水酸化第二鉄へのCu2+イオンの吸着
樋 口 敏 三* 近 藤 良 夫**
(略和60年9月13日受理)
Adsorption of Cu2 lon on Ferric Hydroxide
Binzo HIGucHr Yoshio KoNDo
(Received September 13 1985)
The ferric hydroxide precipitate produced from ferrous sulfate solution by air oxidation under the conditlons of pH 5. 0 and 350C was a−FeOOH or a mixture of ct−FeOOH and amorphous Fe(OH)3. I he pH of iep of ferric hydroxide was 6.7 and the sign of zeta potential in weakly acidic solutiou was positive. [he pH of pzc was 5. 83.
The relationship between 一FeOH and 一FeOH2+ type surface sites of ferric hydroxide can be written as
Kl
−FeOH十正[十二ご一FeOH2十
and the adsorption rcaction between Cu2+ ion and ferric hydroxide is written as
K2
−FeOH2+十Cu2+十H20=一FeOH・CuOH+十2H+.
[he obtained equilibrium constant was 6.91×104 mol−1 dm3 for Kl and 8.93×10m7 mol dm 3 for K2, res−
pectively.
1.緒
言
水酸化第二鉄は水溶液中において種種の物質を吸着する ことが知られており,この現象は例えば,(1)ピ素の分離
および濃縮,あるいは(2)水溶液中のCd2+, Pb2+あるいは Cu2+イオン等の有害重金属イオンの吸着除去のような種種の問題に関連して重要である。
したがって,このような吸着に関しての研究は従来より
数多く行なわれており,.ニりわけ吸着現象を取扱う上で最も基本となる酸化物コロイド粒子の界面化学的特性値であ
る零電荷点および等電点に関する集録(1),(2)も近年報告さ れている。もちろん,水酸化第二鉄コmイド粒子に関しても次のような報告が行なわれている。例えば田村等(3)は NaNO3系でamor. Fe(OH)3の電位差滴定を行ない,その pzcのpH値が6.9であり,一FeO一および一一FeOH2+の形で 表される水酸化第二鉄沈澱の表面基の存在量がFreundlich
の吸着等温式で示されることを報告している。また,*金属工学科
**京都大学工学部
A.Breeuwsma等(4)はα一Fe203のpH(pzc)力姻03一系の場合
には6.5,C1一系の場合には8.5またSO42一系の場合には9・6 であることを報告し,さらに沈殿粒子の表面電荷密度と液
のpH値との関係についても検討を行なっている。さらに J.A. Davis等(5)もNaNO3系でFe203・H20(am.)の電位差滴定を行ない,そのpH(pzc)が7.9であることを報告し,また 沈殿表面の電気化学二重層を考慮したsite b玉nding model を仮定することにより,沈殿粒子の表面電荷密度,表面基
濃度あるいは沈殿へのH+イオン等の吸着の平衡定数を求 めている。一一方,水酸化第二鉄への重金属イオンの吸着に関して
も多くの報告が行なわれており,またその吸着機構に関しても種種検討されている。例えば田村等(3)はamor. Fe
(OH)3へのZn2+イオンの吸着の実験をNO3一系で行ない,
一FeO耳2+という形の表面基のH+イオンと液相内のZn2+
イオンとの交換反応により吸着が起こると仮定し,実験結
果を説明している。D. G. Kinniburgh等(6)は生成条件より amor. Fe(OH)3と考えられるFe gelへのCu2+およびZn2+イ オンの吸着実験をNO3一系で行ない,得られた実験結果を幾つかの部分に分け,それぞれの部分にFreUndlichの吸着
等温式を適用して実験結果を説明している。また,EA.Forbes等(7)はNO3一系でα一FeOOHへのCu2+, Pb2+あるい
はZn2÷イオン等の吸着実験を行ない,吸着が表面基のH+
イオンと液相内の重金属イオンとの交換反応により起こる とし,沈殿表面の電気化学ポテンシャルを考慮したモデル
を用いて実験結果を説明している。さらに,J. A. Davis等(8)はFe203. H20(am.)へのCu2+およびAg+イオンの吸着実
験を行ない,site binding modelを用いて実験結果を説明
している。
さらに,微酸性あるいは中性水溶液中においてFe2+イオ ンの空気酸化反応を行なうと,その反応生成物である水酸
化第二鉄沈殿に液相内のFe2+イオンあるいは触媒として 添加したCu2+イオンが啄着して,その酸化反応速度に著しい影響を及ぼし得ることが報告されている(9)、(11)。
しかし,このような酸化条件で生成した水酸化第二鉄沈.
殿への重金属イオンの吸着に関する研究あるいは吸着現象 を考える上での基本となる界面化学的特性値に関する研究 は報告されていない。
そこで,本研究においては水溶液のpH値が5. 0,温度が
35。Cの酸化条件で硫酸第一鉄を空気酸化することにより生成した水酸化第二鉄沈殿を用いて,まずその沈殿粒子の ζ電位を測定することにより,その帯電状態を知り,次に その沈殿の電位差滴定を行なうことにより,水酸化第二鉄
沈殿の表面基状態を調べ,さらに水酸化第二鉄沈殿への Cu2+イオンの吸着実験を行ない,その吸着挙動について 検:討を加えることとした。2.実験装置および方法
さらに上記のようにして作製した水酸化第二鉄沈殿を乾 燥後,乳鉢を用いて十分に粉砕したものの比表面積を(株)
島津製作所製マイクmメリティックス比表面積細孔分布解 析装置2100−D形を用いて測定することにより,比表面積 として142±4皿2/gの値を得た。
2.2ζ電位の測定
2.1のようにして作製した水酸化第二鉄沈殿の所定量を 含んだ水溶液のpH値をまず所定値に調整した。次に(株)
島津製作所製マイクロメリティックス粒子輸送式電気泳動 解析装置1202−02形を用いて水酸化第二鉄沈殿を含んだ水
溶液を満たした泳動セルの電極間に所定時間電圧をかけた。さらに出面セル内の水酸化第二鉄沈殿濃度の変化量を
測定し,その変化量より任意のpH値における水酸化第二鉄沈殿粒子のζ電位を算出した。
2.3 滴定曲線の作成
水酸化第二鉄沈殿を含んだ水溶液の滴定実験に用いた装
置の概略をFig.1に示す。︑N2A B
C D
B 一
E
l
へ膚
一 o
起薩コO
ooo Ooe・票
三口1驚…三二
L J 互
K@
2.1水酸化第二鉄沈殿の作成
試料として用いた水酸化第二鉄沈殿は次のようにして作
製した。まず所定量の試薬特級FeSO4・7H20を蒸留水に溶解した 後,所定濃度のNaOH水溶液を添加することにより水溶液
のpH値を5.0,また温度を350Cの一定値に調整した。次に この水溶液中に空気を吹き込むことにより空気酸化を行な い,試料として用いた水酸化第二鉄沈殿を作製した。しか し酸化反応の進行に伴い水溶液のpH値が低下するため,
pHメータに接続したpHスタットより所定濃度のNaOH水
溶液を水溶液中に添加することにより液のpH値を終始5.0 の一定値に保った。
またこのような酸化条件で生成した水酸化第二鉄沈殿の
乾燥したもののX線粉末回折を行なうことにより,その生 成物がα一FeOOHであることが同定されたので,生成した水酸化第二鉄沈殿はα一FeOOHあるいはα一FeOOHと非晶質
のFe203 ・ nH20との混在物と考えられる。Fig.1 Experimental arrangement
(A)gas cylinder, (B)valve, (C)rnanometer,
(C)capil]ary flowmeter, (E)humidifier,
(F)thermometer, (G)nozzle, (H)capillary,
(1)combined glass electrode, (J)reaction vessel,
(K)stirrer, (L)thermostat, (M)refiux condenser,
(N)pH meter, (O)pH−stat
滴定実験は次のようにして行なった。
まず蒸留永と所定量の水酸化第二鉄沈殿水溶液,さらに
試料水溶液中のSO42一イオン濃度が0.10mol dm−3となるよ
うに試薬特級のNa2SO4を反応槽(J)内に入れ,次にマグ
ネチック・スターラ(K)を回転させながら水溶液中に溶解
しているCO2ガスを除去するためにN2ガスを十分通気した。試料水溶液の温度が35。Cの一定値を保持し,またその
pH値も一定値で安定していることを確認した後にそのpH値を測定した。その後,別に濃度標定を行なったH2SO4水
溶液をpHスタット(0)のキャピラリより試料水溶液中に 添加することにより試料水溶液のpH値を所定の値に調整した。約30分由ないし1時間,H2SO4水溶液を添加する・こ
となく試料水溶液のpH値が所定値を保っていることを確
認したのち,H2SO4水溶液の添加量を測定した。
2.4吸着 実験
Fig.1に概略を示した2.3の実験に用いた装置をCu2+イ オンの吸着実験においても用いた。
吸着実験は次のようにして行なった。まず所定量の蒸留
水と水酸化第二鉄沈殿水溶液,さらに所定量の試薬特級Na2SO4を反応槽内に入れ,次にマグネチック,スターラで
掩拝している試料水溶液中にN2ガスを送臆した。試料水溶液の温度が一定値で安定していることを確認した後に,
pH値を所定値に調整した。
このようにして調整した試料水溶液に別に調整した0.10 mol dm−3のCuSO4水溶液の所定量を添加した。この添加直
後の短い時間に試料水溶液のpH値が急激に低下したため pHメータに接続したpHスタットより所定濃度のNaOH水 溶液を試料水溶液中に添加することによりpH値をさきの 所定値となるように調整した。試料水溶液のpH値がNaOH水溶液を添加することなく所定値を保っていることを確認
したのち,この所定値にもどるまでに要したNaOH水溶液
の添加量をpHスタットにより測定した。
このpH値の調整開始を吸着実験開始時間とした。この 開始時間より所定時間経過し,NaOH水溶液の添加量を測
定した後,試料水溶液より採取した試料を小型遠心機で遠 心分離した。遠心分離後の上澄み液に含まれたCu2+イオ ン濃度を(株)島津製作所製ボシュロム分光光度計スペク トロニック20A形を用いて吸光度を測定することにより求 め,それを液相内のCu2+イオン濃度LCu2+]とし,水酸化 第二鉄沈殿に吸着したCu2+イオン濃度[Cu2+adコは試料水 溶液中に添加したCu2+イオン濃度[Cu2+T]と液相内の Cu2+イオン濃度との差より求めた。
tCu2 ad]== [Cu2+T]一[Cza2+] (1)
3.実験結果および考察
3.1水酸化第二鉄沈殿のζ電位
任意のpH値において得られた水酸化第二鉄沈殿粒子のζ 電位と試料水溶:液のpH値との関係をFig。2に示す。
同歯に見られるように,pH値6.7でζ電位の符号が反転
することから本研究で用いた水酸化第二鉄沈殿のiepのpH 値が6.7であることが判る。またG A. Parksの集録(1)によ るとα一FeOOHのpH(iep)の値は6.7であり,amor.Fe(OH)3のそれは7.0である。一方,本研究で用いた水酸化第二鉄 は前に述べたようにα一FeOOHかあるいはα一FeOOHと非晶 質のFe203・nH20との混在物であると考えられるため, pH
(iep)の値として6.7という値は妥当な値と考えられる。
また本研究範囲である試料水溶液のpH値が5.0前後の微 酸性領域においては水酸化第二鉄沈殿のζ電位の符号が正
0
>E︑西だΦぢα←456789 10
pH
Fig.2 g−potential vs. pH (Temp.=300C)
の値を示していることから,この領域においては陰イオン が静電的な相互作用によって水酸化第二鉄沈殿に結合し得
ることが判る。3.2滴定実験結果
蒸留水と所定量の水酸化第二鉄沈殿を含んだ蒸留水と をそれぞれ0.12−H2SO4水溶液で滴定した場合のH2SO4水 溶液の添加量と試料水溶液のpH値との関係をFig.3に示
す。
エα
6.0
5.0
4% 1.0 2.O
O.IZN−HiSQ4 lmt
3.0
Fig.3 Titration curves(Temp.=350C, V=O.50d:n3,
[SO42一]諸0.10moldm−3)
Titration curve [Fe(皿)]/mol dm−3
○①○
eO. 0020
0. OIO
同図に見られるように,いずれの試料水溶液においても
H2SO4水溶液を添加する前のpH値,すなわちN2ガスを十 分長時間通気することによりCO2ガスを除去した試料水溶液のpH値は5。83の値を示した。この5. 83という値は本研 究で用いた水酸化第二鉄沈殿のpzcのpH値である。またG.
A.Parksの集録(1)によるとα一FeOOHのpH(pzc)の値は6.7
でありamor. Fe(OH)3のそれは4.3〜8.6である。一方,
本研究で用いた水酸化第二鉄の種類を考慮すると,pH
(pzc)の値として5.83という値は妥当な値と考えられる。
次に滴定曲線の相対位置より判るように,水酸化第二鉄 沈殿を多く含んだ水溶液の方が沈殿を少量含んだ水溶液あ るいは含まない水溶液よりも試料水溶液のpH値をpH(pzc)
より所定のpH値に設定するために要したH2SO4水溶液の
添加量は大きくなった。このことは水酸化第二鉄沈殿を含 んだ水溶液にH+イオンを添加する.ことにより,沈殿表面
で式(2)で示される水酸化第二鉄沈殿表面の一FeOHの形 をした表面基へのH+イオンの吸着反応が起こっていることを示唆していると考えられる。
一FeOH+H+tt・一FeOH2+ (2)
{FeOH2+} n
(3)
Kl nt
{一FeOH} . [H ]
ただし,.{一FeOif} nおよび{一FeOH2+堀はそれぞれ
一FeOHおよび一FeOH2+の表面基濃度(ケ/dm3)をまた[if+]はH+イオン濃度(mol/dm3)を表す。
もちろん水酸化第二鉄沈殿の表面基として一FeO一の形
のものも考えられるが,本研究範囲である微酸性領域にお
いては一FeOHおよび一FeOH2+の形の表面基と比べ無視できる程度に少量であると仮定し,さらに水酸化第二鉄沈 殿の全表面基濃度が水酸化第二鉄沈殿濃度に比例している
と考えると次式(4)が成立する。
R[Fe(m)]== [一FeOEI}.+{一FeOH2 ]. (4)
ただし,Rは比例定数(ケ/mo1)をまた[Fe(皿)]は水酸 化第二鉄沈殿濃度(mo1/dm3)を表す。
また,任意のpH値で一FeOH2+という表面基を形づくり
水酸化第二鉄沈殿の表面に吸着しているH+イオン量が水 酸化第二沈殿を含んだ水溶液のpH値を沈殿を含まない水溶液のそれと同一にするためにpH(pzc)から余分に加えた
H+イオン量[△H+]に比例すると仮定する。S[AH ] == {一FeOU2 } .
ただし,Sは比例定数(ケ/mol)を表す。
これらの式を整理すると次式(6)が得られる。
歯下組留早一角
(5)
明するのに適用できる場合には1/[H+コの値を[Fe(皿)]/
[△H÷]の値に対してプロットすると両者の間に直線関係 が得られることが判る。またその直線の傾きがKIR/Sを示
し,さらに[Fe(皿)]/[△H+]=Oのときの直線の切片が一Kl を示すことが判る。.そこで実験結果より得られた1/[H+]の値を[Fe(皿)]/[△H+]の値に対してプロットすることに よりFig.4を得た。
xlo5
3.0
?Eコ9ξ
炉≡こ
2.0
1.0
o
諾〆
ti・% .o 20xio2
【Fe(皿)コ1【AH「
Fig.4 Relationship between[Fe(皿)]/[△且+]and 1/
[H+]
1/ [H+]
1[・・(m)]ノm・1dm一・○□
O. 0020
0. OIO
(6)
したがって,前の仮定が本研究範囲において実験結果を説
同日に見られるように,1ノ[H+]と[Fe(皿:)]ノ[△H+]
との間には次式(7)で示される良好な直線関係が認めら
れた。rtrii]一一2.3i×io3一!t 奄撃y{iZilEiLt−6.gi×io4 (7)
このことは前の仮定が本実験結果を説明するのに適用でき ることを意味していると考えられる。また平衡定数K1およ び比例定数R/Sの値として次の値が得られた。
Kl =6.91×104mo卜1dm3, R/S =3.35×10−2
(8)
さらに,[△H+]の値を水溶液中の水酸化第二鉄沈殿単 位モル当りに換算した値をそれぞれのpH値に対して求め,
プロットしたものをFig.5に示す。
01
0 一目︶£﹈︑︻◆昌昌
ooo
黶E一・?D
,一一一
UiN.h.
o..,.
X)n
Ω
.%
㌔口
、、
q、
口
.︑
QOOI
40 50 6.O
pH
Fig.5 Relatio且ship betwee且pH and[△H+]ノ[Fe(皿)]
[Fe(皿)]/moldm−3
水酸化第二鉄沈殿に吸着したCu2+イオン濃度〔Cu2+ad]と
の関係をFig.6に示す。xlcr4
100?εコ2﹂︑ O 覧
r工O︼℃Φ切℃
Key [△H+]/[Fe(皿)]
observed value ebserved value calculated value
o o
0□
O. 0020
0. OIO
グ
同図より判るように,水溶液中に含まれた水酸化第二鉄 沈殿濃度が異なっていても単位モル当りに換算した場合に
は良く一致した。一方,式(6)を変形することにより次 式(9)の関係が得られるが,この関係式と前に求めたK1およびR/Sの値とを用いて計算により求めた[△H+]/[Fe
(皿)]の値もF.9.5に点線で併せて示した。
[髭温一書轟祭、 (・)
同図に見られるように,pH値が4.4〜5.4の範囲におい ては実測値と計算値とは非常に良く一致していることが判
る。
以上の検討より,本研究範囲においては式(2),(4)お よび(5)の関係を仮定することにより,水酸化第二鉄沈
殿を含んだ水溶液と含まない水溶液とにH2SO4水溶液を添加した場合の滴定曲線の挙動を説明できることが判る。
3.3水酸化第二鉄沈殿へのCu2+イオンの吸着
吸着の実験はまず所定量の水酸化第二鉄沈殿を含んだ試
料水溶液のpH値を所定のpH値に調整した。次に所定量の CuSO4水溶液を試料水溶液中に添加することにより,水酸化第二鉄沈殿へのCu2+イオンの吸着実験を行なったが,
この添加により試料水溶液のpH値が前の所定値より低下 したため濃度既知のNaOH水溶液を試料水溶液中に添加す ることにより,そのpH値が再び前の所定値を保つように
調整した。この時のNaOH水溶液の添加量added[OH一]と
o
O 2.0 40xlo−4
[cu2su lmotdm 3
Fig.6 Relationship between [Cu2+.d] and added [OH ]
同図に見られるように,added [OH一]と[Cu2+ad]との 間には次式で示される直線関係が認められた。
added[OH一]=1.97 x[Cu2+ad]. (10)
すなわち,水酸化第二鉄沈殿へのCu2+イオン1皿olの吸着
に伴いOH}イオンも同時に2mol吸着するか,あるいはH+イオンを2mo1放出するかの関係のあることが判った。
また[Cu2㌔4]と[Cu2+T],[Fe(1肛)]および試料水溶液
のpH値との関係をFig.7,8および9に示す。
io 5 io−4 io−3
[cu2T ] lmot dm 3
Fig.7 Relationship between[Cu2+T] and [Cu2+ad](pH==5. 0, Temp. =350C, [SO42一]=o. lomoldm−3)
卿
の〆/
♂
イ︒/ 〆/
@ノ〃〆/
@
@
ユ/
♂
1の宅コ︒ξ6
︻一一
」 .一10蕊§ .10
ob.[Cu2+ad] cal.[CU2+ad]
OeO● 顔
縄匿嘱嘱巳−鴨「馬悔鴨鴨唱唱●属5s555、●賢5賢5嘱属ト
[Fe(1皿)]/1nOld血一3
O. 0020 0. 0050
0. OIOO.020
Fig.9 Relationship between pH and LCuZ+ad] (Temp・==
350C, [Cu2+T]==1.0×lo−4mol dm−3, [SO42一]==
O. 10mol dm−3)
/膨/
@Φア︒/ン
・b・[C・・+・d]・a1・[C・・+・d]i[・・(皿)]/m・ldm一・
o宅コ9ξ
10
晶8︼
10
①●00
O.00200. 0050
0.OIOO. 020
16
io−3 io 2
工Fe〈N)】 m4 d㎡3
書鱒Q 1)^1一↓島^一一L=唱 kA一.▼ワ^__「77_!冊、−一_」「A囲一〇⊥ 「 ! ▼▼
s 昌5・∪」、Vtauuue ⊥FりじLvv vvnL」]Vk皿ノ」UllUL)UL ad」kP且==
5.0,Temp.=35。C,[SO42一]三〇、10moldm−3)
ob.[Cu2+ad] cal.[CU2+ad]
e①○●①
嗣麿一嗣回一
[Cu2+T]ノmol dm−3
幽
1.0>く10一5
3.0×10−51. 0 × lo−4
3.0×lo一一4
1.0×10−316 6毛コ︒ξ
晶コ210
惑/イ 膀//θ
/
4.5
5P OH 5.5これらの図に見られるように,[Cu2+ad]は[Cu2+T],
[Fe(皿)]および液のpH値の何れに対しても整数次の依存 性を示さないことが判った。
3.4 吸着機構の検討
3.3の実験結果に従い,水酸化第二鉄沈殿へのCu2+イオ ンの吸着反応を次のように仮定した。
K2
−FeOH2十十Cu2十十H20,n,一 ):一FeOff・CptOH十十
2H+ (11)
K・ ・・ S一鶴鴛牒鶉+]2 (・2)
すなわち,式(11)は一FeOH2+の形の表面基のH+イオン とCuOH+イオンとの交換反応を示し,式(12)はその平衡 定数を示している。
また水酸化第二鉄沈殿の全表面基濃度が水酸化第二鉄沈 殿濃度に比例していると考え式(13)を,さらにCu2+イオ
ンが吸着している水酸化第二鉄沈殿の表面基濃度がCu2+
イオンの吸着量に比例していると考え式(14)を仮定した。
R[Fe(皿)]=・ {一FeOH} n+.{一FeOH2+}n+
{一FeOif・CuOH }. . (13)
T[Cza2 ad] == {HFeOH CUOH }. (14)
式(2),(3)および(11)〜(14)の関係式を整理すると次式
(15)が得られる。
[H+1 ?A騎+1)鰐臨鴻一K・
(15)
したがって,前の仮定が本実験結果を説明するのに適用で
きる場合に鳳[H+](K1[H+]+1)/(K1[Cu2+])の値を[Fe(皿)]/[Cu2+ad]の値に対してプロットすると両者の間に直 線関係が得られることが判る。またその直線の傾きがK2R
/Tを示し,[Fe(皿)]ノ[Cu2+ad]== Oのときの直線の切片が
一K2を示すことが判る。そこで吸着実験より得られた結
果を用いて算出したそれらの値をプロットするζとにより
Fig.10を得た。ただし,計算に用いたKlの値は滴定実験より得られた式(8)に示した値を採用した。
x1 a5
T一 4.o垂 書
@3.0
0 0
ワコ エ
ε§ξ︑︵τ呈玄︶室︼o
oO
^oo湧ノ
。
o
Ouat.5 1.0 1.5xlrf
【Fe(皿)1 [Cu静
Fig.10 Relationship between[Fe(皿)]ノ[Cu2+ad]and
[H+](K1[H+]+1)ノ(KI ECu2+])
同図に見られるように,[H+](Kl[H+]+1)/(K:1[Cu2+])
と[Fe(皿)]ノ[Cu2+adコとの聞には若干のバラツキは認めら
れたが,次式で示される良好な直線関係が認められた。
〔H+コ(亙[H+]+1)
==2.73xio−s戟C2:i;cE.e2(.tt)ii一一s.g3
(16)
鉄沈殿へのCu2+イオンの吸着挙動を説明できることが判
る。
Kl [Cu2+]
× 10−7
このことは前の仮定が本実験結果を説明するのに適用でき ることを意味していると考えられる。また平衡定tw K2お よび比例定数R/Tの値として次の値が得られた。
K2==8.93×lo−7moldm−3, RIT=3.06×lo 2
(17)
また式(1)を用いて式(15)を変形すると次式(18)が得られ
る。この式(18)と前に求めたK1, K2およびR/Tの値とを 用いて計算により求めた各実験条件における[Cu2㌔4]の 値もFig.7,8および9に併せて示した。
[cu2 ad]=[il![Fe(m)]・[・・…]・;曙禦[H・]
一{(畢[Fe(・)」・[Cu…]・1響屠+][H・])・
一望[F・(M)コ[・u・・Tコ}均・2 (18)
これらの図に見られるように,本実験条件範囲においては 実測値と計算値とは比較的良く一致していることが判る。
以上の検討より,本実験条件範囲においては式(2),(3)
および(11)〜(14)の関係を仮定することにより水酸化第二
4.結
言
水溶液のpH値が5. O,温度が35。Cの酸化条件で硫酸第一 鉄を空気酸化することによって生成した水酸化第二鉄沈殿
(142±4−m2/9)はα一FeOOHかあるいはα一FeOOHとamor.
Fe(OH)3との混在物であるが,その水酸化第二鉄沈殿を用 いて,まずそのζ電位を測定し,次にその電位差滴定を行
ない,さらに微酸性領域でCu2+イオンの吸着実験を行なうことにより,以下に示す結果を得た。
(1)水酸化第二鉄沈殿のpH(iep)の値として6.7の値を 得た。また本研究範囲である微酸性領域においては水 酸化第二鉄沈殿のζ電位の符号は正であった。
(2)水酸化第二鉄沈殿のpH(pzc)の値として5.83の値 を得た。また本研究範囲において水酸化第二鉄沈殿の
表面基として一FeOHおよび一FeOH2+の形の両者を 考えると,沈殿を含んだ水溶液にH+イオンを添加すると次の吸着反応が起こっていると考えられ,
一FeOH十H十tt 一FeOH2十
平衡定数K1の値として6.91×104mol−ldm3の値を得 た。
(3)pH:値4.6〜5.4の範囲において水酸化第二鉄沈殿へ のCu2+イオンの吸着実験を行なうことにより,水酸化
第二鉄沈殿へのCu2+イオン1molの吸着に伴いH+イ オンが2mol放出されることが判った。したがって吸着反応として次式が考えられ,
一FeOH2+÷Cu2++H20r1: s−FeOH・ CuOEI++2H+
平衡定数K:2の値として8.93×10−7皿01dm−3の値を得
た。終りに,本四究を遂行するにあたり懇切な御教示を賜わ りました京都大学工学部,真嶋宏教授ならびに粟倉泰弘助 手に厚く御礼申し上げます。また表面積測定に際し御便宜 を御図り下さいました京都大学工学部,田中白鞘技官に深
く感謝致します。
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文 献
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