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博 士 ( 工 学 ) 香 西 直 文

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 香 西 直 文      学 位 論 文 題 名

放 射 性 廃 棄 物 地 層 処 分 用 ベ ン ト ナ イ ト 緩 衝 材 の     Np(V) 保 持 性 能 向 上 に 関 す る 研 究      学 位 論 文 内 容 の 要 旨

  

原子力発電によって必然的に発生する高レベルの放射性廃棄物は、ガラス固 化体に封入し炭素鋼製のオーバーパックに収納し地下500m よりも深い地層に 処分することがわが国の方針として示されている。この場合、オーバーパック と岩石との問に挿入されるベントナイト緩衝材は、高レベル放射性廃棄物の地 層処分における人工バリアのーっとして極めて重要な役割を期待されている。

すなわち、ベン卜ナイト緩衝材は、廃棄物処分後の初期には止水性を発揮しオ ーバーパックへの地下水の接近を遅延させ、処分後1000 年以降にオーバーパッ クが破損し、ガラス固化体から放射性核種が漏出するようになった場合には、

ベントナイト緩衝材は核種を収着保持し、その移行を遅延させる性能を有して いる。ベントナイト緩衝材は多数の放射性核種の移行に対して遅延効果を示す ことが報告されているが、その構成鉱物の役割に着目して放射性核種の保持性 能及び遅延効果を検討した研究は皆無と言える。

  

本研究は、放射性廃棄物地層処分に用いられるベントナイト緩衝材が有する 核種保持性能の発現機構とその向上方策を解明し、ベントナイ卜緩衝材の材料 設計に関する基礎的考え方を示すことを目的として、長半減期核種であり、ベ ントナイト、岩石及び土壌に対し特に低い収着性を示す237Np(V) を対象核種とし て収着率と選択的逐次抽出法を適用した脱着率の測定によって行ったものであ る。

  

本 論 文 は

5

章 か ら 構 成 さ れ て い る 。 以 下 に 各 章 の 概 略 を 述 べ る 。

  

第1 章は序論であり、本研究の背景と従来の知見、研究の目的と意義及び本 論文の構成にっいて述べた。

  

第2 章では、ベントナイトの主要鉱物であるモンモリロナイトがベントナイ

トの主たる核種保持性能を担うことに着目し、単一イオン型モンモリロナイト

という単純化したシステムに韜けるNp(V) の収着保持性能にっいて検討した。モ

(2)

ンモリロナイトへのNp(V) の収着は、可逆収着と不可逆有着に分離して評価可能 であることを明らかにした。収着率を核種保持性能の指標とし、pH2 〜10 の広 範囲にわたり収着率のpH 依存性、モンモリロナイト眉間陽イオンとの関係、収 着したNp(V) の脱離特性などの観点からNp(V) の収着保持性能の発現機構を明 らかにし、酸性及びアルカリ性溶液中におけるNp(V) の特異収着など従来報告さ れていない収着メカニズムが存在することを見出した。また、Np(V) の可逆的収 着は、モンモリロナイト眉間陽イオンとの陽イオン交換反応とpH 約7 .6 以上で のモンモリロナイト破壊原子価部位でのpH 依存負電荷との表面錯形成であり、

Np(V) の不可逆的収着は、pH 約5 以下及び10 以上でのNp(V) 加水分解種の特異 収着であることを明らかにした。

   第3 章では、ベン卜ナイトのNp(V) 収着保持性能をベントナイ卜に含まれる随 伴鉱物のカルサイトに着目して検討した。その結果、カルサイトによるNp(V) 保持性能の維持は中性以上のpH 条件に限定されるものの、その収着は不可逆的 に生じ、カルサイト表面での安定な表面錯体CaC03‑Np02L の形成および僅かで はあるがNp 加水分解種の特異収着によって生じることを明らかにし、ベントナ イ トへ の 添 加 材 の 混 合 に よ る 能 動的 核 種 閉 じ 込 め の 可 能 性 を示 し た 。    第4 章では、ベン卜ナイトのNp(V) 収着保持性能を能動的に向上させることを 目的として、天然にも豊富に存在する難溶性のカルシウムリン酸塩鉱物である アパタイトの添加法について検討した。ヒドロキソアパタイト(HAP) および フッ 素アパ タイ ト(FAP) のい ずれ も Np(V) 収着保持性能が非常に高く、HAP はpH5 以上で、FAP は pH6 以上でNp(V) の収着率が 100 %でしかも不可逆収着で あった。HAP は Am(III) と Pu に対しても pH4 〜8 の範囲で100% の収着率を示し、

かつ不可逆収着であった。またFAP に比べ耐酸性がより良好なHAP をモンモリ ロナイトに添加することによってベントナイトのNp(V) 収着保持性能を著しく 向上させることが可能であることを見出した。

   第 5 章 で は 、 本 研 究 に お い て 得 ら れ た 上 記 の研 究 結 果 を ま と め た 。

(3)

学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

放射性廃棄物地層処分用ベントナイト緩衝材の Np(V) 保持性能向上に関する研究

  原子力発電によって必然的に発生する高レベルの放射性廃棄物は、ガラス固化体に封入 し炭素鋼 製のオ ーバーパックに収納し地下500mよりも深い地層に処分することがわが国 の方針として示されている。この場合、オーバーバックと岩石との間に挿入されるベント ナイト緩衝材は、高レベル放射性廃棄物の地層処分における人工バリアのーっとして極め て重要な役割を期待されている。すなわち、ベントナイト緩衝材は、廃棄物処分後の初期 には止水性を発揮しオーパーバックへの地下水の接近を遅延させ、処分後1000年以降にオ ーバーバックが破損し、ガラス固化体から放射性核種が漏出するようになった場合には、

ベントナイト緩衝材は核種を収着保持し、その移行を遅延させる性能を有している。ベン トナイト緩衝材は多数の放射性核種の移行に対して遅延効果を示すことが報告されている が、その構成鉱物の役割に着目して放射性核種の保持性能及び遅延効果を検討した研究は 皆無と言える。本論文は、放射性廃棄物地層処分に用いられるべントナイト緩衝材が有す る核種保持性能の発現機構とその向上方策を解明し、ベントナイト緩衝材の材料設計に関 する基礎的考え方を示すことを目的として、長半減期核種であり、ベントナイト、岩石及 び土壌に対し特に低い収着性を示す Np(V)を対象核種として収着率と選択的逐次抽出法 を 適 用 し た 脱 着 率 の 測 定 に よ っ て 行 っ た 研 究 の 成 果 を 述 べ た も の で あ る 。   本論文の成果は、以下のように要約される。

  1.ベントナイトの主要鉱物であるモンモリロナイトがべントナイトの主たる核種保持 性能を担うことに着目し、単一イオン型モンモリロナイトという単純化したシステムにお けるNp(V)の収着 保持性能について検討した。モンモリロナイトへのNp(V)の収着は、可 逆収着と不可逆収着に分離して評価可能であることを明らかにした。収着率を核種保持性 能の指標 とし、pH2〜10の 広範囲 にわたり 収着率のpH依存性、モンモリロナイト眉間陽 イオンと の関係 、収着したNp(V)の脱離特性などの観点からNp(V)の収着保持性能の発現

士 壽

史 知

弘 信

貞 正

橋 中

村 藤

大 田

澤 佐

授 授

授 授

   

   

教 教

教 助

査 査

査 査

主 副

副 副

(4)

機構を明らかにし、酸性及びアルカリ性溶液中におけるNp(V)の特異収着など従来報告さ れていない収着メカニズムが存在することを見出した。また、Np(V)の可逆的収着は、モ ンモリロナイト眉間陽イオンとの陽イオン交換反応とpH約7.6以上でのモンモリロナイト 破壊原子 価部位で のpH依存 負電荷と の表面錯形成であり、Np(V)の不可逆的収着は、pH 約5以 下 及 び10以 上 でのNp(V)加 水分 解 種 の特 異 収 着で あ る こ とを 明 ら かに し た 。   2.ベントナイトのN「・p(V)収着保持性能をべントナイトに含まれる随伴鉱物のカルサイ トに着目して検討した。その結果、カルサイトによるNp(V)保持性能の維持は中性以上の pH条件に限定されるものの、その収着は不可逆的に生じ、カルサイト表面での安定な表面 錯体くAC03‑Np02Lの形成および僅かではあるがNp加水分解種の特異収着によって生じる ことを明らかにし、ベントナイトへの添加材の混合による能動的核種閉じ込めの可能性を 示した。

  3.ベントナイトのトゆ(り収着保持性能を能動的に向上させることを目的として、天然 にも豊富に存在する難溶性のカルシウムリン酸塩鉱物であるアバタイトの添加法について 検討した 。ヒドロ キソア バタイト(HAP)およびフッ素アバタイト(FAP)のいずれもNp(V) 収着保持 性能が非 常に高 く、HAPはpH5以上で、FAPはpH6以上でNp(V)の収着率が100u/o でし か も 不可 逆 収 着で あ っ た。HAPはAm(lII)とPuに 対して もpH4〜8の範 囲で100%の 収着率を 示し、か つ不可 逆収着で あった 。またFAPに比 ベ耐酸性 がより良好なHAPをモ ンモリロナイトに添加することによってべントナイトのNp(V)収着保持性能を著しく向上 させることが可能であることを見出した。

  これを要 するに、著者は、高レベル放射性廃棄物の地層処分用ベントナイト緩衝材の Np(V)保持性能向上に関して新知見を得たものであり、核燃料サイクル工学に対して貢献 するところ大なるものがある。よって著者は、北海道大学博士(工学)の学位を授与され る資格あるものと認める。

参照

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