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13 章顎の外科矯正

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Academic year: 2021

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章 顎の外科矯正

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節 顎の外科矯正とは (外科的矯正歯科治療)

鈴木 弘之

矯正歯科治療の 目的が美 しく,健康な歯,歯周組織,歯列,校合,口腔機 能,顔貌等を創 り出す ことにある。外科的矯正治療の目標 もこれ らと全 く同 じ である。

外科的矯正歯科治療 とは,本来な ら歯科矯正装置のみで行 う矯正歯科治療を 手術を併用 して行 う矯正治療の ことである。最近 とくに顔面の審美性を主訴に 来院される患者さんの中には,下顎が突出 して受け口が強い ヒ ト (以下,骨格 性下顎前突),上の歯が前突 して下顎が小 さく見えるヒ ト (以下,骨格性上顎 前突),噛み合わせた時上の歯 と下の歯が噛み合わないで,すきまの開いてい るヒ ト (以下,開校),前か ら見て顔面の左右の非対称性の強いヒ ト (以下, 骨格性の交叉唆合)等である。

これ らを総称 して顎変形症 と呼んでいます。

顎変形症は,歯並びだけではな く顎の骨 も変形 しているため噛めないばかり でな く発音や審美性に問題が生 じます。 このよ うな訴えを もっ患者 さんのた め,長崎県で唯一 この顎変形症の矯正歯科治療に健康保険が適用されているの が長崎大学歯学部付属病院矯正歯科です

2節 適応症 (どのような患者さんが外科的矯正治療の対象か ?)

かなり多 くの骨格性下顎前突が外科的矯正歯科治療の対象になるはずである が,切 りす ぎてはいないか ? 矯正歯科治療だけで も治 るものを切 るか ら結果 がいいだろうとか,切 って もすべて うまくいくとは限 らないという意見 も今ま でにあった。 この意見のなかに,顎変形症 (外科的矯正治療)の適応症 と決定

‑ 2 2 9‑

(2)

す る考えかた,種類 と修得度,患者の要求等,多 くの因子 によ って左右 され る。 ここまでが矯正治療のみ, ここか らは外科的矯正治療 ということを明確 に 決定することは難 しい。

ただ し,確実に言えることは,患者あるいは矯正歯科医,口腔外科医,形成 外科医が下唇やオ トガイの突出または顔面の非対称 とか,顔貌 の改善 (審美 性)を求めている 場合 には,外科的矯正治療の対象 となる。最近の患者 さん のなかには,顎顔面に異常のあるヒ トはいわゆる良い職業につけないとか,礼 会的に制約 されるという意見 もあ り,今後顎変形症に対す る審美的要求 は健康 保険の適用 もあ りますます強 くな っています。

顎変形症で最 も多い下顎前突 (受け口)のなかで外科的矯正治療の対象 と成 りうる条件 は,1)矯正歯科治療のみでは治療が難 しい

。2)

治療期間が長 くかか

。3)

矯正治療後の安定が難 しい

。4)

口腔の機能回復が不十分である

。5)

上顎 骨,下顎骨の形態異常 と相対的な異常に上下の歯の位置異常で, これ らの結果

としての症候群である。

3節 手術時期について (いつ頃から始めるか)

外科的矯正の手術時期は,一般的に成長の終了を待 っておこな う。

そのため,成長の終了を手術に合わせ るようにす るために, 1年 ごとに連続 撮影 した頭部 Ⅹ線規格写真を参考に して,手の レン トゲ ン写真より骨年齢をみ なが ら手術時期を合わせるように術前矯正を開始す る。患者の進学,就職の こ とを考慮す る必要があることはもちろんで,おおよそ手術時期を決定 した らそ の約

1

年半前より術前矯正を開始するまた上顎の手術を含む場合は

4

月前 よ り預血 (自分の血液を血液セ ンターに

8 0 0cc

ぐらい溜める)す ることがあ り ます。

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章 顎の外科矯正

4

節 術前矯正について

外科的矯正治療における術前矯正治療の必要性,重要性は形成外科,口腔外 科か らも広 く認め られている。 このため大学の付属病院矯正歯科では,健康保 険が適用されている。術前矯正治療は調和のとれた顔貌 と機能的な校合を確立 し,それ らを安定 させるために必要な矯正治療である。術前矯正治療期間は約

1

〜 1

6カ月必要である。

術前矯正治療によって治療方針どお りに,すなわち矯正歯科医が予想 した位 置にすべての歯が排列されていれば,それに基づいて,手術方法,顎の移動方 向,移動量が正確に計画 される。さらに手術中に緊密な噛み合わせで上下の顎 を固定することができる。術前矯正治療において用い られた矯正装置はそのま ま上下の顎を固定あるいはネジ止めの時に用いられる。

術前矯正治療の 目的は,歯の叢生 (で こぼ こ)をな くし,図

1

に示すよう に,下顎の前歯部はたいてい舌側 (内側)に傾斜 しているので, この前歯部を 唇側 (外側)に傾斜 させる,また上顎の前歯部は唇側に傾斜 しているので これ を舌側に傾斜 させる。 このため術前矯正治療は見かけではもっと審美的に悪 く なる。 これは手術後に顎の位置に対する歯の解剖学的位置 (顎に対する歯の正 常な傾 き,位置)にするためやある。

5

節 顎矯正外科手術について

2

に示す矢印のように下顎のみ手術,上下顎手術,オ トガイ形成術等を症 例に応 じて用いられる。手術はいずれ も口腔内か ら行 うので顔の表面に傷痕は 残 らない。手術時間は,下顎のみの場合

2

時間 ぐらい,上下の時,

4

時間 ぐら い,オ トガイ形成術のみの時は30分 ぐらいである。手術は全身麻酔でおこなう ため,痛みはない。ただ し顎の手術の時,出血が予想されるときは,前 もって 預血を

3‑ 4

か月前か らする。

‑ 231‑

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1‑ a

: 反対噴合の矯正歯科治療 による前歯部の歯の動き (上の前歯 は外側へ、下の前歯 は内側へ傾 く)

J ・ ・

/ Ji

: ,,llL.jL 〟

1‑ b : 顎変形症 (骨格性下顎前突)の上の前歯 は唇榊に傾斜、下の前歯 は舌側 に 傾斜 していることが多 い、 このことが矯正歯科治療のみでは (

1‑ a

ような動 き)ますます歯 と顎の関係 は悪い方向へ移動 させることになる。

(5)

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顎の外科矯正

2

矢印の部位一般的に行われる骨切 り部

6

節 術後矯正治療について

術後矯正治療は術前矯正治療の歯の後 もどりを防止,手術によって顎骨のみ 移動されるため,顎に付いている筋肉 (軟組織)を順応 (慣 らす)させる,安 定 した唆合を維持 させる等の役割を持 っている。期間は約 1年 ぐらい必要であ

る。

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参照

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