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学位論文題名 Structural and funCtionalanalySeSOftheproteinSinVOlVedinCe11polarity

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Academic year: 2021

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博 士 ( 薬 学 ) 平 野 良 憲

     学位論文題名

    Structural and funCtionalanalySeS OftheproteinSinVOlVedinCe11polarity

(細胞極性に関与するタンパク質群の構造および機能に関する研究)

学位論文内容の要旨

   生 命は 1 つの 胚細 胞から 発生し ,多様 な性 質をも つ細胞へと分化して組織や器官を形成する.このた め には細 胞に ¨極性 が生 じ,細胞が秩序だって非対称に分裂する必要がある.また上皮細胞やニュー 口 ンは高 度に 極性化 したシ ステムを持っており,極性発現は細胞が正常に機能するために必須である,

近 年 ,atypical プ ロ テ イ ン キナ ー ゼC(aPKC) ,Par6 ,Par3 の 三者 複 合 体 か らな る Par 複 合 体 が 細 胞 極性の 普遍 的な制 御因子 である ことが 明ら かとな ってきた.Par 複合体は線虫から哺乳類に至るまで 進 化的に 保存 され, 胚細胞 の非対称分裂,上皮細胞の密着結合やニュー口ンの軸策形成など多種の細胞 極 性 を 制 御 して い る.ま たPar 複合体 と三 量体G タン バク質 を介し たシグ ナル伝 達経 路が協 調的に 細 胞 骨格の 再編 成を制 御する ことが 示唆さ れて いる. 本研究 はPar 複合体 を中 心とし た細胞 極性に関与 す るタン バク質群の時空間的な制御機構の解明を目指して行い,P ・ar 複合体形成機構とその局在制御に つ いて新 たな 知見が 得られ た.

  Par 複 合 体 の う ち,aP ・ KC と Par6 は PB1 ドメ イン 同士の 相互作 用を介 して複 合体 を形成 する, PB1 ド メイン 間の 相互作 用を欠 失した変異体ではその局在に異常が見られることから,この相互作用が重要 で あ る と 考 えら れ る.PB1 ドメ インは PB1 ド メイ ン同士 が相互 作用し ,夕 ンバク 質問相 互作用 を担う モ ジ ュ ー ル とし て 同定さ れた,PB1 ド メイ ン間の 相互作 用は非 常に特 異的 であり ,面ガ m , わ心朋 の 双 方にお いて 特定のPB1 ド メイン 同士の みが 結合す る.し かしそ の特異 性を 規定す る要因 など,相互 作 用様式 の詳 細は明 らかと なって いない .そ こでPB1 ドメ インの 詳細な 相互 作用機 構と細 胞内での機 能 解明の ため ,単体 および 複合体 の立体 構造 解析を 行った .

  aPKC 、 の PB1 ド メ イ ン 単体 の 構 造 を NMR で , PKC | と Par ぬ 、 の PB1 ド メ イ ン複 合 体 の立 体構造 を X 線 結 晶 構 造解 析 によ ってそ れぞれ 決定し た.PKC | とPar6a のPB1 ドメイ ンは ともに ユビキ チンフ オ ー ルドを とり ,立体 構造の 相同性は非常に高かった.しかし複合体中において,それぞれが異なる領域 を 相互作 用面 として 非対称 なヘテ ロ二量 体を 形成し ていた ,PKC |では PB1 ドメイン内で保存されてい る 酸 性 残 基 と疎 水 性 残 基 から な る 0PCA モ チ ー フ と呼 ば れ る 領 域の 酸 性 残 基 が, 一 方 のPar6a では 0PCA モチー フとは 立体構 造上 反対側 に位置 する塩 基性 残基が それぞ れ静電相互作用していた,密着結 合 形 成 に お けるPB1 ドメ イン相 互作用 の役 割につ いて検 証した .立体 構造 情報に 基づい てPar6 の PB1 ド メイン との 相互作 用を欠 失したPKCl 変異 体を作 製し ,過剰 発現さ せたところ密着結合の形成を阻害 し た , よ っ てPB1 ド メイ ン を 介 し たPar6 と の結 合がaP ・ KC によ る密着 結合形 成の制 御に 必要で ある こ とが明 らか となっ た.

  PB1 ド メ イ ン 複 合体 は 本 研 究 で明 ら か にした aPKC ′Par6 複合体 の他に ,p40m 呵 p67m の 構造が 最 近 明らか にさ れた. 両複合 体の相互作用様式を比較すると,いずれの複合体においても保存された残基

‑ 739 ‑

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間 の 相 互 作 用 は 保 存 さ れ て い た . し か し 両 複 合体 の 立 体 構 造 を 重 ね合 わ せ る と , ド メイ ン 間 の 配 向 に 違 い が あ る こ と が 分 か っ た , こ の 配 向 の 変 化 に 伴い , そ れ ぞ れ に 特 異的 な 相 互 作 用 面 が存 在 し て い た . つ ま り ,PB1ド メ イ ン は ド メ イ ン 問 の 配 向 を 変 化 さ せ る こ と で 特 異 性 を 生 み 出 し て い る こ と が 示 唆 さ れ た , 他 の タ ン バ ク 質 問 相 互 作 用 に つ い て 検 索 し た と こ ろ ,Ras binding domainと 低 分 子 量G夕 ン バ ク 質Ras,RaplAの 相 互 作 用 に お い て も , 同 様 に 配 向 の 変 化 が 分 子 認 識 の 特 異 性 を 見 出 し て い る こ と が 分 か っ た , こ の よ う に タ ン パ ク 質 問 相 互 作 用 にお い て , ド メ イ ン 間の 配 向 を 変 化 さ せる こ と で 特 異 性 を も た ら す 方 法 は , 生 命 が 進 化 の 過 程 で 生 み 出 し た 普 遍 的 な 戦 略 で あ る 可 能 性 を 示 唆 し た .   一 方Par3は 複 数 の ド メ イ ン か ら な る マ ル チ ド メ イ ン タ ン バ ク 質 で あ り ,PDZド メ イ ン が3つ 存 在 し て い る(N末 端 側 か らPDZ1,PD22,PD23). PDZド メ イ ン は 一 般 的 に 膜 タ ン バ ク 質 な ど のC末 端 と 相 互 作 用 し て タ ン バ ク 質 の 局 在 に 関 与 す る た め ,Par複 合 体 の 局 在 に 機 能 し て い る と考 え ら れ るPDZ ド メ イ ン に 着 目 し た .Par3のPDZ1は 上 皮 細 胞 の 密 着 結 合 の 構 成 因 子 のJAMやPar6と 結 合 す る が , PD22, PD23に 対 す る 結 合 相 手 は 同 定 さ れ て い な い , 本 研 究 で はPar3のPD23と 結 合 す る タ ン パ ク 質 と し て 新 規 に 同 定 さ れ た 上 皮 細 胞 の 密 着 結 合 の 形 成 に 関 与 す る 分 子 ,Par3BMPと の 相 互 作 用 様 式 の 詳 細 を 明 ら か と す る こ と を 目 的 と し た ,

  Par3BMPは 一 回 膜 貫 通 型 の 膜 夕 ン パ ク 質 でC末 端 にPDZ結 合 配 列 を 有 し て い る .PDZ結 合 配 列 の す ぐN末 端 側 に はSer残 基 が 多 数 存 在 し て お り , ま た カ ゼ イ ン キ ナ ー2(CK2)の り ン 酸 化 コ ン セ ン サ ス 配 列 に も 相 当 し , 生 体 内 に お い て り ン 酸 化 さ れ る 可 能 性 が 示 唆 さ れ る .PDZド メ イ ン と 結 合 リ ガ ン ド の 結 合 が り ン 酸 化 に よ り 調 節 さ れ る 例 が い く っ か 知 ら れ て い る た め ,Par3 PD23とPar3BMPの 結 合 に お い て も り ン 酸 化 に よ る 調 節 機 構 が 存 在 し な い か 検 討 し た , リ ン 酸 化 ミミ ッ ク 体 を 用 い た 血vitro プ ル ダ ウ ン ア ッ セ イ の 結 果 ,CK2の り ン 酸 化 コ ン セ ン サ ス 配 列 に 相 当 す るSerをAspに 変 異 し た り ン 酸 化 ミ ミ ッ ク 体 で は 野 生 型 よ り 結 合 が 強 く な っ た .PDZド メ イ ン の 相 互 作 用 に お い て は り ン 酸 化 に よ り 結 合 が 弱 く な る 例 が 多 く , 結 合 が 強 く な る 例は あ ま り 報 告 さ れ てお ら ず 興 味 深 い .ま た ミ ミ ッ ク 体 で は な く り ン 酸 化Ser360に よ るPar3 PD23に 対 す る 結 合 へ の 影 響 を 検 証 し た .NMRに よ る 滴 定 実 験 を 行 い ,16N標 識 し たPar3 PD23の 化 学 シ フ ト 変 化 を 追 跡 し た と こ ろ , 非 リ ン 酸 化Par3BMPで は 化 学 シ フ ト 変 化 が 飽 和 す る ま で 約2.5当 量 の 滴 定 量 を 要 し た が , リ ン 酸 化Par3BMPで は 約1.0当 量 で 飽 和 し た . し た が っ て ,Par3BMPとPar3a PD23の 相 互 作 用 は り ン 酸 化 に よ っ て 増 強 さ れ る こ と が 明 ら か と な っ た ,

  次 にPar3a PD23単 体 お よ びPar3BMPリ ン 酸 化 ミ ミ ッ ク 体 と の 複 合 体 の 立 体 構 造 をNMR法 に よ り 決 定 し た ,  Par3a PD23とPar3BMPは 分 子 間 で 逆 平 行D. シ ー ト を 形 成 し ,Par3BMPのC末 端3残 基 はPar3 PD23上 に 存 在 す る 疎 水 性 の 溝 に は ま り 込 む よ う に し て 相 互 作 用 し て い た , ま た , リ ン 酸 基 を ミ ミ ッ ク し たAspは 他 のPDZド メ イ ン で は 見 ら れ な いP.ar3 PD23特 有 の 塩 基 性 残 基 の 集 積 し た 正 電 荷 の ク ラ ス タ ー と 静 電 相 互 作 用 す る こ と で 相 互 作 用 を 強 め て い る こ と が 明 ら か と な っ た .

― 740ー

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学位論文 審査の要旨 主査

副査 副査 副査

教授 教授 助教授 助教授

稲 垣 冬 彦 横 沢 英 良 川 原 裕 之 森 岡 弘 志

     学 位 論 文 題 名

    Structural and functional analyses     of the proteinslnV01VedinCe11polarity

( 細 胞 極 性 に 関 与 す る タ ン パ ク 質 群 の 構 造 お よ び 機 能 に 関 す る 研 究 )

   生 命 は 1 つ の 胚 細 胞 か ら 発 生 し , 多 様 な 性 質 をも つ細 胞へ と分 化し て組 織や 器官 を形 成す る, この ため には 細胞 に 極性 が生 じ,細胞が秩序だって非対 称に分裂す る 必 要 が あ る . ま た上 皮細 胞や ニ ュー ロン は高 度に 極性 化し たシ ステ ムを 持っ てお り, 極性 発現 は細 胞が 正常 に機 能す るた め に必 須である,近年,atypical プロテイン キ ナ ー ゼ C (aPKC) , Par6 , Par3 の 三 者 複 合 体 か ら な る Par 複 合 体 が 細 胞 極 性 の 普 遍的 な制 御因 子で ある ことが明らかとなってき た. Par 複合体は線虫から 哺乳類に至 る ま で 進 化 的 に 保 存さ れて おり , 胚細 胞や 神経 芽細 胞の 非対 称分 裂, 上皮 細胞 の密 着 結 合 形 成 や ニ ュ ーロ ンに おけ る 軸策 の形 成な ど多 種の 細胞 極性 を制 御し てい る.

さ ら に , 最 近 で は Par 複 合 体 に よ る 細 胞 極 性 制 御に 関与 する ―連 のタ ンパ ク質 群が

急 速 に 同 定 さ れ つ っあ る, Par 複 合体 と三 量体 G タン パク 質を 介し たシ グナ ル伝 達経

路が ク口 スト ーク して いる こと が示 唆さ れ てお り,協調的に細胞骨格の再 編成を制御

する と考 えら れる .Par 複合 体を 中心 とし た細 胞極 性に 関与 する タン パ ク質 群の時空

間 的 な 制 御 機 構 の 解明 は細 胞生 物 とし て注 目を 集め てい る研 究領 域で あり ,申 請者

は1 . Par 複 合 体形 成機 構と その 局在 の制 御, 2 .LGN/Ric − 8 によ る三 量体 G タンパク

質 Ga の 制 御 機 構 , 3 . 両 シ グ ナ ル 伝 達 経 路 を っ な ぐ 分 子 Insc の 構 造 と 機 能 の3 点に

つ い て 研 究 を 進 め た , 構 造 生 物 学 的 な 知 見 は 細 胞 極 性 発 現 機 構 を 明 ら か にす るた

め に 必 須 で あ り , 構造 生物 学が 主 導す る新 しい 研究 方向 を探 るた めに も九 大生 医研

住 本 研 究 室 に お け る細 胞生 物学 研 究と 同時 進行 で研 究を 進め た, この ため ,タ ンパ

ク 質 発 現 , 構 造 の 解 釈 を 含 め き わ め て 難 解 な テ― マ設 定と な った ,申 請者 は3 つの

研 究 テ ー マ に つ い てバ キュ ロや 種 々の タン パク 質発 現系 を試 し, 大量 調製 法を 確立

し た が , 実 際 の 構 造 解 析 に 進 め た も の は 2 ― 3 個 で あ る . 構 造 生 物 学 的 研 究の 困難

さ を 示 す も の で あ るが ,今 後, 構 造生 物学 研究 が志 向す る方 向性 を明 確に 打ち 出し

た点 で高 く評 価す る・ ‑ 7A1 −

(4)

   まず はじめに細 胞極性に 必須なタンパク質複合体aPKC ― Par6 複合体の構造解析 を行った.Par 複合体のうち,aPKC と Par6 は PB1 ドメイン同士の相互作用を介して複 合体を形成する.PB1 ドメイン間の相互作用を欠失した変異体ではその局在に異常 が見られることから,この相互作用が重要であると考えられる. PB1 ドメインはPB1 ド メイン同士が相互作用し,ヘテロ二量体またはホモ多量体を形成することでタンパク 質問相互作用を担うモジュールとして同定されたものである.PB1 ドメイン間の相互作 用は非常に特異的であり,めvivo ,仂ぬりの双方において特定のPB1 ドメインどうし のみが結合することが知られている.しかしその相互作用様式は保存された残基間 の静電相互作用が重要であることが知られているのみで,特異性を規定する要因な どの詳細は明らかとなっていない.そこでPB1 ドメインによる詳細な相互作用機構と 細胞内での機能解明のため,複合体での立体構造解析を行ない,PB1 ドメイン相互 の複合体形成の機構と特異性を明らかにした.申請者はこの結果をJ .  Biol. Chem に ニつの論文として発表した.また,日本生化学会誌のミニレビュ―に依頼執筆をおこ なった.

次に Par 複合体のも う 1 つの因子 Par3 について研究を進めた. Par3 は複数のドメイ ンからなるマルチドメインタンパク質である.PDZ ドメインは一般的に膜タンパク質など の C 末端と相互作用することでタンパク質の局在を制御している.Par3 のPDZ ドメイ ンは Par 複合体の局在に機能していると考えられるため,はじめにPDZ ドメインに着 目した,PDZ ドメインは1 つのタンパク質中に複数存在することが多い,PDZ ドメインと りガンドとの相互作用は比較的弱く(1 − 100 yM) ,各PDZ ドメインがそれぞれの標的と 相互作用することで細胞内局在を決定し,複数のタンパク質を集積するという足場タ ンパク質としての役割を協調的に発揮すると考えられる.Par3 には 3 つのPDZ ドメイ ン が存 在し( N 末端側か ら PDZ1 , PD22 , PD23) , PDZ1 は上皮細 胞の密着 結合の構 成因 子であるJAM や Par6 と結合す ることが 知られて いるが,PD22 , PD23 に対する 結合相手は同定されていない,本研究ではPar3 のPD23 と結合するタンパク質として 新規 に同定され た上皮細 胞の密着 結合の形 成に関与 する分子,Par3BMP との相互 作用様式の詳細を明らかとするため立体構造を行った,興味深いことはPar3BP はり ン酸化を受けると結合が強くなる事である.構造解析を進め,またPar3BP に含まれ る結合配列との複合体の構造解析を進め,認識の特異性を明らかにし,特異的認識 に関わる残基を同定した.配列解析より,Par3 のPD23 と結合する可能性のあるタン パク質群を見いだした.この結果,ネクチンがりン酸化されることによりPar3 のPD23 と結合することを実験的に明らかにした,リン酸化によるPDZ タンパク質の制御という 新しい問題を提出した,

以上,申請者は, NMR , X 線結晶構造解析の手法を身につけるとともに,これらの手

法を用い,細胞極性の制御に必要な相互作用を明らかにするとともに,新しい制御機

構の存在を提案した.今後の研究の発展も期待できるものであり,博士論文にふさわ

しい研究と評価する.

参照

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