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「国債の金利推定モデルに関する研究会」報告書

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Academic year: 2021

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(1)

日本円長期金利のモデル化

: LG

モデル

木島 正明

田中 敬一

平成

19 年 7 月 26 日

概 要 日本円長期金利の挙動を説明するために国債および金利スワップの整合的な価格付 けを考察し,2 種類のイールドカーブから成る LG モデルを提案する.スワップカー ブが Quadratic Gaussian モデルに従い,スワップスプレッドがドリフト付きのブラウ ン運動に従うとして,それらの和により国債のイールドカーブを構成する.

1

はじめに

本稿の目的は,利用可能な市場データを使って,(市場で観測できない)年限30年超の 国債イールドを予測することである.もちろん,利用可能な市場データには年限30年以 内の国債イールドも含まれ,予測すべき超長期のイールドカーブはこの国債イールドと整 合的でなければならない. 一般に,国債のゼロレートは投資家の需要や選好などにより満期に関して滑らかではな い.このようなカーブに何らかのモデルを当てはめて超長期のイールドカーブを予測する ことは,モデル選択や結果の解釈などにおいて多くの困難が生じる.一方,スワップレー トは比較的滑らかなカーブを描くことが多く,観測されるスワップカーブに整合的なカー ブを描くことは比較的容易である.したがって,本稿では上記目的を達成する一つの考え 方として,スワップカーブのモデル化から出発し,それを基に国債イールドを推定すると いう方法を採用した. 本稿の構成は以下のとおりである.次節で,リスク中立化法の枠組みで国債価格と金利 スワップレートを決定する定式化を行い,これらの結果を使って,第3節で国債イールド カーブのモデル化を行う.第4節は数値計算例である.なお,本稿は「国債の金利推定モ デルに関する研究会」報告書の別添資料であり,国債イールドカーブのモデル化に至った 経緯などについてはふれない.詳細は当該報告書を参照されたい.

2

国債価格と金利スワップのモデル化

まず国債価格および金利スワップレートを定式化する.市場で取り引きされる国債は, さまざまな要因によるリスクプレミアムおよびコンビニエンスイールド(国債を保有する 「国債の金利推定モデルに関する研究会」報告書の別添資料,改訂版 首都大学東京大学院社会科学研究科,京都大学大学院経済学研究科, E-mail: [email protected] 首都大学東京大学院社会科学研究科, E-mail: [email protected]

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ことによる便益)が加わって値付けされている.したがって,スワップと国債が異なるイー ルドで取引されていることに対応して,L市場とG市場の2つの市場を想定する1.価格付 けを行う市場参加者はL市場で取引し,仮想的な市場であるG市場の何らかの金利を観測 することにより国債の価格付けを行う,と考える.すなわち,それぞれの市場における短 期金利rL(t), rG(t)とリスク中立測度によってスワップおよび国債が価格付けされている. さらに,L市場における短期金利rL(t)を無リスク金利と考え,G市場における短期金利 rG(t)には無リスク金利rL(t)とのスプレッドhG(t) = rG(t) − rL(t)が存在するとする. したがって,市場は無裁定とし,リスクフリーの短期金利rL(t)で連続的に付利する預

金(以下MMC; money market account)

BL(t) = e Ê t 0rL(s)ds に関するリスク中立確率測度QLが存在すると仮定する.不確実性を確率空間(Ω, F, QL) で表し,QLの下での2次元標準ブラウン運動(WL(t), WG(t))から生成されるフィルトレー ションを{Ft}とする2.確率変数Xの確率測度Pに関する期待値をEP[X]と表す.

2.1 金利スワップ

L市場における短期金利は無リスク金利と一致するので,市場Lにおけるゼロクーポン 債価格PL(t, T )PL(t, T ) = EQL  e Ê T t rL(s)dsFt  = EQL  BL(t) BL(T )  Ft  (1) で与えられる.また,ゼロクーポン債価格PL(t, T )を基準財とするフォワード測度QTLdQTL dQL   Ft = PL(t, T ) BL(t)PL(0, T ) (2) によって定義する.測度変換は以下の計算において有用である. ゼロクーポン債価格を用いて,時点tにおける預入期間[T1, T2]の預金金利は 1 T2− T1  PL(t, T1) PL(t, T2) − 1  で与えられる.この預金金利をLIBORと呼ぶ. スワップレートとは,一定期間について変動金利LIBORと交換する固定金利である.時 点tにおいて,期間[T0, TN]に対するスワップレートをS(t, T0, TN)と表す.金利支払に関 連する時点はt ≤ T0 < T1< · · · < T = TN として,時点間隔をδi = Ti− Ti−1とする.

時点tにおける期間[Ti−1, Ti]に対するLIBORの期待値L(t, Ti−1, Ti)は,ゼロクーポン

債価格PL(t, T )とフォワード測度を用いて L(t, Ti−1, Ti) = 1 δiE QTiL  1 PL(Ti−1, Ti) − 1  Ft 

1L, Gはそれぞれスワップ(LIBOR)と国債(Government Bond)を表わす.

(3)

である.金利スワップは,固定金利S(t, T0, TN)の固定利付債券と,LIBOR L(Ti−1, Ti−1, Ti) (i = 1, 2, . . . , N )を変動金利とする変動利付債券を等価交換する契約であるから, −PL(t, T0) + S(t, T0, TN) N i=1 δiPL(t, Ti) + PL(t, TN) = −PL(t, T0) + N i=1 δiL(t, Ti−1, Ti)PL(t, Ti) + PL(t, TN) (3) が成立し,スワップレートは S(t, T0, TN) = N i=1δiL(t, Ti−1, Ti)PL(t, Ti) N i=1δiPL(t, Ti) = PL(t, T0)− PL(t, TN) N i=1δiPL(t, Ti) (4) で与えられる.ここで,関係式 N i=1 δiL(t, Ti−1, Ti)PL(t, Ti) = N i=1 EQTiL  1 PL(Ti−1, Ti)− 1  Ft  PL(t, Ti) = N i=1  PL(t, Ti−1) PL(t, Ti) − 1  PL(t, Ti) = PL(t, T0)− PL(t, TN) を用いた.このように,ゼロクーポン債価格PL(t, T )を用いた価格評価を,以下では,L カーブによる評価と呼ぶ.

2.2 国債価格

国債のキャッシュフローそのものをLカーブで評価すればスワップスプレッドは生じ得 ない.通常,スワップスプレッドは正であり,Lカーブによる国債のキャッシュフローの 評価よりも市場価格が割高になっている.したがって,そのプレミアムは国債を保有する メリット(コンビニエンスイールド)と解釈することが可能である.そのために本稿では, 国債の購入を比較的低金利の変動金利と交換するスワップ取引とみなす.すなわち,rG(t) が国債価格を実質的に決定するが,rL(t)より低い短期金利であるとする.そのrG(t)から 計算される一定期間の預金金利を変動金利とする金利スワップ取引を考え,そこで想定さ れる固定利付債を国債とみなす.このことを定式化するために,次のように準備する. まず,市場Gにおける短期金利rG(t)が観測され,MMCを BG(t) = e Ê t 0rG(s)ds (5) とする.あるリスクの市場価格λL(t), λG(t)を用いれば,BG(t)を基準財とする同値マル チンゲール測度QGdQG dQL   Ft = ζG(t) ≡ exp t 0  −λL(s)dW L(s) − λG(s)dWG(s) − 1 2 λL(s)2+ λG(s)2ds  (6)

(4)

と定義できる.ここで(6)のリスクの市場価格を導入したのは,コンビニエンスイールド の期間構造を柔軟に表現するための工夫である.このとき,市場Gにおけるゼロクーポン 債価格は PG(t, T ) = EQG  BG(t) BG(T )  Ft  (7) として定まる3 ここで,G市場の短期金利rG(t)の無リスク金利rL(t)に対するスプレッドを hG(t) = rG(t) − rL(t) とする4.また,L市場における預金金利LIBORと同様に,G市場における時点tでの預 入期間[T1, T2]に対する預金金利は 1 T2− T1  PG(t, T1) PG(t, T2) − 1  である.この預金金利をGovt金利と呼ぶことにする. 次に,L市場の参加者が観測するGovt金利を変動金利とするスワップ取引を考える.t 時点で期待される将来のGovt金利G(t, Ti−1, Ti)は,フォワード測度を用いて G(t, Ti−1, Ti) = 1 δi  EQTiL  1 PG(Ti−1, Ti)  Ft  − 1  (8) と評価できる.満期 TN,固定金利C(TN) の国債価格をV (t, TN)と表すと,変動金利 G(t, Ti−1, Ti)と交換するスワップにおける固定金利側の当初支払い金額がV (t, TN)にな る.この考え方は,通常の金利スワップが「固定利付債と変動利付債の等価交換である」 という原理の拡張である.したがって,スワップと同様に次式が成立する. −V (t, TN) + C(TN) N i=1 δiPL(t, Ti) + PL(t, TN) = −PL(t, T0) + N i=1 δiG(t, Ti−1, Ti)PL(t, Ti) + PL(t, TN) (9) すなわち,国債価格は V (t, TN) = PL(t, T0) + N i=1 δi(C(TN)− G(t, Ti−1, Ti))PL(t, Ti) (10) であり,国債価格がパーとなるパーイールドは,スワップレートと同様に N i=1δiG(T0, Ti−1, Ti)PL(T0, Ti) N i=1δiPL(T0, Ti) 3ゼロクーポン債価格P G(t, T )L市場の参加者によって価格付けされるゼロクーポン国債価格と異なる ので混同しないように注意されたい. 4スワップスプレッド(国債イールドと金利スワップの間のスプレッド)を一種のスワップレートと見なし た場合の短期金利に相当するのが−hG(t)である.

(5)

と計算できることが本モデルの利点である.

式(9)によって,固定利付国債を購入することによって得られるキャッシュフローの価値

は,Govt金利G(Ti−1, Ti−1, Ti)を変動金利とする変動利付債の価値と同じであることを表

現している.ただし,この変動利付債の価格はパーではないので,式(9)の両辺の値はゼ ロではない.さらに,クーポンについてはLカーブで評価される一方で,償還元本につい てはGカーブによって評価されることに注意されたい.すなわち, クーポン価値 = C(TN) N i=1 δiPL(t, Ti) ゼロクーポン国債価格 = PL(t, T0) N i=1 δiG(t, Ti−1, Ti)PL(t, Ti) である.したがって,コンビニエンスイールドは元本部分のみについて生じている. L(t, Ti−1, Ti)− G(t, Ti−1, Ti)がスワップスプレッドのフォワード金利に相当する.ここ で,すべてのGovt金利がLIBOR金利を下回っていると仮定しよう. G(t, Ti−1, Ti) < L(t, Ti−1, Ti), i = 1, 2, . . . , N このとき,簡単な計算により V (t, TN) > C(TN) N i=1 δiPD(t, Ti) + PD(t, TN) (11) を示すことができる.上式は国債価格がLカーブによる評価より高く,スワップスプレッ ドが正になることを示している.

3 LG

モデル

本節では,前節で定式化したモデルにおける確率過程を特定化する.すなわち,無リス ク金利rL(t)QLの下で次のQuadratic Gaussianモデルに従うとする. rL(t) = (y(t) + α + βt)2,

dy(t) = −aLy(t)dt + σLdWL(t), y(0) = y0 (12)

一方,スプレッドhG(t)は以下のドリフト付きブラウン運動と仮定する. dhG(t) = θ(t)dt + σGdWG(t), hG(0) = h0 ここで,θ(t)はNelson-Siegelモデルのフォワードレートf (t)を用いて以下のように決定 される. f (t) = β0+ β1exp  −t τ1  + β2τt 1 exp  t τ1  (13) θ(t) = df (t) dt + σ 2 Gt (14)

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また,リスクの市場価格については λL(t) = 0, λG(t) = λG (15) とする.したがって,G市場のBG(t)を基準財とする同値マルチンゲール測度QGdQG dQL   Ft = ζG(t) = exp  1 2λ 2 Gt − λGWG(t)  によって定義される. Quadratic Gaussianモデルでは,L市場におけるゼロクーポン債価格PL(t, T )PL(t, T ) = exp AL(t, T ) − BL(t, T )y(t) − CL(t, T )y(t)2  (16) によって与えられることがPelsser (1997)に示されている.ここで,係数AL(t, T ), BL(t, T ), CL(t, T )は以下のとおりである. γ =  a2 L+ 2σL2, FL(t, T ) = 2γeγ(T −t)  (γ + aL)e2γ(T −t)+ γ − aL −1 , CL(t, T ) =  e2γ(T −t)− 1   (γ + aL)e2γ(T −t)+ γ − aL −1 , BL(t, T ) = 2FL(t, T ) T t α + βs FL(s, T )ds = 2B1 γ2A 5, AL(t, T ) = T t  1 2σ 2 LBL(s, t)2− σL2CL(s, T ) − (α + βs)2  ds = −σL2  A4 γ5A 5 + A6  − α2(T − t) − αβ(T2− t2)1 3β 2(T3− t3), Γ1 = γ − aL, Γ2 = γ + aL, A1a = −eγ(T −t)+ 4− e−γ(T −t)(3 + 2γ(T − t)), A1b = e−γ(T −t)− 4 + eγ(T −t)(3− 2γ(T − t)), A2a = eγ(T −t)(1− γT ) − 2(1 − γ(t + T )) + e−γ(T −t)(1− γ(2t + T ) + γ2(t2− T2)), A2b = e−γ(T −t)(1 + γT ) − 2(1 + γ(t + T )) + eγ(T −t)(1 + γ(2t + T ) + γ2(t2− T2)), A3a = −4γt(1 − γT ) − eγ(T −t)(1− γT )2 + e−γ(T −t)  1 + 2γt − γ2(2t2+ T2) +2 3γ 3(t3− T3)  , A3b = −4γt(1 + γT ) + e−γ(T −t)(1 + γT )2 + eγ(T −t)  −1 + 2γt + γ2(2t2+ T2) + 2 3γ 3(t3− T3)  , A4 = α2γ2(Γ1A1a+ Γ2A1b) + 2αβγ(Γ1A2a+ Γ2A2b) + β2(Γ1A3a+ Γ2A3b), A5 = Γ1e−γ(T −t)+ Γ2eγ(T −t), A6 = 1 2(T − t) Γ−11 − Γ−12 + 1 Γ−11 + Γ−12 (ln A5− ln(2γ)), B1 = −αγ e−γT− e−γt Γ1eγt+ Γ2eγT + β  Γ1e−γ(T −t)(1− γt) + Γ2eγ(T −t)(1 + γt) − Γ1(1− γT ) − Γ2(1 + γT ) 

(7)

一方,G市場におけるゼロクーポン債価格PG(t, T )は,以下のように求められる. PG(t, T ) = EQG  BG(t) BG(T )  Ft  = EQL  BG(t) BG(T ) ζG(T ) ζG(t)  Ft  = EQL  B(t) B(T ) ζG(T ) ζG(t)e Ê T t hG(s)dsFt  = EQL  BL(t) BL(T )  Ft  EQL  ζG(T ) ζG(t) e Ê T t hG(s)dsFt  = PL(t, T )EQG  e Ê T t hG(s)dsFt  (17) ここで,2番目および5番目の等号は測度変換の定義,4番目の等号は,ζG(t), hG(t)rL(t) と独立であることを用いた.(17)式から,HG(t, T ) = PG(t, T )/PL(t, T )HG(t, T ) = EQG  e Ê T t hG(s)dsFt  (18) であり,hG(t)を短期金利と見なせば,HG(t, T )G市場の同値マルチンゲール測度QG を用いて評価されるゼロクーポン債価格である.この値を求めるために,QGにおけるh(t) の確率微分方程式 dhG(t) = (θ(t) − σGλG) dt + σGdWGG(t) を考える.ここで,WGG(t) = WG(t) + λGtQGにおけるブラウン運動である.上記方程 式はアフィンモデルにおける短期金利の確率微分方程式なので,ゼロクーポン債価格に相 当するHG(t, T )HG(t, T ) = exp {AG(t, T ) + BG(t, T )hG(t)} (19) であることがわかる5.ここで, BG(t, T ) = −(T − t), AG(t, T ) = − T t (θ(s) − σGλG)(T − s)ds + σ 2 G 2 T t (T − s)2ds = T t f (s)ds + (T − t)f (t) − σ 2 G 2 (T − t) 2  t −λG σG  とした. 5いわゆるHull–Whiteモデル(1990)と同じ形になる.

(8)

さらに,Govt金利の評価は以下のとおりである. δiG(t, T1, T2) = EQ T2 L  1 PG(T1, T2)  Ft  − 1 = EQT2L  PL(T1, T1) PL(T1, T2) e−AG(T1,T2)−BG(T1,T2)hG(T1)F t  − 1 = PL(t, T1) PL(t, T2)E QT1L e−AG(T1,T2)−BG(T1,T2)hG(T1)F t  − 1 = PL(t, T1) PL(t, T2)E QLe−AG(T1,T2)−BG(T1,T2)hG(T1)F t  − 1 = PL(t, T1) PL(t, T2) exp  −AG(T1, T2)− BG(T1, T2)EQL[hG(T1)| Ft] +1 2BG(T1, T2) 2V arQL[h G(T1)| Ft]  − 1 ここで,3番目の等号はT2フォワード測度からT1フォワード測度への測度変換,4番目の 等号は,hG(t)WL(t)と独立なので同値マルチンゲール測度への変換において不変であ ること,5番目の等号ではhG(T1)は条件Ftの下で正規分布に従うことを用いた.その正 規分布の平均と分散はhG(t)の確率微分方程式から EQL[hG(T1)| Ft] = hG(t) + T1 t θ(s)ds V arQL[hG(T1)| Ft] = σ2G(T1− t) である.すなわち,Govt金利は G(t, T1, T2) = 1 δi  PL(t, T1) PL(t, T2)KG(t, T1, T2 )− 1  (20) で与えられる.ここで, KG(t, T1, T2) = exp  −AG(T1, T2)− BG(T1, T2)  hG(t) + T1 t θ(s)ds  +σ 2 G(T2− T1)2 2 (T1− t)  = exp  T2 T1 f (s)ds + (T2− T1)(hG(t) − f (t)) +σG(T2− T1) 2 ((T2− T1)(σGT1− λG) + σG(T1− t)(T2+ t))  (21) とおいた.PL(t, T1)/PL(t, T2)がLIBOR金利に相当し,KG(t, T1, T2)はLIBOR金利と Govt金利のスプレッドのための調整項に相当する.KG(t, T1, T2) < 1は,Govt金利が LIBOR金利より低いことを意味する.

(9)

これらの準備により,国債価格は V (t, TN) = PL(t, T0) + N i=1 δi(C(TN)− G(t, Ti−1, Ti))PL(t, Ti) = PL(t, T0) + N i=1 ((1 + δiC(TN))PL(t, Ti)− KG(t, Ti−1, Ti)PL(t, Ti−1)) = N i=1 δiC(TN)PL(t, Ti) + PL(t, TN) + N i=1 (1− KG(t, Ti−1, Ti)) PL(t, Ti−1) (22)

として与えられる.上式第3項Ni=1(1− KG(t, Ti−1, Ti)) PL(t, Ti−1)がL市場の債券に対

する国債価格のプレミアムで,このプレミアムは満期のみに依存するもののクーポンには 影響されない.したがって,満期日は同一であるもののクーポンが異なる2種類の国債の イールドは異なることになる.また,ゼロクーポン国債ZV (t, TN)も同金額のプレミアム を有していて,その価格は ZV (t, TN) = PL(t, TN) + N i=1 (1− KG(t, Ti−1, Ti)) PL(t, Ti−1) (23) である.

4

数値計算例

過去の30年債入札前日における市場データへLGモデルのパラメータをキャリブレート し,第3節のモデルの適合度を検証する.キャリブレートすべきモデルパラメータは,L カーブの短期金利rL(t)に対しては aL, σL, y0, α, β であり,GカーブもしくはスプレッドhG(t)については σG, h0, λG, β0, β1, β2, τ1 である. rL(t)のパラメータはLIBOR金利および金利スワップレートを用いて以下の要領でキャ リブレートした. 1.目的関数 min n i=1 (Smodel(Ti)− Sobs(Ti))2 Smodel(Ti) = S(0, T0, Ti) = PL(0, T0 )− PL(0, Ti) i k=1δkPL(0, Tk) Sobs(Ti) =市場で観測された満期TiのLIBOR金利あるいはスワップレート

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2.対象年限

LIBOR:1m,3m,6mのLIBOR,スワップレート: 1-10yrの毎年,15,20,25,30yr (Source : British Bankers Association, Bloomberg)

3.最適化手法 Nelder-Meadアルゴリズム6 ExcelアドインOPTMIZ v2.07を使用して表1の範囲で900回繰返し計算 表 1: rL(t)のパラメータの上限および下限 パラメータ 下限 上限 aL 0.05 0.80 σL 0.00 1.00 y0 -1.00 1.00 α -1.00 1.00 β -0.50 0.50 hG(t)のパラメータは,キャリブレートされたrL(t)のパラメータを所与として国債価格 を用いて以下の要領でキャリブレートした. 1.目的関数8 min n i=1 |Zmodel(Ti)− Zobs(Ti)| Zmodel(Ti) =− ln  PL(0, Ti) + i k=1 (1− KG(0, Tk−1, Tk)) PL(0, Tk−1)   (Ti− T0) Zobs(Ti) =− ln  Vobs(Ti)− C(Ti) i k=1 δkPL(0, Tk)   (Ti− T0) Vobs(Ti) = JGB市場における満期Ti,利率C(Ti)の国債価格終値 2.対象債券 2年債,5年債,10年債,20年債,30年債(各暦年につき原則1銘柄) (Source : 日本相互証券株式会社による終値) 3.最適化手法 Nelder-Meadアルゴリズム ExcelアドインOPTMIZ v2.0を使用して表2の範囲で300回繰返し計算 上記キャリブレーション方法によって得られたパラメータは表3のとおりである.

6Nelder-Meadアルゴリズムの詳細についてはNelder and Mead (1965)を参照されたい.

7当該アドインはhttp://digilander.liberto.it/foxes/index.htmよりXnumbers5.4をダウンロードするこ

とにより利用することができる.

(11)

2: hG(t)のパラメータの上限および下限 パラメータ 下限 上限 σG 0.0000 0.0030 h0 -0.0050 0.0010 λG -10.00 10.00 β0 -0.0020 0.0020 β1 -0.0020 0.0020 β2 -0.0100 0.0100 τ1 0.001 30.0 表3: キャリブレーション結果 銘柄 JX26-7 JX26 JX25 JX24 JX23 入札日前日 2007/7/17 2007/4/16 2007/1/17 2006/10/16 2006/7/12 aL 0.191 0.101 0.101 0.107 0.227 σL 0.106 0.082 0.056 0.087 0.108 y0 -0.141 -0.180 -0.083 -0.157 -0.154 α 0.058 0.102 0.154 0.095 0.099 β 0.002 0.000 0.001 0.001 0.001 σG 0.0015 0.0015 0.0012 0.0017 0.0009 h0 -0.0020 -0.0027 -0.0043 -0.0007 -0.0012 λG -0.501 -2.944 -9.998 0.346 -3.709 β0 -0.0007 -0.0010 -0.0017 -0.0003 0.0003 β1 -0.0001 0.0002 -0.0009 -0.0004 0.0001 β2 -0.0023 -0.0003 -0.0032 -0.0047 -0.0058 τ1 19.7 22.2 16.1 13.3 7.3 銘柄 JX22 JX21 JX20 JX19 JX18 入札日前日 2006/4/17 2006/1/18 2005/10/17 2005/7/13 2005/4/13 aL 0.502 0.282 0.304 0.176 0.198 σL 0.096 0.001 0.007 0.035 0.036 y0 -0.160 -0.149 -0.147 -0.235 -0.226 α 0.142 0.168 0.166 0.210 0.201 β 0.001 0.000 0.001 -0.001 -0.001 σG 0.0017 0.0030 0.0026 0.0022 0.0029 h0 -0.0021 -0.0013 -0.0040 -0.0022 -0.0032 λG -3.320 -2.040 -5.474 -3.374 -4.536 β0 0.0000 -0.0005 0.0002 -0.0001 -0.0002 β1 -0.0006 0.0011 -0.0001 -0.0006 -0.0005 β2 -0.0091 -0.0049 -0.0020 -0.0024 -0.0057

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銘柄 JX17 JX16 JX15 JX14 入札日前日 2005/2/14 2004/10/18 2004/8/16 2004/4/14 aL 0.190 0.268 0.266 0.285 σL 0.000 0.031 0.038 0.039 y0 -0.204 -0.207 -0.210 -0.199 α 0.214 0.179 0.186 0.175 β -0.002 0.000 -0.001 0.000 σG 0.0026 0.0017 0.0030 0.0030 h0 -0.0035 -0.0003 -0.0030 -0.0022 λG -5.695 -0.296 -4.360 -2.706 β0 -0.0001 -0.0018 0.0008 0.0014 β1 -0.0020 -0.0020 -0.0002 -0.0017 β2 -0.0086 -0.0060 -0.0058 -0.0066 τ1 11.3 12.9 6.5 6.8 まず,キャリブレーションのフィッテングを視覚的に確認する.上記銘柄のうち,26回 7月債,26回4月債,22回債および14回債について,スワップスプレッド等のグラフを 図1から図6に示した.26回7月債の入札前日のスワップレートについては図1で見られ るように,30年までのフィッテングは良好である.また,スワップスプレッド(図2)と JGBのイールド(図3)に関するフィッテングは,銘柄毎に見れば若干の差異が散見され るが,イールドカーブ全体としては概ね良好である. これらの傾向は26回4月債(図4)および22回債(図5)についても同様である.特に, 22回債のスワップスプレッドのように逆V字型であっても,hG(t)のドリフト項( Nelson-Siegelモデルによる関数)によって対応可能である.しかしながら,図6の14回債のよう に,観測されるスワップスプレッドが満期10年以下,10年超20年以下,20年超30年以 下の各期間でその傾向が大きく異なる場合には,スワップスプレッドを完全に説明するこ とは困難である. 次に,前述モデルと上記パラメータを用いて入札される30年債の価格を算出し,実際の 入札結果と比較した.各入札日前日における30年債および40年債のパーイールドは表4 のとおりである.スワップスプレッドが比較的なめらかな21回債から26回7月債につい ては,概ね最低落札価格付近からやや低い価格となった.しかし,20年債のスワップスプ レッドが高く,30年債のそれが低い傾向となっている14回債から20回債については,最 低落札価格対比高い価格となる傾向が顕著である.

5

まとめ

本稿では,国債イールドがスワップレートからスワップスプレッドを控除して得られる, という考え方に依拠して,スワップカーブとスワップスプレッドという2種類のイールド カーブ,すなわち,2ファクターモデルにより国債のイールドカーブをモデル化した.ス ワップ金利はQuadratic Gaussianモデルにより,そしてスワップスプレッドにはドリフト

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表 4: モデル計算による30年債および40年債のパーイールド 銘柄 年月 発行利回り(%) 30年利回り(%) 40年利回り(%) スプレッド(bp) JX26-7 2007/7 2.590 2.549 2.714 16.5 JX26 2007/4 2.354 2.383 2.509 12.6 JX25 2007/1 2.380 2.369 2.512 14.3 JX24 2006/10 2.515 2.513 2.656 14.3 JX23 2006/7 2.560 2.576 2.699 12.3 JX22 2006/4 2.590 2.595 2.776 18.1 JX21 2006/1 2.330 2.336 2.547 21.1 JX20 2005/10 2.515 2.491 2.701 21.0 JX19 2005/7 2.355 2.309 2.414 10.5 JX18 2005/4 2.345 2.328 2.466 13.8 JX17 2005/2 2.460 2.371 2.475 10.4 JX16 2004/10 2.500 2.430 2.590 16.0 JX15 2004/8 2.560 2.509 2.664 15.5 JX14 2004/4 2.480 2.463 2.648 18.5

付きブラウン運動(いわゆるHull-Whiteモデル)を採用した.Quadratic Gaussianモデ

ルは,VasicekモデルやCIRモデルと比較して,低金利の状態を含む多様なイールドカー ブの形状を1ファクターモデルで柔軟に表現できる長所がある.また,スワップスプレッ ドについて,Nelson-Siegelモデルをドリフト項に組み込むことにより市場の状況によって 形状が異なるスワップスプレッドの傾向をモデル化できる.これらの組合せにより本モデ ルが国債イールドの推定および価格分析に適用できるものと期待される.ただし,本稿の 主たる目的はイールドカーブの水準および形状の導出であって,国債の銘柄すべての価格 を説明することではない.モデルによる市場価格の説明力という点では,例えば2004年 前後に観測されたように,割高な20年債に対して極端に割安な30年債,という特異なス ワップスプレッドの形状の場合には,説明力は必ずしも高くないことに留意すべきである.

参考文献

[1] 木島正明,田中敬一 (2007),資産の価格付けと測度変換,朝倉書店.

[2] Hull, J., and A. White. (1990). “Pricing Interest-Rate-Derivative Securities.” Review

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[3] Nelder, J.A., and R. Mead. (1965). “A simplex method for function minimization.”

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[4] Pelsser, A. (1997). “A Tractable Yield-Curve Model That Guarantees Positive Inter-est Rates.” Review of Derivatives Research, 1, 269–284.

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㪪㫎㪸㫇㩷㪩㪸㫋㪼㩷㪉㪇㪇㪎㪆㪎㩿㪡㪯㪉㪍㪄㪎㪀 㪈㪅㪇 㪈㪅㪌 㪉㪅㪇 㪉㪅㪌 㪊㪅㪇 㪊㪅㪌 㪇 㪌 㪈㪇 㪈㪌 㪉㪇 㪉㪌 㪊㪇 㪊㪌 㪋㪇 㪋㪌 㪌㪇 㪤㪸㫋㫌㫉㫀㫋㫐㩷㩿㪰㫉㪀 㪩㪸㫋㪼 㪦㪹㫊㩷㪪㫎㪸㫇 㪤㫆㪻㪼㫃㩷㪪㫎㪸㫇 図1: 30年26回7月債入札前日のスワップカーブ 㪪㫎㪸㫇㩷㪪㫇㫉㪼㪸㪻㩷㪉㪇㪇㪎㪆㪎㩿㪡㪯㪉㪍㪄㪎㪀 㪇 㪌 㪈㪇 㪈㪌 㪉㪇 㪉㪌 㪊㪇 㪇 㪌 㪈㪇 㪈㪌 㪉㪇 㪉㪌 㪊㪇 㪊㪌 㪋㪇 㪋㪌 㪌㪇 㪤㪸㫋㫌㫉㫀㫋㫐㩷㩿㫐㫉㪀 㪪㫇㫉㪼㪸㪻㩷㩿㪹㫇㪀 㪦㪹㫊㩷㪪㫎㪸㫇㩷㪪㫇㫉㪼㪸㪻 㪤㫆㪻㪼㫃㩷㪪㫎㪸㫇㩷㪪㫇㫉㪼㪸㪻 図2: 30年26回7月債入札前日のスワップスプレッド

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㪪㫎㪸㫇㩷㪪㫇㫉㪼㪸㪻㩷㪉㪇㪇㪍㪆㪋㩿㪡㪯㪉㪉㪀 㪇 㪌 㪈㪇 㪈㪌 㪉㪇 㪉㪌 㪊㪇 㪊㪌 㪇 㪌 㪈㪇 㪈㪌 㪉㪇 㪉㪌 㪊㪇 㪊㪌 㪋㪇 㪋㪌 㪌㪇 㪤㪸㫋㫌㫉㫀㫋㫐㩷㩿㫐㫉㪀 㪪㫇㫉㪼㪸㪻㩷㩿㪹㫇㪀 㪦㪹㫊㩷㪪㫎㪸㫇㩷㪪㫇㫉㪼㪸㪻 㪤㫆㪻㪼㫃㩷㪪㫎㪸㫇㩷㪪㫇㫉㪼㪸㪻 図5: 30年22回債入札前日のスワップスプレッド 㪪㫎㪸㫇㩷㪪㫇㫉㪼㪸㪻㩷㪉㪇㪇㪋㪆㪋㩿㪡㪯㪈㪋㪀 㪄㪊㪇 㪄㪉㪌 㪄㪉㪇 㪄㪈㪌 㪄㪈㪇 㪄㪌 㪇 㪌 㪈㪇 㪈㪌 㪉㪇 㪇 㪌 㪈㪇 㪈㪌 㪉㪇 㪉㪌 㪊㪇 㪊㪌 㪋㪇 㪋㪌 㪌㪇 㪤㪸㫋㫌㫉㫀㫋㫐㩷㩿㫐㫉㪀 㪪㫇㫉㪼㪸㪻㩷㩿㪹㫇㪀 㪦㪹㫊㩷㪪㫎㪸㫇㩷㪪㫇㫉㪼㪸㪻 㪤㫆㪻㪼㫃㩷㪪㫎㪸㫇㩷㪪㫇㫉㪼㪸㪻 図6: 30年14回債入札前日のスワップスプレッド

表 2: h G ( t ) のパラメータの上限および下限 パラメータ 下限 上限 σ G 0.0000 0.0030 h 0 -0.0050 0.0010 λ G -10.00 10.00 β 0 -0.0020 0.0020 β 1 -0.0020 0.0020 β 2 -0.0100 0.0100 τ 1 0.001 30.0 表 3: キャリブレーション結果 銘柄 JX26-7 JX26 JX25 JX24 JX23 入札日前日 2007/7/17 2007/4/16 2007/1/17 2006/
表 4: モデル計算による 30 年債および 40 年債のパーイールド 銘柄 年月 発行利回り (%) 30 年利回り (%) 40 年利回り (%) スプレッド (bp) JX26-7 2007/7 2.590 2.549 2.714 16.5 JX26 2007/4 2.354 2.383 2.509 12.6 JX25 2007/1 2.380 2.369 2.512 14.3 JX24 2006/10 2.515 2.513 2.656 14.3 JX23 2006/7 2.560 2.576 2.

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.2 both liquefaction and dynamic separation are moisture-related mechanisms and there is a need to expand the existing definition of Group A to cover the new phenomenon of