(1)
経営統制の概念(1.)
鈴 木 勝 美
1.統制の意味の曖昧性と概念明確化の必要性一序に・かえて 経営学の書物において,統制ないしコントロールを説明しようとするとき,
企業を船や航空機にたとえ,経営者ないし管理者を航海士や操縦士にみたて て,・それが目的地へ着くま1での,主として計画と統制とのかかわりあいを述べ,
統制機能の大塔の概念を表現しようとするものも多く見受けられる。しかしな がら,とのような説明によって,船ないし航空機を計画通り目的地へ到達せし める機能として統制を理解ノさせることができるに.しても,それでは,経営者な いし管理者に虎とえられる航海士や操縦士ほ計画と統制との両機能のみを果し ていればそれでよいのかどうか,あるいほ,統制という機能ほ,操縦士が計器 を操作し操縦梓に.よって方向舵を動かす作業そのものをも含むものであるのか どうか,などと多少とも他の面との鏑連を同時紅考えるようになると,それま で統制というものを漠然とながらも理解していたように思われていた気持も,
ややゆらいでくることになるであろう。
(1)経営統制の語ほ,最近では,溝口ー・雄編著「経営統制」(ダイヤモンド社,昭和46 年)において使われているが,この語がよく使われるように・なったのほ,それほど 最近のことではない。たとえば長谷川安兵衛教授も「経営統制(executive control)
とは経営主脳暑が,経営内部の活動を所定の目的達成のため一一・定の指揮の下虹置き経 営活動を完全に・指導・監督・批判することである」とし,「この言葉ほ最近二盛んに使 用されるやうになった」(「統制的会計」東洋出版社,昭和12年,8頁)と述べている。
このような経営統制にあたるexecutive controlの語は,今日なおadministrative COntrOl,Organizationalcontrol,managerialcontrolなどとともに用いられてい るが,最近ではむしろmanagement controlの方がより−・般的であるよう紅考えら れる。経営統制の語ヤよ,このような慣行的云い方に従ったまでであるが,ここでは特 に凝営ないし管理機能把.おける統制を意味するものとして理解されたい。そしてま
た,この場合の概念とほ,統制固有の機能内容ないし械能範囲を意味するものとして
使メ乱することにしたい。
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− 2ヱ ーl
もともとこのような啓諸には,問題のすくないものを選ぶことができるし,
それを説明の申へあてほめることに.よって,むしろ具体的な事柄の方に.注意を 向けさせ,そのもの自体をよく考えると生ずるであろうと思われる蚤要な問題 も,ある程度避けて通ることができるようになるものと考えられる。換言すれ ば,この啓詰によって,統制というものがどういうものであるかを定義しない で,統制というものの感覚的な理解を狙っているもののように・思われる。そし て−またこのように,統制の感覚的理解を狙ったということは,単に.定義を省略 しようとしたためではなく,むしろ定義を述べて:も早急な理解が困難である ために.,後から述べようとす・る定義を前もって実感的に補足しようとしたもの と理解される。
もとより,統制という械能は計画の実現紅関連する機能として考えられてい るといえよう。しかし,それがどのように実現に関係し,その範囲ほどのよう なものであるかなどに.ついてニ,多少とも内容面と結びつけて考えると,それに 関してさまざまな説があり,深く考えれば考えるはど混乱してくることに・な る。これを端的紅示すものが統制という用語の意味に関する問題であると考え られる。
用語の曖昧性 一・般的に.いえば,英語のコントロ−ル(cont工01)ほ日本語 の統制に相当するものとして理解されているといえ.よう。そして経営学的用語 にレても,たとえば,それに相応するものとして,内部統制(inte‡ nalcontI■Ol)・
予算統制(b11dgetaIyqOntI・01)などの用語が考えられる。しかしまた他方に おいて,利益管理(profitcontrol),在庫管理(inventrycontrol),品質管理
(qualitycontrol)等々のように.,コントロqルが管理に・相当する場合もあ る。その他,自動制御(automaticcontrol),集中制御(integratedcontrol)
などのように,コントロ−ルが制御とされる場合もあるが,これは工学ないし
電子計算機関係の一・定の事柄について一・質して使われる用語であるため,論議
の対象から除外してもよいであろう。また,後に・述べるように・,コントロ1−ル
が支配に相当する場合もあるが,これも内容的に・はかなり区別が明瞭であると
経営統制の概念(1)
471 ー 2β −・
考えられる。いずれにせよ,このように.,英語のコントロ、−ルがすくなくとも 日本語の統制と管理とのニ・つに.対置されているということは.,統勧と管理の概 念が・一応相違すると考えられているものの,今日そこにかなりの混乱がみられ
る現状であるだけに,重要な問題を内包しているように.考えられる。
他方,混乱を生じているように思われるすくなくとも二つの日本語に対置さ れる英語のコントロー・ルに.ほ,−・定の確固とした概念があって,この一つの概 念のうちの−・部が強調されるこ.とに.よって,統制か管理かのそれぞれの名称へ 対置されるようになったのかというと,これも必ずしもそうとはいえないよう である。たとえば,ドラッカー・ほ,コン†・ローールの語を,目標管理の説明と の関連で「慨味な用語である」とし,またマイナ・−も「『コントロール』という 語ほ非常にさまざまな意味で使われている.」と述べており,・そしてさらに汐エ
ロー・ムも「コントロ・−リレの語は,異なる情況でほ異なる意味を持つという重大
(2)
な欠陥をもっている一」と指摘している。それでなくとも,コントロ・−ルをそれ ぞれの立場からさまざまに.解釈している経営学に関する論稿も多い。つまり,
英語でコントロ」−ルとして一・定の呼び名で表現していでも,その意味するとこ ろのものほ−・定でほないわけである。したがってまた,コントロL−・ルという呼 び名が・一・定であっでも,その内容を解釈する立場紅よって,それが統制に当る
(2)P.F.Drucke工,7hePraciice qf Managemeni,New York:Harper&Bz.0 thers,1954,p.131,J.B.Miner,7Ⅵc Ma〝ugCmeniProcess,New York:
Macmillan,1973,p.430,and W.T.JerolneIII,Ee方eCuiive Control,New York:Johnwi1ey&Sons,
という語は,ある拘束的な響きをもつ場合が多い」として−,英語におけるコントロ−
ルの三つの用法を示したのら,重要な茸任をもつ地位にある経営者は,それとは異な る意味払おいてコントロールを望み必要としているとし,その内容を述べたのち,「上
の意味紅おいて使われる『′コントワ−ル.』は,フランス語のContI61efに類似して おり,その語ほ.『ある記録を他と対照して比較すること』を意味する」と指摘してい
る(P.M.Stokes,A7btalSystems AbProach to ManagemeniControl,A.M.
A.,1968,pい21)。いわば,フランスのHenry Fayolが「管理学の父」とまでいわ
れるはどに・影響力をもっているために,フランス語の解釈までもがそこに影響してき
ているようにも思われる。この意味において−,コントロ−ルという語に関する解釈上
の混乱の板ほ想像以上紅/深いように考えられる。
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ー 24 一−
\31
場合もあれば管理虹相当する場合もあっ七よいことになる,といえよう。
そ・こで,英語のコントロ−ルそのものの考え方の中から管理と統制との区別 がつきかねるとするならば,一・般的な問題としてこれを考え,そ・こからこのよ
うな混乱を整理するという考え方も生ずるであろう。このような立場から,管 理と統制との区別ほまたつぎのようにも解釈することができるといえよう。た
とえ.ば,会計学ならびに統制そのものを中心としてとりあげている書物におい てほ,管理を,計画と統制との二つの機能から成るものとして展開しているも のも多い。そこに.おいて,統制の機能が検討されるとき,それが計画の実現と 関係のある機能と考えられているために.,実現すべき計画1そのものが何らかの 形に、おいて常紅.その中でとりあげられること紅なる。その場合,このような計 画を,別の機能である計画から与えられた,所与のものないし統制の前提をな すものとして考えることができるとすれば,そのような統制の前提を作る機能 として,統制とは別個に,計画の存在を認めることができることになる。いわ ば,計画と統制との区別が明確になることによって,その両者を含む管理と統 制との区別もまた明らかに.なるというノことができよう。
しかしながら,多くの場合,統制の可否ほこのような計画の良・不良の影響 を強く受けるところから,計画ないし標準そのものも統制の機能の娩討の中 に.おいて同時に問題とすること紅なる。したがって1管理の中に,計画とJ、う 機能が他方にあるに.もかかわらず,同時に.,統制の機能においても計画ないし 標準の設定ということがとりあげられていることが,むしろ一・般的であるよう 軋考えられる。とすれば,統制ほ,たとえ一・部であるに.しても計画機能を含む
ことに.なり,このことほ,統制の機能範囲を曖昧なものにすると同時に,計画 の内容をも不明確なものにし,さらに.管理と統制との区別もまたつけ紅くいも のとすること紅なると考えられる。
(3)現に,i7.ユ.Vアス=Vユ」/ソダ・−は,financialcontrol,materialcontrol,Sales COntrOl,quality controlおよび personnelcontrolなどの場合のCOntrOlは,管 理(management)の意味で使われていると述べている(M.J.LJucius and W.E
Schlender,Elements of ManagerialAction,Homewood,Illinois:Irwin,
1960,pp..82−83)。
経常統制の概念(1) − 25−
473
管理機能としての曖昧性 このように考えて−くると,統制の概念は,他の管 理機能に対サーる解釈七大きな関係をもってくることが理解できるであろう。と いうのは,と.れまで,管理機能が主として封画と統制との二つの機能に.分けら れる場合を想定してきたが,そこにおいて,計画に関する解釈が,統制そのも のに対する曖昧な理解を植えつけることに.なったもののよう紅考え.られるから である。
ところが,このように統制の理解町影響をあたえる管理機能に関してほ.,こ れら計画と統制との二つの機能要素とみる説のはかに.も,3要克説から5要素 説を中心として,さまざまな要素説が存在する。というよりも,これらの2要 素へさらに組織機能を加えた,3要素以上を主張する説の方が,むしろ経営学 上の管理学説においては・一・般的であるというこ.とができるであろう。しかも,
これらの多くの機能要素が有械的な関連をもつものとされるから,統制機能 ほ,他の機能要素がどのように多くあげられているかという数ないし患におけ る多少,および他の機能要素の内容をどのよう紅考え.定めるかという質的な多 少によって,その概念もまた敏妙な点でさまざまに変化すること紅・なるのであ る。したがって,管理棟能を計画と統制との二つの機能要素に・分ける場合より も,内容的に.はさら紅.さまざまな問題を生じるととが理解できるのである。そ して,多くの経営学に関する書物において,統制機能を説明する場合,その基 本的な固有の穐能そのものについてほあまりふれず,むしろ他の機能との関連
のもと紅,コントロ〃・・・・・ル・プロセス(COntI・01p工・OCeSS)として説明しようと する傾向があるのほ,このような統制固有の機能を抽出して問題とすることが
困難であることも,その一つの理由としてあげられるように.考えられるのであ る。
しかしながら,このような統制機能の曖昧さ紅もかかわらず,その基本的な
いし固有の機能の理解が必要に.なつてきているように思われる。というよりも
むしろ,その概念が曖昧であるがゆえにこ.そ,共通の概念として,あるいはす
くなくとも私自身が納得しうるものとして,それを枚討ないし設定する必要が
あるように考えられるのである。
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− 26− 474
概念明確化の必要性 クー・ンツほ,このよう紅統制に閲す−る共通概念が欠如 していることについて,「統制は,最も広く論議されかつ研究された管理の儀域 の一つである。に.もかかわらすそれは,実践して:いる経営者にとって有益な,
経営者を訓練するさいに.役立つような,そ・してまた調査を手引するの紅ふさわ しいような,諸原則を形成するような試みは,はとんどなされてきていない機
(▲) 能領域でもある.」と述べている。このように,ある意味においてほ,統制の機
能ほ管理学の発展とともに論議の対象とされてきたといってよいであろう。そ れ軋もかかわらず管理紅関する他の機能,とく紅組繊や計画に比較すると,そ れに関する単独の著書もすくなく,またその共通の概念すらももちろん明確で はない。そ↓てレかも他面において,統制は,計画の実現に関係する機能であ るとほいえ,計画きれた通り実現されることがいか紅困難であるかは,バーナ
−ドの無関心圏(zoneofindifference)およびサイモンの受容圏′(zone of
(5)
acceptance)に関する理論をあげるまでもなく明らかなことであるし,それで なくとも,今日統制機能の重要性はますます大きくなってきているものと考え
(8)
られている。
それでは,このように義視されながら,しかも今日までその共通概念の明確 化ないし大系化がなされてきていない理由はどのような点た・求めたらよいので あろうか。その最も大きな原因ほ,実はやはり統制機能の多様性に・あると考え られる。すで紅述べたように.,統制の機能内容ないし機能範囲は,主張される 管理機能の数ないし恩,および他に設けられる機能の種類ないし貿の多少紅よ
って影響を受けるのみならず,その主張者の見解に.よっても相違する。しかも,
主張者の見解がまちまちであって一・般に.認められたものとしての統一・的な見解 か
がないから,・一・方の見解紅おいて統制の問題として考えられるものも,他方の
(4)H.Koontz,以Management Co,drol ,California Managem甲t Review,Dece−
mbeI,1958,VoL1,No.、2。
(5)C.,Ⅰ.Barnard,TheFunctionSqFtheExecutive,CambridgeMass・:Harvard university Press,1938,pp.167−170,and Hl,A.Simon,Admini−S/tratiue Beh・
avior,New York:Macmillan,2nd ed,1957,pp.123−153
(6)Cf..JeromeIII,Ob..cii,pp,3−20
− 27 −
経営統制の概念(1)
475
見解でほそうでほないことになる。したがって,共通の概念としての体系化が 困難であるととも紅,その今後の展開もまた不可能となるわけである。
このような理由から,さしずめ共通の概念の設定というよりも,むしろすく なくとも今後の私自身の研究のために.も,私なりに.統制の概念を明確にしてこお かなけれはならないと考えられる。つまり,統制に関する今後の私なりの体系 化ないし展開のために服,統制固有の機能を明確紅し,そのような基本的な観 点から私なりに.問題に対処する態度が必要紅なってくるように・考え.られるので ある。いわば,このような基本的観点こそが,ここでいう統制の概念にはかな らない。そして,このような観点を\明確匿することこそが 統制概念の明確化 を必要とする第1の理由といえ.るであろう。
つぎ紅,その第2の理由としてほ,このような概念は,統制の歴史的な展開 ないしその将来の方向を考えるうえからも重要であるということである。たと え.ほ,統制というものが,管理学の生成とともに発展してきたと女られるにし ても,それでほ具体的にどのような内容がどのように.生成してきたのかという ことほ,統制というものがどのようなものであるかを理解したうえでのみ初め て把握が可能となるであろう。したがって,統制というものの固有の機能すな わら概念を明確に.把握していないならば,統制機能といわれるもののうちどの ような部分がどのよ.うな理由で時代ととも紅生成し変化しそしてまた付加さ れ,あるいほ今後どのような方向に展開されるか把ついても,考察することが できないこ.と紅なるであろう。
第3には,情報システムとか意思決定レステ∵ムとかの関連紅おいて,最近と
くに.統制の概念の明確化が必要になってきているように考えられる。近年,と
くに.レステ・ム論ないし情報システムや意思決定シ㌧ステムなどが患祝されるよう
になっており,それ紅ともなってコントロ・「ル・システムという用語も数多く
使われるよう紅なってきている。したがって,そこにほ,それらの理論と結び
つけて,コントロ・−ル・システムに関しても多様な説明が行なわれるこ.と紅な
る。そうなると,そこ紅コントロ・−ルという用語が使用され,その用語から統
制機能と何らかの関係があることは理解できるものの,それが果して統制機能
第49巻 第5・6号
ー 2∂ − 476
とどのようなかかわり合いがあり,そして:また統制機能がどのような意味にお いて情報システムや意思決定システムと結びつくのか,という説明が不明確な ものとなってくる。このような問題は,むしろ統制固有の概念とのかかわりに おいて,関係を整理し,意味づけ,そして展開をほかる必要があるのではない かと考え.られる。新しい理論ないし手法との結合は,統制固有の概念を明確に
したのちでなければ,本来の機能とかけ離れたものとなるおそれがあると考え られるからである。
これまで,統制ないしコントロ−ルという用語に関する意味の曖昧性と,管 理機能に.おける統制の内容の曖昧性に.ついて考察し,それ払対する統制の概念 の明確化の必要性を強調してきた。このような統制の概念ほ,まず端的に・はそ の定義において表現されるものと考えられる。したがつてつぎに・,これまで主 張されて.きている定義を通じて,統制の概念を明らかに・していくことにしよ
う。
2 統制の定義と管理の機能要素説
英語のコント由一−ルという語は,すでに.述べたところであるが,経営学紅お
(7)
いて:もかなり多様な意味に使われている。このうち,企業に・おける所有と支配 の分離ないし所有と経営の分離の動向について.行なったバール=ミ−ソズの有
(8)
名な実証的研究に.おいては,過半数支配(ma.iority
nority control),経営者支配(management control)などというように,コ ントロールが支配の意味に.用いられている。これから本稿そ考察しようとする
(7)たとえば,山城教授はコントロ−ルの経営学的意味をつぎのように・類別している
(山城茸著「現代の企業」森山書店,昭和40年,435−443貢参周)0 指揮−2 指揮的・対等契約的・トラスト的contI01 支配−1支配的・圧力的COntTOl J
コントロ−ル
−ダー的計画性コン ー・タ一的凛議性コソ ーダ\一的マネ汐メソ
ルルソ
一一コ
口●
.トトト
㌶妄−(…雲
リ−・ダ−
ト。−ル〉管理
(8)A.A.Berle andG.C.Means,TheModernCorboY ationandPri vatePT■OPeriy,
New Yo王女:Macmillan,1932.北島忠男訳「近代株式会社と私有財産」文雅堂,
昭和33年。
経営統制の概念(1)
− ご9・−477
ものほ,もとより,このような支配を意味するコントロ−ルではない。いわ ば,企業そのものの支配を問題とするコントロ−ルではなくして,むしろ企業 内部の管理活動におけるコントロールすなわち統制を対象にする,ということ ができよう。
こ.のように.コントロ岬ルの範囲を,企業内部の管理活動の問題に限定しよう
(9)
とする場合,今日経営学上最も多く論議の対象となっているのほ,管理機能を 構成するその1機能としての統制であると考えられる。それほ.,経営学上叫般 に統制機能と呼ばれて:いるものである。したがって,統制機能の概念ほ,管理機 能紅おいて分担される一てつの機能的役割としてニ,管理機能との関連に.おいて定 義される場合が多い。この定義は,−・応概念を簡潔軋述べたものとしても考え
られるので,まず,定義の検討を通じて統制機能の概念を明らかた・していくこ
(9)管理機能(management functions)とは,管理者が管理すること自体に・含まれる 諸機能ないし管理のために必要な諸機能を意味するものと理解される。このような諸 機能としてさまざまなものが考えられる。それらのうらの,どのような機能ないし機 能要素の組み合せを管理機能とするか紅ついては,後紅述べるように多数の説があ る。マイナーに・よれほ,それらの説においてよく見受けられる機能要素の礎類はつぎ のようなものであるという(MineI・,β久C∠ナ.,p。50)。
Planning,Staffing,Organizing,Directing,Leading,Motivating,Commanー ding,Innovating,Coordinating,Representing,Controlling,Decision Making,
Investigating,Activating,Communicating,Eva王uating,Securlng Efforts,
Administering,Formulating Purpose.
また他面紅おいて,管理機能としての各機能要素がそれぞれ機能する順序紅相互曙 関達しあっ{:いることなも示す経営ないし管理過程(management process),およ びその相互に・関連しあっている状態が循環的であることをも示すマネジメソr・ サイ
クル(management cycle)という用語がある。− 般に,管理機能というとき,そこ に.おける機能要素が,同時に・管理過程をなし,かつマネジメント・サイクルをなして いることを意味する場合が多い。したがって,この場合にほ「機能」も「過程」もそ
して「サイクル」も実窯的には同じものを意味することになる。木簡もまたこのよう な解釈をとることにしたい。
しかし,たとえばバ−ナードの理論のようにり管理のために必要な諸機能として表 面的に・ほとくに・明確紅表現していないような理論からも,管理機能を抽出しようとす る見方もある(MineT・,0♪.c去f,p.47)。しかし,その場合の抽出された諸機能は,
必ずしも管理過程をなしているとほいえないように考えられる。換言すれば,どのよ うな経営理論ないし管理論からも,見方によっては管理機能を抽出しうるかもしれな
いが,それが同時に・管理過程やマネジメント・サイクルを意味しなも、場合もある。し
たがって,このような意味において,管理機能は他の二名よりも広い概念を意味する
場合もある,ということができよう。
第49巻 第5・6号
478 ー 3¢ −とにしたい。
2・−1 定義について
定義というものが概念の説明に関係があるものとするならば,そのような定 義の中‡こ概念を求めることもまた当然肯定されるところであろう。ところがこ のことに関して∴/薫‥一ウインは,「琢=マネジ メソト・コントロ【ルとほ,迂∴確に・
いえ.ばどういう意味ですか』。この質問が政紆ならびに産業界の多数の管理者
(10)
に問われたとき,その回答に.ほ驚くはど−・致点がみられなかった」と述べてい る。これと同じように,統制ないし統制機能の定義に・もまたさまざまなものが あるといえ.よう。つまり,統制について名人各時の定義が主張されているため にこ.,表現された各人の定義を比較し共通部分を抽出しようとする試みは困難で あるといえる。したがって.,ただ単に定義を多くあげ,そこにおける表現上の 比較を行うのみにとどまるならば,いたずらに・概念上の混乱を招くことになる であろう。このような定義の数ないし表現上の比較よりも,むしろその中から,
統制の機能内容についてある種の典型と思われるものを選んで,それについて 考察し・ていくことが必要濫.なるものと考えられる。そこで,このような意味に おいて,まず典型的と思われる定義をつ軒にあげてみよう。
(11)
心 フ工イヨ・−・ル
企業において,統制ほすべての事柄が,採用された計画,あたえられた 命令,認められた原則紅したがって行なわれているかどうかを確かめるこ
と紅ある。統制ほ,欠陥や過失を改めその再発を避けるために,それらに・
ついて−注意を促すことを目的とする。
(12′
(2j ク−ンツ=カードンネル
(10)D.S.Sherwin, Zhe、MeaningqfControl ,in軋KoontzandC・0 Donnell
(editors),肋〝αgβ椚β 才,New YoI・k:McG柑W−・Hill,3王・ded・・,1972,p・652・高 宮・松岡・土屋監訳「現代経営学ⅤⅠ統制」同文飴,昭和50年,11貢。
(11)H.Fayol,Aめ別海ね力Ⅵわの7J別ね・SJr菖♂JJgβf G∂乃 γαJg,PaIis:Dunod,1916,
p.153.都築栄訳「産業並びに一・般の管理」風間番房,昭和39年,15碩。
(12)H.KのntZ andC.0,Donnell,Mお〝agemeWt,Tokyo:McGraw−HillKoga・
呈こuSba,6tb ed・,1976,p.635。
経営統制の概念(1)
− 3ヱ−479
統制とほ,封画という標準紅対する実績の測定と,計画紅よって目的の 達成を確実にするための逸脱の矯正とを意味する。
l13\
(3)デイブィス
統制は,目的を遂行するために,計画の要求するところ紅従って,活動 を拘束し規制する機能である。
これらの定義のほか軋も,計画を統制の機能の中に含めるホールブルック=
(ユ4) く15)
プリチャ−ドおよびアンソニ−・などの定義がある。また,統制ほ変化する環境 や社会においで,企業の存続のために必要であるとするホールブルック=プリ チヤ−ドに対して,それとはば逆の,「統制とほ,決められたコ−・ス軋とどま
(16)
り,棟準を守り,変動を予防することである.」とするジコ.ランの定義など興味 あるものもある。しかしながら.,すで紅あげた三つの定義に.関する検討におい
(13)R.C.Davis,耶ね都路ゐ微動屈ぶげ7如■挽〝αggグ乃♂乃才,New Yo‡■1く:Ha叩eヱ
&B王・Ot】1eI■S,1951,p.637.
(14)ホールブルック=プリチ・ヤードは,統制についでつぎのように述べている(右亘地■・
lb‡00k and T.Prichard,Coniroloj a Busine・SS,Lohdon:Business Pubiica−
tions Limited,1964,p.3)。
「一統制の主要な意味としてつぎの二つがある。
i)進歩と実行を検査し指医けること,すなわち変化しつつある社会での存続を助 けること。
ii)茸任を問題とし,確かめること,すなわち企業の細軌杓管理が効果的に実施さ れるのを確かならしめること」。
そして,統制に関するこれら二つの意味のうち,前者を政策的もしくほ戦略的統制
(poIicy or strategic control),後者を業務的統制(operationaicontrol)と呼び,
「業務的統制は,事業封画を実施する手段を扱い,政策的統制は企業戦略を扱う」
(如法正,p.3)とする。そして,「戦略的統制は,変化する環境および変化する社会に・
相応した企業の基本政策の形成ならび紅政環の有効性をチェックするため紅とられ る諸段階,を意味する」(査一朗d・,p.30)とされる。
(15)アンソニ−は.,統制の定義をつぎのように述べている。「マネジメント・コントロ ールとは,マネジ′ヤーが,組織の目的達成のために資源を効果的かつ能率的に.取得 し,使用することを確保するプロセスである。」「オぺレ・−・ジ ョナル・コントロ・−・ルと は,特定の課業が効果的かつ能率的に遂行されることを確保するプロセスである。」
(R。Nり アンソニー著,高橋貴之助訳「経営管甥システムの基礎」ダイヤモンド社,
昭和45年,22貫および23貴。R.N… Anthony,J.DeaIden,and R.F.1)ancil,
ManagemeniContro15bTISien字S,Homewood,I11inois:hWin,Revised ed。,1972,
p.5and p.10
(16)一トM.ジュラン著,E本化英株式会社訳「現状打破の経営哲学」日科技連出版社,
1969,】吏。
欝49巻 第5・6号
480 ーー ∂2・【ですら,統制機能の中でとりあつかわれる計画ないし標準の設定についての問 題は,とりあえザ除外して考えることに.したいと思って.いる。したがって.,こ れらの計画を統制機能に含ましめて展開しようとする理論については,のちに 定義に.関する問題を考察するさいに再びふれることにし,こ.こ.でほ.統制の機能 内容について何らかの典型として考え.られる定義をあげるのみにとどめること にしたわけである。
ところで,すでにあげた三つの定義を一・読すると.一,クーンツ=オドンネルの ように,統制の機能内容が端的に表現されているものもあるしそうでないもの もある。しかも,たとえばデイヴィスの定義のように,そこ・に機能内容が明ら かに.表現されてヽ、ないものについては,このような、定義のうえからでは,それ を容易に判断できないことになる。したがってL,定義のうえからのみで統制固 有の機能を考察する意図ほ捨て去らなければならないといえ.よう。そしてまた
このことほ,統制の機能内容に関する理解は,統制に関して主張されているす べての説明に.よってのみ可儲となることが多いということを意味する。したが
って,そのことを前もって.配慮し,問題となる機能内容忙したがって定義を類 別し,その典型と思われるものをここに配列したわけである。そこで,それぞ れの統制に閲しで述べられている説明ないし論議を考慮しながら,つぎにこれ
らの定義を考察していくこ.とにしよう。
まず,欝1のフェイヨ−ルの定義でほ.,統制ほ「−注意を促すこと」に・あると されている。このような,報告・測定・比較・評価・批判といった機能内容を,
いまかりに.「評価」という語で表現するものとすれば,フェイ≡トールの定義で は,統制の機能内容ほ.明か紅こ.の「評価」を意味するものといえる。彼の定義
(17)
は,彼が「プロセス概念の父(thefather of the process concept)」と呼ば れているだけに,その影響もまた大きいものがある。彼の統制に・関する定義が
このような「評価」を意味するものであったという影響を受けて:,その後の統 制に.関する定義の焦点がこのような側面紅あてられるように・なったため紅,と
(17)H.H..Albers,Management,New York:John Wiley&Sons,1972,p・30
ー 33 −・
経常統制の概念(1)
481
くに実際の実行活動を指図するといった意味での統制は,それのみの嘩独のも のとして:ほ,はとんど主張されることがなくなったものと理解される。
しかしながら,デイグィスによってフ,エイヨL−・ルは「統制の重要性ほ認めて
(18)
いたが,その詳細な分析ほ.しなかった」と指摘されているよう紅,彼の統制の 内容に.ついての説明が不充分であったこ.ともあって,彼の定義について誤解を 生ずること紅なる。グードゥインによれば,その誤解の直接の原因は,1929年紅 J.A.Coubroughによって行なわれたフェイヨールの著書の英訳書紀おける
(19)
統制紅関する誤訳であるとされる。すなわち,彼によれば,統制は,採用され た討画,与えられた命令,および設定された諸原則紅従って「あらゆる事柄が 実行されつつあるのを監視すること(seeingthateverythingisbeingcarried O11t)」と訳されているが,これは,実行活動を計画通りに.ひき戻すために・とら れる行為をも含むことを意味する。しかし,このような訳は,全くフランス語 の用法の範囲外である,と指摘されている。いわば,このような誤訳によっ て,「評低」のみならず,それによって指摘せられた欠陥や過失を是正する行 為としての「是匡措置」をも含むかのように解釈されるようになるというので ある。しかしながら,このようなグードゥインの誤訳に対する指摘をまつまで もなく,フェイヨ−ルの定義における統制は,「欠陥や過失を改めるために.」
「注意を促すこと」を意味するものと理解されるし,また,この定義ほ,彼の 著書の統制紅ついての説明のすぐあとに凝く予算統制を配慮して表現されたも のと考えられるから,むしろ「評価」のみを意味するものと解釈すべきであろ う。いわば,機能内容が「評価」を意煉する典型としでフェイヨ−ルの定義を
(20) (21)
あげたわけであって,プレックやデールが他?管理機能との関係で明らかに・し ようとしているのも統制のこのような面であると考えられる。そしてまた,
(18)Davis,¢♪.cよfリ,pp.638−639.
(19)E.S.L.G00dwin, Co〝如J・:Aβ7∠eノ■助 αγ・・蕗弼 明≠如㌧泌細面符gq/■α酌7■d , Michigan Business Review,Vol.xll,No.1,p.16.
(20)E.F.L.Brech,Managemeni:IiS Ndture and Signijicance,London:Pit−
man&Sons,3rd edい,1953,p.29.
(21)ア・−ネスト・ヂ鵬ル著,木川田−・隆・高宮晋監訳「経営管理−その理論と実際」ダ
イヤモンド社,昭和42年,676−677頁。
第49巻 第5・6号
ー 34・− 482
「これらの統制の定義のうち,会計学の分野にとっての最も重要な特色は,−
(22) 般的に.実績と計画されたものとの比較を強調していることである」と指摘され
て−いるよう紅,この機能内容は,会計学に.おいて.もとくに.重視されているとこ ろといえよう。
第2のク−ンツ=オドンネルの定義には直接表現されていないが,その著書 の統制に関する説明に.おいて,コントロール・プロセスの最初の段階として計 画ないし標準の設定がとりあげられている。このような封画ないし標準と統制 機能との関係ほのちに問題とするので,ここでほ除外して考えるものとすれ ば,彼等の定義において表現されて−いる機能内容として,これまでフェイヨ−−
ルの定義との関連で指摘した意味での「評価」と,それ紅「逸脱の矯正」とし ての「是正措置」の二つを認めることができるであろう。いわば,このような 二つの機能内容を含むものの典型として−クー・ンツ=オドンネルの定義をあげた わけである。
−・般に.,業務の執行と直接関係をもたないで,側面よりこれを補助するもの をスタッフ組織と呼んでいるが,「評価」ほ,このようなスタッフが行なうも のと理解されている。しかし,ク−ンツ=カードンネルの主張する「逸脱の矯正」
ほ,業務の執行と直接関係をもつライン組織の担当するところを内容とするぼ かりでなく,計画を作り直したり,職務を再配分したり,さら紅解雇などをも 含む広い範囲のものとして示されている。したがって,そのような機能を,彼 等が管理機能の一つとして別紅設けて一いる指揮(direCtion)という機能に含ま
しめうるものかどうかほ.問題があるにして−も,彼等がこのような「逸脱の矯正」
を指揮に含めないでいることほ,その指揮の定義からいっておかしいという批
(2き)
判もある。ク−ンツ=オドンネルはこのような問題を,有機的な管理の諸機能 が重複するところと解釈しているようであるが,果しでそのような表現で解決 したと見倣しうるものであるかどうか,問題の残るところのよ.う紅思われる。
(22)C.Luneski,以Some AsbectSOfihe Meaning qf Conirol ,The Accounting Review仁一uly1964,p.596
(23)Luneski,OZ・.Cit.,pp.595−596
経営統制の概念(1)
−・− 35 ▼一→483
いずれにせよ,行為ないし活動としての「是正措置」の意味する内容の大小を
(餌) (25)
問わないとすれば,ニュ−マンやストロング=スミ矢などのはかに・も,このよ うな機能内容を主張し,あるいほ採用する者はかなり多いといえ.よう。
策3のデイブィスの定義は,かなり簡潔に表現されているものということが できよう。しかしながら,表現こそ簡潔であるとはいうものの,その統制の機 能として行なわれる内容が,果してどのようなものであるか明確に示されてい ないうらみがある。デイブィスほ,統制の分割機能をや備的統制機能と同時的 統制機能とに分類している。そして,このうち予臍的統制機能ほ「主として,
活動砿先だって,計画の正当な実行を確保するために,予定された一山定の拘束
(26)
と規制とを設定することに関係する」械能であるとされる。いわばそれは,同 時的統制機能の準備的な機能として理解することができるであろう。このよう な予備的統制機能を統制固有の機能との関連においてどのよう紅位置づけるか については,後でデイダイスの統制紅関する理論を再びとりあげることになる ので,とりあえずここでほ,ほぼそれが日常計画の設定を中心とする機能であ るということを指摘するのみ紅とどめたいと思う。したがってまた,ク」ンツ
=オドンネルの定義との関連匿おいて計画ないし標準の設定の問題を険討の対 象から除外したのと同じような理由に.よって,ここでは予備的統制機能を仙応 除外して考えることに.したい。
残る他方の同時的統制機能は,「実行活動が進行中に拘束と規融とを適用す
(27)
る」機能であるとされる。そして,そこに.含まれる分割機能ほ指図(dir eCtion)
・監督(supervision)・比較(comparison)・是正措置(COrreCtive action)
の四つであるとされている。これを,すでにあげた機能内容を示す名称にした がって表現すれば,それほ.「評価」と「是正措置」の他に,さらに・指図と監督
(24)
tice−Hall,8th printing,1957,p.408ff ,作原猛志訳「経営管理」有斐閣,昭和38 年,368貫以降。
(25)ストロング=スミ.スの場合は,これら「評価」と「是正措置」の他にinf0Ⅰmation がより重要なものとされている.(E.P.Strong and R.D.Smith,Management
ControIModels,New York:Holt,Rinehart and Winston,1968,p。2.
(26)(27)Davis,0♪りC産声・,p一.698
第49巻 第5・6号
ー β6・− 484
を内容とする「指揮」との三つを含むことに.なる,ということができよう。・そ して,このように新しい機能内容が追加せられたというこ.とほ.,デイブィスが,
管理機能を計画・組織・統制の三つの機能要素に限定したことに.より,・それよ り多い機能要素説の場合は他の・機能に含まれたであろう指図と監督が,統制の 中軋含まれることに.なったためと解せられる。いずれに.して−も,デイブィスの 統制の定義は,「指揮」。「評価」・「是正措置」というもっとも広い機能内 容を意味する典型としてとりあげられたわけであって,これと同じような機能
(28) (29)
内容をとるものとしてゲ・−ツや・エドワ−ズ=レムケなどの説をあげることがで きよう。
2−2 定義における問題点
これまで,統制の概念すなわち統制固有の機能をどのようなものとして理解 したらよいかを知るために.,≡つの定義を中心紅,それについて考察してき た。そして,その結果,三者三様の機能内容の範囲,すなわちつぎのような3 種類の機能範囲が示されることに・なった。
(1)「 評価」
(2)「評価」・「是正捨置」
(3)「指揮」・「評価」・「是正措置」
とと.ろで,これらの3種類の機能範囲は,そのそれぞれの主張者の観点から すれば,それがそのま
るものと解釈すべきであろう。しかし,それがただちに,われわれが探し求め つつある統制の概念ないし統制固有の機能を意味するものということほできな い。というのは,現に・,このように異なる3種類の機能範囲が,同じような重 要さの水準においてわれわれ把捉供されているからである。そして,たとえば,
(28)B.E.Goetz,Management Plannng and Conirol,New York:McGraw−・Hiil,
1949,p.3and p.229.
(29)JID.EdwardsandB.C.Lemke, Admi niStraiive Controland Emutive Action ,in B.C.Lemke andJ.D.Edwards(editors),Adminisiraiive Con troland Execuiive Action,Columbus,Ohio:Charles E.Merrill,2nd ed.,
1972,pp。1−2.
経営統制の概念(1)
−− β7 − 485これらのうちからわれわれが求めている統制の概念を決定するという問題は,
ただ単軋明確であるからといつて機能内容の少ないものを選んだり,包括的で あるからといって多い方を選んだり,あるいはより多数の人が主張して、、るか らという理由で特定の機能範囲を選ぶ問題とほ異なるように.考えられるからで ある。そこに.ほ,何らかの意味に.おいて,それこそが統制固有の機能であると する論理的な根拠が示される必要があるように/理解されるのである。まして,
これまでのように,定義を中心とす−る検討のみによって,統制固有の機能範囲 のすぺてを考察したものとは,必ずしもいえないように思われるのである。統 制の磯継が一,このように一・面的に理解できないことは,すでに定義を考察する
さいに・,計画ないし標準の設定紅関する問題を・一応除外して一考えなければなら なかったことからも,それは理解しうるところであろう。したがっで,統制の 機能を,もっと異なる方向から考えること紅よって:,新らたなものが見いださ れることもありうるよう紅思われるのである。この皐うな意味に・おいても,こ れらの機能内容ないし機能範囲ほ,これから統制固有の機能を検討していくう えで考慮すべき重要な対象となるものでほあるけれども,しかしなおそれほ,
あくまでもそのための資料に・すぎないといえるであろう。
他方,これまで,統制の定義との関連においてその機能内容を考察した際に,
封画に関する問題を意識的に・除外して考えてきた。しかし,もともと統制は,
計画の実現に関係する機能として理解されているために.,常紅計画ないし標準 なしでほ統制そのものも存在しえないと考えられて・
機能に関する具体的な説明に・おいて−は,計画ないし標準の設定に.始まるものが
その大部分をしめてい畠といえる。しかも,管理機能の一つとして,轟如けの他
紅計画という機能要素をあげながら,さらに.このように,統制の説明の中にお
いても計画の問題を扱うこと紅なると,計画と統制とゐ機能範囲の区別がつき
にくいもの軋な・つてくる。このことを反映しで,アンソニ−は、,統制に含まし
めることができないような計画を戦略的計画とし,さらに統制の中で扱いうる
ような計画ほ統制の中に食ましめて考えること紅よって,そのような矛盾を解
決しようとしたものと解釈される。しかしながら,それをさら紅進めて,か−
一一一 3∂l−
発49巻 第5・6号
486ルブルック=プリチャードの主張償.なると,ノ戦略的計画までもが,統制の機能
範囲の中に含まれることに.なる。したがって,このように.,統制の説明の中に おいて扱われる計画ないし標準の翠定という機能の比重が,ますます増大して きつつある傾向を限のあたりに.みるとき,そのような統制の中で扱われている 討画に対する理由づけそのものが,むしろ統制固有の機能とも,大きなかかわ
りがあるようにも思われてくるのである。
そこで,これまでの考察によって,定義との聞達から,第1に,すでに示さ れた機能範囲を中心として1どのようなものを統制固有の機能と認めるぺきか
という,その論理的根拠を求める問題,そして籍2に,統制の説明の中で扱わ れる計画の理由づけの問題,との二つの問題が提起されたことになるわけであ る。そして,そこからまた,これらの問題をどのような手掛りとの関連紅おい て究明していくかという問題が,つぎに続いて生ずることになる。
2−3 問題解明の手掛りとしての管理の機能要素
(30)
ところで,第1の機能範囲の問題は,例外はあるけれども,一一・般的紅は,管 理機能をどのような機能要素に分けるかという,分割する機能要素の数と種類 に関係してくるものと考えられる。たとえほ,機能要素が計画・組織、。統制の 三つの場合と,さらに.それらに・予測という機能要素を加.えた四つの場合とで ほ,組織や統制の楓能範開は変らないが計画の機能範囲は小さくなるといえよ
う。それらに,さらに指揮という機能要虞を加えて,機能要素を五つとする場 合でほ,組織の機能範囲ほ変らないが統制の機能範囲は小さくなると考えられ
る。そしてまた,さらに・それらに,配員(Sta朗ing)という機能要素を加えた
(30)たとえば,ク−ンツ=オドネソルもジュンアス=シュレンタ∴−も,ともに管理機能の 一イ⊃として,統制とは別に指揮という機能を設けている。しかし,ク−ソツ=オドン ネルは「是正摺層」を統制に含ましめているが,汐ユレアス=シュレンダ劇はそれを
指揮に含ましめている(Jucius and Schlender,OP巾Cit。,ppけ74−75and p.86)。
このように,、同じような機能要素の種類が主張されていても,主張者の考え方で機能 範囲が異なる場合がある。ただし,すでに.指摘したように.,クー・ンツ=オドンネルが
「是正措置」を指揮庭含めないでいることほ,ク−・ンソニオドンネルが示した指揮に
関する定義からいっておかしいという批判もある(Luneski,〃♪.df,,pp.595−596)。
経営統制の観念(1)
ーー 39 −487
六つとする場合ほ,さきの五つの場合と比べて,組織の機能範囲もまた小さく なる,ということができるであろう。このように,管理の機能要素が全体とし て多数に.なるということは,同時に.,この場合でほ,計画・組織・統制のいず れかに関係のある種類の機能要素が増加していることを意味する。そしてま た,関係のある種類の機能要潔が増加しているということは,酎画・組織・統 制のそれぞれの申に含まれている機能内容の・一部が,関係ある機能要素の種類 のそれぞれへ吸収されていくために.,それだけ 計画。組織・統制そのものの機 能範囲が小さく変化していくことを意味すること紅なると考えられるわけで ある。
こ.のように,管理機能の数ないし種類が多くなれほなるほどそこ紅含まれる 機能の機能範囲が小さくなるということほ,管理の機能要素の数ないし種類の 側面から各機能の機能範囲が規制されるという方向を意味する。これを統制の 機能のみに.閲し七いえほ,管理の機能要凛の数と種類が多くなればなるはど,
統制の機能範囲が小さくなることを意味する。いわばこれほ,管理の機能要素 の数と種類の多少が,統制の機能範囲を規制する方向として理解することがで きよう。しかしこれとまたちようど逆の方向も考えられる。すなわら,統制の 機能範囲の方が先に.決められることによって,管理機能の数ないし種類がそれ 紅規制されるという方向である。いわば,統制の機能範囲が先払定められるこ
とによって−,その統制の機能範囲と関係があると考えられる機能要素の設定が 制約されるという方向として一理解される。したがって,この両方向を換言すれ ば,これらほ,統制の機能範囲が先に決まるか,あるいはそれ軋関係するよう な他の管理の機能の方が先に.決まるか,そのいずれか紅よっで,・一・方が他方を 制約することになる,ということを意味するものといえよう。このような関係
(81)
をルネスキ」−ほつぎのように.表現している。
(31)Luneski,Ob、Cii‖,p.595.,また,このように,統制の機能範囲が管理の機能要素
の多少によって影響されるということは,簡単ではあるが,エドワ−ズニレムケ紅よ
っても指摘されている(Edwards and Lemke,OPルCit.,p…1)。
488 貸49巻 第5・6号
一一JO −・・
狭い管理機能 広い管理機能
ヽ ▲
狭い統制の定義 ▼ ▲ 広い統制の定義
この場合の「狭い管理機能」とほ.,機能要素の機能範囲が狭く分けられてい ることであって,管理機能に.おける機能要素が多数であることを意味する。さ らに.また,「広い管理機能」とは,その逆の,管理機能の数が少数であるために,
各機能要素の機能範囲が広く設定されていることを意味する。
また,ここでいう「狭い統制の定義」とは,われわれがこ.れまで定義との関 連に.おいて脅察してきたような,「評価」のみの機能範囲を意味し,「広い統制 の定義」とは,「指揮」・「評価」・「是正措置」の三つの機能内容を含むもの を意味するように理解される。換言すれば,すでにわれわれが考察し■た第1の フエイヨ・−ルの機能範囲のパタ−ンが,この「狭い統制の定義」に.相当し,そ してまた第3のデイダイスのパターンが「広い統制の定義」に.相当することに なるものと考えられる。ルネスキ−は,このうらの後者を判別する基準として,
デイブィスの定義にあるような「拘束し規制するE,と(COnStr・ainingand regulating)」を認めており,「是正措置」もそれに.あてはまるものとされてい
る0 したがって,ルネスキー、によれば,「評価」と「是正措置」の二つを機能範 囲とするクーー・ンツ=オドンネルのような場合でも,後者の「広い統制の定義」
に含まれることに・なるものと解釈される。後者はまた,統制の能動的概念
(active concept),前者は受動的概念(pasive concept)であるとされてい
(32)
る。
このようなルネスキーの説明でほ明確に表現されていないが,統制の機能範 囲そのものが狭くなるためには,管理の機能要素そのものが多数に・なり「狭い 管理機能」に・なることよりも,むしろより直接的には,統制の機能範囲紅関係 するような種類の機能要素,′たとえば,指揮(direction ordirecting),命令
(command or commanding),動機づけ(motivation or motivating)など
(32)Luneski,Ob.cit.,p.593..
経営統制の概念(1)
− 4ヱ・叫・489
が,管理の機能要素としで他に加えられて1、ることが重要であると考えられ る。
ところで,どのようなものを統制固有の機能内容ないし機能範囲として認め るぺきかという第1の問題を廟決するために.ほ,すでに考察、したように.,統制 の機能内容ないし機能範囲・そ′のものを直接検討する方法の他に,むしろ統制の 機能範囲に影響を与え.るような機能要素として,どのようなものを管理機能に 加えるかを先に決めること紅よって,その方向から統制の機能範囲を規制しよ
うとする方法があることを理解した。もとより,われわれが究明しようとして いるのほ統制固有の機能であるから,われわれが志向するのは前者の統制の機 能範囲を直接検討する方法であるといえるであろう。したがって,前者の検討 においてより問題があるときに.のみ,迂回的な後者の方法をとることが許され るこ.と軋なると考えられる。しかしながら後者の方法は,統制の機能範囲に影 響をあたえるような機能要素が,管理の機能要克として妥当であると認められ
ることを前提とする。換言すれぼ,そのような機能要素が妥当なものでないか ぎり,統制の械能範囲を妥当なものとして制約できないと考え.られるからであ る。ところが,このような統制の械能に影響を与え.る機能要素の妥当性は,ま た統制の機能そのものの妥当性によって決められなければならないという矛盾 がある。換言すれは,統制の機能範囲を小さぐすること自体が統制固有の機能 として望ましいことであるのかどうか,すなわち,統制の機能範囲紅影啓を与 えるような機能要素を管理の械能として他に.加え.るこ.と自体が,統制固有の機 能としてこ望ましくない場合紅は,それらをそのように検討すること自体無意味 なものとなってしまうであろうからである。したがって,このよう紅,まず統 制の機能範囲に影額を与える機能要素の側面から,第1の問題を考察しようと する方法ほ.,とるぺきでないように.考えられるのである。
そこで,こ.れから考察していこうとする方法ほっ 迂回的な後者よりも,より
直接的な前者の方法によらなけれほ.ならないことに.なるセあろう。しかし,こ
の統制の機能範囲を直接検討する場合でも,管理の機能として他にどのような
機能要素が加えられていると考えるかによって,統制の機能範囲そのものも異
舞49巻 第5・6号
−・Jゴ ー 490
なってくることにしなるから,どのような管理機能の数ないし種類をもつ見解,
すなわちどのような機能要素説を対象とし検討すべきかという問題がつぎ紅生 じて−くることになる。このような機能要素説の条件としてほ,主として統制の 機能そのもののみを対象として検討できるように.,統制の機能としてなるべく 広いもの,すなわち統制の機能としてのすべて内容が含まれ七いる要素説をと
りあげる必要があるであろう。そして,このような要素説における統制の機能 を検討することによって,第2の統制の機能において計画をどのように考える かという問題も,そのような統制の機能範囲の中において計画を考察する問題
として−,このような第1の問題を解明する過程に.おいて明らか紅するこ.とがで きるように考えられるのである。
このような意味において−,つぎに管理の機能要素説を考察することにしよ う。
2−4 5要素説とデイヴィスの統制機能論
とこ.ろで,統制の機能として,そのすべての内容が含まれているような説を とりあげようとする場合,まず管理に.関する機能要素説が問題に.なると考えら れる。すなわち,管理に関する機能要系が多数であればあるほど,いわば「狭 い管理機能」であればあるはど,統制の機能としですべての内容が含まれにく
くな卑ものと考えられるからである。そしてまた・そ・の意味において−は,療育旨要 発が少なければすくないはど,いわば「広い管理機能」であればあるはど,わ れわれの意図脛.適合することになるわけである。
通常,機能要素説をとりあげるとき,たとえ.ば管理機能を三つの機能要素紅 分ける見解を3要素説,四つ紅分ける場合を4要素説と呼ぷ。ところが,管理
(33)