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センター通信

外国語教育研究

金沢大学外国語教育研究センター

年 報

2006年度

Foreign Language Institute

(2)

目 次

巻頭言 1

2006年度事業内容

日誌 2

センター通信記事タイトル一覧 3

企画部紹介 4

活動報告 5

研究会報告 6−7

講演会報告

学士課程の教育システムの改革・改善に関する講演会 8

―4年一貫英語教育カリキュラムを考える―

オーストラリアの大学で学ぶ日本人交換留学生 9

―勉学上の問題点と留学先への順応過程―

総合科目 10

検定試験・検定模擬試験 11

教育研究改革・改善プロジェクト経費事業報告 12

教育改善事業報告 13

e-learning 活動報告・留学支援事業報告 14

その他の事業及び活動報告 15−17

教材紹介 18

スタッフ紹介 19

付録:語学教材利用状況・語学教材[2006年度購入分] 20

(3)

巻 頭 言

大学関係者の間で「27年問題」と言われてきた事柄がある。大学・短大の入学定員と志願者数が一致する、

いわゆる「大学全入時代」の始まりである。実際には志願者数が予想を上回って増加しているために、数字上 の一致は2〜3年後に先送りされそうであるが、事実上の「大学全入時代」は始まっており、えり好みをしな ければ、ほとんどの受験生はどこかの大学に入ることができるという状況に至っている。各大学が受験生の関 心を引きそうな学部・学科の新設、AO 入試の導入、オープンキャンパスの実施などに腐心しているのも、こ の「大学全入時代」への対応策にほかならない。金沢大学の場合、1年後の三学域への再編がその切り札にな るはずだが、果たして思惑どおりになるかどうか、予断を許さない。もっとも、個別試験(前期日程)の実質 的倍率が2.5倍を切る状況なのだから、現状のまま手をこまねいているわけにもいくまい。

ところで、この「大学全入時代」の到来は、大学教育にさまざまな影響を及ぼしている。その最たるものが 学生の学力不足問題である。これは指摘されて久しい問題であり、教養教育の刷新に当たって「補充教育」の 必要性が検討されたのも当然である。ただ、議論が熟さないうちに沙汰やみになってしまった。むろん大学教 育に適応できない学生の存在は無視しえず、新たに「大学社会生活論」や「初学者ゼミ」といった導入科目が 設けられた。この導入科目の新設の背景にもあるのだが、従来、大学教育への不適応は「引きこもり(不登校) 問題と理解されてきた。しかし最近の傾向として、授業はほぼ皆勤、課題も毎回提出、にもかかわらず、信じ がたい試験の点数、こんな学生が増えているように感じるのは私だけであろうか。こうした学生の成績評価が 悩ましい。出席を含む平常点の比率を高くすれば合格させられるのだが、一方、例えば「中国語 A」の場合、

「中国語検定試験4級レベル」という到達目標を掲げている。したがって外部から見れば、「中国語 A」の単位 修得者は「中国語検定試験4級」に合格できる者と理解されるであろう。つまり単位認定は、とりわけ外国語 教育の場合、一定レベルの知識・技能の質保証という社会的責任を伴う行為なのである。気弱な私にとって、

成績報告の時期はつらい。報告締切の夜中まであれこれ思い迷った挙句に、ゴメンとつぶやきながら記入する のである。「大学全入時代」の影響が顕著になれば、私の悩みはさらに深くなるであろう。

一方に成績不振学生の増加が予想され、一方に「厳格な成績評価」の実施を求められているという現実があ る。このような状況における成績評価について、大学としての指針があってしかるべきではないか。当然なが ら「金大卒の学士」にふさわしいレベルが存在する以上、問題はそのレベルをどこに設定するかである。いま のところ、このレベル設定は個々の教員に委ねられているようである。むろん「S:90%以上の達成度」など の標準的評価基準は存在するけれども、何をもって「90%以上の達成度」とするかは教員の裁量である。これ で「厳格な成績評価」を実施していると認められるかどうか疑問である。

いずれ「厳格な成績評価」について、より厳密な評価基準の明示が求められるであろう。その際、外国語教 育に関する成績評価については、本センターに検討が要請されるに違いない。というよりも、すでに検討を始 めていなければならない問題なのだが、「大学全入時代」の成績評価に関する本学の指針が示されないかぎり、

検討すべき方向性さえ決められないのである。全学的に GPA 制度が導入されると予想されるけれども、その 運用方法については皆目わからない。こうした問題を検討する組織はどこかと考え、教育企画会議の学士課程 部会だろうと思いながら、そのメンバーの一人が自分であることに気づき、意気消沈してしまった。

さて「27年問題」といえば、ふつう団塊の世代の定年退職に伴う諸問題をさす。本学の定年は65歳だから、

問題は5年後のことかもしれない。しかし、本センターでは今年度、三人の先生とお別れすることになった。

桑野英正先生、三盃隆一先生、合澤賢先生である。先生方はみな30年から40年の長きに亙って本学の外国語教 育に尽力してくださった。ここに衷心からの敬意と謝意を捧げたい。

「大学全入時代」と成績評価

センター長

(4)

2 0 0 6年度事業内容

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2006年

5月27日 第1回 CollegeTOEIC

6月13日 フランス語検定模擬試験 4級 4日 フランス語検定模擬試験 5級 5日 フランス語検定模擬試験 3級 5日 第59回中国語検定試験

7日 研究会「ヨーロッパ言語共通参照枠(CERF)と外国語教育カリキュラム開発」

7月3日 ランチョンセミナー・外国語ウィーク『ドイツ語の魅力と学び方』

4日 ランチョンセミナー・外国語ウィーク『ラテン語の魅力と学び方』

5日 ランチョンセミナー・外国語ウィーク『英語

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を履修しませんか』

6日 ランチョンセミナー・外国語ウィーク『中国語の魅力と学び方』

7日 ランチョンセミナー・外国語ウィーク『フランス語の魅力と学び方』

8日 第2回 CollegeTOEIC 5日 第1回 TOEFL−ITP 9月8日 第2回 TOEFL−ITP

9日 講演会『4年一貫英語教育カリキュラムを考える』(全学カリキュラム WG と共催)

0月24日 研究会「デジタル音声教材の利用について」

8日 第3回 CollegeTOEIC

1月15日 「映画と異文化理解」シネマ・ウィーク①『故郷(ふるさと)の香り』

フランス語検定模擬試験 3級 6日 フランス語検定模擬試験 4級 7日 フランス語検定模擬試験 5級

「映画と異文化理解」シネマ・ウィーク②『バッハ ロ短調ミサ』

0日 「映画と異文化理解」シネマ・ウィーク③『クジラの島の少女』

2日 「映画と異文化理解」シネマ・ウィーク④『コーラス』

3日 ドイツ語検定試験 6日 第60回中国語検定試験

8日 研究会「e-Learning 教育学会の紹介と報告」

2月9日 第4回 CollegeTOEIC

9日 研究会「必携 PC を使った CALL 授業について」

5日 講演会「オーストラリアの大学で学ぶ日本人交換留学生─勉学上の問題点と留学先 への順応過程─」

2007年

1月23日 研究会「TOEFL iBT について─留学に向けた英語学力養成への対策─」

2月19日 第5回 CollegeTOEIC 3月25日 第61回中国語検定試験

1日 『言語文化論叢』第11号発行 1日 『センター通信26年度年報』発行

(5)

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記事タイトル一覧

No.1 8(2 6/5/1)

第59回中国語検定試験のお知らせ

No.1 9(2 6/5/1 0)

フランス語検定(5、4、3級)模擬試験のお知らせ

No.1 0(2 6/5/2 2)

College TOEIC のお知らせ

No.1 1(2 6/6/1 6)

College TOEIC のお知らせ

No.1 2(2 6/6/2 6)

TOEFL−ITP のお知らせ

No.1 3(2 6/6/3 0)

ランチョンセミナー・外国語ウィークのお知らせ

No.1 4(2 6/7/2 4)

語学検定試験のご案内

No.1 5(2 6/7/2 8)

TOEFL−ITP のお知らせ

No.1 6(2 6/1 0/3)

フランス語検定(5、4、3級)模擬試験のお知らせ

No.1 7(2 6/1 0/4)

第60回中国語検定試験のお知らせ

No.1 8(2 6/1 0/1 0)

ドイツ語検定試験のお知らせ

No.1 9(2 6/1 0/1 1)

College TOEIC のお知らせ

No.1 0(2 6/1 1/1 0)

「映画と異文化理解」シネマ・ウィークのお知らせ

No.1 1(2 6/1 1/2 7)

College TOEIC のお知らせ

No.1 2(2 7/1/1 8)

第61回中国語検定試験のお知らせ

No.1 3(2 7/1/2 9)

College TOEIC のお知らせ

(6)

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外国語教育研究センターでは、今年度から、センターの諸事業を5つの企画部で実施する体制に改めまし た。この組織改革は、センターの若手教員で構成される「将来構想検討委員会」の提言を受けて実現したも のです。そうした経緯をふまえて言えば、この組織改革は、センターが従来の事業を継承するだけでなく、

将来の外国語教育・研究に向けた事業を展開するという ひそかな宣言 でもあるのです。実際、各企画部 の今年度の活動実績を見ると、外国語教育関連の論集の発行など、従来の懸案事を解決したのみならず、非 常勤講師に対する積極的なサポートなど、新たな事業の展開も始まっています。 ひそかな宣言 堂々た

る宣言 に変わる日も近いと確信しています。 (矢淵孝良記)

教員会議

センターの管理・運営等に 関する審議

教育開発企画部

外国語教育の企画・運営・点検 異文化理解教育の企画・運営・

点検

広報・社会貢献企画部

ホームページ等の広報活動 公開講座等の社会貢献事業の企

企画委員会

教員会議の議題決定 企画部間の連絡・調整

研究開発企画部

研究誌の企画・刊行

教育研究プロジェクトの企画

学習支援企画部

教材貸出・語学相談室等の企画 e-Learning の企画・運営

FD 企画部

授業改善の企画

センター事業の点検・評価

組織図

(7)

教育育開開発発企企画画部部

部員:渡邊明敏 澤田茂保 大藪加奈 數見由紀子 結城正美 菊池悦朗 三上純子 橋本弘樹 趙菁

本年度の事業の主なものとしては、四年一貫カリキュラム構想関係の視察・調査、授業改善・教材作成及び 購入支援、留学希望者向け授業の充実対策、新カリキュラム実施点検・調査、総合科目企画・調査などを実施 いたしました。予算の使途としては、備品・書籍等の購入に限らず、学生アルバイトの雇用により活動内容の

多様化、作業の円滑化を図りました。 (渡邊明敏記)

研究究開開発発企企画画部部

部員:三盃隆一 大藪加奈 西嶋愉一 結城正美 合澤賢 李慶 杉村安幾子

センター教員の語学教育研究およびその他の各専門分野の研究開発を目的として、紀要(『言語文化論叢』『外 国語教育論集』)の発行、研究成果発表支援、学会・研修への参加支援、講演会・研究会開催を行った。特記 すべき事項としては、今年度よりの新事業であり、外国語教育に特化した紀要の『外国語教育論集』があげら

れる。 (大藪加奈記)

F

FDD 企企画画部部

部員:澤田茂保 小林恵美子 橋本弘樹 矢淵孝良

FD 企画部会の活動は、「授業改善に関する活動」「教員研修に関する活動」、及び「点検評価に関する活動」

の三つの柱からなります。今年度は、授業の相互参観の体制作りや授業実践報告書の作成、教員研修の案内や 教育関係学会への入会・参加、またセンターの各企画部会の事業についての報告書作成などに取り組みました。

(澤田茂保記)

学習習支支援援企企画画部部

部員:桑野英正 西嶋愉一 スティーブン・フランシオン 小林恵美子 菊池悦朗 金子靖孝 杉村安幾子

語学教材の購入及び貸出し、今年度は一回だったが異文化理解としてのシネマウイークの開催、各言語外部 試験の実施(TOEFL-ITP2回、College-Toeic5回、中国語検定試験3回、フランス語検定試験2回、ドイツ 語検定試験1回)、TOEFL-iBT の概要説明、1年生用に英語学習ハンドブックと2年生以上を対象とした英 語!及び英語"授業案内・初習言語ハンドブックの刊行、e-Learning の企画・運営を行った。 (金子靖孝記)

広報報・・社社会会貢貢献献企企画画部部

部員:渡邊明敏 數見由紀子 三上純子 ベアトリス・ルロワイエ 矢淵孝良 趙菁

主な広報活動としては、ホームページのリニューアルと運営、センター年報の発行、センター通信(ペーパ ー版・web 版・メール版)の発行、大学ホームページ e-Acanthus への投稿等を行った。また社会貢献活動と しては、26年度の公開講座を実施し、27年度の公開講座を企画立案した。 (三上純子記)

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(8)

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ヨーロッパ言語共通参照枠(CEF)と外国語教育カリキュラム開発

(2 6年6月2 7日)

本研究会では、言語教育のガイドラインとして注 目されているヨーロッパ言語共通参照枠(CEF : Common European Framework of Reference for Languages)の内容、運用状況、日本での適用につ いて報告をおこなった後、CEF の共通参照レベル を参考にした金沢大学での英語到達度記述表の作成 について検討した。

CEF は、ヨーロッパの多文化・多言語世界にお いて異文化理解を深める言語教育を促進するものと して、ヨーロッパ内外で関心を集めている。なかで も、「〜することができる」という Can-do 方式で 記述されている CEF の共通参照レベルは、学習者 の言語能力把握と自律的学習を促すものとして、日 本の教育界でも取り入れる動きが強まっている。し

かし、複言語主義の ヨーロッパで発達し た CEF が、英 語 モ ノ リンガル主義的傾向 のある日本でどれほ どの効果をもつのか、

疑問視する向きもあ る。CEF は明快なヴ ィジョンのもとで制 定されているが、日 本での適用を考える

場合には、まず「何のための外国語教育なのか」と いう原点に立って議論を重ねる必要がある。

(結城正美記)

カセット・テープやデスク・メディアから完全な デジタル音声の教育応用に関して議論しました。カ セット・テープのダビング切り貼りでは、音声も劣 化するし手間がかかりました。CD/MD などによる チマチマ加工では一つ作るだけでうんざりで、長続 きしません。パソコンでは、ずっと手軽にリスニン グテストが作成できます。

実践例として、教科書付属の CD の一部をカッ ト・アンド・ペーストして、授業で使うリスニング 小テスト問題を作成し、加工・作成した自前リスニ ング小テストを Podcasting で配布する一連の手続 きを実演しました。Podcasting で音声教材を配布 すれば、さまざまな方向で授業の改善が可能になり

ます。最後に、音声教材配布に関する著作権法上の 注意事項に触れました。 (澤田茂保記)

今回の研究会では、語学教員を主たる対象として 設立された e-Learning 教育学会の第3回大会(2

年10月21日 開 催、http : //www.mle.cmc.osaka-u.ac.

jp/WELL/)についての報告を行った。この学会は、

デジタル音声教材の利用について

西

(2 6年1 0月2 4日)

e-Learning 教育学会の紹介と報告

(大学教育開発・支援センター)(26年11月28日)

(9)

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大阪大学サイバーメディアセンターマルチメディア 言語教育研究部門を中心に、昨年設立されたもので あり、CALL(Computer Assisted Language Learn- ing)授業を中心とする e-Learning 教育実践事例に ついての研究および情報交換の場となっている。専 門英語を学ぶ ESP(English for Specific Purposes)

の手法を取り入れた「大阪大学大学院工学研究科を 対象とした「工学英語」について」を初めとした CALL 活用語学教育実践例をいくつか紹介するとと もに、語学教育向けに用意された WEB 対応授業支 援システム WebOCM(http : //www.mle.cmc.osaka- u.ac.jp/webocmhome/)や、文部科学省学術ネット

ワーク上の拠点を形 成する七つの大学の 語学担当教員を中心 に活動している外国 語 CU プ ロ ジ ェ ク ト

(http : //www.he.to- hoku.ac.jp/sugiura/

cu̲project/)に つ い ても簡単に紹介させ ていただいた。

今年度から工学部で導入した CALL 授業の担当 者などで授業の反省や今後の改善点などについて議 論しました。今年度より PC 必携となったことから 総合教育棟北棟 F10教室を利用して、工学部学生を 対象に必携 PC を利用した CALL 授業を行ってい ます。Net Academy を共通的な教材にして、ネッ トワークを使っての英語学習への導入と位置づけて いますが、前期に担当された先生からは、F10教室 の施設上の改善希望、Net Academy の使いにくさ など、たくさんの問題点が指摘されています。後期

の授業担当者によって、

事前に二回の公開授業 を行ってから、研究会 で来年度に向けた課題 などについて議論しま した。

(澤田茂保記)

本学が教育・研究環境のさらなる国際化を目指す うえで、交流協定校により多くの学生を派遣するた めの独自のメソッドを考案することは、関係部局に とって急務であると言える。そのため留学生センタ ーでは、昨年度に引き続き学長裁量経費を受け、本 学学生の TOEFL 受験を支援するためのプロジェク トとして、数々の企画提案を行っている。

第5回研究会では、まず、このプロジェクトの一 部として発表者自身が TOEFL-iBT を受験した際の 体験談を報告した。また、受験後受け取ったスコア レポートには、発表者の英語力についての詳細な分 析結果がセクションごとに記されていたが、今回の 研究会では、これについても紹介した。

留学に必要とされる英語力はどのようなものか。

また、それを本学学生 に習得させるためには、

教員側の指導がどうあ るべきか。この研究会 が、このような点につ いての認識を高めるき っかけになれたとした ら幸いだ。

(斉木麻利子記)

必携 PC を使った CALL 授業について

(2 6年1 2月1 9日)

TOEFL-iBT について―留学に向けた英語学力養成への対策

麻利子(留学生センター)

(2 7年1月2 3日)

(10)

本センターでは、9月29日、学域再編に関わる全学 カリキュラム・ワーキンググループと共催で、立教大 学から二人の講師をお招きし、「4年一貫英語教育を 考える」と題した講演会を開催した。

まず白石先生が、立教大学経営学部における4年一 貫英語教育の理念についてお話された。経営学部は、

6年4月に開設された新しい学部であり、「21世紀 のグローバル社会で活躍できる新しいビジネスリー ダー」を育成することを目的としている。同学部のリ ーダー育成教育の中心に、コミュニケーション言語 としての英語力を学生につけさせることがある。 こで、グローバルな視野を持ったリーダーにふさわ しい実践的英語力を向上させるために、アカデミッ ク英語科目を充実させる、専門科目の3分の2も英語 で行う、英語運用能力を高めるプロジェクト型授業 を行う、学生を国内外のインターンシップへ派遣す るなどの英語を重視したカリキュラムを構築してい る。また、教育分野でのイノベーションを目指すこと も同経営学部の理念のひとつであり、学生全員と教 員が同学部の教育方針や理念を共有できるようなキ ャンプやランチ・ミーティング、勉強会やプロジェク ト報告会も取り入れている。

白石先生は、「全カリ」として有名な立教大学全学 共通カリキュラムを中心的に推進してこられた方で もあるので、「全カリ」の問題点のひとつであった、 学共通科目と学部専門科目の有機的連結に特に力を 入れて経営学部の英語教育カリキュラムを作られた、

ということであった。そのようなお考えから生まれ 「多層的英語イマージョン教育」については、松本 先生から更に詳しいお話があった。このように、学部 長みずからが共通教育課程と専門教育課程の英語教 育の有機的つながりに強い関心を持っていらっしゃ ることが、立教大学の4年一貫英語教育の強みであろ う。白石先生のお話の中で、立教経営学部の教育方針 として、教員経験の長い教授は学部生や低学年を教 え、最近博士号を取得したような若手教員は大学院

や高学年を教えるようにしている、というところも 印象深かった。

次に、立教大学経営学部の松本茂教授に、実際の4 年一貫英語教育カリキュラムについてお話いただい た。経営学部の英語教育では、一年生は週4回の「全カ リ」英語に加えて、経営学部のアカデミック英語科目 と夏休みを利用した全員参加のアカデミック英語の 海外研修を受ける。二年次にはやはり「全カリ」の英 語科目に加えてアカデミック英語2科目と希望者が 参加する海外リーダーシップ研修があり、後期より 専門課程の科目として、専門教員と英語教員がペア でおこなう英語専門科目4科目と専門英語の授業が 始まる。三年次には、専門教員が平易な英語でおこな う英語の授業、四年次には専門教員が本格的な英語 でおこなう専門科目が配置されており、段階的に英 語力を高めながら専門の授業を英語で受けられる構 造になっている。

松本先生のお話で印象深かったのは、「共通教育と 専門教育」「英語教員と専門教員」といった分業的な 関係では専門教育と英語教育が有機的なつながりを 持ったカリキュラムは構築できない、ということだ った。同学部では設立前より英語教員と専門教員が 理念を共有し、何度も議論する機会を持ち協働して カリキュラムを構築し、運営している。学域を再編し、

新たなカリキュラムを構築しようとしている金沢大 学にとって、参考にできることが多い講演だった。

(大藪加奈記)

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学士課程の教育システムの改革・改善に関する講演会

―4年一貫英語教育カリキュラムを考える―

(立教大学経営学部・学部長)

(立教大学経営学部教授)

(11)

日本社会の国際化、グローバリゼーションが求め られる中で、金沢大学も留学生教育に力を注いでき た。しかしながら、海外からの留学生受け入れに関 してかなりの実績が積み重ねられてきた一方、海外 の大学へ学生を送り出す取り組み、実績に関しては 大きく後れを取っていると言わざるを得ない。そこ で今回オーストラリア・モナッシュ大学にて外国語 としての日本語を教えつつ、日本人留学生の留学先 での適応過程について優れた研究をされた根本浩行 先生をお招きし、日本人留学生の抱える諸問題につ いて講演していただいた。博士論文に基づき個人面 接などの具体的事例の紹介を中心にわかり易く有益 なお話をしていただいた。

日本人留学生が海外の大学で勉強する場合、学生 として求められる事柄に関して基準に達しないこと が多々生ずるが、そのような場合どのような行動を とったらうまく対処することが出来るか、どのよう な仕方ではうまくいかないか、という点について 様々な具体例の説明があった。提出物や発表に関し て自分の不十分な点に自覚を持ち友人や指導教官の 助言・指導を容れて何とか改善しようという意欲を 持つことの重要性が強調された。また、他の科目で 習ったこと、さらには日本の大学で習得した知識を 利用することも有効な方法であるとの指摘があった。

語学の学習一般においてのみならず、海外での留学 においてもこのような積極的な姿勢が成功の鍵であ る、と改めて納得させられた。

逆に、課題として何が求められているかが十分把

握できず、適切な対処が出来ない事例も報告された。

これは外国の大学におけるアカデミック・ライティ ングの約束事に関する知識の不足に由来すると思わ れる。また、留学への動機付けが十分高くないと、

基準から逸脱してもそのまま放置し、最低基準の成 果で満足してしまう態度が見られるとのことであっ た。あるいは、引用のルールを守らぬことを重大な 逸脱行為と考えず、「剽窃」行為を犯す例も紹介さ れた。これは日本の大学における悪しき習慣をその まま外国の大学に持ち込んでしまったことが原因で あるが、専門教育のみならず、共通教育においても 最低限守るべきルールを教える必要性を痛感させら れた。

講演終了後の質問時間には、留学に関心を持つ多 くの学生から様々な質問が出され、講演者から丁寧 な回答があった。教職員からも留学生を送り出す立 場から、教育・手続き面での質問が出された。学生 の留学を促進する趣旨の講演会であったが、越える べきハードルの高さを認識させられたというのが実 感である。とりあえず TOEFL の点を高くする必要

がある。 (渡邊明敏記)

オーストラリアの大学で学ぶ日本人交換留学生

―勉学上の問題点と留学先への順応過程―

(モナッシュ大学名誉研究員)

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異文化理解とコミュニケーション

今年度、本センターが中心となって実施した総合 科目(後期・木曜5限)の講義内容と担当者は以下

のとおり。所属を記してないのはすべてセンターの 教員である。

第1回 ガイダンス 矢淵孝良

第2回 異文化コミュニケーション概論 矢淵孝良

第3回 自然という異文化 結城正美

第4回 異文化理解と異文化誤解 鶴園 裕(経済学部)

第5回 インド異文化体験記 岩(文学部)

第6回 アイスランドの言語と文化 金子靖孝

第7回 異文化とのビジネス 首藤 薫(日本 IBM)・西嶋愉一 第8回 アーミッシュのライフスタイルから現代を考える 大藪千穂(岐阜大学)

第9回 異文化コミュニケーション論から見た相槌表現 ルチラ=パリハワタナ(留学生センター)

第10回 異文化適応 小林恵美子

第11回 ボローニア・プロセス化―ヨーロッパにおける高等教育の統一 大藪加奈

第12回 フランスのコミュニケーション文化 三上純子

第13回 中国人とメンツ・試験に関する説明 矢淵孝良

第14回 試験 学内講師

今年度の履修登録者は10名(昨年度は17名) 放棄は11名(同14名)。この数字だけ見れば、今年 度の受講生は比較的まじめであったように思われる かもしれないが、実態は必ずしもそうとは言えない。

ほとんど出席していないにもかかわらず試験だけ受 けたという受講生が少なくなかったのである。その 結果、当然ながら「不可」と評価されるものが倍増 した(昨年度の7名に対して今年度は13名)。一方、

「S」という評価は2名にすぎず、試験結果から見 れば、受講生のレベルの低下は否定しがたい。私自 身の出題した問題に即していえば、「ステレオタイ プ」と「偏見」の相違を理解していない答案が散見 された。また、事前に文献の引用について注意した ためか、参考文献を挙げるものは増加したものの、

「授業で配付されたプリント」とだけあるのには思 わず笑ってしまった。さらに授業のレジュメに挙げ た参考文献を(到底読んだとは思えないのに)その まま引いている例もあった。共通教育改革の目玉の 一つ「初学者ゼミ」で論文やレポートの書き方を学 習すると聞き及んでいたから、若干の期待をもって 採点に臨んだのだが、みごとに裏切られた。

その試験であるが、例年のごとく大藪千穂先生の 設問を選択した受講生が多かった。昨年度の本報告

では、その主たる理由を「問題提示後の授業であっ た」ことに求めたけれども、どうやらそれは訂正し なければならないようだ。今年度は状況が違ったに もかかわらず、受験した19名のうち、12名(72%、

試験は12問中2問選択なので答案総数に占める割合 は36%)が千穂先生の設問を選択したのである(昨 年度は64%)。これはやはり千穂先生の授業の魅力 そのものに由来する現象と言わざるを得ない。私も 聴講させていただいたことがあるが、テンポのよい 語り口、現地で購入した工芸品の提示など、受講生 の気をそらさない講義に感嘆しきりであった。毎年 のアンケートで、受講生がこぞって「印象に残った 講義」に挙げるのも うべなるかな である。いわ ゆる話芸は、大学の授業では枝葉末節のことと考え られがちである。しかし、それは口下手な大学人の 弁解にすぎないであろう。話芸を磨く努力を怠って はならないと、自戒をこめて痛切にそう思う。

今年度の授業は14回であったが、これは講師への 連絡が徹底せず、1回の休講を余儀なくされたため である。その休講分については、本来「総論・補足」

を予定していた時間に矢淵が授業をした。なお、ア ンケートに示された授業に対する要望等については、

ほぼ昨年度と同じであるから割愛する。

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【TOEIC・TOEFL】

6年度は、College TOEIC を5回、TOEFL-ITP を2回、そして、新たに公開 TOEIC を7回実施し た。これは、金沢大学生協が TOEIC の賛助会員に 入会したことにより実現したもので、公開 TOEIC の申込を生協組合員価格で受けられる(一般価格よ り65円引きの6,0円、但し、申込〆切が一般より 1日早い)という利点に加えて、在校生限定で本大 学の教室(総合教育棟と教育学部棟)を会場として 受験できるという、金大生には、願ったりかなった りの制度が確立した。事実、受験者総数も1,8名 と昨年度より格段とアップした(79名増)。特に自 然研での受験者数が多く、大学院進学のためのスコ ア取得の必要性が明確になったと考えられる。

公開 TOEIC の問題形式については、国際的な環 境におけるコミュニケーション能力向上を念頭に、

6年5月実施の公開テストから、 More Authen- tic(より実際的な) を基本コンセプトとし、より 現実に即した状況や設定がテスト内容に反映された。

主な変更点としては、(1)問題文の一部長文化、(2)

リーディングセクションでの誤文訂正問題の削除、

(3)リスニングセクションでの発音のバラエティ の増加(米国・英国・カナダ・オーストラリア・ニ ュージーランド)が挙げられる。

6年度の公開 TOEIC、College TOEIC、TOEFL -ITP の受験者数、最高点、平均点については下記 の通りである。平均点については、昨年度より少し 下がっている感が否めないが、最高点(95点)は 金大留学生、そして、日本人学生の最高点は85点 と、非常に高い英語力を持った学生の受験傾向が見

られる。 (小林恵美子記)

公開 TOEIC

College TOEIC

TOEFL-ITP

【ドイツ語検定試験】

6年度のドイツ語検定試験(独検)が11月23日

(祝日)に本学の総合教育棟で行われた。秋季は1 級〜4級の試験があり、実数で84名、延数で91名の 出願者のうち84名が受験した。各級の受験者数は以 下の通り。1級:3名 2級:15名 3級:22名 4級:44名。なお、毎年6月下旬の日曜日に行われ る春の独検は3級と4級のみで、北陸3県では金沢 星稜大学が、11月23日の祝日に行われる秋季は本学 の総合教育棟が会場になる。 (菊池悦朗記)

【中国語検定試験】

6年度も中国語検定試験を日本中国語検定協会 の実施に合わせて三回行なった。各回の級別受験者 数は以下の通り。括弧内は合格者数である。

中国語検定試験実施における今年度最大のトピッ クは、準1級の合格者が出たことである。これまで 準1級は、その難度の高さゆえに挑戦者こそ毎年い るものの、合格者を出せずにいた。無論、検定試験 の結果のみで中国語のレベルが決まるものではない し、合否に一喜一憂する必要はないのだが、努力の 末に挑戦し、合格した時の喜びは何にも換え難いも のであろう。合格して「更に上級を目指そう」と喜 び、不合格でも「次回こそは!」と奮起する。検定 試験には、学習のペースメーカーとしての機能以外 に、こうした受験者の学習意欲昂進の利点がある。

重要なのは結果ではなく、結果への努力の過程で ある。中国語の力を更に伸ばさんと努める学生のた めにも、今後も事業の一環として中国語検定試験実 施に取り組んでいきたい。 (杉村安幾子記)

【フランス語検定模擬試験】

6年度も、実用フランス語技能検定試験の日程 に合わせて、春は6月13、14、15日、秋は11月15、

6、17日に、3・4・5級の模擬試験を実施した。

受験者は3級7名、4級14名、5級3名であった。

仏検受験者の方は、延べ45名程度であった。今年 度から、3級と2級の間に準2級が新設されたので、

3級合格後の学習者は、難易度に差のある2級を目 指してより段階的に仏検に取り組めるようになった。

これを機に、卒業までフランス語を継続的に学ぶ学 生が増えることを期待している。 (三上純子記)

実施日 受験者数 最高点 平均点 5月28日 第12回 6. 6月25日 第13回 2. 7月23日 第14回 4. 9月24日 第15回 2. 0月22日 第16回 0. 1月26日 第17回 9. 1月14日 第18回 5.

実施日 受験者数 最高点 平均点 5月27日 第1回 8. 7月8日 第2回 6. 0月28日 第3回 0. 2月9日 第4回 7. 2月19日 第5回 3.

実施日 受験者数 最高点 平均点 7月15日 第1回 1. 9月8日 第2回 5.

第58回

(3/2 6)

第59回

(6/2 5)

第60回

(1 1/2 6)

合計 準1級 1(0) 2(0) 1(1) 4(1)

2級 3(0) 3(2) 5(1) 11(3)

3級 2(1) 2(1) 3(3) 7(5)

4級 5(3) 2(2) 3(2) (7)

準4級 8(6) 8(6)

合計 (4) 9(5) (13) (22)

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参照

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