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学位論文内容の要旨

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Academic year: 2021

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(1)

    

博士( 理学)戸川 克彦

    

学位論 文題名

  The Amino‑Terminal Domain of a‑Chain of Pig     Stomach H+

,K+‑ATPase isAHot Spot for

    Protein Kinases‑Dependent Phosphorylation

(豚胃

H+

,K+‑ATPasea 鎖のアミ ノ末端領 域に観察 される種々のりン酸化)

学位論文内容の要旨

胃 壁細胞か ら分泌される胃酸は胃内部を酸性状態に保ち、食物消化の上で重要な 役割を果たしている。H ゛,

K

゛‑ATPase は胃壁細胞に特異的に発現するプロトンポ ン プ で あ り 、 胃 酸 分 泌 の 最 終 段 階 を 担う 。 壁細 胞 が 休止 状 態に あ る とき 、

H

゛.K ゛‑ATPase は細胞内小胞に存在するが、酸分泌時には、小胞が細胞膜と融合 するのに伴い、細胞表面ヘ移行する。この移行過程は

H

゛,K ゛‑ATPase の活性化に 必要不可欠であると考えられている。

壁 細胞の受 容体を直接刺激する因子としてはガストリン、アセチルコ1J ン、ヒス タ ミン、

EGF

等 が明らかに なってお り、これ らを介して細胞内イノシトール リ ン 脂 質 代 謝の 活 性 化お よ ぴプ ロ テ イン キ ナー ゼ

C (PKC)

、cAMP 依 存 性プ ロ テ イ ン キ ナ ー ゼ

(PKA)

、 チ ロ シ ン キ ナ ー ゼ

(PTK)

な ど 種々 の り ン酸 化 酵素 系 の 活性化が促される。

胃 酸の分泌 はこれらシ グナル伝 達系のク ロストー クにより 複雑に調 節されてる と 考えられ るが、ー方、その最終段階である小胞の移行過程の分子機構について の報告は少なく、ほとんど解明されていない。

本研究では、

H

゛,K ゛‑ATPase を含む細胞内小胞を研究材料として調製し、その分 子 機構の解 明を目的として、主にそのりン酸化に焦点を当て研究を進めてきた結 果、以下の事実が明らかにならた。

  H

゛,

K

゛.ATPase を含む細胞内小胞標品を豚胃より調製した。この標品には膜結 合型のキナーゼが内在し、lrriMV043 .存在下においてH ゛,K ゛‑ATPase のQ 鎖のチ ロシ ン残基と セリン残 基を特異 的にりン 酸化した 。またこれ らのりン酸化は同 じく 標品に内在するホスファターゼにより脱リン酸化され、細胞内小胞における

H

゛,

K

゛‑ATPase のa 鎖に対する可逆的なりン酸化システムの存在が明らかとなっ た。

こ れ ら の り ン 酸 化 部 位 を 検 討 し た 結 果 、

a

鎖 の ア ミ ノ 末 端 近 傍 に 存在 す る

(2)

Tyrl0

、Tyr7 およびSer27 であった。

ま た、 標品 内在 性の チロ シンキ ナー ゼに よる りン 酸化 はTyrl0 、

Tyr7

の順番に 生 じる こと が明らかになった。このチロシンキナーゼは界面活性剤処理によりQ 鎖 に対 する 特異 性を 失う ことか ら、 小胞 膜上 にお いて 本来

Q

鎖の 近傍 に存在し ている可能性が示唆された。

  VO

。3 .に代わるりン酸化促進因子としてCa2 ゛の効果を検討したところ、その濃 度 に 依 存 (

Kl/2 5.8pM

) し て

a

鎖 の り ン 酸 化 量 が 増 加 し た 。 一 方 , 内 在 性 ホ スフ ァタ ーゼ によ るQ 鎖 の脱 リン 酸化 については,Ca2 ゛の有無で有意な変化 が観察されず、Caz ゛はりン酸化の際にのみ特異的に機能していることが明らかと なった。このりン酸化はカルモジュリンによって何ら影響を受けず、内在性のセ リンキナーゼはPKC である可能性が示唆された。

Ser27

は 外 来 性の

PKA

PKC

に よ っ て も り ン 酸 化 さ れ る こと から細 胞内 にお い て 種々 のセ リン キナ ーゼ による りン 酸化 のターゲットとして機能しうる可能性 が示唆された。

  

本研究により検出されたりン酸化部位はあらゆる哺乳動物のH ゛,K ゛‑ATPase に

おいて完全に保存されており、生理的に重要な機能を担っている可能性が考えら

れる。また、チロシン残基とセリン残基のりン酸化が同一分子内で生じていない

こ と か ら 、 そ れ ら が 互 いに 競合 しあ う形 で機 能し てい るこ とが考 えら れる 。

  

胃壁 細胞 では酸分泌に際して細胞内Ca2 ゛濃度の上昇が報告されている。従っ

て 、こ のア ミノ末端部のりン酸化はCa2 ゛シグナルと共役して胃酸分泌の調節系

に組み込まれている可能性が考えられ、これまで不明であった酸分泌の初期段階

の シグ ナル 伝達 系と 小胞 移行過 程の 分子 機構との関連を今後解明していく上で

重要な切り口になると思われる。

(3)

学位論文審査の要旨

     学位論文題名

The Amino‑TermlnalDOmalnofQ ‐ ChainofPig   StomachH 十 , K 十 ‐ ATPaSelSAHotSpotfor   ProteinKinaSeS ‐DependentPhOSphorylation ・

( 豚 胃H゛ ,K‑ATPasea鎖 の ア ミ ノ 末 端 領 域 に 観 察 さ れ る 種 々 の り ン 酸f匕 冫

H゛,K゛‑ATPaseは胃壁細胞に特 異的に発現するプロトンポンプであり、胃酸分泌の最終段階を担 う。 本研究では、H゛,K゛ーATPaseを含む細胞内小胞を研究材料として調製し、その分子機構の解 明を 目的として、以下の事実を明 らかにした。

  H゛ ,K゛‑ATPaseを含む細胞内 小胞標品を豚胃より調製した。この標品には膜結合型のキナーゼ が内 在し、ImMVO。3.存在下にお いてH゛,K十‑ATPaseのa鎖 のチロシン残基とセリン残基を特異 的に りン酸化した。またこれらの ルン酸化は同じく標品に内 在するホスファ夕一ゼにより脱リン 酸化 され、細胞内小胞におけるH゛,K゛‑ATPaseのa鎖に対す る可逆的なりン酸化システムの存在 が 明ら か とな った 。こ れ らの りン 酸化 部位 は 、a鎖 の アミ ノ末 端近傍に存在するTyr10,Tyr7 とSer27で あっ た 。ま た、 標品 内在 性 のチ ロシ ンキ ナ ーゼ によ るりン酸化はTyr10,Tyr7の順 番に 生じることが明らかになった 。このチロシンキナーゼは界面活性剤処理により0:鎖に対する 特異 性を失うことから、小胞膜状 において本来a鎖の近侍に存 在している可能性が示唆された。

  V03・ に 代 わ る1Jン 酸 化促 進因 子と してCa2゛の 効 果を 検討 した とこ ろ 、そ の濃 度に 依 存

K12 58pM)し てa鎖の りン 酸化 量が増加した。内 在性のセリンキナーゼはPKCである可 能 性 が 示 唆 さ れ た 。Ser27は 外来 性のPKPKCによ っ ても りン 酸化 され る こと から 細胞 内 に お いて 種 々の セリンキナーゼ によるルン酸化のターゲット として機能しうる可能性が 示唆され た。

  本 研究により検出されたりン酸 化部位はあらゆる哺乳動物のH゛,K゛―A1卩aseにおいて完全に 保存 されており、生理的に重要な 機能を担っている可能性が 考えられる。また、テロシン残基と セル ン残基のりン酸化が同一分子 内で生じていないことから 、それらが互いに競合しあう形で機 能し ていることが考えられる。胃 壁細胞では酸分泌の際して 細胞内CaZ゛濃度の上昇が報告され てい る。従って、このアミノ末端 部のりン酸化はCa2゛シグナ ルと共役して胃酸分泌の調節系に 組み 込まれている可能性が考えら れ、これまで不明であった 酸分泌の初期段階のシグナル伝達系 と 小胞 移 行過 程の分子機構と の関連を今後解明していく上 で重要な切ル口になると思 われる。

  本研 究 に依 ってP‐型A1アaseの分野で初めてチ口シンリ ン酸化と脱リン酸化がポン プ本体で 生じ ることが証明された。これら 分野の研究の発展の突破ロ となった。よって申請者は北海道大 学博 士(理学)の学位を授与され る資格あるものと認める。

    一208―

彌 生

三 守

   

   

和 道

口 澤

池 村

谷 矢

菊 田

授 授

授 授

教 教

教 教

査 査

査 査

主 副

副 副

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図2に実験装置の概略を,表1に主な実験条件を示す.実