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統制機能と二つの「責任と権限の委譲」 鈴 木 勝 美 I 問題の提起 管理機能

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(1)OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ. 統制機能と二つの「責任と権限の委譲」 鈴 木 勝 美 I 問題の提起 管理機能. (management f u n c t i o n s ) のーっとしての統制 ( c o n t r o l o r. c o n t r o 1 1 ing) の機能を考える場合,そこにはつぎのような三つの大きな問題 があるように理解される。その一つは,統制機能の説明の中に計画的要素が含 まれている説も数多く見受けられる点である。すなわち,統制機能をコシトロ ー/レ・プロセス ( c o n t r o lp r o c e s s ) として展開する論者も多い。しかし,統制 とは別の管理機能として計画 ( p l a no rp l a n n i n g ) に関する機能を他に認めて いるわけであるから,それと統制機能における計図的要素の関係,および何故 それを統制機能に含めなければならないか,などの問題が生ずることになる。 またこつには,通常指揮や監督とよばれている機能を統制機能に含める論者 も多い点があげられる。しかし,たとえば管理機能が計画化・組織化・統制の 三つの機能から成り,かっそれらが管理過程 ( managementp r o c e s s ) ないし マネジメシト・サイクノレ ( managementc y c l e ) をなすものとすれば,指揮ない し監督の内容は,時間的に統制より以前に機能する組織化との関連においてそ の実施可能性が究明され,かっその結果が組織化機能によって具体化されなけ ればならないことになるであろう。そのような意味において,統制機能を明ら かにするためには,また指揮ないし監督と組織化機能との関係が問題になって くるといえよう。. c o r r e c t i v ea c t i o n ) を統制機能に含める論 そしてまた三つには,是正措置 ( 者も多い点があげられる。しかし,是正措置にも,単なる一つの行為の是正を 内容とするものから企業体質の改善ないし是正など,行為ないじ活動の量と質 と種類と期聞において,内容的には多様な是正が想定されうる。したが って, t. 管理機能との関速においても,計画化や組識化の機能に関する是正ばかりでな.

(2) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑150‑. 6 3 3. 巻 第 2号 第53. 能を必要 とする く,是正 措置その ものに関 してすら もまた計 画化や組 織化の機 のーっと しての ともいえ よろ。そ のよろに 考えると き,それ がひとり 管理機能 統制機能 のみに属 するとい うことは ,果して どのよう な解釈に. よるもの か疑問. の生ずるところである。 の統制論 を検 これらの 問題点に ついては ,すでに 別稿にお いて,デ イグィス ては,統 制機能 討しなが ら私の解 釈を述べ てきた。 デイグィ スの統制 論におい 割機能を 検討す は極めて 広い機能 内容をも ち,そこ に主張さ れ℃いる 統制の分 ると恩わ れたか ることに よって, これらの 問題点に 対する私 見を明ら かにしう いては, 単にデ らである。しかしながら, このちち とくにこ っ自の問 題点につ に考えられる。 イグイスの統制論の検討によるのみでは完全を期しえないよう )・発 n o i t a r a p e r p すなわち ,デイグ ィスが統 制の分割 機能とし てあげる 準備 (. ) などの機 能すなわ n o i s i v r e p u s ) ・監督 ( n o i t c e r i ) ・ 指 図 (d g n i t a p s i d 令 ( れわれは 「責任 ち通常指 揮ないし 監督とよ ばれてい る内容に 関する機 能を,わ に含める べきも ・権限の 委譲」に 関係する という理 由から, むしろ組 織化機能 じ「責任(権限) のと解釈した。しかし,プラワンの理論においては,それと同 りあげら の委譲」 が,管理 機能とし ての機能 要素全般 にか iわる問題 としてと れているようにも理解されるからである。 デイグィスの所論においては,. ) ・組織化 g n i n n a l p 管理機能 が,計爾 化 (. ) の三つの機能から成るものとさ g n i l l o r t n o rc lo o r t n o c )・統制 ( g n i z i n a g r o ( れている。そしてまた,. 責任と権限の配置ならびに委譲」は,それらのろち組 r. スが展開 する統 織化機能 に含まれ るものと されてい る。した がって, デイグィ ・権限の委譲」 制の分割機能の内容を検討するさいにおいても,そとに「責任 機能を, 統制の に直接関 係すると 認められ る機能が ある場合 には,そ のような ことは, 理論の 分割機能 から除外 し,組織 化機能に 含めるべ きものと 解釈する J 呑川大学経済論議,第50巻,第5・6号. 完) 2・ の概念 ( 経営統制j I s, r e h t o ' ! r& B e p r a s,TheFundamenfalsofTot Management,H i v a .D .C )R 2 (. ) 拙稿 1 (. ツプ J(上). .238‑‑39.なお,訳書として,大坪壇訳「管理者のリーダ‑i/ p 1,p 5 9 1 , 日本生産性本部,がある。 年 年 下 ) 昭 和 38 7 昭和 3.

(3) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 統制機能と二つの「責任と権限の委譲」. 337. ‑151‑. 展開として許されるところであろう。 しかしながら,. 「責任(権限)の委譲」を基礎として経営ないし管理論を展. 開ずるような, たとえばブラワンの組織論においては, このような責任・権限 の委譲の問題は,単に管理機能のーっとしての組織化機能のみにとどまらず,む しろ管理機能としての機能要素全般に関する問題としてとりあげられているよ うな印象を受ける。 したがって, この観点からすれば,. 「責任・権限の委譲」. を組織化機能のみの問題であるとする基本的前提が揺ぐことになり, デイグィ スの主張する統制の分割機能の中から責任・権限の委譲に関する機能をとりだ して, それを組織化機能に属すると主張するととも困難になると考えられる。. ;liai‑‑. そこで, このような「責任と権限の委譲」に関する相違を解明するために, 組織化機能の問題となるそれと,ブラクシの理論におけるそれとの意味ないし 範囲を検討する必要が生ずることに なる。しかしながら, ブラクシの理論にお l. いては,. 「責任(権限)の委譲」を基礎として,経営活動全般にわたる説明が. なされている。 したがって,単に組織化機能のみをそれに対比して考えること はできない。むしろ, ブラワンの理論の「責任(権限〉の委譲」に関係すると思 われる管理機能のすべてについてそれぞれの機能分野の対応を検討し, その中 において,組織化機能の問題とする「責任・権限の委譲」の意味ないし範聞も はじめて明らかにすることができるものと考えられる。 このように, ブラヲシの理論との対応は,管理機能としてのすべての機能要 索にわたって行なわれなければならない。そのような管理機能としてデイグィ スの三つの機能要素をとりあげることにしたい。しかし, デイグィスのそれぞ れの機能要素の区別には,内容的にかなり瞭味な点がある。そこで, むしろプ ラワンの理論の中から,管理機能としての機能要素に相応する内容を究明し, それを媒介として,組織化機能の問題とする「責任・権限の委譲」の意味を明 らかにすることにしたい。そして, そのような究明の過程において, われわれ. I ' O W n,O r g a n i z a t i o no fI n d u s t r y,P r e n t i c e ‑ H a, 1 l 1947. 安部隆一訳編 ( 3 ) AlvinB 「経営組織」日本生産性本部,昭和 38年 。.

(4) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 338. 巻 第 2号 第53. ‑152‑. 委譲」 がさきにデイグィスの統制の分割機能を解釈しなおしたさいの,上記「 なるであ ろう 以外に関 する解釈 そのもの の妥当性 もまた再 検討され ることに し,さら に"管理 機能とし ての機能 要素のそ れぞれの 輪郭も,. またいっ そろ明. らかになっていくものと考えられる。. E ブラワンの責任委譲説と「経営活動の諸部面」 一方では 組織 すでに指 摘したよ うに,同 じよろな 「責任と 権限の委 譲」が, ての機能 要素全 化機能の みの問題 とされ, 他方の理 論におい ては管理 機能とし これら両 者の 体にか Lわる問題 であるか のような 印象を受 ける。し たがっ乙 われわれ の意図 聞には何 らかの考 え方の相 違がなけ ればなら ないはず でああ。 のよう は,二つの「責任と権限の委譲」の意味ないし範囲の相違と同時に,こ としての 機能要 な両者の 考え方の 相違を究 明しなが ら,かな り暖味な 管理機能 とがまた デイグ 素のそれ ぞれの区 別をより 明確なも のにし, ひいては ,そのこ のみをとりだし ィスの極めて広い統制の概念から,とくに彼のあげる比較機能 てそれこそ統制の機能であるとしたわれわれの解釈の妥当性を. 証明しようとす. る点にある。そこで,管理機能としての機能要素に相応する内. 容を究明するた. めに,ま ずブラワ ンの理論 をとりあ げ,いわ ゆる組織 論として. の枠組み を考察. しておくことにする。. ) を基礎と して「組 織 s n o i t a z i n a g r fo so e l p i c n i r p 6の原則 ( プラワンは, 9 組織は,より効果的な協同的努力のため I 論」を展 開してい る。彼に よれば )の e s i r p r e t n e ( の手段である。 J (原則 1)とされ る。この 協同的努 力は企業 ) を達成す るために なされ, この目的 を達成す るための 諸努力 e s o p r u p 目的 ( ) とよばれる。したがって,組織はまたより効果 n o i t a r t s i n i m d a は経営活動 ( て, 的な経営活動のための手段であるということができょう。このよろにし それら 「企業のより効果的な経営活動のために,組織は,その構成員の責任と ,経営活 動とし 責任聞の諸関係を明示する。」ことになる。 このよろ な責任は ) 4 (. Brown,ot. cit.. P. 26..

(5) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑153‑. 統制機能とこつの「責任と権限の委譲」. 3 3 9. ての諸努力を分割した各個人の分担部分を意味するから,委譲の過程によって 各構成員に課せられることになるのである。ブラクシの組織論は,このように 「責任の委譲」を中心として展開されることになる。 この責任と「権限」との関係はまたつぎのように定義されている。すなわ ち. I 義務と権限についての内在的な諸関係は,責任の委譲から自動的に生ず I 責任を受け入れると,その遂行に対する等量の. る 。 J (原則 1 6 ) のであり. 義務が生ず、る。 J(原則 1 7 ) ことになる。このよラな責任の委譲そしてまた再委 譲によって,ブラワンが重視する「責任の連鎖 ( c h a i n so fr e s p o n s i b i l i t y )Jが 生まれる。責任の連鎖は,経営活動がつぎつまに個人的分担部分として分割委 譲せられて末端にいたる過程の中に把握せられるが,権限はこれと同じ方向を とり,義務はこれと反対の方向をたどることになる。そのような権限は. I 責. 任を遂行するための必要にして適切なすべての手段を含む。 J (原則 2 5 ) もの であり. I 受任者 ( d e p u t y ) に対しては,その義務の履行を強制する力であ. 6 ) とされ℃いる。 る 。 J (原則 2 ところで,. このように 責任(権限)の委譲によって生じた,受任者の義務 l. を履行せしめる力を,ブラクシはまた「監督 ( s u p e r v i s i o n )Jとよぶ。したが って「監督」は,その範囲内に おいて権限と一致する。しかし,それはまた同 l. 時に委譲者の責任の一部すなわち監督責任をも意味する。. I 監督」はこのよラ. に委譲した責任について発生し,どちらかといえば,責任よりも権限の側面を 強調して表現されたものと理解される。これと別に存在する「留保責任 ( r e s 副. e r v e dr e s p o n s i b i l i t y )Jとの合計が委譲者の責任となる。委譲者は,重要性の 大きな部分,あるいは委譲が有利でも容易でもない部. d k「留保責任」として. 残し,イ也の責任は委譲し,そ れが「監督」に転化することになる。権限は,責J l. ( d e l e g a n t ),委譲さ れる者を受任者とよんでいる (Bx . own,O p .c i t ., p . 3 4 )。 ( 6 ) プラクシは,経営活動の諸部面のうち, 1"実行」が最も委譲されることが多むついで 計画」の順に少なくなるとしている(原則 7 5 )。また, とくに「計画」 「視査J, r のラちの最終的行為である「決定」は,最も委譲されることが少ないものとされる (BIown, 。ρ .c i t ., p . 2 2 0 )。 ( 5 ) プラクシは,いずれの階層を関わず責任を委譲する者を委譲者.

(6) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第 53 巻 第 2号. ‑154ー. 340. 任を遂行するためのカでもあるから, このような「留保責任」に関しても行使 されるものと考えられる。 ブラクシは,このようにまず或る構成員の責任の一部が「留保責任」とな り,同時に他の責任が委譲せられてその構成員(委譲者)の「監督Jとなり, さらにつぎの下位の段階において,委譲せられた責任が「留保責任」と再委譲 による「監督」とを生みだしていく過程を組成の基本的な内容と考えている。 他面において,ブラクシは,. I 経営活動の諸部面 ( p h a s e s ) J として「計画. ( p l a n n i n g )J ・「実行 ( d o i n g ) J ・「視査 ( s e e i n g ) J の三つをあげている。 プラワシによれば,これらは活動を遂行するときの身体の各部分に関連づける ことができるとし,各部面を象徴的に, I 計画 J は主として頭 ( mind)の仕事' 「実行Jは手の仕事. I 視査」は;限の仕事であると述べている。つまり,とれ. らの部面は,経営活動の時間的発現の順序を意味すると同時にそこにおける仕. work) をも意味するものであることは注意されなければならない。とのよ 事 ( うな三つの部面が,責任の内容としてどのように含まれているかが,. I 監督」. と「留保責任Jとの質的相違を示すことに なる。 l. すでに述べたような,責任が委譲されることによって「留保責任」と「監 督」が生みだされていく過程においては,責任の委譲および再委譲のさい,こ れらの三部面が分割されることなく一括的に行なわれることになる。すなわ ち. Iそれらの諸部面は密接に関連しているので,計画の全部もしくは視査の. 全部を委譲される実行から切離して留保することはとうてい不可能であるとい ( 8 1. えよう。」. とされる。しかし,これらが一括して総合的に委譲せられるといラ. ことは,それらが必ずしも等量に委譲されることを意味するものではない。む しろ, この責任の委譲は「実行」を中心として行なわれるために,委譲のさい それに必要な範囲内において最小限の他の部面が付加されるものと解釈され る。プラクシは,このととについて「ある責任が諸部面のすべてを内容とする. I 計画」で「進路を示し J, i 実行」でそれ 視査Jにおいてとれを確認する,旨を述べている ( cf .BIown, に従って達成し I o ρ .c i t , ぃ p.2ゆ6). ( 8 ) , 9 ) B Iown,0ρ .c i t .,p .2 1 6 .. ( 7 ) とれらの関係についてプラクシはまた.

(7) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 3 4 1. ‑155ー. 統制機能とこつの「責任と権限の委譲」. ときには,それは主として実行にあてられているといえるむ. と述べている。. さらに,企業の規模が拡大するにしたがって,そのような責任の委譲のみな らず1"留保責任」にもまた委譲の必要が生じてくる。1"留保責任」は「計 画」と「視査」の二つの部面を内容とする。そこで1"監督に失敗し,経営活 動が危うくならないように,そのために彼は,. これらの計画および視査の事柄. に対する処理能力を拡大する方法をみいださなければならないロ〉ことになる。 これが「留保責任の委譲」である。 これまで,われわれは「責任(権限〉の委譲」を基礎とするいわゆるブラク ンの紛織論を,これから展開する内容の理解に必要な最小の範囲において,考察 してきた。そこにおいては,企業目的を達成するために経営活動が行なわれ, この経営活動の時間的な発現順序による局面として,. 1"計画」・「実行」・「視. 査」の諸部面が措定せられている。したがってこれら諸部面は,また企業目的 達成のためにあるといえよろ。目的達成の実体的な活動は「実行」の部面によ るから,それ以外の他の諸部面は,また直接および間接的に「実行」への役立 ちによってその存在意義が認められることになる,といえよう。1"実行」は他 の諮部面とともに,責任の内容となって上位の階層から下位の階層へ委譲さ れ,最終的には作業の階層において達成されることになる。他面において,責 任が委譲されるとさ,各段階の委譲者に留保される責任があり,. その内容は. 「計画」と「視査」の部面であって, これもまた,委譲者の能力の拡大を意図 して委譲が行なわれることになる。このように,. 1"責任(権限)の委譲」は,. すべての経営活動の効果的な達成のための手段として.,それとの関速におい て,企業全体の問題として展開される乙とになるわけである。 このようなブラワシの理論から管理機能に相応する内容を究明しようとする 場合,とくに彼のいラ「経営活動の諸部面」に着目する必要があるであろう。 しかしながら管理機能は,もともと管理者の活動に共通に存在する機能を意 識的に抽出して究明しようとしたものであるから,責任(権限〉の委譲とその. 江 田. BlOwn,O p .c iふ , p .2 2 4 ..

(8) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑.156 ー. 第53巻 第 2号. 342. 内容的関係を組織として全体的に把握しようとしたプラクシの説と,視点のう えで相違があるのもまた当然のことといえよう。そこで,管理者の視点からブ ラクシのいろ「経営活動の諸部面Jをとりあげるとともに,その視点からこれ らを把握するために,さらに,それらを内容とする委譲者ないし管理者の責任 (権限〉すなわち「留保責任」および「監督」との関連を重視する必要が生じ てくることになる。. m. [""留保責任」と計画化機能の関連. 管理機能が,計画化・組織化・統制の三つの機能要素によって構成されるも のとすれば,これらはまた,機能的発現の順序を意味するところから,プラク シのいろ経営活動の時間的発現の1 ) 民序をも示す「計蘭」・「実行」・「視査」 の部面との聞にそれぞれの内容的類似性が,まず考えられるところであろう。 しかし,そのためには,ブラクシの「経営活動の諸部面」に関するとりあげ方 の視点を,責任の委譲全般としてではなく,管理者に置く必要がある。ブラワ シの所説における管理者とは,委譲者と受任者との閣の関係における委譲者を 意味するものと考えられる。したがって,管理機能に対して,ブラワンのいう 諸部商を関連づけて考えるためには,その諸部面を責任として分担する委譲者 の視点に関係づけたのちに,管理機能に相応する内容が究明されなければなら ないことになる。 ブラワンのいう委譲者の責任とは[""留保責任」と,受任者へ委譲した責任 に対する「監督Jがあげられる。このうち「留保責任」は,もともと委譲者に 留保された責任を意味するから,それは同時にまた管理者の責任をも意味す町る ものといえる。したがって,このような「留保責任」の内容をなす「計画」と 「視査」は,管理機能においてそれと同じ順位で発現する計画化と統制との内 容的対応がそのま L可能であると考えられる。そしてそこからまた,管理者の 立場を意識的に配慮しなければならないのは,むしろブラワンのいう「監督」 ないし「実行」を中心とする部面と組織化機能との関連を考察するさいにおい てであろうと考えられる。これについてはのちにとりあげることにしたい。.

(9) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 統制機能と二つの「責任と権限の委譲」. 343. ‑‑157ー. しかしながら,プラワンのあげる経営活動の部面としての「計画」は, この よラな「留保責任」に関するものばかりではない。委譲者から受任者へ委譲さ れる責任には,. r 実行」を中心としてそれに必要な最小限の「計画」および. 「視査」も含まれている。このように「計画」についての二つの側面が存在す ることは,またこつの問題を提起するととになる。その一つは,これまで管理 機能としての計画化に相応する内容として経営活動の一部面としての「計画」 を考えてきたが,そのとき・の「計画」とは,前記二つの側面を含めた「計画」と すべきか,あるいは「留保責任」に関する「計画」のみを対象とすべきかとい う問題である。. r 計画と視査が実行から全面的に分離されることは決し てありえない…?〉と,受任者へ委譲される責任に関して, r 実行」のみなら プラワ γによれば,. ず必ず「計画」もまた付加されることを強調している。他面において,管理機 能を構成するそれぞれの機能は,管理者トが管理するための機能として個別的な 独立性が認められる必要があり,かつまたそのことによってはじめてそれらの 相互関係を考慮することができることになるといえよう。さらにまた,それら は,管理する機能として,管理者の立場から行ろ活動を意味すると同時に,活 動面において一応は個別的に実施可能でなければならないはずである。したが って,計画化機能と内容的に相応すると考えられる経営活動の部面は,ニつの 側面の「計画」を含むものとしてではなしむしろ「留保責任」に関する「計 画」のみがとられなければならないことになる。しかし,計画化機能が. r 計. 画」の二つの側面のうち一方のみと相応ずることになると,この「計画」の二 つの側面としての内容をどのよろに区別するかという問題が生じてくるととに なる。これが二つ自の問題である。 このよろな「計画」の二つの側面の区別について,ブラクシは具体的な基準 を示し ていない。他方においてブラワシは l. r 通常委譲の必要性は,いろまで. もなく,経営活動の分担部分がー構成員の能力を越える場合に生ずる。分担部 日 1 ) Brown,o p .c i t .,p. 232..

(10) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑158ー. 第53 巻 第 2号. 分が多岐もしくは複雑になるからそれが彼の能力を越えるよろになる。」. 3 4 4. と述. べている。換言すれば,ある構成員の仕事が多岐になり,複雑になってくると 委譲される責任が多くなり,したがってまた留保される責任も小さくする必要 性が生じてくるといえる。しかし,責任の委譲の必要性からすれば,このよろ な責任の量,すなわち責任に含まれる経営活動の諸部面の量的側面が重視され ることになるであろうが,管理機能との関係においては,むしろ質的側面に注 目しなければならないように考えられる。 委譲者から受任者、へ委譲されることによって生ずる「実行責任」は「実行」 の部面を中心とする。したがっ'亡,委譲のさいそれに付加される「計画」も, またそれと密着した側面でなければならないはずである。しかも,受任者にと っては1"実行」のみならずそのような「計画」もまた受任者自身の責任にお いてある程度正確に実施可能でなければならない。そとで,そのような性質を もっ「計画」の一つの要件としてノレーチシ化されていることがあげられるであ ろう。/レーチン化されていることによってその「計画」は,はじめて受任者の 果すべき責任として委譲が可能になると考えられるからである。ところが,こ のように1"計画」に関する二つの側面は,それが jレーチン化されているかど うかによって一応区別しうるにしても,プラワンの所説を,なおよく検討して みると,さらに「計画」に第主の側面ないし部分のあることが理解できる。プ ラワンは,委譲される責任に関して,そこには「実行」とそれに必要な最小限 の「計画」と「視査」の部面が含まれるものとしている。しかし,これは受任 者へ委譲されることによって生ずる実行責任に関する部面である。これに対し て,責任を委譲する委譲者の「監督」に関してもまた「計商」の部面が含まれ ているように理解される。これが「計画」の第三の側面と考えられるものであ ( 1 2 ) Brown, ot. c i t .,p .1 41 . ( 1 3 ) プラクシは,委譲者から委譲される受任者の責任を「実行寅任 ( doingr e s p o n s i b i・. ! it y ) J とよび. r 部面責任. ( p h a s i cr e s p o n s i b i l i t y ) J と区別している (Brown, 経営活動の各部面に関する受任者の責任であれ それらの部面が混合される場合には,その中で最も多く傾注する部商の名称を部面責 計画J, r 視査」に関する部面 任の名称にすべきであるとしている。ブラワシは r 実行」についての部面責任をもあげ℃いる ( i b i d .,p.228)。 責任ばかりでなく, r. ゆ .c i t .,p. 242). 部面責任は,.

(11) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 345. 統制機能と二つの「責任と権限の委室長」. ‑159‑‑. る 。 ブラクシが,主として「留保責任 J, ["監督」および「実行責任」の三つの うちのいずれの責任との関連で,. ["計画」および「視査」の部面を説明してい. るかをみると, [ " 計 画 j については「留保責任」と「実行責任」に関する説明が 中心となっている。その反面,. ["視査」については,主として「留保責任」と. 「監督Jに関し℃説明がなされている。したがって. ["経営活動の諸部面i Jが 時間的 j 順序において発現するものとするならば,. ["計画」の部面については. 「監督」に関する側面の説明が,また「視査」については「実行責任」に関す る側面の説明が,ともに不明確であるよろに思われる。そこで,プラワンがそ れほど明示的に説明していない「計画」の側面,すなわち委譲者が「監督」と して受任者に対し個人的な権限を行使するために必要とされる第三の「計画」 の側面が,すでに述べた「計画」のこつの側面とどのように区別されるかが, さらに問題になってくるといえよう。 もともと「監督」は,受任者の「義務の履行を強制するカ」として認められ ているから,それは「実行」のための権限といえよう。しかし,そのような受 任者個人に対する権限を行使するためには,その権限が効果的に行使されてい るかどろかを確認する意味において「視査」が必要となる。次節において指摘 するように,. ζ のような「視査」はプラクシもまた重視しているところであ. る。そしてまた,そのような「視査」との関連から,権限が効果的に行使され ているかどうかを確認するための基準すなわち受任者の個別的な活動の測定が 可能な基準が必要てw あり,そのための「計画」もまた必要になると考えられ る。このような第三の側面としての「計画」は,委譲者(管理者)の立場から 行なわれるところから,. ["本来ならば計画化機能の内容となるものでありなが. ら , w実行』との結びつきの強さによって,計画化機能の対象から切り離される もの」として理解するととができょう。そしてまた,との「計画 j は...受任者 個人に対する権限に関するものであり,かつ「実行」と強く結びついているた めに,. ["実行責任」に関する「計画」と同じような性質をもつものと考えられ. る。換言すれば,さきに委譲者から委譲されることによって生ずる責任すなわ.

(12) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑‑160‑. 第53巻第 2号. 346. ち実行責任に関する「計画」は,ノレーチン化される必要のあることを指摘した が ,. との「監督」に関する「計画」についても,その程度を別にすれば,いず. れもノレーチシ化という条件があてはまるものと考えられる。しかも後者は,委 譲者(管理者)の仕事に関係する「計画 Jであって,そこから,さきにわれわ れが,デイグィスの統制の分割機能を解釈しなおすことによって計画化機能に あてはまるものとした日常的計画化. ( r o u t i n ep l a n n i n g ) およびスケジコー. s c h e d u l i n g ) の機 能 は , 実 は , 内 容 的 にこ の ような 「 監督」 に 関する ル化 ( 「計画」を意味するものと考えられる。そして,と i において,われわれは, デイグィスが「創造的計画設定 ( c r e a t i v ep l a n n i n g ) J のみを計画化機能とし た意図を汲みとることができるように思われる。すなわち, 督」に関する「計悶」の側面を除外し. このような「監. i 留保責任」に関する「計画」の部分. のみを計画化機能に相応するものと考えるとき,創造的計画設定であるといろ 条件によって計画化機能としたデイヴィスの基準が,そのまま「留保責任 Jに 関する「計画」の条件としてもあてはまるよろに理解されるからである。それ によってまた,創造的計画設定がたえずノレーチン化されていさ,同時に他方に おける委譲者の仕事の多岐・複雑化にともなって,それが受任者の実行責任に 含まれていく過程が考えられることになる。 しかしながら,そのような「計蘭」に必要とされる「創造的」という性質 は,あくまでも管理の階層との関係において問題とされるものであることは注 意されなければならない。責任が委譲され再委譲される過程の中におい‑C.各 階層ごとに「留保責任」が生じ,したがってまた. i 留保責任」に関する「計. 画Jもまた階層ごとに存在するといえるからである。そのような責任の委譲の. r 計画につい亡,多くの場 合区別が可能であり,かつ区別の特徴ともなるこつの局面がある。まずはじめに,計 画はもちるん方針を扱う。方針が決定されると,通常,方法 (method) をくふうす るととが残される。後者の局面は,より詳細なものとなり,重要性がより低くなるこ t .c i t . . とが多い。したがって,委譲の主体としてはより適している。 J (BIOWn. o p . 234) と述べ℃いる。このような「計画」に関するこつの局面の区別は,また,そ れに関してわれわれが「ノレーチシ化」されたものと「創造的計画設定」とを区別しよ うとするときの,一つの手掛りをあたえるものと考えられる。. ( 1 4 ) プラクシは,部商責任となる責任の分割委譲に関連して.

(13) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 3 4 7. 統制機能とこつの「責任と権限の委譲」. ‑161ー. 過程を全体としてではなく,プラワンのいう「責任の連鎖」のそれぞれのひと こまとして,しかもそ れを委譲者(管理者)の視点から考察することによっ i. て ,. r 留保責任」に関する「計画」を管理機能である計画化機能の内容として. 考えることが可能となる。いわば,各管理者の視点において,階層的に「創造 的」であることが. r 留保責任」に関する「計画 j ないし計画化機能として重. 要であるように考えられる。したがって,さきにわれわれが, 日常的計画化や スケジューノレ化機能のような Jレーチシ化されたものとみられちるよろな計画ま でも一律に計画化機能に含ましめよろとした考え方も,この点から改めなけれ ばならないであろう。そして,それとともに,デイグィスの示した「創造的」 という基準を,管理の階層別に明らかにすることが,今後の管理機能としての 計画化機能の確立のために,必要であるよろに理解される。. r 留保責任」と統制機能との関連 これまでとりあげてきた「留保責任」は, r 計画」のみならず「視査」の部 視査」についても,第ーに「留保責 国をも含んでいる。 したがってまた, r I V. 任」に関する部分と、第二に受任者へ委譲せられる責任の内容として「実行」 に付加される部分と,さらに. r 監督」に関する第三の部分とが認められるこ. とになる。これまで,管理機能に相応する内容を考えるうえから,委譲者(管 理者〉の立場を重視してきた。そこで,委識者から受任者へ委譲せられる責任 に関する「視査」は,さきに「計画」に関連して述べたのと同じような理由に よって考慮の外に置くものとすれば,つぎに. r 留保責任」と「監督」とのそ. れぞれに関するこつの「視査」の区別が問題になることになる。しかし,ブラ ワンの所説におけるこの両者の特徴は,かなり明らかに示されているように考 えられる。 ブラワシの理論においては,受任者に委譲される委譲者(管理者〉の責任は 「監督」に転化し,その「監督」としての権限は受任者個人を対象とすること になる。これについてプラクンは「企業のある構成員が責任を委譲するとき, この権限の性質は(権限の範闘ではないが〉変化する。個人の経営活動に付帯.

(14) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑162‑. 第53 巻 第 2号. 348. する一般的な権限,そしてそれ故に非常に多様な対象に及ぼすことがある一般 的な権限に代って,単一の個人に及ぼす特別な権限となる。」と述べている。 すなわち,受任者個人に及ぼす特別な権限を,ブラクンは「監督」と呼ぶので ある。したがって,そのような「監督」に関係する「視査」の部分もまた受任 者に対する個人的な権限に関係することになるといえよろ。 このような個人的権限に関する「視査」の部分と区別されるものとして「留 保責任」に関する部分が認められることになる。 査」について,ブラワンは. I 留保責任 Jに関する「視. Iまた,視査を監督と混同する傾向が幾分ある。. 用語を大まかに使えば,ある一定置の視査は監督にとって不可欠なものであ る。しかし, これは異なる意味の視査である。経営活動の一部面としての用語 は,経営活動の各行為について満足な完了を確かめる明白な行為を意味する。」 と. I 留保責任」に関するものが本来の「視査」と呼ぶにふさわしいものであ. ることを述べ,その特徴として「各行為の満足な完了の確認」をあげている。 また,この他にもブラクンは,そのような「視査」が失敗を見出す機能を持 ち,あるいは「計画」の未解決の問題を探し出し将来のよりよい計画設定のた めの基礎資料を提供するものであることを指摘している。 これらの点から,. I 留保責任」ないし委譲者(管理者)の立場からする経営. 活動の部面としての「視査」の内容は,管理者が管理するための仕事ないし機 能としても充分理解しろるものといえよう。そしてまた, このようなブラクシ の「視査」の内容は,情報の入手と蓄積,完了した活動の定期的な評価,その 結果の報告,などを内容とするデイグィスの比較機能 (comparisonfunction) と,ほぼ同じようなものであることが理解できる。したがって,そのような意 味から,ブラクンのいう「留保責任 Jに関する「視査」の部分とわれわれのい う管理機能としての統制機能とが,内容的に対応するものであるということが できるであろう。 U 5 ) Brown, 。ρ .c i t .,p .6 2 . .c i t .,p .2 1 9 . U 6 ) Brown,0ρ ( 1 7 ) Brown,ot. c i t .,p p . 208‑09..

(15) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 349. ‑163ー. 統制機能と二つの「責任と権限の委譲」. これまで,管理者の立場を重視しながら考察してきた結果,ここにおいてわ れわれは,. r 留保責任」に関する「計画」と「視査」の部面の内容が,管理機. 能としての計画化および統制の機能にそれぞれ相応するものとして認めること になった。いわばそのととは,. r 留保責任」に関する「計画」および「視査」. の仕事を委譲者(管理者〉の立場から行うとき,それらはそれぞれ計画化およ び統制の機能的内容となることを意味する。いまこれを図示すれば,つぎのよ うに表現しうるであろう。 留保責任に関する部面と管理機能 委譲者(管理者). 「言十商」今計画{I:;. . r 視査」今統制j. しかしながら,それに関して,さらに指摘しておかなければならない基本的 な問題が,まだ残されているよラに考えられる。ブラワンの理論においては., 責任(そしてそれによっておのずから生ずる権限〉が委譲そして再委譲される とき,それぞれの段階の委譲者(管理者)の手許に留保される責任として「留 保責任」が生ずる。したがって,その「留保責任」に関する「計画」および 「視査」の部面も,責任(権限)の委譲との関連のもとに究明されることにな る。そして,そのことはまた,それらの部面の内容に相応すると考えられる計 画化および統制の機能も,責任の委譲に関係づけながら問題とすることができ ることを意味する。換言すれば,ブラクシの理論からすれば,責任の委譲との 関係において計画化および統制の機能もとりあげうることを意味し,. r 責任・. 権限の委譲」を組織化機能のみにおいて問題とするデイグィスの所説と相違す U 8 ) この図はブラクシの示した図 (Brown,0ρ . cit.,p.77) に 部面および管理機能の名称,などを書き加えたもの で忘る。 l. r 委譲者(管理者) J,.

(16) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第53 巻 第 2号. ‑164‑. 350. ることになる。 もともと管理機能が,とくに管理者の管理す町るための機能として重視される 所以は,それを構成する各機能が,相互に有機的な関連を有しながら,しかも 相互が同等の地位を持つものとして,そこに個々の機能的独立性が認められる ところにあると考えられる。したがって,管理機能の視点からすれば,責任な いし権限の委譲は,むしろ組織化機能とのみに関係し,計画化および統制の機 能とは関係がないものとされなければならないはずである。そこで,つぎに, 管理機能としての計画化および統制の機能が,組織化機能の問題とする「責任 ・権限の委譲」とは切り離されたものとして,考えることができるかどうかを 明らかにしなければならない。 われわれは, これまですでに管理者の立場を重視しながら考察をす. Lめてき. た。このことは,プラワンのあげるいわゆる「責任の連鎖」の一つの鎖におけ る委譲者(管理者〉の視点から考察することを意味する。このような立場から 考えることによって,ブラワンのいう「経営活動の諸部面」も,管理機能に相 応しうるものとしてとらえることができると理解されたからである。しかし, さらにそのことは,同時に委譲者(管理者)から受任者へ責任を委譲されるそ の委譲のみが,. I 責任・権限の委譲」としてとりあげられることをも意味す. る。すなわち,委譲者(管理者)そのものの責任としての「留保責任」は, 「責任・権限の委譲」の対象としてとらえる必要がないものとなる。そのこと によって,. I 留保責任」に関する「計画」と「視査J,そしてその内容に相応. する計画化および統制の機能は,責任・権限の委譲から切り離されることにな り,それはまた同時にそれらの機能が組織化機能から切り離されるととを意味 するから, ここにおいてはじめてそれらの管理機能としての独立性が認められ ることになる。このよラな意味において,管理機能としての組織化機能との関 連において問題とされる「責任・権限の委譲」は,ブラクンのいう「責任(権 限〉の委譲」よりも,むしろ彼のいう「監督」に関する責任(権限〉の委譲の みに限定された狭い意味を持つことになるといえよう。そして,委譲者から責 任を委設された受任者は,また自己の責任を再委譲するとき,それはまた委譲.

(17) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 統制機能と二つの「責任と権限の委譲」. 351. ‑165ー. 者(管理者)として考えられることになるから, このような意味における委譲 者をも含めて,それら管理機能は,. 委譲者(管理者〉が管理するために共通. に必要とされる機能として,その存在意義が認められることになるわけであ る 。 しかしながら, このように解釈することによって組織化機能に対する計画化 および統制機能の独立性が認められるものの,ブラワンが経営規模の拡大にと もなってその必要性を指摘する「留保責任の委譲」の解釈に関連して,さらに 別の新らたな問題が生じてくることになる。すなわち,プラクンは,経営規模 の拡大にともなって,委譲者が「監督」に失敗し経営活動を損なうことがない ように,. I 留保責任」に関する「計画Jおよび「祝査」をも委譲することにな. るという。いま,委譲者(管理者)の立場よりする「計画」および「視査」の 仕事は,また管理機能としての計画化および統制の機能を意味するものとすれ ば , このよろな「留保責任の委譲」をどのよろに考えるかによって,それらニ つの機能の独立性が歪められることにもなるわけである。 ブラワンは, このような責任の委譲をも組織の問題としてとらえている。し かし,デイグィスが組織化機能の問題とする「責任・権限の委譲」には,この よろな責任の委譲を含めるべきではないように考えられる。このような「留保 責任の委譲 Jは,受任者個人に及ぼす特別の権限としての「監督」に転化しな いよろな,当該委譲者(管理者〉そのものが果す計画化および統制機能の延長 線上の問題として理解すべきであるからである。 ところで,. I 留保責任の委譲」に関連して,ブラワンのいう「部面責任」を. あげることができる。このような部面責任の形成を,藻利教授は「統一的管理 を堅持しながら,なおかつ,管理者の能力を拡大する方法」と解され,その内 容を「管理権限の行使に必要な諸種の準備業務」ないし「管理事務」として定 義し,統一的な管理に必要な「管理責任」とその準備業務としての「管理事 務」とを区別されている。そして,後者の内容をさらに具体的につぎのように ( 1 9 ) 仰を参照されたい。.

(18) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑166‑. 352. 第53 巻 第 2号. 表現されている。すなわち「職能組織を形成する水平的・質的責任委任の場合 とは異なり,. ここでは『管理責任』そのものの分担は行われないで. 任』はあくまで,管理者がみずからこれを担当するとともに,. これまで管理責. 任のうちに理解せられてきたもののちちから,純粋の管理責任と, る準備業務とを区利し,後者のみを摘出して,. w 管理責. とれに対す. これを『管理事務』として委任. するわけである。ブラワン的表現をもってすれば,これには計画事務,および 考査事務が含まれ,さらに,. このほかに,監督のための監督事務もまた含まれ. (20). うるはずであるりと。このように,藻利教授は部面責任の内容を「管理事務」 と理解され,そこには「留保責任」に関する「計商事務」および「考査ないし 視査事務」ばかりでなく,. 1"監督事務」をも含むものとされている。これらの. うち前の二つは,もともと「計画」および「視査」に属するものでありなが ら管理者がその能力を拡大するために,. 1"管理事務」の内容として分離委譲. されたものと考えられる。われわれはすでに,. 1"留保責任」に関する「計画」. および「視査」を,委譲者(管理者)が管理するために必要な管理機能の内容 として,それぞれ計画化および統制の機能に相応するものであることを理解し てきた。したがって, 1"計画事務」および「視査事務Jも,またその点から計画 化および統制機能の内容をなすものとみることができるであろう。そして,さ らにそのことは,. 1"監督事務」についてもまたあてはまるよろに考えられる。. 「監督」は,. 1"実行」の達成を意図した委譲者の受任者に対する個人的権限. ( 2 0 ) 藻利重隆箸「経営管理総論(第二新訂版 ) J千倉書房,昭和41年 , 384‑85:'ージ。. なお,プラクシの「部面責任」と「実行責任」の相違に関する説明では,モれらが, 藻利教授のいわれる「管理事務」と「管理責任Jにモれぞれ相当するような表現をし ている (BIown,ot. C仏, pp.242‑43)。 しかし,そとにおける「部面責任」の内 容は「計画」と「視査」に関するものである。ブラクシは,他の箇所で,とれら以外 w 実行』に関する部面責任 j をあげている ( i b i d .,p.228)。とのような「部 にも r 実行責任」と同じく「実行」を中心とする責任といえるが,とれら両 面責任」は r w 実行』 者の相違は,プラクシの説明においても不明確である。したがってまた, r に関する部面責任」を「管理責任」と Lて解釈しうる可能性もある。また, ~義利教授 も r 計画Jの最終段階としての「決定」を「管理の権限そのもの」と表現し,それ を「管理事務」から除外されている。とれらの点から,ブラワンのいラ「部面責任」 が,すべて「管理事務」を意味するものということはできない。.

(19) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 3 5 3. 統制機能とこつの「責任と権限の委譲」. を意味するにしても,そこには,. ‑167 ー. そのために必要な最小限の「計闇」および. 「視査ないし考査」を含むものと考えられる。そして,この場合の「実行 j の 達成を意図する活動は,むしろ権限の行使そのものとして理解せられるから, 「監督」に関する「事務j としては,. I 計画事務」および「視査事務」が考え. られることになるであろう。すでに考察したように, , て. I 監督」との関係におい. I 計画」および「視査」につい℃第三の側面ないし部分の存在することが. 認められた。これらは,いずれも,もともとは管理者が管理するための機能的 内容として認められるべきものでありながら,. I 監督」といろ「実行」の達成. を強く意図する個人的権限の特質のために,計画化および統制の機能に含めて 考えることができないものとして理解してきた。したがって,それら「計画」 と「視査」に関する「事務」は,もともと「計商」ないし「視査」であるとこ ろの「準備業務」が,. I 監督」という「実行」を重視する個人的権限から解き. 放されるととによって本来の性質をとりもどし,. I 管理事務」に含められると. ともに,計画化および統制機能との関係もまた生きかえってくるようになるも のと理解される。しかし,それらは,あくまでも「実行」に強く結びついたも のであるだけに,その「事務」もまた,. I 実行」の最終的実現をはかる段階と. しての作業に結びついた物的技術的性質を強くもつものとなる,ということが でまるであろう。 いずれにせよ,ブラクンのいう「留保責任の委譲 J,および「監督の委譲」 は,管理機能としてのそれぞれの機能の独立性のうえから,. 。. これらを,その組. ) 1 このよラな「管理事務j の内容は r スタフ ( s t a f f )Jの名称のもとにとりあげられ スタフ」の用語は,これ以外のものにも使われその意味も るととも多い。しかし, r サービス・スタブム 多様である。山域教授は,とのような多様なスタブ観を整理し, r スタフ・ア νスタシト J, r アドパイス・スタブ」 「スペ νャリスト・ヌタフ J, r などの見方がある ζ とを指摘されている(山城章著「増訂経営学要論」白桃書房,昭 和5 4 年 , 178ー7 9ページ)。これらのうち, 山城教授は, 最後の「アドパイス・スタ スペ乙/ヤリスト・スタフ」 フ」がスタフ問題の中心であるとされている。しかし, r も結局「アドパイス」による「スタブ」であるから,一種の「アドパイス・スタフ」 とみて,そとに含める見方も成り立ちうると考えられる。そして,そのような「スペ νャリスト・スタフ」の機能が,本文における「監督事務」の主たる内容をなすもの と理解される。.

(20) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑168ー. 第53巻 第 2号. 354. 織 化 機 能 の 問 題 と す る 「 責 任 ・ 権 限 の 委 譲 Jと 理 解 す べ き で は な し む し ろ 計 画 化 お よ び 統 制 機 能 に か Lわ る そ の 遂 行 上 の 問 題 と し て , そ こ に 含 ま れ る も の と理解すべきであろろ。藻利教授はさらに,そのよろな「管理事務」が「集中せ ( 2 2 ). ( 2 3 ). ら れ る こ と に よ っ て 専 門 的 な 管 盟 事 務 部 門 の 形 成 を 見 る Jこ と と な り , そ の 内 部において「管理事務の管理」が成立する点を指摘されている。われわれは, そ の と き , そ こ に 新 ら た な 「 監 督 」 に 関 す る 「 責 任 ・ 権 限 の 委 譲 Jが 生 ず る こ とによって,組織化機能の問題もまた生ずることになるものと考える。換言す れば,管理機能としてのそれぞれの機能の独立性を重視するとき,その組織化 機能の対象とする「責任・権限の委譲」は,プラヲシのいう「監督」に関する. l隆著,前掲香, 385ページ。 (初漆利 i 悶 「管理事務」をスタフの機能と見倣すとき,乙のような「管理事務部門の成立」の過 程は,また「スタブ組織の発展」として理解するととができるであろう。フオツクス I スタブ組織の発展段階」とし亡六つの局面をあげている (w. M. F ox,The は ManagementP r o c e s s,RichardD. Irwin,1 9 6 3, pp. 108‑09) 。 その要点のみ を示せばつぎのようなものである。 1 . ライシ(1in e ) との融合ーーーあらゆるスタフ機能はライシの職位にあてられてい る 。 2 . 分化一一特定のスタブ機能が切り離され,スタフ職位を形成し,組織にはりつけ られる。 3 . 第2次の下方分化一一命令の第2の鎖 ( as e c o n d a r ychaino fcommand) が,分 化したスタフ職位から下方へ分化する。 4 . 重複一一いくつかのスタフ機能ーたとえば,選抜および訓練という人事機能ーが 分化し,一つより多くの命令の鎖に発達する。 5 . 総合化一一重複した機能を一つの部局に統合。 6 . 昇格一一ーあるスタブ組織についてのいくつかの機能もしくはすべての機能が,そ とから分離されて,より高い階層においてライシには りつけられる。 ただし,プオツクスの場合は,スタブの発展段階を示す説明図の中において,人事 I 管 ・財務・調達などの機能をその例としてあげている。これに対し,深利教授は 理事務」として会計事務・調査事務・庭査事務・組織事務・研究事務などをあげ,さ らに,これらを促進職能としてそれを執行職能と区別している。したがって フオッ クヌのあげる例としての機能は,務利説においては謬市職能に入れられることになる 8 6および 3 9 2ページ)。 (務利重隆著,前掲寄, 3 I 管理事務」を,むしろ管理機能のうちの計画化および統制j 機能との われわれは 関速においてとらえようとしているが,その意味での「管理事務」は,内容的には藻 利教授説をとり,発展段階としては,フォックスのようないわゆる管理階層における 機能的な「分化」一「重複」一「総合化」ー「昇格」による部門化を認めるととも に,さらにそれと併行して,いわゆる「経営J居からの分化による部門化およびそれ と管理廠からとの機能的併合による部門化とが認められるように理解される。 i.

(21) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 3 5 5. 統制機能とごつの「責任と権限の委譲」. ‑169ー. もののみに限定すべきであるよろに考えられるのである。. V. I 監督」と組織化機能との関連. この節の課題については,や L断片的ではあったが,すでにこれまでかなり の部分について述べてきている。したがって, ここでは..,そのような考え方を まとめて示すとともに,そのよろに考えることによって,管理の機能要素,と くに統制ないし「コントローノレ」に関する問題が,どの程度適切に理解するこ とがでまるかについて,つぎに考察することにしたい。 プラワンのあげる「計画」と「視査」の部面を委譲者(管理者)の立場から とりあげるとき,それらは. I 留保責任」に関する側面ないし部分のみを問題. にすることになる。そして,. I 留保責任」に関する「計爾」と「視査」の部面. は,管理機能としての計画化および統制の機能的内容として,これらに相応す るものと考えられた。しかしながら,プラワシのいろ「経営活動の諸部面」の うち,残されたもう一つの部面としての「実行」は,最終的には作業の階層に おいて達成されることになる。したがって,管理機能は管理者が管理するため に必要な機能として認められているところから. I 実行」そのものをそのま. L. 管理機能と関係づけながら考えることはできない。委譲者(管理者〉が「実行」 を意図して行う活動は,むしろ「実行」そのものではなし受任者へ委譲した 「実行」を「監督」することによって果たされることになる。委譲者〈管理 者)は. I 実行」を果す受任者に対し個人的権限を行使する「監督 j によっ. て,実体的に目的を達成するための「実行」をいわば間接的に果すことになる わけである。ブラワンは,このような「監督Jについて「委譲者が必要な場合 を考えて,助言,勧告,激励,警告,もしくは命令,を行うであろう・・…立〉 「指示は,それゆえに,監督の行使にほかならな. L J 2と述べている。「監督」. の行使に関するこのような具体的な事柄は,委譲者の責任が委譲されて「監 督」となることによって,その内容も,みづからが行う「する実行」から受任 ( 幼 Brown,O p .c i t .,p .6 5 ( 2 5 ) Brown,0ρ .c i t .,p. 6 6 ..

(22) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 356. 第53 巻 第 2号. ‑170ー. 者によって行なわしめる「させる実行」へ転化したことを意味している。しか し,そのような転化には,また別の要素を必要とすることになる。すなわち, この「監督」についてブラワシは,. I 視査のある部分は,委譲者がその権限の. 行使に結びつけて行うことも多いであろど」と述べ,. そこに「視査」の部面. が含まれていることを明らかにしている。これに反して.. I 監督」に,さらに. 「計画」の部面が含まれているかどうかについては,それほど明らかな表現は なされていない。ブラクシが述べているのは,受任者へ委譲される責任の内容 実行」のほかに必要最小限度の「計画」と「視査」の部面が委譲さ として. I れる点であって,その委譲する側の委譲者の「監督」にも「計画」の部面が含 まれているかどうかを意味するものではないからである。 しかしながら,このように「監督」といろ個人的権限の行使において「視 査」が行なわれることになれば,. そこにまた,当然「視査」の基準に関する. 「計岡」もまた附随的に付加されていなければならないことになるであろラ。 したがって.. I 監督Jには,それに必要な「計画」と「視査」が付加されてい. るものと解釈することができる。 ととろで,まず委譲者(管理者〉と受任者との組み合せをとり出し,そこに おける委譲者(管理者)を考えるとき,その「留保責任」に関する「計薗」と 「視査」は,すでに所与のものとして. I 責任・権限の委譲」の問題から除外. して考えることができるといえよう。このことが, これまで主張してまた「委 譲者(管理者)の立場から経営活動の諸部面を考える」ということである。し かも,、この「計画 Jと「視査」は,内容的に管理機能としての計画化および統 制の機能に相応するものと考えられるから,計画化および統制の機能も,また このよろな;意味における「責任・権限の委譲」とは関係のないものとみること ができる。いわば,このような解釈によって,計画化と統制の機能の「責任 〈権限〉の委譲」からの独立性が認められることになるといえよう。他面にお いて. I 実行」は,それに必要な最小限度の「計画」と「祝査」とが付加され. ( 2 ) 6 Brown,o p .c i t .,p. 214..

(23) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 357. 統制機能と二つの「責任と権限の委譲」. ‑171‑. て,受任者に委譲される。すなわち,委譲者(管理者〉の視点においてとらえ ながら,しかもそこに初め亡「責任・権限の委譲」が認められることになる。 したがって,計画化および統制の機能と区別される組織化機能は,そのような 「実行」を中心とする「責任(権限)の委譲」のみを指すものと解釈すべぎで あろろ。しかしながら管理機能は,管理者が管理するために必要な機能とし て認められ'亡いるから,そのーっとし℃の組織化機能も, このよろな意味にお ける「責任(権限)の委譲」のみを問題とすることはでさない。ブラワンの説に よれば,委譲者の責任は,受任者へ委譲されるにとによって,受任者がそれを 行使するよろ仕向ける責任に転化する。この場合,とくに受任者との関係が強 調されるために,そのよろな責任によって生ずる権限,すなわち委譲者の受任 者に対する個人的権限の側面が強調されて,プラワンはそれを「監督」とよぶ のである。つまり,これらは,委譲者(管理者ド)の立場から端的に表現すれ ば,委譲されてなくなる責任(権限)とそれに伴って新らたに生ずる責任(権 限〉に関する問題であるから,むしろ分離できない一つの問題として,前者に 関する「責任(権限)の委譲 Jと同様,後者に関する「監督」の問題も,また 組織化機能の対象とすべきことになる。そしてまた,プラワシのいう「経営活 動の諸部面」は, これらの責任(権限〉との関連のもとに,具体的な適用を考 えながら,その内容として配慮されなければならない,といえよろ。これらの 関係を図示すれば,それはつぎのようになるであろろ。.

(24) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 第53 巻 第 2号. ‑172‑‑. 358. 「監督」に関する諸部面と組織化機能 同じ委譲者の責任(権限). , ,. ①. ①. 「実行」を中心とした諸部面を内容とする「責任. ②. 「監督」への転化 (r する実行」から「させる実行」へ転化すると. (権限)の委譲」. とにより. r 計画」・「視査」の部面も含むこと j 組織化機能. になる). ③権限の行使 (その詳細は,②の段階で「監督」の内容として 考慮されている). そこで, このよろな「責任(権限〉の委譲」および「監督」に含まれる諸部 面を組織化機能の問題として理解することによって}つぎのよラな解釈が可能 となる。その一つは,さきにわれわれがデイグィスの統制の分割機能を解釈し なおすさいに適用した「責任・権限の委譲」の意味についてである。 すでに指摘したように,デイグィスは,. i 責任・権限の委譲」を組織化機能. の問題としている。われわれは,さまに彼の統制の分割機能を解釈するさい に,それを手掛りとして,彼のいう分割機能のちちの準備 ( p r e p a r a t i o n )・発令. ( d i s p a t i n g )・指図(d i r e c t i o n )・監督 ( s u p e r v i s i o n )などの機能を,むしろ組織 化機能に属すべきものと主張した。そのようなわれわれの解釈の基準となった.

(25) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 359. 統制j 機能とこつの「責任と権限の委譲」. ものは,実は,. ,‑. 173‑. これまで述べてきたような「監督」にか Lわる「責任(権限). の委譲」を意味していたものであることを理解す町ることができるであろう。そ してそれとともに,デイグィスが比較機能の評価との相違を強調していた彼の ( 2 7 ). 監督機能における評価も,むしろそれは,ブラワシのいろ「監督Jに含まれる 「視査」の部分を意味するものであることが理解できょう。 そして二つには すでに述べたよろに. r コシトローノレ・プロセス」に関する問題が応げられる。 r 監督」は..,受任者を通じて効果的な「実行」が行なわ. れるための権限を意味するものであるとしても,そこには,それに必要な「計 画」と「視査」とが含まれている点は注意されなければならない。換言すれ ば. r 監 督 Jに 関 す る こ れ ら 諸 部 面 は , 本 来 な ら ば 委 譲 者 ( 管 理 者 ) の 責 任. (権限)との関連のもとに,その内容として考えられなければならないにもか Lわらず,それと切り離されて実施面のみが強調されるとき,それはあたかも. 一つのプロセスをなすものとして考えられることになる。そして,. このよろな. 考え方を中心にしてコントローノレ・プロセスがとりあげられているよろに理解 される。 デイグィスは,統制j の分割機能のう ちの監督と比較のそれぞれに評価(e v a l u a t i o n ) が行なわれることを指摘し,その相違をつぎのような主旨で述べている。すなわち, 監督機能の評価は,プログラムないし部面計画の各段階にあたる遂行中の活動を,主 として対面的な接触および個人的な観察によって,質的かつ現場で評価するととに関 係する。とれに対し,比較機能における評価は,個々のプログラムないし部面計画を 遂行するさいの完了した各段階に関する結果の報告によって,すでに完了したまとま りのある活動について,主として事務的手段によって,量的かつ統計的に評価すると .c i t .,p .7 0 7 )。 とに関係する ( D a v i s, 。ρ 側 たとえば,デスラーは,コントローノレ・プロセスとしてつぎのような三つの段階を示 している (G. D e s s l e r, Management F undamenta!s, Reston Pub1 is hing Company,1 9 7 7,p . 336) 。 1 . ある種の標準もしくは目標 ( t a r g e t s ) を設定する。 2 . とれらの標準に対する実際の達成度を測定する。 3 . 偏差を明らかにし是正措置を行なう。 デスラーは,標準の例として週・月・年に関する販売員の分担額および生産担当職 長の原価削除分担額などをあげている。そしてまた,是正措置の例として,販売に関 しては販売訓練,生産に関しては,方法・材料・デグイシの変更,などをあげてい る。これらのうち,前者は,プラクシのいう「監督」に関する「計画」を意味すると ともに,後者は,主として「視査」を契機とした「監督J活動を意味するものと理解 される。 なおこの他にも,コシトローノレ・プロセスとして展開している著書として,たと/ 間. l.

(26) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ ‑174ー. 3 6 0. 第5 3 巻 第 2号. さきに,統制機能の解釈上の問題点のーっとしてあげたように,統制機能を 説明するとき,それをコントローノレ・プロセスの展開によって行なう説も数多 く見受けられる。しかも,そのプロセスを構成するそれぞれの内容的な種類と 範囲は多様である。しかし,それらの多くは,さきの「監督」に関する諸部面 を中心とし,これに,われわれが統制固有の機能と見倣したデイグィスのいろ 比較機能が加えられたり,あるいはさらに,そこに,管理機能としての計画化 機能に属する機能が加えられ亡,プロセスとして構成されているよろに理解さ れる。統制機能の説明の中に計画化機能が混入していることに対する批判は, アンソニーも指摘するところであざ?しかし,むしろそのような混乱の原因 は,あくまでも,コシトロール・プロセスの中心が,プラワンのいう「監督」 に関する諸部面におかれ,しかもそれを責任(権限)の確定とは別の次元の問 題とすることによって,組織化機能とは関係のないものとしてとりあげている ことによるものと考えられる。 さらに,三つには1"管理の限界 Jに影響をあたえる要因として,. 1"監督」. に関する諸部面が考えられることである。1"管理の限界 (span ofcontrol)J メえば,つぎのようなものがあげられる。 W. H. Newman,A d m i n i s t r a t i v eA c t i o n,P I e n t i c e ‑ H a l l,8 t hp' I i n t i n g,1 9 5 7, p .4 0 8f f . . J . G. Glove , ' I Fundamentals01 .ProfessionalManagement,SimonsBO ' I dman Pub1 ishing,1 9 5 8, p .1 2 5f f . . A. C. Ei 1 1eyandR. J . House, M a n a g e r ' i a l P r o c e s s and O r g a n i z a t i o n a l B e h a v i o r,S c o t t,ForesmanandCompany,1 9 6 9,p .2 0 0 . H. H.Albe ' I s,Management,JohnW i 1ey& Sons,1 9 7 2,p .2 5 9f f . " R. J . Mockler,TheManagementC o n t r o lP r o c e. s . s , Appleton‑Centu ' I y ‑ C r o f t s, 1 9 7 2 . ' D o n n e l l,Management, McG ' I awHi 1 lKogakusha, 6 t h H. KoontzandC. o e d .,1 9 7 6,p .6 41 ff . " L . W. RueandL. L. Bya ' I s,Management,Richa ' I d D. Irwin,1 9 7 7,p . 1 6 8 . ω 1 ) R. N. アシソニー著, 高橋吉之助訳「経営管理 νステムの基礎」ダイヤモシド社, 昭和4 5 年 , 1 4ページ以降参照。 ( 3 0 1 I 管理の限界」は,また「統制の限界(範閤 ) J ・「管理範囲の限界」・「統制範囲の spano fc o n t ' I o l " も spano fmanagement"ともいわれる 限界」などと呼ばれ, ( c f . D. D. Van F l e e t and A. G. Bedeian,A H i s t o r yoft h e Stan 01 . Management,Academyo f ManagementReview,J u l y1 9 7 7,pp. 3 5 6ー7 2 )。 川.

(27) OLIVE 香川大学学術情報リポジトリ 361. 統制j 機能と二つの「責任と権限の委譲」. ‑175ー. は,通常組織化機能の問題とされ,直接的には,ある管理者が管理することの できる部下の数を問題にするものである。いまこれを,ブラクン流に表現すれ ば,それは,ある委譲者に対する受任者の数を問題にするものといえよろ。藻 利教授は,. このような「管理者の管理しうる能力の限界の問題」に関して,つ. ぎのよろな三つの点について,管理者の能力を制約する要因を指摘され℃い ( 3 1 ). る 。 付管理者の指揮能力. 仁) 管理者の職務の量 国管理者の職務の質 これらのうち,われわれの考察の対象となるのは,とくに第三の点である。 第三の「管理者の職務の質」につい℃は藻利教授は,それは,. r 被管理者の数. には比例しない。なぜなら,それは,第ーには,被管理者の職務の質に比例す るのであるが,それは被管理者の数によっては表現せられないからである。け だし,被管理者の仕事が標準化し,常規化せられている場合には,管理者の統 率しうる従業者数は増大し,逆の場合には減少するであろう。..".川・さらに第こ には,被管理者の職務の質および量とは別個に発現する管理者の職務の質的差 異が注意せられなければならない。たとえば,製造部門のよろに,もっぱら対 内的業務を担当する部門の管理者と,たとえば,営業部門のように,対外的な 業務がその業務の中心をなす部門の管理者とでは,管理者の固有の仕事にいち 倒渓利教授は,とれら 3点について考察した後,つぎのように指摘されている(藻利重 隆著,前掲番, 439.‑41ページ〉。 管理の限界』を具体的に問題とする場合には,われわれは,つぎの配 「モとで w 慮を必要とする。 ( 1 ) 最下回における被管理者数の一般的な限度を考慮するととーこれが管理の最大限 度を画するものである。 ( 2 ) これによって定められた管理の最大限界を縮小する要因とし て,つぎの三つを考 。 慮する ζ と (A) 被管理者の質が,管理者の被管理者に対する管理を困難化する程度。 (B) 被管理者の職務の標準化ないし常規化の程度の低い ζ とが,管理者の被管理 者に対する管理を困難イじする程度。 (C) 管理者の対外的折衝業務などが,管理者の被管理者に対する管理を困難化す る程度。」 l.

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