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厚生労働科学研究費補助金(肝炎等克服政策研究事業)

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Academic year: 2021

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厚生労働科学研究費補助金(肝炎等克服政策研究事業)

分担研究者総合報告書

HCV 薬剤耐性と DAAs の治療法の選択

研究分担者 八橋 弘 (国立病院機構長崎医療センター 臨床研究センター長)

研究要旨

わが国において使用可能な 4 種類のインターフェロンフリー治療法の特徴をまとめ た。治療期間が 12 週間か 24 週間か、 HCV1 型か 2 型か、 HCV1 型でも 1a にも有効か、

重度の腎機能低下例にも使用可能か、薬剤耐性である Y93 変異と L31 変異の有無と SVR 率、 Ca 拮抗剤の影響の有無などを確認することで、個々の患者ごとにどの治療法 が可能なのか、望ましいのかを判断する必要がある。

A.研究目的

DAA とは Direct Acting Antivirals の略 称である。 C 型肝炎ウイルスは肝細胞のなか で増殖するためには HCV 自身が作る以下の 3 種類の蛋白質が必要である。① NS3 : HCV の蛋白を適切に切断するプロテアーゼ、② NS5A : HCV 複製過程の複合体形成で主役 を演じる、② NS5B : HCV の RNA 複製を司 るポリメラーゼ。 DAA はこれらの 3 種類の HCV 蛋白質のいずれかの活性をピンポイン トに阻害することで増殖を止める HCV に対 して特異的な新規治療薬である. DAA はそ のターゲットにより① NS3 阻害剤(アスナ プレビル、パリタプレビル)、② NS5A 阻害 剤(ダクラタスビル、レジパスビル、オムニ タスビル)③ NS5B 阻害剤(ソホスブビル)

の 3 クラスに分類され,それぞれ HCV が増 殖するうえで重要なステップを特異的に抑 えることで効果を発揮する。これらの DAA の抗ウイルス効果はいずれも極めて強いが,

最大の問題点は薬剤耐性であり、 DAA を単

剤で使用するとわずか数日で HCV は遺伝子 の変異を来たし DAA が効かない耐性ウイル スに変化する。その為、 DAA は単剤で用い ることはなく、 Peg-IFN ・ RBV と同時に使 う 3 剤併用療法か,あるいは DAA 同士を組 み合わせて使用する必要がある.本報告書で は HCV 薬剤耐性について論文的考察をおこ なうとともに、 DAAs の治療法の選択に関す る考察をおこなった。

B.研究方法

HCV 薬剤耐性について論文的考察をおこ なうとともに、 DAAs の治療法の選択に関す る考察をおこなった。

C.結果と考察

C-1 . HCV 薬剤耐性変異の問題

DAA の治療効果を大きく減弱させる遺伝 子多型(薬剤耐性変異)として、プロテアー ゼ阻害剤であるアスナプレビルとパリタプ レビルでは NS3-4A 領域 168 番目のアミノ酸

-79-

(2)

80 変異( D168A/E/V ) 1) 、 NS5A 阻害剤である ダクラタスビル、レジパスビル、オムビタス ビルでは NS5A 領域 31 番目および 91 番目の アミノ酸変異( L31M/V と Y93H )が 2) 、ソホ スブビルでは NS5B の 282 番目のアミノ酸変 異( S282T )が知られている(図 1 ) 3)

ダクラタスビル / アスナプレビルの国内第 3 相試験によるとダイレクトシークエンス法 による HCV 薬剤耐性変異の検討では、 Y93H 変異は 14.0% ( 30/214 )、 L31M/V 変異は 3.7%

( 8/214 )の頻度で治療前から存在したと報 告されている。また治療効果との関係につい ては、治療前の Y93 変異無し例での SVR24 は 91.3% ( 168/184 )、 Y93H 変異有り例での SVR24 は 43.3% ( 13/30 )、治療前の L31M/V 変異無し例での SVR24 は 86.9% ( 179/206 )、

L31M/V 変異有り例での SVR24 は 25.0% ( 2/8 ) と報告され、 Y93H の変異と L31M/V 変異の 有無で SVR24 は大きく異なっていた(図 2 )。

これらの結果を踏まえて、日本肝臓学会の

C 型肝炎治療ガイドラインの Recommendation には、ダクラタスビル / アスナプレビル治療 前には、極力 Y93/L31 変異を測定し、いずれ かの変異があれば、原則としてダクラタスビ ル / アスナプレビル併用は選択肢としない、

と明記されている 4)

ヴィキラックスの国内第 3 相試験によると、

治療効果は NS5A 領域に Y93 変異がある と低下することが確認されている。治療開始 時 NS5A 領域の Y93 変異がない症例では 99.0% (301/304) の SVR12 率であったが、

Y93 変異がある症例では 83.0%(39/47) と報 告されている(図 2 )。一方、 NS3 領域の D168 、また NS5A 領域の L31 のアミノ酸 変異の治療開始時における有無は治療効果 には関係せず、 NS3 領域、 NS5A 領域のア ミノ酸においても治療効果に関係する変異 は認めなかった。より高い SVR 率を目指す為 には、ヴィキラックスで治療を行う前には極 力 Y93 変異を測定し、変異がないことを確 認することが推奨されている 4)

なお、ダクラタスビル / アスナプレビル併 用療法、ヴィキラックスともに、治療不成功 例では両剤に対する多剤耐性ウイルスが出 現することが報告されている。このような多 剤耐性ウイルスは、今後の抗ウイルス治療に 重大な影響を及ぼす可能性があるため、極力、

多剤耐性ウイルスを出現させないことが重 要であり、その観点からは、 1 回の抗ウイル ス治療で C 型肝炎患者から HCV を駆除する 必要がある。

C-2 .各種インターフェロンフリー治療の使 い分け

2016 年 11 月の時点で、わが国において使 用可能な 4 種類のインターフェロンフリー 治療法の特徴をまとめたものが表 1 である。

治療期間が 12 週間か 24 週間か、 HCV1 型

図2.治療前薬剤耐性ウイルス変異と治療効果

91.3%

(168/184)

43.3%

(13/30)

86.9%

(179/206)

25.0%(2/8)

治療前NA5A耐性

Y93H 治療前NS5A耐性

L31I/M

無し 有り 無し 有り

SVR(著効)率

(%)

ダクラタスビル/アスナプレビル併⽤療法の治療成績

100

0 0 100

(%)

オムビタスビル/パリタプレビル/リトナビル 配合剤(ヴィキラックス)の治療成績

99.0%

(301/304)

83.0%

(39/47)

治療前NA5A耐性 Y93

無し 有り

SVR12(著効)率

(%)

0 100

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(3)

81 か 2 型か、 HCV1 型でも 1a にも有効か、重 度の腎機能低下例にも使用可能か、 Y93 変異 と L31 変異の有無と SVR 率、 Ca 拮抗剤の 影響の有無などを確認することで、個々の患 者ごとにどの治療法が可能なのか、望ましい のかを判断する必要がある。

補足として、レジパスビル / ソホスブビル 配合剤(ハーボニー)治療では Y93 変異あ り例でも SVR 率に影響しないという成績は NS5A 阻害剤の未治療例でのデータであり、

NS5A 阻害剤の既治療例での Y93 変異の影 響については確認されていないこと、また血 液透析患者に対するアスナプレビル / ダクラ タスビル併用療法の有効性、安全性について わが国から最近報告されたことを追記する

5) 。

E.結論

わが国において使用可能な 4 種類のイン ターフェロンフリー治療法の特徴をまとめ た。治療期間が 12 週間か 24 週間か、 HCV1 型か 2 型か、 HCV1 型でも 1a にも有効か、

重度の腎機能低下例にも使用可能か、薬剤耐 性である Y93 変異と L31 変異の有無と SVR 率、 Ca 拮抗剤の影響の有無などを確認する ことで、個々の患者ごとにどの治療法が可能 なのか、望ましいのかを判断する必要がある。

文献

1) McPhee F, Friborg J, Levine S, et al.

Resistance analysis of the hepatitis C virus NS3 protease inhibitor asunaprevir.

Antimicrob Agents Chemother. 2012; 56:

3670-81.

2) Fridell RA, Qiu D, Wang C, et al.

Resistance analysis of the hepatitis C virus NS5A inhibitor BMS-790052 in an in vitro replicon system. Antimicrob Agents Chemother. 2010; 54: 3641-50.

3) Han B, Mo H, Wong KA. In vitro analyses of HCV NS5B S282T mutants in multipleHCV genotypes show low levels of reduced susceptibility to sofosbuvir, no crossresistance to other classes of direct-acting antivirals, and hypersensitivity toribavirin. Hepatology 2012;56:711A–2A.

4) 日本肝臓学会 C 型肝炎治療ガイドライ ン(第 4.1 版) 2015 年 12 月

5) Suda G, Kudo M, Nagasaka A 、 et.al.Efficacy and safety of daclatasvir and asunaprevir combination therapy in chronic hemodialysis patients with chronic hepatitis C. J Gastroenterol. 2016 Jan 14.

表1.各種インターフェロンフリー治療法の使い分け

治療期間 HCV2型 HCV1型 重度の腎機能 低下例 Y93変異

あり例 L31変異 あり例 Ca拮抗剤

の併⽤

ソホスブビル/リバビリン 12週間 X(適応外) X(禁忌)

ダクラタスビル/アスナプレビル 24週間 x(適応外) 使⽤可能(透析 例での本邦での

報告あり) SVR率低下 SVR率低下 レジパスビル/ソホスブビル

(ハーボニー) 12週間 x(適応外) X(禁忌) SVR率に影響し ない SVR率に影響し

ない オムビタスビル/パリタプレビル/

リトナビル配合剤

(ヴィキラックス) 12週間 x(適応外) 使⽤可能 SVR率低下 SVR率に影響し ない 重篤な副作⽤

報告あり

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参照

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