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はじめに 世界経済フォーラム (WEF) はこれから小学校に上がろうとする子ども達の 65% 前後が今は存在しない仕事に就く可能性がある と報告しています では, この子たちにどのような力をつけてあげればよいのでしょうか つけるべき力のひとつに問題解決力があげられると思います 理科研究委員会では問題

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Academic year: 2021

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-平成27年度

研究集録

自然とかかわりながら豊かな学力を身につける理科学習指導

実感を伴った問題解決活動の工夫を通して

レーザー干渉計型重力波検出器「LIGO」(アメリカ)

平成28年3月

福岡市理科研究委員会

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はじめに 世界経済フォーラム(WEF)はこれから小学校に上がろうとする子ども達の65%前後が 今は存在しない仕事に就く可能性がある。と報告しています。では,この子たちにどのよ うな力をつけてあげればよいのでしょうか。つけるべき力のひとつに問題解決力があげら れると思います。 理科研究委員会では問題解決的手法を身に着けさせることをテーマに取り組んでいます。 学習の理解度を上げるための手段として取り組まれることもありますが,理科は問題解決 力をつけることも重要な学習内容になります。 本年度は,問題解決の過程の中の「つかむ」「見通す」場面での工夫に取り組みました。 「つかむ・見通す」場面で子ども達に,何を明らかにしようとしているのか,どのように すれば確かめられるのかしっかりとした考えを一人ひとりに持たせるために, 6年生 ①既習事項を生かすと共により深い子どもの思考を促す,水溶液の選出 ②思考を整理するためのフローチャートの活用 5年生 ①既習のまとめの掲示とその活用 ②交流のさせ方の工夫 について検証授業を行いました。 詳しい内容とまとめは次ページ以降に記してあります。 この研究を通して,子ども達が自然と関わりながら豊かな学力を 身に着けることを願っています。 また,研究委員会は,月に1度開催し,計画・指導案審議・検証授業・ まとめを行ってきました。各委員は,それに向け多忙な日々の中,様々な 準備や研修に取り組みました。その努力の成果がこの集録に収められています。この歩み が続く限り,福岡の理科教育は子ども達に理科を学ぶ楽しさを感じさせ,問題解決力を身 に着けさせられると思います。 世界に目を向けますと,2016 年 2 月 11 日アメリカの重力波望遠鏡 LIGO(ライゴ)が重力 波をとらえたというニュースが流れていました。もし事実だとすれば,1916 年にアインシ ュタインが,重力波の存在を予言してから100年目にして直接的に観測されたことにな ります。この成果がきっかけになり,この分野の研究が加速度的に進んでいくのではない でしょうか。そうすると,数十年後には,相対性理論もニュートンの古典力学のように常 識になるのかもしれません。私たちの科学知識も高度なものが求められるようになり,ま すます理科教育の重要性が高まるのではないでしょうか。 私たち理科教育に携わる教員はその期待に応えるべく,これからさらに研修を深め福岡 市の理科教育の発展に,さらには日本の科学の発展のために研鑽を積んでいかなければな らないと思います。 最後になりましたが,本研究委員会の研究の推進にご協力いただきました,検証授業会 場校の香椎浜小学校長 山口秀之 様,那珂南小学校長 北原涼子 様,研究委員を送り出して くださいました各校の校長先生,ご指導頂きました教育センター研修・研究課主事 篠原浩一 様, 学校指導課主任指導主事 園田一浩 様,心からお礼申し上げます。 平成28年3月 福岡市小学校理科研究委員会 委 員 長 洞 俊行

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-運営計画及び推進方針案

アルベルト・アインシュタイン (Albert Einstein) 数学は確かによくできている。 しかし,自然は常にわたしたち の鼻をつかんで引きずり回す

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理 科 研 究 委 員 会 運 営 計 画

平 成 2 7 年 度

理 科 研 究 委 員 会 委 員 長 洞 俊 行 (福岡市 立室見小 学校校 長) 1 . 基 本 的 な 考 え 方 ( 1 ) 福 岡 市 の 教 育 課 題 に 着 目 し , 各 教 科 等 に 関 す る 専 門 的 研 究 及 び 研 究 事 業 を 行 い , 本 市 教 育 の 振 興 を 図 る 。 ( 2 ) 教 科 等 の 本 質 的 な 研 究 課 題 を 設 定 し て 継 続 的 に 研 究 を 行 い , 本 市 の 教 育 水 準 の 向 上 を 図 る 。 ( 3 ) 一 斉 教 科 等 基 本 研 修 ( セ ン タ ー 事 業 ) と 連 絡 を 密 に し , 運 営 に 協 力 す る と 共 に , 市 の 教 育 水 準 の 向 上 に 寄 与 す る 。 2 . 研 究 の 方 向 ( 1 ) 基 礎 的 ・ 基 本 的 事 項 を 着 実 に 身 に 付 け る 指 導 ( 2 ) 教 師 の 創 意 工 夫 を 生 か す 指 導 ( 3 ) 一 人 一 人 の 個 性 を 伸 ば し , 創 造 性 を 育 成 す る 指 導 ( 4 ) 教 科 の 特 性 を 明 確 に し た 指 導 3 . 研 究 の 進 め 方 ( ) 。 昭 和 5 5 年 1 9 8 0 年 か ら は じ っ た 3 ケ 年 研 修 の 第 1 1 期 が 昨 年 度 に 終 了 し た 本 年 度 か ら , 第 1 2 期 の 2 年 次 と な る 。 ( 1 ) 3 カ 年 ( 1 期 間 , 同 一 の 研 究 主 題 で 研 究 ( 研 修 ) を 行 う 。) ( 2 ) 一 斉 教 科 等 基 本 研 修 に お い て , 教 職 員 全 体 を 対 象 と す る 半 日 規 模 ( 年 1 回 ) の 研 修 会 の 運 営 等 に 協 力 を 行 う 。 4 . 委 員 会 の 運 営 に つ い て ( 1 ) 提 案 に つ い て 原 則 と し て , 各 月 の 研 究 内 容 の 提 案 に つ い て 提 案 者 を 決 め , 運 営 し て い く 。 ( 2 ) 提 案 者 以 外 の 委 員 資 料 を 基 に し て 「 自 分 の 考 え 」 を ま と め , 委 員 会 当 日 に 自 分 の 意 見 を 述 べ て い く よ う に す る 。 1

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2 5 . 委 員 会 の 構 成 学 校 指 導 課 委 員 長 教 育 セ ン タ ー 園 田 一 浩 校 長 洞 俊 行 篠 原 浩 一 主任指導主事 指導主事 副 委 員 長 教 頭 荒 木 信 行 推 進 委 員 長 野 林 正 隆 事 務 局 5 学 年 池 島 勇 貴 6 学 年 古 賀 隆 志 5 学 年 部 会 6 学 年 部 会 赤 坂 理 恵 (金 武 小 3 年) 中 谷 洸 太 ( 片 江 小 2 年 ) 重 藤 香 織 (笹 丘 小 3 年) 野 林 正 隆 ( 南 片 江 小 6 年 ) 松 瀬 寿 彦 (那 珂 南 小 5 年) 古 賀 隆 志 ( 香 椎 東 小 6 年 ) 宮 本 麗 (柏 原 小 5 年) 井 上 邦 広 ( 別 府 小 6 年 ) 明 石 あ ゆ み (弥 永 小 5 年) 須 藤 大 介 ( 香 椎 浜 小 6 年 ) ( ) 池 島 勇 貴 香 椎 下 原 小 5 年 6 . 組 織 の 具 体 的 な 運 営 ( 1 ) 教 科 等 研 究 委 員 会 と の 連 携 を 図 り な が ら , 次 の 役 員 で 協 議 を し , 理 科 研 究 委 員 会 の 充 実 に 努 め る 。 ① 委 員 長 委 員 会 を 代 表 し , 教 科 等 研 究 委 員 長 会 と の 連 携 を 密 に し , 会 を 統 括 す る 。 ○ 委 員 会 で の 挨 拶 ○ 委 員 会 で の 指 導 ・ 助 言 ○ 委 員 会 日 時 の 設 定 ○ 緊 急 課 題 へ の 対 応 ・ 処 理 ○ 緊 急 連 絡 の 発 信 ○ 教 科 等 研 究 委 員 長 会 へ の 出 席 等

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3 ② 副 委 員 長 委 員 長 を 補 佐 し , 必 要 に 応 じ て 委 員 長 を 代 行 す る 。 ○ 委 員 会 で の 指 導 ・ 助 言 ○ 諸 連 絡 等 ③ 推 進 委 員 長 及 び 事 務 局 委 員 長 統 括 の も と , 研 究 委 員 会 の 進 行 及 び 事 務 処 理 を 行 う 。 ○ 次 回 の 内 容 検 討 、 出 席 確 認 , 司 会 進 行 ( 2 ) 各 学 年 部 研 究 主 題 に 沿 っ て , 各 学 年 の 指 導 内 容 に つ い て の 研 究 を 深 め , 追 究 目 標 を 設 定 し , 授 業 実 践 を 通 し て 手 立 て 等 の 検 証 を 行 う 。 ○ 全 体 的 な 研 究 ○ 研 究 単 元 の 設 定 ○ 検 証 授 業 の 決 定 と 実 践 等 7 . 研 究 の 実 際 ( 1 ) 委 員 会 の 開 催 ① 毎 月 , 第 1 月 曜 日 の 1 5 : 0 0 よ り 行 う 。 但 し , 各 研 究 委 員 の 所 属 校 の 行 事 等 の 関 係 で , 必 要 に 応 じ て 第 3 月 曜 日 に 行 う 場 合 も あ る 。 全 員 出 席 を 期 し て , 各 自 , 学 級 ・ 学 年 ・ 校 務 分 掌 等 へ の 配 慮 を 事 前 に 十 分 行 っ て お く 。 , , 。 ② 委 員 会 当 日 遅 刻 及 び 欠 席 の 場 合 は 本 人 が 事 務 局 に 理 由 も 含 め て 連 絡 す る ③ 会 場 は , 原 則 , 委 員 長 の 学 校 ( 室 見 小 学 校 ) と す る 。 ( 2 ) 研 究 に あ た っ て ① 全 体 会 ・ 各 学 年 部 で 必 要 に 応 じ て 提 案 者 を 決 め る 。 提 案 者 は , A 4 判 に 提 案 内 容 を 簡 潔 に ま と め て , 委 員 長 1 部 ・ 副 委 員 長 1 部 ・ 各 研 究 委 員 人 数 分 ・ 担 当 主 任 指 導 主 事 用 2 部 印 刷 す る 。 ② 原 則 と し て , 提 案 者 は 研 究 を 時 間 内 に 滞 り な く 進 行 さ せ る た め に , 全 体 会 の み の 実 施 の 時 は 事 務 局 と , 各 部 会 の み の 実 施 の 時 は 各 部 長 と 事 前 に 打 ち 合 わ せ を 行 い , 協 議 の 柱 を 設 定 す る 。 ③ 研 究 テ ー マ に 沿 っ て 研 究 内 容 が 深 ま る よ う に , 各 委 員 は 協 議 の 中 で 意 見 を 積 極 的 に 述 べ る よ う に 努 め る 。 ④ 協 議 時 間 を 十 分 に 確 保 で き る よ う に , 提 案 者 は , 時 間 を 厳 守 す る 。 ( 3 ) 日 程 〔 例 〕 ① 始 め の 言 葉 ( 事 務 局 ) 1 5 : 0 0 ~ 1 5 : 0 1 ② 委 員 長 挨 拶 1 5 : 0 1 ~ 1 5 : 0 4 ( 会 場 校 校 長 挨 拶 ) ③ 提 案 ( 全 体 会 ・ 各 部 会 ) 1 5 : 0 4 ~ 1 5 : 1 9 ④ 協 議 1 5 : 1 9 ~ 1 6 : 5 5 ( 各 部 か ら の 報 告 ) ⑤ 諸 連 絡 1 6 : 5 5 ~ 1 6 : 5 9 ⑥ 終 わ り の 言 葉 ( 副 委 員 長 ) 1 6 : 5 9 ~ 1 7 : 0 0 ※ ① ・ ② ・ ⑤ ・ ⑥ は 事 務 局 で , ③ ・ ④ は 全 体 会 ・ 各 部 会 に よ り 事 務 局 又 は 各 部 長 で 進 行 す る 。

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4 8 . 研 究 委 員 会 実 施 日 及 び 内 容 月 / 日 研 究 ・ 活 動 内 容 会 場 5 / 1 8 ( 月 ) 教 科 等 研 究 委 員 会 総 会 市 教 育 セ ン タ ー 組 織 づ く り 6 / 1 ( 月 ) 第 2 回 研 究 委 員 会 ( 研 究 構 想 ・ 研 究 計 画 ) 室 見 小 学 校 7 / 6 ( 月 ) 第 3 回 研 究 委 員 会 ( 各 部 で 協 議 ) 室 見 小 学 校 8 / 3 ( 月 ) 第 4 回 研 究 委 員 会 ( 各 部 で 協 議 ) 那 珂 南 小 学 校 香 椎 浜 小 学 校 9 / 7 ( 月 ) 第 5 回 研 究 委 員 会 ( 全 体 で の 中 間 報 告 ) 室 見 小 学 校 9 / 1 0 日 前 後 科 学 わ く わ く コ ン テ ス ト 校 内 審 査 各 学 校 ( 各 区 担 当 校 で は 複 数 に よ る 審 査 ) 各 区 担 当 学 校 9 / 1 6 ( 水 ) 第 6 回 研 究 委 員 会 ( 各 部 で 最 終 審 議 ) 市 教 育 セ ン タ ー 科 学 わ く わ く コ ン テ ス ト 1 . 2 次 審 査 1 0 / 2 ( 金 ) 第 7 回 研 究 委 員 会 市 教 育 セ ン タ ー 少 年 科 学 文 化 会 館 ( 各 部 で 最 終 審 議 ・ 指 導 案 提 案 ) 科 学 わ く わ く コ ン テ ス ト 事 前 準 備 少 年 科 学 文 化 会 館 1 0 / 3 ( 土 ) 科 学 わ く わ く コ ン テ ス ト 表 彰 式 ( 3 日 ) ( 、 ) 科 学 わ く わ く コ ン テ ス ト 作 品 展 示 3 4 日 科 学 わ く わ く コ ン テ ス ト 作 品 搬 出 ( 4 日 ) ※ 各 区 担 当 学 校 か ら の 作 品 搬 出 各 区 担 当 学 校 1 1 / 1 8 ( 水 ) 第 8 回 研 究 委 員 会 ( 授 業 研 ・ 指 導 案 提 案 ) 香 椎 浜 小 学 校 1 1 / 2 6 ( 木 ) 第 9 回 研 究 委 員 会 ( 授 業 研 ) 那 珂 南 小 学 校 2 / 1 5 ( 月 ) 第 1 0 回 研 究 委 員 会 ( 各 部 で 協 議 ) 室 見 小 学 校 3 / 7 ( 月 ) 第 1 1 回 研 究 委 員 会 ( 全 体 で の 協 議 ) 室 見 小 学 校

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福岡市小学校理科研究委員会

平成27年度 研究推進方針

1 研究主題 2 主題設定の理由 平成24年度の全国学力・学習状況調査の結果によると,福岡市の小学校は国語科・算数科・理科の全ての 分類で全国平均を上回る成果が報じられている。特に理科(小学校)では,全国平均よりも1.6ポイント, 福岡県よりも1.8ポイント上回り,理科学習において大きな成果が上がっているといえる。 また,平成25年度の理科に関する意識調査の結果によると,「理科は好き」と回答している児童の割合は 全体の82%で,国語(63%)算数(65%)と比べ高い。しかし,「自分の予想をもとに観察や実験の計 画を立てている」「観察や実験の結果から,どのようなことがわかったのか考えている」と回答している児童 は70%程度とポイントが低くなっている。これは,「何のために調べているのか」や「何をはっきりさせな いといけないのか」といった観察・実験の視点や見通しがはっきりしていないことに原因があるのではないか と思われる。さらに観察実験の視点が曖昧なために,話し合い活動の視点もはっきりせず観察・実験の結果を 児童自身がもっているにも関わらず,何をどのように発表したらいいのかが分からない状況にあるのではない かと考えられる。 さらに,実感を伴った理解が不十分なために,「理科で学習したきまりなどが生活にいかされている」とい う有用性を感じていない傾向が見られる。 また,一方では理科専科教員の配置が多く,講師職がその任にあたっていることもあり,理科指導方法が各 学校によって差が生じやすいことも課題である。また,理科学習の具体的な指導で「どのような教材や教具を 用意すれば良いのかわからない」「実験の準備に手間と時間がかかり,学級担任の負担が大きい」などの悩み も聞かれる。 そこで,本研究委員会では「理科指導をわかりやすく・具体的に普及させていく」ために,「問題解決の学 び」を児童に定着させ実感を伴った「豊かな学力」を身につける理科学習指導を推進していく必要があると考 える。 3 主題について 「自然とかかわりながら」とは,児童が自然の事物・現象に意図的に働きかけ,見出した問題を解決するた めに観察や実験などの活動を通して調べていく過程のことである。 「豊かな学力」とは,知識や技能に加えて学ぶ意欲や,自ら学び,主体的に判断・行動し,よりよく問題解 決する資質や能力までを含めた「確かな学力」からさらに発展させ,問題解決の過程で児童が獲得した知識・ 技能・思考力を活用していく力を指す。 4 副主題について 小学校学習指導要領解説理科編では,「見通しをもって観察,実験などを行い,自然の事物・現象と科学的 にかかわる中で,問題解決の能力や態度を育成する学習活動を重視すること」が示してある。つまり,児童の 自然事象に対して抱く「確かめたい」「調べてみたい」という思いを大切にし,児童が自らの予想や仮説の基 に観察・実験などを行い,結果を整理し,相互に話し合う中から結論として科学的な見方や考え方をもつよう になる過程を重視しなくてはならない。 つまり,「実感を伴った問題解決活動の工夫を通して」とは 児童が自ら問題解決を行ったという実感を伴った理解を図ることができるようにするために,児童一人一人が 自然とかかわりながら豊かな学力を身につける理科学習指導 ~ 実感を伴った問題解決活動の工夫を通して ~

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自らの問題意識に支えられ,見通しをもって観察・実験に取り組むことができる問題解決の場を工夫すること である。 5 研究の目標 自然とかかわりながら豊かな学力を身につける児童を育むために,実感を伴った問題解決活動のあり方を究 明する。 6 研究の仮説 理科の学習過程において,実感を伴った問題解決の場面の工夫を行えば,児童は自然とかかわりながら豊か な学力を身につけることができるであろう。 7 研究の内容・構想 ○ 児童が自然事象に対して,見通しをもって観察・実験を行い,学習内容が生活につながっていると実感 できる教材教具 ○ 学習活動の場の工夫(グループの形態や言語活動の工夫など)

学習過程

自然とかかわり,豊かな学力を身につけた児童

問題解決活動の工夫

言語活動の形態・方法

の工夫

児童の実態

(生活経験・既有の知識)

事象提示

予想

観察・実験

結果

考察

まとめ

自然事象から,

問題をつかむ段階

見通しをもって,調べ

る段階

得 ら れ た 結 果 を 考 察

し,まとめ,ひろげる

段階

課題をつかむことがで

きる場の工夫

言語活動の形態・方法

の工夫

見通しをもって,意欲

的に活動できる教材・

教具の工夫

言語活動の形態・方法

の工夫

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-第五学年部

ルイ・パスツール ) (Louis Pasteur 発見のチャンスは、準備 ができた者だけに微笑む

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-5学年指導案1-

第5学年 理科学習指導案

1 単元名 「もののとけ方」 2 指導観 ○ 本単元は,「物を水にとかし,水の温度や量によるとけ方の違いを調べ,物のとけ方の規則性につ いての考えをもつようにする」ことをねらいとしている。具体的には,「ア 物が水に溶ける量に限 度があること。」「イ 物が水に溶ける量は水の温度や量,溶けるものによってちがうこと。」「ウ 物 が水に溶けても,水と物とを合わせた量は変わらないこと。」を捉えることができることである。 物を水にとかす体験から,目には見えなくても溶けているのかなどの疑問より学習問題を設定し, 解決していく。生活経験や既習学習を根拠に予想を立て,水の温度や量などの条件に着目し,実験 を計画しながら物の溶け方の規則性を調べることは,子どもたちが獲得した知識,技能,思考力を 活用する力を身につけさせていく上で大変意義深い。 ○ 本学級の子どもは男子17名,女子14名,計31名である。理科学習に対する興味・関心は高 く,実験・観察に積極的に取り組む者が多い。落ち着いた学習態度で,班活動においては役割分担 をするなど,協力して実験・観察に取り組むことができる。また,子ども達は1学期に「植物の発 芽と成長」で,インゲンマメの発芽や成長について日光や水などの条件に目を向けながら,実験を 計画し観察や実験を行ってきた。これらの単元から,条件制御をしながら事象の変化について調べ る実験をし,様々な事物の規則性を見つけ出し,まとめる経験を重ねている。しかし,生活経験や 既習内容と関連させて予想したりする子どもは少ない。さらに,実験結果を考察し,「分かったこと」 を理論づけて考えるのには時間がかかる。班での話し合いは,中心になる子を中心に行われるが, 意見は出るものの発言する子どもは限られており,全員の考えを練り上げてまとめるまで至ってい ない。また,他の子どもの意見を自分の考えに生かし,それを自分なりの言葉で表現できる子ども はまだ少ない。 ○ この単元においては,一人ひとりが疑問を持ち,予想を立てて自分の立場を明確にしてから,実 験を計画し行い,結果を考察するという学習課程を大切にしていきたい。予想を立てる際には,子 どもたちから生活経験や既習内容を引き出し,一人一人が予想をもつことができるようにする。ま た,流れ図にキーワードを示し,それを手掛かりにしながら条件に着目し,実験方法を考えていけ るようにする。このような,問題解決の場を意図的に仕組むことにより,子どもの知識・技能・思 考力を活用する力を育てることを狙いとしている。 まず,食塩が水に「溶ける」様子をじっくりと観察させる。そして,「溶ける」とは,どういうこ とかをつかませる。 導入として,水の入ったビーカーにティーバッグにいれた食塩をつけ,食塩が溶けていく様子を 観察させる。このことが,「溶かす」ということはスプーンなどでかき回すことが「溶かす」と考え ている子どもたちにとってこの現象は驚きとなり,知的好奇心を喚起することができると考える。 そして,水にものがとけた透明な液を「水溶液」ということをしっかりとおさえていく。その後, 自分たちで食塩を溶かす活動を行わせることで,物が溶けることに興味を持たせ自分から進んで疑 問や調べてみたいことを見い出すようにしたい。その活動の中で子どもが「溶けた食塩はどこへ行

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-5学年指導案2- ってしまったのだろうか 」という疑問をもち,解決する方法を考え実験を進めていく中で,形は見 えなくなっても水の中に存在していること,食塩が溶けた水の重さは,食塩と水の重さの和と同じ であることを見つけていけるようにする。溶けた食塩の行方がつかめたところで 「さらに溶かすに はどうしたらよいだろうか 」という疑問を追究し,様々な条件において食塩の溶ける量がどれくら いかを実験する。そこで水の量や温度などによっての溶け方の違いについて検証し,考察していく 。 次に,ホウ酸を用いての活動も行う。ホウ酸も食塩と同じように溶けるのか実験を行い,食塩に 比べてホウ酸は「溶けない」ことを経験する。この「溶けにくい」経験が子どもたちの知的好奇心 を喚起し「溶かしきるにはどうしたらよいのだろう。」と追究していく意欲へとつながっていくと思 われる。ここで,「食塩の溶け方」で学んだことを生かし,問題や実験方法など食塩での既習を常に 想起しながら追究していけるようにする。そのために,これまでの学習の掲示等の資料を振り返っ たり,いつも食塩と比較したりしながら,ホウ酸の溶け方を調べていくことができるようにする。 3 単元の目標 【自然事象への関心・意欲・態度】 ○ ものが水に溶ける現象に興味をもち,水の温度や量による溶け方の違いを進んで調べようとす る。 【科学的な思考】 ○ ものが水に溶けるときの規則性についての見方や考え方をもつことができる。 【観察・技能の技能】 ○ ものを水に溶かし,水の温度や量による溶け方の違いを調べることができる。 【自然事象についての知識・理解】 ○ ものが水に溶けても,水とものを合わせた重さは変わらないことや,ものが水に溶ける量には 限度があること,水の温度や量,溶けるものの種類が変わると,ものの溶ける量が変わることが わかる。 4 本単元での科学用語 水よう液 透明 とける 食塩 ホウ酸 ろ過 ろ液 水の温度(上げる,下げる) 水の量(増やす,減らす)

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-5学年指導案3- 5 指導計画(全12時間) 段階 配時 学習活動と内容 指導及び支援 2 時 間 ① ① 1 物が水に溶ける様子を観察し,水溶液の 意味を理解する。 (1) 物が水に溶ける様子を観察し,記録 する。 ○ ティーバッグに入れた食塩を水に入 れ溶かし,「とけるとはどういうこと か」課題をつかむこと ○ 食塩,砂糖,石鹸,砂などを水に溶 かして様子を観察し,友達分けをする こと ○ 水溶液の定義について知ること 2 計量器具の使い方を知る。 (1)電子てんびんの正しい使い方を知る。 (2)上皿天秤の正しい使い方を知る。 ○ 日常の生活で,物を溶かした経験を想起 させる。 ○ 物が溶けていく様子を,絵や文章で説明 させる。 ○ 物が溶けて透明になることが実感でき るように,砂と比較させる。 ○ 有色透明なものも水溶液であることを 確認する。 ○ 水平な台の上で操作させる。 ○ 上皿天秤を確実に操作して秤量させる。 ○ 物の重さを測るとき,誤差が出ることを 確認する。 物が水にとけるとはどのようなことだ ろうか。 まとめ 食塩やさとうなど,ものがとけている水 のことを水よう液という。水よう液はすべ てとうめいである。 電子てんびんと上皿天秤を使って,身の 回りの物の重さを調べよう。

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-5学年指導案4- 6 時 間 ① ② ① 2 水に溶ける物の量について調べる。 (1) 食塩を水に溶かし,重さを調べる。 ○ 食塩が水に溶けて見えなくなって も,溶かした食塩の重さはなくならな いこと (2) 食塩が一定量の水にどれくらい溶 けるか調べる。 ○ 決まった水の量に溶ける食塩の量に は限りがあること ( 3 ) ホ ウ 酸 を 一 定 量 の 水 に 溶 か し , ど のくらい溶けるか調べる。 ○ 決まった水の量に溶けるホウ酸の量 にも限りがあり,物によって溶ける量 に違いがあること ○ 電子天秤で液体の重さを量るときは,誤 差が出る場合があることを確認する。 ○ 水,食塩,水溶液の関係を式で表して, 見えなくなっても食塩は水中にあること を重さの変化から確認する。 ○ 水の量を一定にすることに気づかせる。 ○ 食塩5g 単位で調べさせる。 ○ ガラス棒の先にゴム管をつけて,ビーカ ーが割れないようにしておく。 ○ ホウ酸とは,目の消毒液やゴキブリの駆 除に使われている薬品であることを確認 する。 ○ ホウ酸の取り扱いに気をつけることを 確認し,使用後は必ず手を洗うことを指導 する。 ○ 食塩の時の実験結果を掲示することで, 比較して予想させ,物によって水に溶ける 量に違いがあることに気づかせる。 水に食塩を溶かしたら,食塩水の重さは どうなるだろうか。 まとめ 水に食塩をとかしたら,とかした食塩の 分だけ重くなる。 水の重さ+とかした物の重さ =水よう液の重さ 食塩は水に限りなくとけるだろうか。 まとめ 決まった水の量にとける食塩には,限り がある。 食塩以外のものも,水にとける量にはか ぎりがあるのだろうか。 まとめ 決まった水の量にとけるホウ酸にも,限り がある。 ものによってとける量にはちがいがある。

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-5学年指導案5- 4 時 間 ② ① ① 本 時 ① ① (4) 水の温度や量を変えて,溶ける量 を増やす方法を考える。 ○ 溶け残ったものを溶かすには水の量を 増やしたり,水の温度を高くしたりすれ ばいいこと 3 水の量や温度を変え,溶かしたものを取 り出す。 (1) ホウ酸水溶液をろ過する。 (2) ろ液にホウ酸が溶けているか確かめ る方法を考える。 (3) ろ液からホウ酸を取り出す。 ○ 溶けたものは水の中にあり,水の量 や温度を変えると,溶けているものを 取り出すことができること (1) ミョウバンの結晶作りをする。 ○ 60℃くらいのミョウバン溶液から結 晶をつくること ○ 水の温度を上げるために,容器に入れた まま加熱する方法として50℃の湯を使 う。 ○ ろ過装置を確実に操作するように指導 する。 ○ 溶け残ったものを溶かす方法として「水 の量を増やす」「水の温度を上げる」とい う既習内容を掲示しておくことで,ホウ酸 を取り出す方法を考えることができるよ うにしておく。 ○ これまでの学習を生かして活動に取り 組ませる。 とけ残ったホウ酸をとかすには,どのよ うにすればいいだろうか。 まとめ とけ残ったものをとかすには,水の量を ふやしたり,水の温度を上げたりすればよ い。 ろ液の中に,もうホウ酸はとけていない のだろうか。 まとめ とけたものは見えないが水の中にあり, 水の量や温度を変えると,とけたものを取 り出すことができる。 大きなミョウバンをつくろう。

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-5学年指導案6- 6 本時の目標 ○ ろ液の中にホウ酸が溶けているかどうかに興味関心を持ち,自ら実験の方法を考えようとして いる。【関心・意欲・態度】 ○ 既習内容から,ろ過した上ずみ液の中にホウ酸があるかどうかを確かめる実験を考えることが できる。【科学的な思考】 7 本時の仮説 8 本時指導の考え方 前時までに子どもたちは,溶け残った食塩やホウ酸を溶かすには「温度を上げること」や「水の量 を増やすこと」などの方法を予想し,実験をして溶け残りの食塩やホウ酸を溶かすことができることを 確かめている。その後,作ったホウ酸水溶液の温度が下がると,再びホウ酸が現れ,この現れたホウ 酸をろ過してろ液を作っている。 本時は,学習したことや生活経験をもとに,条件に着目させることでろ液の中にホウ酸が残ってい るかを予想し,調べる実験を子ども自ら計画することをねらいとしている。 そこで,子どもの立てる予想から学習を展開させたい。予想を立てる際には,既習内容を生かして, 透明な水溶液になっている状態でも物質が溶けていることと,実際に目には見えていないという既習 内容と実際に目にしていることとのズレを大事にし,今後の学習の意欲にしたい。最初に個人で予想 し,次に,グループで予想していく。そうすることで,生活経験が乏しい子どもでも既習内容を活かしな がら,予想を立て,友だちの意見を聞いて付加修正することができる。その後,全体の交流では,友だちの 考えと照らし合わせ,さらに考えを確かめたり,修正したりすることができる。こうすることで,自分の 考えをより明らかにできるものと考える。 次に,ろ液に溶けているホウ酸を取り出す実験の方法を考えていく。その際,「温度を上げると溶け る量が増えること」,「水の量を増やすと溶ける量が増えること」,「水溶液の重さは,水の重さと溶か したもの重さの和になっていること」など今まで学習したことを掲示しておく。その既習内容の掲示 物から,子どもは,反対のことをすれば取り出せると思考できると考える。また,「水の量」「温度」「重 さ」に気づくことができるように,この三つの科学用語は色を変えておく。 実験の方法については,「どうやったら証明できるのか」を考えさせていく。そして,「目に見えるよ うにするためにはどうしたらいいか」考えさせることで,「水の量を減らすこと」や「温度を下げるこ と」などに気づくことができるようにする。そして,考えた実験の結果,「どうなると思うか」「どう なったらいいのか」も併せて考えさせることで,見通しをもつて実験に臨むことができると考える。 そして,最後に実験方法を出し合い,実験可能な方法にまとめていく。 ろ液にホウ酸が溶けているか確かめる方法を考える本時において,前時までの学習の流れの掲示 物や,交流のさせ方を工夫すれば,既習内容や生活経験を生かして予想し、主体的に問題解決する することができるであろう。

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-5学年指導案7- 9 準備 ろ液(ホウ酸水溶液),掲示物,科学用語の言葉カード 10 本時の展開(10/12) 学習活動と内容 指導及び支援 1 前時学習を振り返り,学習問題を確認する。 (1)グループで考える。 ○ ホウ酸が溶けているか予想すること (2) 個人で予想する。 ○ 自分自身の考えを書き表すこと ・ でてきたホウ酸をとっても,ろ液の中にも ホウ酸が溶けている ・ 水溶液は透明でも溶けているもの ・ 目には見えないので,溶けていない。 ○ 自分自身の予想と比較して,考えを強化した り,付加修正したりすること (3) 全体で予想を確認する。 ○ ホウ酸が溶けているかどうか,自分の予想を 明らかにすること ○ 自分自身の予想と比較して,考えを強化した り,付加修正すること 2 実験の方法を考える。 (1) 全体で考える。 ○ 「水の温度を下げる」「水の量を減らすこと」 「重さが変わる」という実験の方法を考えると いうこと ろ液を冷やす。 ・ 氷水につけて温度を下げると,溶けていたホ ウ酸がビーカーの底に出てくる。 水の量を減らす。 ・ ろ液を温めて水の量を減らすと,ホウ酸が出 てくる。 ○ 前時までに,ろ過したホウ酸のろ液を準備して おく。 ○ 水溶液の定義を掲示やこれまでの学習を掲示 しておく。 ○ グループで話し,考えを持てるようにする。 ○ 理由を含めて予想を書くように声をかける。 ○ つぶやきなどを参考にして書いてもいいよう に声をかける。 ○ 予想をより明確にするために,友達の意見と自 分の意見を比較して聞くようにさせる。 ○ 溶けているかどうか確かめるための方法を考 えるように声をかける。 ○ 水の量と水の温度に意識が行くように,水を増 やした時に食塩やホウ酸の溶ける量が増えたこ とや,温度が下がってホウ酸が溶け出た経験をふ まえて,考えるようにさせる。 ○ 予想に戻り,考えた実験をすることでどのよう な結果になるのかを含めて考えるように声をか ける。 学習問題 ろ液の中にホウ酸が溶けているだろうか。

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-5学年指導案8- 重さを計る。 ・ 同じ量の水と重さを比べればわかる。 (3) 実験の方法を発表し,実験方法を決める。 ○ ろ液からホウ酸を取り出す実験方法を結果 も含めて発表するということ 4 次時の予告をする。 ○ 予想した方法で実験をしていくこと ○ 理科室で実験できるか考えるように声をか け,実験の方法を決めていくようにする。 11 板書計画 12 授業の実際 【つかむ段階】(1/12~2/12) ① 水溶液について知る活動 まず,事象提示として,ティーバッグに0.5g の食塩を入れ, ビーカーに浸し食塩を溶かした。【写真①】食塩が段々と水に溶け て見えなくなっていく事象を見せることで,子どもたちの興味・関 心が高まり「水に物が溶けるとはどういうことだろうか。」という課 題をつかんだ。 【写真① 食塩の溶ける様子を観察】 次に,水溶液の定義を理解させるために,食塩・砂糖・石鹸・砂を水に溶かし仲間分けをした。子 どもの中には,濁っていても溶けたように見えていれば水溶液と考えている子がいたので,無色でも 有色でも透明であれば水溶液であると全体で確認した。【写真②】また水溶液という科学の言葉を意識 できるように,色を変えたカードで掲示した。 【写真② 色々な水溶液】

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-5学年指導案9- ② 電子てんびん,上皿てんびんで身近な物の重さを量る活動 次時の水溶液の重さを量る活動がスムーズにいくように電子てんびんの使い方の復習と,上皿てん びんの使い方を教え,食塩を5g 量りとる活動をさせた。ただ,上皿てんびんの使い方については,慣 れるまでの時間の確保ができなかった。そして,重さを量るときには,多少の誤差が生じる場合があ ることもおさえた。 【調べる段階】(3/12~8/12) ① 水に食塩を溶かしても,存在するのかを調べる活動 「目に見えなくなった食塩は消えてなくなったのか」という課題 から考えさせ。子どもによっては味がするので目には見えない状態 で存在すると予想したり,目に見えなくなっているので存在しない と予想したりする子がいた。そこで,実験で確かめることにした。 その際,こちらからキーワードとして「重さ」を出すと,目には見 【写真③ 色を変えた科学用語】 えなくても存在するとすれば,水50ml に食塩を溶かすと,溶かした分だけ重さが増えるし,存在し ないとすれば水50ml の重さのままであるという仮説と立てることができた。その後,水に食塩を溶 かすと,溶かした分だけ重さが増えるという実験の結果から,目には見えなくなっても水中に存在し ていることを理解し,水溶液の重さ=水+溶かした物の量という式になることも理解した。この時も, 後の学習の際に意識が行くように,水溶液の重さ,水,溶かした物の重さと色を変えたカードで掲示 した。【写真③】 ② メスシリンダーで決まった水の量を量る活動 子ども達はこれまで,メスシリンダーを使った経験がなく,メスシリンダーの正しい使い方や用途 を教え,水を量り取る活動を行った。全員が実際に水の量を量り,目の高さによって読み取れる数値 が違うことを体験させた。そのことより,目盛を正面から読む必要性を実感していた。 ③ 決まった水の量に限りなく物が溶けるかと確かめる活動 「決まった水の量に限りなく物が溶けるのか」という課題を 投げかけた。生活経験から予想するように声をかけると,カ レーのルーを入れすぎると溶け残りが出ることから,溶ける量 に限りがあると予想する子どもがいたが,たくさんの子どもが 生活経験から予想することが困難だった。【写真④】しかし,意 見を交流することで,溶ける量には限りがあるかどうか自分の 考えをより深めることができた。 【写真④ 子どもの予想】 そして,水100ml に5g ずつ食塩を溶かしていく実験を行った。その際,安全メガネの使用や服 装,椅子を入れて実験することを指導した。実験では,25g までの食塩を5g ずつ溶かしていくこと で,初め溶けきっていたが,25g 溶かした時点で,溶け残りが出るという結果に至った。そこから, 決まった水の量に,溶ける物の量が決まっていることを理解することができた。 次に,ホウ酸で確かめることにした。予想の段階で,前時までの学習を生かして考えるように声を

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-5学年指導案10- かけると,決まった水の量に溶ける食塩の量に限界があることを 理由に,ホウ酸の溶ける量にも限りがあるという予想を立てる子ど もがほとんどだった。【写真⑤】一方で,ホウ酸が身近なものではな く,限りなく溶けるという予想を立てる子どもも少数いた。実験をす ると,ホウ酸を5g 溶かした時点で,溶け残りが出たことで,物によっ て,決まった水の量に溶ける物の量に違いが出ることを実感したよう だった。 【写真⑤ 子どもの予想】 ④ 溶け残った物を溶かす方法を調べる活動 溶け残ったホウ酸をもっと溶かす方法を考えさせた。これまでの学習や生活経験から予想を立てさ せた。そうしたことで,決まった水の量に,溶ける物の量には限りがあることから,水の量を増やせば いいことや,水の温度を上げることで溶ける量を増やすことができることなどを考えることができた。 その際,水の量,温度に意識が行くように,色を変えたカードで掲示した。その後の実験で,水の量 を増やすことと水の温度を上げることで,溶け残ったホウ酸が溶けたという結果が出た。そのことか ら,水の量を増やすことと水の温度を上げることで,溶け残ったものを溶かすことができると理解し た。 【広げる段階】(9/12~12/12) ① ホウ酸水溶液をろ過する活動 子ども達はこれまで,ろ過の経験がないので,まず,ろ過とは液体から個体を取り出すことという ことを押さえ,実験の方法を掲示し,ろ過した。次に,ろ過してできた液体をろ液と呼ぶことも併せ て指導した。これらのことも,いつでも確認できるように掲示した。 ② ろ液の中にホウ酸が存在するのか,存在を確かめる方法は何かを考える活動(本時) 「ろ液の中にホウ酸は溶けているのか」という課題を投げかけた。予想の段階で,初めに個人で予 想した。これまでの掲示物を活用するように声をかけると,水溶液とは,溶かした物が目には見えな い状態で存在しているという既習内容を生かして予想をする子どもや,ろ過をしたのだから,もう溶 け残っていないという予想をする子どもがいた。次に,グループごとに予想の交流を行った。【写真⑥】 グループ交流の場面では,掲示物を確認しながら,予想に理由を付け加えたり,考えを変えて書き直 したりする子どもがいた。最後に,全体の交流では,考えの根拠となった時間の掲示物【写真⑦】を 指しながら説明するようにし,共通理解を図った。【写真⑧】するとほとんどの子どもが,ろ液の中に, ホウ酸がのこっていると再確認していた。 その後,全体で確かめる方法を考えた。掲示物に,水の量,水の温度と色を変えていたので,それ を手がかりに方法を考える姿が見られた。そして,その方法でどのような結果になるかを考えた。た だ,限られた子どもが,既習内容から水の量をへらすことと水の温度を上げることに気づき,発表し た。一方で,水の重さに気づく子どもが見られず,「水の重さはどうなっているか。」と問いかけるこ とで,ホウ酸が溶けているのなら,同じ水の重さと比べて確かめることができると気づかせた。

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-5学年指導案11- 【写真⑥ 根拠となった掲示物】 【写真⑦ 予想のグループ交流】 【写真⑧ 全体交流と掲示物を根拠にした発表の様子】 ③ 考えた方法で,ホウ酸の存在を確かめる活動 「蒸発乾固,冷却,重さ」それぞれの方法でホウ酸の存在を確かめた。蒸発させる場合,実験用ガ スコンロを使うので安全面の指導を徹底した。 13 成果と課題 ○ 既習内容や生活経験を生かした予想をするために,流れ図を掲示することや小グループ・全体で の交流をすることで,子ども達は自分の考えを持ち,問題解決し,豊かな学力につながった。 ○ 掲示物の中で,色を変えてキーワードを掲示することで,今までの学習で獲得した知識を意識させ た。そして,予想や実験を考える段階で,既習を生かした考えを持たせたことで,実感を伴った問題解 決に繋がった。 ● 掲示物を使って既習を生かして考えさせることができたが,全ての子どもではなかった。全ての子 どもが自分なりの考えを持ち,問題解決していくにはさらなる手だてが必要である。

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-第六学年部

アイザック・ニュートン (Isaac Newton) 毎日の生活の中で見過ごしてしまっ ていることはたくさんある。 しかし興味をもち,意識をしていれば, 今まで気づかなかったことも気がつ けるようになる。自分の興味のアンテナ を常に立てておこう

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第6学年

理科学習指導案

指導者 香椎浜小学校 須藤 大介 1 単元名 「 水よう液の性質 」 2 指導観 ○ 本単元は,いろいろな水溶液の性質や水溶液が金属を変化させる様子について興味・関心をもっ て追究する活動を通して,水溶液の性質について推論する能力を育てるとともに,それらについて の理解を図り,水溶液の性質や働きについての見方や考え方をもつことができるようにすることが ねらいである。 本単元の主な学習内容は,①いろいろな水溶液をリトマス紙を用いて調べ,色の変化によって, 酸性・アルカリ性・中性の三つの性質にまとめられること②水溶液には気体がとけているものがあ ること③水溶液には,金属を入れると金属がとけて気体を発生させたり,金属を別のものに変化さ せたりするものがあることである。そこで,観察の結果を表に記録していくことで,変化の事実を 明確にとらえさせることができる。また,水溶液の性質や金属の質的変化について十分に説明する ために,推論したことを図や絵,文を用いて表現する能力を育てることができると考える。 ○ 本学級の子どもたちは,第5学年「もののとけ方」の学習において水に溶けたものの質量保存や 溶ける量の限界,とけたものの取り出し方などについて学習している。子どもたちのアンケート調 査の結果から,固体が溶けて透明になっているものが水溶液であるということを多くの子どもが認 識している。また,子どもたちが知っている水溶液として挙げたのは,食塩水,砂糖水,ホウ酸水, 石灰水,ヨウ素溶液といったこれまでに自分たちが実際に実験で使った水溶液がほとんどであった。 また,酸性・アルカリ性・中性といった言葉を回答することができた子どもは10%程度であった。 しかし,回答した子どももどういった物が酸性・アルカリ性かということまでは,あまり分かって いない。回答することができなかった子どもたちの中にも,言葉だけは知っているという子どもは いた。身の回りの物やテレビ等の情報から,言葉だけは知っているのだと考えられる。 ○ 本単元の指導にあたっては,つかむ段階では,①水溶液には,酸性・アルカリ性・中性のものが あることをとらえさせることをねらいとする。はじめに,教師が提示した6種類の水溶液を見た目, におい,様子といった自分のできる方法で区別する活動を行う。しかし,見た目だけでは分かりづ らい水溶液があることからリトマス紙を用いることを教える。リトマス紙を用いて調べ,色の変化 によって水溶液は酸性・アルカリ性・中性の三つの性質にまとめられるということをとらえさせる。 調べる段階では,②水溶液には気体がとけているものがあること③水溶液には金属を変化させる ものがあることをとらえさせることをねらいとする。まず,炭酸水には何が溶けているのか考え, 炭酸水を加熱させたり,石灰水を使ったり,自分たちで炭酸水を作ったりすることで,水溶液には 気体がとけているものがあることをとらえさせる。次に,塩酸にアルミニウム片を入れる実験を行 い,塩酸はアルミニウムを溶かすということをとらえさせる。そして,塩酸に溶けたアルミニウム は,もとのアルミニウムと同じものなのかを予想させ,塩酸に溶けたアルミニウムを取り出し,再 び塩酸に入れる実験を行うことで,塩酸はアルミニウムの性質を変化させ,元のアルミニウムとは 違う新しい物に変えるということをとらえさせる。また,アルカリ性の水溶液についても,酸性の 水溶液で学習したことと比較しながら考察して,交流させていく。 ひろげる段階では,この単元を通して学習してきたことを用いて論理的に思考させるために,フ ローチャートで学習計画を立てさせることで,水溶液の性質や働きを論理的に思考,表現させてい く。 これらの活動を通して,水溶液の性質について推論する能力を育てるとともに,水溶液の性質や 働きについての見方や考え方をもつことができるようにしたい。 ‐6 学年指導案 1‐

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3 単元の目標 【自然事象への関心・意欲・態度】 ○ いろいろな水溶液の性質に興味・関心をもち,自ら水溶液の仲間分けしようとしている。 ○ 水溶液と金属の変化に興味・関心をもち,水溶液のはたらきについて自ら調べようとしている。 【科学的な思考・表現】 ○ 二酸化炭素を水に溶かしたときの現象について,推論しながら考察し,自分の考えを表現して いる。 ○ 水溶液に金属を入れると起こる変化について推論しながら考察し,自分の考えを表現している。 【観察・実験の技能】 ○ リトマス紙を適切に使用し,安全に水溶液を区別している。 ○ 薬品や加熱器具を適切に使用し,安全に水溶液のはたらきを調べている。 ○ いろいろな水溶液と金属の変化を調べ,その過程と結果を記録している。 【自然事象への知識・理解】 ○ 水溶液は,酸性・中性・アルカリ性の3種類に分けられることを理解している。 ○ 水溶液の中には,気体が溶けている水溶液があることを理解している。 ○ 水溶液には,金属を溶かすものがあることを理解している。 4 本単元での科学用語 ・リトマス紙 ・酸性 ・中性 ・アルカリ性 ・安全めがね ・塩酸 ・水酸化ナトリウム ・薬品 ・別のものにかえる ・炭酸水 ・石灰水 ・水よう液 5 指導計画(全12時間) 段階 配 時 主な学習活動と内容 指導上の留意点 つ か む 2 ① ① 1 7つの水溶液を区別する。 (1) 見た目やにおいで水溶液を区別する。 ・色で区別する ・においで区別する ・見た目で区別する ○ 見た目やにおいだけでは,水溶液を区別できな い場合もあること (2) リトマス紙を用いて,A~Eの水溶液を区別す る。 ○ リトマス紙を使うと,水溶液を3種類に区別で きること ・青色→赤色 … 酸性 ・赤色→青色 … アルカリ性 ・変化なし … 中性 ○ A~G(食塩水,炭酸水,ホウ 酸,塩酸,重曹,石灰水,水酸化 ナトリウム水溶液)の7種類を提 示し,どの試験管に何が入ってい るのかは分からないようにして おき,興味・関心を高めさせる。 ○ においのかぎ方などの薬品の 扱い方と実験の注意を子どもた ちが理解できるようにし,安全に 配慮する。 ○ リトマス紙を使うと水溶液が 酸性・アルカリ性・中性に区別す ることを知らせる。 ○ リトマス紙の使い方を子ども たちが理解できるように掲示す る。 ○ 7つの水溶液以外にも,水道水 や身の回りにある水溶液などを 準備しておき調べさせる。 学習問題 A~Gの水よう液を区別できるだろうか。 まとめ リトマス紙を使うと,水よう液を酸性・アルカ リ性・中性の3種類に区別することができる。 ‐6 学年指導案 2‐

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調 べ る 8 ① ① ① ① ① ① ② 1 気体がとけている水溶液を調べる。 (1) 炭酸水にはどんなものが溶けているか調べる。 ○ 水溶液には,気体がとけているものがあること (2) 炭酸水に溶けている気体の性質を調べる。 ○ 炭酸水には二酸化炭素が溶けていること 2 水溶液と金属との反応について調べる。 (1) 塩酸にアルミニウムを入れ,様子の変化を調べ る。 ○ 塩酸にアルミニウムを入れると泡がでて見えな くなること (2) 塩酸からアルミニウムを取り出す。 ○ 塩酸は,アルミニウムを溶かすこと (3) 塩酸から取りだしたアルミニウムが元のアル ミニウムと同じものか調べる。 ○ 水溶液には,金属を別のものに変えるものがあ ること (4) 塩酸に鉄を入れ,様子の変化を調べる。 ○ 塩酸は,鉄を溶かす働きがあること (5) 水酸化ナトリウム水溶液にアルミニウムと鉄 を入れ,変化の様子を調べる。 ○ 水酸化ナトリウム水溶液は,アルミニウムだけ を溶かす働きがあること ○ 蒸発させると何も残らないこ とから気体がとけていることをと らえさせる。 ○ 追究した後に,気体が水にとけ ることを実感させるために炭酸 水を作らせる。 ○ 酸性の水溶液を十円玉につけ る実験を見せ,興味・関心をもた せる。 ○ 薬品の扱い方の指導を確認し 安全面に気をつける。 ○ 変化の様子を時系列に沿って 記録するようにする。 ○ 蒸発皿に顔を近づけないこと など安全面を指導する。 ○ 反応している状態は,泡で判断 するようにさせる。 ○ 鉄片は時間がかかるので,スチ ールウールも準備する。 ○ 変化の様子を時系列に沿って 記録するようにする。 ○ 塩酸と比較しながら,変化の様 子を時系列に沿って記録するよ うにすることで塩酸との違いを つかませる。 学習問題 炭酸水にはどんなものがとけているのだろうか。 まとめ 炭酸水には二酸化炭素がとけている。水よう液には,気体 がとけているものがある。 学習問題 塩酸は,アルミニウムをとかすのだろうか。 まとめ 塩酸は,アルミニウムをとかす。 学習問題 塩酸の中に鉄を入れると,とけるのだろうか まとめ 塩酸の中に鉄を入れると,とける。 学習問題 塩酸から取りだしたアルミニウムはもとのアルミニウ ムと同じものだろうか。 まとめ 塩酸から取り出したアルミニウムはもとのアルミニウ ムと同じものではない。塩酸はアルミニウムを別のもの に変えるはたらきがある。 めあて 水酸化ナトリウム水よう液にアルミニウムや鉄を入れ て様子を観察しよう。 まとめ 水酸化ナトリウム水よう液にアルミニウムや鉄を入れ ると,アルミニウムだけをとかす。 ‐6 学年指導案 3‐

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6 本時の目標 ○ 実験の順序を考え,表現することができる ○ 学んだことを活用し,水溶液を区別する計画をたてることができる。 7 本時の仮説 8 本時指導の考え方 前時までの学習で子どもたちは,リトマス紙で液性を区別する方法,水溶液を蒸発させてとけて いるものを取り出す方法,水溶液にアルミを入れて溶かす方法を学習している。 本時の主なねらいは,提示された無色透明の6種類の水溶液と名前を,これまでに学習した水溶 液の性質と調べる方法を使って,水溶液を区別するための計画を立てることである。 本時指導にあたっては,まず,無色透明な6種類の水溶液を提示し,今までの学習から提示され た水溶液を区別する方法を想起させる。次に,計画を立てるための手立てとして,これまで学習し た水溶液や調べる方法を整理しながら進めることができるフローチャートを用いて考えさせる。フ ローチャートを作る際は,確かめていく方法,結果,区別した水溶液名に分けて作らせる。その際, 今までの学習で,どんな方法でどんな結果が得られたのか確認し,既習を生かしてグループでフロ ーチャートを完成させるようにする。また,何度も試行ができるように付箋紙を使って計画を立て させる。実験の順番は,グループごとに決めさせ,確認した実験以外にも安全で実現可能なもので あれば認めることで,意欲・感心を高めていく。フローチャートを完成させると同時に,自分たち が必要とする実験道具についても考えさせる。最後にグループで考えた計画を発表し合うことで, クラスで考えを共有していく。 9 準備 (教師) 水溶液(食塩水,石灰水,塩酸,重曹,ホウ酸水溶液,炭酸水) (児童) 教科書 ノート ひ ろ げ る 2 ① 〈 本 時 〉 ① 1 水溶液の性質や働きについて学習したことを生か して,6種類の水溶液を区別する。 (1) 単元を通して得られた知識や技能を使って,実 験方法を考える。 ○ 学んだことを活用すること (2) 前時に考えた方法を使って,水溶液を区別す る。 ○ 6種類の水溶液は,酸性・アル カリ性・中性のものを準備する。 また,固体が溶けているもの,気 体がとけているものを準備する。 ○ これまでの学習を振り返りな がら考えることができるように, 学習の記録を掲示しておく。 ○ この単元の学習で得た知識や 技能を整理しながら実験の計画 を立てることができるように,フ ローチャートを用いて計画を立 てさせる。 ○ 実験方法だけではなく,安全面 に関しても確認をする。 水溶液を区別する方法を考える本時において,既習の方法を用いなければ区別できない6種類 の水溶液を提示したりフローチャートで実験方法を計画したりする活動を仕組めば,学習したこ とを生かした推論をし,学習したことを活用していく力が育つであろう。 まとめ リトマス紙を使ったり,水溶液を蒸発させた りすることで水溶液の性質が分かり,水溶液を 区別することができる。 学習問題 どうすれば6種類の水溶液を区別すること ができるだろうか。 ‐6 学年指導案 4‐

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10 本時展開(11/12) 配時 主な学習活動と内容 指導上の留意点 7 8 20 10 1 5種類の水溶液に出会い,学習問題を作る。 無色透明な6種類の水溶液 (食塩水,炭酸水,ホウ酸水溶液,塩酸,重曹水溶液,石灰水) 2 水溶液を区別する方法を予想する。 (1)水溶液を区別する方法を考える。 ○ 今まで学習した方法を想起すること ・リトマス紙で液性を区別する ・金属をとかすかどうかで区別する ・気体か固体がとけているかどうかで区別する (2)段階的に調べるための方法を考える。 ○ フローチャートを用いること 3 実験計画を立てる。 (1)フローチャートを使ってグループで実験計画をた てる。 (2)グループで立てた計画を発表する。 ○ それぞれのグループでのフローチャートを全体 で共有すること ○ 6種類の無色透明な水溶液 ・食塩水…中性…固体が溶けている ・炭酸水…酸性・・・気体が溶けている ・ホウ酸水溶液…酸性…個体が溶けている ・塩酸…酸性…気体が 溶けている ・重曹水溶液…アルカリ性…個体が溶けている ・石灰水…アルカリ性…固体が溶けている ○ 前時までの学習を想起できない児 童には,ノートや掲示物を見るよう に助言する。 ○ 方法がでない時には,段階的に考 える場合に,他の学習でどんな方法 を使ったか想起させる。 ○ 何度も試行できるように付箋紙を 使って計画を立てさせる。 ・方法→赤 ・結果→黄 ・水溶液→青 ○ フローチャートが完成したら準備 するものを考えさせておく。 ○ 方法①②③④の順番は,グループ ごとに違ってよい。 ○ ②の結果は,時間がかかるため反 応するかどうかで判断させる。 ○ 発表ででた以外の方法について も,安全で実現可能なものであれば 認める。 どうすれば6種類の水溶液を区別することができるだろうか 学習問題 酸性 中性 アルカリ性 反応あり 反応なし 塩酸 ④気体か固体か 気体 固体 ①リトマス紙 ③二酸化炭素でにごるか ‐6 学年指導案 5‐

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11 板書計画 12 授業の実際 【つかむ段階】(1/12~2/12) ① 7 つの水溶液を区別する活動 まず,無色透明のA~G の水溶液 7 種類(食塩水,炭酸水,ホウ酸水溶液,塩酸,重曹水,石灰水, 水酸化ナトリウム水溶液)を,どの試験管に何の水溶液が入っているかわからないように提示した。 学習問題を「A~G の水溶液を区別できるだろうか。」とし,水溶液を区別する活動を通して性質を 調べていくことへの興味・関心を高めるようにした。児童は「炭酸水は泡が出ているから見たらわ かる。」「いや,見た目ではよくわからない。」「匂いがするものがある。だけどどれがどれかはわか らない。」「食塩水は5 年生で蒸発させたら塩が出てきたから全部熱したら食塩水は分かるかもしれ ない。」など,それぞれの水溶液の性質やそれを調べる方法について興味を持ち,調べる意欲が高 まっている様子が見られた。 ② リトマス紙を用いてA~G の水溶液を区別する活動 第一時で児童が興味・関心を持って水溶液を区別しようとする姿が見られた。第二時では水溶液 の性質を調べるものとして,リトマス紙があるということや,リトマス紙を用いれば色の変化で酸 性・中性・アルカリ性という水溶液の性質が分かるということを伝えた。無色透明の水溶液でもリ トマス紙を用いれば酸性・中性・アルカリ性の3 種類に区別することができると分かり,児童は意 欲的に実験を行っていた。また,第一時で提示した7 種類の水溶液以外にも,酢や洗剤,砂糖水や レモン水など身近な水溶液も提示した。児童は今学習していることと生活とのつながりを感じ,「他 の水溶液もリトマス紙で調べてみたい。」「家でもいろいろな水溶液を見つけて調べてみたい。」な どの発言が聞かれた。 水よう液の性質 塩酸 石灰水 食塩水 炭酸水 ホウ酸 水よう液 重曹 水溶液 リトマス紙 青→赤 赤→青 変化なし 青→赤 青→赤 赤→青 とけている もの 気体 固体 固体 気体 固体 固体 その他 金属を とかす 二酸化炭素 でにごる 温 め る とあわ ど う すれ ば6 種類 の水 溶液 を区 別 でき るだろ うか 題 食塩水 炭酸水 ホウ酸水溶液 塩酸 重曹水よう液 予想 ・リトマス紙で液性を区別する ・金属をとかすかどうかで区別する ・気体か固体がとけているかどうかで区別する 方法 フローチャートを使う。 グループで考えた フローチャート グループで考えた フローチャート グループで考えた フローチャート グループで考えた フローチャート グループで考えた フローチャート 石灰水 ‐6 学年指導案 6‐

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【調べる段階】(3/12~10/12) ① 気体が水にとけているか調べる実験 炭酸水を蒸発させても何も残らないという事象を提示し,水よう 液を蒸発させると固体が残るという既習とのズレから「炭酸水には どんなものがとけているのだろうか。」という学習問題を設定した。 予想としては,蒸発しても何も残らないことやあわの存在を根拠に して二酸化炭素や酸素という気体を意識した考えが出された。確か める方法として,「ものの燃え方」の学習から「炭酸水に石灰水を 入れる。」「取り出した気体の中に火のついたマッチを入れる。」「取 り出した気体検知管で調べる。」など様々な考えがでた。そこで, 水上置換を行い,気体を取り出してから,自分で考えた方法で実験 を行った。(写真①)各実験の結果を,全体で共有することで,「炭 酸水には,二酸化炭素がとけている。」という結論を得ることができ 【写真① 実験の様子】 た。また,最後に,水を入れたペットボトルに,二酸化炭素を入れて振るとどうなるかを予想し,実 際に確かめる活動を行った。ペットボトルがへこんだ様子を見て,「本当にへこんだ。」「水に二酸化 炭素がとけた。」と気づきをいう子どもの姿が見られた。 ② 水溶液と金属の反応について調べる 段階の導入として、十円玉に酸性の水溶液をたらし、十円玉の表面がきれいになる実験を見せた。 子どもたちからは「おお、きれいになった」「水溶液って金属をとかすっちゃない」との声が上がっ た。そこで、子どもたちが知っている酸性の水溶液の塩酸と金属のアルミニウムから「塩酸は、アル ミニウムを溶かすのだろうか」という学習問題を作り上げた。 はじめに、塩酸にアルミニウムを入れて、塩酸がアルミニウムを溶かすのかを調べた。予想は、導 入の実験から多くの子どもたちが「塩酸はアルミニウムを溶かす」ということだった。アルミニウム を塩酸に入れると泡を出しながら見えなくなったことから、「子どもたちは予想通りだ。」と言ってい た。そして,「塩酸はアルミニウムを溶かす」ということをまとめた。 次に、アルミニウムが溶けた塩酸から「塩酸に溶けたアルミニウムを取り出すと、入れる前のアル ミニウムと同じかな」と投げかけた。子どもたちは、5 年生の「もののとけ方」で学習したことを想 起し、「塩酸に溶けただけだから、変わらないだろう」というような声が聞かれたことから、「塩酸か ら取り出したアルミニウムはもとのアルミニウムと同じものだろうか」という学習問題を設定した。 5 年生の学習「もののとけ方」からアルミニウムを取り出すには、水分を蒸発させればよいことをす ぐに思い出すことができた。水分を蒸発させて取り出したアルミニウムを新たな塩酸に入れると何も 起こらなかったことからもとのアルミニウムではないことが分かり、「塩酸はアルミニウムを別のも のに変えるはたらきがある」ことをまとめた。子どもたちの中から、「鉄を入れるとどうなるのだろ う」という疑問が出てきたので、金属をアルミニウムから鉄に変えて実験を行った。はじめは、1c m四方の鉄片をいれたが、反応が分かりづらいので、スチールウールの存在を子どもたちに知らせ、 準備しておいたスチールウールに変えて実験を行わせた。すると、アルミニウムのときと同じように 泡を出しながら見えなくなったことで、子どもたちは「塩酸は金属(アルミニウム・鉄)を溶かす」 とまとめた。 さらに、子どもたちから「塩酸は酸性だから、アルカリ性の水溶液ではどうなのか」という声が上 がり、アルカリ性の水溶液の水酸化ナトリウム水溶液でも同じ実験を行うようにした。 子どもたちは、塩酸を使った実験から「水酸化ナトリウム水溶液も金属を溶かす」と予想する子ど もが多かった。水酸化ナトリウム水溶液に鉄とアルミニウムを入れ、観察をさせると、アルミニウム は塩酸のときと同じように泡を出しながら見えなくなり、鉄は全く反応することがなかった。このこ とから子どもたちは「水酸化ナトリウム水溶液はアルミニウムだけを溶かす」とまとめた。 【ひろげる段階】(11/12~12/12) ① 水溶液の性質や働きについて学習したことを生かして6 種類の水溶液を区別する方法を考える活動 (本時) 無色透明な6 種類の水溶液を提示して,どの水溶液がどの名前の水溶液か区別がつかなくなったこ ‐6 学年指導案 7‐

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