シンポジウム
〔害鈴懸88第職、藩論
スポーツ医学の現在と未来
スポーツと運動器,その障害
膠原病リウマチ痛風センター イリ エ カズ ノリ入 江 一 憲
(受付 平成6年1月21日) The Ihf111ence on Bone and Joint by Exercise and Its Disorders Kazunoh IRIE Institute of Rheumatology, Tokyo Women’s Medical College Exercise has good influence on the structure of human body, but also harmful one. Moderate exercise increases bone density, strengthens muscle, gives nutrition to cartilage cell, and maintains the strength of ligament. The lack of exercise decreases bone density, weakens muscle, tendon, and ligament, and disorders the metabolism of cartilage. But excessive exercise causes stress fracture, degeneration of cartilage through minor trauma, chron量。 inflammation of tendon. Especially it is harmful for growth cartilage and degenerated articular cartilage. Orthopaedists in the area of sports medicine have roles of preventing overuse syndrome, advising adequate exercise, improving therapy for injured athletes and so on, w量thout stopping sports activity。 1.はじめに スポーツは運動器を駆使して行う人間活動であ り,運動器に対してさまざまな影響を及ぼすし, また,.運動器の特性によってスポーツ活動も影響 を受ける.運動器は部位別に脊椎,上肢,下肢と 分けられるが,その基本的な構成組織は骨,関節 軟骨,筋肉,腱,靱帯である.本稿ではスポーツ, その中でも精神的要素を除外した力学的ストレス としての身体活動が運動器を構成する各組織へど のような影響を及ぼすかについて考えてみたい. 2.運動器を構成する組織 運動器は体の部分で言うと脊椎,上肢,下肢に あたる.基本的構造は運動の軸となる骨とそれを つなぐ関節とからなっている(図1).関節の中に あって骨と骨が接する部分にあるのが関節軟骨で ある.関節を取り巻いて関節に支持性を与えてい るのが靱帯という線維性の組織である.関節の周 囲にはそれを取り巻くように関節包という線維性繊夢
∠コ
④ 図1 運動器は骨,関節軟骨,靱帯,筋,腱などから なり,各々の組織に運動による慢性障害が発生する. ①骨:疲労骨折、骨膜炎 ② 関 節隣購詫轡
③筋:筋肉炎、筋膜炎、筋疲労 コンパートメント症候群 腱:腱炎、腱周囲炎 の組織があるが,その肥厚部が靱帯ということに なる.このちょうつがいの働きをする関節を動か す動力が筋肉であり,筋肉と骨とを結ぶ組織が腱 である. これら.の組織に対して運動はさまざまな影響を 与えるが,影響は運動の程度によって異なる.組 織が正常な構造を保つことのできる運動強度には 限度があり,それを超えると悪い影響を与えるこ 一382一ととなる. 運動の影響を考えるとき,その強度が限度内か, 限度を超えているかを分けて考えなけれぽならな い.また,組織が正常か,病的かによっても運動 の影響は異なったものとなる.運動器と運動との 関係を考えるとき,これらの区分けは重要である. また,スポーツと運動とはかならずしも同一のも のを意味しない.スポーツには身体の運動以外に も精神的,心理的要素が加わっている.精神的ス トレスがホルモン等に影響を及ぼし,ひいては骨 代謝に影響を及ぼすことも女性などではみられる からである.本稿での運動とは純粋な力学的スト レスに限っているととらえられたい. 3.骨に対する運動の影響 1)骨に対する適度な運動の影響 骨は変化に乏しいようにみえるが,生体である かぎり,常に代謝により吸収と新生を繰り返して いる.変化のなさは吸収と新生とがつり合ってい るからにほかならない.こうした骨の生体組織と しての活動は骨折に対する修復という目的に合致 したものであり,負担増に対する骨強度の維持と いった機能があることもおのずから類推できる. このような骨の適合性はWol丘の法則として従 来より知られてきたところである. 骨への負担減少が骨萎縮を招くことはよく知ら れている.宇宙飛行士にて踵骨の骨密度が減少す ることは有名であるが,日常的にもこのことは起 こる.長期間ベッド上安静を続けていると骨は廃 用性萎縮を起こすし,ギブス固定によってその部 の骨は確実に萎縮する. その逆に運動によって骨量が増えることもいく つかの論文で証明されている.Dalenら1)は25年以 上運動歴のあるクロスカントリーランナーと同体 格の一般人を比較し,上下肢,体幹の計測点で 10∼20%近くの骨量の増加を証明している.同時 に通常人に週15kmの歩行あるいはランニングを 3ヵ月させたケースでは骨量の増加は証明できな かったとある. Nilsson2}は運動選手と正常人の大腿骨遠位部 の骨密度を比較し,運動選手のほうが有意に高い 骨密度を有していること,運動選手のなかでも重 383 量挙げのように下肢に重い負荷のかかる選手の骨 密度が高いこと,同じ選手でもトップレベルの運 動選手のほうが骨密度が高いこと,同一人でもき き足のほうが高いというデータを示した.同時に 大腿四頭筋の筋力も測定し,骨濃度と筋力との相 関も示している. 骨粗霧症の予防のために近年高齢者に対する運 動療法の研究は進んでいる.林3)は散歩の習慣の ある群では有意に円背の程度が下がること,ゲー トボールの習慣のある60代から80代の15人の男性 の擁骨一塩量が同年代の平均値より高いことを示 している.また,骨塩量というのは時間経過とと もに減少していくが,70代の年齢であっても運動 の習慣をもつ人は骨離量の減少に歯止めをかける どころか,かえって増加させることも可能である としている. 図2は19歳男性の駅伝選手であるが,脛骨近位 1/3の部位,丁度ヒラメ筋の付着部の骨幹部に骨肥 厚がみられる.これは運動によって骨が反応性に 増えることの実例であるが,同時に駅伝のような 競技には生体は余分に骨を用意しなけれぽならな いわけであり,競技スポーツのもつ生体への影響 の二面性をも現わしているとも言える. ストレスが骨量を増加させるという生体のメカ 図2 19歳男子駅伝選手の脛骨レントゲン写真 脛骨近位部(矢印)に骨肥厚像がみられる。
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掘削 \ ,・/破骨細胞 謬窩バ・・オ・(酸・) へ 1》ロート状に ’ゑ∴:;饗ξγ・ハーバース曹 ペヘ へ躍添附層状骨
llq難奉謡言・ン 、ミf瓦 k三下 骨再構築巣位を形成 ・・ /// 図3 骨に対するストレスの変化が破骨細胞,骨芽細 胞の活性に影響を及ぼす.(林3}より引用) ニズムについてもさまざまなことが;わかってい る.このメカニズムの一つは破骨細胞と骨芽細胞 の活動性のバランスである(図3参照).骨に対す るストレスは破骨細胞や骨芽細胞を活性化させる が,それは細胞自体に外力が作用するという説と, 外力によって骨基質が変形しその結果生じるわず かな圧電位が細胞を刺激するという説とがあ る4).後者の説は骨は圧迫変形に対しては陰性の 圧電位を生じ張力に対しては陽性の電位を生じ る.陽性の圧電位では破骨細胞が活性化され,陰 性の圧電位では骨芽細胞が活性化されるというも のである.いずれの説でも骨への圧縮力が骨芽細 胞を活性化させることに違いはなく,運動に伴う 重量増加を説明している. 運動に伴う骨量増加は年齢を問わず筋肉量と相 関している2)5).筋肉運動によって骨に力学的スト レスが加わり骨芽細胞が活性化されるほかに,ポ ンプ作用により骨の循環血液量が増すという要素 も加わっている.循環血液量は局所だけでなく, 全身に及ぶので,力学的ストレスが直接かかる部 位以外の骨量が増加することがある.長谷川ら6) は40代から70代のジョガー73名の中手骨の骨濃度 を調べ,コントロールと比して有意に高いことを 示している. 以上のように臨床的事実としてはごく若年期を 除いて運動は骨量を増加させ,骨密度を増すとい う働きをしている.競技スポーツの一部では生体 に必ずしも良い影響ぽかり与えているとはいえな いが,骨量の減少が問題となる中高年ではスポー ツは骨にとって良い影響ばかりであるということ ができよう. 2)骨に対する過度な運動の影響 骨に対して繰り返しの外力でもそれが限度を超 えると疲労骨折という形で骨の連続性が失われ る.図4は19歳男性のラグビー選手の脛骨近位1/ 3の疲労骨折である.疲労骨折は微細骨折がまず起 こり,それに対して骨折治癒機転が働くことに よって骨膜肥厚像としてレントゲンに現われる. 図4のタイプの脛骨近位1/3の疲労骨折は疾走型 の脛骨疲労骨折といわれている.この例では脛骨 中央1/2後方に図2の例にみられたのと同じよう な運動による反応としての骨皮質肥厚像がみられ る. 図5はもう一つのタイプの脛骨中1/3の前面に みられる跳躍型の疲労骨折である.この例は男子 体操選手である.この跳躍型の脛骨内側前面の疲 労骨折は安静によっても癒合しにくい骨折であ る.骨の外力に対する適合は骨の変形が電気的信 一384一 図4 19歳男子ラグビー選手の脛骨近位1/3の疾走型 疲労骨折(矢印A),図2の症例と同様の反応性の骨 皮質肥厚像もみられる(矢印B).不断の過度の運動 StrenUOUS eXerCiSe ⊥ 筋肉の疲労 fatigued muscle l ⊥ エネルギー貯蔵能の消失 loss of eneray storage capac1ty I ↓ 歩行の変化 a置tered gait I ↓ 異常な負荷 abnormal loading 工 応力分布の変化 altered stress distribution I 図5 脛骨内側前面の跳躍型疲労骨折(矢印)
⇔
ノ \ ; / ノ 、、 1/! 協 {1 ⊥ ! 大きな圧縮負荷一→両者の結合一→大きな引張り負荷 high compression ↓ 斜方向の亀裂 oblique cracks 、、 ノ!ノ ノ ≒ A 8 図6 筋肉の存在は骨への応力を変化させ,結果とし てエネルギー吸収量を増している.(山本ら7)より引 用) 号に変換され,骨芽細胞,破骨細胞の活性を制御 して骨構築の変化を産み出すことはさきFに述べた が,跳躍型の疲労骨折の起こる脛骨内側前面は ジャンプ等の運動によって張力が働く部位で,破 骨細胞が活性化される方向にストレスが働くから である. 疲労骨折の発生は骨に対する直達外力の作用だ けでなく,筋肉の疲労現象とも深く関わっている. 図6に示すように脛骨は下腿三頭筋のない状態を 想定すると圧縮応力,引っ張り応力両方が働く. 下腿三頭筋の働ぎによって,引っ張り応力が打ち ↓ 斜骨折 oblique fracture combined high tension ⊥ オステオンの離船 横方向の亀裂 debonding of osteons tranSVerSe CraCkS 上 横骨折 transverse fracture 図7 疲労骨折の起こるメカニズム(山本ら7)より引 用) 消され,脛骨の応力分布は変化する.骨は圧縮応 力よりも引っ張り応力により弱いとされており, 筋の働きによる応力変化が材料としての骨のエネ ルギー吸収量を増やしているのである.繰り返し の運動により,筋疲労が起こるとそのような筋に よる応力分散の効果が薄れ,相対的に骨への応力 が増すことになる.ひいては図7に示すような経 路で疲労骨折が発生するのである. 脛骨の疲労骨折の発生には長管骨がもっとも弱 いとされているねじれ負荷も関与している7).脛 骨は足関節の背屈時には内旋,底屈時には外旋し ている.走る路面や靴の状態,体調の変化により この回旋運動がくずれると脛骨に異常なねじれ負 荷がかかりやすくなる.また,脛骨内反や外反, 極端な0脚やX脚,回内足といったアライソメント異常は骨への応力分布を歪めるので,疲労骨 折の一因子を提供することになる. 実際の疲労骨折の発生は単純な運動量の増加だ けでなく,骨への応力分布を変化させるようなこ れらの要素が重なり合って発生するのである. いずれにしても骨が吸収できるエネルギー量に は限度があり,スポーツによってその限度は容易 に超えうることは認識してよいだろう. 3)病的状態にある骨に対する運動の影響 これまでに述べたストレスに対する骨の反応を みれぽ,骨折治癒過程におけるストレスの重要性 は容易に想像できる.線維骨からなる仮骨が骨改 変を起こし,層状骨へ置換される過程でのストレ スの役割は重大である,骨折を創外固定器で治療 する場合には途中からdynamizationという形で 骨折端に適度な圧縮力をかける.プレート固定の 場合でも力学的にあまり強固な金属プレートは stress shieldingを生み,骨形成を遅らせるといわ れる.骨折治癒過程において骨折端にかけるべぎ ストレスの量はごくわずかなものだが,日常生活 でもすでに脊椎圧迫骨折を起こしている骨二二症 を有する高齢者にとっての運動療法の重要性を示 唆するものといえよう. 4.軟骨に対する運動の影響 軟骨は関節内において骨同志が接触する部分に ある厚さ数mm程度の組織である.細胞成分以外 の成分はコラーゲン線維とその間を埋めるグリコ サミノグリカンというムコ多糖であり,多量の水 分を含んでいることが特徴である.軟骨の表面は 大変滑らかであり,特有の潤滑機構によりきわめ て低い摩擦係数を実現している.軟骨はこの低い 摩擦係数によって,通常の使い方をするかぎりに おいては摩耗したり,損傷したりすることはない. 1)軟骨に対する運動の影響 軟骨内には血行はなく,軟骨細胞の栄養は関節 液から供給される.関節液を循環させ,軟骨細胞 の代謝を維持するために関節運動は不可欠であ る.しかし,その維持には日常生活上の荷重負荷 と関節運動で十分であり,競技スポーツにみるよ うな多すぎる負荷は不用である. 動物実験ではトレーニングした動物の関節軟骨 一386 はトレーニングしない動物のものより厚いという 報告もあるが,ヒトの軟骨の場合,骨と違って運 動量が増えたからといって目に見える形で軟骨量 も増えるという事実はみあたらない.軟骨の耐久 性からみると,たとえヒトが専門的なスポーツを 長時間行ってもたいした負荷量増加とはならない のかもしれないし,軟骨は骨と違ってvolumeを 増やすことによってその力学的性能を増すのでは ないのかもしれない. 逆に関節運動が制限されたり,荷重負荷がかか らなくなると軟骨はその性質を失う.ギブスで固 定するとか二二をすることによって軟骨細胞の活 性は阻害される.荷重負荷による軟骨変性ととも に非荷重部の軟骨変性もいわれているが,これな ども日常的な関節負荷が軟骨の性能維持に必要な 証拠である.もっとも軟骨代謝の維持に必要な運 動量は日常生活上の関節運動で十分であり,それ を超える量の運動は必要ではないし,運動量を増 やしたからといって軟骨の性能がこれ以上増すの でないことはさきに述べたとおりである. 2)軟骨に対する過度の運動の影響 軟骨損傷や軟骨変性の結末は変形性関節症であ るが,運動と変形性関節症との関係についてはさ まざまな意見がある. Murrayら8)は青年期に激しいスポーツ活動を すると変形性股関節症の頻度が増すと述べている し,Radinら9)はその裏付けとして繰り返しの圧 迫負荷は軟骨下骨の硬化から軟骨へのストレス増 加という説を述べている. 一方,Sohnらlo)は504名の大学クロスカント リーランナーと287名の同水泳選手との平均25年 後の変形性膝関節症と変形三股関節症の発生頻度 を調べ,両者に差のないことを示している.また, ランニングを続けていた期間や距離によっても変 形性関節症の頻度がかわらないことを示した. Laneら11)は中高年のランナー498名を調べ,変 形性関節症が特別に多くはないことを述べてい る.しかし,1/3はランニング障害のために病院受 診の経歴があるともいっている.Panushら12)は 35名の平均12年の経歴を持つ50∼60代のジョギン グ愛好家の変形性膝関節症の程度を調べ,コント
図8 大腿骨内顯に関節軟骨の丘brillationがみられ る(矢印). ロールと比して差はないことを示した. これらのデータから言えることはジョギングの ようなある意味では生理的限界をそれほど超えな いと思おれる負荷ではいくら繰り返しても軟骨変 性には結びつかないということである. しかし,サッカーやアメリカンフットボールの 選手には若年期から足関節に変形性変化がみられ る.スポーツによって繰り返しの小外傷が加わる とか,靱帯損傷のために関節に不安定性が生じた りすると軟骨の変性は進むようである. 図8はサッカー歴15年の社会人サッカー愛好家 の関節鏡写真である.この症例は過去にそれほど 大きい外傷がないのにもかかわらず,大腿骨内穎 に軟骨損傷像とその治癒像がみられた.繰り返し の小外傷が原因と考えられる. 軟骨変性を語る上で,肥満の影響は重要である. 過去多くのデータが示すように肥満と変形性膝関 節症の関係は密接である.肥満者には運動療法が 必要だが,ジョギングのような運動様式は各種 ジョギング障害を起こすだけでなく,軟骨変性そ のものも進行させうる.さきに示したジョギング では変形性関節症が生じないというデータには肥 満者は含まれていない. 若年者のスポーツ選手でも肥満は軟骨損傷の危 険因子である.図9は16歳男子の投榔選手の距骨 骨壊死の所見である.2年前の軽い足関節捻挫と 共に肥満(身長174cm,体重98kg)も原因と考え ている. 図9 16歳男子投榔選手.距骨関節面の一部屋壊死に 陥っている(矢印). 3)成長軟骨に対する運動の影響 機械的刺激が成長軟骨の活動を促進するかどう かは不明だが,血流量の増加などさまざまな因子 がからんで,中学生,高校生の年齢であれぽ,運 動によって成長は促進される.テニス選手の上肢 長の差などはその例である. 運動の成長軟骨への影響は障害面で強調され る.とくに遊びとしてのスポーツから専門的ス ポーツに移り変わる小学生高学年から中学生にか けてのクラブスポーツの部員がその被害者であ る. 図10は17歳男子の野球選手で上腕骨遠位端の成 長障害をきたした例である.この年代のスポーツ 指導は強度を増やし,専門的スポーツを教え込む という要請と成長軟骨の保護という相反する二つ のことに注意しなけれぽならない. 4)靱帯に対する運動の影響 靱帯は運動によって筋肉のように目に見える形 で肥大することはない.おそらく関節の大きさに 応じて靱帯のvolumeも増えていくのであろう. しかし,逆に運動をしなくなると靱帯の強度は確 実に減少していく13).膝をギブスで固定したとき の靱帯の強度減少はよく知られたところである. もっとも,日常生活程度の運動をしていれぽ靱帯
図10 17歳野球選手。上腕骨内上穎の形成不全をきた している(矢印). が強度を減らすということはないように思う. 損傷靱帯の治癒促進には運動は不可欠であ る13).運動といっても関節の可動域訓練等であり, 決して負荷のかかる実際のスポーツというわけで はないが,靱帯損傷後のリハビリテーション過程 においては損傷靱帯に過度の負担をかけないでい かに運動をさせるかが重要視されている. 5.まとめ 運動(スポーツ)は年齢を問わず,概して運動 器にとってよい影響ぽかりであり,健康にとって は必須のものである.しかし,ある種の素因があ ると運動器は容易に疲労現象に陥り,破綻をきた す.特に競技スポーツの世界では枚挙にいとまが ない.成長期にある10代のスポーツ選手や変形性 関節症の始まりかけた中高年層のスポーツ愛好家 は運動器のスポーツ障害の好発層であり,医学的 立場からのスポーツ指導によって予防する必要が あるといえよう. 文 献 1)Dalen N, Olsson KE:Bone mineral content and physical activity. Acta Orthop Scand 45: 170−174, 1974 2)Ni且sson BE, Westlin NE:Bone density in athletes. Clin Orthop 77:179−182, !97! 3)林 泰史:整形外科からみた高齢者と運動.臨ス ポーツ医4:1383−1388,1987 4)若松英吉,小野啓郎編,天児民和監修:新臨床整 形外科全書骨,軟骨生理,骨髄炎,骨炎総論. 金原出版,東京(1983) 5)Charette SL, McEvoy L, Pyka G et al: Muscle hypertrophy response to resistance training in older women, J Appl Physio170: 1912−1916, 1991 6)長谷川匡,石川一郎,石井清一ほか:ランニング が骨,関節の退行変性に及ぼす影響(第3報).臨 スポーツ医 5:1357−1362,1988 7)山本 真,笹田 直監訳:整形外科バイオメカニ クス入門(Franke1 VH, Nordin M:Basic Biomechanics of the Musculoskeletal System), 南江堂,東京(1983) 8)Sohn R, Miche豆i L:The effect of running on the pathogenesis of osteoarthritis of the hips and knees. Clin OrthoP 198:106−109, 1985 9)Radin EL, Paul II., Rose RM: Role of mechanical factors in pathogenesis of primary osteoarthritis. Lancet 7749:519−521, 1972 10)Murray RO, Duncan C:Athletic activity in adolescence as an etiology factor in degenera− tive hip disease. J Bone Joint Surg 53B: 406−419, 1971 11)Lane NE, Bloch DA, Wood PD et al:Aging, long−distance running, and the development of musculoskeletal disability, Am J Med 82: 772−780, 1987 12)Pamlsh RS, Schmidt C, Caldwell JR et al:Is running associated with degenerative joint disease P JAMA 255:1152−!154,1986 13)Woo SLY, Gomez MA, Sites TJ et a1:The biomechanical and morphological changes in the medial collatera1}igament of the rabbit after immobilization and remobilization, J Bone Joint Surg 69A:1200−1211,1987 一388一