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多糖類とリグニン重合酵素の相互作用解析

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Academic year: 2021

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北海道大学 大学院農学院 修士論文発表会,2020 年

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多糖類とリグニン重合酵素の相互作用解析

−水晶振動子マイクロバランス法を用いて−

環境資源学専攻 森林資源科学講座 森林化学 松尾 朱実

1. はじめに

卒業研究において,セルロースにキシラン( XY )が堆積すると,人工リグニンであるモノリ グノールの脱水素重合物(DHP)の生成量が増加する一方,グルコマンナン(GM)の堆積は DHP 生成量を減少させることを見出した。これらヘミセルロースの機能差は,ヘミセルロース とモノリグノールを重合させる酵素との親和性に起因しているとの仮説を立てた。本研究では,

分子間相互作用を解析する水晶振動子マイクロバランサー( QCM-D )を用いて,モノリグノー ルに対し重合活性を持つ市販酵素と多糖類(セルロース,ヘミセルロース)との吸着特性につ いて検討し,仮説の検証を試みた。

2. 方法

SiO

2

ベースの市販のセンサーに,機械解繊で得たセルロースナノファイバー( CNF )を吸着 させて,CNF センサーを作製した。このセンサーに,XY 又は GM の水溶液(濃度 1 g/L)を流 速 5 µL/min で 3.5 時間流入し,Milli-Q 水で 1.5 時間洗浄した。続いて 0.01 M リン酸緩衝生理 食塩水( PBS: pH 6.1, NaCl 0.8 w/v%, KCl 0.02 w/v% )を 1 時間送液した後,濃度 0.1 g/L の西洋 ワサビペルオキシダーゼ( HRP )の PBS 溶液を 2 時間流入した。また,ウルシ由来の Laccase についても PBS の代わりに 0.1 M リン酸カリウム緩衝液を用いて同様の測定を行った。物質の 吸脱着量変化は,周波数変化(∆F)として測定した。

3. 結果と考察

CNF センサーに対し XY と GM を流入した予備実 験では, GM が XY に比べ明らかに速い速度で多量 に吸着した。このヘミセルロース吸着センサーに,

HRP と Laccase の溶液を流入した。図 1 には,多種 の多糖類センサーに対する HRP 流入時の∆ F を示す。

∆F の減少は流入した物質がセンサーに吸着してい ることを示し,その絶対値は吸着量の尺度である。

XY 存在時の ∆ F の絶対値は, GM 存在時の絶対値よ りも僅かに大きかった。ここで,センサー中の XY

と GM の存在量を考慮すると,少量の XY に同程度の HRP が吸着したと言える。よって, HRP は GM に比べ XY への親和性が高いと推測され,先述の仮説を支持した。

次いで,ウルシ由来の Laccase と多糖類との相互作用について検討した。この酵素はリグニ ン形成と無関係かもしれないが, DHP 生成能があることが示されている。 XY 及び GM への Laccase 流入時の∆ F の減少は同一で, HRP の場合のような差は観測されなかった。

これらの測定において最も興味深い結果は,HRP と Laccase の両方とも,ヘミセルロースが 存在していない CNF センサーに最も多量に吸着したことである。その理由として,これらのモ ノリグノールを酸化する酵素が,結晶性多糖類に対して高い親和性を示す可能性が提示できる。

図 1 HRP 吸着時の周波数変化

PBS HRP吸着 PBS

0 -5

-10

h

0 1 2 3

セルロース+XY セルロース+GM

セルロースのみ

∆F (Hz)

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