A
病院の看護職員の子宮頚がん検診受診の実態と意識調査
キーワード:子宮頚がん@がん検診受診率
I .はじめに
子宮頚がんは細胞診検査という早期発見 に有効な検診方法が確立されている
1)。し かし、厚生労働省の調査では平成
25年度 の全国の子宮頚がん検診受診率は
32.7%で あり、奈良県は
29.7%であった
2)。子宮頚 が ん は お 歳 〜
34歳の女性の腫蕩で最も多
く、好発年齢は
30〜40 代である。
検診において子宮頚がんに移行する前段 階の子宮頚部組織異形成の時点で発見され れば、子宮温存も可能であり妊苧性を保つ ことができる
3)。しかし、浸潤癌では準広 汎子宮全摘術や広汎子宮全摘術が行われる 事が多い。また、臨床進行期分類が画期以 上の進行がんでは
5年生存率は
55.7%3) と なり、リンパ節転移がある場合には手術後 に化学療法が併用され、その副作用として 骨髄抑制などの生命を脅かすものや脱毛な ど女性にとって精神的苦痛となりうるもの が生じる。また女性が妻・母親というライ フステージの重要な時期にがんに擢患し治 療を受けるということは患者及び家族に多 大な影響を及ぼすことになる
4。 )
このような背景から
20代からの子宮頚がん検診受診の必要性を強く感じている。
今回、県内のがん診療連携拠点病院である
A病院の看護職員の子宮頚がん検診の受診率や意識を明らかにするために調査を行っ たので報告する。
I I .研究目的
A
病院の看護職員の子宮頚がん検診受診
A
棟
6階北病棟
。増田優子、稲葉美砂、島田千和、豊田真千子
状況、受診に対する意識の実態を明らかに する。
匝
e研究方法
1.
対象:
A病院の女性看護職員 792名
2.調査期間:平成
26年
9月
16日〜10月
2日3.
調査方法:無記名自記式質問紙を用 い、子宮頚がん検診受診の有無と背景、知 識、検診に対する思い、検診受診のきっか
けについて調査した。
4.
分析方法:定期的に受診、不定期に 受診、未受診の
3群間で x z 検定を用いて比 較分析した。有意水準
1 %未満とした。
5.
倫理的配慮、:対象者に研究目的、匿 名性の確保、データは本研究以外には使用 しないことを調査依頼書に明記し、自由意 思での提出をもって同意を得たこととした。
また、本研究は院内看護研究倫理委員会の 承認を得た。
I V . 結 果
792
名中
485名より回答が得られ(回収 率
61.2%)、無効回答は
9名であった(有効 回答率
98.1%)。定期的に検診受診してい る群(以下
A群)は
187名(
39.2%)、不定期 に受診している群(以下 B群)は
135名 (28.3%)、未受診の群(以下
C群)は 154名
(32.7%)であった。
A病院の看護職員は、全 国の受診率に比べ高い割合で受診していた。
1.
背景
各群の中で C群の
20代は
106名(68.8%)
‑ 86‑
と多かった。結婚@妊娠・出産。性交渉のそ 表 2 知識
(単位入、()内%)れぞれの項目に関して、経験がある人はな い人に比べ受診率が高い結果となった。婦 人科がんの人と関わったことがある人は、
A
群で
122名(
65.5%)と多かった(表
1。 )
2.知識
好発年齢、原因、検診方法については A 群に知識が高く、
B、
C群の順に低くなっ た。また、子宮頚がんや子宮がん検診に対 する関心も
A群は高く、 B、C群の順に低くなった。自身が子宮頚がんになる可能性 があると回答した人が全体の
88%であり、
どの群も検診の必要性を感じていた(表
2。 )
表 1 背景
(単位入、()内%)A
欝
Bf C群
20代
3試
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検診に対する思い
検診の有効性についてはどの群も高かっ た。しかし、
C群には「受診しにくしリ「恥ずかしい」「面倒である」「男性医師に抵抗 がある」が有意に高かった(表
3)。
4.
検診受診のきっかけ
子宮頚がん検診受診のきっかけについて は 、 A群 B群共に「自分の健康管理に必要 だと思う」が一番多く、次いで「早期発見 で完治が期待できると知っている」「子宮頚 がんになりたくない」「市町村から検診のお 知らせや無料クーポンが送られてくる
Jが 上位に並ぶ結果となった(表 4) 。
‑87‑
表
3思い
(単位入、()内%)A
軍 事
llilf c君 号
F犠
子宮霊童がん検診は はい l!l,母(99,4) 138邸8.5) H8C日曜;l) 有効だk
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E
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i車2(46,6) 8t(/;2)5)se0.56 繁期がかかる いいえ 92(191) 71(53,3) 73(47.4) 子宮類がん桧喜舎に lまい 1附奇妙i蹴駒場 lぬ(83.8)
81(ぬの 29(21必 <O.Ol
行くのが
i l i i
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櫛9!!) 70(45.4}<O.Ol 検診受診に1
丘
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6.G) 57(42.5) 剖再倣自} く司,()J綴入手ヰのままmに抵抗がある 1.n、 100(57 7} 自4(701) Hl('IU) 7(4告2.2l 40(29,8) 4/;倣8) <0.05 いいえ
{色の人と自置を合わせた<t.:. はい 2HlUI) 18(13心 43li7鵠、 いので受診したくない いいえ l関{88の ll号騒乱5) Ul(72.0) 〈骨,01 自分の年齢で段、まだ子宮 }士い !(OJ,) 312.2) 10(6,{)
屯O,OJ 自立がん検診i土必Iない いいえ 1紛;(99.4) me
奴
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12宮崎ι}。 134IB7.紛
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(単位人、()内%)A
若 草 B 若 手
Pi, 産 |
二子宮頻がんにな号たくない はい 181(9自耳)いいえ 3(lゆ,
自分の鐙康管理lこ名、婆だと思う はい 183
仰心
いいえ 1(0.5) 早期発見で完治力t綴持できると はい 1715(併設 飼っている いいえ ぬ(0,5) 市町村から検診のお知らせ:や はい J 174(94.5) 無科クーポンが送られてくる いいえ l略必
繍した時の錦繍として i土い 00(56.?J 行われた いいえ 67(43.7} 身近に子倉績がんに lまい 5,1(29.5)援語注した入がいる いいえ 12
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S(7宮5.5) =O.al公費負鐙で受診できる 泣い お)(82.9) いいえ 3!(17効 子宮蜜がん検診を受けるよう l立い ?百(11.5) 人lこ敏められた いいえぬ7(5iU) 婦人科的iこ気になる
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Iまい 関税制)tlf~売があった
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の務自で箱入裂を受診したいいえ 103髄9)
v
e考 察
1.
背景
本研究の結果で、
20代の検診受診率が低 いことが明らかになった。鮮は
5、 )
20代女 子看護学生と一般女性の知識や検診受診状 況の比較をした研究では、看護学生は大学 の授業をきっかけに、子宮頚がんの知識は あるが、検診受診経験に関して一般女性と 差はなく、知識の有無が直接受診行動に結 びついていないと述べている。また、
20代 は成人前期に分類され、横井
6)らは発達段 階別の健康観と保健行動の研究で、「心と身 体の発達がかみ合っていない青年期。成人 前期は身体面の健康より精神面の健康を求 める傾向にある」と述べている。今回の調 査でも、
20代を多く含む
C群は子宮頚がん や検診に対する関心は他の群に比べて低い ことが分かった。
A病院の
20代の看護職 員も知識はあるが、直接受診行動に結びつ いておらず、新たな社会での人間関係の形 成や趣味、仕事など活動的な時期であるこ とが、検診への関心や受診率が低い一因と 考えられる。
20代女性はもともと健康であ るがゆえに、がんという疾患が自分に起こ り得る身近な問題として捉えることが出来 ないと考えられる。そのため、
20代女性に 子宮頚がんに擢患することで妊苧性が失わ れる可能性があること、発見が遅れれば生 命も脅かす疾患で、あるという危機感を持て るような働きかけが必要であると考える。
結 婚
e妊娠@出産。性交渉のそれぞれの項 目に関して、経験がある人はない人に比べ 受診率が高い結果となった。河合ら
7)の研 究でも検診受診経験者で有意に既婚者が多 く、結婚を機に妊娠を考える者が多く、健 康に対する関心が高まると述べている。ま た、妊娠や出産経験のある人の受診率が高 いことは、妊娠し受診した際に子宮頚がん 検診を実施することが一因と考えられる。
A
群において婦人科がんの人と関わった
‑88‑
ことがある人の受診率が高かった。これは、
治療を受ける患者と関わることが具体的な 苦痛の体験を知る機会となり、疾患に対す る危機感につながったと考える。
2.
知 識
河合ら
7)の事務系職員を対象とした調査 では
70%以 上 が 自 身 は 擢 患 し な い と い う 認識をもっていたが、
A病院の看護職員は
自身が擢患する可能性があるという認識が 高かった。これは、医療職としての専門的 知識や経験があり、検診の有効性の知識も あることが、受診行動につながったと考え
られる。
3.
検診に対する思い
C群は、検診の有効性は認識しているが、
「恥ずかしい」、「面倒である」、「男性医師 に抵抗があるムという思いが受診行動の障 壁となっていると考えられる。これは、鯨
5
)の
20代看護学生の子宮頚がん検診に関 する意識調査結果と一致した。そのため、
差恥心を軽減する配慮が求められる。
4.
検診受診のきっかけ
A
病院では、
30歳以上の職員は法人負担 で受診でき、検診時間も確保されている。
しかし、
20代の職員に対しては法人負担や 検診時間の確保の支援がなく、個々が検診 に対する関心を持ち、自発的に受診する必 要があることも
20代の対象者の検診受診 率が
30代以上の対象者の検診受診率より 低いことの要因のーっと考える。
V I . 結 論
1. A病院の看護職員の子宮頚がん検診受 診率は全固と比べると高い
2.
検診の有効性の知識は高く自身が,躍患 する可能性があるという認識も高い
3. A病院の看護職員の 20
代の検診受診 率は低い
4.
検診受診の意識を高めるためには、検 診時の差恥心を軽減する配慮や受診機会を 拡大する工夫が求められる
5. 20
代女性に子宮頚がんに擢患するこ とで妊苧性が失われる可能性があること、
発見が遅れれば生命も脅かす疾患であると いう危機感を持てるような働きかけが必要 である
V I I . 引用@参考文献
1
)岡本三四郎他:子宮頭部円錐切除の適 応と細胞診の役割,
Med Technol, 39(11), 1223 ‑1228, 2011.
2
)厚生労働省:がん検診の現在と今後,
2014
年
7月
8日.http://www.mhlwロgo.jp/file/05・ Shingikai司10901000‑Kenkoukyoku固 Soumuka/0000032831.pdf
3
)岡庭豊:病気が見える
vol.9婦人科@
乳腺外科第
3版,株式会社メディック メディア,
142・
149, 2013.4)大道正英:婦人科看護の知識と実際,
メディカ出版,
230置268, 2009.5
)鯨文実:
20代女子看護学生の子宮頚が ん検診に関する意識調査,奈良県母性 衛生学会雑誌,
27, 44・47, 2014.6)横井和美:成人看護学の授業の基礎的
研究一発達段階別にみた健康観と健康 行 動 の 特 徴 理 解 の た め の 調 査 , 人 問 看 護 学 研 究 , 第
2号 ,
61〜
68, 2005.7)河合晴奈:子宮がん検診の受診行動に