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博 士 ( 工 学 ) 桑 村 進 学 位 論文 題 名 Stellar Speckle Spectroscopy for High Spatial Resolution and its Observational Data Analysis

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Academic year: 2021

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博 士 ( 工 学 ) 桑 村

  

    

学 位 論文 題 名

    Stellar Speckle Spectroscopy     for High Spatial Resolution and its Observational Data Analysis

( 高空 間分解 能のための 天体スペ ックル分 光法およ び観測デ ー夕解析 )

学位論文内容の要旨

    大□径望遠鏡の特徴は、その集光カと高空間分解能特性であるが、地上観測にお いては大気の揺らぎのため、空間分解能は□径にかかわらず1秒角程度に制限されて しまう。現在建造中の8−10メートル級望遠鏡を含めた大□径望遠鏡の高空間分解 能特性を引きだす観測法やデー夕処理法の開発が、現在、緊急の課題とナょっている。

天体スペックル干渉法は、特に可視や赤外領域において、望遠鏡の回折限界像を得る ための最も有カな方法となっている。この方法では、大気揺らぎが凍結する数十ミリ 秒の短時間露光で得られる星の像、すなわち、スペックル干渉パターンを多数枚統計 処理することによって星の回折限界像を得る。スペックルパターンに含まれる微細構 造の典型サイズが、望遠鏡の回折限界サイズA/D(D:望遠鏡口径)程度ナょので、

このような再生が可能となる。

    天体スペックル干渉法の高空間分解能特性を分光に応用したのが、天体スペック ル分光法で、本論文は、この新しい天体分光法に関するものである。この方法によっ て、回折限界における天体の分散像(スペクトル)を再生することができ、大□径望 速鏡と組み合わせれぱ、従来達成できていなかった高空間分解能で分光が可能となる。

すなわち、スペックル分光法によって、従来の分光法では得られなかったような天体 の分光情報が得られることになり、天体の物理的、化学的過程の解明に役立っ。これ まで、天体スペックル分光法を実現するための幾っかの方法が提案されてきた。しか し、そのいずれに対しても、シミュレーション実験の結果のみが報告されているだけ で、実際の観測データを使った研究はなされていなかった。本論文は、シミュレーシ ヨン実験に基づいて提案された方法を基礎に、実際の観測データを解析した結果をま とめたもので、スペックル分光データから回折限界スペクトルの再生が現実に可能で あ る こ と を 実 証 し て い る 。 本 論 文 は 全 6章 か ら 構 成 さ れ て い る 。     1章では、研究の背景、意義及び目的を述べ、論文の構成を概述している。

    2章 で は 、 研 究 に 関 連 す る 理 論 的 背 景 の レ ビ ュ ー を 行 な って い る。

    3章では、広帯域・低分散用に設計されたスペックル分光カメラ1号機の観測 デー夕解析およびその解析結果にっいて記述している。1号機を使った観測は、国立 天文台 岡山天体 物理観測 所188cm望遠鏡にて行われた。このスペックル分光カメ ラは、分光チャネルと参照チャネルの2チャネルからなり、参照チャネル側のスペッ クル像と分光チャネル側の分散スペックル像が同時撮影できる。参照側スペックル像 に含まれる瞬間ごとの大気揺らぎ情報を使うことによって、分散スペックル像より回 折限界スペクトルを再生することができる。1号機によって得られたスペックル分光 データ は、天体 スペック ル干渉法に おけるデ ー夕処理 法のーっであるShift―A

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ndAddSAA) 法 に よ っ て 処 理 さ れ た 。 ま ず 、 参 照 ス ペ ッ クル 像 にSAA処 理を適用することによって物体の回折限界像を再生する。SAAアルゴリズムは、デ ータフレームのシフトと加算からなるので、参照スペックル像に対するこのような操 作は、対応する分散スペックル像にも同様に働き、回折限界における分散像すなわち スペクトルが再生される。この段階において、再生フレーム上で強いバックグランド 成分が再生回折限界像に重畳してしまうが、これを推定し有効に除去する ことが、こ れまで未解決の問題であった。本論文では、参照スペックル像の重心が合致するよう シフトされたデ―タフレームの平均(疑似長時間露光フレーム)に、上記のSAA処理 を施すことで、有効なバックグランドの推定を行っている。このバ.yクグランド除去 アルゴリズムを、スペックル像のシミュレーションデータおよび観測データに適用し、

その正当性を確かめた後、単独星および連星のスペックル分光データに適用している。

特 に 、0.5秒 角 離 れ た 二 重 星ADS16836の 広 帯 域 ス ペ クト ル の 分離 に 成功 し たことにより、広帯域のスペックル分光が実際に可能であることを実証している。

    第4章では、狭帯域・中分散スペックル分光の観測データの解析にっいて記述し ている。まず、第3章で確立されたデー夕処理アルゴリズムを、アリゾナ大学ステユ ワード天文台のグループから処理依頼されたスペックル分光データに適用している。

このデ―タは、ステュワード天文台のディファレンシャル・スペックルカメラをキ・ッ トピーク米国立天文台4m望速鏡に取り付けて得られたもので、スペックル分光カメ ラ1号機で得られる広帯域・低分散のデータに対して、狭帯域・中分散のデータであ る。しかし、本質的な変更なしに今回開発したSAA処理アルゴリズムが適用され、

HerPCygの ス ペ ク ト ルを 、4m望 速 鏡の 回 折 限界 で 再生 し て いる 。 それ ぞ れの再生スペクトルには、大気揺らぎの影響下では判別できなかったHp吸収線およ びHp輝線が1まっきりと現われており、狭帯域・中分散のスペックル分光が実際に可 能であることを明かにしている。

    第4章の後半では、1号機の改良機として狭帯域. 中分散用に設計されたスペッ クル 分光カメラ2号機の観 測デー夕解析にっいて記述している。この2号機を188 cm望遠鏡に取り付けて、Ha付近のスペックル分光デ―夕を取得している。狭帯域 デ―夕であることから、データ処理法としてSAA以外に、新たに相関法を導入して いる 。単独星a Perと7Casのデータが両方法によって処理され、それぞれが良好 な整 合性を有す ることが 示されて いる。ま た、この ように再生されたaPerのス ペクトル・プロファイルが、従来のスリット分光によるプロシオンのプロファイルと 比較されている。ほば同じスペクトル型を持つ両者は、Ha吸収線に関し、整合性の あるプロファイルを示した。すなわち、従来のスリット分光法で行われてきたスペク トルの定量解析が、スペックル分光法によって再生されたスペクトルを使って、十分 可能であることを示している。次に、2号機で得られた連星のスペックル分光のデー 夕処 理を行って いる。そ の結果、 約0.3秒角離 れた2っの 星のスペクトルをHa吸 収線と共に再生することに成功している。両星の位置角とHa吸収線の相対的な位置 は、良好な整合性を示している。すなわち、スペックル分光の最大の特長である高空 間分解能特性を、明白な形で実証している。

    第5章では、高分散のスペックル分光を実現するためのシステムの提案がなされ

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(3)

    最後に、第6章では、本論文の結諭として、これまで得られた研究成果の総括を 行っている。

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学位論文審査の要旨

学 位 論 文 題 名

    Stellar Speckle Spectroscopy      for High Spatial Resolution and its Observational Data Analysis

( 高 空 間 分 解 能 の た め の 天 体 ス ペ ッ ク ル 分 光 法 お よ び 観 測 デ 一 夕 解 析 )

近 年 ら に ら れ め で 天 体 聞 分 い る き く ッ ブ れ た 的 空 空 間 ノマタ 体 の 観 測 本 論 際 の も の 天 体 推 定 有 効 ユ レ プ リ 角 離 可 視 狭 帯 ク 卜 ゾ ナ

は、天体スペックル干渉法の高空間分解能特性を活かして天体分光を行う方法を、

測に適用し、データ解析を行って、その有効性を実証した….連の研究成果をまとめ ある。本諭文の研究成果をまとめると以下の通りである。

ペックル分光デー夕解析にshift‑and‑add法を適用する場合、バックグランド成分の 懸案事項であったが、著者独自の着想による疑似長時間露光フレームの利用により、

推定法を開発した。このバックグランド除去アルゴリズムを、スペックル像のシミ ションデータおよび観測データに適用し、良好な再生像が得られることを示した。

ムを用 いた広 帯域低分 散用スペ ックル分光カメラを使用して観測を実施し、0.5秒 た2重星AD S16836のスペ クトル を分離し て検出 することに成功した。すなわち、

の 全域 に わ たる 広 帯 域ス ペ ック ル分光 法が有効 である ことを初 めて実 証した。

中分散用スペックル分光カメラを用いて、望遠鏡の回折限界空聞分解能で星のスペ の吸収 線や輝 線を再生 した。ま ず、米 国キット ピーク 闇立天文台4m望速鏡にアリ 学スチュワード天文台のディファレンシャル・スベックルカメラを取り付けて得ら

司 次 弘 光 志 啓 良 喜 利 直 中 塲 塚 倉 場 田 大 大 朝 馬 授 授 授 授 授

     

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(5)

  れたデ ータの解析を行い、PCygおよび£HerのHD線近傍のスペク卜ル再生に成功した。こ   れらに より、輝線及び吸収線がスベックル分光によって高空聞分解能で再生できることを   実証し た。次に、高効率な狭帯域・中分散分光用に開発したスベックル分光カメラを圏立   天文 台岡 山天 体 物理 観測 所18 8cm望遺 鏡に 取り 付け て観 測を行い、Ha線近傍でaPerと   7 Casのスペクトル再生に成功した。ここでは、データ処理に梱互相関法を導入し、従来の   スリッ ト分光法で達成されていたようなスペクトルの定量解析が、スペックル分光法によ   っても 可能で、かつ高空間分解能であることを示した。

@ 角 距 離 で0.26秒 籬 れ て い る二 重星ADS12973の スペ クト ルを 分離 再生 し、 それ らのHa   吸収線 が両星の相対位置に相応してシフトしていることを示した。すなわち、天体の対物   スペク トルが高空間分解能で得られることを明確に示した。

◎高分散 スペックル分光を実現するために、実時間tip―tilt波面制御に基づく新しい天体   分光法 を提案した。これは、空間分解能を劣化させることなく、スペクトルの長時間露光   を可能 とするもので、有益な提案である。

  これを 要するに、著者は、スペックル干渉法を利用する高空間分解能を有した天体分光法 を確立し たものであり、天文光学と応用物理学の進歩に寄与するところ大である。よって、

著 者 は 、 北 海 道 大 学 博 士 ( 工 学 ) の 学 位 を 授 与 さ れ る 資 格 あ る も の と 認 め る 。

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参照

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