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日本語中級レベルの教科書に見られるオノマトペ

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(1)

日本語中級レベルの教科書に見られるオノマトペ

守 山 恵子

キーワー ド :オノマ トペ、 日本語中級教科書

1

.は じめに

日本語教育 の現場で、オノマ トペ は どのように扱われているのだ ろうか。 日 本語学習の どの段階で、 どのようにオ ノマ トペが導入 されているのだろうか。

日本語能力試験 の出題基準 を見 ると、 3、 4級 レベルでは、オノマ トペ はわず か数語である。

1

2

級 レベル になると

60

語 ほどが出題基準語嚢 として示 され ている。長崎大学留学生セ ンター ( 以下留学生セ ンター とす る)で中級 レベル の日本語 のクラスを受講する学習者たちは、 クラスの中で、 どの程度のオノマ トペ を学習す ることになるのだろうか。本稿では、留学生セ ンターの

2006

年度 の日本語 中級 クラスで使用 されている教科書 にどの ようなオノマ トペが見 られ るか とい うことと、教科書の中で どの ように提示 されているか を整理 した。 ま た、 日本語能力試験 出題基準の語嚢 リス トの中か らオノマ トペ を抜 き出 し、そ れ らと実際に中級教科書 に見 られるオ ノマ トペ とを比べた。

オノマ トペ の うち、特 に擬態語 は、 その語が擬態語か どうかが分か りに くい もの も多 く、何冊かの擬態語擬音語辞典 を比べ ると取 り上 げ られている語 に違 いがある。筆者 はこれ までに

CVQCV

リ」のオ ノマ トペ について、 日本語 母語話者 のオ ノマ トペ感覚 を検討 したが

1)

、何冊 もの擬態語擬音語辞典 でオ ノ マ トペである と判断 されている語であって も、一般 の 日本語母語話者 にはオノ マ トペ とは感 じられていない語がある

特 に、頻繁 に使われていて、 しか も、

同 じ語基 をもつ形態の異 なるオノマ トペがない場合 には、一般語嚢 として捉 え

られていることが多い。 日本語教育 の中で も、それ らの語 は一般語嚢 として扱

うほうが望 ましいのではないか と思われ る。実際の教科書 に見 られ るオノマ ト

ペ を明 らかにす ることにより、「 オノマ トペ」をどの ように学習す ることが、学

習者の役 に立 つのか を考 えたい。

(2)

2

.中級 レベルの教科書 に見 られ るオ ノマ トペ

留学生セ ンターで

2006

年度 に開講 されている中級 レベルのクラスの うち、本 稿で検討の対象 とした使用教科書 は表 1の通 りである2 ) 0

表 1 :使用教科書一覧

教科書番号 クラス名 使 用 教 科 書

1 準 中級 『 中級へ行 こう』 ( ス リーエーネ ッ トワーク) 2 中級 Ⅰ会話 『 新 日本語 の中級』 ( ス リーエーネ ッ トワーク)

3

中級 Ⅰ読解 『 中級か ら学 ぶ 日本語』 ( 研究社)

4

中級

『トピックによる日本語総合演習 .中級前期、 中級後期』

発表 .作文 ( ス リーエーネ ッ トワー ク

)3)

5

中級 Ⅰ聴解 『日本語会話 中級 Ⅰ

』(TⅠ

J東京 日本語研究所)

6

中級 Ⅰ Ⅰ 読解

a

『日本社会探検 』 ( ス リーエーネ ッ トワー ク) 7 中級 Ⅰ Ⅰ 読解

b

『 中級か ら上級 へ の 日本語

』(TheJapanTimes)

1

に示 した教科書 に見 られるオノマ トペ を表

2

に示す。

オノマ トペの型 は次の ように分類 した。「ぐん」の ような語尾が 「ん」の

2

拍 の もの

(「N (2)

」とす る)、「 ず きん」の ような語尾が 「ん」の

3

柏の もの

(「N

(3)」とす る)、「きっ」のような語尾が促音 の 2指 の もの

(「Q

」とする) 、「ど きっ」の ような語尾が促音の

3

指の もの

(「Q (3)」

とす る) 、「うっか り」の ような 2拍 目が促音 で 4拍 目が 「り」の 4拍の もの

(「Q

」とす る) 、「い らい ら」のような

2

拍の語基 を重ねた

4

拍 の畳語

(

「 畳語」とす る)、「 が らり」のよ うな語尾が 「り

3

指の もの

(「リ (3)

とす る) 、「 パパパー」のような以 上の どれに も分類 されない もの

(

「 他」 とす る) 。教科書で使われているとお り

に、ひ らがなで表記 されている場合 はひ らがなで、カタカナで表記 されている 場合 はカタカナで表記 した。同 じオノマ トペで も表記が違 う場合 には別 に扱 っ た。 また、表内の数字 はオノマ トペの出現回数で

「4

」とあれば、当該オノマ

トペが 4回使われていることを表わす。

表 2 中級教科書 のオノマ トぺ

教科書番号

1 2 3 4 5 6 7 8 ぐん N(2) 4

きちん N(3) 2 2

ずきん N(3) 2

うんざり N1

しょんぼり Nリ 1

のんびり N1 1

教科書番号 1 2

3 4 5 6 7 8

かつ

Q

1

ぎゆつ

Q 2

ぎょっ

Q

1 1

さつ

Q 1

サツ

Q 1

1 1

じつ

Q 1 1

(3)

教科書番号 1 2 3 4 5 6 7 8

すつ Q

1

そつ Q 1

Q

1 1

はつ Q

1 1

バツ Q

1

ホツ Q 2 2

ほっ Q 2 1 1

むつ Q 1

ジーツ Q(3) 1

スーツ Q(3) 1

スパツ Q(3) 1

ダグッ Q(3) 1

どきっ Q(3) 1

パクツ Q

(3)

2

びくつ Q(3)

1

ぽうつ Q(3)

1

1

うっかり Qリ

1

1

うっとり Qリ 2

おっとり Qリ

1

がっかり Q 3

きっぱり Qリ 1

くっきり Qリ 3

こっそり Qリ 1

しっかり Qリ 1 1

すっかり Qリ 2 1 3 2

そっくり Qリ 1

たっぷり Qリ 1 1

どっしり Qリ 3

ニッコリ Qリ 2

はっきり Qリ

1 1

2

1 1

4 3

バッタリ Qリ

1

ばっちり Qリ

1

びっしり Qリ

1

ぴったり Qリ 1

1

2

ほっそり Qリ 1

ゆっくり Qリ 1 8 5 2 3 1

ゆったり Qリ

1 1

いらいら

畳語

1 3

イライラ 畳語

2

うきうき

畳語

1

おいおい

畳語

1

かちかち

畳語 1

からから

畳語

3

がりがり

畳語 1

がんがん

畳語

2

教科書番号 1 2 3 4 5 6 7 8

キヨロキヨロ

畳語

1

ぎりぎり

畳語 1

ぐうぐう

畳語 1

くしゃくしゃ

畳語 1

くすくす

畳語 1

くたくた

畳語 1

くちゃくちゃ

畳語

1

クルクル

畳語

1

げらげら

畳語

1

ゴクゴク

畳語 1

ごくごく

畳語 1

1

ごたごた

畳語

1

ごちゃごちゃ

畳語

1 2

ごつごつ

畳語 1

ごろごろ

畳語

4

1

こんこん

畳語 1

ざあざあ

畳語

2

ざらざら

畳語 1

しくしく

畳語

1

ジャージヤー

畳語 1

ずきずき

畳語

2

ずけずけ

畳語 1

すらすら

畳語 1 1 1

ぞくぞく

畳語

2

そろそろ

畳語

7

1

ちびちび

畳語 1

ちゅうちゅう

畳語

1

つやつや

畳語

1

ツルツル

畳語

9

つるつる

2

てかてか

畳語

1

どきどき

畳語 1

2

ドキドキ

畳語 1

どさつ

畳語 1

とんとん

畳語

1 どんどん

畳語

4

1 1

にこにこ

畳語

1 2

1

ニコニコ

畳語 1

にやにや

畳語 1

ぬるぬる

畳語 1 1

ねばねば

畳語 1

のびのび

畳語 1

ノロノロ

畳語 1

バクバク

畳語

3

ぱくぱく

畳語

1

ばたばた

畳語 1

(4)

教科書番号 1 2 3 4 5 6 7 8

はらはら

畳語

2

ばらばら

畳語 1

1

ひそひそ

畳語 1

ひょろひょろ

畳語

1

ひりひり

畳語

2

ぶうぶう

畳語 1

ぶつぶつ

畳語

1

ぷよぷよ

畳語

1

ふわふわ

畳語

1

ぺこぺこ

畳語

2 2

べらべら

畳語

2 2

ぺらぺら

畳語

2

ベラベラ

畳語 1

ぺろぺろ

畳語 1

教科書番号

1

2 3 4 5 6 7 8

ポカポカ

畳語 1

ぽちゃぽちゃ

畳語

2

むかむか

畳語

2

めそめそ

畳語 1

もぐもぐ

畳語

1

わあわあ

畳語 1

ワイワイ

畳語

2

わくわく

畳語

2

ジャー 3

ノヽヽ′ヽ‑ 1

がらり 叫 3) 1

すらり

( 3)

1

パクリ

申 3ー

1

オ ノマ トペか否かの判 断 は難 しい場合 も少 な くない。た とえば、「びっ くり

はオノマ トペだ ろうか。「やっぱ り 」 「や は り」 は どうだ ろうか。型 はオノマ ト ペ の典型的な型 の 1つだが、 これ らはオ ノマ トペで はない。 その判断 を、本稿 で は、以下 の

3

冊 の擬態語擬音語辞典 によることとした。 これ ら

3

冊 の辞典 の

うち、

2

冊以上 に収録 されてい るもの をオ ノマ トペ とした。

擬音語擬態語使 い方辞典

2

阿刀田稔子 ・ 星野和子

1995 創拓社

・『 擬音語 ・擬態語辞典

天沼寧編

1974 東京堂 出版

擬音語 ・擬態語辞典

浅野鶴子編

1978

角川書店

本稿 で対象 とした

8

(

『トピックによる日本語総合演習 ・ 中級前期、中級後 期』 は

2

冊 に分かれてい るので、正確 には

9

冊 にな る)の教科書全体で、異 な り語数で

130

余 りのオ ノマ トペが使 われていることがわかった。「げらげ ら 」 「ご くご く 」 「ざあざあ」 な どの擬音語 もあるが、擬態語が多い。

すべての教科書 に共通 す るオ ノマ トペ はなかったが、「はっき り」 は

7

冊 の、

「ゆっ くり

6

冊 の教科書 に見 られた。

オノマ トペ全体 のなかでは、

2

拍 の語基 を重ね る畳語の数が最 も多いが、表

2

で もこの型 のオノマ トペが最 も多か った。次 に

2

相 目が促音 で

4

拍 目が「り

4

拍 のオ ノマ トペが多かったが、 これ も全体 のオ ノマ トペ と同様である。

教科書 によっては、「 擬態語、擬音語」な どとい うタイ トルで、オノマ トペ を い くつか まとめて学習で きるようにしてい るもの もある。

『 新 日本語 の中級

は、課 ごとに、学習項 目 とい う欄 を設 け、基本文型や表

(5)

現、縮約形、 それぞれの品詞の使 い方 な どをまとめて示 しているが、課 によっ ては この学習項 目の中 に 「 擬態語

とい う項 目が ある。提示の仕方 は、擬態語 を使 った短文 を示す場合 と、擬態語 のみを示す場合 があ り、いずれ にして も具 体 的な語嚢が示 されている。 また、練習問題 として、 その課 のテーマである場 面や機能 で使 われ る ことの多い擬態語 を学習す る課題がある。た とえば、「 病状

を伝 える

とい う課 で は、絵 と共 に示 された 「 ぺ こぺ こ、ず きず き、 ぞ くぞ く、

がんがん、むかむか、 ひ りひ り、か らか ら」の中か ら、ふ さわ しい語 を選 んで、

短文 の空欄 に入れ る といった問題があ る

学習者 は意味 の関連 す る擬態語 をい くつか ま とめて学習す ることになる

この教科書で使 われてい るオ ノマ トペ の 表記 はほ とん どがひ らが なだが、同 じ教科書で同 じ話題 の中で使 われている場 合 で も、一方がひ らが な、他方 はカタカナの場合 もある。

『トピックによる日本語総合演習 ・中級前期、中級後期

には、 「ことば」 と い うタイ トル の課 の中 に 「 擬音語 ・擬態語」 とい うペー ジが あ り、「 笑 う 」 「 泣

く 」 「 話す ( 言 う

)

」 「 飲 む」とい う

4

つの動詞 ごとに、 その動詞 を修飾 して様子 を表わすオノマ トペ とそれ に対応す る絵、 さらに使 い方が示 され、短 い説明文 が添 えられている。 ( ただ し、擬音語 ・ 擬態語辞典 に共通 して収録 されてい る語 のみをオ ノマ トペ とす る と、オノマ トペ と判断で きない語 も含 まれている。)た とえば、「 笑 う

と共 に使われ るオノマ トぺ として、「あははは、ふふふ、 げ ら げ ら、 くす くす、 に こに こ、 にや にや」 を挙 げて、絵や説明文 で これ らのオ ノ マ トペ によって示す ことがで きる笑 い方の違 い を理解 させ ようとしてい る。 ま た

、「

〜 と笑 う」とい う形 で使 われ る 「と」が必要 なオ ノマ トペの場合や

、「

〜す る」 と 「す る動詞」の形 で、「 笑 う」 とい う動詞 な しで も使 われ るオ ノマ トペ の 場合 は、 その ことも示 されている。 ほ とん どは畳語 のオ ノマ トペ で、型 による 違 い、つ ま り、「に こに こ」と 「にっ こり、 にこり、 に こっ」な どとの違 い は取

り上 げられていない。

『日本社会探検』で は、 1つの課 に 「この読 み物 に出て くる擬音語 ・ 擬態語 を ひろってみ ましょう。」とい う問題が あ り、オ ノマ トペ を使 って短文 を完成 させ る問題が ある。 ここで取 り上 げ られてい るオ ノマ トペ は 「びっ し り、イライラ、

どっしり、 ワイ ワイ

の四つで、意味 のつなが りや型 の統一 はない。「びっし り、 どっ し り」 はひ らがなで、「イライラ、 ワイワイ」 はカタカナ表記 である

また、「よ く聞 いた り、よ く使われた りす る擬音語 ・ 擬態語 を紹介 して くだ さい。」

とい う課題 もある

(6)

『 中級か ら上級への 日本語』で は、練習問題 で 「 擬態語 ・擬音語」 と明示 し て

、「

『 食べた り飲 んだ りする様子』 を表わす」オノマ トペ を列挙 し、短文 を作

らせ るようにしてい る。 ここで提示 されているオノマ トペ は畳語 のみである

「 人 を描写す る擬態語」の練習問題 には、短文の中で使われている二つのオノマ トペの うち、正 しい もの を選ぶ問題 と、絵 にふ さわ しいオノマ トペ を使 って絵 の説明 をさせ る問題が ある。 ここでは、「ぼちゃぼちゃ、ほっそ り、す らり」な どの ように、 どれ もオノマ トペ によ く見 られ る型であるが、 さまざまである

3

. 日本語能力試験 出題基準のオ ノマ トペ

日本語能力試験出題基準 として リス トになってい る語嚢の中か ら、オノマ ト ペ を取 り出 し、表 3にまとめた。オノマ トペの判断 は上記 と同 じように辞典 を 使用 した。

3

能力試験 出題基準のオノマ トペ

2 きちん と N (3)

2 すんな り N ×

2 さっさ と Q(

他)

× 2 きちっ と Q (3) 2 ぐっ と Q × 2 さっ と Q

2 ざっ と Q ×

2 じっ と Qと

2 す っ と Q

2 ず らっ と Q (3) × 2 ち らつ と Q (3) × 2 どっ と Q × 2 ひ ょっ と Q × 2 ほっ と Q

2 あっさ り Q ×

2 うっか り Q リ

2 が っか り Q

2 が っ くり Q × 2 が っ し り Q × 2 が っち り Q ×

2 きっか り Q ×

2 ぎっし り Q ×

2 きっち り Q ×

2 きっぱ り Q ×

2 くっき り Q

2 ぐっす り Q ×

2 げっそ り Q ×

2 こっそ り Q

2 さっぱ り Q

3 しっか り Q

2 じっ くり Qリ ×

3 す っか り Q

2 す っき り Q × 2 た っぷ り Q (

2 にっ こり Qリ

2 はっ き り Q

2 ばった り Q ×

2 びっし ょり Q ×

2 ぴ った り Qリ

2 めっき り Q ×

4

ゆっ くり .と Q

2 い らい ら 畳語

2 うろうろ 畳語 ×

2 お どお ど

×

2 ず るず る 畳語 ×

3 そろそろ 畳語

2 だぶだぶ 畳語 ×

2 ち ょくち ょく 畳語 ×

2 どきどき 畳語

2 どん どん 畳語

2 に こに こ

2 の ろのろ 畳語

2 は らは ら 畳語

2 ぶかぶか 畳語 ×

(7)

2 ぶ つぶ つ 畳語

2 ふ らふ ら 畳語 ×

2 ぶ らぶ ら 畳語 ×

2 ふ わふ わ 畳語

2 ぺ こぺ こ

2 ぽつ ぽ つ 畳語 ×

2 ず らり

リ (

3) × 2 ぴた り

リ (

3) ×

助詞の 「と」を必ず伴 うオノマ トペの場合 は、「と」を伴 った形で示 されてい るので、 それ に従 った。擬音語擬態語辞典 では 「と

を伴 っていないが、一般 の国語辞典で は、オノマ トペ によっては 「と」 を伴 って見出 し語 となっている

もの もある

表 3で はオノマ トペが本稿で取 り上 げている中級教科書 にも見 られ る場合 に は右欄 に○で、 そうでない場合 には×で示 した。

オノマ トペの型 を見てみると、「さっぱ り」の ような 2拍 目が促音で 4拍 目が

「り」の 「 CVQ

C

V リ」型の

4

拍のオ ノマ トペが多い。 この型 のオノマ トペ は ほ とん どが擬態語である

擬音語 は必要があれば、具体的な音 と結びつけて学 び、理解す ることがで きる。 日常生活 の中で具体的な音 と結びついた擬音語 を 耳 にす るなかか ら、語乗数 を増や した り、理解 を深 めてい くこともで きるだろ う

それ に対 して、擬態語 は具体的な ものや ことと結びつけに くく、学習の場 が必要だ と思われ る。 また、 ここにあげ られている 「 CVQC V リ」 型の

27

オノマ トペの うち、同 じ語基 を持つ、促音がな く 「リ」で終わ る

3

柏の 「

C

V

CV

リ」型の もの と、同 じ語基 をもつ、畳語 「 CVCV‑ CVC

V

」型 の ものが ないのは、「あっさ り、がっか り、が っしり、 きっか り、 きっぱ り、 くっきり、

さっぱ り、 しっか り、 じっ くり、すっきり、 ゆっ くり」の

1

1 語である。

「にっ こり」と 「にこにこ」な どのような

2

拍 の語基 を共通 に持 つオノマ トペ が共 に取 り上 げられてい ることはほ とん どな く、語基が共通のオノマ トペがあ

る場合で も、 1つだけが取 り上 げられていることが多い。

4

. 日本語中級 クラスでのオノマ トペ

中級 レベルの教科書のオノマ トペ と能力試験 出題基準のオノマ トペ を見 る と、

日本語 クラスで学習者が身 につけることが必要だ と考 えられてい るのは、擬音

語 よりも、擬態語のほうが多い。オノマ トペ は口語的な言葉で、特 に、擬音語

を多用す ると、「 適切 な表現がで きないためにオノマ トペ に頼 っている」とい う

印象 を与 えて しまうことがある。書 き言葉で使われ る場合 には、カジュアルな

友人 に宛 てた手紙や臨場感 を持たせたいエ ッセーな どに使われ る と効果的だが、

(8)

フォーマルな文章、例 えば専門分野 の論文や レポー トな ど、擬音語の使用がふ さわ し くない場合 もある

しか し、擬態語 は擬音語 に比べ ると書 き言葉 に使わ れ ることも多 く、 日本語 中級段階で は、学習者がオ ノマ トペ を目にす ることも、

耳 にす る ことも、使 いたい ことも増 えて くる と思われ る。 そ こで、オノマ トペ をある程度 まとめて学習 す るのに、中級段階がふ さわ しい と思われ る0

能力試験 出題基準 に取 り上 げ られてい るオ ノマ トペの うち、特 に

、「CVQC V

な どのオノマ トペ で、語基が共通 のほかの型 のオノマ トペが存在 しない

もの は、一般語嚢 として扱 って もよいので はないか と考 えているが、 それ以外 の ものは、新出語嚢 として、ただ、学習者が その意味 を学ぶだ けではな く、オ ノマ トペ の音感覚やオ ノマ トペ の型、使 い方、な ども中級 の段階で整理 して学 ぶ ことが必要だ と思 う。

本稿 で取 り上 げた教科書 を見 る と、オ ノマ トペ の学習で は、た とえば、「 笑 い」

を表すオ ノマ トペや病状 を表 すオノマ トペ とい うように、意味が関連す るオノ マ トペ を同時 に学習す ることが多 く、 これ は、オノマ トペ同士が持つわずかな 意味 の違 いを理解す る ことにつなが り、効果的だ と思 う。 この場合 に、 さらに、

オ ノマ トペ の型 の もつ特徴 と使 い方や音感覚 について も学習者が学ぶ ことがで きる と、新 しいオ ノマ トペ に出会 った ときに、理解が容易 になるので はないだ ろうか。

オノマ トペの型 につuては、少 な くとも、能力試験 出題基準 のオノマ トペの 型、つ ま り、「い らい ら」の ような

「2

拍の語基 を重 ねた畳語」、 「あっさ り」の ような

「CVQCV

リ」、「 ぴた り」の ような

「CVCV

リ」、「さっ (と ) 」の よ うな

「2

指で

2

拍 目が促音 の もの

や間 に促音 を持 つ ものや擬音 で終わ るもの な どを取 り上 げる必要が あるだ ろう。 また、同 じ語基 を共通 に持 つ型 の違 うオ ノマ トペが同時 に取 り上 げ られれ ば、型 の持 つ特徴 を学ぶ ことがで きる。た と えば、畳語であれば、繰 り返 しや連続 を表わ し、語尾が 「リ」 の ものであれば、

終了や ま とまり、確実性 な どを表わ し、語尾が促音 の ものは瞬時 に動 いた り瞬 時 に止 まった りといった意味 を表わす な どである。

型 によって、必ず 「と」を伴 って用 い られ るもの ( た とえば 「さっ

)

や、「と

を伴 って も伴わな くて もよい もの ( た とえば 「ゆっ くり

)

、「と」を伴わない も の ( た とえば頻度 を表わす場合 の 「ち ょいち ょい

)

を整理 して示す ことも必要 である

2

拍のオ ノマ トペで

2

拍 目が促音 の もの ( た とえば 「さっ

)

な どは、

辞典 な どの見出 し語 として 「と」を伴 っているばあい もあれば、「と」を伴わな

(9)

い場合 もあるか らである。

また、「す る動詞」として用い られ るオ ノマ トペ ( た とえば「い らい ら( す る) 」 )

の数 は多いが、 どのオ ノマ トペが 「 す る動詞

にな るか を知 ることも必要だ ろ

つ。>

な形容詞 として用 い られ るオ ノマ トペ ( た とえば 「ぶかぶか ( な

)

「ぶかぶ

か ( だ)

)

や名詞 として用い られ るオ ノマ トペ ( た とえば 「い らい らが募 る」

の ように使 われ る場合 の 「い らい ら

)

もあるが、 これ らについては、転用だ と 理解で きれ ば、問題 はな く、中級段階で特 に学習 しなければな らない とは思わ ない。

さらに、音感覚 について も学習者が理解で きるようにしたい。オ ノマ トペ は、

悪意的な語で はな く、 日本語話者 の持 つ音感覚 と結 びついた語で あ り、清音 と 濁音 と半濁音 の音感覚 の比較や、サ行音 といったあ る行 の音か ら受 ける感覚、

また、物音 か ら受 ける感覚 な どに特徴 が ある。「とん とん」と 「どん どん」を比 べ る と、濁音 のオ ノマ トペのほうが強 く激 しい。 また、「さ」や 「す」で始 まる オ ノマ トペ は 「 滑 らか さやスムーズ さを表 わ してい る」 といわれてい る

4)

。最 近、「 語感研究

5)

が話題 になっているが、「 発音体感」 と語感 の結 びつ きか ら音 感覚 を体感 で きる と、学習者 の理解が深 まるので はないだ ろうか。

5

.おわ りに

本稿 では、 日本語 中級 レベルの教科書で学習者が どの ようなオ ノマ トペ を ど の ように学習 してい るか とい うことや、能力試験 出題基準で は どの ようなオ ノ マ トぺが取 り上 げ られているか とい うことな どをみて きた。 さらに、中級段 階 でオ ノマ トペ の何 を学習 した らよいか とい うことについて も考 えた。今後 は、

本稿 で述べた ことを基 に、中級段階の学習者 を対象 としたオノマ トペ の学習教 材 の作成 を試 みたい と考 えている

ーれHl

、王

l

ヽヽ/

「 「CVQCV リ」型 のオノマ トペ 」( 『 長崎大学留学生セ ンター紀要第 1 0 号 』 )

で この型 のオ ノマ トペ について検討 した結果 を述べている

対応す る形態 の異 なるオノマ トペ とは 、「CVC V リ」型 の促音 のない 3 拍 もの と 「CV CV‑CVCV」 型 の 2 拍の語基 を重ねた 4 拍 の畳語である。

2

)留学生 セ ンターで開講 されてい る中級 レベルの 日本語 クラス は他 に 「中級

(10)

漢字

」 「中級

Ⅰ作文

」 「中級

Ⅰ会話のクラスが ある

3)2005年度 まで は この教材 を初 めか ら終わ りまで使用 していたが、2006年度 は部分的 に使用 している

4)田守 (2002)は音 によって感 じる 「ニ ュア ンスの違 い」 を具体例 を挙 げな が ら説明 してい るが、「さ」 と 「す」で始 まるオ ノマ トペ については、「さ くっ

「さ らさ ら

「すいすい

す るす るな どを例 に挙 げて説 明 してい

5)「あなたの知 らない語感 の力」と題 して、最近話題 の語感研究 を活か した商 品のネー ミングな どで活躍 してい る黒川伊保子氏がNHK 知 るを楽 しむ、

日本語 なるほ ど塾な どで も取 り上 げ られてい る。黒川氏 は、語感 は耳で 聞いて得 られ る とい うよ りも、「発音体感」による ところが大 きい と述べて いる

参考文献

黒川伊保子 (2006)「あなたの知 らない語感 の力」『NHK知 るを楽 しむ ・日本 語 なるほ ど塾』200623月号、 日本放送 出版会

田守育啓 (2002)オ ノマ トペ擬音 ・擬態語 をたの しむ』岩波書店

田守育啓、 ロー レンス・ス コウラップ (1999)オノマ トペ 一形態 と意味‑ 』 く ろしお出版

守 山憲子 (2002)

「CVQCV リ」型 のオノマ ト長崎大学留学生 セ ンター 紀要10

(留学生 セ ンター非常勤講師)

参照

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