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〔三鷹醤53鐸護,灘骨〕
学 会 東京女子医科大学学会第296回例会シンポジウム スポーツ医学の現在と未来
日 時 会 場 司 会 平成5年11,月11日(木)午後4:30∼6:30 東京女子医科大学 中央校舎会議室 重田 網子教授(放射線医学) 1.スポーツと環境 2.スポーツと健康管理 3.スポーツと成長 4.スポーツと老化 5.スポーツと女性 6.スポーツと心月蔵 7.スポーツ障害,外傷 衛生学公衆衛生学(第一) 膠原病リウマチ痛風センター 第二病院小児科 整形外科学 産婦人科学 循環器内科学 膠原病リウマチ痛風センター 香川 順 井上 和彦 村田 光範 伊藤 達雄 井口登美子 雨宮 邦子 入江 一憲 1.スポーツと環境 (衛生学公衆衛生学(第一)) 香川 順 広辞苑によると,スポーツは,「遊戯・競争・肉体的 鍛練の要素を含む運動」と説明されている.ところで, 健康な人は,健康の保持・増進を,病弱な人は,人並 みの,または疾病罹患前の健康状態への復帰を本能的 に願うものである.そのために,適切な運動や食生活 等を含むライフ・スタイルのあり方が,専門家などに より勧められている.その中でも,運動は重要な役割 を有していることは,いうまでもなく,人々は様々な スポーツを楽しんだり,また,予防やリハビリテーショ ンのための医療プログラムの中で運動を行っている. スポーツには,遊びの要素があるものの,運動を行 うことにより健康に悪影響が生じるようなことがある とすれぽ,好ましくないことはいうまでもない.多く の人々の関心は,運動そのものに向けられているが, 運動を行う環境には,関心が向けられていないように 思われる。運動をとりまく環境の中で,最も重要な環 境は,空気環境であるので,運動時の空気の質が,呼 吸器や循環器の健康にどのような影響を与えるかを考 えてみたい. 2.スポーツと健康管理 (膠原病リウマチ痛風センター) 井上 和彦 「スポーツさえやっていれぽ健康に生活できる」と いう迷信がある.中高年のジョギングばかりでなく, 激しく身体を使うスポーツであれぽある程身体ばかり でなく,心の障害をスポ∴ッにより受けることは少な くない.したがって,スポーツにおいては心を含めた 身体の健康管理は必須である.我国においてはスポー ツ選手に対する健康管理は欧米に比し遅れている. 今回は身体を激しく使用するスポーツとして女子ハ ンドボールチーム,社会人ラグビーチーム,プロ野球 チームに行っている健康管理について報告する. 3.スポーツと成長 (第二病院小児科) 村田 光範 最近では幼児を含めて小児の日常的な身体活動量が 少なくなっている.身体を使った家事の手伝いはまっ たく姿を消し,身体を動かすと言えば学校での体育や 運動部の部活動,あるいは野球,サッカー,スイミン グといったスポーツクラブでの運動である.このよう な現状を踏まえ,小児の成長にとってスポーツの持つ 意義を考えてみたい. こどものスポーツは①遊びとしてのスポーツ,②こ どもの競技スポーツ,③健康を維持増進するためのス ポーツに分けることができる.遊びとしてのスポーツ が年小児期に少なくなったことは,こどもが集団生活 の営み方を学ぶ上での障害になっている.成長・発達 段階を考慮しないで競技スポーツのタレント指向が強 くなる傾向はこどものスポーツ障害につながる可能性 が高い.健康を維持増進させるスポーツは健康なこど もにとっても,各種の疾病を持つこどもにとっても重 一1532一89 要であるが,この方面の研究は極めて希薄である.小 児肥満の運動特性を例にとってこのことを説明した い. 4.スポーツと老化 (整形外科学) 伊藤 達雄 10月10日,体育の日の新聞は小中学生から壮年にい たる国民全体の体力低下を報じており,高度な文明社 会での運動不足の結果と思われる.良好な健康の維持 には食生活,運動,休息の3大要素が必要とされる. スポーツは多彩な運動を通じて競う心,気力体力の充 実感など楽しみの要素も加わる.しかし過度な運動, 特に競技レベルでのスポーツは心身に外傷をもたらす こともあり,スポーツ障害として知らされる. 適度な運勤は骨関節・筋腱など運動器の老化を防ぐ のみならず,心肺など全身臓器にも好影響を与える. 今回加齢性疾患の代表として変形性関節症・脊椎症な どの変性疾患,および近年社会問題となっている骨粗 籟症に対する運動療法に焦点を絞る.前者には等尺性 筋力増強,水中歩行,ストレッチングなどが,後者に は5,000歩/日の歩行,軽い体操,筋力訓練などが勧め られる.これら運動療法の処方,効果と問題点につき 述べる. 5.スポーツと女性 (産婦人科学) 井口登美子 急速に進んだ長寿社会のなか,女性は何歳になって も若く,美しく,健康でありたいと願っている.この 目的にかなったのがスポーツであり,東京オリンピッ クをきっかけにスポーツ熱が高まってぎた.しかし女 性にとって月経,妊娠,分娩,育児などの環境はスポー ツを思うようにできないこともある.逆にスポーツを したことによる障害もみられる.今日,思春期におけ る月経異常との関係,妊娠とスポーツの是非,更年期 の効果的な運動などについてまとめてみることにし た. スポーツの種類,強度,回数,時間などは個人が自 分の年齢,体力,運動歴を考慮し無理せずに行ってエ ンジョイすることが大切である.やり方次第では悪影 響をおよぼしかねない.とくに合併症をもっている人, 中高年者は必ずメディカルチェックを受けることが必 要である. 6.スポーツと心臓 (循環器内科学) 雨宮 邦子 近年,体力向上などの目的で年齢を問わず各種のス ポーツが盛んに行われている.スポーツは一般的に, 静的(stasic)と動的(dynamic)なものに分けられ, 心臓に対する影響も異なった様式をとることが知られ ている.しかし,実際には,どのスポーツにも両方の 要因が関与していると考えるのが妥当である.動的運 動としては長距離走,水泳,柔軟体操などがあり,静 的運動には重量挙げ,水上スキー,体操競技などが挙 げられ,これらのスポーツが循環動態に及ぼす影響に ついて解説する.その上で,スポーツ選手などに見ら れる,いわゆるスポーγ心臓についての概念,これま での報告されている実例を紹介する.更に,スポーツ は体力増進,肥満や運動不足の解消,高血圧,冠動脈 疾患の運動療法などという形で種々の効果をもたらす とされているが,反面,許容範囲を超えマイナス効果 を引き起こすこともある.その中で最たる問題が,ス ポーツ活動中の急死である.そこで,このスポーツ中 の急死に関するこれまでの報告についてまとめ,今後 のメディカルチェックの上に役立てたいと考えてい る. 7.スポーツと運動器,その障害 (膠原病リウマチ痛風センター) 入江 一憲 スポーツは運動器を構成する骨,関節軟骨,筋肉, 腱,靱帯に良い影響とともに悪い影響をも及ぼす.適 度な運動は骨量を増加さぜ,筋肉を強化し,関節軟骨 の代謝や靱帯,腱の強度を維持する,運動量の減少は 等量の減少,とくに加齢現象が加わると骨粗籟症と いった状態を引き起し,筋肉を衰えさせ,軟骨代謝や 靱帯の強度に悪い影響を与える.しかし,運動が過度 に及ぶと骨には疲労骨折が生じ,運動時に発生する小 外傷から関節軟骨が変性し,腱には慢性炎症が生じる. 成長期の成長軟骨やすでに変性した関節軟骨に対して は過度の運動の弊害は増強される.整形外科分野のス ポーツ医学はこれらのスポーツの運動器に対する良い 影響,悪い影響の研究成果のもとに,他の領域のスポー ツ医学に助言を行うこと,整形外科領域の疾患に対し てスポーツを応用すること,スポーツ選手の整形外科 的疾患に対してスポーツを目標とした治療体系を打ち 立てること,といった役割を担っている. 一1533一