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2017年度日本基礎心理学会第1回フォーラム 基礎心理学は社会心理学に貢献できるか―社会心理学における実験の姿―

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Academic year: 2021

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DOI: http://doi.org/10.14947/psychono.36.36

208 基礎心理学研究 第36巻 第2号

2017年度日本基礎心理学会第1回フォーラム

基礎心理学は社会心理学に貢献できるか

―社会心理学における実験の姿―

Can experimental psychology contribute to social psychology?:

Experimentation in social psychology

日   時: 2017年5月14日(日)14 : 00∼17 : 00 場   所: 慶應義塾大学三田キャンパス西校舎527教室 講 演 者: 竹村和久(早稲田大学)  「意思決定研究と実験法」       森久美子(関西学院大学) 「行動実験による社会的態度の測定」       増田真也(慶應義塾大学) 「社会調査における回答行動に対する実験的アプローチ」 指定討論者: 広田すみれ(東京都市大学) 企画・司会: 坂上貴之(慶應義塾大学)・竹村和久(早稲田大学) 共   催: 三田哲学会 企 画 主 旨 日本基礎心理学会の創設当時を振り返った座談会で は,学会の発起人になってくださった方々として,社会 心理学,パーソナリティ心理学,応用心理学に携わる研 究者が何名も参加していること,そしてこれら心理学の 基礎研究の推進も本学会の当時の射程に入っていたこと が指摘されている(鹿取・鳥居・坂上・末鹿,2016, p. 263)。これらの領域の中でも社会心理学は,実験的研究 をその1つの方法として採用し,学問的知見を積み重ね てきた。そして最近では,神経科学との共同研究の成果 に基づく,より「自然科学」的なアプローチも見られる よ う に な っ て き た(例 え ば Mitchell, 2009)。 今 回 の フォーラムでは社会心理学における「実験」を取り上げ, 現在,基礎心理学で行われている実験手続きや装置等 が,この分野における実験的研究を推進することに寄与 するか,逆に社会心理学で行われている手続きや装置等 が,基礎心理学での研究に影響を与えるかを考える機会 となることを目指して企画された。 例えば竹村と坂上は,それぞれ社会心理学と行動分析 学という異なる分野でこれまで研究を進めてきたが,近 年より,行動的意思決定という研究テーマで共同研究を 行っている。社会心理学では意思決定研究,行動分析学 では選択行動研究という,伝統的なテーマが各人の出発 点となっていたが,Kahneman & Tverskyのプロスペクト

理論の展開形としての状況依存的焦点モデル(例えば Takemura, 2014; 竹村・藤井,2015), Herrnstein のマッチ ング法則をめぐる行動的アプローチの研究(例えば丹 野・坂上,2011)を通じて,互いの方法論や学問的立場 を理解する中で,共同研究が進められてきた。その成果 は,それぞれの研究室での眼球運動を対象とした実験的 研究や,実験室や Web上での選択行動の研究に活かさ れ て い る(Morii, Ideno, Takemura, & Okada, 2017; Morii, Sakagami, Masuda, Okubo, & Tamari, 2017)。

私たちが最初に共同で参加したプロジェクトは,特定 領域研究(平成19年度∼平成24年度)「実験社会科学― 実験が切り開く21世紀の社会科学―」であった(西條・ 清水,2014)。このプロジェクトには,経済学,経営学, 政治学,社会学といった,心理学以外の社会科学の研究 者たちが多数集まっており,社会科学としての実験のあ り方も議論されていた。もはや,実験という方法は,実 験心理学以外の社会科学の多くの分野にも使われ始めて いるのである。この意味でも,基礎心理学を志す研究者 たちが,新しい方法論を開発し,新しい領域を開拓して いってほしいと私たちは考える。 引用文献 鹿取廣人・鳥居修晃・坂上貴之・松鹿 光(2016).日 本基礎心理学会創設時を振り返る.第2回30周年記念 座談会 基礎心理学研究,34, 253–267.

The Japanese Journal of Psychonomic Science 2018, Vol. 36, No. 2, 208–209

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209

Mitchell, J. P. (2009). Social psychology as a natural kind.

Trends in Cognitive Sciences, 13, 246–251.

Morii, M., Ideno, T., Takemura, K., & Okada, M. (2017). Qual-itatively coherent representation makes decision-making easier with binary-colored multi-attribute tables: An eye-tracking study. Frontier of Psychology, 8, 1–12. DOI: 10.3389/fpsyg.2017.01388

Morii, M., Sakagami, T., Masuda, S., Okubo, S., & Tamari, Y. (2017). How does response bias emerge in lengthy sequen-tial preference judgments? Behaviormetrika, 44, 575–591. DOI: 10.1007/s41237-017-0036-6

西條辰義・清水和巳(編著)(2014).実験が切り開く21

世紀の社会科学 (フロンティア実験社会科学) 勁草 書房

Takemura, K. (2014). Behavioral decision theory: Psychological

and mathematical descriptions of human choice behavior.

Tokyo, Japan: Springer.

竹村和久・藤井 聡(2015).意思決定の処方 朝倉書 店 丹野貴行・坂上貴之(2011).行動分析学における微視– 巨視論争の整理: 強化の原理,分析レベル,行動主義 への分類 行動分析学研究,25, 109–126. (慶應義塾大学 坂上貴之)

参照

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