• 検索結果がありません。

運動に伴う突然死の実態について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "運動に伴う突然死の実態について"

Copied!
9
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

里 見 弘

1 . ま え が き

近頃,健康づ くり,体力づ くりとい う言葉が盛んに用いられるようにな り,それに伴 って 一般人の 日常生活の中にも運動がだんだん定着 してきつつある.各個人が余暇を見出して運 動を実践 し,健康の保持増進を図 りなが ら,毎 日が充実 した,より価値ある人生を 目指すこ とは,まことにすぼ らしいことである. しかし.その反面,折角‥健康の保持増進を目指 し なが ら,結果的には健康を阻害 し,ひいては死に至るケースも決 して少な くか 、 .それでは, このような不幸な事故は防 く ‑ ことが出来ないものだろ うか.できることなら, このような事 故が未然に防止され,皆が運動を楽 しみながら健康の増進がはかれ るのなら,. それにこした ことはないわけである.そこで,本調査は; ′運動が何等かの形で誘因とな り発生 した内因性 の突然死につし丁 て,その実憩を調査 し・その実態をもとに事故防止の方策をさ く ̀ ることを 目 的 として実施 したものである.

2 . 調 査 方 法 一 調査期間は昭和5 2 年1 0月 1 日か ら昭和53 年 9 月3 0 日までの 1 年間とし,その間の運動が直 接関与 して発生 したと思われる内因性の死亡事故を対象 として調査を実施 した.調査方法 と しては,各種の新聞に報道され, 更にそれが 「 月刊切抜き, 体育 ・スポーツ」 ( アイオーエ ム版)に収録された記事を もとに調査 した.山での転落死,還泳中の溺水,ボ クシング中の 事故死, ゴルフプレー中の落雷に よる感電死等,いわゆる外因性ゐ死亡事故については除外

した.なお,各種状択,死因等はすべて新聞記事によるものである.

I

3. 結果及び考察

この 1 年間に発生 した運動に伴 う突然死の実態は 〔 表 1〕の通 りで,死亡者は6 6 名 (うち 女子1 0 名)となっている.この実態を もとにいろいろと検討を加えてみたい.

3 ‑1 発生状況について

この 1 年間の死亡者数は前述の通 り 6 6 名であるが, これを高校生以下と大学生,一般人 と に分けて,月別の発生状況を見たのが 〔 表 2 〕である.全体的に見ると 6‑ 8 月の暑い時期 の発生が 目立ち, この 3 ケ月の死亡者は 34 名と 5 0%を超えている.この時期は 日も長 くな り, 且ついろいろな体育行事も多 く,それだけに運動に親 しむ機会 も多 くなる∴また,選手生活 を している者にとっては トレーニングが質量共に ピークに達する時期でもある.それに加え

* 昭和 5 3 年1 2 月 日本体育学会長野県支部大会において発表

* *一般科保健体育 教授

原稿受付 昭和 54 年 9 月 29 日

(2)

表 1 運動に伴 う内因性突然死 ( 昭和5 2 年1 0 月 1 日〜昭和5 3 年 9 月30 日)

月日L 氏 名 回 年 令 l B l 属( 府 県 ) l 死 可

冗 . K l男 l8 土肥小 2運動会の 1 0 0m 徒競走でゴール手前で突然倒 れる.平均体格で健康状態異常な し.

1 0.1 0 l Y .Ⅰ

3 3巨 熟 奈J ", 卜 臓‑ヒL 軍肇 巌 蟹 琴 等 墓裏革

1

0.

3 0 1 Y.Ⅰ

l l .4 I Y.O l男

L可 岩ケ崎罷窟 校内マラソン ( l ob)でゴールした直後倒れ る.スター ト前異常な く山岳部負.

校内マラソンに参加,ゴ‑ル直前校門前で倒 れる.

l l .1 4 t Y.Y l男

立石中( 2 品 匝 ‑ヒl 諾 誓琴驚 喜書嘉蓋差

2 7 ‑ 9 鎚

l l . 2 9 1 M.Y l男

1 2.4 1 Ⅰ. T l男

69 I 無職 侶 岡, 匪 うl 欝 準 憲 器

既 芸至芸露

1 2.7ls. M l男

1 21 西原小( 6 品 , 匪 臓l 墓警 誓, 軍手嘉曇姦芸 蓋 o # L F 識 題

1 2.7ls.H l男

・ 2巨 2・1 3 I Y ・ S 回 1 31 栃木 4 鹿 卜臓‑ヒl 早朝校内マラソソ(

室に入ろうと校舎に入った とき倒れる. 校庭1 0 周約の2h) の後, 1 3I 5 3.I .7 1 A. N lk

大令高( 3 * 簸 , ト 不 全l 季語 遠 語 笑子等誤 儲 o r H 慧

14 1 1 ・ 1 8 I K・S l男 2 0l 明石高 画 室性肇 . n競 1 " . 諺 鎧

苧 前

に 倒 れ

1 . 2 3 1 H.Y l男 永原F A 3 , 品 , ト 。臓マヒl 蓋葉菜 野 島壷㌘雲識 箕等思姦嘉' o

(3)

1 . 2 8 1 T.A l男

・ 71 2 ・ 1 8 回

第 2

ール

ドパ ワ ースキー大会,大 回 転 競 技 滑

直後

.

3. 20 l T.Tl男

高校数 鮎 卜 不 全l 妄言三軍琵 諾 雪重曹慧野 鶴 晶姦

4.1 0 1 M.O l男

( 長崎' 卜 臓‑ ヒ隊 長婁議 声嘉還 野 言讐莞芸

可 1 6l 醐 噛 む可

卓球部の トレーニングで 1 . 8 k nの ラ ン ニ ング

途中倒れる.昨年1 2月健診 「 異 常 な し 」

剣道部員で自由練習後,剣納めの礼を した直 後倒れる.ふだん元気,健診異常な し.

4.1 7 l T.Al男

1 5l 函館鶴 , ト 不 全l 蓋芸慧芸無 琵嘉 ;蓋笹 関 配 体育の時間 28 0m のグラウソ ドを 2 周半 した

ところで, 3 月の検診で心電図異常な し.

学校主 催 の 体力測定で 1 50 0 m持久走のゴール

直後倒 れ る .

バスケ ッ ト部の練習で ウ ォー ミ ソグアップ中 倒れる.中学時代か らバ ス ケ ッ ト部員.

散歩にでかけて約 1時間半後,再度山登山道 の山頂付近で倒れる.心臓発作の持病あ り.

卓球部員,クラブ活動で1 1 0 0mのランニング

の 後 倒

れる

.

5. l l l J. S l女

上印 乱 。) ト 不 全l 芸芸, ;孟孟芳容写買

嘉要望量i o k m # 居

l 会 社 員 ( 嗣車 l 夜9 , .日 . と云 って出

J 緋 ( 3 歳Z, 匪 臓Ⅰ

体育の授業中,準備運動で400m のランニン グを始めた直後.野球部員.

6.6 l Y.Tl男

富士"・ % l i , ; L 塁性心不隈 等鮎 岩野 義 認 真義 テ

レビ

記者

(福

島)

工員 (

福島)

共に福島市民マラ

ソ8 k nの部に参加,気温 3 0o Cを超す猛暑の中のレース.

K

. Tさんは ゴール前3 0 mで倒れ,T.T事ん は どこで倒れたか不

.

K. Tさんは柔道 2段,T. Tさん は野 球の 選 手を していた.

6 . 2 0 】 M.H l男

流通 % , l b不全 層 雲岩芝 三重三議 預 !3 9 : : #

(4)

6. 21 l Y.Tl男

6 4l 薬販売鮎 , 桓 出血l 壷屋至芸嘉嘉冨軍 産欝 警 記 夢 窓昌 6. 2 5 l K.K l男

4 7l 会社員( 東京, ト 臓‑ヒ際 琴軍 琴 孟 妄言を琵 嘉 こ 戯

6. 26 1 で.Sl男

・ 7巨 鶴 川 桓 慣 琴 声 聾 監 酢A o 嘉 撃 取

6. 2 6 l K.Y l男

4 0l 会社員( 岩手匝 ‑ヒI 琵 琶董藍 琴 、 毒鑓 繁 昌㌢ 亨 基b 5 渇 6 . 2 7 J T. W l男

27l 会社員 ( 静岡 , 匝 性心 確 抑

水泳の授業で泳い

いるときに突然沈む.す 7 .4 l H.Y l男 長井高 1 年

( l L n 7m l 心舶 動】 遥毘 遠望, t = デ

腎賢覧窒品 讐上 競 技の

男 回 片桐酉 由 宇戯 作l 水泳の授業 ,2 5mの中程のところで急に沈 ち,す ぐ救 助 したがすでに死亡.

l 南大東 品 縄 塵 循環l

柔道の練習中,気分が悪いと訴え,暫 く休ん だ後,病院へ移送,その途中で死亡.

7 .1 0 1 M. Y l男

( 肋 眉 警弼 慧 詰 態 違 憲 運 芦

7 ・ 1 2 lH・A 回 1 8l 米子東鮎 , 匝当

体育の授業でバ レーボールの ア タック絞 習 中, 4月の健診 「 異常なし」柔道 2段.

朝野球に参加 し ,投 手 で 2 回投 げ,その 後打 7. 1 31 N.K l男 造林作業員

h r 翫 ) l 心臓マヒl 監 竺 とう干してふ らつきベンチにさが岬

7. 22 l Y.N t女

二 二 : ; :‑ , ‑ 喜: ̲ : : iI L ̲ ・ ‑ ; i ‑ : iI二 三 二 三 二 二

女 回 越 谷 北 島玉 不 全t テニス部の練習中,突然倒れ 4時 間 後 に 死 亡.気温3 4 . 4oC.

睡 眠 時 間3 時 間 , 気 温 3 6 . 1 o C .

7. 25 l Y. M l女

7 ・ 2 5 I M・ N 回 4 6 L 精薄者協 , I や掛 ヒl

遊泳中,急に体の調子が悪 くなる.入水前の 保健婦によるチェック異常なし.

明 治 大 畠京 , s y 2 等箆! T v = 猷言 y

(5)

7. 3 0 tE.N l9 3

杉並高( 1 品 , L 晶瑠 磁 歪警7 % 1 7 0 0 措 鵠 矯 欝 岸摘

・ 6 戸 手高 ( 1 品 , l

野球部合宿練習初日,2 キ ロのランニングの

後 ,グラウン ドを2 0周 した ところで倒れ る.

8.6 日 . K l男

関西第 ( 1 鳥 , l 呈警鞘 蓋, 7 71 え. 3 5 冨習:2 ' g o 撃; 鞄 至馨野 蒜壷

田高 ( 東 京)

( "

)

8.7 l K. T I T J 夕方の体力づ く

りラ

ングで約 3 k n走 った 所で苦 しみ出す, 1 時間後死亡.中学の野球 部投手.

8・8 Z Y・ K 回 1 8l 醐 熟 別 ,

イ ソクーバル トt /‑

ソグで 6 0 0

・ L , した直後倒れる.合宿中.

町民 運動会でマ

ソンに参加,約 4 キ ロの コ ースで ゴール

3 0 0 m のところで倒れる.高 校時代野球部 投手 ,現在 も役場チームの レギ

ユフ一.

心 不 全 r 妄蒜 ?詣 露 ;袈 謂 嘉欝 倒れ る・

ス イ ミングスクールの修了式の

,潜水訓練 中,汚水 したま

浮上せずその

ま死亡.初 等科‑紋,2 時

連続して泳 ( ・ 能力を もって い

た .

仲間 とバ トソタ

8. 27 1 M. K l男

8. 27 1 K. K l男 仲間3 人 と谷

岳に登 り下山途中

, オ

の 頚付近で突然

意 識

不明とな りそのまま死亡.

ふだん低血圧

味であった.

9.8 l K. M r9 3

9. l l l H.S l9 3

脚 ( 岡山, ト 再 挙筆 琴慧 鴇

芸冨冨・ :

月刊切抜 き 体育 ・スポーツ (アイオーエム坂) より抜革

〈 注 ) 1 ここに記載 したのは新聞で報道 されたものだけである.

2

死亡に運動が何等かの形で関与 し,かつ本人の素因が結びついていると思われるもの のみを収録した.

3 従 って外傷性の部放 く 例,山での転落,遊泳中の溺死,ボクシソグの事故死, ゴルフ 中の落雷等)は含 まない.

4 未申記載の死因は新聞に記載 された ものをそのまま用いた.

(6)

ての高温多湿の環境条件, このような幾つかの要因が死亡事故の多発に関係 しているものと 思われ る.

次に高校生以下についてみ ると , 4 ,5 月 と 11‑ 1 月に も発生が多 くなっている. 4 , 5 月は長い学年末休業の期間,大 した身体活動をす ることもな く過 していたのが,新学期にな って急激に活発な運動を実施するようにな った こととの関連, また ,ll‑ 1 月はいろいろな 学校主催の体育行事が実施 され ることとの関連が考え られ る.

3 ‑2 発生時の区分

運動に伴 う内因性の突然死は どんな時に発生 しているのか,その区分は 〔 表 3 〕の通 りで ある. まず,高校生以下についてみると,最 も多いのが クラブ活動中,ついで授業時,学校

表 3 発生時の区分

行事の順にな っている. これ らは,いずれ も学校 の管理下において発生 した もので,その割 合は実に 9 2 . 5 % に達 している. このような学校の管理下におけるいろいろな体育関係行事は, 身体活動が半ば強制 され義務づけ られ ることもあ って,少々無理 してでも頑張 らざるを得な い ような雰囲気 もあ り,つい無理 して しま うケースが多いのではなかろ うか. このような無 理な頑張 りが事故発生 と関係があるのか もしれない. この現実は,児童生徒を預 る立場にあ る学校関係者 としては肝に銘 じてお く必要があろ う.次に大学生,一般人についてみると, 当然のことなが ら個人活動中が多 くな り,高校生以下では見 られなか った大会時の発生 も多 くなっている. この両者を合せると 8 0 % を超える.個人活動の内容は殆ん どが健康増進,体 力増強のための活動であ り,大会は早朝野球のように レクリエーシ ョン的なものか ら, 日頃 の トレーニングの効果を試すための競技会形式の大会 までいろいろ含 まれている. しか し, いずれに して も,運動が所期の目的 と全 く異 った結果をもた らしていることに違いはない.

3‑3 発生時の活動状況

事故が発生 した時の活動状況は 〔 表 4 〕の通 りで ある.最 も 多いのは ランニング中で 34

件 ,5 0 % を超 える. また,他の種 目で も事故が発生 した時の状況を細かに分析 してみるとラ

(7)

未4 発生時の活動状況

表 5 ラ

エソグ中の事故発生時区分

ソニソグが何等かの形で関係しているものが多い.そこで, ランニング中の事故について更 に発生状況を分析 してみると 〔 表 5 〕のようになる.即ち,長距離走において最 も発生頻度 が高 く,それ も, ゴールを 目前にしてとゴール直後の発生が多 くなっている.また,途中に 区分 され るものが1 0件となっているが,殆んどが個人活動の体力づ くり トレーニング中のも のである.従って,事故発生時の目撃者 もな く状況がはっき りしないものが多いが, この中 には, 自分で考えた 目標距離の直前,あるいは直後のものも含まれているか もしれない. こ のような ゴール直前,直後の多発は, ゴールを 目指 しての最後の頑張 りが,生体に過重な負 担を与えるためではないか と思われ る. しか し,ウォー ミングア ップ中と思われ る事故も 3 件あ り,・ ウォー ミングアップ程度の軽い負荷でも発生することがあることを示 している.

3 ‑4 事故者の実態

事故老の中で運動以外に事故の誘因となるような各個人の要田についてみると,何か所見

のある者は 〔 表 6 〕のようになっている.その数は 1 9 名,約 3 0 % に当るが,その中で運動禁

忌 となっているような人は 1 人 もいない.心臓循環系に所見のあった人が 9 名いるが,これ

とて殆ん どが現在異常なしとされている人達である.中には幾分症状の継続 している人があ

るにはあるが,決 して無理をして過激な運動を実施 したわけではない.む しろ許され る範囲

内で体力づ くりのために身体活動を試みたとい うべ きであろ う. こうしてみると,事故老の

殆んどの人が健康者 として何等運動制限,要観察等の対象になっていなか ったことを示 して

いる.更に,事故老個々についてみると,過去において輝か しい競技歴を もった人, また現

荏,運動選手 として活躍 していた人 も多 く,一般には平均以上の健康者 とみられていた人が

多い.こうしてみるとすべての事故が,ある日突然,予期 しない時に,予期 しない状態で,

予期 しない人に発生 したと云えるのではなかろ うか.また,運動時の各人のコンディション

(8)

̲ ̲ . ̲ ̲ ̲ ̲ ̲

̲̲ ̲̲

I

\‑ f f I

の中で疲労,空腹等体調不十分な状態での発生が 6 件あ り,事故防止の対策を考える上で注 目すべ きことであろ う.

3 ‑5 .死因及び死亡状況

新聞に記載 されている死因は 〔 表 1 〕に見 られ る通 りで,殆んどが循環機能障害となって いる.死因は心不全,心臓 マヒとい うよう. に死に致 った状況がそのまま死因名としてあげ ら れている.何故,心不全になったのか,何故,心臓マヒが起 ったのか とい うような死に至る までの正確な経過は究明されていない.ただ, 1件だけは剖検により死因が正確に究明され てい草・ .つぎに事故発生後死亡確認までの時間的経過についてみると'個々のケースではっ きりしないものもあるが,一応記事の中にはっき り記載 されているもののうち ,5 0 件が 1 時 間以内の死亡,それ も殆んどが即死の状態となっている.即ち,事故が発生 した場合,医療 を施す時間的余裕のないままに死亡 しているのが現実である. このような事態に対処するに は,まず何 よりもこのような事態の発生を招かないようにすることが大切で,そのためには 一刻 も早 く其の死因が究明され,それに対する対策の確立が急がれ るところである.

4 . む す び

運動に伴 う突然死の実態について,いろいろ考察を試みたが,以下のようにまとめること ができる.I

( 1 ) .事故の当事者は, 日頃,自分 自身の健康に 自信をもち,健康診断の結果でも何等所見 のない人達である.それだけに事前にこのような事故発生をチュックするのが難かしい.

( 2 ) しか し,空腹,睡眠不足,疲労気味,体力消耗時等,各個人の体調が事故発生 と何等 かの関連が うかがえるので,運動する場合,常に最善の体調で取 り組む心構えが大切である.

また,高温,炎天下 とい うような外部環境条件も誘因 とな りやすいので,いろいろな環境条 件に対する配慮が必要である.

( 3 ) 高校生以下では殆ん どが学校の管理下において発生 している.学校 としては正課の授

莱, クラブ活動,体育行事のどれをとっても,半ば強制的に運動を課 しているだけに常にこ

(9)

の ような事故に対す る措置を講 じてお く必要がある.

( 4 ) しか し, この ような事故の発生は予見が非常に困難で,一旦発生 して しまうと手を施 す暇 もな く不幸な事態を招 くケースが多い.運動中の各個人の体調は各個人に しか把捉でき ない面が多 く,外部か らチ ュックす ることは難か しい.従 って,対策 としては各個人がこの ような事故発生防止に対する知識を持つ ことが大切である. このような事態が起 る前には, 胸部の痛み,不整脈,苦 しみ等 々,何等かの前駆症状があるものと思われ る.そこで, もし もそのような前駆症状的なものが感 じられた場合は,その時点で運動の中断が望 ましい. し か し,一寸 と苦 しいか らと云 って中断 していたのでは運動す る意味がない. この苦 しみに打 ちかつ ところに トレーニングの効果 も生 まれ,運動することの楽 しみもある. また, レース 等においては, ゴールを 目指 して どんなに苦 しくとも最後まで頑張 り抜 くことを訴える風潮 もある. このような現実の中で事故防止 と頑張 ることを どのように調和させた らよいのか, 最後の頑張 りが命取 りになっていると見 られるケースが多いだけに難か しい ところである.

しか し,競技者に対 しては,時には勇気ある撤退が必要であることを事故防止の知識 として 前駆症状 と合せて徹底 してお く必要があろう.特に中高年者は決 して無理を してはな らない.

若い頃,汲 しい トレーニングに耐え抜き,輝か しい競技歴があるか らとい って,何年問 も ト レーニングを中断 した場合.過去の実紀は何の意味 もない.それは,単なる過去の幻影に過 ぎないことを知 らしむべ きである.

( 5 ) 事故防止対策 として,事前の メデ ィカルチ ェック,運動中のチェック等いろいろの方 策が講 じられているようだが, この実態か ら見 る限 り完壁 とは云い難い.特に事故者の中に は事前の健康診断等では何等異常をチェックされていない人が多い.それなのにその人達が 何故運動することに よって心不全に陥ったのか, また心臓マヒを起 したのか,その メカニズ ムは究明されていない.心情的には忍び難いところもあ るが,不幸に して事故が発生 した場 合は,剖検等に より徹底的に死因を究明する必要がある. このような死の メカニズムが正確 に把捉 されて初めて事故防止のための的確な対策 も生 まれて くるものと思 う. 日常生活の中 に運動が次第に定着 しつつある今 日 , 1日も早 く,事故防止のためのメデ ィカルチ ェックの 確立が望 まれ るところである.

参 考 文 献

1 ) 月刊切抜き 「 体育 ・スポーツ」アイオーエム 1 9 7 7,1 1 号〜1 97 8,1 0 号.

2 ) J o s e phDiGe nna r o ,小林義雄訳 運動処方と至適体力 泰流 杜 1 97 8.

3) 体育科学セソタ一編 健康づくり運動カルテ 講談社 1 97 6.

4) 黒田善雄著 講座現代のスポーツ科学匡】 スポーツの医学 大修館書 店 1 97 7.

5) 石河利寛,松井秀治網,スポーツの医学 杏林書院 1 9 78.

表 1 運動に伴 う内因性突然死 ( 昭和5 2 年1 0 月 1 日〜昭和5 3 年 9 月30 日) 月日L 氏 名 回 年 令 l Bl 属( 府 県 ) l 死 可 経 過 ほ か 冗

参照

関連したドキュメント

在させていないような孤立的個人では決してない。もし、そのような存在で

交通事故死者数の推移

当社は「世界を変える、新しい流れを。」というミッションの下、インターネットを通じて、法人・個人の垣根 を 壊 し 、 誰 もが 多様 な 専門性 を 生 かすことで 今 まで

自閉症の人達は、「~かもしれ ない 」という予測を立てて行動 することが難しく、これから起 こる事も予測出来ず 不安で混乱

父親が入会されることも多くなっています。月に 1 回の頻度で、交流会を SEED テラスに

海なし県なので海の仕事についてよく知らなかったけど、この体験を通して海で楽しむ人のかげで、海を

近年は人がサルを追い払うこと は少なく、次第に個体数が増える と同時に、分裂によって群れの数

発生という事実を媒介としてはじめて結びつきうるものであ