• 検索結果がありません。

著者 呉 行正, 名倉 剛

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "著者 呉 行正, 名倉 剛"

Copied!
7
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

ビーム偏向法による二酸化炭素の水から有機溶媒相 への拡散過程の非接触In‑situモニタリング

著者 呉 行正, 名倉 剛

雑誌名 福井大学工学部研究報告

巻 46

号 2

ページ 173‑178

発行年 1998‑09

URL http://hdl.handle.net/10098/3406

(2)

46巻 第2 19989

ビーム偏向法による二酸化炭素の水から有機溶媒相への 拡散過程の非接触 I n ‑ s i t u モニタリング

呉 行 正 * 名 倉 岡

I J *

Noncontact and  i n ‑ s i t u   M o n i t o r i n g  o f  Carbon D i o x i d e  D i f f u s i o n   from Aqueous S o l u t i o n  t o  A p r o t i c  S o l v e n t  

Using O p t i c a l  Beam D e f l e c t i o n  Method 

Xing‑Zheng WU and  Tsuyosi NAKURA 

(Received Aug. 31

, 

1998) 

The optical beam deftection  (OBD) method has been applied to noncontact and  noninvasive monitoring and analyzing of  C02 diffusion  process企oman aqueous  solution into an aprotic solvent.  A glass tube (intemal diameter: 2.3 mm, outer  diametぽ:4.0 mm) was used as a cell, where the lowerrtwas an aprotic solvent  CCl.  and the upper ptwas a wat phase. A probe beam from a diode laser was  passed through the CC14 phase.  Carbon dioxide was firstly in‑situ generated in the  water phase by a chemical  reaction  between  HCl and Na2C03 A part  ofe gen田・ated C02 di丘used into  the  CCl.  phase, and  generated  a change  of  concentration gradient which in turn induced OBD signal.  The diffusion process of  C02仕omthe water phase toeCCI.  phase was successfully  monitored bye OBD method.  Furthermore, the OBD signa1 was analyzed with a simple diffusion  model.  In order to obtain diffusion coefficient wiagood precision, an improved  expimental method was proposed.  The diffusion  coefficient  of  C02 in  CCl.  phase was about  6 ‑ 9 

105cm2/s.  The problems  of  the  method are  further  discussed. 

Key Words: Optical Beam Deflection, Carbon Dioxide, Diffusion, Organic Solvent,  Diffusion Coecient.

1.  緒言

173 

様々な物理、化学、生物過程及び自然現象に拡散問題が含まれているo例えば、色々な細胞現象

材料化学科

(3)

174 

はナトリウムイオンなどの細胞膜への拡散、透過と密接な関係を有する 12)。大気から水閤への酸 素の拡散、溶解は水圏生物生存の必要条件である九また、人類が化石燃料を使用した結果、多量 の C02を放出し、地球温暖化をもたらしていると言われている。一方、人類が放出した C02の 一部が海などの水圏に吸収されているo大気から水への C02の拡散過程をモニタリングできれば、

水圏により吸収されている C02の量を正確に見積もることができるo現在、色々な手法が拡散計 測に利用されている。例えば、電気化学反応を利用する電気化学的手法は水溶液や高分子膜でのイ オンの拡散計測に利用されている4,5)。また、拡散過程で吸光度変化6)や蛍光強度の変化7)があれば、

分光光度法や蛍光分光法も拡散計測に利用できる。一方、二酸化炭素などのガスが水相から非水有 機溶媒相ヘ拡散する時、電気化学的な変化や大きな分光学的な変化などを発生しないので、上述の 方法は適用できない。

最近、筆者らがオプテイカルビーム偏向法 (opticalbeam deflection, OBD)を利用してガスの 水溶液から有機溶媒への拡散過程の新規 in‑situ計測法を提案し、更に酸素の水から四塩化炭素相 への拡散計測に応用した九この手法は拡散過程に伴う濃度勾配の変化をプロープ光の編向信号で 測定することに基づくものである。光がある屈折率勾配を通過する時曲がる(偏向する)という屡 気楼現象がよく知られている 9,10)。また、濃度勾配あるいは密度勾配は屈折率勾配を生じるo従っ て、拡散過程に伴う濃度勾配の変化はその濃度勾配を通過するプロープ光の偏向信号を誘起するo

この偏向信号を測定、解析することにより、拡散過程のモニタリングができ、更に拡散係数などの 情報も得られる。この手法の特徴は拡散過程を非接触、非浸襲、 in‑si切でモニタリングできるこ とである。本研究はこの手法を二酸化炭素の水から非水有機溶媒相への拡散計測に応用し、更にこ の手法の問題点及び改良について討論した。

2.  実験

実験装置系は既報8)したものと類似であり、Figure1に示した。ダイオードレーザー(波長668nm、 出力 3mW)をプロープ光の光源として使用した。ダイオードレーザーからの光をコリメータによ

りセルに絞り、その偏向信号はフォトダイオードとナイフエッジから構成した偏向検出器により検 出した。ナイフエッジはプロープ光の半分をブロックし、残りの半分をレンズによりフォトダイオ

Na2C0solution 

Collimator  lens  H O  

Diode Laser 

Cell  Z 

Figure 1.  Illustrations of the experimental sctup. The dotted arrows express the coordinatc axis. 

(4)

ードに絞り、その光強度を測定した。フォトダイオードからの光強度信号をデジタルマルチメータ ーに入力し、コンビューターにより記録、保存した。セルは外形 4.0mm、内径 2.3mmのガラス 管の一端を封じたものであるo ガラス管内表面には疎水性処理 11)を行った。ガラス管は

X‑y‑

Zステージに載せ、プロープ光の通過位置を調整できるようにした。

実屈を方法1:ガラス管セルの下部に非水有機溶媒のモデルとして四塩化炭素(予め1mollL塩酸 水溶液と飽和した)0.5mLをキヤピラリーシリンジで加え、次に 1mollL塩酸水溶液0.5mLを四 塩化炭素相の上に滴下した。塩酸水溶液は四塩化炭素より軽いので、四塩化炭素の上に水相を形成 した。プロープ光をガラス管セルの四塩化炭素相に通過し,プロープ光と水/四塩化炭素界面との距 離を約 lmmに調整した。水/四塩化炭素界面が安定になってから、キャピラリーシリンジで 0.1 mollL炭酸ナトリウム水溶液 0.3mLをセル内の塩酸水溶液に素早く滴下し、偏向信号の変化をモ ニタリングした。

実験方法2:ガラス管セルの下部に四塩化炭素(予め1mol/L塩酸水溶液と飽和した)0.5mL  をキヤピラリーシリンジで滴下した。プロープ光をその四塩化炭素相に通過し、プロープ光と水/

四塩化炭素界面との距離を約 lmmに調整した。次に、別の容器で1mollL塩酸水溶液10mLと0.1 mollL炭酸ナトリウム水溶液 10mLを混合し反応さぜたo十秒後この反応液 O.lmLをガラス管セ ル内の四塩化炭素相の上に滴下し、偏向信号の変化をモニタリングした。

3.結果と考察

二酸化炭素の水相から有機溶媒相への拡散を検討するために、水相で HCIとNa2C03を反応さ せ、 COzを発生させたo

2HCI 

NaZC0

HzO 

CO

2NaCl 

需品 (1) 

(1)式で示した反応により、水相での CO2の濃度が増加する (HCIが過量の場合)。この水相を有 機溶媒相と接触させると、水/有機溶媒相界面で大きな CO2濃度勾配を生じるD この濃度勾配によ り、 CO2の一部は水相から有機溶媒相へ拡散する(残りの部分は空気相へ散失する)。拡散過程で CO2の濃度勾配は時間とともに変化し、これによって、 OBD信号が観察されるo

3.1 二厳佑炭素の舟生皮ぴ必殺遁涯で生(;~偏向信号の iIld.定

ここでは、まず(1)式で示した反応をガラス管内で発生させ、つまり実験方法1で偏向信号を測 定したoFigure 2に典型的な OBD信号を示す。 Figure2には二つのピークがあり、最初のピー クは反応熱による偏向信号 "‑16)で、 2番目のピークは CO2の水相から有機相への拡散過程で濃度 勾配の変化によるものである。熱の拡散は CO2の拡散より速いので、反応熱に起因する偏向信号 は濃度勾配に起因する偏向信号より早く現れるo また、 Figure2に示した実験では、プロープ光 が水/有機溶媒界面から約lmm離れているので、水l有機溶媒界面下約lmmで CO2の拡散は約 1000秒も続いていることも分かった。ここでは、非水溶媒として四塩化炭素のデータのみ示して いるが、その他の非水有機溶媒にも類似なOBD信号が得られる。従って、本法はCO2の水から有 機溶媒相への拡散過程のモニタリングに利用できることが分かった。

(5)

176 

Addition of HCI into NaZC0solution 

↓ 

(

)

= υ ω ロω

450 s

∞ 

Detlection signal induced 

by reaction heat  Detlection signal induced by diffusion of COz 

Figure 2.  Typical beam detlectIOn for the reaction between HCI and NaZC03

3.2二厳佑炭素のお殺通産での偏向信号の解折

次に、 Figure2に示したようなOBn信号の解析を行うo濃度勾配に起因するOBO信号6は(2) 式で表示できる旬。

。 =

O/n}( 

a n /

θc) (δc/δz)  (2) 

(2)式では、 lはプロープ光の光路長、 nは有機溶媒の屈折率、 (δn/δc)は屈折率の濃度依存係数、

(θc/θz)は有機溶媒相で C02の濃度勾配である。一定の濃度範囲内で、 (θn/δc)は定数と見なせ るので、 (2)式から分かるように、 OBD信号は濃度勾配(θc/δz)に比例するo

ここでは、簡単な一次元拡散モデルを考える。まず、 CO今の拡散速度より、(1)式で示した反応の 反応速度の方が遥かに速いので、水相反応は均一的に発生し、しかも瞬間的に終了すると仮定する。

また、水相と有機溶媒相はともに半無限長 (semiinfinite)と近似する。尚、 CO2の拡散は水/有機 溶媒界面と垂直な方向の一次元拡散のみと仮定する。有機溶媒相で CO2の濃度勾配(θ c/θz)は拡 散方程式、及び初期条件と境界条件から解くことができるoこの拡散モデル下で得た濃度勾配(θc/

θz)を(2)式に代入し、 (3)式が得られる8)

(z

t) 

K(Dt)l/lexp[Z2 / (4Dt)  ,] (:3) 

(6)

(3)式では、 Kは定数、 zはプロープ光と水/有機溶媒界面との距離、

t

は拡散時間、 DはCO2の有 機溶媒相での拡散係数であるo従って、 zが一定のとき、 OBD信号の時間減衰は (3)式で計算でき る。 Figure3には (3)式で計算した OBD信号と実験値との比較の一例を示した。全体から見ると、

計算値は実験値と合っているo従って、本拡散モデルはCO2の拡散過程の記述に利用できる。また、

拡散係数は6.4x105cm2/sと求めた。

325  320 

ロ s 

315 

Cbpa

31.0 

305  30.0 

4

∞ 

8

∞ 

16ω

Diffusion time (se

nds) 

Figure 3.  Comparison of the calculated and experimental OBD signal.  The solid line is the  experimental one, and the dashed line is the calculated one.  Diffusion coefficient  D used in the caIculation is 6.4xl0‑cm2/s. 

3.3本誌の周窟点とぞの改良

Figure 3からも分かるように、偏向信号の実験値を(3)式で計算した理論値でフイツティングす ることにより、

C O

2の有機溶媒相での拡散係数が求められる。この手法で

C O

2の四塩化炭素中での 拡散係数を求めたところ、ぱらつきが大きいことが分かつた。これは実験方法1で炭酸ナトリウム 水溶液をガラス管セル内の塩酸水溶液に滴下したとき、 (1)で示した反応が均一、しかも瞬間的に 発生したわけではなく、また、ガラス管内での撹持操作がないので、滴下した場所、速度によって、

炭酸ナトリウムと塩酸との反応の進行具合が毎回異なったからであるo つまり、実験方法1で CO2 の実際の拡散過程は

3 . 2

中の拡散モデルからずれており、しかも、実験ごとに

C O

2の拡散の仕方に 差が出てしまったoその結果、実験方法 1でCO2の拡散係数を求めると、大きなばらつきを生じて

しまった。

そこで、 (3)式を導き出した拡散モデルにより近い実験方法を考案した。我々は(1)式で示した反 応を別の容器で十分混合、反応させ、発生したC02が完全に空気に散失する前に(実際は反応して から 10秒後)反応液を有機溶媒相に滴下した。即ち、実験方法2を利用した。その結果、

C O

2の四 塩化炭素での拡散係数は 6‑9

10 cm2/sの範囲内に落ち着くケースが多い。従って、実験方法

2の方がより信頼できる拡散係数が得られる。

しかし、実験方法2にはまだ幾つかの間題点がある。その一つは反応液を四塩化炭素相に滴下す

(7)

178 

るとき、水/有機溶媒界面の揺れに起因する大きなノイズが OBn信号に含まれるo このノイズによ り、拡散係数の解析に誤差を生じるo もう一つの問題はプロープ光と水/有機溶媒界面との距離 Z

を正確に測定できないことである。プロープ光は数学上の一直線ではなく、一定の太さがあるので、

厳密に考えるとプロープ光の各部分の偏向度合いが異なるo プロープ光の太さを考慮するOBn信 号 は(2)式のような簡単な式ではなく、より複雑な式になり、解析も複雑であるo 従 っ て 、 正 確 な 拡 散係数を得るには、これらの問題点を解決しなければいけない。

3.4まとめ反ぴ今後の箔反

濃度勾配によるビーム偏向法は水/有機溶媒界面で二酸化炭素の拡散過程のモニタリングに利用 できることを明らかにした。実験方法の改良により、簡単な拡散モデルで CO2の四塩化炭素での拡 散係数を求めることができた。本法はその他の手法で応用できない拡散過程の計測に有効であり、

将来CO2の大気から水、海水への拡散過程のモニタリングに応用できる可能性があるo

4.  参考文献

1)  Tamura, K.; Yoshida, S.; Fujiwake, H.; Watanabe, 1.; Sugawara, Y.  Biochem. Biophys.  Res. Commun. 1989. 162.926. 

2)  Cheek, T.R.; Jackson, T.R.; Q'Sullivan, A.J.; Moreton, R.B.; Berridge, M.J.; Burgoyne, R.D.  J. Cell Bio.  1989, 109, 1219. 

:3)  The Sea Urchin Emb:ryo, Biochemistry and Morphogenesis.  Czihak, G., Ed.; Springer‑ Verlag: New York, 1975. 

4)  Oyama, N.; Yamaguchi, S.; Nishiki, Y.; Tokuda K.; Matsuda H.; Anson F.C.  J. Electroanal.  Chem.  1982, 139, 371. 

5)  Chambers, J.Q.  J. Electroana1. Chem.  1981, 130, 381.  6)  Li, X.; Harrison D.J.  Anal. Chem.  199 ,163, 2168. 

7)  Wu, X.‑Z.; Kitamori, 1'.; Sawada, T.  J. Phys. Chem.  1992, 9 ,69406. 

8)  Wu, X.Z.;Morikawa, T.; Uchiyama, K.; Hobo, T.  J. Phys. Chem.B 1997, 101, 1520.  9)  Boccara, A.C.; Fournier, D.; Badoz, J.  Appl. Phys. Lett. 1980̲3 ,6130. 

10)  Murphy, J.C.; Amaodt, L.C.  J. Appl. Phys.  1980, 51. 4580. 

11)  Wu, X‑Z.; Shindoh, H.; Yamada, M.; Kobayashi, E.; Hobo, T.  Ana1. Sci.  1994, 10, 203.  12)  Wu, X‑Z.; Shindoh, H.; Yamada, M.; Hobo, T.  Anal. Chem.  1993, 65, 834. 

13)  Wu, X‑Z.; Shindoh, H.; Hobo, T.  Microchem. J.  1994, 49, 213.  14)  Wu, X‑Z.; Shindoh, H.; Hobo, T.  Anal. Chem. Acta.  1995, 299, 333.  15)  Wu, X‑Z.; Hobo, T.  Ana1. Chem. Acta.  1995, 31 ,6111. 

16) 呉 行 正 分析佑舎を"1996, 45, 55. 

参照

関連したドキュメント

第二鉄の部分 的な加水分解のためである.

化塩素だけが恒温水槽( 40℃)に設置したガス分離管

イル・シャルルの法則 ボイルの法則 芳香族アミン 芳香族化合物 芳香族カルボン酸 芳香族炭化水素 放射性同位体 放電 飽和蒸気圧 飽和炭化水素

標準溶液( 1)及び標準溶液(2)から得たそれぞれのスポットの Rf 値に等しい。 (2) 本品 1.0g

無機シアン化合物及びこれを含有する製剤 (水溶性のもの-1) シアン化ナトリウム、シアン化カリウム (水溶性のもの-2)

溶かし、加水分解に供する試料溶液とする。 加水分解 試料溶液の入った 200 mL のなす形フラスコに水酸化ナトリウム溶液 (1.5 mol/L)1

11 板書計画 12 授業の実際 【つかむ段階】(1/12~2/12) ① 7 つの水溶液を区別する活動 まず,無色透明の A~G

物質概念 物質の変化 物質の種類と性質 物質の構成 小 学 校 ○水溶液の性質 ・気体の溶け方