ホルモンの合成と作用
平成30年度
病態生化学分野
吉澤 達也
学習の目標
・ ホルモンの分類について理解する ・ 細胞間情報伝達物質としてのホルモンを理解する ①ペプチドホルモン ②ステロイドホルモン ③アミノホルモン ①親水性ホルモン ②疎水性ホルモン ・ ホルモンの合成について理解する ・ ホルモンの制御機構について理解する ・ ホルモンの作用機構について理解するホルモンによる調節
ヒトが生きるためには常に変化する内外
の環境に対応・適応する必要がある
生体の恒常性を維持するシステム
ホルモン
微量(低濃度)で作用を発揮する物質である。 典型的なペプチドホルモンの血液中の濃度は、10-9 mol/L(nmol/L)程度 動物の体内において、ある決まった器官で合成・分泌され、体液(血液)を通し て体内を循環し、別の決まった器官でその効果を発揮する。 いわゆる腺組織以外で産生されるホルモン ・消化管:セクレチン、ガストリン、グレリン、インクレチン など ・心臓:心房性Na利尿ペプチド(ANP)、脳性Na利尿ペプチド(BNP) ・血管:C型Na利尿ペプチド(CNP) ・脂肪組織:アディポネクチン、レプチン など 標的組織において機能タンパク質を新たに合成させたり、あるいは活性化させ ることで生理作用を発揮する。 ひとつのホルモンが異なった細胞、組織では別の作用を示す。 細胞内情報伝達の多様性内分泌型 神経型 パラクライン型 接触型 シグナル伝達の種類 ホルモン 神経伝達物質 局所仲介物質 膜結合シグナル物質
内分泌器:ホルモン(ペプチドホルモン、ステロイドホルモン) 視床下部 GnRH - TRH - ドーパミン - CRH - GHRH - ソマトスタチン - ORX - MCH - MRH - MIH 脳下垂体後葉 バソプレッシン - OXT 脳下垂体中葉 インテルメジン 脳下垂体前葉 α サブユニット糖タンパク質ホルモン(FSH - LH - TSH) - GH - PRL - POMC(ACTH - MSH - エン ドルフィン - リポトロピン) 副腎髄質 副腎髄質ホルモン(アドレナリン - ノルアドレナリン - ドーパミン) 副腎皮質 副腎皮質ホルモン(アルドステロン - コルチゾール - DHEA) 甲状腺 甲状腺ホルモン(T3 - T4 - カルシトニン) 副甲状腺 PTH 精巣 テストステロン - AMH - インヒビン 卵巣 エストラジオール - プロゲステロン - インヒビン/アクチビン - リラキシン(妊娠時) 膵臓 グルカゴン - インスリン - ソマトスタチン 松果体 メラトニン 内分泌器でない器官 誘導タンパク質 その他の内分泌器 NGF - BDNF - NT-3 視床下部 - 脳下垂体 副腎 甲状腺 生殖腺 胎盤:hCG - HPL - エストロゲン - プロゲステロン - 腎臓:レニン - EPO - カルシトリオール - プロスタグランジン - 心 臓:ANP - BNP - ET - 胃:ガストリン - グレリン - 十二指腸:CCK - GIP - セクレチン - モチリン - VIP - 回腸:エンテ ログルカゴン - 脂肪組織:レプチン - アディポネクチン - レジスチン - 胸腺:サイモシン - サイモポイエチン - サイムリ ン - STF - THF - 肝臓:IGFs(IGF-1 - IGF-2) - 耳下腺:バロチン - 末梢神経系:CGRP - P物質 ・ペプチド類 カルシトニン遺伝子関連ペプチド(CGRP) ガストリン バソプレシン、オキシトシン 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、エンドルフィン、リポトロピン セレクチン、モチリン、血管作動性腸管ペプチド(VIP) ソマトスタチン ・モノアミン類 アドレナリン、ノルアドレナリン、ドパミン セロトニン ホルモンとしても働く神経伝達物質の例
ホルモンの分類-I
構造からの分類
①ペプチドホルモン
②ステロイドホルモン
③アミノホルモン(低分子ホルモン)
インスリン、グルカゴン、成長ホルモン、抗利尿ホルモン 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)など 副腎皮質ホルモン(コルチゾール、アルドステロン) 性ホルモン(アンドロゲン、エストロゲンなど) アドレナリン、甲状腺ホルモンなど①
ペプチドホルモン
インスリン、グルカゴン、成長ホルモン、抗利尿ホルモンなどDNA
mRNA
プロホルモン
ホルモン
転写 翻訳 タンパク質の切断CAAT ボックス
TATA ボックス
cap site [ATG]
TAA TAG TGA [AATAAA] 5’ 3’ イントロン DNA NTP RNA ポリメラーゼII mRNA前駆体(hnRNA) スプライシング Me7G付加 ポリA付加 シグナルペプチダーゼ mRNA ペプチド(プレプロホルモン) プロホルモンプロセッシング 成熟ホルモン 分泌顆粒内 分泌 転写 transcription 転写後修飾 posttranscriptional modification 翻訳 transration 翻訳後修飾 posttransrational modification 核 細 胞 質 細 胞 外 ゴ ル ジ 装 置 粗 面 小 胞 体 Me7G ポリA Met シグナル ペプチド プロホルモン 糖鎖 S S S S
ペプチドホルモンの合成
<プロホルモン> POMC:ACTH前駆体 複数のホルモンを有する バゾプレッシン、オキシトシン前 駆体 細胞内輸送に必要なニューロ フィジンをもつ インスリン前駆体 α鎖とβ鎖の形態を保つのに 必要なconnecting peptideを 有する グレリン 脂肪酸付加:機能発現に重要①プレプロインスリン RNA ポリメラーゼII mRNA前駆体(hnRNA) スプライシング Me7G付加 ポリA付加 シグナルペプチダーゼ mRNA プロホルモンプロセッシング 成熟ホルモン 分泌顆粒内 分泌 転写 transcription 転写後修飾 posttranscriptional modification 翻訳 transration 翻訳後修飾 posttransrational modification 核 細 胞 質 細 胞 外 ゴ ル ジ 装 置 粗 面 小 胞 体 DNA ①プレプロインスリン ②プロインスリン ③インスリン ④インスリン六量体
ペプチドホルモンの合成 (インスリンの例)
インスリン遺伝子 プレプロインスリンmRNA インスリンペプチドホルモンの合成 (POMCの例)
POMC(プロオピオメラノコル チン)の組織特異的な翻訳後プ ロセッシングで2つの異なる組 み合わせのポリペプチドホルモ ンを生じる。 脳下垂体前葉でも中葉でも、 POMCは分解されN末端断片、 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、 βリポトロピン(β-LPH)を生じる。 これらのポリペプチドホルモン は中葉だけでさらに分解され、γ メラニン細胞刺激ホルモン(γ-MSH)、α-MSH、副腎皮質刺激 ホルモン様中葉ペプチド(CLIP)、 γ-LPH、β-エンドルフィンを生じ る。②ステロイドホルモン
副腎皮質ホルモン(グルココルチコイド、ミネラルコルチコイド) 性ホルモン(アンドロゲン、エストロゲンなど) HO コレステロール A B C D ステロイド核 (炭素原子19個) O HO OH C=O CH2OH コルチゾール (グルココルチコイドの一つ)1. 副腎皮質ホルモン
グルココルチコイド(コルチゾール): 糖質代謝、抗炎症作用など ミネラルコルチコイド(アルドステロン): Naイオン再吸収促進、細胞外液量維持2. 性ホルモン
アンドロゲン(テストステロン、ジヒドロテストステロン): 男性生殖器官発育・維持、第二次性徴 エストロゲン(17b-エストラジオール): 女性生殖器官発育・維持、第二次性徴、月経周期 プロゲステロン: 妊娠の維持、乳腺発達ステロイドホルモン産生組織
独立行政法人情報処理推進機構 教育用画像素材集より抜粋 [副腎皮質] コルチゾール、アルドステロン 性ホルモン [卵巣] プロゲステロン、エストロゲン [精巣] アンドロゲンステロイドホルモン生合成経路1
HO コレステロール (炭素原子27個) HO CO CH3 プレグネノロン (炭素原子21個) P-450scc 17 1 5 8 9 10 11 13 14 17 18 19 ステロイドホルモンの重要な合成中間体 2 3 4 6 7 12 15 16 21 20ステロイドホルモン生合成経路2
HO CO CH3 プレグネノロン 17 3 O CO CH3 17 プロゲステロン 21 アルドステロン合成経路 HO CO CH3 3 OH CO CH3 OH O 21 コルチゾール合成経路 17 17 17-水酸化 プロゲステロン 17-水酸化 プレグネノロン アンドロゲン エストロゲン 合成経路 17-hydroxylase 3b-hydroxysteroid dehydrogenase 21-hydroxylase 17,20-lyaseステロイドホルモン生合成経路3
O CO CH3 17 プロゲステロン 21 CO CH3 OH O 21 17 17-水酸化 プロゲステロン 21-hydroxylase 11-デオキシコルチゾール 11b-hydroxylase CO CH2OH OH O OH コルチゾール 21-hydroxylase 11-デオキシコルチコステロン 11b-hydroxylase コルチコステロン 18-水酸化コルチコステロン 18-hydroxylase O CO 18-oxidase OH CHO アルドステロン CH2OH 炭素原子21個 炭素原子21個ステロイドホルモン生合成経路4
CO CH3 3 OH CO CH3 OH O 17 17 17-水酸化 プレグネノロン 17-水酸化 プロゲステロン 17,20-lyase 3b-hydroxysteroid dehydrogenase HO デヒドロエピ アンドロステロン アンドロステンジオン 17b-hydroxysteroid dehydrogenase O OH テストステロン (アンドロゲン) aromatase HO OH 17b-エストラジオール (エストロゲン) O O HO O 炭素原子19個 炭素原子18個③アミノホルモン(低分子ホルモン)
アドレナリン、甲状腺ホルモンなど HO CH2 CH COOH NH2 チロシン(アミノ酸) HO CH CH2 NH HO OH CH3 アドレナリン HO O CH2 CH COOH NH2 I I I I 甲状腺ホルモン (チロキシン)アミノ酸誘導体ホルモン
アドレナリン (エピネフリン) 副腎髄質 血圧上昇,平滑筋収縮/弛緩,肝・筋 での解糖促進 脂肪組織での脂肪分解促進 ノルアドレナリン (ノルエピネフリン) 副腎髄質 小動脈の収縮促進,抹消循環抑制, 脂肪分解促進 トリヨードチロニン(T3) チロキシン(T4) 甲状腺 代謝促進 インドール,セロトニン, メラトニン 松果腺 神経伝達カテコールアミン-カテコールを共通の構造として持つ アドレナリン(エピネフリン) ノルアドレナリン ドーパミン 組織によって合成の段階が異なる 脳細胞(一部):ドーパミンが最終カテコラミン 交感神経末端:ノルアドレナリンが最終カテコラミン 副腎髄質、中脳、心臓:アドレナリンまで合成 アドレナリン ノルアドレナリン ドーパミン アミノホルモン(低分子ホルモン)の合成 (カテコールアミンの例)
飲食物からヨウ化物として摂取されるヨード は甲状腺で濃縮されて,濾胞細胞内で有機 ヨードに変換される。 濾胞細胞はコロイドで満たされた空間を取り 巻いており,このコロイドは,基質内にチロシ ンを含む糖蛋白サイログロブリンからなる。 チロシンは,1カ所(モノヨードチロシン)また は2カ所(ジヨードチロシン)でヨード化されて, 互いに結合して2種の甲状腺ホルモンを形成 する(ジヨードチロシン+ジヨードチロシン→T4; ジヨードチロシン+モノヨードチロシン→T3)。 濾胞細胞がサイログロブリンを取り込むまで は,T3およびT4は濾胞内のサイログロブリン に組み込まれたままである。 甲状腺濾胞細胞内に入ると,T3およびT4は サイログロブリンから切断され、分泌される。 サイログロブリン チロシン チロシン(MIT)モノヨード ジヨード チロシン(DIT) ヨード化 結合 T3 T4 アミノホルモン(低分子ホルモン)の合成 (甲状腺ホルモンの例)
created by Takuma-san in Wiki. 参考 クッシング症候群(Cushing‘s syndrome): 糖質コルチコイドが慢性的に過剰分泌され、全身にさまざまな症状が生じる病気の一群。 満月様顔貌、中心性肥満、筋萎縮および筋力低下、高血圧、腎結石、骨粗鬆症、 耐糖能障害、感染に対する抵抗力の低下、精神障害が一般的である。
東京大学 医科学研究所附属病院 アレルギー免疫科 HPより 参考
骨格筋特異的GRKOでは、 アラニンが低下!
東京大学 医科学研究所附属病院 アレルギー免疫科 HPより 参考
ホルモンの分類-II
作用機構(受容体)からの分類 ①細胞膜受容体に作用するホルモン ②細胞内受容体に作用するホルモン 親水性分子: ペプチドホルモン類 アミノホルモン類(カテコラミン) 疎水性分子: ステロイドホルモン類 アミノホルモン類(チロキシン)www.cellsignal.com/.../ Insulin_Receptor.jpgより抜粋 細胞膜受容体 ホルモン 細胞内情報伝達系 活性化 標的遺伝子発現調節 タンパク質 機能変化 ペプチドホルモンの作用 (インスリンの例)
核内受容体を介した作用機構(参考) 細胞内受容体 (核内受容体) ホルモン 標的遺伝子発現調節 ②細胞内受容体に作用するホルモン
ステロイドホルモン受容体=転写因子
Nuclear Receptor Signaling (2007) 5, e003.より抜粋
•甲状腺ホルモン(T3, T4)は脂溶性ホルモン •甲状腺ホルモンT4、T3は細胞膜に局在する分子を介して細胞質内に取り込ま れる。 •細胞質内でT4はT3に変換され、核内に局在する甲状腺ホルモン受容体(TR)に 結合する。 •TRは転写因子のひとつであり、標的遺伝子のプロモーター上に存在する甲状腺 ホルモン応答領域に結合して遺伝子の転写活性を調節する。 甲状腺ホルモンの作用 ①熱産生作用:酸素消費増大による基礎代謝率↑ ②脳機能の成熟↑:障害でクレチン病、うつ・記憶力↓ ③骨成長↑:低下で低身長、増加で骨粗鬆症 ④心収縮力増強:心βアドレナリン受容体↑ ⑤ミオシン重鎖α↑、Serca2↑ ⑥脂質代謝促進:HMG-CoA R↓、肝リパーゼ活性↑ ⑦血糖調節:低下でインスリン分泌・受容体↓ 増加で消化管からの糖吸収(食後過血糖)↑ ⑧皮膚グルコサミノグリカン産生↓:低下で粘液水腫 ⑨肝臓タンパク質代謝:りんご酸酵素活性↑ ⑩水・電解質代謝:ANP合成↑、Na、水の排泄↑ アミノホルモン(低分子ホルモン)の作用 (甲状腺ホルモンの例)
ホルモンの調節機構(1)
ネガティブフィードバック(Negative-feedback) 生体の内部環境の恒常性を維持するためのコントロール機序 ホルモンの標的細胞への効果が一定に達すると、その作用を抑 制する方向に作用する機序 - 過度の反応の抑制 1) 単一の内分泌腺による調節 血漿浸透圧上昇 → ADH(抗利尿ホルモン)分泌増加 → 血漿浸透圧低下 2) 複数の内分泌腺による直列的な調節 視床下部ー下垂体ー標的内分泌腺(甲状腺、副腎、性腺) 3) 複数の内分泌腺による並列的な調節 血糖低下 → インスリン分泌低下 → 血糖上昇 グルカゴン分泌増加 アドレナリン分泌増加 コルチゾール分泌増加 成長ホルモン分泌増加ホルモンの調節機構(2)
2) 複数の内分泌腺による直列的な調節 内分泌腺 標的臓器 視床下部 食物摂取↓ エネルギー消費↑ レプチン 脂肪細胞 内分泌腺 下垂体 後葉 ADH 血漿浸透圧 標的臓器 腎 集合尿細管 1) 単一の内分泌腺による調節CRH: corticotropin releasing hormone ACTH: adrenocorticotrophic hormone GRH: growth hormone releasing hormone SRIF: somatotropin release-inhibiting factor
(=somatostatin, SRIH, GIF GH: growth hormone
GnRH: gonadotropin-releasing hormone LH: luteinizing hormone
FSH: follicle stimulating hormone E2: Estradiol
T: testosterone
TRH: thyrotrophin releasing hormone TSH: thyroid stimulating hormone T3: triiodothyronine T4: thyroxine Hypothalamo- pituitary-adrenal axis Hypothalamo- pituitary-gonadal axis Hypothalamo- pituitary-thyroid axis バソプレッシン= 抗利尿ホルモン (antidiuretic hormon) レプチン欠損マウス (ob/ob)
副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン (ペプチドホルモン) 副腎皮質刺激ホルモン (ACTH ペプチドホルモン) コルチゾール [視床下部] [下垂体] [副腎皮質] 独立行政法人情報処理推進機構 教育用画像素材集より抜粋 [標的組織] 抑制 分泌促進 合成促進 視床下部は間脳に位置する 生理作用
参考:21水酸化酵素欠損症
プロゲステロン アルドステロン コルチゾール 17-水酸化 プロゲステロン アンドロゲン エストロゲン 21-hydroxylase (21水酸化酵素) 欠損 プレグネノロン 17-水酸化プレグネノロン コレステロール 副腎過形成 男性化 副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)ホルモンの調節機構(3)
3) 複数の内分泌腺による並列的な調節(血糖調節の例) 食事 糖の吸収 食事 インスリン グルカゴン インスリン グルカゴン インスリン グ ルコー ス → グ リコ ー ゲ ン グ ルコー ス ← グ リコ ー ゲ ン グ ルコー ス → グ リコ ー ゲ ン 140 120 100 80 60 40 20 0 7 6 5 4 3 2 1 0 時間 血糖値( m g/d l) 糖の吸収 食事 糖の吸収 食事 インスリン グルカゴン インスリン グルカゴン インスリン グ ルコー ス → グ リコ ー ゲ ン グ ルコー ス ← グ リコ ー ゲ ン グ ルコー ス → グ リコ ー ゲ ン 140 120 100 80 60 40 20 0 7 6 5 4 3 2 1 0 時間 血糖値( m g/d l) 糖の吸収 インスリン グルカゴン グリコーゲン分解 糖新生 ケトン体産生 脂肪酸分解 膵β 細胞 膵α 細胞 組織での 糖取り込み 糖利用 血糖↓ 血糖↑ インスリン グルカゴン グリコーゲン分解 糖新生 ケトン体産生 脂肪酸分解 膵β 細胞 膵α 細胞 組織での 糖取り込み 糖利用 血糖↓ 血糖↑ホルモンの調節機構(4)
血中濃度の変動 ー分泌のリズムー ホルモンは非常に低い(10-12~10-7 mol/l)濃度で 作用し、その濃度は変動する。 <概日周期(Circadian rhythm)> 副腎皮質の糖質ホルモン(ヒトでは早朝にピーク、 夜間は低値) 下垂体前葉の成長ホルモン(深夜睡眠時に高値) <長周期の変動> 性ホルモンの分泌で、ヒトの女性ホルモンの場合は 視床下部・下垂体前葉・卵巣の順に階層的に約28日 周期で分泌調節される。 <間欠的・パルス様> 多くのホルモンは断続的に、不規則に放出される。 このため血中濃度は間欠的ないしパルス様に変動 する。黄体形成ホルモン(LH)など インスリン分泌のパターン <基礎分泌> 24時間ほぼ一定量に保たれている分泌 <追加分泌> 食後の血糖値の上昇に対しタイミングよく大量に 分泌される分泌(イベント応答)セロトニン 約90%は小腸の粘膜にあるクロム親和細胞に存在。 8%は血小板に取り込まれ、血液を通じて体内を循環。 2%が脳内の中枢神経に存在。 5-ヒドロキシトリプタミン(5-hydroxytryptamine、略称5-HT) は、モノアミン神経伝達物質の一種。 <局在> 脳関門を通過できない 参考
セロトニンの合成 Tryptophan hydroxylase (TPH) TPH1: 主に腸 TPH2: 主に中枢神経 律速酵素 Aromatic L-amino
acid decarboxylase (AADC)
脳内のセロトニン・・・ 覚醒作用(交感神経を介した体温調節、視床下部における体内時 計の調節)。 情動制御作用( ドーパミンやノルアドレナリンの作用を抑制)。 学習・記憶への作用(海馬における記憶力に影響)。 運動機能への作用(咀嚼や呼吸といった反復運動に作用)。 腸内のセロトニン・・・ 蠕動運動に作用、消化を助ける。過敏性腸症候群の原因とも考え られている。 血液中のセロトニン・・・ 止血作用、血管収縮作用。偏頭痛の原因の一つと考えられている。 古典的なセロトニンの効果 参考
新しく発見されたホルモンとしてのセロトニンの効果
① 骨への作用
② 褐色脂肪細胞への作用