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正常ラット及び多食ラットの血清脂質に及ぼす食餌組成の影響

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(1)

研 究 報 文

正 常 ラ ッ ト及 び 多 食 ラッ トの 血 清 脂 質 に

及 ぼ す 食 餌 組 成 の 影 響

説 田 武,桑 原 敦 子,田 中 直子

神野 和美,米 丸 高 子

The Effect of Diet Composition on the Serum Lipids in the Normal and Polyphagic Mice.

Takeshi Setsuda, M.D., Atsuko Kuwabara,

Naoko Tanaka,

Kazumi Jinno and Takako Yonemaru.

1. は じ め に 糖 質 や 脂 肪 の 過 剰 摂取 が 成 人 病,と くに 動 脈 硬 化 症, 高 脂 血 症,虚 血 性 心 疾 患 な ど の発 症 と 関 連 が あ り,ま た 過 食 が 単 純 性 肥 満 を発 症 しや す い と一 般 に 考 え られ て い る 。 我 々1)'2)'3)は先 きに ゴ ー ル ドチ オ グ ル コー ス (GT)の 注 射 に よ り視 床 下 部 の 満 腹 中 枢 を 障 害 した マ ウ スを 標 準 飼 料 で 飼 育 す る と多 食 が 起 こ り,体 内で は 脂 質 代 謝 に 異 常 を 来 た して 肥 満 が 起 こ る こ とを 報 告 し た 。 今 回 は 食 餌 組 成 の 変 化 が正 常 マ ウス 或 い は 多 食 マ ウ ス の 血 清 脂 質 或 い は 体 内 の 脂 質 代 謝 に 及 ぼす 影 響 を 知 る 目的 で,我 々は 正 常 マ ウス 或 い はGT注 射 に よ って 惹 起 した 多 食 マ ウス を 標 準 食,高 脂 肪 食 或 い は 高 糖 質 食 で そ れ ぞ れ 飼 育 して 血 清 脂 質 及 び体 内 の 脂 質 代 謝 に 及 ぼ す 影 響 を 比 較 検 討 した 。 H. 実 験 材 料 及 び 実 験 方 法 体 重15g前 後 のdd系 雄 マ ウス を一 定 の 温 度(23土 2℃)と 湿 度(40±100)で 照 明 時 間 を 一 定 に保 った飼 育 室 内 で1週 間 飼 育 した 後,実 験 に用 い た 。 正 常 マ ウス に標 準 食,高 脂 肪 食或 い は高 糖 質 食 を 水 と共 に 自 由 に 与 え て そ れ ぞ れ27週 間,14週 間 或 い は12 週 間 に わ た り経 過 を 観 察 し,そ れ ぞ れ 標 準 食 群,高 脂 肪 食 群 或 い は高 糖 質 食 群 と した 。GTの 中 毒 量(体 重 g当 り1mg)を ゴ マ油 に 懸 濁 し て マ ウ ス の 腹 腔 内 に 1回 注 射 して 多 食 を起 こ させ た マ ウス を標 準 食,高 脂 肪 食 或 い は 高糖 質 食 で そ れ ぞ れ27,14或 い は14週 間 飼 育 した 。 標 準 食 と して は オ リエ ンタ ル 酵母 会 社 製 の マ ウス 飼 育 用MFを 用 い た が,そ の 成 分 組 成 を 表1に 示 す 。 高 脂 肪 食 と高 糖 質 食 の 成 分 組 成 を 表2に 示 す 。 各 群 に つ い て 血 清 中 の 総 コ レス テ ロ ー ル(Ch), HDL-Cb, HDL-Ch/総Ch比,中 性 脂 肪(TG),遊 離 脂 肪 酸 (FFA),リ ン脂 質(LP)及 び 肝 のTGとFFAを 測 定 す る と共 に血 漿 の イ ンス リ ン,コ ル チ コス テ ロ ン及 び リポ プ ロ テ ィ ン ・リパ ー ゼ 活 性(PHLA)を 測 定 した 。 肝,膵 ラ氏 島,副 睾 丸 脂 肪組 織(副 睾 脂),動 脈 の 組 織 学 的 検索 を も行 な った 。

Table 1. Composition of the standard chow

京都女 子大 学食物 学科栄養学 第1研 究 室(栄養生理 学) 粗 蛋 白質 粗 脂 肪 粗 灰 分 粗 繊 維 可 溶 性 無 窒 素 物 エ ネ ルギ ー(kca1/9) 22.400 4.3 6.6 3.9 49.3 3.5

(2)

2

Table 2. Composition of the fat-rich and carbohydrate-rich chow 一 喰 一 局

7 3 7 7 8 9 9 9 1 4 7 糖 一 8 . 3 . 6 . 4 3 . 0 . 0 . 0 . 仏 三 一 品 一 1 2 4 食 一 筋 肪 一 7

J J J J J J J J J 9 . b 日 一 良 uqu 円 6 A 1 A 吐 円 Jnunu ハ U ハ U A 吐 げ H 一 1 2 2 1 1 高 一 三 ン チ 糖 油 ド 塩 末 ル ン ン 川 一 一 一 一 粉 切 リ 叫 一 一 イ タ ユ ン パ チ 。 ス 豆 一 機 ス コ 一 一 ニ 一 一 ゼ ン p f ロ 化 ス ル 一 分 一 一 ラ タ ル J 、 不 一 一 見 一 カ コ グ 大 ラ 無 ピ セ 塩 シ エ 一 H 厄 一 * * 一 一 *

*

McCollum's salt mixture 林パンビタン末(武田) 血清の各脂質の測定: 血清の総 Chは Zak-Henly4)法, TGは Fletcher防 法, FFA は Itaya-Ui6)改良法, PL は

Hopfmayr-Fried7 )法 lとより測定した.血清の HDL-Chはリン・ タングステン酸・MgCb8) 法lとより測定した。すなわ ち,血清にリン・タングステン酸 Naと MgCbを加 えて LDL(low density lipoprotein)とVLDL(Very low density lipoprotein)を沈殿させ,上澄中 lと残った HDL (high density lipoprotein)に含まれるコレステ ローノレを化学的に測定した。 血乗のリポプロティン・リバーゼ活性 (PHLA) の 測定は, 福井9) らの方法に従い, 活性化基質緩衝液 (Intralipid +人血清)にへパリン静注後の血乗を加え て 370 C で30分間作用させて生じた FFAを比色定量 した。 血清のインスリン値は,持田製薬のインスリン RIA キットを用いて測定した。血清のコノレチコステ ロン値は, Zenker10 ) の改良法に準じて盤光測定を行 なった. 肝の TG と FFAの測定:肝切片約 300mgをク ロロホノレム・メタノーjレ混液 (2:1v/v) 中で氷冷しな がらホモジナイズし, 上澄を Folch法で水洗し, 3,000 rpmで10分間遠沈して得た下層のクロロホjレム を除去した後, Isopropanol を加えて抽出したものに ついて TG と FFA を測定した。 組織学的検索:エーテノレ麻酔下で採血,致死させた マウスから肝,勝,

g

l

J

宰脂,副腎を摘出し,謄はプア ン固定,その他は 10~ぢホルマリン水溶液で固定した後, へマトキシリン・エオジン (HE)染色を行なった。肝 食物学会誌・第38号 と副腎の切片を直ちに O.C.T. (アモス社製)で包埋 した後,コーノレドトームを用いて凍結切片を作りズダ ン皿による脂肪染色を行なった. 勝ラ氏島の α・細胞 を Grimelius法で染色し, β細胞の数を間接的に求め, 又ラ氏島の面積を Abbe式描画装置とプラニメーター を用いて測定した。 Ill. 実 験 成 績 1. 正常マウスを標準食,高脂肪食或いは高糖質食 で飼育した際の血清脂質及び体内の脂質代謝の変動 1. 一般的所見:標準食群では前値が平均 19.9g であった体重が漸増し20週では約 2倍に増加したが, 以後27週までは殆んど変化がなく,又 1日の平均摂取 エネノレギーは前値が平均 9kcal で,体重と略々同様 の増加傾向を示した。

(

F

培.

1

2

)

マウスの主存率は 60% (85匹中51匹が生存)であった。高脂肪食群では, 体重は9週まで増加傾向を示したが,以後14週までは 殆んど変化がなく,又1日の平均摂取エネノレギーは僅 かに増加の傾向を示した。 (Fi~.

1

2

)

マウスの生存率 は 4 週が87~ぢ, 7 週が56~ぢ, 10週が37%,14週が25% であった。脱毛が 3週頃から現われ,肝表面に白斑を 認めたものが数例あった。高糖質食群では,体重は 4 週までは軽度に増加したが,以後減少して9" , ,10週で は前値に戻り, 12週では前値を僅かに下回った。又,

1

日の平均摂取エネノレギーは 2週後にやや増加したが, 以後減少傾向を示した。 (Fig.1, 2)マウスの生存率は 4週が90労, 7週が55%,10週が23%と著減した。マ ウスは毛並が悪く, 4週以後急に衰弱し,動作が純く, 便秘の傾向を認めた。 2. 血清脂質の変動 標準食群では,血清の総 Chは前値が平均 92mg/ dlで, 10週までは変化がなく, 14週以後に増加した が, HDL-Ch は前値が平均 69mg/dlで 7週以後 軽度に減少した。 HDL-Chj総 Ch比(箔)は前値が平 均75~ちで 14週以後に減少した。 (Fig.3) 血清の TG は 前値が平均 88.3mg/dl で 7",-,,10週後に増加したが, PL と FFA は前値がそれぞれ平均 200mg/dl と 824μEq/lで,いずれも週を追っての変化はみられな かっ 7こ。 (Fig.4) 高脂肪食群では,血清の総 Chは10週以後増加した が, HDL-Chは軽度に減少した。従って, HDL-Ch/ 総 Ch比は減少し,標準食群の値を下回った (Fig.3) 血清の TGは10週以後軽度に増加し, PLも4" , ,10週 後に増加したが, FFA には変化がなかった。 (Fig.4) 高糖質食群では,血清の総Chは 4,,-,10週後に増加し

(3)

。 園 田 園oST ANDARD CHOW ←---0 FAl-RICH CHOW 0

oCARBOHYDRATE-RICH CHOW

60

50

ハ U f 付 。)﹂ z o -⋮ 室 ﹀ Q O 国

30

27

VIEEK

Variations of body weight in the normal mice fed on the standard, fat-rich or carbohydrate-rich chow 恒 園 田 園oSTANDARD CHOW bー-<> FAT-RICH CHOW 0-・ーー。 CARBOHYDRATE-RICH CHOW

20

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7

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Fig. 1.

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( ﹀ dQ¥ ﹂︿ U ¥)凶 v -︿ト ZH ﹀白区 UZ 凶 ﹀ ﹂ ︼ ︿ 巳

30

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27

1IEEK Variations of daily energy intake in the normal mice fed on the standard

fat-rich or carbohydrate-rich chow

20

14

1

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7

Fi昌.2.

(4)

食物学会誌・第38号

STANDARD CHOW - -FAT-RICH CHOW 晶 一 . < > CARBOHYDRATE-RICH CHOW

- 4

160 140 80 120 100 ( J Q ¥ O Z ) 工 U J ︿ト oeFZD 区 一 次 一

90 70 ( J Q ¥ ω 乞)ヱ U 1﹂︹ E Z α u ω 50 30

( 杭 ) O H ↑ ︿ 庄 工 U J 4 ↑ o ト ¥ 工 U 1 ﹂ ( ] 工 27" WEEI Variations of serum total cholesterol and HDL-cholesterol levels in the normal mice fed on the standard, fat.rich or carbohydrate-rich chow 20 14 10 7 4 Fi忌.3. た。血清のコノレチコステロン値は前値が平均 6.5μg/ dlで10週以後に増加した。 高脂肪食群と高糖質食群では,いずれも血清のイン スリン値に著変がないが,血清のコルチコステロン値 が 4週以後に増加した。 5. 血柴の PHLA値の変動 (Fig.7) 標準食群では,血援の PHLA値は前値が平均O.15

μmol FF A/ml/minで10週後に著増し,以後27週まで 軽度に増加した。 高脂肪食群と高糖質食群では,血授の PHLA値は 10週までは変化がなく,標準食群の値を下回ったが, 高脂肪食群では14週後に増加を,また高糖質食群では 12週後に減少を示した。

6

.

肝,副腎,副幸脂及び捧ラ氏島の組織学的変化 標準食群では,マウスの発育に伴い肝の脂肪沈着が 増加し,又副宰脂の脂肪細胞が増大傾向を示した。捧 ラ氏島の面積は前値が平均 11.OX103 /-(-2で週を追って 増大傾向を示し, 27週では有意の増大(平均18.7X たが, HDL-Chは軽度に減少した。 HDL-Ch/総Ch 比は減少し,標準食群の値を下回った。 (Fi邑.3)血清 の TGと PLは4"""-'10週後に増加し, FFAも10週 後に増加した。 (Fi邑.4) 3. 肝の TG及び FFAの変動 (F培.5) 標準食群では,肝の TGは前値が平均 13.6mg/g で14週後に軽度の減少を示したが, 20週以後は増加し た。肝の FFAは前値が平均36.5μEq/gで14週まで は次第に著減したが,それ以後は回復の傾向を示した。 高脂肪食若手では,肝の TGと FFAは次第に著減 した。 高糖質群では,肝の TGは10週後に軽度の増加を 示した。肝の FFAは10週までは軽度に減少したが, 標準食群との聞に大差がなかった。

4

.

血清のインスリン及びコノレチコステロン値の変 動 (Fig.6) 標準食群では,血清のインスリン値は前値が平均 10μU/mlで20週までは著変がなく, 27週後に増加し

(5)

回 目 ーSTANDARDCHOW ιー _ "FAT-RICH CHOW ← __DCARBOHYDRATE -RICH CHOW (﹂口¥臼乞)匂ト Z コ 区 一 U ω , . . . , 1600 ....J 、¥

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3

1200 二L

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800 L.L 芝 = コCピ w ι/コ 400

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V

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chow

20 14 10 7 4

Fi

昌.

4

.

均40~44/ ラ氏島)した。 高iJ腎皮質のズダン相粒は4-10週で増加したが, 12 週では減少した。 II. 多食マウスを標準食,高脂肪食或いは高糖質食 で飼育した際の血清脂質及び体内の脂質代謝の変動 1. 一般的所見

GT

注射後1週以内に 180匹中28%のマウスが中毒 死したので,残りの生存マウスを標準食で 27週間飼育 したと乙ろ,約 305ぢのマウス (39匹)では 4~14週後 に体重が直線的に著増したが, 14週以後は体重の増加 が緩慢となり, 27週以後は体重の増加が殆んどみられ なかった。

(

F

i

邑.8) 1日の平均摂取エネノレギーは25週 までは次第に増加したが,それ以後は減少傾向を示し fこo(Fi~.

9

)

肝,捧,副章脂の重量は漸増し,肝は黄色をおび, 20週以後は肝の割面に“にくずく肝"様の像を認めた。

GT

注射マウス230匹中, 1週以内に35箔のマウス が中毒死したので,残りの生存マウスのうち 72匹を高 脂肪食で,また 77匹を高糖質食でそれぞれ14週間飼育 103μりを示した。 α・細胞の数は前値が平均22/ラ氏 島でか細胞とともに週を追って増加の傾向を示し, 20週では有意の増加(平均35/ラ氏島)を示した。副 腎皮質のズダン頼粒は14週で増加したが, 20週以後は 僅に減少の傾向を認めた。 高脂肪食群では,肝の脂肪沈着は軽度で, 14週では 肝細胞に殆んど脂肪頼粒を認めず,著明な細胞浸潤と 肝細胞の壊死を認めた。副宰脂の脂肪細胞は 4週以後 僅かに増大傾向を示した。搾ラ氏島の面積は10週以後 に有意の増大(平均20.8X 103μ2)を示したが, α 胞数には変化がなかった。副腎皮質のズダン頼粒は 10週以後著増したが,皮質の幅には著変がなかった。 高糖質食群では,肝細胞の脂肪沈着が10週で増加し たが, 12週では殆んど脂肪頼粒を認めず,肝細胞の配 列の乱れや細胞浸潤と肝細胞の壊死が数例にみられ た。副宰脂の脂肪細胞は4週で増大傾向を示したが, 10週では細胞が縮少する傾向を認めた。捧ラ氏島の面 積は4週以後有意の増大(平均21.1X103μ2)を示し, 又 α・細胞も有意の増加を示し, 10週以後は著増(平

(6)

食物学会誌・第38号 自 由 司STANDARD CHOW ----"FAT-RICH CH0¥1 '・・-00 CARBOHYDRATE-RICH CHOW - 6 30 20 ( 巴 凶 ﹀ 日 J L 0 0 ¥ 白乞)白ト即日 ω ﹀︼﹂

80 40 20 ( 匡 凶 ﹀ コ 比 00¥σ 凶 ﹁ 4) ︿ L 比区一 ω ﹀ コ 27 WEEK

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h

chow

20 14 10 7 4

Fi

昌_

5

.

高脂肪食で飼育した多食マウスでは, 血清の総

Ch

が漸増し,

HDL

Ch

が減少した結果,

HDL-Ch/

Ch

比が漸減した。

(

F

i

.

1

0

)

血清の

TG

4

週後に 増加したが,その後は漸減し,また

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4

"

"

"

-

'

1

0

週 後に減少した。血清の

PL

1

0

週以後増加して標準 食の場合を僅かに上回った。

(

F

i

g

.1

1

)

高糖質食で飼育した多食マウスでは,血清の総

Ch

は高脂肪食の場合と同様,漸増したが,

HDL

Ch

は 漸減した。従って,

HDL-Ch/

Ch

比は漸減した。 (F培

.

1

0

)

血清の

TG

は高脂肪食の場合と同様, 後に増加したが,その後漸減した。 血清の

FFA

には著変がなく,また

PL

4

週以 後に漸増した。

(

F

i

g

.1

1

)

3

.

肝の

TG

FFA

の変動

(

F

i

g

.

1

2

)

多食マウスを標準食で飼育すると,肝の

TG

1

0

週以後次第に著増し,肝の

FFA

2

0

週後まで著減し た。 4週 多食マウスを高脂肪食或いは高糖質食で飼育すると, 肝の

TG

1

0

週までは著減したが,

1

4

週後には高脂 肪食の場合は増加を,高糖質食の場合は減少を示した。 肝の

FFA

は高脂肪食,高糖質食ともに減少したが, した。 高脂肪食で飼育したマウスの体重は

1

2

週までは漸増 したが,それ以後は減少し,全体として標準食で飼育 した場合を大きく下回った。しかし,そのうちの 2 例は体重が急速に増加して高度の肥満を来たした。 (F培.8) 1日の平均摂取エネルギーは5週以後増加し たが,標準食の場合に比べると著明に少なかった。

(

F

i

g

.

9

)

高度に肥満した

2

例では肝,勝,副宰脂の重 量が著増し,肝の割面では“にくずく肝"の像を認め た。 高糖質食で飼育したマウスでは,体重が 5週まで増 加したが,それ以後は体重が殆んど増加しなかった。

(

F

i

g

.

8

)

1

日の平均摂取エネルギーは

3

週までは増加 したが,その後は漸減した。

(

F

i

g

.

9

)

2. 血清脂質の変動 標準食で飼育した多食マウスでは,血清の総

Ch

は 漸増したが,

HDL-Ch

は漸減した。従って,

HDL-Ch/

Ch

比は漸減し,

2

0

週以後は有意の減少を示し た。

(

F

i

邑.

1

0

)

血清の

TG

7

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2

0

週後に増加し,ま た

FFA

1

0

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2

0

週後に増加した。 血清の

PL

1

0

週以後に漸増した。

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F

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.

l

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)

(7)

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Eピ w Uラ 芝 ﹁ ︺ 江 U 的 27 WEEK

Variations of serum insulin and corticosterone levels in the normal

mice fed on the standard, fat-rich or carbohydrate-rich chow

_STAtWARD CHOW ←-FAT-RICH CHOW ...••• CARBOHYDRATE-RICH CHOW 20 14 10 7 4 Fi忌.6. 0.6r 0.5 0.4 0.3 0.1

2 ( z -Z ¥ J Z ¥ ︿ u E ﹂ OE ユ)︿ J Z 牛 4 Z 凶 ︿ ﹂ 仏 27 ..WEEK

Variations of plasma PHLA levels in the normal mice fed on the

standard

fat-rich or carbohydrate-rich chow 20 14 10 7 4 Fi邑.7.

(8)

食物学会誌・第38号 a・・圃コ STANDARDCHOW

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fat-rich or carbohydrate-rich chow

20

1

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Variations of daily energy intake in the GT-induced polyphagic mice fed on the standard

fat-rich or carbohydrate-rich chow

20

1

4

10

7

4

Fi邑.9.

(9)

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fat-rich or carbohydrate-rich chow 14 10 7 4 Fig_

1

0

.

6. 組織学的変化 多食マウスを標準食で飼育すると,肝の脂肪沈着が

1

0

週以後著明となり,

2

0

週後には肝細胞の配列が乱れ, 核の染色が不良であった。副宰脂の脂肪細胞は体重増 加に伴い著明に肥大した。醇ラ氏島の面積は

1

0

週以後 有意に増大

(

2

2

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4

5

.

4

X

1

0

3μ2)し,戸-細胞の増加と 脱頼粒を認めたが, α-細胞には著変がなかった。副腎 皮質のズダン頼粒は14週以後著増し,

2

0

週後には皮質 の幅が増大した。 多食マウスを高脂肪食で飼育すると,肝細胞の脂肪 沈着は漸減したが, 14週後に肥満を発症した2例(体 重が

5

8

gと

5

3

.

5

g)では肝細胞の脂肪沈着が著明で あった。副宰脂の脂肪細胞は4週以後肥大の傾向を示 したが,肥満した2例では脂肪細胞の肥大が顕著であ った。席ラ氏島の面積は 4週以後増加の傾向を示し,

1

0

週以後は有意に増加

(

2

0

.3

-

-

-

-

-

2

5

.

9

X

1

0

3 p.2)した。 α 細胞は14週後に増加の傾向を示した。副腎皮質のズ夕、、 ン頼粒は4週後に増加したが,

1

0

週以後は減少傾向を 血清のインスリン及びコjレチコステロン値の変 動 (Fig.

1

3

)

多食マウスを標準食で飼育した場合は,血清のイン スリン値は14週以後次第に著増し,また血清のコノレチ コステロン値も

1

0

週以後増加した。 多食マウスを高脂肪食で飼育すると,血清のインス リン値に変化がないが,血清のコルチコステロン値は 4週以後増加した。 多食マウスを高糖質食で飼育すると,血清のインス リン値は

1

0

週以後軽度に増加し,また血清のコノレチコ ステロン値は4週以後増加した。 5. 血祭の PHLA値の変動 (Fi邑.14) 多食マウスを標準食で飼育すると,血楽の PHLA 値は

1

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週以後有意に増加した。多食マウスを高脂肪食 或いは高糖質食で飼育すると, PHLA 値が

1

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週以後 増加したが,標準食の場合に比べて下回った。

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週以後の減少は標準食の場合に比べて軽度であっ fこ。

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(10)

食物学会誌・第38号

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WEEK Variations of serum TG

FFA and PL levels in the GT-induced polyphagic mice fed on the standard, fat-rich or carbohydrate -rich chow 20 14 10 7 4 Fi昌.11. の変動は,正常マウスが発育に伴って示す正常のパタ ーンであるが,一日の摂取エネノレギーと体重の増加に 伴 い 血 清 の 総 Chが 14週以後増加するのに反し, HDL-ChとHDL-Ch/総Ch比が減少の傾向を示し た。血清の TGは 7,,-,10週後に増加したが,それ以 後は著変がなく,また PHLA値は7週以後軽度に増 加した。血清のインスリン値及び肝の TGは20週以 後増加した。 従って,血中のインスリンの増加は肝における TG の合成と,また血中の PHLA値の増加は血中の TG 値の維持と関係があるように思われる。血中のコノレチ コステロン値が 10週以後増加したが,血中及び肝 のFFA値に変化がみられなかったことから,コノレチ コステロンが直接体内の脂質代謝,とくに脂肪分解に 関与したとは考えがたい。 勝ラ氏島が週を追って肥大し

s-細胞が増加したと とは,インスリン分泌の充進,引いては血中インスリ ンの増加と関係があり,体内での TG合成の促進を 示した。しかし,高度に肥満した2例は,皮質の幅の 増大とズダン頼粒の著増を示した。 多食マウスを高糖質食で飼育した場合,肝細胞の脂 肪沈着は10週以後軽度となり, 14週後には肝細胞の壊 死と細胞浸潤を認めた。副宰脂の脂肪細胞は4週後に 肥大傾向を示した。 障ラ氏島の面積は 10週以後増大 (21.6 ,...___22.4X 103μ2) し, α・細胞が10週以後に有意の増加 (45,...___42/ ラ氏島)を示した。副腎皮質のズダン頼粒は4週後に 増加したが, 10週以後は減少し,皮質の幅も減少した。 察 正常マウス及び GT注射によって発生した多食マ ウスをそれぞれ標準食,高脂肪食或いは高糖質食で飼 育した際の血清脂質及び体内の脂質代謝の変化につい て比較,検討したいと思う。

1

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正常マウスの場合 正常マウスを標準食で

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週間飼育した際の血清脂質 考

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Variations of liver TG and FFA levels in the GT-induced polyphagic

mice fed on the standard

fat-rich or carbohydrate-rich chow 20 14 10 7 4 Fi忌.12. 鏡村ら12)によれば,シュクローズの摂取により血中の コレステローノレ及ひー TG が増加するという。血中で は TG が4週後に増加したがその後減少し,また FFAが10週後に増加した。肝では TGと FFAが10 週以後に増加の傾向を示した。従って,高糖質食の摂 取により体内では TG合成が促進したと思われるが, 摂食量が減少するにつれて体内では脂肪分解が冗進し, 生じた FFAがエネノレギー源に利用され,その結果体 重が著しく減少したものと考えられる。とのととは謄 ラ氏島の α・細胞及び百JI腎皮質のズダン頼粒が4週以 後増加し,クツレカゴンとコノレチコステロン分泌の尤進 を示唆したととからも理解出来る。いずれにせよ,高 糖質食でマウスを長期間飼育するととは,高脂肪食で マウスを飼育する以上に困難である乙とを示している。 多食マウスの場合 GT注射により視床下部性多食を起とさせたマウス を標準食で27週間飼育すると,摂取エネノレギーと体重 が次第に著増し,血中では総 Ch が次第に増加して HDL-Chと HDL-Ch/総 Ch比が減少した。血中及 TG が週を追って増加したが,これは血中の 日 び肝の 示唆する。 正常マウスをラード含有量の多い高脂肪食で14週間 飼育した場合,最初の4週間は1日の摂取エネノレギ、ー が標準食群を上回ったが,それ以後は減少して標準食 群を僅かに下回り,体重増加も標準食群を可成り下回 った。血中では総 Chが4週以後増加したが,反対に HDL-Ch及び HDL-Ch/総 Ch比が減少した。ラー ド含量の多い食餌で飼育したラットの血中ではコレス テロールが増加するという報告11)がある。血中の TG が10週以後僅かに増加したが,血中のインスリン値に 変化がなく,また肝の TG が著減したことから,恐 らく食餌に由来する外因性 TG の血中増加によるも のと思われる。 正常マウスをシュクローズ含量の多い高糖質食で12 週間飼育した場合,最初の 5日間は 1日の摂取エネル ギーが標準食群を上回ったが,それ以後は著減して体 重の増加も著しく阻害された。体重の増加は高脂肪食 群よりも不良で, 10日以後は実験開始時の体重を下回 った。血中では総 Chが増加して HDL-Ch及び HDL・Ch/総 Ch比が減少或いは減少傾向を示した。

(12)

食物学会誌・第38号

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-、 、、 = コ= ) z 【 ...J ニ コ cf) z: 円 玄 = コ 白Z UJ (/) 50 40 30 20 10 27 WEEK Variations of serum insulin and corticosterone levels in the GT -induced polyphagic mice fed on the standard

fat-rich or carbohydrate-rich chow 20 14 10 7 4 Fi忌.13. PHLA値と TG値が類似の変動を示した。インス リンは TG合成を促進し,血中に増加した TGをリ ポプロティン・リバーゼが分解して脂肪組織の脂肪蓄 積を促進すると考えられる。従って,血中の TG,イ ンスリン及び PHLA値が類似した変動を示すことは 当然と思われる。謄ラ氏島が体重の増加に伴い著明に 肥大し, 14週以後は β細胞の増加と脱頼粒を認め, インスリンが著増したととから,肝での TG合成が 冗進して内因性 TGが増加した結果であろうと思わ れる。血中の PHLA値が10週以後に著増したが,こ のことは血中に増加した TGを分解して脂肪組織へ の脂肪蓄積を促進した乙とと関連しているように思わ れる。 Olavil3 ) らは血中の PHLA値とインスリン値 との聞に正の相関を認めたが,我々の成績では血中の

---STANDARD CHOW 』ーーFAT-RICH CHOW

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CARBOHYDRATE-RICH CHOW 0.6 0.2 0.5 0.4 0.3 0.1 (ZHZ¥JZ¥ELLOJo

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27"WEEK

Variations of plasma PHLA levels in the GT-induced polyphagic mice fed on the standard

fat-rich or carbohydrate-rich chow 20 14 10 7 4 Fi昌.14.

(13)

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Comparisons of serum insulin and plasma PHLA levels between the normal and GT-induced polyphagic mice, both of which were fed on th巴standardchow 20 14 10 7 4 Fi岳.15. 飼育した場合を大きく下回り, 5週以後は体重が増加 しなかった。乙のことは,多食マウスでもシュクロー ズ含量の多い高糖質食を長く継続して摂取するととが 不可能である乙とを示めしている。血中では総 Chが 次第に著増し,反対に HDL-Chと HDL-Ch/総 Ch 比が減少した。この点では高脂肪食で飼育した多食マ ウスと同様,高糖質食の多食が動脈硬化症や虚血性心 疾患の risk factorである乙とを示唆する。血中の TGは 4週後に増加した後次第に減少し,肝の TGも 著減したが,血中の FFA は減少せず,肝の FFAも 標準食で飼育した多食マウスを上回った。一方,障で はラ氏島が肥大して α・細胞が増加し, グノレカゴン分 泌の元進を示唆した。従って,高糖質食で飼育した多 食マウスの体内では少なくとも脂肪分解が冗進し,遊 離した FFAがエネノレギー源に利用されたものと考え られる。

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正常マウスと多食マウスの比較 正常マウス及び多食マウスを標準食で27週間飼育し た場合,多食マウスでは正常マウスに比べて一日の摂 取エネルギーと体重増加が遥かに上回り,また血中及 び肝の TG が多く,血中のインスリン値も温かに高 インスリン分泌の冗進を示唆したが, α・細胞には著変 がなかった。和泉14)らも視床下部性肥満ラットの15週 自には醇ラ氏島の著明な肥大と

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細胞の増加を認め たが, α-細胞には著変がなかったという。 多食マウスを高脂肪食で14週間飼育すると, 摂取エネlレギーと体重の増加が標準食で飼育した場合 を大きく下回り,血中では総 Chが増加して HDL-Chと HDL-Ch/総 Ch比が減少した。とのととは, コレステロール含有量の多いラードの多食が動脈硬化 症や虚血性心疾患の riskfactorである乙とを示唆す る。高度に肥満した2例のマウスの血中では総 Chが 著明に増加して標準食群の場合を大きく上回った。血 中の TGが 10週後まで軽度に増加したが,とれは肝 の TG が減少したことから恐らく食餌由来の脂肪が 血中に増加したものと思われる。 多食マウスを高糖質食で14週間飼育した場合は, 日の摂取エネルギーが最初の 5日間は著明に増加した が,その後急減し,標準食で飼育した多食マウスを大 きく下回り,また高脂肪食で飼育した多食マウスより も摂取エネルギーが少なかった。体重の増加も標準食 で飼育した場合に比べて遥かに悪く,また高脂肪食で 1日の 1

(14)

食物学会誌・第38号 NORMAL門1CE

-GT-INDUCED ----POLYPHAGIC MICE 70 50 ( ﹂ 白 ¥ ω 乞 ) 工 U J 4

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( ﹂ Q ¥ U E ) 但﹂﹁芝コ E U ω 27WEEK Cornparisons of serurn cholesterol

HDL-cholesterol and TG levels between the normal and GT-induced polyphagic mice

both of which were fed on the standard chow 20 14 10 7 4

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正常マウス及び多食マウスを高脂肪食で

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週間飼育 した場合,両者とも 1日の摂取エネノレギーと体重増加 の点では大差がなかった。とのととは,マウスでは脂 肪食に耐えうる限度があり,標準食の多食とは異り, 高脂肪食の多食を長く続けるととが出来ないことを示 唆する。従って,血清脂質の変動も正常マウスと多食 マウスとでは大差がなく,血中の総Chは10週後まで は両者とも軽度に増加し,反対に HDL-Chと HDL-Ch/総Ch比は減少の傾向を示した。両者とも血中の TGが増加したが, とれは肝の TGが漸減したこと から,恐らく外因性TGの血中増加によるものと思わ れる。 正常マウス及び多食マウスを高糖質食で飼育すると, 1日の摂取エネノレギーは最初の間は多食マウスのほう が正常マウスを僅かに上回ったが,週を追って両者と も減少した。体重は多食マウスでは次第に軽度の増加 を示したが,正常マウスでは4週まで増加し,それ以 後減少した。血中の総Chは両者とも10週後まで軽度 に増加し,多食マウスでは

1

4

週後も増加したが,正常 値であった。乙の乙とは多食マウスの肝では TG 合成が正常マウスよりも活発である乙とを示す。血中 のPHLA値が正常マウスでは著変がなく,多食マウ スで著増した乙とは,血中に増加した TGを分解し て脂肪組織の脂肪蓄積を促進したととを示唆する。

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多食マウスの血中では正常マウスに比べて総Chが 上回る傾向があり,反対にHDL-ChとHDL-Ch/総 Ch比が下回った。

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この乙とは,標準食の多 食により肥満が発生する他l乙血中ではコレステロー jレが増加して HDL-Chが減少する乙とを示し,矢張 り標準食でも多食すれば高脂血症,動脈硬化症,虚血 性心疾患などの riskfactorとなる乙とを示唆する。 血清のコノレチコステロン値は正常マウスと多食マウス の聞に差がなく,また正常マウスを標準食,高脂肪食 或いは高糖質食で飼育した場合にも血清のコルチコス テロン値に差がなかった乙とから,コjレチコステロン は体内の脂質代謝に直接関係していないのではないか と思われる。 の

(15)

マウスでは12週後に減少した。血中のTGは両者とも 4週 後 に 増 加 し た が , そ れ 以 後 漸 減 し た 。 血 中 の HDL-Ch及びHDL-Ch/総Ch比は両者とも週を追 って減少したが,とくに多食マウスでその傾向が著し いように思われた。 血中の FFA,肝の TG と FFAはいずれも両者の 聞に大差がないが,血中のインスリン及び PHLA値 は多食マウスのほうが,正常マウスより高値であった。 シュクローズ合量の多い高糖質食の多食はマウスの 体重を増加するが,その程度は高脂肪食の多食よりも 弱く,更に標準食の多食よりも遥かに弱い。従って, マウスにとって高糖質食の摂取を続けることは,高脂 肪食の摂取を続けることよりも耐えがたいように思わ れる。しかし,高糖質の程度を低めて長期間多食を続 ければ, 血中ではコレステローノレが増加して HDL-Chが低下する乙とが推測出来る。すなわち,長期に わたる糖質の過剰摂取が肥満の発症の他に,動脈硬化 症や虚血性心疾患などの riskfactor となりうること を示唆する。一般に人では血中の HDL-Chが糖質の 過剰摂取によって減少し,運動によって増加すると云 われている。

V

.

結 5.6. E冊 1. 正常マウスの場合 1. 発育期の正常マウスを標準食で27週間飼育する と, 1日の摂取エネノレギー及び、体重が漸増したが,高 脂肪食或いは高糖質食でそれぞれ14週間或いは12週間 飼育すると, 1日の摂取エネノレギーが5週以後減少し て体重の増加が著しく阻害された。 2. 標準食群では血中の総Chが14週以後軽度に増 加したが,高脂肪食群と高糖質食群ではすでに 4週後 から増加した。 3. 血中の HDL-Chは3群聞に差がないが, HDL-Ch/総Ch比は高脂肪食群と高糖質食群で低値 であった。 4. 血中及び肝の TG は,高脂肪食群では標準食 群に比べて低値であるが,高糖質食群では差がなかっ た。血中の PHLAは両群とも標準食群に比べて低値 であった。 II. 多食マウスの場合 1. GT注射による視床下部性多食マウスを標準食 で27週間飼育すると, 1日の摂取エネノレギーと体重が 週を追って著増した。高脂肪食で多食マウスを14週間 飼育すると, 1日の摂取エネルギーは僅かに増加した のみで体重の増加は標準食の場合を大きく下回った。 高糖質食で14週間飼育した多食マウスでは, 1日の摂 取エネノレギ、ーは次第に著減し,体重の増加が著しく阻 害された。 2. 多食マウスを高脂肪食或いは高糖質食で飼育す ると,血中の総Chは標準食で飼育した場合を上回っ たが,反対に HDL・ChとHDL-Ch/総Ch比が下 回った。 3. 高脂肪食或いは高糖質食で飼育した多食マウス では,血中の TG が4週後に増加したが,その後は 標準食で飼育した場合を下回り,肝の TG も大きく 下回った。 4. 高糖質食で飼育した多食マウスでは,血中のイ ンスリンと PHLA値が標準食で飼育した場合を上回 ったが,高脂肪食で飼育した多食マウスでは差がなか っ7こ。 5. 高指肪食で飼育した多食マウスのうち,高度の 肥満を来たした2例は,標準食で飼育した多食マウス と似た血清脂質の変動を示した。 国. 標準食で飼育した正常マウスと多食マウスの比 較 1. 標準食で飼育した場合,多食マウスは正常マウ スに比べて血中の総 Ch値が高く,反対に HDL-Ch とHDL-Ch/総Ch比が低いが,血中の TGとイン スリン値及び PHLA値が高かった。

2

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標準食で飼育した多食マウスでは,

1

日の摂取 エネルギーと体重増加が標準食で飼育した正常マウス を遥かに上回り,肥満マウスとなった。 3. 標準食を多食するマウスにみられた肥満や血中 のコレステローノレの増加及び HDL-Chの減少は,普 通食でも過食する人は肥満症の他に,動脈硬化症や虚 血性心疾患にかかりやすいととを示唆している。

参 考 文 献

1)説田 武,大井恵子,小田文子,西尾和子,山本 晶子:京都女子大学食物学会誌31,7'"'-'20, 1976. 2)説田 武,飯田優子,小笠原雅子,松井美恵子, 水尾明子,藤川紀子,伊藤淑子,榎本佐代子, 岡本弘子,森本昌親,玉田妙子:京都女子大学食 物学会誌34,1'"'-'10, 1979. 3)伊藤淑子,越智紀代子,説田 武:京都女子大学 食物学会誌35,10'"'-'19, 1980. 4)北村元仕:臨床化学1,19, 1971,中山書庖. 5) Fletcher, M.

J

.

:

Clin. Chim. Acta 22, 393" , ,397, 1968. 6)久城英人,高野圭以,曽山浩吉,福井 峰:臨床

(16)

16 -病理18,833~837, 1970. 7) 久城英人,福井巌:臨床病理 15, 853~857,1967. 8)棲林郁之介:臨床検査23

121~127, 1979. 9)久城英人,高野圭以,首山浩吉,福井 巌:臨床 病理19

622~627, 1971. 10)丹羽正治,他:臨床化学分析 VI,121~125; 148 ~149, 1969,東京化学同人. 食物学会誌・第38号 11)野崎幸久,山本初子:日本女子大学紀要19,149..., 154

1972. 12) 鏡村護,篠原力雄,石黒伊三雄:栄養と食糧 29

391~396, 1976. 13) Olavi,

J

.

et al:

J

.

Clin. Invest. 56, 1180~1117, 1975. 14) 和泉英彦:日本内分泌学会誌54,876~890, 1978.

Table  1.  Composition  of  the  standard  chow
Table 2 .   Composition o f  t h e  f a t ‑ r i c h   and  c a r b o h y d r a t e ‑ r i c h  chow  一 喰 一 局主一 7 3 7 7 8 9 9 9 1 4 7糖一8.3.6.43.0.0.0

参照

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