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水素火炎ジェット点火法における燃焼特性および燃焼制御に関する研究

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Academic year: 2021

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Title

水素火炎ジェット点火法における燃焼特性および燃焼制御

に関する研究( 内容と審査の要旨(Summary) )

Author(s)

鬼頭, 俊介

Report No.(Doctoral

Degree)

博士(工学) 乙第073号

Issue Date

2014-12-31

Type

博士論文

Version

ETD

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12099/50900

※この資料の著作権は、各資料の著者・学協会・出版社等に帰属します。

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別紙様式第12号(論文内容の要旨及び論文審査の結果の要旨) 氏 名 ( 本 籍 ) 学 位 の 種 類 学 位 授 与 番 号 学 位 授 与 日 付 専 攻 学 位 論 文 題 目 学位論文審査委員 鬼頭 俊介(愛知県) 博 士(工学) 乙第 73 号 平成 26年 12月 31日 生産開発システム工学専攻 水素火炎ジェット点火法における燃焼特性および燃焼制御に関する 研究

(Combustion characteristics and control by hydrogen flame jet ignition) (主 査) 教授 安里 勝雄 (副 査) 教授 板谷 義紀 教授 高橋 周平 論 文 内 容 の 要 旨 地球環境問題が大きくクローズアップされている現在,内燃機関では燃費の向上および排気ガスのクリ ーン化を図ることが重要な課題である.そのような問題に対して希薄燃焼が有効であり,それを実現する ために多くの手法が考えられてきた.本研究では,さらなる希薄化に対しても筒内での確実な点火・およ び燃焼制御が可能な手法として水素火炎ジェット点火法を提案している. 本論文では,水素火炎ジェット点火法を実機に適用することを念頭において,その燃焼特性の把握を目 的としており,以下の点について検討した. 第1 章では研究の背景,関連する従来の研究の動向および本研究の概要について述べている. 第2 章では本研究を行うための実験装置および実験方法について示している. 第3 章では,水素火炎ジェット点火法の基礎的な燃焼特性を調べるため,はじめにキャビティーの予混 合気として,メタン-空気,水素-空気,水素-酸素混合気を用いてそれぞれ実験を行い,燃焼過程を調べて 通常点火との比較を行い,その効果について調べている.また,燃焼室形状をどのようにするのかはエン ジン設計上の観点から重要となり,燃焼室形状の各種パラメーターが燃焼に及ぼす影響について述べてい る. 第 4 章では,希薄領域での燃焼特性および希薄点火限界について調べ,希薄混合気に対する水素火 炎ジェット点火法の効果,有害排出物のひとつであるNOx の排出量および,水素火炎ジェット点火法 のNOx の低減に対する効果について調べている.また,希薄点火限界について,定容燃焼室および急 速圧縮機を用いて調べ,水素火炎ジェット点火法を用いた希薄燃焼エンジンの実用性について調べている. 第5 章では,水素火炎ジェット点火法での燃焼促進の主要因について述べている.プラズマジェット点 火法やパルスジェット点火法において,燃焼促進の主要因は,ジェットに含まれる化学活性種の効果であ ると言われている.しかし,ジェット自体が強い乱れを伴っており,ジェットによる流体力学的効果が主 因であることも考えられる.そこで,本章では 2 種類の異なった実験を行い燃焼促進の主要因について調 べている.ひとつはジェットの速度を一定,すなわち流体力学的効果を一定に保ちながら,キャビティー 混合気の当量比を変えてジェットを生成させ,ジェット中の化学活性種の濃度の影響を調べる実験を行っ ている.もうひとつは,ジェットに高電圧のプラズマ放電を付加して,通常の燃焼場よりさらに高濃度の 化学活性種を発生させる実験を行った.これら 2 つの実験から,水素火炎ジェット点火法を含めたジェッ ト点火法における燃焼促進の主要因を明らかにしている. 第6 章では,燃焼室壁面での熱損失について調べている.水素火炎ジェット点火法では,速度の速い火 炎ジェットにより燃焼が促進される.このため,燃焼時間短縮による熱効率向上の効果が期待されるが, 同時に高速ジェットによる壁面への熱損失の増大による熱効率低下が,前述の熱効率向上の効果を上回る ことも懸念される.そのため,燃焼室壁面での熱流束について把握する必要がある.熱流束の測定位置は, 主燃焼室対向壁,側壁,キャビティー内,ノズル内壁面である.さらには,熱流束の積分値を議論するこ とにより,燃焼期間全体での熱損失についても調べ,水素火炎ジェット点火法の問題点および有効性,実 用性について検討している. 第7 章は結論であり,その要約を以下に示す. 1.一般にはキャビティー混合気の燃焼速度が速い方がジェット噴出までの時間が短く,またジェット速 度が速くなり,主室内での燃焼時間も短縮される.キャビティーに水素-空気混合気を用いた場合には, 通常燃焼に比べて40%に,水素-酸素混合気を用いた場合には,通常燃焼に比べて 20%に燃焼時間を短縮

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できる. 2.キャビティーからのジェットの速度が非常に速い条件では,ジェットの噴出初期に周囲空気とのせん 断により消炎が起こり,主室に着火するまで時間がかかり,燃焼時間が長くなる.このため,主室内での 着火時間を最小にする最適なジェット速度が存在する. 3.キャビティーの体積が大きい条件ではジェット噴出量が大きくなるため,燃焼促進効果は一般に大き くなるが,キャビティーの体積を大きくする際に,点火位置とノズルの距離が離れているなどキャビティ ーでの火炎伝播時間が長くなる条件では,主室の燃焼時間短縮効果と相殺される.ジェット点火法による 燃焼時間は,キャビティー内での火炎伝播時間と主室内での火炎伝播時間の合計で表わされ,燃焼時間短 縮のためには,この値を小さくする方法が求められる. 4.燃焼時間短縮の主要因は,高速のジェットによる熱輸送と,激しい乱れによる火炎面積増大の効果で ある. 5.燃焼時間短縮の効果は,混合気が希薄になればなるほど大きくなる.大気圧条件においては,当量比 0.6 近傍の希薄な混合気を,量論比の混合気と同等の短時間で燃焼させることができ,かつ高い燃焼効率を 維持することができる.このことは,同時にNOx の排出量を低減させることができることを意味する.ま た,水素火炎ジェット点火法を用いると,圧縮比9 程度の高温高圧条件においては,希薄点火限界を当量 比0.35 まで下げることができた. 6.ジェット点火法では,壁面熱流束自体は通常点火に比べて大きな値が持続するが,燃焼時間が短縮さ れるため,内燃機関への運用時の定格エンジン回転数の増大が見込まれ,熱機関としての効率を考えた場 合,通常燃焼に比べて必ずしも熱損失が大きくなるとは限らない. 論文審査結果の要旨 本論文は,既存の熱機関と比較して熱効率の向上および排ガスのクリーン化が見込まれる希薄予混 合燃焼を用いる際に,火花点火方式と比較してきわめて短時間に確実な燃焼を達成することができる 水素火炎ジェット点火法に関する研究である.希薄燃焼は,発電用に使われるガスエンジンなど,高 効率エネルギー変換が要求される場での利用が期待されているが,火炎伝播速度が小さく,また燃焼 が不安定であることがその普及を妨げる要因となっている.特に,大型のエンジンにおいては火炎伝 播時間の増大による等容度の低下,および伝播途中の消炎による燃焼効率の低下が大きな問題である. 本研究では,水素火炎ジェット点火法による燃焼時間短縮効果を,キャビティーにおけるジェットの 生成と主燃焼室での火炎伝播現象を統合的にとらえてその特徴を明らかにしており,工学的にきわめ て有意義である.また,火炎ジェットが壁面に到達することにより発生する比較的大きな壁面熱損失 が熱効率に及ぼす影響に関して検討しており,実際のエンジン設計に対しても有益な指針を与えてい る. 第1 章は序論であり.本研究の背景,既存技術の現状,および本研究の目的に関して的確に言及し ている. 第2 章は,本研究で用いた実験装置および計測手法を説明している. 第3 章では,水素火炎ジェット点火法による燃焼時間短縮効果について,水素を用いる有用性,キ ャビティー形状,点火位置の影響を調べることにより,燃焼時間短縮に寄与する因子の特定を行って いる.その結果,ノズルから噴出される火炎ジェットによる軸方向への熱輸送と高温ジェットから半 径方向への火炎伝播により,燃焼室内予混合気の急速な燃焼が達せられることを示している.このた め,火炎ジェット速度が小さい場合には軸方向への伝播が阻害され,一方,火炎ジェット速度が大き すぎる場合は,火炎の伸長により半径方向への火炎伝播が阻害されるため,主燃焼室での燃焼時間を 極小とする適切なジェット速度が存在することを示している.また,キャビティー内でのジェット生 成時間も,総燃焼時間に対して大きな因子となっていることを示しており,このため,ジェット速度 を確保しつつ,点火後には短時間で火炎ジェットが発生するための点火位置設計の必要性を述べてい る. 第4 章では,水素火炎ジェット点火法を希薄予混合気に適用した結果について考察している.火炎 ジェット点火法を用いることで,当量比0.6 という希薄予混合気に対して,当量比 1.0 の予混合気に火 花点火を行った際と同じ時間での燃焼達成を確認している.また,当量比0.6 における既燃ガスの排 ガス測定を行い,NOx 生成量が極めて小さいことも確認している.さらに,排ガス測定の結果から燃 焼効率を求めており,その結果,火炎ジェット点火法を用いることにより,当量比0.6 以下の希薄予

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混合気に対して,火花点火法と比べて燃焼効率を1 近くの高い値に保っていることを報告している. また,エンジン内部の状態を模擬した急速圧縮機での燃焼試験も行っており,当量比0.34 という極め て希薄な予混合気においても着火が行えることを示した. 第5 章では,水素火炎ジェットによる燃焼時間短縮効果に対して,火炎ジェット速度,ラジカル濃 度をパラメーターとして,どちらの因子が燃焼時間短縮に寄与しているかを検討している.その結果, 火炎ジェット発生による対流熱輸送と火炎面積の増大が主要因であることを明らかにしている. 第6 章では,水素火炎ジェットによる壁面熱流束の計測と,壁面熱損失が熱効率に及ぼす効果につ いて検討している.その結果,水素火炎ジェット点火法では,火花点火法と比較して主室において2 倍,キャビティーにおいて3 倍,ノズルにおいて 6 倍程度の熱流束があること,また,各要素におけ る表面積を考慮すると,主室における熱損失が支配的であることを示している.一方で,熱機関に適 用した場合の熱効率に与える影響を議論する場合は,熱流束値そのものではなく,機関速度を考慮す る必要があることを述べており,機関速度に強い相関のある燃焼速度時間で積分した値を比較した結 果,水素火炎ジェット点火法における壁面熱流束の影響は,火花点火法と比較して,ほぼ同程度を見 積もられることを明らかにしている. 第7 章は,各章の結論を総括した結論である. 最終試験結果の要旨 審査委員会は,本論文が学位論文として十分な内容と価値ある知見を含むこと,申請者が専 門の分野で学位授与にふさわしい専門知識と語学力を有することを確認し,最終試験に合格と 判定した. 発表論文(論文名、著者、掲載誌名、巻号、ページ) 1. 論文名 水素火炎ジェット点火法による燃焼制御 (キャビティー内における熱流束) 著者 鬼頭俊介,若井和憲,高橋周平,小森勝夫 掲載学術誌 日本機械学会論文集,B 編,67 巻 658 号,(2001), pp.248-252 2. 論文名 Ignition limit of lean mixture by hydrogen flame jet ignition

著者 S. Kito, K. Wakai, S. Takahashi, N. Fukaya and Y. Takada 掲載学術誌 JSAE Review, Vol.21,No.3, (2000), pp.373-378

3. 論文名 水素火炎ジェット点火法による燃焼制御 (水素-酸素火炎ジェットの効果) 著者 鬼頭俊介,若井和憲,高橋周平,小森勝夫 掲載学術誌 日本機械学会論文集,B 編,65 巻 640 号,(1999), pp.257-263 4. 論文名 水素火炎ジェット点火法による燃焼制御 (熱流束および NOx) 著者 鬼頭俊介,若井和憲,高橋周平,深谷直弘,小森勝夫 掲載学術誌 日本機械学会論文集,B 編,65 巻 633 号,(1999), pp.303-308 参考論文

1. 論文名 Study on Woody Biomass Stirling Cycle for Cold Region Houses, 著者 Shin'ya Obara Shunsuke Kito, Akira Hoshi, Seizi Sasaki

掲載学術誌 International Journal of Energy Research, Vol. 33, Issue 2, 2009, February, pp.152-163

2. 論文名 Exergy Analysis of Woody Biomass Stirling Engine and PEM-FC Combined System with Exhaust Heat Reforming

著者 Shin'ya Obara, Itaru Tanno, Syunsuke Kito, Akira Hoshi and Seizi Sasaki

掲載学術誌 International Journal of Hydrogen Energy, Vol. 33, Issue 9, 2008, May, pp. 2289-2299

3. 論文名 Energy Balance of Stirling Engine Cogeneration and Installation Potentiality to Cold Region Houses

著者 Shin'ya Obara, Syunsuke Kito, Akira Hoshi and Seizi Sasaki

掲載学術誌 Journal of Environment and Engineering, JSME, Vol. 2, No. 4, 2007, October, pp. 696-707 4. 論文名 Dynamic Characteristics of PEM-FC / Woody Biomass Engine Hybrid Micro Grid

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掲載学術誌 Journal of Thermal Science and Technology, JSME, Vol. 2, No. 1, 2007, May, pp. 111-122 5. 論文名 Fluid Flow and Heat Transfer in the Transition Process of Natural Convection over an

Inclined Plate

著者 Katsuo Komori,Shunsuke Kito, Toshihisa Nakamura, Yoshiaki Inaguma and Terumi Inagaki

掲載学術誌 Heat Transfer – Asian Research,30(8), (2001), pp.648-659

6. 論文名 Natural Convection Heat Transfer Along a Vertical Flat Plate with a Projection in the Turbulent Region

著者 Katsuo Komori,Shunsuke Kito, Terumi Inagaki and Norio Mizoguchi 掲載学術誌 Heat Transfer – Asian Research, 30(3), (2001), pp.222-233 7. 論文名 傾斜平板上自然対流の遷移過程における流動と熱伝達 著者 小森勝夫,鬼頭俊介,中村俊久,稲熊義昭,稲垣照美 掲載学術誌 日本機械学会論文集,B 編,66 巻 652 号,(2000), pp.126-131 8. 論文名 乱流域に突起を設置した垂直加熱平板上の自然対流熱伝達 著者名 小森勝夫,稲垣照美,鬼頭俊介,溝口憲郎 掲載学術誌 日本機械学会論文集,B 編,65 巻 640 号,(1999), pp.189-194

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