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日本語における動詞可能形と自己制御性

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Academic year: 2021

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日本語における動詞可能形と自己制御性

一品質望表現における交替現象の分析を中心にー

教科・領域教育専攻 言語系コース(国語) 富 岡 直 美

I 研究の目的

r

",‑,たらし"l,t"Jとしづ願望表現において、

以下の (a) (b)のような単純過去形(基本 形と呼ぶ)と可能形(可古都と呼ぶ)におけ る交替現象が見られることがある。

(a)大学に合格できたらいいなあ。

(b)大学に合格したらいいなあ。

本研究では、この交替現象の要因と、基本 形と可能形における意味の違いについて明ら かにすることを目的とする。

E  論文の構成 序 章 は じ め に

第1章先行研究のまとめと仮説

2章研究の方法と自己制御性判別テスト 第3章動作主が一人称の場合の交替現象 第4章動作主が一人称以外の場合の交替現

象 終 章 お わ り に

E 論文の概要

第1章では、先行研究をまとめ、予備調査 に基づいて先の交替現象に関する仮説を立て た。

先行研究では、

r

",‑,たらしWリが〈願望〉を 表すとき、主語が一人称の場合、意志動詞は 可能形が用いられ、無意志動詞は基本形が用 いられることが分かったo このことから、問

指導教員 茂 木 俊 伸

題の交替現象にも意志性が関与していると考 え、意志性をより細分化した「自己制御性j

としづ概念に着目した。この観点では、意志 動詞は〈達成の自己制御↑飴と〈過程の自己 制御船に分けられる。

そこで、、先行研究で例示されているこれら の自己制御性の動詞について、問題の交替現 象が見られるか否かを予備調査した。その結 果、 (1) (達成の自己制御性)の動調で動作 主が一人称以外の場合と、 (2) (過程の自己 制御↑飴の動詞の場合に、可能形と基本形が 共に用いられうることが分かったO そして、

この調査から、以下の3つの仮説を立てた。

【仮説1]~額望〉の r",-,たらし"l,t"Jにおいて は、 Cタイプ〈過程の自己制御船の動 詞で、基本形と可能形が交替する。

【仮説2】d顔望〉の

r

",‑,たらし"l,t"Jにおいて、

B タイプ〈達成の自己制御t~ の動認で、

動作主が一人称以外の時、基本形では動 作主の意志は表さず、可能形では動作主 の意志を表す、という違いがある。

【仮説 3】Cタイプの動詞においても、 Bタ イプの動詞の場合と同様のニュアンス の違いが見られる。

2章では、詳しい分析のために、辞典か ら動作主が一人称の場合に基本形と可能形が 交替する動認を抽出した。次に、抽出された 動詞について自己制御性を客観的に判定する

134 LM

'

(2)

ためのテストがないことから、先行研究をも とに自ら作成した。

第3章では、先に抽出した動詞の自己制御 性について判別テストを用いて判定すること で{仮説1】を検証した。

その結果、問題の交替が見られる動詞には、

無条件で交替するものと、副詞的表現が共起 した場合にのみ交替するものがあることが分 かったO このことから、先行研究でも言われ ているように、自己制御性を問題にする場合 は、事態レベルで、の考察が必要で、あると言え る。

さらに、自己制御性の判別テストの結果で は、動作主が一人称で交替現象が見られるほ ぼすべての事態が〈過程の自己制御十1:)を持 つことが分かったO しかし、辞典や先行研究 で示されている〈過程の自己制御d出 の 動 詞 のうち、交替が見られない動詞も多く存在し ていることが分かったo したがって、〈過程の 自己申Ij~卸d出の事態は、基本形と可能形の交 替の必要条件ではあるが、必要十分条件で、は ないということが明らかになった。

第4章では、動作主が一人称以外の場合の 交替現象を分析した。

まず、{仮説2]について、〈達成の自己制 御d出の動詞で動作主が一人称以外の場合に おいて、動作主の意志の有無を表す表現と共 起するか否かをテストすることで検証した。

その結果、動作主が一人称以外の場合、〈達成 の自己制御也の事態においては、基本形で は動作主の意志は表されず、可能形では動作 主の意志が表されるとしづ形で、ニュアンス に大きな違いがあることが明らか

l

こなった。

次に、(過程の自己制御出の事態において も、同様に検証した。そして、動作主が一人

称の場合と同様に、原則的に基本形と可能形 が交替するが、状況によってはく達成の自己 制御d↑空会で、見られるニュアンスの違いが見ら れることが明らかになったO また、動作主が 一人称の場合には交替しなかった動詞も、動 作主が一人称以外の場合は交替することが分 かったO

さらに、動作主が一人称以外の場合に見ら れた基本形と可能形のニュアンスの違いが、

第3章で見た動作主が一人称の場合の交替現 象にも見られるか否かを、「動作主の意志があ まり働かない状況Jと、「動作主の意志が働く 状況」を設定して確認した。その結果、〈過程 の自己制御↑空会の動詞において、動作主が一 人称の場合にも、原則的に基本形と可能形が 交替するが、〈達成の自己制御,

t

i>と同様のニ ュアンスの違いが見られる場合があることが 分かつた。

これらのことから、基本形では動作主の意 志は表されず、可能形では動作主の意志が表 されるという大きなニュアンスの違いがある が、〈過程の自己制御

t

飴の事態では、このよ うな基本形と可能形のニュアンスの違いが弱 まっており、動作主に関係なく基本形と可能 形が原則的に交替することが分かったO

以上の考察から、本研究では、<mi兵器のf........

たらいいjにおいて、基本形と可能形の交替 やその意味には、動作主の意志性(自己制御 性)が関わっていることを明らかにした。

N  今後の課題

今後は、なぜ〈過程の自己制御出が交替 現象に関与するのか、他に要因はないか、そ して、日本語教育にどう生かせるか、をさら に検討する必要がある。

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参照

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