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高齢者(80歳以上)肺癌手術例の検討 利用統計を見る

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(1)

高齢者(80歳以上)肺癌手術例の検討

山梨県立中央病院 外科

羽田真朗 千葉聡 喜納五月

大塚博司 川原敏靖 千葉成宏

      はじめに 近年長寿化による肺癌症例の増加と 周術期管理の進歩により肺癌に対する 手術適応は、次第に高齢者に拡大され てきている。今回我々は、80歳以上 の肺癌手術例について検討を行った。        対象

 1984年1月より1993年12

月までの10年間に当院で手術を施行

した原発性肺癌230例のうち、80

歳以上の7例(3.0%)を対象とし た。内訳は、男性5例、女性2例で、

年令は80−86歳、平均81歳であっ

た。また75−79歳の30例(13

%)を対照群とした。        検討項目  80歳以上の手術症例において発見 動機、組織型、術後病期、手術術式、 切除根治度、合併症、死亡原因、生存 期間について検討した。 累積生存率

は、Kaplan−Meier法で算

出した。 (表1)         結果  1.発見動機(表2)  検診発見は1例、自覚症状にて発見 された症例は4例、全身的他疾患(高 血圧)にて通院中発見された症例は2 例であった。自覚症状を有した症例は、 病期の進んだものが多く、無症状で発 見された症例はすべて1期であった。  2.組織型(図1)  80歳以上の症例では、扁平上皮癌 3例(43%)、腺癌3例(43%)、 腺扁平上皮癌1例(14%)であった。

対照群では、扁平上皮癌16例(53

%)、腺癌14例(47%)となって

おり80歳未満とほぼ同様の傾向が認 められた。  3.術後病期(図2)

 80歳以上および75−79歳の症

例で検討した。1期5例(71%)、 ll期O例、 m期2例(29%) (皿A 期1例、皿B期1例)、IV期O例であっ た。対照群では、rv期まで手術が施行 されており、80歳以上の手術症例に 比べて病期の進んだ症例が多い傾向が みられた。  4.手術術式(図3)  80歳以上では摘除、2葉切した症

例はなく1葉切除5例(71%)、区

域切除1例(14%)、試験開胸1例

 (14%)であった。対照群もやや高 齢の為、縮小手術の傾向があるが、80 歳以上の症例ではさらに著明であった。

(2)

 5.切除根治度(図4)  80歳以上の症例では、絶対治癒切 除 1例、相対治癒切除 1例、相対 非治癒切除 4例、絶対非治癒切除 1例であった。リンパ節郭清別にみる と1群リンパ節郭清まで施行した症例 が多く(57%)、対照群では、2群 リンパ節郭清まで施行した症例が多い (47%)。  6.合併症(表3) 術前に80歳以上で呼吸機能の低下 を認めた症例は、5例(71%)、高 血圧は5例(71%)にみられ、全症 例に合併症が認められたが、重症な合 併症はなかった。術後では術前放治療 症例1例に乳廉胸がみられた。75−

79歳の対照群では術前に12症例

(40%)になんらかの合併症がみら れた。術後、重篤な肺炎により3例が 死亡した。これらの2症例の手術切除 根治度は2群りンパ節郭清を行ってい た。  7。死亡原因(表4)  80歳以上の症例では、試験開胸で 終わった1例が癌死したが、他の症例

の術後死亡はなかった。75−79歳

の対照群では、術後重篤な肺炎により 3例が死亡した。これらの症例は、1 例が気管形成を施行され、1例が2群 リンパ節郭清を行っていた。また、他 病死が1例みられ、術後6カ月以降再 発死亡が8例あった。  8.生存期間(図5)

75−79歳の症例の5年生存率は、

54.8%であった。       考察 従来80歳以上の高齢者肺癌患者が 手術適応になることはまれであったが、 平均寿命の高齢化および周術期管理の 進歩により手術適応はより高齢者まで 拡大してきている。諸家の報告でも、 比較的早期の症例で、Performance Statusが良好で重篤な合併症がない 症例には高齢者でも積極的に手術を行 うとされている。 (1)また、70歳 以上の症例でも縦隔郭清をともなう標 準術式を行うことは、術後合併症と予 後の面から70歳未満の症例と差がな いとされている。 (2)  今回の検討では80歳以上の症例は、

組織型は75歳一79歳の対照症例群

と差が見られないが、術後病期ではや や早期の症例が多かった。  80歳以上の症例では、術前合併症 を全例に認め手術術式および切除根治 度の点で縮小手術の傾向が認められた。 80歳以上の高齢者は、特に術前合併 症を有する割合が多く徹底した周術期 管理を必要とすると考えられた。 (3) しかし、術後合併症、死亡原因および 予後では標準術式を行っている対照症 例群と大きな差はなく良好であった。       おわりに 今回我々は、80歳以上の肺癌手術 例について検討を行った。  1.高齢者肺癌患者は、合併症を有

(3)

ても、適応を選びりンパ節郭清を控え た縮小手術を施行すれば、良好な予後 が得られると考えられた。        文献  (1)服部良二、竹内義広、木村誠 ほか:80歳以上の高齢者肺癌に対す

る外科治療経験.肺癌26:1037−

1041, 1985

 (2)小玉仁、吉田一郎、石川進ほ か:高齢者肺癌に対する術式の検討.

  胸部外科46:745−750,

1993

 (3)小林孝一郎、清水淳三、小田  誠ほか:80歳以上の高齢者に対す る肺癌切除症例の検討.胸部外科46:

103−106, 1993

(4)

対 80歳以上    男性    女性 対照群

75−79歳

   男性    女性 象 (表1)  7例  (3%)

 5例

 2例

30例  (13%)

23例

 7例

発見動機(表2)

1.検診 2,自覚症状 1例 4例 3.全身的他疾患 2例

1期 1例

1期 川期 1期 2例 2例 2例 (%) 50 40 30 20 10 肺癌手術症例の組織型 (図1) 扇平上,ERL癌   腺 癌 その他 (%) 90 80 70 60 50 40 30 20 10 肺癌手術症例の術後病期 (図2) 1期   ロ期   皿期   rv期 ;ζ) 70 60 50 40 30 20 肺癌手術症例の手術術式(図3) 1圏80才以上 福V5∼79才

肺癌手術症例の切除根治度

         リンパ節郭清別       (図4)(%) (図 60 囲80才以上 口 75∼79才 50 40 30 20

(5)

80歳以上 合併症 (表3)’ (7例) (術前)         (術後) 呼吸機能低下  5例  乳廃胸 高血圧     5例 胆石症     2例 白内障     2例

75−79

(術前)

30

肺疾患 高血圧 胃癌 4例 3例 3例 (術後) 肺炎 心筋梗塞 脳梗塞 1例 3例 1例 1例 死亡原因 (表4)

80歳以上

癌死

75−79歳

      肺炎        (R1      心筋梗塞       再発

1例

3例

1{列、R2 2fi列)

1例

8例

累 積 生 存 率 (%) 100 50 0 (o.P.)

肺癌手術症例の予後

(図5) :…i 12 ;」.、  :L  吐_Lj.__..⊥.._. 一一一W0才以上  7例 ……・・ V5才∼79才30例 24 術後経過月数 36 48 60 Kaplan−Meier法

参照

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