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VIII.アルミニウム合金の時効硬化の電子顯微鏡的研究

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412

A-第15卷

VIII.ア ル ミニ ウ ム合 金 の時 効 硬 化 の 電子 顯 微 鏡 的研 究

西 村 秀 雄*幸

田 成 康**村

上陽太郎*竹

山 太 郎*

I.緒

Alに對 す るCuの 固溶體 溶 解 限 度 は 温 度 に よつ て異 り,例 えばDix and Richardson(1)に よれ ば 第1表 の如 くに な る. 第1表 Alに對 す るCuの 溶 解 度 の 温 度 に よ る變 化 從 つ てCu4∼5%を 含 む合 金 は 高温 度 では 一 相 の 固溶 體 として 存 し得 るが,低 温 度 では 大部 分 のCuがCuAl2 と して 析 出 した 二相 の状 態 が 安 定 で あ る.よ つて こ のよ う

な合金 を高温度か ら燒入す ると,常 温ではCuを 過飽和に

固溶 した状態の合金が得 られ る.こ の合金は當然常温では

不安定 な相であ るか ら,安 定相 へ移 ろ うとする傾 向を内在

させ て い る結 果,常 温 あ るい は稍々 高 い温 度 に放 置 す る と

時 間と共に硬化する現象-時

効硬化が見 られ る.

この現 象 は1909年,Wilm(2)が數 年 の 研究 の結 果,ヂュ ラル ミン な る優 秀 な時 効 性合 金 を發 明 した こ とに 端 を發 し て い るが,硬 化 の機構 につ いて は1919年Merica等(3)が コロ イ ド的 に 分散 した 第二 相 の析 出 に よつ て説 明 す る析 出 硬 化説 を出 した のが きつ か け とな り,1921年Jeffries(4) は 最 も硬 化 を示 す時 の析 出 粒 子 の 大 さには あ るcritical slzeの あ るべ き こ と(そ れ よ り小 さ くて も また 大 き くて も 軟 か い)を辷 の干 渉 説 よ りとな え,よ うや く理 論 的 な考 察 が 盛 に な つ て來 た.一 方1920年Freankel(5),1922年 今 野(6) 等 は,析 出 して か ら硬 化 す る とい うこ とに 疑問 を持 ち,析 出前 の固 溶體 内 の變 化 に よつ て歪 を 生 じて 硬 化 す る とい う 析 出 前 硬 化 説 あ るい は 歪 硬 化説 を読 えた.1932年 前 述 の Merica(7)は,そ の頃 ま での 時 効 硬 化 の研 究 を輯 録 す る に ゴ あ た り,Al合 金 の時 効 硬化 に對 して は 先の 析 出硬 化説 を あ らた め,過 飽 和 固 溶體 内 で 析 出 せ ん が た め に生 ず るCu 原 子の 局 部 的 集 合(こ れ を"Knot"ま たは"Nucleous" (核)と 呼 ぶ)の 結 果辷 り干渉 を起 して硬 化 す るの で あ る とい う説を出 した. と ころが1935年Wassermann u. Weerts(8)がAl-Cu 合 金單 結 晶 に對 す るX線 的研 究 の結 果,200° 位 の時 効 過 程 に お い て平 衡 状 態 圖 で豫 想 され るCuAl2化 含 物結 晶 構 中造 で な い.し か も組 成 的に はCuAl2な る新相(こ れ を 間相 と呼 ぶ)を發 見 し,次 い で1938年Preston(9)が そ の 原 子 配 列 を詳 細 に 調 べ,時 効 の析 出過 程 は 直 接CuAl2 化 合 物 を形 成 す るの で な いこ とが 判 つた.今 日この 中 間 相 を,安 定 相 θに對 し θ'相,あ るい は安 定 相 β-CuAl2 に對 しα-CuAl2と 呼 ん で い る. ま た その 頃1938年Preston(10),Guinier(11),Calvet, Jacquet and Guinier(12)は よ り低 い温 度 で時効 したAl-Cu 合金 に おい て特 異 なStreaksの あ るX線寫 眞 を 得,こ れ を解 析 してStreaksは 母體 固溶體 の(100)面 にCu原 子 の多 い 薄 片状 の集 合體 が 無數 に形 成 さ れ た こ とを示 す も の で あ る と した.こと の集 合體 は勿 論 母體 固溶體 の結 晶格 子 と密 接 な關 聯 を保 つて い る.今 日これ はGuinier-Preston 集合體 と呼 ばれ,θ"相 と呼 ぶ こ と もあ る.そ の大 さに つ い てGuinierは 第2表 を 與 えて い る. 厚 さにつ い てはCalvet等 は150Å の時4Å を述 べ て

*京 都大學工學部冶金學教室

**北 海道大學工學部冶金學教室

(1) E. H. Dix, H. H. Richardson,

Trans. A. I. M.

E., 73 (1926), 560.

(2) E. H. Wilm, D. R. P. 244554 (1909); E. H. Wilm,

Metallurgia, 8 (1911), 225.

(3) P. D. Merica,

R. O. Waltenberg,

H. Scott, Sci.

Pap. Bur. Stand. Nr. 347 (1919), 271.

(4) Z. Jeffries & R. S. Archer,

Chem. and Metals.

Eng., 24 (1921), 1057.

(5) W. Freankel. u. R. Seng, Z. Metallk.,12 (1920),

225.

(6) S. Konno, Sci. Rep. Tohoku Inp. Univ., 11 (1922),

269.

(7) P. D. Merica, Trans. A. I. M. E., 99 (1932), 13.

(8) G. Wassermann,

u. J. Weerrts,

Metallwir., 14

(1935), 605.

(9) G. D. Preston,

Phil. Mag., 26 (1938), 855.

(10) G. D. Preston, Proc. Roy. Soc., A-167 (1938), 526.

.

(11) A. Guinier, Nature, 142 (1938), 569.

(12) J. Calvet.,

P. Jacquet et A. Guinier, Compt.

Rend., 206 (1938), 1972; J. Inst. Metals, 65 (1939)

177.

(2)

い る.な お この集 合體 のCu原 子 の割 合 や配 列 は 判つ て い ない.今 日か ゝる集 合 體や 中間 相は,他 の時効 性Al合 金 に も發見 され て い る(13). 以 上簡單 な概 説(14)ふ ら見 る よ うに,時 効 硬化 の析 出 過 第2表Guinier-Preston集 合體 の大 さ

程 は初 期の頃考 之ていたよ り複雜な經過をた どるこ とが判

つ た.同 時に析出前 に硬化するか,析 出後に硬化す るか と

い う問題 も,G-P集

合體の形成 を 析出 と定義 するか ど う

か の言葉 の問題 となつて來 る.こ のよ うにX線

そ の他の

研 究よ り光學顯 微鏡に か ゝらない析 出粒子の大 さや形状や

析 出状況(母 體固溶體 の格子 との關 係や析出場所)等 がす

でに豫想 されてお り,倍 率の高 い電子顯微鏡は まず このよ

うな析出粒子を直接目で確め ようとい う點に向け られ た.

II.電 子 顯 微 鏡 法 の 概 要

Al合 金は幸い陽極酸化に よつて容易に 酸牝皮膜ができ

るので試料作成は主 として酸化被膜 レプ リカ法に よる.陽

極酸化 前の處理 としては表面を電解研磨 する.電 解研磨後

特 に腐蝕す る必要はない.本 來電子顯微鏡法は表面 の凸凹

がなけれ ば像が見 られ ないように言われてい るが,析 出物

のあるAl合

金では,た とえ電解研磨の結果表面が平滑 に

なつ て も,次 の陽極酸化 に際 し地(Matrix)と

析出物 の と

こち とで酸化 物が異 るため,電 子の吸收散亂を異 にし析出

物の像があらわれ ることが考え られ る.

しかし實際に像のあらわれ る過程は もつ と複雜で,(1)

電解研磨が地 と析 出物 と同じ程度に進行するか,(2)陽 極

酸 化が地 と析出物で同じ速度で進 行するか,(3)陽 極酸化

や に析出物 の酸化物が溶解 しないか,(4)酸 化膜 の剥離處

理 及び酸 に よる洗滌處理中に析出物の酸化物あ るいは殘留

析出物が溶解 しないかに左右 さてて色 々な像が見 られ る.

この ことは寫眞 の解釋上大切であ るから,次 に極 く簡單な

場 合につ き圖示 して説明 しよう.

まず電解研磨では試料表面は完全に平にな,か

つ陽極

酸化 後の剥離洗滌處理に よつては何等影響を受けない とす

る.な お析出物は酸化 膜の厚 さより大 き く,陽 極酸化に際

し全然おか され ない とすれ ば,は じめ第1圖Aの

如 き斷

面の試料 は,陽 極酸化に よつてBと

な り,膜 をはが した

結果 はCま

たはDの

状態 とな る.從 つてCの 時 は析出

物 は陽畫 で黒 く,Dの 場合白 くなるであろ う.

次に陽極酸化 の進行中に,析 出物あるいは析 出物 の酸化

物が溶け出 したならば,第2圖Aの

状態 のものは溶 ける

速度 に從つて,BCDの

如 き酸化 膜を 生じ,結 局陽畫 の上

にB'C'D'の

如 き濃度分布 を示すであろ う.

以上最 も簡單な例であ るが,實 際の場合には析出物 は一

般に斜に入つ ているし,試 料作成 中に も色 々の影響 を受け

る可能性がある.像 の解釋 はこれ等 を考慮 して行 う.

この ようなわけで析出物のあるAl合 金は,電 解研磨後

の腐 蝕は不要で,却 つて深い腐蝕 はモザイクブロッ ク状の

構 造が出て,析 出物の存在を不 明瞭に し不利益 であ る.し

か し小數 のエッチングピッ ト

を出して,析 出物 の結晶學的

の方 位を知 る手懸 りとす ることもある.な お酸化膜の厚 さ

は厚す ぎず また薄 すぎない ことが必要 である.時 効硬化 の

研究 に對して所要 の目的が達せ られ るか否 かは,試 料作成

法 の巧拙に よるこ とが多 い.最 後に酸化被膜法では,分 解

能は100Å

位であ ること及 び 電子顯微鏡は極めて高倍率

であ るか ら,試 料の極小地域を觀察す ることにな り,屡々

特殊の ところを のみ見て平均 な形態 を見損 うことが あるこ

(13) A. Guinier, Rev. de Metallurgie, 41 (1944), 1; A. Guinier et H. Lambot, Compt. Rend., 227 (1948), 74. (14) こ の 外 時 効 硬 化 過 程 の 二 段變 化(double agig) 復 元 に 關 聯 し て 安 定 粒 子 の 大 さ に關 す るBecker の 理 論,光 學 顯 微 鏡 で 見 ら れ る 線 條 組 織,時 効 に 伴 う格 子 歪 等 の 問 題 が あ るが 略 す る.例 え ば 次 の 文 献參 照. 西 山 善 次,X線,4(1944)2-22;鈴 木 平,"時 効 硬 化"(1949)日 本 金屬 學 會發 行,日 本 金屬 學 會 分 科 會 報 告,III(1950)6-2(西 山 及 び 鈴 木 の 論 文) "Age Hardening of Metals" Symposium of the ASM (1940); Chalmers, "Progress in Metal Physics, I" (1949), 136頁,Smithの 輯 録;"Symposium on Internal Stresses in Metals and Alloys" (1948), 237頁Nabarro の 輯 録,255頁,Gaylerの 輯 録.

1

第1圖

(3)

414

A-第15卷

と等注意すべ きであろ う.從 つて小數の電子顯微鏡寫眞の

觀察 のみか らの大膽 な結 論は注意せねばならない.

III.歐 米 に お け る 研 究(15) (a)ド イ ツ 酸化 被覆 法 を考 察 し たMahlが 主 とな つ て早 くよ り研 究 に着 手 して い るが,時 効 性Al合 金 に對 す

る研 究 は少 い.1942年Mahl and Pawlek(16)はAl-Cu 合 金(小 量 のMgを 含 む)の燒 戻 時効 を研 究 し,燒 戻 の 進 行 に 伴 いCu原 子 が(100)面 に 板 状 に集 合 し て 來,最 後 に 互 た直 交 す る小 さい棒 状 のCuAl2結 晶 が 析 出 す る こ とを認 やた.たゞ し常 温時 効 硬化 で は 何等變 化 を 認 め な か つ た.從 つ て常 温 時 効 の段 階 で の 集 合體 の大 さは100∼ 300Å よ りも小 さいと 推 測 し た.ま たAl-Mg合 金(ヒ ド ロチ リウム)で は,ま ず小 さい コ ロイ ド状 の粒 子 が結 晶粒 界 に 凝 集 して來 る こ と,不 均一 相 に な る と徑約1μ の球 形 の粒 子 に な る こ と を 認 め た.次 い で1948年Dudek, Mahl&Seemann(17)は ヂ ュラ ル ミンを研 究 し,燒 入 ヂ ュ ラル ミンに均 一相 で は な く,Mnを 含 む細 か い析 出 物 が存 在 す る こ どを認 めた. (b) フ ラ ンス 時 効 硬化 のX線 的研 究 でG-P集 合 體 の發 見 そ の他 で 顯 著 な業績 のあ るGuinierが 指 導 して い るた め,日 が 淺 い に か ゝわ ら ず 色 々 面 白 い結 果 を得 て い る. 1949年Castaing(18),Castaing et Guinier(19)はAl-Cu 合 金(Cu4%)の燒 戻 の 時 のG-P集 合 體(θ"相)及 び θ'相の形 成 を 調 べ た.試 料 作成 法は 前 述 の電 解 研磨 後 そ の ま ゝ陽 極酸 化 す る方 法 であ る.150° と200° の間 の燒 戻 で は,平 板 状 の θ'相が 地 の(100)面 に析 出 して おり,そ の 平 均厚 さは100Å 位,大 さは燒 戻 時 間 と共 に大 き くな り 200°6時 間 では1μ 程 度に な る.厚 さは 時 間 が の びても 増 さな い.こ の θ'相の形 成 はX線 で觀 察 され る前 に も既 に 電 子 顯 微 鏡 では 判 る.100° と150° の 間 で は θ"相が 豫 期 され るが,こ の段 階 で は多數 の點 々が寫 眞 に見 え,そ の大 多數 は點 々の た め形 が は つ き りしな いが,あ る寫眞 で は點 々が 一 方 に伸 びて 方 向性 の あ る こ とが うかが え る もの もあ る.こ れ はθ"相 と想像 され(θ'相 と す る と 量 が 多 す ぎ る),方 向 性 の到 る もの で は や は り地の(100)面 に平 行に なつ て い る.(點 々の見 掛上 の 形 か ら球 形 を速斷 す る こ と はX線 の結 果 と矛 盾 す る.極 めて 小 さい點 故形 は簡單 に 判 らな い)更 に との研 究 で明 らか に され た の は,時 効 の進 行の 非 一樣 性 で,辷 り面(燒 入 歪 力に よ る)に おけ る優 先 析 出,粒 界 に お け る無 秩 序 な粗 い析 出 物 の形 成(と の よ う な粗 い 析 出物 の附近 に は 小 さい析 出物 は 無 く,大 きい析 出 物 附 近 で はCu濃 度 が低 下 して い る こ とが 想像 され る)及 びPolygonizationの 境界 に おけ る優 先析 出 が見 られ た. 最 後 のPolygonization境 界 に お け る析 出 の結 果 として所 謂 網 目組 織 を 呈 す る.そ の境 界 の析 出 物 の平 均 距 離 は1,000 Å 位 で,今 こ のSub-grainの 方 向 の ち が い を數 分 と假 定 す る と丁 度 こ の數 字 は 個 々 のSub-grain境 界 に あ る Dislocation中 心 の 間 隔 に 相 當 す る.(Sub-grainの 大 さ に つ いて の數 字 体 ない が,寫 眞 に5μ の 例 があ げ て あ る.大 體 μ の程 度 で あ ろ う).ま たSub-grainの それ ぞれ に お い て 析 出 の 早 い もの ど遲 い もの とが認 め られ た.

同 じ くAl-Cu合 金(Cu4%)につ き1949年Saulnier(20) は,定 速 加熱 に よ る熱 膨脹 及 び 硬 度變 化 測 走 を共 に各 段 階 で の 電 子顯 微 鏡寫 眞 を とつ て對應 す る組 織 を調 べ,175° 迄 あ げ た合 金 に おい て こPolygonizationの 境 界 に 白い點 々 と して 多 く析 出物 が 出 て い る寫 眞 を得 た. ま た1949年Castaing et Guinier(21)は,Al-Mg2Si合 金 に關 し,X線 か ら豫 想さ れ る 時 効 初 期 に 母 體 格 子 の 〔100〕軸 た沿 うてMg及 びSiの 直 線 状 の 不 均 一 が生 じ (一次 元 のG-P集 合 體),次 第 に生 長 し,最 後 に 〔100〕軸 に そ の 〔110〕軸 が平 行 なMg2Siの 析 出物 が あ らわれ る とい うこ とを電 子顯 微 鏡 で確 か め た.す なわ ち200° ま で の時 効 では 〔100〕軸 に 沿うて 長 い 細 い 線 條 を認 め た. 200°と250°の 間 で は,前 述 の如 きMg2Siの 祈 出 物がX 線 で豫 想 され るが,こ の段階 で は捧 状 の析 出物 が所 定 の方 向性 を持 つ て豫 想 通 り觀察 され た.こ の事實 をシ ヤ ドウ法 を利 用 して 美 し く示 して い る.

(c) イ ギ リス1949年Bucknell and Geach(22)はCu 1%のAl-Cu合 金 の300° 迄 の時効 を し らべ た.彼 は 殆 ん どす べ て の試 料 を電 解 研 磨 後Lacombe&Beaujardの 液(HCl50,HNO347,HF3)で 腐 蝕 し て い る.純Alの 時 な らば この 腐 蝕 に よ つ て 極 め て 特 異 な縞 状 模樣 が 出 る(23).Al-Cu合 金 では波 形 の縞 膜樣 の腐 蝕像 が あ らわ れ (縞 の方 向 は(100)と 考 え られ る)か つ燒 入 の ま ゝの も の では そ の波 形 の先 端 に,300°3時 間燒 戻 では そ の間 に も 白 い點 々が あ らわ れ るが,こ れ はCuの 多い 小 さい粒 子 で 大 き さは直徑400Å か らは じ ま り,や が て 集 つて 板 状 に發 達 す る もの で あ る とい う.ま たBailey and Vernon-Smlth(24)はMg7%のAl合 金 の燒 戻 で 粒 界 に早 期 析 出 の起 る こ とを認 めた.

(15) "Metallurgical Applications of the Electron

Microscope" Symposium Inst. Metals. London,

(

1950)に よ る と こ ろ 大.1938年 迄 の 金屬 關 係 の

文 献 目録は 次 の 綜 合 報 告 の 末 尾 に あ る.G.A.

Geach,Metallurgia,Oct,(1949),319.

(16) H. Mahl u. F. Pawlek, Z. Metallk, 34 (1942),

232.

(17) M. Dudek, H. Mahl and H. J. Seemann,

Metallwirtsch., (1948),

75.

(18) R. Castaing, Compt. Rend., 228 (1949),

1341.

(19) R. Castaing et A. Guinier,

20033.

(20) 文 献(15)160頁,C.J.B.Clewの 紹 介. (21) R. Castaing et A. Guinier, Compt. Rend., 229

(1949),1146ま た は 文献(15)の156頁.

(22) 文 献(15)の97頁.G. L. Bucknell and G. A. Geachの 報 告.

(23) G. L. Bucknell and G. A. Geach, Nature, (Aug. 6, 1949), 231.

(24) 文 献(15)の43頁G. L. J. Bailey and S. Vernon-Smithの 報 告.

(4)

(d) アメ リカAlcoaで 時 効 硬 化 を 研 究 し て い た GeislerとKellerが 研究 を發 表 し て い るが,1944年 よ り 着 手 し た割 合 に 大 し た結 果 は 得 て い ない.彼 等 は時 効性 Al合 金 が 最 大 硬 度 を示 す と きの析 出 粒 子 の大 さを 求 めて ノ

第3表 を得 た.こ れ で見 るよ うに合金の種 類に よつて最大

硬度を示 す粒子の大 さが變つている.

また 西村,村 上(28)はAl-Cu-Mg系 合 金 の"S"化 合 物 の 析 出 方 位 が ア ル ミニ ウム の(100)及 び(110)面 に 平 行 で あ 乙 こ とを,電 子顯 微鏡的 に決 定 した.稀鹽 酸 を主 とし た 湿酸 で,電解 腐 蝕 を行 い,稍々 大 き な立體 的 な腐 蝕モ ザ イ クを現 わ して 直 接 肉 眼 で見 る こ と も出 來 るが,第 二 の方 法 として,豫 め ラ ウエ法 に よ り結 晶方 位 を 解析 し た試 料 に

第3表

時 効 性Al合

金 の 析 出 粒 子 の 大 さ

ま た1949年Heidenreich(26)は 今 迄 の 試 料 作 成 法 と根

本 的 に異 る金屬薄 片の直接透過法 に よ る 研究を行つた と

き,Al-Cu合 金(Cu4%)の250°30分燒 戻 で 方 向性 の あ る小 平 板 のCuAl2析 出 物 の外 に,何 か判 ら ない 細か い 層 状 の 組 織 を認 めた.彼 は常 に 電子 廻 折 法 と電 子顯 微 鏡 と を 併 用 して い るが,共 に表 面 を し らべ る手段 として この併 用 は 極 めて 適 切 で あ ろ う.

III.本 邦 に お け る 研 究

わ が 國 で も.1948年 頃 よ り京都 大 學 で西 村,村 上 が,そ れ よ り稍々 お くれ て北 海 道 大學 で幸 田,竹 山 が,各 種 の 時 効 性Al合 金 の 電 子顯 微鏡 的 研 究に 着 手 し た. 西 村,村 上(27)は酸 化 被 膜 レ プ リカ に よつ て,Al-Cu, Al-Cu-Mg,Al-Zn-Mg,Al-Mg-Si及 びAl-Zn-Mg-Si系 合 金 の析 出 過 程 を 觀 察 し た.水燒 入後,各 温 度 で種 々 の 時 間燒 戻處 理 を 行 い,各 合 金 系に お け る 析 出相 の形 状,大 き さ,並 び に析 出 方 位 を 調 べ た.析 出 の初 期は,勿 論 電 子顯 微鏡 に お い て も,レ プ リカ作成 法 に制 約せ られ て 觀 察 し得 な いが180∼200° の温度 で は 各 合 金 系に おい て Al-Cu系 合 金 のCuAl2化 合 物 の θ'相 に 相 當 す る アル ミニ ウム のMatrixにcoherentな 中間 相 が 存在 す る こ とが 認 め られ た.こ の 中間 相 は一 定 の温度 以 上 で通 常 の 平 衡 相 に成 長 す る.中 間相 の形 状 は2種 類 に區 別 され,Al-Cu,及 びAl-CU-Mg系 合金 で は板 状 の析 出 物 が 見 ら れ,Al-Zn-Mg及 びAl-Mg-Si系 合 金 の析 出相は 桿状 に 發 達 す る.ま たAl-Mg-Zn-Cu系 合 金 で は板 状 と 桿状 の 2種 類 の析 出 相 の共 存が 認 め られ た.

少量 の引張加工を加 えて辷 り帶を生ぜ しめて この方位 を補

即 と した.即 ち写眞VIII-1は3.12%Cu,0.97%Mg

を含有す る合金の析 出組織で,約1%の

引張 加 工を與 え

て辷り帶 を生ぜしめた.寫 眞 の右上から左下へ斜にS化 合

物 の中間相 の優 先的析出の帶状 の部 分が辷 り帶であ る.結

晶力位の解析結 果を析出相の方位 と一致せ しめて寫眞 中に

示 してあ る.こ れか ら直 ちに判 る如 く,本 試料では辷 り面

は アル ミニウムの(111)で,祈

出相の 方位は アル ミニウ

ムの三つの{100}面

と(101)及 び(101)面に

平 行であ

る. 析 出 現 象が 加 工 に よつ て著 し く加 速 され るこ とは古 くか ら知 られ て い るが,金 屬 結 晶 の構造 欠陷 の析 出 現 象 に對 す る寄 與 の 問 題 を 電子 顯 微 鏡に よつ て觀 察 し よ う と考 え る の は當 然 であ る.こ れ らに 關 し て ほす で にCastaing(19)に よつ て 簡 單 な報 告 が な さ れ て い るが,西 村,村 上(29)は主 としてAl-Cu,Al-Cu-Mg及 びAl-Zn-Mg系 合金 を用 い て,過 飽和 固 溶 體 か ら の 中 間 相 の析 出(燒戻 温 度は 200°2日燒 戻處 理)に 際 し て の,格 子欠 陷 あ る い は結晶 の 不整 の析 出に 對 す る役 割並 びに そ の結 果 として 生 じ る析 出 組織 を 光學 並 びに 電 子顯 微鏡 及 びX線 を用 いて 研 究 し た.す な わ ち結 晶粒 界,Sub-boundary及 びPolygoniz-ationの 境 界 等 ほ いず れ も著し く析 出 を 促 進 す る効 果をも ち,そ れ ぞれ に 對 し て特 有 な析 出 組織 を生 じ る.し か して

これ らの析出組織はそれ ぞれの構造 欠陷 の樣 相に對 して有

効な知識を與え る.ま た燒入歪あるいは冷間加工に よつて

合金内部に生じた各種 の辷り帶の樣相は忠實に析出組織 と

して現 われる.こ れ から,間 接的に辷 り帶の生成 の過程,

(25) F. Keller and A. H. Geisler, Trans. A. I. M. E.,

156 (1944), 82; 171 (1947), 192.文献(15)の85頁

Kellerの 報 告.

(26) R. D. Heidenreich, J. Appl. Phys., 20 (1949),

993. (27) 西 村,村 上,京 大 工 學 部 紀 要,12(1950),47. (28) 西 村,村 上,電 子 顯 微 鏡總 合 研 究 委員 會 第57回 會 議 提 出資 料,(July,1951). (29) 西 村,村 上,日 本 金 屬學 會 昭 和26年 度 春 季講 演會 發 表,(Apl,l951),な お に れ は 「結 晶構 造 欠 陷 の 析 出 現 象に及 ぼす 影 響 」 とし て 印 刷發 表豫 定,

(5)

416

A-第15卷 性状,擧 動 等 に 對 す る知 識 が 得 られ,ま た 燒 入歪 に よ る微 細 な 多數 の辷 り帶 の常 温 時効 に 對 す る寄 與 が 確 認 され た. 寫 眞1に お いて は,辷 り帶 近 傍 に お け る モザ イッ ク・ブ ロ ッ クの 微細 化 を示 して い る.写眞VIII-2はCu4.02%の 合 金 を油 燒 入後,荷 重 速 度0.75g/mm2/secで1.8%の 引 張 加 工 を 加 え た試 料 で,寫 眞 中に 示 され た結 晶方 位 か ら 判 る如 く,辷 り順位 第 一 の(111)及 び第 二 の(111)面 に 辷 り帶 が み られ,同 時 にSub-boundaryに おけ る析 出 が 認 め られ る.Sub-boundaryで は,優 先 的 な析 出が 生 じる が 通 常 の結 晶粒界 に おけ る如 き析 出相 の 異 常成 長(写 寫3 參 照)が な く,境 界 の兩 側 の析 出相 の方位 は近 似 し,か つ 線 状 の 形 態 が顯 著 で 結 晶 粒 界 に次 ぐ性 質 を示 して い る.寫 眞4はCu3.05%の 粗 大結 晶 試 料 を約5%引 張 加工 (檢 鏡 に よ り,辷 り帶 は 辷り 順 位1の(111)に のみ 認 め, 第二,第 三 の(111),(111)に は認 め な かつ た)後,500° で30分 燒 鈍 した 試 料 で,我 國 で網 目組 織 と呼 ば れ て いる もの で あ る.網 目組 織 がSlip及 びPolygonizationに 關 聯 して い る こ とは す で に 明 か に され た こ とで あ るが,こ れ らの 境 界 が あ る程 度 の領 域 を もつ て い る こ とが 寫 眞 か らみ られ,寫 眞2のSub-boundaryと は 少 し く異 つ て い る. 幸 田 ,竹 山(30)も 同 よ うにAl-Cu,Al-Ag合 金 の 析 出 の 擧 動 を 熱 處 理 温 度 と時 間 を變 え酸 化 被 膜 法 を用 い て觀 察 し たAl-Cu合 金(Cu4.03%)の 燒 入直 後 の 試料 で は, Castaing(18),Geach(22)等 が觀 察 した と同樣 の写 眞VIII-5 に 示す如 き細 か い 白い 點 々を得 た.たゞ し この場 合 電 解 研 磨 に よ る温 度 上昇 力 試 料 の時効 に影 響 す る こ とが 考 え られ る か ら,常 温 時 効 した 状 態 に なつ て い るの で は ない か と想 像 される.白 點 の大 き さを測 つて み る と100Å 前 後 で あ るが,電 子 顯 微鏡 に よ る 酸 化 被 膜 り分 解 能 は 大體100A が 限 度 で あ る こ とや,試 料 作成 中 の種 々の影 響 に よ り實 際 の 像 よ り大 きな ものを 示 し て い る こ と も考 え られ るか ら,

この程 度の粒子の大 さを酸化被膜法に よつて正確に測定す

る こ とは無 理 であ り,實 際 の大 さは100Å 以 下 で あろ う と思 う(第2表 と比 較).し か し,こ の 白點 が 銅 原 子 の集 合 し た部 分 す なわ ちG.P集 合 體 を あ らわ して い る こ とに は 間 違 い な い で あ ろう(19).印刷 で は不 明 瞭 と思 われる が,白 點の ち らば り方 は一 樣 で な く,母 體 金 屬 の2000AのOrd-erの モ ザ イ グ ブロッ クのSub-boundariesに 多 く析 出 し て い る. 200∼350° の時 効 にお い て は薄 い板 状 の析 出 物 が母 體 金 屬 の(100)面 に 規 則 的 に集 合 して い る こ とが認 め られ る. これ は他 の研 究 よ り考 えて θ'相で あ る.250° で の21日 の 時効 に お いて も析 出物 は(100)の 面 に 相 變 ら ず 板 状 に析 出 して 餘 り大 さに變 化 が ない.350° で 長時 間 時 効 し た試 料 で は 析 出 物 が大 き く發 達 し,方 向性 を失 い,凝 集 し,從つ て 析 出 粒 子 の數 は漸 次 減 少 し て い る.これ は安 定 なCuAl2 の析 出 が 生 じ た と考 え られ る. 試 料 を爐 中 に徐 々に冷 却 し た場 合,す なわ ち 平衡 状 態 で は,写 眞YIII-6の 左 上 に 見 る如 き數 μの巨 大 なCuAl2 析 出 物 を 見 る.と の場合 寫 眞 で見 る よ うに母 體 金 屬 の地 は 約2,000Aの 白點 か ら な る網 状 組 織 が認 め られ るが,こ れ は モザ イ クブロ ツクの境 界 に 低 い温 度 で銅 の 濃 い成 分 が 析 出 し た もの と考 え られ る.ま た 互 大 な析 出物 附 近 にSub-boundariesが 認 め られ ない の は そ の部 分 の 濃度 が 低 いた め で あ ろ う. Al-Ag合 金(Ag24.59%)に 對 して も 同 よ うの觀 察 を 行 つ た.200°30分 の 時効 に おい て微 小 の 白い點 々が 認 め られ る.写 眞VIII-7に 示 ず如 く100Å 以 下 の微 粒 子が, 試 料 一面 に析 出 して い る.印 刷 では 不 明瞭 と思 われ るが, 白點 は時 効 と共 に次 第 に 大 き く成 長 し數 を減 じて來 る.こ の析 出 粒 子 は時 効 が 進 む につ れ て 板状 に成 長 し,母 體 金 屬 の(111)面 に析 出 して い る.写眞VIII-8は この 段 階 を 示 ,した もの で あ る.こ の合 金 を 高温 に て時 効 した もの,ま た 爐 中 にて 除 冷 し た ものは,写 眞VIII-9に 示 す如 くAlAg2 の數 μに わ た る木 きな析 出 物 が(111)面 の4方 向 に美 し く發 達 して い る. 析 出 現 象 が加 工 に よつ て加 速 せ られ る こ とに つ い て は前 述 の西 村,村 上 の研 究 もあ り,詳 細 は略す が,寫 眞VIII-10に 示 す 如 く結 晶 の粒 界 附近 に巨 大 な 析 出 の 發 達 が認 め られ た. V.結 言

以上の例 で見 る如 く'Al合 金の時効硬 化 の研究に對 し

て電子顯微鏡 は有力な手段 とい うことが出來 る.今 や よ う

や くX線

その他の方法 で豫測 され たこと を直接 目で見 る

ことを目的 とす る第一段階を過ぎ,こ の段階 で得 られ た試

料作成法や寫眞の像の解釋 を基礎に電 子顯微鏡 でな くては

解 明し得ぬ獨 自の分野へ と進 みつゝある.こ の方法に よつ

て知 られ る新しい知識は時効硬化 あるいは塑性變形 の問題

に新 しい光 を投 げることであろ う.

(30) 幸 田,竹 山,北 海 道 大學 工學 部 彙 報,6號(1951), 176.

(6)

寫眞VIII-1Al-Cu3.12%-Mg0.97%合 金 油 燒 入後1%引 張 加 工(1.3g/mm2/sec) 200°日燒戻 S化 合 物 の 析出(辷 り帶)(西 村,村上) 寫 眞VIII-2Al-Cu4.02%合 金 油 燒入 後1.8%引張燒 加工,200°2日 戻,辻り 帶及Sub-boundary 析 出(西村,村上) 寫 眞VIII-3Al-MgZn25%合 金 200°2日燒戻粒界)異 常析 出 (桿状 のMgZn2相)(西 村,村上) 寫 眞VIII-4Al-Cu3.05%合 金 5%引 張 加工 後,50030分 燒 鈍, 網 目組 織200°2日 燒戻(西 村,村上) 寫眞VIII-5 Al-Cu4.03%合 金 水 燒 入 直 後 (幸田,竹山) 寫眞VIII-6Al-Cu4.03%合 金

550°で48時間 加熱 後爐中徐冷却

モ ザイク境界 の析出(幸田,竹山

)

(7)

第11,12號

電 子 顯 微 鏡 特輯

寫 眞VIII,IX

449 寫眞VIII-7Al-Ag24.59%合 金 水燒 入後200°30分 燒 戻(幸 田,竹山) 寫 眞VIII-8Al-Ag24.59%合 金 水 燒 入 後200°4時 間燒 戻(幸 由,竹山) 寫眞VIII-9Al-Ag24,59%合 金

550°

で48時間加熱後爐中徐冷却

(幸 田,竹山) 寫 眞VIII-10Al-Ag24.59%合 金 水 燒 入後2%引 張り 加 工200°2時間 30分 燒 戻,粒界 の異 常 析 出(幸田,竹山)

参照

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