優秀論文賞受賞講演
非アルコール性脂肪肝および非アルコール性脂肪性肝炎における
ストレス誘発性バイオマーカーの検討
女子栄養大学大学院臨床栄養医学研究室 小 野 裕 美 非アルコール性脂肪性肝疾患 (non-alcoholic fatty liver
disease:NAFLD)はメタボリックシンドロームにおける肝 の表現型であり,NAFLから進行した NASHまでを含み, NASHはさらに肝 変,肝臓癌へと進行しうる疾患である. NASHは肝脂肪化および酸化ストレスにより発症すると されているが,その病態解明は十 でない. 本研究では,4種のストレス誘導バイオマーカー :メタ ロチオネイン (metallothionein:MT)-1/2,MT-3,ヘムオキ シゲナーゼ (hemoxygenase: HO)-1, アディポネクチン (adiponectin: AdN)のヒト肝臓における発現を 析し, NASHとの関連を検討した.MTは重金属の解毒,亜 代 謝,酸化ストレス除去作用などが指摘されているが,これ まで NASHとの関係を検討した研究はない. 本研究では,正常肝 5例,NAFL14例,NASH18例の合計 37例 の 肝 生 検 サ ン プ ル を 対 象 と し て,MT-1/2,MT-3, HO-1および AdNの各抗体を用いた免疫組織染色を行っ た.また,染色された面積を Image J 1.38Xソフトウエアを 用いて半定量化した.NASHは NAFLおよび正常肝に比 較して,MT-1/2,HO-1および AdNの発現の低下を認め た.また,それぞれのバイオマーカーの発現部位の異なる ことが明らかにされた.特に,NASHにおける MT-1/2の 発現低下は初めて示される結果であり,MT-1/2の発現部 位が肝細胞であることから,NASHにおける新規のストレ ス誘導損傷を示す重要なマーカーとなることが示された. ―265―