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負性事態に対する観察者の責任判断: 沖縄地域学リポジトリ

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Title

負性事態に対する観察者の責任判断

Author(s)

国吉, 和子

Citation

沖縄大学紀要 = OKINAWA DAIGAKU KIYO(2): 65-81

Issue Date

1982-03-31

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/5702

(2)

負性事態に対する観察者の責任判断

国吉和子

I)目的

負性事態に対する責任判断の研究は多くは偶発的状況を対象とし、主に事態 の重大性や、判断者と被判断者との類似性、被判断者の何本要因等を変数とし てなされている。その場合の研究者のねらいは責任判断の合理的側面を明らか にすることよりも、その過程で生ずる判断者のバイヤスが責任判断に如何なる 影響を及ぼすかに焦点を当てることが多い。その枠組みの代表的な提唱者とし てWalster,E・(1966,1967)やShaver,K、G、(1970),Lerner,MJ. (1965,1966,19701971)があげられる。前者の二人は「防衛帰属 (defensiveattribution)」の立場を、後者は「正当世界への信念(abelief inajustworld)」の立場をとっている. 一般に災害状況は偶然のせいにされるが、その被害度が高くなると、偶然の 果す役割を認めることは不快を招くことになり、その結果、人は責任を転嫁し たり、他の誰かを非難したりすることになる。上記のそれぞれの立場は負性事 態の重大性と責任帰属の関係を取り扱っているが、その解釈と仮説の立て 方に相違がある。 「防衛帰属」の立場に立つWalsterの場合は「不快な事態が生起した場合、 判断者はそれが将来自分の身にふりかかる可能性を自己防衛的に減少させよう とするため、そのことが事故結果の重大さの増加に伴って行為者への責任帰属 を増大させることになる。事態の重大さと責任帰属は正の関係をなす」という 観点に立つ。一方、Shaverは同じく「防衛帰属」の立場をとりながらも、 「事故結果が重大になるほど行為者に対してはむしろ寛容な責任判断が下され -65- 〆

(3)

沖縄大学紀要第2号(1982年)

る。したがって、事態の重大さと責任帰属は負の関係を示すことになる」とい

う立場をとっている。他方、Lernerは「各人は自分の行為に応じた報いを受

けるという信念でもって判断する」と主張し、結果的にはWalsterと同様に、

事態の重大さと責任帰属は正の関係になることに導かれている。

ところで、負性事態の重大性と責任帰属の関係についてはその他「道義心発

動仮説(MoralSalienceHypothesis;Shaw,J、1.1972)」や「衡平仮説(Equity

Hypothesis;Adam8,J.S1965)」に依拠して解釈することも可能である。

「道義心発動仮説」では「責任判断は被害が他者にも及ぶか否かに大きく依

存し、他者にも及ぶ場合には判断者の同情心が著しく生起されるので、行為者

への責任帰属は増大してくる」ことが提唱されている。「衡平仮説」では「入

力と結果の衡平関係によって責任判断が規定される。したがって行為者のみが

傷害を受ける場合、入力と結果は衡平関係になり、行為者への責任帰属は最少

となる。また他者のみが害をこうむる場合は入力と結果の衡平関係は大幅にく

ずれる。そのため行為者への責任帰属はかなり強くなり、そして両者とも傷害

を受ける時は責任帰属は中程度になる」と主張している。

Shaw,J、S&McMartin,』.A・(1975)は防衛帰属仮説にこれら二つの仮説を加え

てそれぞれ対比させながら検討している。結果は負性事態への制裁的態度に性差

がみられ、女性の方が道義心発動仮説を、男性が衡平仮説を支持することを報

告している。

本研究では負性事態として交通事故状況を設定し、事故結果の重大性と責任

帰属の関係を捉えることを目的としている。その場合多くの研究結果で明らか

なように、責任判断は行為者(被判断者)自身の個体要因や、また判断者と被

判断者との類似性要因によって大きく左右されるため、本研究では交通事故状

況下での運転手の運転歴や事故経験の有無、道路事!清の熟知度、さらに判断者

の運転免許の有無等の要因を付加する。そしてその上で、運転手への責任帰属

や刑罰の課し方、運転手に対するイメージの側面から、防衛帰属仮説、道義心

-66-

(4)

発動仮説、衡平仮説を検討していく。

I)方法

a)被験者及び実験デザイン:大学生587人(男272人、女815人)。

8×2×2×2デザインで各グループのサンプルの大きさは男19~28人、 女19~29人の範囲。

b)材料:1)状況設定のための情報:被験者には情報として交通事故の模

様を示す新聞記事の形で提示されるが、それは操作的に次のような8つの変数

を含む内容になっている。

①事故状況の重大さ(8レベル)。すなわち、①運転手のみが重傷を受ける

状況(Driveronlyinjured:D)、②運転手は無事で、歩行者のみが重傷

の状況(Bystandersonlyinjured:B)、③運転手も歩行者も共に重傷の

状況(Driver&Bystandersinjured:D&B)。

、運転手の事故経験の有無(2レベル)。事故経験者と事故未経験者。

O運転手の事故現場の道路事情についての熟知度(2レベル)。詳しい場合

と無知の場合。

これらの変数の組み合わせによる12種類(3x2x2)の情報が別々の用

紙に記述されている。

2)質問紙の構成:質問項目は各負性状況下で①運転手の負うべき責任の度

合、及び◎運転手に課されるべき刑罰の度合を問うもので、前者については「全

く負う必要はない」から「全ての責任を負うべき」までを11段階(0~10)、

後者については0年から10年までの11段階(この場合間隔は不等間隔)で

評定させる仕組みになっている。また、0名状況下での運転手に対するイメー

ジを捉えるために、運転手の行動特徴を表わす形容詞対(例えば注意深い-

不注意な、責任のある-無責任な等)9個が提示され、それぞれ7段階で評

定させるようにしている。その他、被験者(Ss)の運転免許の有無を問う項

-67-

(5)

沖縄大学紀要第2号(1982年) 目も加えられている。

c)手続:被験者(ss)にはまず上記のような交通事故の模様を示す記事

が提示され、その後、その記事内容のみを基に、各質問項目に答えるよう求め

られた。

Ⅲ)結果及び考察

a)運転手への責任帰属

被験者の運転手への責任帰属度(Dres)の平均値は表1に示され、それを

基にした分散分析結果は表2の通りである。

まず、事故状況の重大さの違いによる運転手への責任帰属の主効果は統計的

に有意差(P<01)を示している。そしてDriveronlyinjured(D)や、

Bystandersonlyinjured(B)、Driver&Bystandersinjured(D&B)

等の事故状況間のDres値は全体的にはD<B=D&B(わ,B=12℃24M【/=387,

表1運転手への責任帰属

注:左上段は男子、右下段は女子の平均値を表す。

-68-

雪雲畠

事故経騒 の有無 , B D&B 加年の運転歴。 事故経験者 詳しい 無知 7.68 4.28 7.57 5.04 8.74 8.68 7.88 8.42 8.48 8.48 8.50 8.38

加年の運転歴。

無事故者 詳しい 無知 5.28 4.69 5.95 3.31 8.59 8.29 8.15 8.26 8.14 7.87 8.08 8.15

(6)

表2運転手への責任帰属 (表1を基にした分散分析表) 変動因 事故状況(A) Ssの性差(B)

篝故篝験秀有裏に)

運転手の状況熟HJ度(D) A×B A×C A×D B×C B×D C×D A×B×C A×C×D B×C×D A×BxD A×B×CxD Error dJ SSMSF 1015.722507.860112.28** 82.8018280018.31** 53.84153.84011.79** 2.2812.280 .49 164.49282.24518.18** 88.56219.2804.26* 5.2322.615、58 3.6413.640、80 .011.010。00 .081.080、18 19.1929.5952.12 6.9423.470、77 6.97l6L9701.54 7.2823.640、80 18.7629.3802.07 2546.185634.523 秤P<01*P<、05 P<、001;/B,D&B=、75,〃=398,〃.s・;/D,D&B=11.51,〃=888, P<、001)の関係を示し、道義心発動仮説を支持する傾向を見せている。 責任帰属の性別(Ss)比較では、全体的には男性のDres値が女性のそれより も高く、統計的にも有意差を示している。また、事故状況の重度との交互作用 も有意である(P<,01)。しかし、性差が明確にみられるのはD状況のみに -69-

(7)

沖縄大学紀要第2号(1982年) おいてであり(わ=5.30,〃=185,P<、001)、BやD&B状況では統計的

に性差は認められない。そして、Shaw&McMartin(1975)の研究ではどの

仮説も支持されていないが、本研究では男女とも,<B=D&Bの関係を保持し

図1)。 てい

ハフデ' ̄

↑責任の帰属度(川)

↑責任の帰属度 男女

一一

ワイ円。三色 , B D&B , BD&B 図1運転手への責任帰属の性別比較 図28sの運転免許の有無によ る責任帰属(性別比較) Ssの運転手との関連性の観点から免許有り群(L)と免許無し群(NOL)に 分けてみていくと、男性の場合は両群のDres値に違いはほとんど見られないが、

女性はL群がNOL群より高くなっている(図2)。これを状況別にみると、男

性はL群がり<B=D&B(/D,B=359,〃=128,P<、001;/B,D&B-172,

〃=186,〃.S・;/D,D&B=4.93,〃=125,P<、001)、NOL群がB>B&D

=、(/B,D&B=2.16,〃=52,P<、05;/B&D,D-87,〃=46,〃.s、;'D,B

-3.05,〃=50,P<01)の関係を見せている。一方女性は両群とも,<B

=B&B〔'D,B=452,〃=43,P<、001;'B,B&D=、14〃=34,〃.S、;

/D,B&D=404,〃=43,P<、001(L),rD,B-3.91,〃=165,P<、001

;ノB,D&B=、82,〃=170,〃S・;'D,B&D=11.47,〃-163,P<、001

(NOL)〕の傾向を示している。男性はL群が道義心発動仮説を、NOL群が衡 一70-

(8)

平仮説を支持し、女性は両群とも道義心発動仮説を支持する傾向を見せている。 このような差異はShaver(1970)が指摘するように判断者と被判断者の類 似性によって責任判断が異なってくることを示唆している。特に女性の場合両 群間に差異が認められなかったのは、現実的に男性運転手が女性運転手より多 いこと、また事故発生者が男性に多いこと等から、ここで提示された情報中の 中性的な運転手がSsにとって男性の運転手として認知され易く、そのため、女 性Ssの状況関与度が低くなったことによるものと考えられる。またそのことと 併わせて、種々の社会的状況下では男性よりも女性の方が弱い立場にあるため、 状況への関与の仕方に性差が生じてくる可能性もある。男性は比較的行為者 (運転手)の立場に、女性は被害者(歩行者)の立場に立ち易いことも生じて くることが考えられる。各事故状況下では被害者にB(歩行者)が含まれるか 否かによって運転手への責任の帰属傾向が大きく変ってくるのは女性の場合で ある(図1)。 さらに運転手のもつ要因の一つとして事故経験の有無によるSsの運転手へ の帰属傾向をみると、事故経験のある運転手へのDres値は未経験の運転手へ のそれよりも高くなっている(表1,2,P<、01)。状況別では両者間の差 異が顕著にみられるのは特にD状況においてである(わ=298,q【/=185, P<01)。BやD&B状況では両者間に統計的な差は認められない。しかし、 状況差と運転手の事故経験の有無の交互作用は統計的に有意差(P<、05)を 示しており、行為者(運転手)のもつ個体要因が状況差によって観察者の責任 判断に作用してくることをうかがわせている。 一方、運転手の状況熟知度によるSsの運転手への責任帰属傾向をみていく と、その主効果は統計的な有意差に至っていない(表2)。また、他の要因と の交互作用も有意ではない。 このことは、運転手の事故経験の有無の要因と結び合わせてみると、両要因 は関連性があるにしても、観察者の負性事態に対する責任判断の手掛りとして -71-

(9)

沖細大学紀要第2号(1982年)

機能する度合が異なることを示唆している。本結果では、観察者にとって負性

事態の責任判断の際の決め手になるのは、行為者(運転手)の状況熟知度より

も、事故経験の有無の方が大きいことを示している。

b)運転手へ課される刑罰

運転手への責任帰属傾向をSsの運転手への刑罰を課す度合(Jai)によって

みていくと表8,表4に示される通りとなる。

事故状況の重度の違いによる刑罰の主効果は統計的に有意(P<、01)で、

全体としてD<B=D&B(/D,B=6.18,〃-887,P<、001;jB,D&B-1.26,

(Zノー398,〃.S・;わ,D&B=7696,〃=383,P<、001)の関係を示している。

これはDres値を基にした場合とほぼ同様、道義心発動仮説を支持する結果に

なっている。 表3運転手へ課す刑罰 〔注〕左上段は男子、右下段 は女子の平均値を表す。 -72- 運 事故経験 の有無 , B D&B 加年の運転歴 ● 事故経験者 詳しい 無知 .、60 、87 、89 、28 1.64 2.96 1.38 2.79 1.56 2.32 1.89 1.60 m年の運転歴 ● 無事故者 詳しい 無知 、58 、36 、22 、20 、78 2.06 、89 1.46 1.25 ●78 1.42 1.84

(10)

表4運転手へ課す刑罰 (表3を基にした分散分析表)

Ssの性別で比較すると、全体的にはDres値で見た場合とは対照的に、女性

のJai値が男性のそれよりも高くなっている(P<、01)。負性結果に対する

責任と刑罰の課し方に性別の違いがあることをうかがわせている(表1,3,

図1,8)。 また、Ssの|生別と事故状況の重度との交互作用も統計的に有意差を示してい -73-

(11)

沖縄大学紀要第2号(1982年) る。(P<、01)。そして男性の場合はD<B<D&B(わ,B=466,./=175, P<,001;/B,B&B=2.22〃-190,P<、05;/D,B&D=489,〃=173, P<、001)の傾向を見せ、Walsterの防衛帰属仮説に近づく結果を示してい

る。一方、女性の場合はD<D&B<B(/D,B-8.19,〃=210,P<、001;

/B,B&D=2.63,./=208,P<、01;/D,B&D=6β2,.【ノー208,P<001)

の関係を示し、衡平仮説を支持する結果となっている。これらの結果はShaw &McMartinの研究結果と全く一致していない。再試による検討の余地が残さ れている。また、Jai値に基づく傾向とDres値の傾向とも一致していない。「責 任」はより抽象的な概念で、道義的側面を捉えるものであり、「刑罰」はより 具体的で制裁的な側面を捉えるもので、このような両者の違いがSsの反応の 差異を生じさせたと思われる。 [了T円。三日 □戸1中三とF41冊 3 ↑刑罰の度合(年) 2 2 フ 1 1 , BD&B , BD&B 図8運転手に課される刑 罰の度合の性別比較 図48sの免許の有無による刑の課し度合(性別比較) ところで、男女ともBやB&D状況ではD状況よりもJai値が高くなってい るが、B状況では特に女性のJai値が急激に伸びている(図8)。このことにつ いては前節で既に述べたように、提供された情報の中での同一視の対象に性差があり、 どちらかというと、女性は歩行者(被害者)側に立ち、男性は行為者(加害者)側に立つ -74-

(12)

て判断する傾向を見せている。Ssの運転免許の有無によって分析した場合でも

男女それぞれの傾向に変化は見られず(図4)、Ssの免許有無の要因よりも性

別要因が大きく作用していることをうかがわせている。

さらに、運転手の事故経験の有無による刑罰の主効果は統計的に有意(P<

、01)であり(表8,4)、DreB値で見た場合と同様に事故経験者に対するJai

値は未経験者に対するそれよりも高くなっている。また、運転手の事故経験の

有無と事故状況の重度との交互作用も統計的に有意差を示している(P<、05)。

どの状況でも事故経験者に対してはJai値が高くなっているが、D状況ではわ

ずかの違いしかみられない。BやB&D状況では事故経験者に対するJai値がか

なり高くなっている(/B=3.16,q【/=200,P<、01;/D&B=2.45,〃=196,

P<05)。Dres値を基にした場合とやh異なった交互作用の傾向を見せてい

る(表1,3)。

一方、運転手の状況熟知度に関しては統計的に有意ではなく、他の要因との

交互作用も有意差を示すに至っていない(表4)。ここでもSsにとって責任

判断の際の手がかりとして運転手の状況熟知度の要因はほとんど影響力を持た

ず、むしろ経験の有無の方が大きな影響力をもつと言える。

c)運転手に対するイメージの状況比較

運転手の行動特徴を表わす9個の形容詞対で事故状況の違いによるSsの運

転手に対するイメージを性別で図示したのが図5である。男女ともDやB、D

&Bいずれの状況においても中性的な評定(4点に近い)か、消極的な評定

(4点以下)をしている。そして両方とも共通して運転手の事故経験の有無に

よる大きなイメージの違いが認められる。事故経験者に対しては未経験者に対

してよりも評定点がかなり低く、悪いイメージになっている。格差は男性よりも

女性が大きい。 また、事故経験の有無と事故状況の組み合わせで性別比較を行うと、 事故状況の重度が高まるにつれて事故未経験者には男性はわずかながら凸形の下 -75-

(13)

沖縄大学紀要第2号(1982年) ↑SD得点 54821 54321 亘路旦罫情IH旺知 , BD&BD 図5運転手に対するイメージの性月U比較 BD&B 降傾向、女性はや凸凹形の下降傾向を示し、事故経験者に対しては男性はわず かながら凹形の下降傾向、女性は明確な凹形の下降傾向を見せている。 表5,表6はそれぞれ事故状況毎の運転手のもつ要因間のsD得点を基にし たD値、また、運転手のもつ要因毎の事故重度の違いによるSD得点を基にし 表5 状況毎の個体変数間のD値(性別比較) LlE-邪 〔注〕1,5,9……事故経験者、道路事情無知 2,610……〃〃詳しい aZ11,……無事故者道路事情無知 4,812..….〃〃詳しい .各細胞内の上段の数値は男性のD値下 段は女性のD値を表わす。 76

意蕊

D&B 1&2 1&8 1&4 2&3 2&4 3&4 、43 1.00 2.77 1.98 1.83 3.09 2.87 1.81 1.88 2.99 1.18 1.50 1.11 ●89 8.23 4.01 3.23 3.96 2.92 3.69 2.67 3.67 1.46 46 、89 1.25 2.11 2.98 1.90 8.85 2.80 3.15 2.08 3.95 1.04 1.10

(14)

表6個体変数毎の事故重度の違いによるD値 (性別比較) 〔注〕上段は男性のD値、下段 は女性のD値を示す。

たり値を示している。表5で特に1&3,1&4,2&3,2&4のD値が高

くなっており、D値でみると運転手へのイメージが事故経験の有無によって変

化してくることがより明確化されている。この差異は全体として男性よりも女

性に著しい。事故の重度の違いによるD値(表6)では、男性の場合相互に際立

った違いはみられないが、女性の場合はDとB、DとD&BのD値がとくに事故

経験者に対してかなり高くなっている。このことは前節でもふれたように女性

Ssにとって被害者の中に歩行者が含まれるか否かが運転手の認知に大きく作

用することを示唆している。それに加えて、運転手のもつ事故経験の有無要因

も交互に作用していることがうかがわれる。

-77- D-B B-D&B D-D&B 事故経験者 無 知 9 1 78 ● ● 12 ●71 1.22 1.27 1.89 事故経験者 詳しい 07 22 ●● 12 ●98 】、30 04 49 ● ● 11 無事故老 無知 1● ● 28 42 1.09 ●56 1.82 ●48 無事故者 詳しい ● ● 97 74 10 44 ●● 11 1● ● 50 91

(15)

沖縄大学紀要第2号(1982年)

Ⅳ)要約

本研究は負性事態に対する観察者(被験者)の責任判断に関するもので、事

態の重大性や行為者の個体要因、判断者(Ss)と被判断者(行為者)との類似

性等を変数として性別で比較分析を行った。具体的には負性事態として被験者

には交通事故の模様を示す新聞記事の形で提示し、事故結果に対する被験者の

加害者(運転手)への責任帰属や刑罰の課し方、状況差による加害者に対する

イメージ等が測定された。本研究で得られた主な結果は次のように要約される。

①運転手への責任帰属や刑罰の課し方は全体的には道義心発動仮説を支持し

ている。しかし、性別比較では、責任帰属の場合、両性とも道義心発動仮説、

刑罰の課し方では男性はWalsterの防衛仮説、女性は衡平仮説を支持する傾

向を見せている。

②全体として、運転手への責任帰属度は男性の方が女性の方よりも高く、一

方刑罰の課し度合は女性が男性よりも高い。

③被験者の運転免許有り群と免許無し群では、責任帰属傾向は女性のみにお

いて群間差が見られ、また刑罰の課し方では両性に群間差は認められなかっ

た。

④運転手のもつ事故経験の有無は運転手への責任帰属や刑罰の課し方、イメ

ージにかなり影響を及ぼすが、運転手の状況熟知度はほとんど影響を与えな いことが示された。

⑤判断の際、男性は比較的行為者(運転手)側に、女性は被害者(歩行者)

側に立つ傾向が見られ、また、運転手へのイメージもそれに準じた傾向を示 している。 -78-

(16)

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(1)

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について最高裁として初めての判断を示した。事案の特殊性から射程範囲は狭い、と考えられる。三「運行」に関する学説・判例

通常は、中型免許(中型免許( 8t 限定)を除く)、大型免許及び第 二種免許の適性はないとの見解を有しているので、これに該当す