずで,図に示した直線の傾きから,

 IMのみの場合

   n=1,700・ε一〇’0803t   〔rpm〕  両者を結合した場合    n=1,495・ε一〇’0761t   〔rpm〕 これより,各t=0における∂ω/dtを求める。

 1,495rpmにおけるDCGの機械損はこの系をIM

駆動で無負荷運転したときの検出トルクから得られ, これは68.6Wであり,この速度のときのIMの機械損 125.5Wを加えて結局結合状態での機械損は194.1Wで ある。以上のように得られた値からこの系の各部分の 慣性モーメントは表一2のようになる(トルク変換器の 部分は,クラッチの位置の関係からIMに含まれるが 無視し得るほど小さいはずである)。  3.5 誘導機よりの過渡伝達トルクの記録  図一6および7に,供試のM−G系を無負荷状態にお いて,電源電圧をそれぞれ,100V,146Vにして起動 した際の,電圧,電流,回転数,および伝達トルクの 変化の模様を示した。起動瞬時の電圧は,それぞれ88 V,124Vまで低下した。電源電圧を定格値より大幅 に小さくしたのは,起動時間を長くする目的のためで ある。二次抵抗は,起動瞬時より運転の位置においた ままである。結果は図一3の接続により,電磁オシログ ラフに得られた。同一条件のもとで多くの記録がとら れたが,どれも類似した結果が得られた。  起動直後に伝達トルクが時には負の値にまで,大き く変動しているが,これは原動機の発生トルクの特性 および,この系の結合部分(カップリング)の応答の 両面から究明する必要がある。前者については,この 過渡トルクは,速度に特有なものではなく,起動時の 過渡的な非対称磁束と回転子電流の間のトルクである という研究もなされている3)。この起動時の過渡トル クについては,,稿を改めて報告する予定であるので, 本稿では一応無視し,図一6について,この交番成分の

(5)

表一3 すべりSmまでの起動時間 起動瞬時電圧   〔V〕 88 124  Ts    ω㎜ 〔N−m〕  〔rad/s〕

 Tm

〔N−m〕

 θ

〔kg−m2〕 2.70 6.31 125.7      5.41 ・・4・・ P・2・・4 0.0405 0.0405  ωo    To 〔rad/s〕 〔N−m〕 t(計算)  〔s〕 156.6 156.6 0.438 0.438 1.33 0.53 t(実測)  〔s〕 1.50 0.51 ユ Slip  O.2 0 図一8 伝達トルク(実測値)と発生トルク(計算値)    の速度特性 ない部分から曲線をすべり1まで延長したときの,す べりに対する伝達トルク特性を図一8の曲線T(実線) で示した。なお図一8の曲me A, Bは,電源電圧がそれ ぞれ88V,100Vであるときの,供試誘導機の発生ト ルク特性をスタインメッツ法により計算したものであ る。図において,各すべリに対するT/Aの値を求め ると0.41∼0.49の間の値をとり,加速中は発生トルク が被動機iへ,θ2/(θ、+θ2)=0.39に近い割合で分配さ れていることが予想される。  3.6被動機部分の起動時間の検討  被動機部分は,原動機よりの伝達トルクのみにより 加速される。図一8をみるとすべりが,S7raぐらいまで は,伝達トルクはほぼ直線的である。  この時,被動機の機械損に対応する反発トルクが, 回転速度に比例するものとして,これをすべりSmま で加速するに要する時間を求あてみよう。  伝達トルクTを図一8の点線と仮定して,すべりS

がS≧Smでは,

    ω T=Ts十      (Tnt−Ts)     ω?π ただし

TsS=1における伝達トルク

(5)    ω%S=Smにおける角速度    Tmω物における伝達トルク  被動機の慣性モーメントをθ,機械損に相当する反 発トルクが速度に比例すると仮定したので,ω。にお けるこの値を7▼。とすれば,式⑥が成立つ

  T一θ盤+欄

式(5),(6)から θ砦一Ts+ω(Tm−Ts To  ω?祐     ω0) したがって,すべりSmまでの起動時間tは,     ω肌       4ω t一θ∫

・Ts+ω(荒㍗翻

(6) (7) 一θ〔(Tm−Ts)/㍍一万/鞠1・9e(τ加一磨』)〕       (8)  式(8)に,図一6,7の各場合について求めた値を代入 して求めたtを表一3に示す。なお,θ,ω。,T。は被動機 が直流機であるから直流機のものをそのまま用いる。 4. ま  と  め  行なった実験は以上であるが,結果より得られた結 論を列挙すれば,つぎのとおりである。  1) ひずみゲージを用いたトルク変換器は,定常状   態で回転中の原動機から被動機への伝達トルクの   測定にも十分使用できること。  2) したがってこれを用いて回転体の機械損を,直   接測定できること。さらに速度を変化して機械損   を求めることにより,摩擦損と風損を分離するこ   とが容易であること。  3) この変換装置によって,原動機から被動機への   過渡的な伝達トルクをも,ほぼ忠実に電磁オシロ   グラフへ記録できること。  また逆に,なお不明の点,あるいは,本測定装置の 欠点等,今後解決されねばならない問題点は,  1) トルクを電動機の軸端で測定するために,過渡   状態においては,電動機の発生トルクを知ること   ができないこと。

(6)

昭和42年12月 山梨大学工学部研究報告 第18号 2) 変換器と原動機および被動機の結合部分(カッ  プリング)の材質により,この系の過渡状態にお  けるひずみ計の指示がどのように変化するかとい  うこと。 3)測定器の指示が,時間とともに変動しないかと  いうこと(信頼性の問題)。 4) 定格電圧付近における起動現象の記録および検  討。 5. あ と が き  以上の問題点等についても,可能なものは,今後実 験を続けるつもりである。  おわりに,本稿を報告するにあたり,終始懇切に御 指導いただきました,本学部中村元和先生,金丸春雄 先生に深iく感謝致します。また夏休み期間中も実験に 御協力頂きました電気工学科石川多俊さん,同科4年 橘田洋之君の皆様に厚くお礼申し上げます。 1) 2) 3) 4) 参 考 文 献 電気学会,電気工学ハンドブック,P.746(1967) 小林:機械学会誌,70,p.724−730(1967) W.S. Wood:P.1. E. E.112−7,1348(1965) 竹上,生方:電学誌,73,P・1128−31(昭28年)

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