札幌市では平成 26 年3月に「札幌市教育振興基本計
画」を策定し、今後 10 年間を見据えた「札幌市教育ビ
ジョン」と前期5年間に取り組む「札幌市アクション
プラン(前期)」を示したところです。
札幌市教育研究推進事業(札教研事業)は、札幌市
アクションプラン(前期)の基本施策にあります、自
ら学ぶ喜びを実感できる学習活動の推進「分かる・で
きる・楽しい授業づくり」や教職員の資質・能力の向
上「魅力あふれる教員」を目指し、自主的・主体的な
研究・研修を推進しています。
第1章では、本事業の仕組みについて、また、目的
である校内研究・研修を基盤とした日々の授業改善や
教育活動、業務推進の質的向上を図るとともに、研究・
研修を通して教職員のネットワークを築き、世代を超
えて互いに学び合う教職員を育成することについて説
明しています。
第
1 章
校 内 研 究 ・ 研 修 の 手 引 2 1.経緯 「札幌市教育研究推進事業(札教研事業)」は、「札幌市教育研究 協議会(昭和25年5月創設)」いわゆる「札教研」の研究・研修活 動部分を引き継ぐ形で、平成19年度より新たに教育委員会の事業 と して推進されて今日に至る。 2.目的 札幌市内の小学校・中学校・中等教育学校・特別支援学校の教職員 が、「札幌市教育振興基本計画」及び「札幌市学校教育の重点」等を 踏まえた研究活動を通じてそれぞれの資質の向上、研修に努め、それ によって各学校の教育の振興を図る。 【札幌市教育振興基本計画】 ・基本施策 1-1 自ら学ぶ喜びを実感できる学習活動の推進 ・施策 1-1-1 分かる・できる・楽しい授業の推進 ・基本施策 2-4 教職員の資質・能力の向上 ・施策 2-4-2 魅力あふれる教員の採用・育成 〔主な事業・取組 1-1-1-3/2-4-2-4〕「札幌市教育研究推進事業」 における研究の充実 ◆札幌市教育振興基本計画 今後 10 年間を見据えた 「 札 幌 市 教 育 ビ ジ ョ ン 」 と、前期5年間に取り組む 「 札 幌 市 教 育 ア ク シ ョ ン プラン(前期)」からなる、 幼 児 期 か ら 生 涯 を 通 じ た 教 育 施 策 を 総 合 的 に 示 す 計画。 ◆札幌市教育ビジョン 【2014~2023】 (平成 26~35 年度) ◆ 札 幌 市 教 育 ア ク シ ョ ン プ ラン(前期) 【2014~2018】 (平成 26~30 年度)
Ⅰ.札教研事業とは
札幌市教育研究推進事業のあらまし
第 1 章
子ども一人一人の「学ぶ力」を育成するため、「学ぶ意欲」「学ん だ力(基礎的・基本的な知識・技能)」「活かす力(思考力・判断力・ 表現力等)」の「学ぶ力」の3要素をバランスよく育めるよう、「分 かる・できる・楽しい授業」を推進します。 学校現場の諸課題への対応を図るため、教員としての資質や適性 などにおいて優秀な人材の採用を行うとともに、幅広い視野や柔軟な 発想力をもち、実践的指導力を有する魅力あふれる教員の育成を行い ます。 「札幌市教育研究推進事業」において、研究体制の工夫・改善等を 図り、授業公開等を中心とした実践的な研究を一層充実させるととも に、学校における校内研究の充実を支援し、「分かる・できる・楽し い授業」づくりを推進します。校 内 研 究 ・ 研 修 の 手 引 3 【札幌市学校教育の重点】 ・信頼される学校の創造 ・教員の指導力や資質の向上(研修の充実) 「札幌市教育研究推進事業」等を通し、授業公開等を中心とした実践 的な研究・研修を充実させるとともに、学校における校内研修の一層の 推進を図ります。 3.対象 札幌市内の小学校・中学校・中等教育学校(前期課程)・特別支援学 校(小学部・中学部)の教職員 4.設置される研究部(平成 28 年度現在):24 研究部 ・小学校9研究部…国語、社会、算数、理科、生活、音楽、図画工作、 家庭、保健体育 ・中学校9研究部…国語、社会、数学、理科、音楽、美術、保健体育、 技術・家庭、外国語 ・小中合同6研究部…道徳、特別活動、教育相談、特別支援教育、食 指導、学校事務 5.研究推進 2年間の継続研究とし、年 13 回の研究部会と年2回の研究集会(授 業公開、実践交流等)を開催します。 6.研究成果の還元 各学校の校内研究をまとめた「校内研究集録」や各研究部の研究成果 をまとめた「研究成果報告集」、各学校の校内研究・研修をサポートす る「校内研究・研修の手引き」を刊行、校務支援システムに掲載してい ます。 また、各研究部及び校内の研究・研修の成果を広く還元するため、研 究集会や各会議等で使用した指導案や指導資料等をデジタル化し、校務 支援システム内の共有フォルダにまとめ、閲覧可能にしています。 ◆札教研事業の 対象となる教職員 ・校長 ・副校長 ・教頭 ・主幹教諭 ・教諭 ・養護教諭 ・事務職員 ・栄養教諭 ・学校栄養職員 ◆校務支援システムの活用 ・春、秋の研究集会等の 指 導 案 や 指 導 資 料 等 を 閲覧、印刷することがで きます。 ・校内研究や参観日等の 公開授業、教材研究等に 活用することができます。
Ⅰ.札教研事業とは
札幌市教育研究推進事業のあらまし
第 1 章
◆デジタル文書共有フォルダの場所【校務支援システム】 [文書管理]>[地域文書管理庫]>[札教研事業]> [小学校・中学校・小中合同]>[各研究部]校 内 研 究 ・ 研 修 の 手 引 4 7.期待される効果 【研究テーマに基づく研究】 各教科等の研究テーマに基づいた授業公開や実践発表等を行い、 授業づくり等の研究成果を交流し、研究部会における取組の成果 を校内研究に反映させる。 校 種 研究部 研究テーマ 小 学 校 国 語 単 元 を 貫く 言 語活 動 を通 して、 言 葉 の力 を 高め る 授業 の創造 社 会 自 ら 社 会 的 事 象 に か か わ り 、 楽 し く 追 求 す る 子 ど も を 育 て る 社 会 科 の 学 習 算 数 分 か る ・で き る・ 楽 しい 算数 理 科 自 ら 自 然に 関 わり 、 科学 的に追 究 す る喜 び を味 わ う子 どもの 育 成 生 活 体 験 と 表 現 を 繰 り 返 し 、 思 い や 願 い 、 気 付 き の 質 を 高 め て い く 学 習 音 楽 分 か る ・ で き る ・ 楽 し い 音 楽 の 授 業 ~ 音 楽 家 に お け る 思 考 力 ・ 判 断 力 ・ 表 現 力 の 育 成 ~ 図 画 工 作 表 現 す る喜 び を実 感 する 造形活 動 家 庭 生 活 を より よ くし よ うと する実 践 的 な態 度 を育 て る家 庭科 保 健 体 育 生 き 生 きと 学 び、 心 も体 も育つ 保 健 体育 学 習 中 学 校 国 語 言 語 活 動 を 充 実 さ せ る こ と で 、 実 生 活 に 生 き て は た ら く 言 葉 の 力 を 育 む 授 業 の 研 究 社 会 生徒が自 ら意欲 的に学び 、生き てはた らく基 礎・基 本を 身に付け る授業 の工夫~ 課題解 決型の 学習を 通して ~ 数 学 「 言 語 活動 の 充実 」を 再 考し 、数 学 的 活動 を 取り 入 れた 授業づ く り 理 科 自 然 と の 関 わ り の 中 で 自 ら 学 ぶ 力 を 高 め 、 生 き る 力 を 育 む 理 科 教 育 音 楽 知 覚・感 受 を も と に 、生 徒 が 主 体 的 に 学 ぶ 授 業 づ く り ~ 今 日 的 な 課 題 を 見 据 え て ~ 美 術 豊 か な 情操 を 育む 美 術教 育をめ ざ し て 保 健 体 育 学 ぶ 楽 しさ を 実感 す る保 健体育 授 業 の在 り 方 技 術 ・ 家 庭 学 ぶ 力 を育 成 する 「 分か る・で き る ・楽 し い」 授 業づ くり 外 国 語 基 礎 基 本 を 踏 ま え 、 4 技 能 を 統 合 し た 活 動 を 創 造 す る 授 業 の 研 究 ~ 分 か る ・ で き る ・ 楽 し い 授 業 づ く り ~ 小 中 合 同 道 徳 よ り よ く生 き よう と する 児童・ 生 徒 を育 て る道 徳 の時 間の創 造 特 別 活 動 人 間 関 係を 深 め、 実 践力 を高め る 特 別活 動 教 育 相 談 連 携 の 実態 を 知り 、 次の 一歩を 踏 み 出せ る 教育 相 談 特 別 支 援 教 育 一 人 一 人が 生 き生 き と学 ぶ特別 支 援 教育 の あり 方 食 指 導 生 き る 力を 高 める 食 指導 の研究 と 実 践 学 校 事 務 学 校 事 務の 標 準化 と 効率 化 【研究テーマから見る 授業像・キーワード】 ●学ぶ意欲 ・主体的に(自ら) ・楽しく ・分かる・できる・楽しい ・追究する喜び ・思いや願い、気付きの質を 高めていく ・表現する喜び ・意欲的に ・自ら学ぶ力 ・生き生きと学び ・豊かな情操を育む ・学ぶ楽しさ ・一人一人 ・人間関係 ●活かす力 ・言語活動 ・思考力・判断力・表現力 ・実践的な態度を育てる ・実践力を高める ・実生活に生きてはたらく ・生きる力 ・よりよく生きる ・学ぶ力を育成する ・次の一歩を踏み出す ●学んだ力 ・基礎・基本 ・課題解決 ・今日的な課題 ・研究と実践 ・標準化と効率化
Ⅰ.札教研事業とは
札幌市教育研究推進事業のあらまし
第 1 章
校 内 研 究 ・ 研 修 の 手 引 5 8.組織概要図
Ⅰ.札教研事業とは
札幌市教育研究推進事業のあらまし
第 1 章
■部会制による協働研究の充実 研究部会長(校長)のリーダーシッ プ の 下 、 研 究 部 員 同 士 が つ な が り 合 い、協働の精神で学び合う研究の仕組 みです。 ■設定されている諸会議 ・連絡協議会 ・校内研究推進に関わる研修会 ・運営委員会 ・庶務担当者会議 ・デジタル文書担当者会議 ・全市研究部会 ・各区研究部会 ・その他の会議 ■研究部の実態に合わせた研究推進 体制の工夫 ・全市一区 ・10 区 ・合併区 ・合同開催※ ( ※ 春 ・秋 の 研究 集 会を 複数区 合 同 で開 催)校 内 研 究 ・ 研 修 の 手 引 6 各学校が「学ぶ力」の育成プログラムを改訂し実行 ・各学校が、自校の児童生徒の「学 ぶ力 」 の実現 状況 を踏 まえ て、 指導方法等の課題を明確化し、改善に向けて作成したプログラム の改訂、実行に取り組む。(教育課程への位置付け、指導方法の改 善など) ◆札幌市教育センター研修事業 ・授業づくりに関する研修の充実 ◆教育課程研究協議会・説明会等 ・「分かる・できる・楽しい授業」の在り方を協議 ◆札幌市研究開発事業 ・指導方法等のモデル事例開発 ※個に応じた指導の充実の例 ・「TTの有効活用」 ・「定着を図る授業を位置付 けた単元構成」 ・「朝の時間を活用した学習 活動」等 ◆さっぽろっ子『学ぶ力』の 育成プラン 【プラン1】 各学校が「学ぶ力」育成プロ グラムを作成・実施 【プラン2】 検証改善サイクル(PDCA) の確立 【プラン3】 情報共有・情報提供の充実 1難しいことにも挑戦する意欲を伸ばします。 2「自ら学ぶ方法」と「人と学び合う方法」を身に付けられるよ うにします。 3意味理解を伴った知識の習得と、知識を使いこなす力を伸ばし ます。 4自分の「伸び」を実感して、新たな目標をもてるようにします。 5生活を自らコントロールする力を育みます。
Ⅱ.さっぽろっ子「学ぶ力」の育成プラン
札幌市教育研究推進事業
第 1 章
教員の指導力向上に向けた施策 ◆札幌市教育研究推進事業 ・「分かる・できる・楽しい授業」に関する研究の推進 ◆「子どもが自ら考え、判断し、表現する学習活動」の充実 ・体験的な活動や言語活動、問題解決的な学習活動等を取り入 れた授業の工夫改善を図る。 ◆「自分への自信をもたせるきめ細かい指導」の充実 ・児童生徒の実態に応じて、基礎的・基本的な知識及び技能の 定着を図り、子どもが分かる・できる・喜びを実感できるよ う、個に応じた指導の充実※を図る。平成 27 年度さっぽろっ子「学ぶ力」の育成プラン
分かる・できる・楽しい「授業づくり」の充実
学 ぶ 意 欲 の 向 上 5 つ の ポ イ ン ト校 内 研 究 ・ 研 修 の 手 引 7 【札幌の成果と課題】 ◆読書への意欲向上に成果が見られる。一方で、学習習慣の確立や、 自ら学ぼうとする学習意欲の向上に課題がある。 ◆思考力・判断力・表現力等に、問題解決的な学習等の成果も見られ るが、知識・技能ほど十分に身に付いているとはいえない。 ◆知識・技能は、概ね身に付いているが、小学校の各教科等の一部に 継続的な課題も見られる。 学ぶ力を支える3つの力 札幌市教育研究推進事業における「学ぶ力」の育成 ◆「分かる・できる・楽しい授業」づくりの充実 *各学校が、自校の子どもの 状況を踏まえて、「学ぶ力」 の課題を明確化し、重点的 に改善 *改善を図る上で、子どもに とって「分かる・できる・ 楽しい授業」づくりの実現 に向けて、以下の2点を踏 まえて、バランスのとれた 教育指導を充実 ①「子どもが自ら考え、判断し、表現する学習活動」の充実 ②「自分への自信をもたせるきめ細かい指導」の充実
Ⅲ.学ぶ力の育成
札幌市教育研究推進事業
第 1 章
【札教研事業の推進】 ・運営委員会 ↓ ・全市研究部会 ↓ ・各区研究部会 ↓ ・春の研究集会 ↓ ・各区研究部会 ↓ ・全市研究部会 ↓ ・各区研究部会 ↓ ・秋の研究集会 ↓ ・各区研究部会 ↓ ・全市研究部会 ↓ ・各区研究部会 ※各区(合併区)の取組を全 市 で 共 有 し な が ら 研 究 を 推進しています。 札幌市の教育で目指す「学ぶ力」 「自ら課題を見付け、自ら学び、自ら問題を解決する資質や能力等」 ①「学ぶ力」の 課題を明確化 ②改善の重点 ④成果等の 検証 ③改善策を 具体化学ぶ意欲
主体的に学習に取り組む態度活かす力
思考力・判断力 表現力等学んだ力
基礎的・基本的な 知識及び技能校 内 研 究 ・ 研 修 の 手 引 8 【札教研事業と校内研究をつなぐ】 ◆校内研究推進会議(校内研究推進に関する会議)の活用 ・学ぶ力の育成に関する情報(教育委員会より) ・校内研修等に関する情報や具体的な手法(大学教授等より) ◆研究部会の活用 〈学習指導に関すること〉 ・指導案、板書案、指導資料等の情報 ・新単元(題材)、新教材等の研究 ・研究集会に向けた授業づくり、実践発表資料づくり 〈人的なつながりに関すること〉 ・教科(領域)を通した人的な交流、つながりの強化 ・地域や区を越えたネットワークづくり 〈教科(領域)に関すること〉 ・教科(領域)における経営についての研修 ・教科(領域)における新しい情報等(文科省等)の共有 ◆札教研事業と校内研究 をつなぐ委員・部員 〇校内研究推進委員 (学校の窓口) =校内研究の推進 = 各 学 校 と 教 育 委 員 会をつなぐ 〇学校担当研究部員 (各教科・領域の窓口) (各学校の校内の部会 ごとに1名以上置く) =各学校内の教科・領 域の研究部と札教 研事業の教科・領域 の研究部をつなぐ 【授業案や資料の共有】 〔研修の手引P3〕