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ロールシャツハ・テストからみた母子相互作用 : ある夜尿児の症例研究

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(1)

ロールシャツハ・テストからみた母子相互作用*

― あ る 夜 尿 児 の 症 例 研 究 ―

は じめ に われわれ の行動 が環 境 に対す るイ メージに よっ て規定 され てい る ことは衆知 の事実 であ る。例 え ばェ クスキ ュ-ル(Uexkiill) 2)紘,蜜蜂 が花畑 を見 た 場 合 どの よ うに見 え るか を措 い て い る (Fig・1) 重 要 重 要 喜 喜 毒

.

摂劉 l三 コ 監 ヨ ′・■■ヽ・-..i Fig.1 蜜蜂の環童世界 (左図が人間のみた花畑、右図が蜜蜂のみた花畑である) が3), この 図 を見 れ ば蜜蜂 は決 して人 間 の よ うに 美 しい花畑 (左因)を見 てい るので はな く,生存 し てい ぐため に必要 な蜜 を吸 うとい う目的 にか な っ た形 態 (右図に示されている星やXの形態)のみ にひか れ てい くとい う様 子 が よ く分 か る3)。 蜜蜂 の な に げない行動 も,蜜蜂 が世界 を どの よ うにイ メージ してい るか を知 る ことがで きれ ば よ り深 く理解す る ことが可 能 であ ろ う。 藤 岡4)は比較行動学 の立場 か らイ メージ につ い て次 の よ うにのべ てい る。 ・・-・私たちは各自の抱 くイメージを情報の形に変換す、 る。他者は自分なりに情報としてそれを受け取 り,これに もとづいてイメージを抱く。両者のイメージにかなりの共 通部分があれは,実際問題として了解が成立したというこ とになる。行動のみならず,了解ということはもともとイ メ-クの世界から成立してくることである。言語のような 情報によらない,身振 りのような情報による了解も,日常 生活の中ではいつもある・・-・

*

本稿の一部は日本心理学会第45回大会において発表さ れた

'

■**早稲田大学 (長野大学産業社会学部)

*

*

ここにのべ られ てい るこ とは,わ れ わ れがお互 いを了解す る場合, そ こにはイメージの了解が成 立 してお り, それ は必ず しも言語 な どに よらな く て も可能 であ る とい うことであ る。 日常生活 にお け るお互 いの了解 には特 に この イメージの占め る 割合 が大 であ る と思われ る。何故 な ら, 日常生活 は知性 よ りも感情的側面 に よって成立 してい る場 合 が多 いか らであ る。 心理 臨床的立場 か らみれ ば, この こ とは と りわ け重要 であ る。心理臨床的 な場面で の相 互理解 に は感情的理解 が知的理解 よ り重要 であ る と考 え ら れ るが, その よ うな観点 か らみれ ば,感情過程 を 支 え るイメージの もつ役割 の 占め る ウェイ トが大 にな るか らであ る。水 島 ら5)は「イメイジほ感情 の 象徴過 程 とな りやす く」

,

「感情過程 の媒 介 として 極 めてユ ニークな もの」 であ るとのべ て,感情過 程 をにな うもの としての イメ-ジの役割 を強調 し てい る。 さ らに,相互交渉 を も

つ 2

着間の一方 が子 ども であ る場合, イ メージの もつ役割 は さ らに大 き く な る と思われ る。 例 えば母子間 の相互交渉 を例 に とってみ ると, この

2

着関係 は極 め てユ ニークな 人間関係であ る6)7).それ は一方 が大 人 であ り一方 が子 どもであ る とい う以上 の意味 を持 っている。 そ こには

2

老問 に絶対的 な能力差 が あ る とい うこ とだ けではな く, 2著 聞 に了解 が成立す るため に は,大 人 は通常 の対人認知 よ り,よ り多 く感情(イ メージ)にた よ らざ るを えない とい う事情 があ る。 大人 と子 どもの関係 において は,わ れわれ の対 人 行動 は よ り無意語 的で感情的 な もの にな る と考 え られ る。 この よ うなイ メージを利用す る方法 とし て ロール シャ ッハ ・テス ト (以下ロ・テストと略す) は具体的手段 た りうる8)9)。筆者8)9)は先 に ロ・テ ス トを使 って母子 間 の相互理解 を促進 させ,治療 に 役立 て る とい う試 み を報告 した。現在様 々な症 例

-1

(2)

9-において この試み を深化 させ ているが,本稿では ある夜尿症 の男児 に この方法 を適用 した症例 を詳 細 に報告 したい。 本報告で も, まず(彰子 どもに p ・テス トを施行 し,つづいて,②別場面で母 に ロ ・テス トを施行 す る。 さらに③ 日を改めて母 に子 どもの ロ ・テス ト反応 を推測 して もら うとい う3つの手順 に した が った。 さらに③ を細 か く3つの段階に分 けた。 i)何 も ヒン トを与 えず に自由に推測 して もら う段 階,ii)反応 内容 (何をみたか)のみ教 えてそれを説 明 して もら う段階,iii)反応 内容の領域,内容の細 かい説 明を して,それが理解で きるか どうかをみ る段階。i)- iii)に進む につれて,母の推測能力 が低 い ことを意味す る。 以上 の手続 のみ で はテ ス トの域 をで てい ない が, さらに この手続 の後,反応 内容について自由 に討論す ることで,母 の子 どもに対す る認識 をイ メージの側面か ら深 めて もら うことに役立 てた。 シャ-テル (Schachtel)10)は 「ロ・テス ト状況で の被験者の体験 や反応 はあ くまで も対人的行為で あ り,対人的体験 である」 として, ロ ・テス ト状 況が対人的状況であ ることを強調 してい るが,本 症例 の大枠 として もこの よ うな状況がお こってい ることを強調 してお きたい。母子が直接 同席 して ロール シャ ツ/、・カー ドに反応 し,お互 いに反応 してい るわ けではないに して も,検査者 であ ると 同時 に治療者で もあ る筆者 を媒介に して, また, ロール シャツ- ・カー ドとい う同一 の刺激 を媒介 物 として母子相互のあ る種 の反応がお こ り,それ によって 日常生活での母子相互作用 に影響があ っ た と考 えられ る。

症例 :S・A,昭和 43年 10月8日生れ。10才, 小5の男児。 主訴 :毎晩夜尿があ る。一晩 に

2,3

回漏 らす こともある。 診断 :心因性夜尿症。 家族構成 :父,母,妹 (6才),祖母 (実際には父 のオ,(であるが父を養子にしたために祖母になる。独身で あり会社を経営している。なかなかのやり手であり,この 一家のgodmother的な面もある。) 生育歴及び現症歴 :生下時体重2,910g,首の 座 り4ケ月, お座 り6ケ月, ′、イ-イ7ケ月,始 歩

1

才(母親はそれが三岳であることをはっきり憶えてい た)。姶語 は

1

才前であ った。母親 は幼児語が嫌 い で,プープーではな く自動 車 と教 えていた とい う。 離乳 は

4

ケ月か ら始め大 人 と同 じものが食べ られ るよ うになったのは1才 2ケ月の時であ った。 2 才頃 の質問 はた くさんあ った

。 2

才前か らチ-と 口で教 えるよ うになった ので トイ レッ ト・トレー ニングを始めた。昼間オ ム ツが取れ るよ うになっ たのは

2

6

ケ月の時で あ った。(昭和45年4月)。 9月 に喋息 で入院 した の で もとに戻 って しまっ た。(なお嘱息は1才∼3才く・らいまで続き,加療してい た。現在鴨息は消失しているが,風邪をひくと熟よりせき になってしまう。)寒 くなるので しば らくは昼間 もオ ムツを させ,次 の夏か ら始 め る事 にした(3才6ケ 月)。夏で も30分 く・らいで トイレにい く程 の頻尿 であ り,この傾 向は現在で も残 っている。オネシ ョ については止 った時期が ない とい う。 3才の時か ら,祖母 (実際には父のオノミ)と供 に住 む よ うになる。 この祖母 は現在会社 を経営 してお り, なかなかのや り手で あ る。会社経営の前 は長 年教師を していた。 この頃 か ら祖母の干渉が強 く な り,育て方 を巡 って対立す る。祖母 はオネシ ョ ほ起 こさなけれ ばならない とい う方針 であ った。 母 は祖母の家,(祖母の家と母の家は同一敷地内にあっ たが一応分離されていた)その家 のお手伝 さんにS・A が甘やか され るのが嫌でた まらなか った。 そのた め,早 くか ら自立 させ よ うと思い,あ ま り添 い寝 もしなかった。 S・Aにはこの他 にも幼少時 か ら夜泣 き,乗 り物 酔 な どがあ り,かな り過 敏 な体質 であ る。性格的 には嫌 な事があって も外 にだ さない方である。S・A に 初 め て 会 った時の印象 は, 自分か ら積極的 に 話す方 ではないが,質問 された事 には こた えると いった ところであ った。 なか なか治療者 と目を合 わせ ることがで きず,た えず ソワソワしていた。 学校 は

1

日た りとも休み た くない とい う。友人関 係 については,身体が弱 く,本好 きで理屈だけが 先走 るので嫌われ る面 を もってお り, あま りうま くい っていない とい うこ とであった。初回面接 で 母親が語 った ところによれ は,母親 自身神経質 な ので 、、っ きはな しで ′育 てて きた とい う。(この行動 -2

(3)

0-の庇には早く自立して欲しいという母親自身の願望が横た わっていたと思われる。ちなみに母親自身も中一の頃まで 内向的傾向が極度に強かったが,中2の頃自分をいじめる 子に思い切って立ち向った事がある。それ以後できるだけ 活動的になろうと努めてきた。S・Aは男で もあ り,母 親 としては余計S・Aに早 く,強 く自立 した子 になっ て欲 しい とい う気持ちが強か ったのだろ う。) ところで

,S・

A

の祖母 は,会社を始め る前 は教 職員組合の活動家であ った。 レッド・パ ージで職 場 を追われ,教職 を辞 さざるを得 なか ったのだ と い う。 この祖母 は実際 には父のオバであ ったが, 父を 自分の養子 に し,学費 な どの面倒 も全 て見 て いた。 したが って,父 は この祖母 に頭のあが らな い ところ も多 い。祖母 は兎 に角や り手であ り,実 力 もある。 祖母 の意見 では,夜尿 は起 こして治 さ なけれ ばな らない とい うことで,母 はその意見 に 従 って夜中 の

2

時頃 に決 って起 こしていた。(この 時S・Aの 目は完全 に覚めていなかった との ことな ので,ある意味では習慣的 な夜尿 をつ くっていた と もい え よ う。) この よ うに表 面 上 祖 母 に した が っていた が,母 の心 の中にはいつ も不満 がを環 していた。 しか し,母 はこの祖母の有能 さを認め ていた。、、私 は理屈 ではいつ も祖母 に負 けて しま う、、と母 は語 っていた。 ところで,母が中一 の頃, 母 をいつ もい じめていた子 は勉強 もよくで きて 自 分 の周 りにいつ も取 り巻 きを集めてい る女王的存 在 であ った とい う。母 にはこの よ うな有能 な女性 に対 して,特 にアンビバ レソ トな感情をいだ き勝 ちであ るよ うに思われ る。祖母 の意見 には従わ な けれ ばな らない し(自分の理屈では勝てないし)

,S・

A

の夜 尿 は い っこ うに止んで くれない とい う板 ば さみ の中 に,母親 の不 安 は ます ます 高 くなって 夜 尿 の

頻 度

(%

) 50 い ったのではなかろ うか ? 一方

S・

A

はこの よ うな状況 にあ って,母親 を2 人持 っていた よ うなものであ る。祖母か らほ強力 な教育方針 を押 しつ けられ,母か らは突 き離 され るとい う2重 の圧力の もとで, ほ とん ど自分 では 何 も決定で きないスポイルされた存在 にな り下 っ ていた。 その上,幼少時か ら身体が弱 く,それ も 少 しずつ改善 されてはいた ものの,夜尿だけは ど うして も改善 され ない行動 として残 って しまっ た。 ところで,母 に よれはS・Aの父 も小1頃 まで かな り夜尿があ った とい う事か らみて

,S・

A

は体 質的 にも尿機能 の 自立が遅れ勝 ちな側面 を もって いた と思われ る。 この よ うに

,S・

A

のせ い とはか りはいえない夜尿 を巡 って,祖母 と母 の確執 が強 ま り,祖母 と母の主観的願望 とは裏腹 の圧力が

S

A

に加わ った。 この結果 として

,S・

A

は 自らの意 志 を奪われ, 2人の望む 自立 とは全 く逆 の 自己を 形成 させて しまった と考 えられ る。 治療 について 治療 は, この よ うな家族 内力動 を母 に意識化 さ せ,整理 させ ることを 目指 して行われた。しか し, 自力では祖母 に太刀打 ちで きない とい う母 を感情 的 に も,理屈 の面 で も支持 し,不安 をい くらかで も解消 させてい くことが当面 の 目標 になった。治 療者 は,起 こして も本人の 目が完全 に覚めていな いのなら,む しろ夜尿 をつ くってい るよ うな もの であ ると説 明 し,起 こさない方針で2週間程や っ てみては どうか と提案 してみた。その結果

2

回程 夜尿のない 日があ った。母 はこの方針 を受 け入れ た。ここで,母 は祖母 に起 こさない意味を説 明 し, 1 4 6 8 9 ll 12 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 1 2 3 4 (月) (54年) (55年) (56年) 治 療 経 過

F

i

g.

2 S・

A

の治療経過 ((%)は夜尿のなかった割合)

-2

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「ぐ J Fig.3 S・Aが 自分 でつ くった カ レ ンダ ー (初 期の もの、 シールのはってあ るのが夜尿のなか った 日、まだ夜尿のあ る日が多い)

-2

(5)

2--帆 -室 7 . 1 、 Fig.4 既成のカレンダーに自分の好 きなシールを貼ったもの (後期のもの、夜尿はかなり少なくなっている) 祖母に も協 力 してもらうことにした とい う。治療 者 はこの過 程で方針 は呈示 しても母 に決め させ る とい う方向を とった。その際,決定 した方針につ いては祖母 ともよく話 し合 うよう提案 した。その 理 由は,母 に一方 な方針を押 しつけることで,か えって家庭 内の乱蝶 を増す ことを避 けたか ったか らである。母親 にはおお よそ

1

ケ月

1

回の割合で 来院 して もらい,後 には2ケ月に1回の割合 とし た。 しか し, S・Aの夜尿にはこのよ うな家庭 内の力 動が色濃 く作用 しているにしても,それのみでS・A の夜尿を説 明す ることはで きない。 S・Aの父に も 遅 くまで夜尿が残 っていた ことか らみて も,S・A 自身に 排尿 の 自立が 遅れる とい う傾向が 体質的 にあることが予想 され る。 S・Aの夜尿は一時 自律 したのが再発 した とい うものではな く, これまで 一度 として止 った ことがないのである。 したが っ て,夜間の排尿機構がまだ 自律 していない習慣性 の ものであ ると考 えられ, この面への治療 も必要 であった。 この面 については行動療法の-技法 と し て の トーク ン ・エ コ ノ ミ-汰 (token eco-nomy)ll)12)を導入 した.具体的 には,カレンダ-を S・A自身につ くってもらい,夜尿のなか った 日に はその 日の ところに自分の好 きなシール (token) を貼 りつけ,そのシールの数が一定数た まった ら S・Aの決めた報酬(reward)を与 えた. この結果治 療開始後1ケ月で夜尿 は約半分に減少 した。 この 割合で6ケ月経過 し7ケ月後 には70%夜尿が な くなった。 この割 合 が7ケ月続 き, 8ケ月後 に 87%の割合で夜尿がな くなったので終了に した。 この間のおお よその経過 をFig.2に示 した。さら にFig.3,Fig.4に トークソ・エ コノ ミー法 に使用 した カレンダーが しめ されている。Fig.3は自分 で作 った カレンダー,Fig.4は既成 の カレンダー に自分 の好 きなシールを貼 った ものであ る。報酬 としては,本,デジタル時計,野球 のポール,ユ ニホームなどがその都度選 ばれていた。 S・Aについては6ケ月に1回程の割合で来院 し -

(6)

23-て もらうのみで,治療 は主 とし23-て母を通 じ23-てなさ れた。①治療前 (10才時点)と②治療終了前 (12才 時点)の

PF

ス タデ ィを比較 してみ ると,(Dの時点 では外罰的傾 向が極端 に少な く(-22%),無罰傾向 が極端 に多か った (+22%)のが,② の時点では, 外罰傾向が平均的 にな り, また無罰傾向もやや高 い ぐらいに変化 している.逆 にQ)の時点で要求固 執が平均的であ ったのが,② の時点では39% (+ 11%)とかな り高 くなっている。反応内容をそのま ま比較 してみ ると,全体 として表現力が増 し, 自 分 の気持 ちを うま く説 明で きる よ うになってい る。例 えは① の時点では単 に,「うんわかったよ(図 版18)

「え, そんな (図版21)」 といった単純 な 反応が,(参の時点では 「いいよ,他に用があるか ら (図版18)

「そんな,順番にしてよ (図版21)」 といった ように表現力を増 しているのが分かる。 GCRについてみ ると(D73%(+19%)と高す ぎたの が,②63%(+5%)とやや高い程度に変化 してい る

。PF

スタデ ィの各場面 を一種 の対人場面 であ るとすれば13)14),実際の社会的場面で もい くらか の改善 をみせていると思われ る

。S

A

の変化を生 活面か らみ ると,全体 として, 自分か ら決める事 が増 えているとい う。例 えば,中学の受験 も,衣 人の下見 についていって自分 もうけた くな り,受 験勉強 を始め た といった よ うに 自発 的 に なって いった ようであ る。

I

I

母 子 の ロール シャ ツ-反応 Fig.2に しめ した ように,昭和55年6月か ら治 療場面 に ロ`・テス トを導入 し,母 に

S・

A

の ロ・テ ス ト反応を推測 してもらうことを通 じて, イメー ジの側面か らS・Aの内面 を理解す る具体的手段 と して利用 した。その結果,母 は自らの

S

A

に対す る接 し方 が過 干渉 になっていた ことを理解 して いった。Fig.2か らも分かるように,このあ と夜尿 は安 定 して70%な くな り終 了へ 向 うー 契 機 に なったのではないか と思まっれ る。 以下, この方法 について考察す るための原資料 として母子の ロールシャツ-反応 をそのまま記載 した。 それぞれの カー ドについて本人の反応,母親の 反応の順 に示 した。母の反応 については ≪M )で 示 した. 自由反応段階については(Per.)質疑段階 は(Inq.)と略記 した。領域はクロツパ ーら(kl op-fer&Davidson)15)に従い ()内に記 してある。 ロ・ テス トの施行 日時は

S・

A

(昭和55年5月23日),母 (昭和55年6月27日)である。 〔カー ド

Ⅰ〕

① (per.)< 5〝 鳥のよ うに見 える (背中合わ せの)。(In°.)鳥に似ている。 こち らとこち ら (Dl) で背中計あせ。・(どんな鳥?)きつつ きのよ うな鳥。 ここくちば し(d.)。

W F± A

②(per.)< カニにも見 える。(lnq・)白い ところ (S)甲羅の模様, ここの ところ(d6)入 らない。 は さみ (D5), 目(dS),足 (d7)。48′′

W,

S F± A

(M

(母親の反応)) ①(per.)

1

5

〝 3

人の忍者みたい。 ひとつだけ (D.)見るとそ うは見えない。 こうも りとはちが う,似てはいるが。(In°.)色が黒 くついているのが そ うみ えたo真申に一人いて,辛 (d3)を挙げてい る。両方の (D2)は飛 び散 って逃げている. なんと な く影 だけで動いているってかん じ。 148′′

W M±,

FC′

,

K H,

S

h

a

d

o

w

〔カー ド

①(per.)<

4

0

'

′ 見 えない-- クマのよ うにも 見 える。両方合わせ ると見 えない。(lnq・)目は想像 で ここら-んにある(D3の赤いところ)。鼻(dl), 目, 耳,足 (d2,d3)。(どんなクマ?)下の赤い とこ(D.) をポールに見 た て る と玉 の りしてい る ことにな る

。 2

匹いる。70′′

D FM± A P

≪M ? ① (per.)の <

5

5

"

人間が しゃがんで手 (dl) を こう合わせている。向 き合 っている。(なかなか返 してくれない。)(In°.)お祭 りの儀式。 ゲームみたい のがあ るん じゃないか ?政の麦をあれ して-・・・に らめっこしている。笑わせ るかなにかそんなゲー ム

。9

4

W M

+

H,Festival,Rec 〔カー ド

I

I

I

①(Per.)<

6

5

クモである (ない)。クモでな い ような気 もす る.(lnq・)クモ, 目(D▲), 口(D,), 足(D5),そ ういったかん じだけで決めて しまった。 -2 4

(7)

-8

5

dr F

A

≪M ) (む(Per.)の< 45′′ 子 どもが ダソス してい るよ うに も見 え る。(このあたりから,遠くから眺めてみたり してかなり批判的)(1nq.)野原(d,+S)みたい にみ え て, これ(Dl)チ ョウチ ョが飛 んでいて,手 を繋 ぎ そ うなか ん じ。 ここ原 っぱ (d。)もっ とこっち (S) に もあ って欲 しいけ どないので説 明が しに くい。

W,

S M±,

FM H

,

A

,

Na

P

(参 (Per.)> ゴ リラみたい。(In°.)額 (D,), 目 (D一),辛 (D3),口(D3の上のS),黒 い ところか らそ う見 えた。 手 を挙 げてい る。赤 いの(D2)は入 らな

。1

5

0

W

FM±,

F

C′ A P 〔カー ド

Ⅴ〕

①(Per.)< 10′′ 木 ってい うかん じ。(In°.)こ れ幹

(

D.

)

, これ はっぱ,全部で。繁 ってい るって か ん じ。

W

Fc

±

Pl

(診(Per.)< 下 か ら見 あげた人みたい。(1nq.)こ こ

(

Dl

)

は取 り除 いて。(もう少し説明して.′)顔(dZ), 辛 (dl),足 (D3),小 さい ものか ら大 きい ものを見 上 げた よ うなか ん じ

。4

0

W

FK±

H ≪M ) (》(Per.)の < 105′′ ジ ャ ック と豆 の木 の巨人。 (1nq.)真申 (D4)が木 で, バ ー ツと上 か ら滑 り降 り て きたか ん じ。115′′

W M+

,

FK

(

H),

Pl

〔カー ドⅤ〕 (丑 (Per.)<

6〝

コウそ .)0(In°.)飛 んで る コ ウモ リ/こ こ顔 (d,),羽 (Dl),足 (d.), テ レビで 見 た ことあ る。35〝 W

FM±

A P ≪M ) (丑 (Per.)の

< 3

0

"

(顔をくっつけたり遠ざけたり) これ はチ ョウチ ョです .′黒 ア ゲ- に見 え ます。 (In°.)これ(d.)ツノ。 これ は とまってい る。黒 い か らで し ょ う.′色が奇麗 だか らカラスアゲ-が好 きなんです。 W

FC′

±

A P (参(Per・)< バ レーの悪魔 の形.(In°.)ツノ(d,), 目(dd), マ ン ト(ェ.))の1)O 口はみつ か らない。 手 の下 につ いてい る ビラビラ,両方聞 いてい るか ら--・踊 ってい る。 そ うですね

。1

9

0

W M±,

mF (

H),

Cg P

〔カー ド

V

I〕 (9 (Per.)< 10′′ 宇宙船.(lnq.)こ こ胴 で (下) (D5),先 っぽの方 が司令船 の よ うな もの(d

l

).′(ど んな?)・ --D

Tr (診 (Per.)< ヒ トデ。(In°.)ここ(D2)をな くし て, ここ(でっはりの4つの領域(d2))全部。(蓑?慕?) この スジ

(

D.

)

を 口に見 たててや っぱ り裏 っかわ .′

4

5

D

F

c± A ≪M 》 ①(Per.)の< 25′′ 沼か ら鳥 が飛 び立 ってい く よ うに見 える。(In°.)下 (D.)が沼で,濁 して飛 ん でい った。(沼?)飛 び立つ ときス ッと上 に立 た ない で,水面 を滑 ってい く。(鳥は?)ヒゲは問題。 ヒゲ (dd)はぬいて ここまで入 る。 水面 は濁 ってい る。

8

0

W FM+

,

C

,

K A

,

Na,

Wat

er

〔カー ドⅥ1〕 (》(Per.)∧

1

6

′ 玉乗 りを してい る犬 ってかん じ.(In°.)これ(D.)をポ-ルに見立 て る

。 2

つ. これ (d2)耳 で, ここしっぼO ここ(D3)顔 で, め とはべつ に

.

′ (どんな犬?)芸 を してい る犬。35′′

W

FM

±

A,

Obj

≪M 》 ①(per.)の< 70′′ 子 どもが後 を振 り返 ってい る。両側 か ら。(1nq.)石(D.)の上 に腰掛 けてい る。 顔 (D3)だ け後 を振 り向いていて。上 (d2) は髪 の 毛

。1

3

0

W

M± H

,

Na

〔カー ド

ⅦⅠ

(》(Per.)の

<3

0

′′木 に登 った トカゲ

(

D.).(lnq.) 与れ(D3)を木 に見 立 てて。 ここ(Dl)トカゲで登 っ てい る。 これ足, これ顔, これ しっは

。5

0

D FM± A,

PIP

<

addi

t

i

onal

>

① < 上 (D。)が宇宙船 で下 (D.+D2)が噴煙。 (どんなの?)飛 び立 と うとしてい る。地上 か ら少 し 離れ てい る。 -2 5

(8)

-dr Fm

]

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,

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≪M ≫ ①

(

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.

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1

5

"

熊 (Dl)が岩 (W-Dl)を登 っ てい る。(In°.)岩 の上 を登 ってい る熊。目,耳 があ っ て,優 しそ うな熊。110′′

W FM±

A

,

Na P

〔カー ド

I

X〕

(

》(

P

e

r

.

)

<

5

′′ 竜。(In°.)ここの ところ(D 2) で完全 に決めた。(言わなかったんだけど)火 を吐 いて いる(d3)。胴体 としては これ(Dl)。途 中で カ ッ トす るとした らこれ (Dl)。 ここまで。 D

FM±,

m

(A)

,

Fi

r

e

(

参(

P

e

r

.

)

< ドーム(D.+D 2)の中か ら発射す る ロケ ッ ト。(In°.)まだ発射す る前 で,まだ開 き切 っ ていない ロケ ッ ト

。7

5

W

Fm

Tr

,Obj

≪M ≫

(

P

e

r

.

)

a

)

< 1

0

0

′ 噴水(D,)が噴 き上 げてい るってい うか ん じ。突然 でて きたのでび っ くりし て逃 げた。(In°.)あ る 日突然泉 が湧 いた。 この下 が 噴水 の もと。 この辺(Dl)に中間層 があ って, あ る 日噴 きあ げて び っ く りした。上 にい るの は人 間 (D 2)。 び っ くりした。三角 のお (え)は しを被 って いるよ うに見 える。 鼻が高 い。手 (d3)0120′'

W m Wa

t

e

r

,H

,

Na

,Cg 〔カー ド

Ⅹ〕

(

P

e

r

)

<

2

5

′ 昆虫の集 団 ⑦ 黄金虫 (D 3)。 (lnq・)木 (D..)に登 ろ うとしてい る。 ㊥ の クモ が飛 びかかろ うとしてい るので逃 げてい る。 D

FM

± A,PI P ②

(

P

e

rt)< (⇒クモ(Dl)0(In°.)⑦ の黄金虫 に 飛 びかかろ うとして糸 (D.3)をはいてい る

。5

6

D FM± A,

Yam P

<

a

ddi

t

i

o

na

l

>

(》 < 地上 を ウロウロしてい るのは これ (D6)0 他 の虫 にはまった く関係 な く歩 いてい る。-サ(黄 色の領域-D16)をせ っせ と運 んでい る。

D FM± A

≪M ) ①

(

P

e

r

.

)

<

4

0

′ 昆虫。 虫がた くさん って感 じ に見 えます。 その虫 を くぐって人間(D,)が2人逃 げてい る。背中 を向 けて逃 げてい る。(In°.)ピンク の とこ人間。 (駆けている。) くぐ りぬ けてい る。上 (D16)に何 かあ るんで背 中を丸 め て逃 げてい る。 頭,辛,尻,柾。 あ とは虫。

(

卦 (

P

e

r.)の > 花 の芯 の よ うに見 え る (D16)。 (In°.)下 に芯(D,)があ って,上 が花 ビラ(D 17-D18)。 W

Pl ③

(

P

e

r.)< ピンク (D.,)のが女 の子 にみ えるO (In°.)ピンクの とこ,髪 の毛 があ って,辛,胸, 首 の ところ,せ んが くびれてい る。180′′ D F手 H なお

mo

s

t l

i

ke

d c

ar

d

として

S・

A

はⅤ カー ド(簡単だったからいい)を,母 はⅥ1カー ド(可愛いら しいから)を選 び

,

mo

s

tdi

s

l

i

ke

d c

a

r

d

として

S・

A

はⅠⅠⅠカー ド (や りにくかった) を,母 は Ⅰカー ドを それぞれ選 んで い る。 また

S・

A

は父親 カー ドに

カー ド(感じが似ている),母親 カー ドに

I

V

カー ド(下 から見上げているという感じだから)を、妹 カー ドとし てⅥⅠカー ド(可愛いって感じじゃなくて,こんな感じ)杏 選 んだ。最後 に

S・

A

は 自己 カー ドとして

Ⅹカー ド (SFっていうのかな,これ地震みたいだ)を選 んだ。 ち なみ に母 は

S・

A(

千)カー ドとして ⅠⅠカー ドを選 び, その理 由 として 「イクズ ラしそ うだか ら」 と答 え てい る。 これ らの ことか ら分 か ることは① 普通父 親 カー ドとして選 ばれ る傾 向の あ る

1

6

)

Ⅴカー ドが 母親 カー ドとして選 ばれ, しか もその理 由 として 「下 か ら見 上 げ てい るか ん じ」 と母 に対 す る イ メージが述べ られてい る ことであ る。 この ことか ら,母親 は

S・

A

に とって父親的 イメージを持つ, グ レー ト・マザ ー17)的 な もの として見 られ てい る とい うことが理解 で きる。 さらに,②S・Aの こと を母親 は 「イクズ ラしそ うな」 とい う危 な っか し い イメ-ジでみ てい る。 この よ うに, 中一 ドの イ メージか らも,症例 の ところで検討 した

S・

A

と母 の相互作用が確 かめ られた。 つ ま り,母 は

S・

A

に 対 して 「イクズ ラしそ うだ」と思 うが故 に保護的 ・ 過干渉 にな り, それが

,S・

A

か らみれ ば 「下 か ら 見上 げ」 ざるを得 ない よ うな威圧的 なイ メージに 映 って しま うのであ るO(祖母のイメージを持つカード はどれかについて質問しなかったのは失敗であった。)そ の結果,③

S・

A

は 自己 カー ド

(

s

e

l

fc

a

r

d

)

として 選 んだ

I

X

カー ドの よ うな

SF

の世 界 を楽 しみ, そ こに避難 して しまった もの と思われ る。ちなみ に,

I

X

カー ドは最 も

S・

A

が 自由 に反 応 で きた カー ド の よ うに思われ る。竜 が火を吐 き (攻撃し), また,

-2

(9)

6-S・

A

の 自立 へ の希 求 と葛藤 を象徴 す るか の よ う に, ドームの中か らロケ ッ トが発射 (自立)しよ う としてい るが, その葛藤 ゆ えにまだ ドームは開 き 切 っていないのだ とい う。 (同じⅨカードに母はwa・ ter反応をだしているが,これも母が竜の火を水で消そうと しているようで大変興味深い.ちなみに竜はS・Aの名前に 関連があった。)

母 子それぞれの ロ ・テス トか らみ

た母子差 と母子相互作用

Aサ イ コグラムか らみた母子差 Fig.5に母 子 のサ イ コグ ラムを示 した。Fig.5 か ら分 か る ことは,(∋内向的であ る とい う点で は 母子共通 してい るが,母 は

M-7

であ り超 内向型 であ る とい うこと, したが って見 か け上母親 がそ れ程 内向的 に見 えない とい うことか ら, か な り意 識 的 に努力 して内向性 を カバ ー してい るのではな いか とい うことが推測 され る。 ちなみ に,母 は中

1

の頃,この傾 向を意識 的 に克 服 した経験 があ る。 それ故, 同 じ傾 向を も

つS・

A

に対 して母 が よ り強 く自立 を求 め るの は当然 の成 りゆ きであ る と思わ れ る。次 に,②MとFMの数 に関 して母子 で逆転 した関係 にあ る とい うことがあ る。母 のMは7個 (S・Aは1個)

S・

A

のFMは7個 (母は3個)であ る。 小沢18)はMとFMの発達 的意味 につ い て次 の よ うにのべ てい る。

l]

)

t

h

e

T

C

h

i

l

d

M FM n k A FK F Fcc C FC CF C Fig.5 母子のサイコグラム --われわれは運動反応の発達的変遷を,単にFMに次 いでM が出現するというようにだけ考えることはできな い。むしろわれわれは,それを 「未分化な運動反応から分 化したそれへ」と呼ぶ方がふさわしいように思われる・・・・ -この よ うな観点 か らす れ ば

,S・

A

のFMは成人 した ら母 の もつMへ と変化 す る可能 性 を もつ も のであ るとい え よ う。′しか しなが ら,現時点 で は この成熟差 には歴然 とした ものがあ り, 当然母か らS・Aへ の過干渉 はS†Aに対 して この能力差 を 自 覚 させ

,S・

A

の 自立 を妨 げ る要 因 とな りうるもの であ る。(治療的観点からすれば多少事情は異なる。Mの 多さは母の共感性の高さという意味で,①母への心理療法 の有効性を根拠づけるものであり,②S・A 自身 につ いて い えは,FMがM に変化 し, S・A自身心理的 に成 熟 した能力 を充分 に発揮 させ る可能性 を もって い る と考 え られ るか らであ る。) さらに,③mにつ いてみ ると(additionalも含め て)S・Aの方がか な り多い。m を心的葛藤 の指標 とみ るな らは 15)

,S・

A

の葛藤 は母 よ りかな り高 い とい え よ う。(しかし,カードⅨの飛びださんとするロ ケットのイメージが象徴するようにこれは自立への希求を 含む葛藤であると考えてよいように思う。) B量的比率か らみた母子差 Tablelに母子 の量 的 比 率 を しめ した。()内が

S・

A

の ものであ る。 い くつかの特徴 を ひろ ってみ る と次 の様 になる。 まず,(丑色彩 カー ド,無色彩 カー ドを問わず母 の初発反応時間 はS・Aに比 して 極 めて遅 い。 これ は母が カー ドを頻繁 に回転 させ てい るためであ る。最初 の反応 がで るまで に時間 がかか る・のは能力 が ないためではな く,批判的 な 傾 向を持 ってい るためであ る

∼が ないので説 明 しに く

」「

∼ に して はち ょっ と」とい った反 応が 多 か った。 この よ うな批判 的 な見方 は, また適確 で あ るだ けに,批判 を受 け る

S・

A

に とってみれ ば 圧 力 とな りうる もので あ ろ う。次 に(

塾W :

M

比 につ いてみ ると,母子 いず れ もWが多 いが,母 は 大体2:1の比率 にな ってお り,「知的業績 に対す る欲求 を満 たす に足 る創造的 な潜在 力 が あ る」 15) と見 な され るが, S・Aにおけ る7:1(W>2M) は要求水準 の高 さを しめ してい ると考 え られ る。

S・

A

の中 に この よ うな要 求水準 の高 さが認 め られ る とす るな ら,母 の能力 を (あるいは祖母の能力の高 さを)みせつ け られ る ことはS・Aに とって さらにス トレス フルな体験 にな って しま うと思われ る。(ち なみに母の

W%

の高さは,よりよく統合されたもの

(

M-7)であり,母の統合能力の高さを示している。)さ らに ③S・Aにおけ るA%の高 さ(73%)は同一年 令 の子 どもの平均(11才-50.4-54.9%)18)に比べ て も高 く,

S・

A

の成熟 の遅 れ を しめ して い る よ うに思 われ る。 以上A,Bにおいて母子差 について のみ触 れて

-2

(10)

7-Table l 母子のスコア-のまとめ summaryscoringTable

氏(totalrespnse) (115)4 W :D 1(7:7)FC+CF+C:Fc+C+C′3:1 (

0

o 32) Rej(Rej/Fail) (9)

0

W % (9347) FM :M 3_(8 75 1) TT(totaltime) 1(532169〝)〝 D d% (77) F% / ∑F% (2¢/114/9003 RT(AV.) (3694〝") S % (

0

o) F十弘/∑F+0/a/R+0/a (6507/ 85/87/79/87) RIT(AV.) (2150..02) W :M (137 71) A % (3673) RIT(AV.N.C ) 4(99..4)0

E.B

∑C :M (

0

o 71) At% (

0

o) RIT(A≠ c.C) (5133..00) FC+:FM+mC+C′ (2 8)3 5 P(%) (5(533% ))(36%). MostDelayed Ⅳ 105〝 ⅤⅢ + ⅠⅩ+Ⅹ/R 36% ContentRange

3

Card &Time Ⅲ 65〝 (33%) (4)

MostDiCardsliked (Ⅲ)I FC :CF+ C (0o:o)Det

:

0 eTminantRang.e (5)5

きたが,その他 の面では母子 は似か よった面が多 く,全体 としてみれば共通点の方が多い といって よいか もしれ ない。特 に双方が内向的であ り,外 界の刺激 よりも自らの内面 に頼 って行動す るタイ プであ るとい う点では最 も大 きく似通 っていると いえる。 しか し, この点 は母親 自身が語 って くれ た ように,母 が嫌 う性格傾向であるために, よ り 一層S・Aの姿 は母 自身の中の批判 され るべ き自己 像 (影19'の部分)として

,S・

A

に対す る母の批判的 な見方 を増幅 させてしまっている。 ここに こそ こ の

2

人の母子関係の悲劇があった といわなければ ならない。

ロ ・テ ス トの治 療 へ の 適 用 これ まで母子の反応そのもの と,その差 につい てみて きた。 しか し,母子の ロ ・テス トの差をみ るだけでは,確かに母子をそれぞれ別個の存在 と して独立 させた上で,個人 としての ロ ・テス トを みた場合 よ りは幾分進歩 しているとはいえ,母子 の相互作用の側面にまで立ち入 る視点を得てはい ない。母子の相互作用について考察す るためには いま一歩,歩 を進め,子 どもの( または母の)イメ-ジ世界 を母(または子ども)が どう見 ているか とい う ところまでいかなければならない。その よ うな視 点を持 って初めてイメージの側面か らみた母子の 相互作用が見 えて くると思われる。 上段母 下段()内子 筆者 は,母親が本人を どれ くらい理解 している かをみ るために,子 どもの ロ ・テス ト反応 を推測 して もらったo推測 にい くつかの段階を.もうけた。 ①何 もヒン トを与 えずに 自由に推測 して もらう段 階,②反応内容(何を見たか)のみ教 えてそれを説明 して もら う段階,③反応 内容の領域,内容の細か い説明を してそれが理解 で きるか どうかをみ る段 階.(9-(卦に進むにつれ て,母の推測能力が低い ことを意味 している。結果 を,分かる州 と分か ら ないH に大別 し,それぞれ をまた3段階に分けて 評定 した。全体で

6

段階 の評価になる。 結果 は+(王

,

+

,±)に評定 された ものが,①段 階3個 (3/17),②段階7個 (6/ 17),③段階4個 (4/17),- (7=,-,二)に分 類 され る ものが3個 (3/ 17)残 った(Table2)。 この, どうして もそ う はみ えない とい う

3

個は カー ドⅠの 、、きつつ き〝 (きつつきにはどうしてもみえない),Ⅵ1カー ドの、、玉 〝 (母は石とみた。玉という反応については批判的)

,Ⅷ

カー ドの 、、トカゲ "(これを トカゲと見ると九味が足り ないと思う)であった。 この事続全体について以下詳述 したい と思 う。 母親 には前回に主旨を伝 えておいたが,非常 に

-

2

8

(11)

-緊張気味であ った。手続全体か ら受けた印象は, (

》S・

A

と同 じものを割合見 る事 はできるが批判的 であ る。② また,本人においては未分化 なものが母 においては よ り統合 された形で見 られていた。 こ の点母の能力 は高い と思われ, この能力で批判的 に

S†

A

の世界 をみている等であった。それぞれの カー ドについては次のよ うであった。 〔カー ド

Ⅰ〕

、、きつつ き〟 については, どうしてもそ うは見 えないん じゃないか と批判的で,首をか しげてい た (③段階目で-)。決 してそ うは見 えない とい う態 度であった。 、、ヵニ〟は③段階 目でなんとか見 るこ とがで きた (③段階日で±)。 〔カー ドⅠⅠ〕 、、熊〟を見 ることはで きるが,熊 とす ると胴が 短かす ぎるのではないか と批判的であった(②段階 目で±,③段階日で+)0 〔カー ド

l

I

l

母 自身の反応 と照 らし合わせつつみている。正 面か らみた 、、クモ〝とい うのが分か りにくいとい う。 〔カー ド

Ⅴ〕

、、木 ′日、人 〝ともに①段階 目で見 ることができた (①段階目で±)。しか し,母親 においてはジャック と豆 の木 とい うよ う統合 された形でイメージされ ていることが特徴である。木 は見 に くい。見上げ た人 とい うのはスムーズに分か った とい う。 〔カー ド

Ⅴ〕

②段階 目で見 ることができた。 〔カー ド

ⅤⅠ

、、宇宙船 〟とい う子 どもっぽい見方 には不賛成, 批判す る(②段階日宇)0"だ って,宇宙船 に ヒゲがあ るのほおか しいですね〟 と自分で自分の反応 を確 かめるようにい う。、、ヒ トデ〟は②段階 目で可 (② 段階目で±)。 〔カー ドⅥ1〕 、、玉 〟について批判的 (母は石と見ている)(③段階 日でT・)。確か に玉 よ りは石の方が正確である。犬に ついては全体 のバ ランスが悪い とい う。 〔カー ドⅦり これを 、、トカゲ〟だ と見 ると,丸味が足 りない のではないか ?一応納得 はで きるのだが, どうし ても合点がいかない とい う感 じで,首をか しげな が らカー ドを見 ている(③段階目で芋)

<

a

d

d

i

t

i

o

n-al>の 、、宇宙船〟 については ①段階 目で+。 自分 の反応 と似た反応 (

D

lの領域を母は、、熊

〝S・

A

は "ト カゲ〟 と見ている)についてとくに批判的 にな考 よ うである。 〔カー ド

Ⅹ〕

、、竜 〟は③段階 目で+。、、ロケッ ト〟については よ り分か り易かった(②段階目で+)。、、まだ開 き切 っ ていない〟といった ところがよく分か るとの こと。 〔カー ド

Ⅹ〕

母 は昆虫をいっぱい見 ていたので,割合見易い よ うだった。、、クモ〟については特によく見 えた(① 段階目で十)0 この手続 きのあ と母親に感想を求めた ところ, 実際の結果は割合 よいにも拘 らず,"なかなか見 え ないですね .′rrとの事であった。 また,母の高い 統合能力で

S・

A

に対 して批判的な面が強す ぎるの で はないか とい う指摘 には合点 がいった よ うで あ った。 この手続のあ と, ロ ・テス トのイメージについ て何回か 自由に話 し合 った。 このよ うな試みを通 じて,母親 は自らの

S・

A

に対す る,過度 に批判的 で過干渉 な態度 について, イメージの レベルで具 体的に理解 した よ うに思われ る

。S・

A

自身の夜尿 もこの頃か ら約半分 ない とい う段階か ら

2

/3

な い とい う段階へ と改善 されていった ところか らみ て, この よ うな試み も一定の効果を もっていたの ではないか と考 え られ る。

ロ ・テ ス トの反 応 内 容 か らみ た

母子相互作用

ロ ・テス トか らそれぞれの母子差 と母子関係に ついて類推す ることは

Ⅴでのべた よ うな手続を経 な くて も可能ではある。 しか し, この ような手続 を経た後では母子関係が より具体的 に生 き生 きと 理解で きるようになる。本稿 の試みでは相互作用 といって も,(丑母一子(母が子をどうイメージしている か)の方向のみであ り,②子-母(子が母をどうイメー ジしているか)への作用は明確 にはなっていない。 (母親カードを選ばせるという試みの中にその一端は認め られるにしても,それだけでは末だ不充分である。)この方 向の作用 を も明確 にす るためには

S・

A

が母の反応 を どこまで推測で きるか とい う反対方向か らの手 続 も必要 となるのであるが、本症例では行なって -

(12)

29-いない 20)

ここでは①の方 向について得 られた ロ ・テス トの 反応 内容か らみた母子相互作用 をA母親 の批判 的 ・過干渉的態度の反映

,B

母親の統合的態度の 反映

,CS・

A

の反応への母親の潜在的理解力の反 映に分 けてのべたい。 Table2 母親-→子の反応推測

card Nufreeresponse suggestion explanation

I (丑 - -@

±

Ⅱ (D ±

+

1Ⅱ Q) 辛

±

〟 ①

±

± @ ±

+

Ⅴ G)

+

Ⅵ (D

±

Ⅵ1 Q) 辛 ⅤⅡ Q)

add

+

ⅠX 伝) + ②

+

Ⅹ G)

I +

+

A母親の批判的 ・過干渉的感度の反映 カー ドⅠⅠについて

,S・

A

はは じめ 、、見 えない〟 と答えた後で 自信 なげに 、、熊のように も見 える〟 と答えている。 この

S・

A

の反応 に対 して母 は 、、熊 に しては胴が短かす ぎる〟 とい う批判的な反応を してい る。 カー ドⅤⅠの 、、宇宙船 〟とい う反応 に対 してほ,、、宇宙船に ヒゲがあるのはおか しい〟とか な り細 かい部分にまで批判的である。 また カー ド

V

lⅠの 、、玉 〟とい う反応 に対 して も "玉ではおか し い〟と批判的である。 この反応 に関 していえは確 かに

D

lの領域 は石のよ うに角張 ってお り,石 とみ る方が現実的 な大人 の反応 であ るよ うに思われ る。 しか し, このカー ドⅥⅠが一般 に 「母親 カー ド といわれ、女性的 な印象を与 える」カ- ドであ り, 「や さしく,軽快 なカー ド」16)であることを考慮に 入れ るならは多少事情 は異 なって くる。 ここでは む しろ未成熟な

S・

A

の玉 とい う反応をも許容 して あげ られ る母性的能力が必要 とされ るのではない だろ うか。 さらに

,S・

A

が このカー ドを玉 の りし ている犬 とい う極めて不安定 なもの としてみてい ることに注 目す るならは, なお さらその よ うな不 安定 さを受容で きる母親 (大人)の側の成熟が要求 されているように思われ るのであ る。 さらにⅧ カー ドについて

,S・

A

の "トカゲ〟と い う反応 について 、、丸味が足 りない〟とい う意見 を母親 はよせているC この見方 について母 と

S・

A

D

lとい う同 じ領域 に対 して同 じよ うな反応 を した とい うことが注 目され る。母 は

D

lを 、、熊〟と 見

,S・

A

は 、、トカゲ〟とみている。 どち らが より 現実的 な反応であるか, にわかに判断はで きない が,同様の事が 日常生活の場面で起 った場合,母 の批判的な見方が通 って しま うことは想像 に難 く ない

。S・

A

の性格が母に似ていることに関 して母 は批判的であ り,突 き離 して育てた とい う臨床的 事実を考慮す るならは, この ことは単 に どちらの 見方が現実的であるか とい う以上の問題 を学んで くるよ うに思 う。 日常場面 において,母が

S・

A

を 自分に似ているとイメージした とき,それは母 に とってよりアンビバ レソ トな場面 とな り, よ り葛 藤 に満ちた過剰 な反応の起 こることが予想 され る か らである。 以上のカー ドに反映 された事実 は,恐 らく日常 場面での母の

S・

A

に対す る批判的で,過干渉 な態 度の反映 された もの と見 なす ことができるように 思われ る。ただ ここで もう一度強調 しておかなけ ればならない ことは,その原因はともあれ

,S・

A

の現実は誰がみて も頼 りない側面を持 っているこ とも事実だ とい うことである。 この事実 を抜 きに して,いたず らに母の態度を責め ることは,単 に 間違 いであ る とい う以上 に,臨床的 には治療 の ネ ックになって しま うとい うことは,特 にわれわ れが念頭 に置いておか なけれ ばな らぬ ことであ る。 この事実の重 さを抜か して しま うと母親 は治 療者の意見 を受 け入れず,あ らず もがなの抵抗 に 出会 って しま うと思われ る。 この事実を強調す る ところにまた母子の相互作用を重視す る臨床的意 -

(13)

30-義 もあ ると思 う7)0 B 母親 の統合的態度 の反映 カー ドrVはS・Aにおいて 、、木 〟と 、、下 か ら見上 げた大 人〟 とい う

2

つ の部分 としてみ られ てい る の に対 し, 母親 においては 、、ジ ャ ックと豆 の木 の 巨人,真 申 が木 で, バ ー ツと上 か ら滑 り降 りて き た感 じ〟 と,丁度, S・Aの木 と人 を見事 に統合 し た形 にな って お り形 態 水準 も高 い (Fig.6)。 さ ら に, カー ドⅤⅠではS・Aが 、、宇宙船 〟 と 、、ヒ トデ′ とみた領域 が,母親 においては 、、沼 を飛 びた って い く鳥 〟 とい う, よ り統合 された形 で とらえ られ てい る(Fig.7)O筆者 は この2つの カー ドにおけ る 母 の反応 に直面 した時, その母子の能力差 に一種 の感銘 を うけて しま った。 この よ うによ くで きた 木 を滑 りお りて いるジ ャ ックと豆 の木 の巨人 (母) 木(局) Fig.6 カー ドⅣの母子反応領域 鳥(母) \

・′

∫ -Ⅶ 川 川 川 川 川 u た 鳥 び く 飛 い な て 沼 っ 渇(母)

(

S ・A) ・′

/

ヒ トデ(S・A) レ′ 飛 びた ったあ と(母) Fig.7 カー ドⅥの母子の反応領域 反応 で見 られ て しま っては, S・Aが 自立心 のない 子 どもにな って しま うのはむ しろ当然 の こ との よ うにす ら思われた。 と りわ け, カー ドⅤⅠにおい て はS・Aの 、、宇宙船 〟 とい う見方 が批判 され たが, 確 かに これ を宇宙船 とす るには,S・Aが ヒゲとみ た部分 が余計 であ る。 この よ うに既 にで きあが り(統合された)ものの見 方 で,葛藤 に満ちたS・Aの反応 を吸 い とって しま うよ うな反応 の仕 方が,現実 の母子 関係 で も見 ら れた。 ヴ ァソ ・デ ソ ・ベル ク(J.H.vandenBerg)21) は親 の態度 に両極性 (7ソビ,(I,ソス)があ る場合 , 「子 どものパ ー ソナ リテ ィは吸い とられ て しま う (傍点引用老)」とのべてい るが,本症例 の母親 に も S・Aに対 して,多分 に アソ ビバ レソ トな態度が根 底 に認 め られた。 この よ うな アソ ビバ レソ トな態 度 を根底 に もってお り, かつ,母 の能力が イメ一 I )の統合力 とい う点 において さえこの よ うに優 れ てい るのだか ら,逆 の場合 には利点 に もな りえた 、、統合力 の高 さ、、が,S・Aに とって余計 に 自らの 無力 さを感 じさせ る欠点- と転換 され てい った の ではないか と思われ る。 c S・Aの反応 への母親の潜在的理解 力の反映 ところで,今 まで母 のS・A- の理解 力 に対 して 否定的 な面 はか りのべ て きたが, それ は問題点 を 浮 き彫 りにす るた めに した ことであ って,全体 と してみれ ば決 してそ うではない。 S・Aの反応 に対 す る理解 に して も

,1

7

個 の反応 の うち ど うして も 見 えない とい うものは3個 のみ であ った。 さらに 個 々の カー ドの特 徴 をみ ると,例 えはS・Aが最 も 自由に反応 してい る

I

X

カー ドにおいて,S・Aの、、火 を吐いてい る〟 とい う攻撃的 な 、、竜 〟です ら (治療 者が説明すると)よ く理解 で きる としてい る。 この 、、火 を吐 く竜 〟 とい う攻撃性 に対 して,母 は 、、噴 きあげ る水 〟 とい う反応 を してい るが、 これは① S・Aの攻撃性 を水 で消 そ うと して い る とい う面 と,(診 、、突然水 が噴 きあげてび っ く りした ''とい うよ うにS・Aの夜 尿の底 に何 らかの問題 が潜 んで い る ことを感 じ始 めてい るとい う

2

面 があ るこ と が推測 され る。 この ことはⅩカー ドの 、、クモ〟に つ いて も同様 であ る。 母 はS・Aの 、、クモ〟を 、、特 に よ く見 えた 〟 と評 してい るが, この クモは黄 金 虫 を襲 お うと して糸 を吐いてい るクモであ ること

(14)

131-を考 えると非常 に興味深い. クモがグレー ト・マ ザ ーの象徴 であると考え るならば22), この クモ-黄金虫 とい う関連 は,母の

S・

A

に対す る過干渉 を 象徴 してい るとも考 えられる。 この よ うに,母親 は(

》S・

A

が その内に攻撃性 を抑圧 させ てい る こ と,② それ に対 して自分が干渉 してい るとい う側 面 に気づ き始めているのではないか と考 えられ る のである。 さらに,治療的にみ るならはもっと重要 な反応 がある。それ はカー ド

I

X

の "まだ開 き切 っていな い ドームの中か ら発射す るロケ ットIrとい う反応 である。 これ は自立へ と向お うとす る

S・

A

の欲求 を象徴 してい ると思われ るが, この反応 に対 して 母親 は 、、よ り分か り易かった。 まだ開 ききってい ないといった ところ特 によ く分かる〟 とのべてい ることが注 目される。さらに,カー ドⅦⅠの <addi -tiona】>の,したがって最 も終 りの反応のひとつであ る、、地上か ら少 し離れて飛 び立 とうとしてい る宇宙 船 〟 とい う反応 に対 して も母 は '、よく分かる〟 と 評価 してい る。 この事実か ら,治療の この時点 に おいては

, S・

A

の夜尿が次第に改善 されつつある ことを 自覚 し, またS・Aが 自立 しようとしてい る とい う事実 に気づ き始めているのではないか と推 測 され る。 このような相互作用が現れ始めている とい うことは治療的観点か らすればとりわ け重要 なことであ るように思われる。 おわ りに ロ ・テス トか ら見た母子の相互作用 について こ れ までに詳 しく述べたので,最後に治療全体の中 で ロ ・テス トが果 した役割についてふれてお きた い。 ロ ・テス トを このような形で本症例 に導入 した 目的 は,(丑母親に

S・

A

自身の ものの見方をイメー ジの レベルで理解 してもらうこと,②母親 の

S・

A

に対す る批判的 ・過干渉 な態度を具体的なイメー ジの レベル で感得 して もら うとい うことであ っ た。ロ・テス トの治療的導入以前にも,母親が

S・

A

に 対 して 過干渉であ り,批判的であ ることは言 語的 レベルでは何回 も話 し合われていた。しか し, 一般的 な指摘ではなかなか理解が深 まらず、具体 的 な実感 レベルでの理解の手段が欲 しいといった 時期であ った。 Fig.2か らみて とれ るように,トークソ・エ コノ ミー法の開始以後夜尿 は既に約半分 に減少 してい た。 しか し,その レベルが長 く続 きそれ以上の進 展がなかなか得 られなかった。筆者 はこの治療 の 初期の頃, この症例に対 しては母親 に対す る一般 的 な支持療法 と

S・

A

自身への トークン ・エ コノ ミー法でかな りの改善がみ られると思 っていた. しか し,予想 した ような進展がみ られないのは, 母親が治療者 との話 し合いの中で得た理解を感情 的 な実感の レベルでは理解 していない。 いいか え るなら具体的なイメージのレベルの次元で理解で きていないのではないか と考 えた訳であ る。それ までの面接の中で,母子 ともにイメージの能力に は普通以上の ものがあると分かっていたので,具 体的 に ロ ・テス トのイメージを利用 してみ ようと 考えた。 Fig.2か らみ る限 り, この試みには一定の効果 があった と思われ る。 ひるがえって面接の場面で ち,この頃か ら自発的 に

S・

A

に対 して

,

、、少 しいい 過 ぎているか もしれない〟とい う発言がみ られ る ようになった。 また

,S・

A

に対す る肯定面への言 及が増加 した ように思われる。

S・

A

も,中学を受験 したい とい うことで 自ら塾 に通 うようになった。 このような自発性 はこれ ま でに見 られなか った ことであるとい う。 ところで, ロ ・テス トをこのよ うな形で治療場 面に導入 した意義 として,治療者 自身予想 してい なか ったのは,先 にのべた①② の効果の他 に,③ 母子の相互作用を治療者 自身が深 く理解で きるよ うになった とい うことである。治療者 は,いわ ば 母 と

S・

A

のイメージの次元での相互作用を現場で 目撃 した ような臨場感を味わ うことがで きた。 し かもそのプロセスはロ ・テス トへの反応 として詳 細に書 き留め られていたために,母 に

S・

A

-の態 度を説明す る際,非常 に具体的な例 を生起 した ま まに呈示す ることがで きたわけであ る。 このよ う なプ.,セスの中で,母親 は

S・

A

に対す る理解のみ ならず, 自らの

S・

A

に対す る態度- の理解 も深め てい くよ うになったのではなかろ うか ? ロ ・テス トの治療的使用のあ と,母親 は自分 自 身の幼 なかった頃の事 を思い出 し, 自分 も内向的 であ り,それを意識 して克服 してきた事実 に日を -32

(15)

-向け るよ うになった。 さらに,その よ うな 自分 の 態度が現在 も祖母 との葛藤 の中に繰 り返 されてお り,その不 安 が さらに

S

・Aの 自立を過度 に希求 し, 結果 として

S・

A

を スポイル させ て しま う原 因 を 自ら生みだ して しまっていることな どに気づいて い った。勿論 その ことに気づいたか らとい って家 族 内のダイナ ミックスが変わ るわ けではないが,

S・

A

の 自立 に ともなって少 しずつ改善 されてい く のではないか と思 う。 要 約 頑 固な夜 尿症 を も

つ1

0

才男児の治療 に ロ・テス トを治療的 に導入 した-症例 について報告 した。 ロ ・テス トを母子それぞれ に施行 し, さらに子 ど もの反応 を母 に推測 して もらうことを通 じて,母 親 の子 どもに対す るイメージ レベルでの理解を深 め ることを 目指 した。その結果,母親の子 ども自 身 に対す る理 解 のみ な らず,母親 の子 ども- の 様 々な態度 の具体的 な理解 も深め られた。治療 は この方法 の導入を契機 に してい くつかの進展 をみ せた。 この方法 の も う一つの効果 として,母子間の相 互作用を具体的 なイメージの レベルで手 に とるよ う理解で きるとい うことがあげ られ る。 このよ う な理解 に よって,治療者 の母子 に対す る理解 は さ らに深め られた。一方母親 は自らの子 どもに対す る反応の意 味を し り,子 ども自身の発達 を促進 さ せた と思まっれ る。 謝辞 本症例 は昭和56年 3月 25日,東京都精神医学研究所 の ロール シャ ツ′・症例研究会 で報告 された。 その際,片 口安 史先生,岡部祥平先生,川井尚先生,鰐 口純二先生を始め 多 くの先生方 に御意見,御指導 をいただいた ことに感謝 い た します。 また,本症例 の公表 を許可 していただいた東京 慈恵会医科大学小児科教授前川喜平先生の 日頃の御指導 に この場 をか りて深謝いた します。加 えて, 日本心理学会第 45回大会 で東京都精神医学研究所 の遠 山尚孝先生他 の先 生方 に貴重 な御意見 をいただいた ことに もお礼 を申 しあげ ます。 引用文献 1)井原成男 :ロール シャツ-・テス トか らみた母子相互作 用(1).日本心理学会第45回大会発表論文集,633,1981. 2)Uexk臼11,J.:Astrollthrough theworldsofanimalsand men.h Schiller,C.H.(Transl.andEd.)Instinctbe hav-ior.tnt.Univ.Press,1957. 3)岡田幸夫 :子 どもの発達 とその病理 (村井潤一編 :発達 とその環境). ミネルバ書房,1979. 4)藤岡喜愛 :イメージ と人間. 日本放送出版協会,1973. 5)水島恵一 ・屋久孝久 :心理療法 におけるイメイジの意義 (催眠 シソポジ7ム

)

.

誠信書房,1971. 6)佐 々木孝次 :母親 ・父親 ・掠.せ りか書房,1979. 7)井原成男 :発達療法的にアプローチ した 2症例.長野大 学紀要,Vol.2,Na3・4:91-105,1981. 8)井原成男 :アノレクシア・ネルポーザ症例 におけるロー ルシャ ッ′、・テス トの母子差 と治療への適用. 日本心理 学会第43会大会論文集,652,1979. 9)井原成男 :ロールシャ ッ-・テス トの母子差 と治療-の 適用.ロールシャ ッ-研究,Vol.XXIII:145-158,金子 書房,1981. 10)Schachtel,E.G.(空井健三 ・上芝功博訳)'.ロ-ルシャ ッ - ・テス トの体験的基礎.みすず書房,1975. ll)園田順一 ・高山巌 :子 どもの臨床行動療法.川島書店, 1978. 12)井原成男 :新 刊紹 介 「Hebert,M.:Behavioral treat一 mentofproblem children.AcademicPress,1981」.小 児科診療,Vol.44,Na12 :140-141,診断 と治療社, 1981. 13)井原成男 ・河野洋二郎 :自閉症児の コ ミュニケイシ ョ ソーWISC とPFT への反応特徴-.心理 測定 ジ ャーナ ル,Vol.15,Nnll:11116, 日本文化科学社,1979. 14)井原成男 ・河野洋二郎 ・庄司順一 ・帆足英一 :PFスタ デ ィとWISCへ の反 応 か らみ た 自閉症 児 の コ ミュニ ケ イシ ョソ特性.小児の精神 と神経,Vol.22,No.1,国際 医書出版,1982(掲載予定). 15)Klopfer,B.& Davidson,H.H.(河合隼雄訳):ロール シャ ッ- ・テクニ ック入門. ダイヤモン ド社,1964. 16)片 口安史 :新 ・心理診断法.金子書房,1974. 17)三木 アヤ :女性の心の謎- グレー トマザ ーと日本の母 性-.大陽出版,1981. 18)小沢牧子 :子 どもの ロールシャ ッ-反応. 日本文化科 学社,1970. 19)河合隼雄 :影の現象学.思索社,1976. 20)八尋華郡雄 :コメソ ト. ロールシャ ッ/、研究,Vol.XX III:157-158,金子書房,1981. 21)∫.H.vandenBerg(足立叡 ・田中一彦訳):疑わ しき 母性愛.川 島書店,1977. 22)秋山 さとこ :夢解 きのマニュアル(別冊宝 島 夢 の本). JICC出版局,1979.

Tabl e l 母子のスコア‑のまとめ summar yscor ingTabl e

参照

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