氏名(本籍)
学 位 の 種 類
学位授与番号
学位授与 日 付
専 攻
学位論文題 目
学位論文審査委員
井 上 昭 一(新潟県)
博 士(工学)
甲第 385 号
平成 22 年 3 月 25 日
生産開発システム工学専攻
日本における落石対策の現状調査と環境共生型落石防護工法の開発
(Inve$tigationofcurrentrOCk払11mitigadoninJapananddevelopmentof
environment-0rientedprotectingwall)
(主査)本 城 勇 介
(副査)八 嶋 厚 沢 田 和 秀
論文内容の要旨
「落石」,「雪崩」,「土砂崩壊」に代表される斜面災害は,我々に多くの災難をもたらしてきた.近年も
温暖化の影響といわれる異常気象によりその頻度と規模は増大するばかりである.とくに,落石災害につ
いては,発生予測が極めて困難なことや被災規模が比較的甚大となることから関心が高く,これまでにも
盛んに様々な対応策が施されている.また,国土の多くに山岳地を有する日本においては,交通網など社
会基盤の急速な整備拡充により急峻な山間地や海岸線にも道路や鉄道そして家屋や商業施設が設置され,
落石災害の危険エリアを広げてきたことも災害が増加した要因である.
落石による災害では,1989年7月に福井県越前海岸国道304号線における岩盤崩落によってロックシェ
ッドが倒壊,また1996年1月には北海道古平町国道229号線豊浜トンネルの岩盤崩落による大規模な災害
が発生したが,いずれも多数の死者を出す傷ましい事故となっている.これらを契機に行政機関では,道
路防災点検,トンネル緊急点検が全国一斉に実施された.その結果,我国の膨大な危険斜面箇所の存在が
明らかになっている.
落石対策についてはこのような状況と並行して,20年程前から精力的な研究が進められている.なかで
も落石防護構造物については,これまで落石荷重を静的な荷重として与え一般土木構造物と同様に取扱わ
れていたが,1990年3月に開催された第1回落石等による衝撃問題に関するシンポジウム(土木学会)に
おいて落石特有の衝撃問題を取上げて以来,落石衝撃問題とうい分野が確立した.これを機に本格的に取
組む研究者および開発メーカーが増加し,これまでの重厚長大な剛性の高い構造物から衝撃特性を考慮し
た柔らかい構造物が主流となり,現在では建設市場においても大きなマーケットに成長してきている.た
だし,盛んに行われきた落石対策に関する研究開発ではあるが,未だ解明されない工学的問題や,落石対
策工法に対する統一された評価基準が整備されていないことは現状においても問題である.そこで,本論
文では、日本国内における落石対策の現状を調査し,その間題点を抽出して合理的で経済的な新しい落石
対策工法の「環境共生型落石対策工法」を研究開発し提案した.
本初究では,新しい落石対策工法として「環境共生型落石防護工法」(落石防護補強土壁工)を提案し,
大型実物実験および模型実験から性能を評価した.その結果,補強土によって落石エネルギーが効率よく
吸収されることが確認され,その吸収メカニズムを示した.また,数値解析による実験の再現を試み,そ
の結果,擁壁に完全塑性モデルを適用すると実験結果を近似できることを示した.つぎに、この実験をも
とに「環境共生型落石防護工法」(落石防護補強土壁工)の実用化に向けた設計法の提案を行った.実験結
果により設計入力パラメータを設定し適正な設計方法を示した.また,実用化に向けて,設計に基づいた
標準形状を示した.
主材料が「土」によって構成された落石防護工法を研究開発し,実用化に向けた設計方法を提案した.
これは日本においても初めての読みであり,環境が問題となっている今日に至っては,天然材料を利用
した「環境共生」という点においても大きな意義を有するものである.
・31-論文審査結果の要旨
「落石」,「雪崩」,「土砂崩壊」に代表される斜面災害は,我々に多くの災難をもたらしてきた.近年も
温暖化の影響といわれる異常気象によりその頻度と規模は増大するばかりである.とくに,落石災害につ
いては,発生予測が極めて困難なことや被災規模が比較的甚大となることから関心が高く,これまでにも
盛んに様々な対応策が施されている.また,国土の多くに山岳地を有する日本においては,交通網など社
会基盤の急速な整備拡充により急峻な山間地や海岸線にも道路や鉄道そして家屋や商業施設が設置され,
落石災害の危険エリアを広げてきたことも災害が増加した要因である.
落石による災害では,1989年7月に福井県越前海岸国道304号線におけて岩盤崩落によってロックシェ
ッドが倒壊,また1996年1月には北海道古平町国道229号線豊浜トンネルの岩盤崩落による大規模な災害
が発生したが,いずれも多数の死者を出す傷ましい事故となっている.これらを契機に行政機関では,道
路防災点検,トンネル緊急点検が全国一斉に実施された.その結果,我国の膨大な危険斜面箇所の存在が
明らかになっている.
落石対策についてはこのような状況と並行して,20年程前から精力的な研究が進められてきている.な
かでも落石防護構造物については,これまで落石荷重を静的な荷重として与え一般土木構造物と同様に取
扱われていたが,1990年3月に開催された第1回落石等による衝撃問題に関するシンポジウム(土木学会)
において落石特有の衝撃問題を取上げて以来,落石衝撃問題とうい分野が確立した.1.1)これを機に本格
的に取組む研究者および開発メーカーが増加し,これまでの重厚長大な剛性の高い構造物から衝撃特性を
考慮した柔らかい構造物が主流となり,現在では建設市場においても大きなマーケットに成長してきてい
る.
ただし,盛んに行われきた落石対策に関する研究開発ではあるが,未だ解明されない工学的問題や,落
石対策工法に対する統一された評価基準が整備されていないことは現状においても問題である.そこで,
本論文では、落石対策の現状を調査し,その間題点を抽出して合理的で経済的な新しい落石対策工法の「環
境共生型落石対策工法」を開発研究し提案した.
本研究では,新しい落石対策工法として「環境共生型落石防護工法」(落石防護補強土壁工)を提案し,
大型実物実験および模型実験から性能を評価した.その結果,補強土によって落石エネルギーが効率よく
吸収されることが確認され,その吸収メカニズムを示した.また,数値解析による実験の再現を試み,そ
の結果,擁壁に完全塑性モデルを適用すると実験結果に近似することを示した.つぎに、この実験をもと
に「環境共生型落石防護工法」(落石防護補強土壁工)の実用化に向けた設計の提案を行った.実験結果に
より設計入力パラメータを設定し適正な設計方法を示した.また,実用化に向けて,設計方法による標準
形状を示した.
主材料を「土」によって構成された落石防護工法を開発研究し,実用化に向けた設計方法を提案した.
これは日本においても初めての読みであり,環境が問題となっている今日に至っては,天然材料を利用
した「環境共生」という点においても大きな意義を有するものである.
最終試験結果の要旨
本城勇介,八嶋 厚,および沢田和秀で構成する審査委貞会は,本論文および別刷りなどを慎重に検討
した・本論文は学位論文として十分完成された内容を有していること,提出された学位論文および発表論
文は,申請者により書かれていることを確認した.なお,論文審査の結果,論文題目を「日本における落
石対策の現状と環境共生型落石防護工法の開発」に変更することとした.また最終試験(公聴会)を平成
22年2月12日に開催し,審査委員会での審査の結果,合格と判定した.
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