JAIST Repository: 混み合った系におけるタンパク質の挙動
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(2) B14a6. 混み合った系におけるタンパク質の挙動 今村. 誠(高木研究室). 【目的】 これまで、タンパク質の挙動の解析は、生体内とはかけ離れた希薄な系で行われてきた。しかし、タ ンパク質が実際に機能している生体内は、タンパク質や糖、脂質などの生体高分子が高度に混み合った 環境である。従って、混み合った環境でタンパク質の挙動を解析することは、生体内でのタンパク質本 来の挙動を理解するだけでなく、これまでの希薄な環境における実験での挙動と生体内での挙動の違い を理解することにも役立つと考えられる。そこで本研究では、熱力学的解析が可能なリボヌクレアーゼ A をモデルタンパク質として、混み合った環境がタンパク質の熱安定性に与える影響を分光学的に解析 することを目的とした。 【実験】 混み合った環境を作る分子(crowder)として、静電的相互作用が少なく、異なる分子量のものが市販さ れているデキストラン(MW;10,000, 43,000, 144,000)を使用した。モデルタンパク質としてリボヌク 確認した。図 1 は、各デキストラン分子量における、デキストラン濃度に対してリボヌクレアーゼ Aの レアーゼ A を用いて、 crowder 濃度 0~300mg/mL の範囲で、 スペクトルと、 円偏光二色性(CD) CD222nm における熱変性曲線を作成した。得られた熱変性曲線を二状態転移の理論式にフィッティングすること によって、変性温度(Tm)とエンタルピー変化(∆H)を算出した。 【結果と考察】 遠紫外 CD スペクトルから、デキストランがリボヌクレアーゼ A の二次構造に影響を与えないことを. Tm を示したグラフである。変性温度は、crowder 濃度 7. の増加に伴って高くなったが、エンタルピー変化は crowder 濃度に依存しなかった。二状態転移に従うタン. 6. パク質の熱安定性は、ネイティブ状態と変性状態の自由. 5. 安定化するか、変性状態を不安定化すれば、自由エネル ギーの差が大きくなり、タンパク質の熱安定性が上昇す. ∆Tm (K). エネルギーの差に依存する。従って、ネイティブ状態を 4. 3. 10k 43k 144k. る。本実験において、crowder によって熱安定性が上昇 2. しているが、エンタルピー変化には依存していないこと から、混み合った環境が変性状態の自由度を制限し、エ ントロピーを減少させることによって、タンパク質の熱 安定性が上昇したと考えられる。また、分子量の小さい. 1. 0 150 0. 50. 100. 200. 250. 300. Dextran Concentration (mg/mL). crowder の方が、 変性温度の上昇が大きかった。これは、. 図 1 デキストラン濃度がリボヌクレアーゼ A. crowder 分子間の立体障害による混み合い方の違いによ. の熱安定性に与える影響 (pH4). るものと考えられた。 Keywords:macromolecular crowding, crowder, ribonuclease A, Tm.
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