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Academic year: 2021

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アセスメントを活用した指導計画の作成と指導の実践

情報グループ Ⅰ 前年度の課題と成果と今年度のねらい 情報グループでは昨年度、「ICT 機器の紹介をしながら、自分が受け持っている児童・生徒にどん な授業ができるか考える」「機器を使った授業に取り組む」の二つの内容で研究を進めた。1年間研 究を行い以下のような成果があり、また課題が残った。 1 成果について (1) 児童・生徒の実態を把握して、どのようなICT 機器やソフトを使用すれば、使いやすくな るのかを、グループ研修を通して話し合い、理解を深めることができた。 (2) グループ研修で得た知識を活用して、児童・生徒がICT 機器を活用した授業の実践を行う ことができた。 (3) グループ研修の話し合いでは、ICT 機器に関する都全体の動きや他の学校の情報など、最 新の情報を得ることができた。 (4) 外部講師からの講演を受け、視覚障害をもった人がどのようにICT 機器を使っているのか、 児童・生徒に有効なアプリケーションは何かについて、学ぶことができた。 2 課題について (1) 教員のニーズを把握した情報の発信が必要だった。 (2) 児童・生徒が主体的にICT 機器に関われるような取組みが尐なかった。 3 今年度のねらい 今年度の情報グループは幼稚部1名、小学部1名、中学部4名、計6名のメンバーで研究を進 め、昨年度の研究内容を引継ぎながら、「ICT 機器を使うことにより、ねらいをより達成しやす くする授業」について研究を進めた。更に今年度の研究・実践報告では、児童・生徒がどこまで ICT 機器を扱えるかのアセスメントを行い、それを基に行った ICT 機器を活用した授業実践につ いて意見交換を行った。 Ⅱ 実践事例1 ICT 機器を使った、全盲・弱視児童の指導 1 事例の対象となる児童生徒及び指導形態 (1)対象生徒:小学部6年、全盲1名 弱視2名 (2)在籍学級:普通学級(準ずる課程) (3)指導形態:集団指導 2 アセスメントの実施と結果について 本学級は、全盲児童1 名と弱視児童の 2 名の構成である。ICT 機器を授業で扱う際に、次のよ うな観察的アセスメントを行った。 (1) 全盲児童について ① プレクストークの使い方が分かり、操作することができる。 ② テンキー、Enter キー、Tab キーの位置が分かる。 (2) 弱視児童について ① マウスを操作することができる。

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② ズーム機能を使って、自分が見やすい大きさに拡大・縮小することができる。 (3) 結果について 全盲の児童に関しては、プレクストークの使い方にまだ慣れていない。教師の補助がな ければ使用は難しい。しかし、デイジー化された文章を聞いての内容の理解は十分である。 キーボードの位置については、最初、一緒に触って確認すると、その後、自分から探して キーボードをたたくことができる。 弱視の児童に関しては、マウスの使い方がまだ十分でない児童が1 名とマウスの使い方、 キーボード操作がある程度できる児童が1 名である。 以上のアセスメントを考慮して、指導計画、支援計画を作成した。 3 指導内容 (1)指導教科:社会科 (2)ねらい ① 黒船の来航をきっかけに、我が国の鎖国が終わったことを理解する。 ② 日米和親条約、日米修好通商条約の内容を調べ当時の人々の気持ちを考えることができる。 4 使用する ICT 機器及びソフト ・ ノート PC ・プロジェクター ・ HTML で作成したホームページのリンク集 ・ プレゼンテーションソフトで作成した提示型資料 ・ java Script、ActiveXで作成した問題集 5 使用した ICT 機器を選定した理由と選定のプロセス (1) ICT 機器を選定した理由 ① 全盲で点字使用も難しい児童への音声・触察面からのアプローチを考えた。 ② ノート PC を一人 1 台使用することで、自分で資料を拡大・縮小することができる ③ 一人一人のノート PC にリンク集や問題集があると自分からすすんで活動することができ る。 (2) 選定のプロセス ① 拡大・縮小して画像が乱れにくい資料を選定した。 ② 児童の ICT 機器の使用能力に合わせたホームページの選定をした。 ③ 分かりやすい内容の文章でのデイジーを作成した。 6 ICT 機器活用の効果 (1) 資料を拡大・縮小しながら、資料をよく観察し、その当時の人々の気持ちを考えることが できた。 (2) java Script、ActiveXで作成した問題集を解くことによって、主体的に学習することがで き、理解を深めることができた。 7 まとめと今後の課題 (1) まとめ 今回の実践では、ICT 機器を使って、一人一人が主体的に学習することをねらって、資料 を用意した。全盲の児童には、立体コピーで作成した人物画、調べ学習用のデイジー化した 文章。弱視児童には、プレゼンテーションソフト作成した提示型資料、調べ学習用のホーム ページリンク集を用意した。 プロジェクターを使って、スクリーンに映し出して観察した際には、一度に同じものを見

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ることができるのだが、弱視児にとっては、スクリーンに近づいて画像を見るしかなく、そ の際、自分自身の影が画像に重なり、見えなくなってしまった。弱視児にとっては一人一人 にパソコンを 使用することが有効であることが分かった。 一人一人がノート PC を使用することで、自分自身で拡大・縮小の操作をすることができ、 じっくりと資料を観察し、考えることができた。また、自分自身で操作するので、パソコン の操作自体も向上することができると考えられる。 また、調べ学習用のホームページリンク集は、文字入力が苦手な児童でも、教師が見せた い、ホームページにたどり着くことができるので、今後も活用していきたい。しかし、リン クを開いた時にウインドウが二重になっていて、マウスでウインドウを閉じなければならな い設定になっていた。今後、改善が必要である。 java Script、ActiveXで作成した問題集では、児童の実態を考慮して、問題数を尐なくし、 次のステージに進めるようにした。一つのステージをクリアすることで、意欲がわき、学習 に対する自信を深めることできた。今回は、全盲児はキーボード操作が不慣れだったため、 学習には使用しなかったが、音声対応しているので、今後活用していきたい。また、いろい ろな問題を作成すること、背景の色、文字数など改善が必要である。 デイジーの使用については、全盲で点字使用が難しい児童が主体的に調べ学習をするため に取り入れたものである。弱視児が見ている文章と同じものを、あらかじめデイジー化し、 プレクストークを用いて、聞くことができるようにした。聞きたいところをさがして、巻き 戻したり、先送りしたりする等して、意欲的に学習に取り組むことができた。 (2) 今後の課題 ① 環境面について ・ 最初から児童一人一人がタブレット PC を使える状態にすること。 ・ 一人一人の PC に資料を入れるのは、時間的に効率的ではない。教師のパソコンとつ ながっていて、そこからフォルダを開けるような環境ができるとよい。 ・ 問題集、リンク集などは、個人で作成しても限界がある。組織で作成し、蓄積して いくことが必要である。 ② 授業改善に向けて ・ 教科指導においては、教科のねらいを達成することが大切である。ICT 機器の活用 能力を高めることがねらいではない。教科のねらいを達成するために、ICT 機器を十 分に使えることを前提に、ICT 機器を使用することが大切である。 ・ 児童の実態を見定めて、無理な ICT 機器の使用はしないようにする。ICT 機器を活 用することで、児童の興味関心が高まったり、集中力が持続したり、できなかったこ とができるようになったりする感動を大切にし、機器やソフトのアセスメントをする ことが大切である。 ・ ICT 機器の活用能力の育成は、自立活動、総合な学習の時間を使って段階を追って、 育成していく。その際、児童の実態を把握するためのスケールを作成できるとよい。 Ⅲ 実践事例2 情報機器を活用した数学の学習指導について 1 事例の対象となる児童生徒及び指導形態 (1)対象生徒:中学部1、3年(全盲生3名、弱視生3名)

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(2)在籍学級:普通学級(知的障害を併せ有する教育課程) (3)指導形態:集団指導 2 アセスメントの実施と結果について 今回の数学の指導では、6 名の生徒を対象に研究を行った。生活年齢に対し、学習の理解度は 小学校低学年程度から小学校中学年程度である。社会性の検査も同程度(S-M 検査より)であり、 生活経験もそれに即したものであると類推される。 今回の研究を行うにあたり、教室での数学の学習内容を検討するとともに、情報機器の利用に ついて、どの程度の対応が可能か観察および情報交換によるアセスメントを行った。 (1) 全盲生について ① 数字をテンキーで入力することができる。 ② 数字を 6 点で入力することができる。 ③ Enter キーの位置がわかる。 (2) 弱視生について ① 数字をキーボードで入力することができる。 ② Enter キーの位置がわかる。 (3) 結果について キーボードのフルキー操作は難しいこと、全盲生の 1 名は 6 点入力であることを確認し、 情報機器を取り扱う際の留意点として、その操作能力をもとに課題を設定した。学習内容は、 その時点で取り組んでいる引き算、及び掛け算とした。 3 指導内容 (1)指導教科等:数学 (2)ねらい ① 情報機器を使って、数学の計算問題に取り組むことができる。 ② アプリケーションのルールを理解し、一人で取り組む時間を継続できる。 ③ できた、できなかったという結果を理解して、モチベーションを維持するこができる。 4 使用する ICT 機器およびアプリケーション PC および Scratch(スクラッチ) 5 使用した ICT 機器を選定した理由と選定のプロセス (1) 理由について これからの社会の中で、情報機器の活用はさまざまな分野で行われている。また視覚障害 者にとっても、スクリーンリーダーなど音声を手軽に扱うことができる情報機器の利用は、 生活を豊かにする上で欠かせないものになると考えられる。 多くの場合、学習については学校での取り組みだけで終わってしまう場合が多い。それは、 情報機器を利用した学習が、家庭で継続する環境が整わないことや、特別なアプリケーショ ンを必要とすることが理由として挙げられる。しかし、小学部から中学部、中学部から高等 部へと進路が進むにつれて、自分で学習する力を養うことは、非常に大切なことである。近 年は、家庭でも PC の利用は、ごく一般的になっているので、生徒本人だけでなく、保護者も 対応できる情報機器やアプリケーションを利用することは、生徒の学習環境を考える上で重 要であると考えた。また、個々の能力に対応した学習内容を維持しながら、集団の授業形態 を取る方法を探ることは、われわれ教員にとっても必要不可欠であると考え、学校、家庭と

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もに一般的になっている PC を活用した授業研究を行うことにした。 (2) 選定のプロセス ① 各家庭での、PC やタブレット端末など、ICT 機器の活用の状況について情報収集をする。 ② 授業の中で PC を活用している割合の確認。 ③ 音声の対応および、アプリケーションの仕様、文字の見易さ等の確認。 ④ アプリケーションの使いやすさ、有償・無償などの検討。 ⑤ Web サイトをすぐに表示できるように、リンク先を書いた Htmlファイルの作成。 ⑥ 教員同士でのアプリケーションの仕様についての事前研修。 6 ICT 機器活用の効果 (1) ICT 機器を活用することで、普段は教員に頼ってなかなか学習が進まない生徒が、自分の 力で学習を進めていくことができるということがわかった。 (2) 障害により発言や文字の書き操作が難しい生徒についても、数字のキーだけという簡単な 操作で学習を進めることにより、自分で解答する力を引き出し、また学習の到達度をより把 握することができた。 (3) 全盲生と弱視生の集団の学習についても、集団の場を維持しながら、個別に進めることが できるため、同時に授業を進行させることが可能であることがわかった。 (4) 学習内容が異なる生徒についても、同じ情報機器とアプリケーションを使った授業で、学 習内容を変更することで、同時に学習する時間を持てることがわかった。 (5) 情報機器を利用することで、生徒が自主的に取り組み、モチベーションを維持できること が効果として確認することができた。 7 まとめと今後の課題 情報機器の活用は、今後の取り組みとして大いに可能性のあるものだと考えられる。今回の研 究授業でも、生徒が自主的に取り組むことができること、モチベーションを維持できること、学 習内容に応じて、集団の形態を維持しながら個々の指導ができること、全盲生と弱視生が同時に 学習できることがわかった。 今後の課題として、よりモチベーションを維持するために、教材のさらなる工夫を進めていく こと、事前の教員の共通理解と継続した指導、情報機器を取り扱うための教員のスキルアップが 必要であると考える。また、環境面からスムーズにアプリケーションを作動させるための PC や、 弱視生が気軽に取り扱えるタッチパネルの PC、アプリケーションの最新版の導入など、情報機器 の環境整備も課題である。 Ⅳ 今年度の成果と来年度の課題 機器のアセスメントに関して、「コンピュータや情報通信ネットワークなどの情報手段の活用に当 たっては、小学校段階ではそれらに慣れ親しませることから始め、キーボードなどによる文字の入 力、電子ファイルの保存・整理、インターネットの閲覧や電子メールの送受信などの基本的な操作 を確実に身に付けさせるとともに、文章を編集したり図表を作成したりする学習活動、様々な方法 で文字や画像などの情報を収集して調べたり比較したりする学習活動、情報手段を使って交流する 学習活動、調べたものをまとめたり発表したりする学習活動など、情報手段を適切に活用できるよ うにするための学習活動を充実することが必要である。」(小学校学習指導要領解説総則編 9情報

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教育の充実、コンピュータ等や教材・教具の活用)と記述されている。 このことを踏まえ、幼児期から ICT 機器に親しめるように、校内の ICT 環境の整備に努め、誰 もがいつでも使えるようにしておくことが重要である。 1 成果について (1) 児童生徒のモチベーションの維持につながった。 (2) 計算問題をアプリケーションで作成しておくことで、児童生徒がそれぞれのペースで学 習できた。 (3) グループ研修の話し合い及び外部講師の助言・講演を受けて、ICT 機器や児童生徒に有 効なアプリケーションに関する最新の情報を共有することができた。 2 今後の課題 〈課題設定〉 教科のねらいとICT 機器活用に関するねらいは別である。今回の研究授業を通して、講師を 交えて授業を振り返ったところ、授業の目標を、機器に対するものか教科に関するものにする かどちらに焦点をあてるかという意見が出た。パソコンの操作によって本来の授業のねらいを 達成できない場合があるという講師の意見もあった。よって、操作の技術に関しては、自立活 動の時間等での習得が望ましく、各教科でICT 機器を使用する場合は、教科本来のねらいに重 点を置いて指導した方が良いのではないかという課題が出た。 3 来年度に向けて 〈授業改善に向けて〉 (1) 教室やICT 機器の環境設定 (2) 目的やねらいの明確化 (3) 教員のICT スキルの向上

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