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智山學報 第51 - 006遠藤 純一郎「『釋摩訶衍論』と密教(その1) : 『釋摩訶衍論』に於ける字輪について」

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全文

(1)

』 (

) に

に つ い て

 

 

『釋摩訶衍論』と密教 (その

1

>(遠 藤)

  『 釋 摩 訶

論 』 ( 以 下 『 釋 論 』 ) は 龍 樹 菩

造 ・

秦 筏

訳 の 論 書 と し て 伝 え ら れ て い る が 、

明 の 日 本 将 来 の

後 よ り 、 そ の 真

を 巡 っ て 盛 ん に 議 論 が な さ れ て

た 。

祖 弘

大 師 空 海 は こ の 書 を

樹 の

撰 と み な し 、 三 学 録 に 於 い て 『 菩

心 論 』 と と も に 真 言 宗 所 学 論 蔵 に

え 、 ま た 顕 密 の 優 劣 を 定 め る 根 拠 と し て

的 に

用 し た た め 、 そ れ は 教 学 上

め て 重

視 さ れ る こ と と な っ た 。 そ れ

空 海 以 後 、

で は 『 釋 論 』 に 対 し て

密 な 註 解 が な さ れ る よ

に な っ た の で あ る が 、 天

宗 な ど で は 偽 撰 と す る 立 場 を と る な ど 、 他

の 関 心 を 惹 く こ と は あ ま り な か っ た よ う で

る 。   こ の よ う な 経 緯 か ら 『 釋 論 』 は 専 ら 真 言 教

に 即 し て 理 解 さ れ そ れ は 森 田 龍 僊 氏 の 『 釋

之 研

』 が 刊 行 さ れ る ま で 主 流 を

め た 。 氏 の 研 究 に よ り 、 『 大

』 ( 以 下 『 義 記 』 ) と の 関 連 性 か ら 『 釋

』 が

撰 で あ る こ と が 確

さ れ る と 、 中 国

教 史 の

点 か ら 再 評

す べ き こ と が

め ら れ 、 空

以 前 の 『 釋

』 が 注 目 さ れ る 一

53

(2)

NII-Electronic Library Service 智 山学報 第五十 一輯 よ

に な り 、

言 教

疋 の 距 離 が と ら れ る こ と と な っ た 。 こ れ よ り 以 来 、 『 釋 論 』 の 成 立 問 題 が

く の 研 究

に よ り と り あ げ ら れ て き た が 、 そ の 年 代 ・ 地 域 を 特 定 す る に は 至 っ て い な い 。 こ の こ と は 、 『 釋 論 』 の 成 立 を 十

に 決

づ け る だ け の

料 が 発 見 さ れ て い な い こ と に

因 し て お り 、 恐 ら く は

も そ の よ う な

料 の 出 現 を 必 ず し も

す る こ と は で き な い で あ ろ う か ら 、 広 く 七 百

代 の 中 国 ・

教 の

向 を 踏 ま え 、 そ の 問 題 を

続 的 に 考

し て い か ね ば な ら な い だ ろ

。   こ れ ま で 『 釋 論 』 と 他 と の 関 係 性 は 、 『 釋 論 』 の

理 面 に 於 い て 討 究 さ れ る 場 合 が

い よ う で あ る が 、 そ の 考

の 際 に 鍵 と な る 『 釋

』 の 特 異

は 、 『 起 信 論 』 思 想 の 抽

的 な 議 論 に 限 定 さ れ て い る わ け で は な い 。

ろ 「 大

起 信 論 』 ( 以 下 『 起 信 論 』 ) で 極 め て 簡

に 述 べ ら れ る に 過 ぎ な い 実 践 面 、 つ ま り 修 行 信 心 分 に 関 わ る 解 釈 に 広 く

ち だ さ れ て お れ ば 、 そ れ を 看 過

る こ と は で き な い だ ろ

行 信 心 分 中 の 印 知 邪 正 因 縁

宅 造 立 因 縁 を 検 討 し そ の

そ こ に 『 占 察 善 惡 業 報 經 』 や 『

』 の

が 見 出 さ れ 、 『 釋 論 』 は

だ け で は な く 、 道

的 要 素 を も 内 包 し て お り 、

当 に

様 な 内 容 を

す る

籍 で

る こ と が

認 さ れ た 。 こ の よ う な

点 か ら す る と 、 先 に 、

言 教

と .

の 距

を 保 っ て 『 釋 論 』 を 再 評

す べ き こ と を 述 べ た の で あ る が 、 そ の 修

信 心 分 解

の 中 に は 密 教 典 籍 に

著 な 用 語 が 散 見 さ れ る た め 、 そ れ を

と し て

え う る か に つ い て も 考

し て お く 必 要 が 有 り 、 そ の 可

ち に 退 け る べ き で は な い 。 本 論 で は

密 教 と の 関 連 性 を 探 る キ ー ワ ー ド と し て 「 字

」 を

り 上 げ 『 釋 論 』 に 於 い て そ れ が 如 何 な る 性

を 有 す る も の で あ る の か に つ い て

え て み る こ と に し た い 。

N工工一Electronlc  Llbrary  Servlce

 

『 釋

』 の

輪 を 検 討 す る に 際 し て 、

ず 従 来 の 顕 教 に 於 い て ど の よ う に

握 さ れ て い た か を 概 観 し て み

(3)

『釋摩訶 衍論』と密教 (その

1

)(遠藤) よ

に 、

は 密

典 籍 に

著 な 用 語 で あ る と し た が 、 こ れ は 顕

の 典 籍 に あ ま り そ の

例 が 見

け ら れ な い こ と か ら 評 し た も の で あ る 。 実

、 『 釋

』 の 成 立

代 以 前 に 存 在 し て い た と 思 わ れ る 顕 教 の 典 籍 の 中 で 字

の 用 例 を 具

的 に

め て み る と 、 そ の 数 は さ ほ ど

く な く 、 そ の 用

も 限

的 で あ

、 ほ ぼ 以 下 の 様 な

類 が 可

で あ る Q                    

 

 

 

 

( ↓  

 

若 經 」 の 輪

に 関 わ る も の   『 大 般 若

經 』

 

經 般 若 理 趣 分 述 讃 』  

 

嚴 經 」 の 字

に 関 わ る も の   『 度 世 品

 

經 』 ( 六 + 巻 )

 

方 廣

經 』 ( 八 + 巻 )

 

『 新 華

 

『 略 釋

次 第   決

 

經 探 玄 記 』

 

「 般 若 經 」

「 般 若 經 」

と し て は 、 玄 奘 訳 『 大 般

羅 蜜

經 』 に 初 見 さ れ る 。  

依 一 切 無 戲 論

來 之 相 。

薩 宣 説 般

波 羅

深 理 趣

門 。 謂 一 切 法 空

性 故 。 一   切

無 相

衆 相

。 一 切

無 願 無 所

。 一 切

遠 離 無 所 著

。 一 切 法

滅 故 。 一 切 法 無

故 。   一 切

非 可 樂

。 一 切

無 我 不

。 一 切 法

。 一 切

可 得 推 尋

性 不 可 得

。 } 切 法 不   思

思 議

故 。 一 切 法 無 所

縁 和 合 假 施 設

。 一 切

無 戲 論

性 空

離 言

。 一 切

性 淨 甚 深   般

故 。

如 是 離

般 若 理 趣

已 。

金 剛

等 言 。 若

聞 此 無

理 趣                                

 

 

 

 

                    ( 2 )  

門 。 信 解

讀 誦

。 於 一

無 碍

上 正

提 。 こ こ で は 輪

を 「

波 羅

甚 深 理

門 」 と し て 挙 げ て い る 。 そ の

門 は 上 掲 の 引 用 文 で 述 べ ら れ て い 一

55

(4)

NII-Electronic Library Service 智 山学報第五 十一輯 る よ う に 「 一 切 法 空

。 一 切 法 無 相 離 衆 相 故 。 」 云 々 を 内 容 と し て お り

字 は 「 般 若 經 」 の 空 と 密 接 な 関 係 を 有 し て い る も の と 理 解 さ れ る 。 慈 恩

師 基 は 『 大 般 若 波

若 理 趣 分 述 讃 』 に 於 い て 、 こ の 輪

門 を 解 釈 し て 次 の よ う に 述 べ て い る 。     輪

門 者 輪

二 義 。 一

二 摧

義 。 由 觀 眞 如 性

論 遍 一 切 法 故 名 周 圓 。 由 觀 此 故 離 分 別

摧 壞 生 死 一     切

著 故 名 摧 壞 。 詮 此

理 所

法 門

輪 字 法 。 教 能 詮 顯

名 爲 門 。 由 聞 此 教 遂 起 輪 行 。 起 輪 行 已

輪 果

輪 果                     ( 3 )     已

爲 他 轉 。 如 是 展 轉 。   彼 の

釈 に よ れ ば 、 「 輪

門 」 と 言

場 合 の 「 輪 」 と い

言 葉 に は 「 周 圓

」 と 「

壌 義 」 の 二 種 の 義 が 有 る と い

。 「 周 圓 義 」 に つ い て は 、 「 真 如 性 が 一 切 法 に 遍 じ て い る 」 と い

こ と に 因 ん で 「 周 圓 」 と し て お り 、 こ れ は 『

般 若 波 羅 蜜

經 』 で コ 切

空 無

性 故 。 一 切

無 相

衆 相

。 」 云 々 と 述 べ て い る 個 所 に 基 づ い た

釈 で あ る 。 「 摧 壞 義 」 で は 、 こ の 真 如 性 を

じ る こ と に よ り 、 分 別 ・

著 を 離 れ る こ と か ら 「 摧

」 と し

」 に 武 器 と し て の 性 格 を 読 み 込 ん で い る 。 ま た 「 詮 此 輪 理 所 有 法 門

輪 字

」 と 言 い 、 輪 字

如 理 の あ ら ゆ る 法 門 を 顕 す も の と し て 位 置 づ け ら れ 、 続 け て 「 教 能 詮 顯

名 爲 門 」 と 言 っ て お れ ば 、 そ れ が 「 教 」 と し て の 性 格 を 有 す る も の で あ る こ と が 知 ら れ る 。   密 教 の 祖 師 ら の 翻

に も こ の

字 が 認 め ら れ る 。     金 剛 智 訳 『 金 剛

瑜 伽 理 趣 般

經 』    

時 世 尊

依 一 切 無 戲

法 如 來 之 相 。 爲 諸 菩 薩 。 説 文

輪 品

波 羅 蜜

理 趣 法 門 。 所 謂 一 切 法 空 。 無 自 性    

。 一 切

無 相 。 離 衆 相 故 。 一 切 法 無 願 。 離 諸 願 故 。 乃 至 一 切

性 清

。 即 般 若 波 羅 蜜

性 清

。 佛 説 如     是

諸 戲 論 文 字

已 。

金 剛

菩 薩

言 。 若 有

聞 此 無

論 般

理 趣 輪 字 法 門 。 信 解 受 持 讀 誦 正 念 思

。 於 此                                   ( 4 >     一 切 法 。

無 碍

證 無 上 正 等 菩

。 一

56

一 N工工一Electronlc  Llbrary  

(5)

    不 空

『 大 樂 金

不 空

三 麼

經 」    

輪 般 若 理 趣 。 所 謂 諸

空 。

無 自

應 故 。 諸

無 相 。

無 相

相 應 故 。 諸

無 願 。 與 無 願

。                             ( 5 )    

。 般

清 淨

。   こ れ ら の 翻 訳 は 『

波 羅

經 』 の 内

と 大 き く 異 な ら ず 、 輪

と い う 表 現 に 密 教 的 な 理

が 持 ち 込 ま れ て い る よ

に も 思 わ れ な い 。 『釋 摩訶衍 論』 と密教 (その ユ) (遠

 

「 華

經 」

の 字

「 華 嚴 經 」 に

い て は 以 下 の 様 な 箇 所 に 「 字

」 と い う 用 語 が 用 い ら れ て い る 。

 

世 品 經 』

 

十 事 經

時 。

謂 爲 十 。 御 一 切

。 使 入 一

。 則 以 一

。 化 一 切 法 。

衆 生

。 使 不 諍 訟 。 一 切 諸

 

順 入 般

蜜 。 教 度

。 } 切 諸

。 入 於

生 。

想 。 使 一 切 法 。 入 於 一

無 數 劫 不 可 盡

 

以 一 切 法 。 入

數 百 千

門 。 見 衆 生 心 。 悉 説 本

。 又 一 切

。 普 門

字 。 曉 了 隨

。 一 切 諸 法 。 入 一

門 。

 

諍 訟 。

無 數 劫

不 可 盡 。 一 切 諸

。 入 諸 佛 道 。 以 化 衆 生 。 一 切

法 。 現 無

數 。 諸 内 正 教 。 一 切

法 。

 

 

 

                                         

 

 

( 6 )

 

入 本 際 。

量 網 内 。 現

。 衆 生

。 是

隨 時 也 。 「 大 方

華 嚴 經 』 ( 六 十 華 嚴 )

 

ω 我 唯

薩 所 言 不 虚

門 。 云 何

諸 菩 薩 行 。

諸 菩 薩 隨 順

入 衆 生 一 切 相 海 。

順 深 入 衆 生 一

施 設 海 。

 

 

隨 順

入 諸

海 。

順 深 入 諸 語

。 隨 順 深 入

句 相

海 。 隨 順 深 入 諸 解 説 句

海 。 隨 順 深 入

解 説

 

 

隨 順 深

如 來

隨 順 深 入 分 別 諸

隨 順 深 入 一 切

生 諸 語 言 . 海 。 逮 得 一 切 圓

滿

荘 嚴

 

 

。 出 生 分 別 諸 文

輪 。 一

57

(6)

NII-Electronic Library Service 智蜘学報第五十一輯

 

財 見 彼

入 處

師 子

。 顔 貌 端

就 。 身

金 冒

紺 色 。 不

。 不

。 身 分

足 。 一

 

 

 

 

 

 

                       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

( 8 )

 

切 欲 界 無 與 等

。 何 況 有 勝 。

音 婉 妙 世

倫 匹 。 善 知 字 輪 技 藝 諸 論 。

男 子 。

鐵 生

在 正

門 。 名

。 出 競 一 切 衆 生 等

。 種

便 。 隨 其 所

。 除 滅 恐 怖

 

 

 

 

 

 

                       

 

 

 

 

 

 

( 9 )

 

法 。 令 發 阿

羅 三 藐 三

心 。 得 不 退

。 未 曾 失 時 。   時 彼

子 告 善 財 言 。 善 男 子 。 我 得 菩 薩

知 衆 藝 。 我 恒 唱

入 此 解 脱

之 字 。 唱 阿

。 入 般 若

 

 

 

 

 

 

                       

 

 

 

 

 

i

…           ( 10 )

 

蜜 門 。 門 中

】 唱 拏

。 入 般

門 。

不 動

輪 聚

。 『 大 方 廣 佛 華

經 』 ( 八 + 華 嚴 ) ω

入 十 種

門 。 何 者

。 所

不 可 説 佛 刹 微 塵 數

佛 護

。 入

十 種 陀 羅 尼

 

無 盡

才 。 入 行 持

。 出 生 圓

滿

殊 勝 諸 願 。 入

故 。

能 映 蔽

能 摧 伏 。 入

。 所

。 入

 

 

大 悲

故 。 轉

不 退 清 淨

。 入 差 別

。 轉 一 切 文 字 輪 淨 一 切 法 門 地 。 入 師 手

持 故 。 開

 

鑰 出

淤 泥 。 入 智

故 。

薩 行 常 不

息 。 入 善

故 。

清 淨 。 入

。 入 不 可

 

 

 

 

 

 

 

                       

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

( 11 )

 

説 不 可 説 慶 大

。 入 法 力

。 以 無 碍 方

便

智 。 知 一 切

自 性 清

。 働 佛 子 。 菩 薩 摩

薩 。 有 十

無 碍 用 。 何

爲 十 。 所 謂

一 切

入 一

。 一

入 一 切 法 。

亦 不 違 衆 生 心 解 無

 

碍 用 。 從 般 若

羅 蜜 。 出 生 一 切 法 。 爲

説 。 悉 令 開

無 碍 用 。 知 一 切 法

。 而

生 。 皆 得

 

用 。

一 切 法 入 一 相 。 而

量 法 相 無 碍 用 。 知 一 切 法 離 言

爲 他 説

門 無

用 。 於 一 切

 

門 字 輪

用 。 以 一 切

。 入 一 法 門 。 而 不 梱

不 可 説

。 説 不 窮

碍 用 。 以 一 切

入 佛 法 。

 

生 。

悟 解 無 碍

。 知 … 切 法 。 無 有

碍 絹 。 知 】 切 法 。 無 障

。 猶

。 無 量 差 別 。 於

 

 

 

 

 

 

                        ( 12 )

 

。 爲 衆 生

。 不 可 窮 盡

碍 用 。 是

十 。   善 男

。 我 唯

此 菩 薩 妙

羅 尼

門 。

諸 菩

訶 薩 。 能

入 一 切

生 種

想 海 。 種

施 設

。 種

N工工一Electronlc  Llbrary  

(7)

『釋摩訶衍論』と密教 (その

1

)(遠藤)       名

海 。

種 語 言

。 能

入 説 一 切 深

海 。 説 一 切 究 竟 法

海 。 説 一 所 縁

一 切 三 世 藤

句 海 。 説       上

海 。

上 上

海 。

海 。 説 一

差 別

海 。 能 普 入 一 切 世 間

。 一 切 膏

荘 嚴

一 切          

                                    ( 13 )       差 劉 字

際 。 如 是

徳 。 我

。     ω 善 男 子 。

得 菩 薩

脱 。

善 知 衆

。 我 恒 唱

跳 之

母 。 唱 阿 字 時 。 入 般 若 波

蜜 門 。

以 菩

威 力 入 無 差                              

 

 

 

 

             

            露 )       別

。 門 中

  唱 拏

。 入 般 若

門 。 名

。   「

經 」 は 顕 教 の 中 で

最 も 字

の 用 例 が

め ら れ る

典 で あ る が 以 上 の 用 例 を 傭 瞰 し て み る と 、 『 度 世 晶 經 』 の

述 は 『 八 十 華

』 の   と 同 じ 内 容 で あ

、 『 六 十 華 嚴 』 の ω

D

は 『 八 十 華 嚴 』 の そ れ ぞ れ   ω に

応 し 、 要

す る と 六 傍 に

め る こ と が で き る 。 し か し 、 そ れ ら が そ れ ぞ れ の 文 脈 に

い て 、 実 際 ど の よ

合 い で 用 い ら れ て い る の か に つ い て は 、 経 の

文 か ら だ け で は 十 分 に 明 ら か に す る こ と は で き な い 。 そ の た め 「 華 嚴 經 」 に

し て 字

を 理

る こ と は 極 め て 園

で あ

、 諸 註

照 せ

る を え な い こ と に な る が 、 そ も そ も

論 は 『 釋 論 嘸 の

の 虚 来 を

め よ

と す る も の で あ る か ら 、

に 「

嚴 經 」 が 中 国 で

容 さ れ た か と い う

に 比 重 を

く べ き で あ り 、 「 華 嚴

」 の 字

自 体 を 問 う こ と よ

も 、

ろ 中

の 諸 註 釈 に

い て 字 輪 が

何 に 理 解 さ れ て い た か と い

こ と が 一

な 問 題 と な っ て く る の で あ る 。  

首 大 師

は 『

經 探 玄 記 』 で 次 の よ う に 述 べ て い る 。    

o

第 四 生

中 五 分 同

。 粉 舉

中 。 國 通 城 騨 。 名

於 此

化 自 在 故 以

。 又

此 位 中

姓 尊      

。 是

自 在 。

藥 者 。

於 魏 城 中

無 明 闇 。 如 咒 除

。 説

破 餘

。             ( 15 ∀       如 藥

。      

光 經 者 明 所

教 法 。 有

錯 作

。 諸 徳 種

。 近 勘 兩 本 梵

。 請

改 正 謂 三

解 云 。       輪

。 一

相 。

糎 中

輪 圓 滿

二 約 所

。 盡 理 周

滿 足 。 三

用 。

下 所 言 不 虚 等

59

(8)

NII-Electronic Library Service 智 山学 報第五 十一輯                                

i

                                              ( 16V       傳

。 如

。 劉

字 教 法 詮

。 莊

。 除 障 爲

理 爲 厳 。   法

の 『

經 探 玄 記 』 は 『 六 十 華 嚴 』 の 註

書 で あ る が 、 経 自

に は 「 字

」 と い

用 語 が 用 い ら れ て い な が ら も 、

に そ の 語 を 取 り 上 げ る こ と は な く 僅 か に 「 輪 字 」 に つ い て 解 釈 を 示 す の み で あ る 。 し か し 、 『 華 嚴

記 』 の

用 文 働 で は 、 輪

の 解 釈 に 際 し て 「

」 と い う 用

を 用 い て い る 程 で

る か ら 、 彼

輪 の 用 語 の

を 厳 密 に な し て い た よ う に は 思 わ れ な い 。 そ の た め 、

輪 に 対 す る 解 釈 は 、 こ の 輪 字 の

釈 を 通 し て 知 る こ と に な る 。   法

は 先

、 m

荘 巌 光 經

説 教 法 」 と 述 べ 、 「 輪

經 」 は

四 生 貴 住 の

王 の 説

で あ る と し て い る 。

に 、 日 照 一. 一

の 解 釈 で あ る こ と を 断 っ て 約 字

・ 約 所 詮 ・ 約 用 と い

の 観 点 か ら 輪 字 を

釈 し て い る 。 こ れ に

る な ら 、

用 文 ω で 「 説

煩 惱 。 如 藥

。 」 と あ る の は 、

用 の

点 か ら 述 べ た も の と い

こ と に な ろ う 。 こ れ は 慈 恩 大

基 が 「 摧 壊

」 と し て い る の と 同 じ 発

に 基 づ く 解 釈 で あ る 、 ま た

詮 の 場 合 も 、 理 の 円

で あ る こ と を 喩 え て 輪 字 と

現 し て い る と

る の で

る か ら あ る い は 慈 恩

師 基 の 言

「 周 圓

」 と 重 ね て 見 る こ と も で き よ う 。 し か し 約

相 で 「

輪 圓

滿

跡 」 と す る 解

は 、 『 華 嚴 經 探 玄

』 以 前 の 文 献 に そ の

跡 を 全 く 見 出

こ と は で き な い 。 ま た 、 文 中 で こ の 解 釈 が 「

伽 經 」 に

づ く も の と し て 示 さ れ て は い て も 、 そ                                                 ( 17V の 一 文 は 現 行 の 「 楞 伽 經 」 に は 確 認 す る こ と が で き な い 。 「

伽 經 」 に は 現

し な い 異 本 の 存

が 考 え ら れ て い る た め 、 そ の

に そ の よ

な 寵 述 が

荘 し た の か も し れ な い が 、 現 時

で は 、 約 字 相 の 解

の 根

ね る こ と は で き な い 。   こ の 日 照 三

の 解 釈 は 文

的 に は 『 華

玄 記 』 に 初 見 さ れ る と い う こ と に な る が 、 こ の 解

以 後 、 彼 の 弟 子 で あ る

寺 慧

に も 継 承 さ れ 、 更 に 澄 観 へ と 引 き

が れ て い く 。 こ の 意 味 か ら 、 こ の 解

宗 に 於 け る 標 淮 的 理 解 と し て 捉 え る こ と が で き よ

。 し か し

通 玄 は こ れ に 依 拠 す る こ と な く 、 法 蔵 ・ 慧

と は 異 な 一

60

… N工工一Electronlc  Llbrary  

(9)

る 見 解 を

し て い る 。

の 『 略

新 華 厳 経 修 行 次 第 決 疑 論 』     爲 説

字 品 者 。

滿 之

。 以 俗 間 名 字 説

。 圓 滿

。 で は 次 の よ

に 述 べ て い る 。

壞 生 死 諸 不

業 。

名 詮

圓 滿 有 見 。 及

『釋摩 訶衍 論』と密 教 (その

1

) (遠藤)

 

  受 持 之 者 。

溏 淨

。 破 生 死 業 。 破 不 善 之 海 。 成 大

。 破 愚 癡 海 。 成

智 海 。

海 。 成 大

 

 

義 。 主 伴

。 無 失 道 意 。 一 一 句

説 。

→ 一

内 。 鰍

無 量 法 轍 。

 

  世 問

名 字

。 便

出 生 死

。 能 變 世 間 法 。 以 爲 佛 法 。

世 間 愚 癡 。 以

智 慧 。

變 世 間

音 。 以 爲

 

                                  ( 18 )

 

  音 。

説 無 量

之 。 思 之 可 見 。

 

は 先

、 「 輪 」 と は 円

の 義 で

る と し て い る 。 こ の 「

」 を 円 満 の 意 と し て

す る こ と は 、 慈 恩 大

基 の 「

」 や 日 照 一. 蔵 の 「

」 の 解 釈 と 岡 様 の 発 想 に 基 づ く も の で あ る と 理 解 で き る 。 ま た 、

部 を 見 て み る と 、 そ れ は 慈 恩 大 師 の 言

義 」 や 日 照 三 藏 の 「 約 用 」 の

に 相 当 す る も の で あ る こ と が 知 ら れ る 。 し か し 、

に つ い て は こ れ ま で の

釈 に 見

け ら れ な い 内

が 示 さ れ て い る 。 こ の 部 分 は 実 に

通 玄 の

釈 の

と な っ て い る の で あ る 。 『 新

』 で は

の よ

に 述 べ て い る 。

 

 

四 生

住 。 明 封

法 鋼 及 生 死 煩 關 不 自 在 障 令 自

財 於 市 肆 之 上 見

伽 長 者

經 。 即

 

  死 市 躑 鬧 而 常

一 一 字 猶 如

輪 。 一

滿 互 體 相

寶 網 互

縁 起 。

重 重 。 一

之 中

 

                                    ( 19 )

 

 

世 間

。 引 諸 未

以 成 教 軌 。

 

こ こ で は 「 輪 字 」 を 「

」 に 準 え 、 一 々 の

は 「 一

滿

相 成 」 し て い る も の と し 、 延 い て は 「 又

互 爲 縁 起 映 徹 重 重 」 と 述 べ 、 「 輪 字 」 は 一

の 内 に

の 字 句 を 有

る 様 子 を

現 し た も の と し て

し て い る 。

し 、 こ の 重 重 無 尽 と さ れ る 輪

は 、 密 教 で 言

真 言 の よ

な レ ベ ル の 言 語 な の で は な く 、

の 『 略 釈

論 』 中 の

部 の よ

に 、 量 間 に 通 用 す る 言

し て 語 ら れ て い る も の と 理 解 し て お か ね ば な ら ハ 20 な い 。 一

61

(10)

NII-Electronic Library Service 智 山学 報第五十一輯

 

  こ れ ま で 顕 教 に 於 け る

輪 ( 輪 字 ) の 用

観 し て き た が 、 そ れ で は い て い る の で あ ろ

か 。   『

論 』 の

輪 ( 輪 字 ) に は 以 下 の 五 種 の 用 例 が

げ ら れ る 。

 

虚 空 輪 字

 

大 虚 空 字 輪

 

邪 字 輪 ・ 正 字 輪

 

字 輪 服 膺 因 縁

 

標 竭 那 羅

輪 『 釋

』 で は そ れ を ど の よ う な

で 用 一

62

N工工一Electronlc  Llbrary  Servlce

 

虚 空

  『 釋

』 で は 「

空 輪 字 」 を 以 下 の 箇 所 に

い て 述 べ て い る 。     字 有 二

。 云 何 爲 二 。 一 者 依 聲 字 。 二 者 依 空

。 楞 伽 契

中 作

是 説

。 復 次

者 。 謂 聲 長

高 下 名     爲 字

契 經 中 作 如 是 説 。 佛 告 文 殊 師 利 言 。 汝 所 前 間 。 云 何 名 爲

空 輪 字 者 。

如 虚 空 中 飛

。 踰 明 耀 時  

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

                        ( 21 )  

 

出 十

。 虚 空 輪 字 應 如 是 觀 故 。 如 是 二 中

初 一 種 。 不

深 眞 理 。

後 一

理 故 。   こ こ で は 、

理 を 表 す こ と の で き な い 「 依 聲 字 」 と 、 そ れ を

す こ と の で

る 「 依

」 の 二 種 の

に つ い て 述 べ て お り 、 そ れ ぞ れ 『 楞 伽

經 』 と 『

經 』 を 引 用 し て 、 そ の

を 説 明 し て い る 。 こ の 内 、 『 大 海 契 經 』 の

(11)

『釋摩訶 衍論 』と密教 (その

1

) (遠藤) 説 と

る 部 分 に 「

空 輪 字 」 と い

用 語 が 用 い ら れ て い る 。 つ ま り

空 字 が 虚 空 輪

に 相

る も の で

る と 考 え て い る の で あ る 。 こ の 虚 空

は 「 空 を 飛 ぶ 鳥 が 明

耀

( 太 陽 ) を 遮 る 時 に 十 種 の

を 出 す よ

な も の だ 」 と 説 明 さ れ て い る が こ の

喩 が 具

的 に ど の よ う な イ メ ー ジ の も と で 語 ら れ て い る の か 、 『 釋 論 』 本

か ら だ け で は 十

に 把

す る こ と が で き な い 。   そ れ で は 、 『 釋 論 』 の

釈 書 で は こ れ を ど の よ う に

え て い る の だ ろ

か 。   聖 法 の 『 釋 摩 訶

記 』 で は 「 言 十 聲

、 謂 飛 鳥 一

耀 時

觸 出

、 於 彼 一 塵

一 音 、 是

言 出 十     ( 22 )

聲 也 。 」 と 言 い 、

と 十 塵 の

擦 に よ っ て 十

の 和

が 生 じ る と し て い る 。 ま た 法

の 『 釋

疏 』                                                                                       ( 23 ) と 志 福 の 『 釋 摩 訶

通 玄 鈔 」 で は 極 め て

に そ れ ぞ れ 「

證 依 空 字 。

虚 空 、 字

也 。 」 、 「

如 虚                         ( 24 ) 空

者 、

似 虚

也 。 」 と 言 い 、 真 理 を 虚 空 に 、 字 を 鳥 ( 或 い は 鳥 鳴 ) に 配 し て い る 。 普 観 の 『 釋

訶 衍                                                                                                 ( 25 ) 論

』 で は 「 日 輪 照 爍

名 明 曜 。 飛

踰 越

蔽 其 形 。

隠 空 、

傳 于 下 。 世 謂 此 聲 從 空 而 出 。 虚 空 字

亦 復 如 是 。 」 と 述 べ 、 「 鳥 が 太 陽 を

る 時 に そ の

姿

は 見 え な く な る が 、 そ の

は 下 界 に も 届 く た め 、 世 間 で は そ の 声 を 虚 空 の 声 だ と 思 っ て い る 。 虚 空

に こ の よ う な も の で あ る 。 」 と 明 か し て い る 。  

る 中 国

述 の 註

の 中 か ら 、 当 該 箇 所 の 註 釈 が 付 さ れ て い る も の に つ い て 概 観 し て み た が そ の

れ の

め て 断

的 で 、 虚 空 輪 字 に つ い て 直 接 に 語 る こ と が 無 く 、 ま た そ こ で 語 ら れ る 内 容 も 】 定 し て い な い 。 そ れ

、 こ れ ら を た よ り に し て も 、 虚 空

の 意 味 す る 所 を

す る こ と は 不 可 能 だ と 言 わ ね ば な る ま い 。   こ の よ

に 註

を 参 照 し て も 、 『 大 海 契 經 』 の

内 で 虚 空 輪 字 を 理 解 す る こ と は

め て 困 難 で あ る た め 、 こ こ で 一

立 ち 戻 っ て 、 そ れ と 同 義 と さ れ る

か ら 内

を 探 っ て み る よ り 他 に 方 策 は 無 い だ ろ

。 『 釋 論 』 で は 「

」 と 述 べ 、

空 字 と 並 ん で 依 声

が 挙 げ ら れ て い る 。

の 経 証 と し て 『 楞 伽

經 』 の 「

長 短

高 下

身 」 が 示 さ れ て い る が 、 こ の こ と か ら す る と

声 字 と は 「

に 依 拠 し た

」 と 理 解

る こ と 一

63

(12)

NII-Electronic Library Service 智 山 学報 第五 十一輯 が で き る 。 な れ ば 、

空 字 も そ れ と 同 様 に 「

に 依 拠 し た 字 」 と 読 み

る べ き で あ ろ う 。 聖

観 の

釈 も 、 こ れ に 即 し て 眺 め て み る と 、 確 か に 「 空 に

拠 し た 字 」 と い

り 方 が そ こ に 窺 わ れ る 。 し か し 、 両 者 の 内 容 は 全 く 異 な っ て お り 、 何 れ の 解 釈 が 適 当 で あ る と す べ き か 、 必

し も 決 す る こ と が で き な い 。   『 釋 論 』 に 於 い て 虚 空 輪 字 が 如 何 な る 意 味 に お い て 語 ら れ て い る の か 、 そ の 特 定 を

み て も 、

か に 以 上 の よ う な 内 容 が 知 ら れ る の み で あ る 。 し か し 、 虚 空 輪

が 「 空 」 と

め て

接 な 関 係 に あ る こ と は 確

で あ り 、 こ の こ と か ら 、 従 来 説 と の 比

の 上 で 「 般 若

の 輪 字 と の 関 係 性 が

ず 疑 わ れ て く る の で あ る 。   「

若 經 」 系 の

宇 は 先 に 見 て き た よ う に 真 如 理 の

ら ゆ る 法 門 の 教 で あ り 、 そ れ に 対 し て 『 釋 論 』 の 虚 空 輪 字 は 「 真 理 を あ ら わ し

る 」 字 で あ り 両 者 が 直 ち に 対 応 す る も の で

る か は 明

で は な い 。 し か し 『 釋 論 』 で は 真 理 を

と し て 「 如

如 説 」 、

い は 「 如 義 語 」 と い う も の を

て い る が 、 こ れ に 関 し て 「 金

三 昧 契 經 中 作

是 説 。

利 弗 言 。 一 切 萬

悉 言 文 。 言 文 之 相

非 爲

之 義 不 可 言 説 。 今 者 如 來 云 何 説 法 。 佛 言 我 説 法 者 。 以 汝

生 在 生 説 故 。 説 不 可 説 。 是 故 説

。 我 所

語 非

生 説 者 文 語 非

。 非

語 者 皆 悉 空 無 。 空 無 之 言 無 言 於

。 不 言

者 皆 是 妄 語 。 如

語 者

空 不 空 。 空

不 實 。

於 二 相 中 間 不 中 。 不 中 之

離 於 三

。 不 見           ( 26 ) 處 所 如

如 説

。 」 と 述 べ て お れ ば 、 こ の 如

語 と い う 用 語 は 仏 陀 の 説 法 に

し て

え ら れ て お り

理 を あ ら わ し う る 」 説 ( 語 ) に 「 教 」 と し て の 性

受 け ら れ る 。 「

理 を あ ら わ し う る 」 と い

こ と が 、

教 で 言

言 の よ

な 特 殊 な 言 語 に 関 わ る も の で は な く 、 仏

の 説 法 に 就 い て 言 わ れ て い る こ と で あ れ ば 、 如

語 と 並 ん で 「

理 を あ ら わ し

る 」 も の と し て 挙

ら れ た 虚 空

字 に つ い て も そ れ と 同 一 線 上 に 考 え る べ き で あ ろ う 。   『 釋 論 』 の 「 畢

平 等 無 有 變 異 不 可

壊 者 。 顯 示 三 離 之 功 徳 故 謂 一 切

別 以 四 種 妄 言 説 。

本 而 轉 。 一 切

道 九

論 十

異 執 。 唯 以 名

而 轉 。 一 切

惱 破 障 一 切 所 知 壊 障 。 唯 以 心 品 爲

。 而 眞 體 中

三 相

滿 三 ( 27 ) 徳 耳 。 」 と す る

所 に 注 目 す る と こ れ は 真

體 が 言

相 ・

相 ・ 心 縁 相 を 離 れ て い る こ と を 明 か し て い る が 、 一

64

一 N工工一Electronlc  Llbrary  

(13)

「釋摩訶 衍論 』と密 教 (その

1

) (遠藤) こ こ で

れ る と さ れ る 言 説 相 は 四 つ の 妄

説 で あ り 、 如

説 に つ い て は 除

さ れ て い る 。 な れ ば ⊃ 切

道 九 種 變 論

異 執 」 と さ れ る 名 字 と は 、

に つ い て は

声 字 が 相 当 す る も の と

え ら れ る 。 こ の 「 外 道 九

變 論 」 は 『 楞 伽 阿 跋

寶 經 』 に 見 ら れ る 言

で 、 そ こ で は 「

次 大 慧 。 外 道 有 九

轉 變

。 外 道

變 見 生 所 謂 形 處

。 相 轉 變 。 因

。 成

變 。

轉 變 。

變 。

分 明 轉

。 所 作 分 明 轉 變 。

轉 變 。 大 慧 。 是 名 九

變 見 一 切

道 因 是 起 有

變 論 。 云 何

處 轉 變 。 謂 形 處

見 。 譬

金 變 作

器 物 。 則 有 種 種

處 顯 現 。 非 金

變 。 一 切

復 如 是 。

道 作

是 妄 想 。 乃 至

變 妄 想 。

異 妄

故 。 如 是 一 切 性

變 。 當

如 乳

酒 果

熟 。

道 轉 變

想 。 彼

無 有 轉 變 。

有 若 無

心 現 外 性 非 性 。

慧 。 如 是 凡 愚 衆 生 自 妄 想

習 生 。

慧 。

。 如 見     ( 認 ) 幻 夢 色 生 。 」 と 述 べ ら れ て い る 。 以 上 の 記 述 に よ れ ば 「 外 道 九 種 變 論 」 の 原 因 は 「 自

想 修 習 生 」 に 在 る こ と が 了

さ れ る が 、 こ の こ と は そ の 記 述 よ り 前 の

分 で 「

縁 言 説 義 計 著 。 堕 建 立 及 誹

見 。 異 建 立 異 妄 想 。

種 妄                    

 

 

 

 

          ( 29 ) 想 現 。 譬

種 種 幻

愚 衆 生 作 異 妄 想 。 非 聖 賢

。 」 と し て い る

所 と 深 く 関 わ り を 有 し て い る 。 つ ま り 「

九 種

論 」 の 原 因 は 「

葉 通 り に 義 を

著 す る 」 こ と に

る と い

こ と で あ る 。 こ の こ と か ら 、

字 と は 「

通 り に 義 が 計

さ れ た

」 で あ る こ と が 予 想 さ れ よ う 。 『 釋 論 」 で は

の 経

と し て 「 謂 聲 長 短 音 韻

下 名 爲

」 を

げ て い る が 、 こ の 一 文 は 現 行 の 『 入 楞 伽

』 に 認 め ら れ 、 そ こ で は 続 け て 「

 

差 別

 

夫 癡             ( 30 ) 計 著

 

溺 深 泥 」 と 述 べ 、 「

差 別 」 は 「 凡

癡 計 著 」 さ れ る も の と し て 位 置 づ け ら れ て お り 、 こ の こ と か ら も 先 の 予 想 に 齟 齬 は な か ろ う 。 ま た 、 こ の 言

に つ い て 『 楞 伽 阿 跋

』 で は 、 「 云 何 爲 語 。

妄 想 和 合 。 依 咽

断 頬 輔 。 因 彼 我 言 説 妄

計 著 生 。 是

爲 語 。 大 慧 。 云

義 。 謂 離 一

妄 想 相 言

。 是     31 ) 名 爲

。 」 と 述 べ て お り 依 声 字 は そ こ で 言

「 語 」 の

疇 に 収 め ら れ る こ と に な ろ

。 経 で は 更 に こ の 両

の 関                    

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

            ( 32 ) 係 に つ い て 「 觀 語

非 異 非 不 異 。 觀 義 與 語 亦 復 如 是 。

。 則 不 因 語 辯 義 。

以 語 入

照 色 。 」 と 述 べ 、 語 を た よ り と し な け れ ば 「 離 一 切 妄 想 相 言 説

」 な る 義 ( 仏 陀 の 説 法 の 真 意 ) に 入 れ な い と し て お り 、 こ れ が 「 真 一

65

(14)

NII-Electronic Library Service 智 山学 報第五十一輯 理 を

る 」 字 で あ る 依 空 字 に 相

す る も の と 考 え ら れ る 。 先 の 依 声

と 対 照 し て 換 言 す れ ば 、 「 言 葉 通 り に

が 計

さ れ な い 字 」 と 言 え よ

が 、 「 依 空

」 と い

表 現 に 順 じ て 言

な ら ば 「 言 葉 に 即 し て

体 視 さ れ て い な い      

 

 

 

 

                                         

 

 

 

 

                          〔 33 ) 字 」 と い

こ と に な ろ う 。 ま た 「 不 生 不 滅

三 乘 一 乘 心

。 如 縁 言 説

著 。 堕

立 及 誹 謗 見 。 」 と 述 べ 、 仏 説

通 り に 義 を 計 著 し た ら 建 立 や

見 に 堕 落 す る と し て お り 、 同 じ 言 葉 で あ っ て も 邪 見 に 堕 す る か 、 或 い は 真

を 捉 え る か と い っ た 相 違 が 有 り 、 こ れ は 偏 に そ の 語 を 理 解 す る 側 に 委 ね ら れ て い る と い

こ と に な る 。   以 上 の

か ら 、 依 空 字 が 「 真 理 を あ ら わ し

る 」 字 で あ る こ と は 、 言 葉 に 即 し て 実 体

さ れ な い 限 り に 於 い て 成 立 す る も の で あ り 、 ま た 、 そ の 真 理 と は 仏

の 教 説 に よ り 示 さ れ た 真 理 で あ る こ と が 確 認 さ れ た が 、 そ こ に 「 般 若 經 」 系 の 輪 字 と の 類 似 性 が 明 瞭 に 見 出 さ れ よ

。 『

海 契 經 』 は

何 な る 経 録 に も そ の

ら れ

、 そ れ は 架 空 経 典 で あ る こ と が 推 測 さ れ る の で あ り 、 な れ ば 『 釋

』 の

者 は

空 字 を わ ざ わ ざ 「 虚 空 輪 字 」 と 換

し た こ と に な る が 、 こ れ は 完 全 に 独 創 的 な 表 現 と し て

え る べ き で は な く 、 「

經 」

か ら 、 そ の 表 現 を

借 し た も の と

え る の が 妥 当 で あ ろ

。 一

66

N工工一Electronlc  Llbrary  Servlce

 

大 虚 空 字 輪 「 大 虚 空

輪 」 と い う

は 、 『 釋 論 』 の 以 下 の 箇 所 に て 用 い ら れ て い る 。

 

言 坐 其 座 中 因 縁 者 。 謂

彼 止 輸 門 。

具 十 事 坐 其 座 中 。 云

十 。 一 者 足 等 事 。 兩 膝 末 中

兩 母

。 互 相

 

令 無

。 二 者 膝 等

。 兩 膝 平

令 無 差

。 三 者 腰 端

腰 端 直 無 戝 顱 故 。 四 者 手 累

。 兩

對 右 手

 

下 左

上 。

手 爲 下 右

爲 上 。

一 日 已 互 互

變 不 忘

復 其 手 置

上 故 。 五 者 頚

事 。 其 頚 之 質 端

 

不 動

立 故 。 六 者 面 端

。 其 面 相 貌 不 仰 不 俯

平 相 故 。 七

口 相

。 其 口 之 相 不 廣 不 狹 開 中 間

。 八 者

 

事 。 出

無 差 違 不 出 一

。 九 者 眼 相

量 不 上

下 平

舒 故 。 十 者 止 眼

。 置 其 眼

置 大 虚

(15)

『釋 摩訶 衍論』 と密教 (その

1

) (遠 藤)                

 

 

 

 

    ( 34 )     空 字 輪 中 。 恒 不 離 故 。 是

爲 十 。   こ こ で は 、 止 を 修 行 す る

の 座 り 方 に つ い て 解 説 し て い る 。 「 釋 論 』 に は 法 蔵 の 『 義 記 」 か ら の 影 響 が 多 く 見 受 け ら れ る が 、 『

記 』 で は 専 ら 『 釋

波 羅 蜜 次 第 法 門 』 の 説 を 引 用 し 、 こ の 箇 所 の 解 釈 に 充 て て い る 。 そ こ で は 次 の よ

に 述 べ て い る 。     調

安 坐 靜 處 。

穩 久 久 無

。 次

正 脚

全 跏 或

跏 。 若 全 跏

。 先 以 右 脚 置 左 髀 上 。

来 近

。    

。 次 解 緩

使

周 正 。 不

坐 時 脱 落 。

以 左

掌 上 。 累

相 對 頓

脚 上 。 牽 来 近

心 而     安 。

當 正

。 先 挺 動 其

。 開 諸

七 八 反 。 如

令 手 足 差 異 。 正

脊 骨

。 勿 曲 勿    

正 頭

。 令

與 臍 相 對 。 不

。 不 低

。 平 面 正 住 。

以 舌 約 上 齶 。 次 閉 眼 不

全 合 。

如 天 台 顎                

 

( 35 )    

師 二 卷 止

中 説 也 。   以 上 の 文 を 眺 め て み る と 、 『

論 』 の 坐 其 座 中 因 縁 と 共 通 す る

容 が

さ れ る が 、 『

』 で は 眼 に 関 す る 項 目 に つ い て 述 べ て お ら ず 、 そ の た め 『 釋 論 』 の 「 止 眼

」 に

る 内 容 も 見 出

こ と は で き な い 。 し か し 、 『 釋 禪 波                

 

 

 

 

                                          ( 36 ) 羅

法 門 』 に

接 あ た っ て

る と 、 そ こ に は 「 次 當 閉 眼 。 纔

斷 外

而 已 」 と あ り 、 「 光 が 目 に 入 ら な い 程 度 に 眼 を

じ よ 」 と し て い る 。 こ れ に 対 し て 『 釋 論 』 で は 「 眼 相

」 で 「 其 眼 根 量 不 上 不 下

」 と し 、 続 い て 「 止 眼 事 」 に て 「 置 其

安 置

虚 空 字

中 」 と 述 べ て い る の で あ る か ら 、 目 は 閉 じ ら れ て い な い も の と

え ね ば な ら

、 『

記 』 に も 『

禪 波 羅

門 』 に も

通 し な い 内

が 示 さ れ て い る と い

こ と に な る 。 こ の こ と か ら 、 『 釋 論 』 の 眼 に 関

目 は 相

自 な 内 容 を 有 す る も の と 言 え よ

。   さ て 、 こ こ で 問 題 と な る 第

の 「 止 眼

」 で

る が 、 そ こ で は 「 置 其 眼 處

置 大 虚 空

輪 中 不

故 。 」 と 述 べ 、 視 線 を

虚 空 字 輪 に

め よ と

し て い る 。 し か し こ の

虚 空 字 輪 と は 何 を 意 味 し て い る も の で あ る の か は 、 全 く 本 文 中 で

説 さ れ て お ら ず 、 ど の よ う に 理 解

べ き か 甚 だ 明

で は な い 。 『 釋 論 」 の 註

書 を

照 し て み て も 、 僅 一

67

(16)

NII-Electronic Library Service 智 虜学 報第五十 一輯 か に

の 『

繕 論 記 』 に 於 い て 解

さ れ て い る に 過 ぎ

の も の に つ い て は こ の

分 に 言 及 す る こ と                                                                             37 ) が 無 い 。 ま た そ の 『 釋 摩 訶 衍

記 』 で も 「 虚 空

輪 未 詳 其 状 。 意 令

眼 安 住

中 絶 視 外 境 」 と 述 べ 、 明

な 解 答 が 示 さ れ て い な い 。   そ れ で は こ の 大 虚 空 字 輪 を ど の よ う に 理

す べ き で あ ろ う か 。   先

認 し て お か ね ば な ら な い の は 、 大 虚 空 字

が 明 か さ れ る 坐

座 中 因

は 止 輪 ( 止 ) の

便 ( 準 備 段 階 〉 と                                                               ( 38 > し て

づ け ら れ て い る 点 で あ る 。 ま た 、 『 釋 論 』 の 両

倶 轉 不

門 で は 止 輪 は 三 昧 に 相 当 す る も の と し て 扱 わ れ て お り 、 そ の 内

従 来 の

釈 を 踏 襲 し た も の と な っ て い る 。 こ の こ と か ら 、 『 釋

』 で も 止 輪 は

に 住 す る と い

す る も の で あ る こ と が 確

さ れ る 。 こ の

を 踏 ま え て 、 視

が 大 虚 空 字 輪 に 注 が れ る と い

こ と を 考 え る と 、 そ の 意 味 内 容 と し て は 「 視

を 空 中 に

め る 」 と い う 程 度 の も の で は な い か と 疑 わ れ て く る 。 止

は 「 空 無

に 達

る 」 も の で あ る か ら 、 特 定 の

に 掬 泥 す る こ と は 許 さ れ な い 。 そ の た め 『 釋 禪 波 羅 蜜 次

法 門 』 で は 、 目 を

じ る こ と を 指 示 し て い る の で あ ろ

が 、 『 釋 論 』 で は 、 そ れ で も 目 を 閉 じ る こ と な く 、 開 け た ま ま で い る こ と を

示 し て い る の で あ れ ば 、

界 に

る 塒

を 注 視 す る こ と な く 、 視 界 全 体 を 無 相 と し て

ね ば ら な い こ と に な ろ う 。 恐 ら く は こ の こ と を

し て 大 虚 空

輪 に 視 線 を

め る も の と 蓑 現 し て い る の で は な か ろ

か 。   以 上 の

察 か ら 、

虚 空 字 輪 の 意

す る 所 は 無

と い っ た こ と に 求 め ら れ る が 、 こ れ は 従 来 の 顕 教 の 中 に

出 さ れ な い 、

め て 特 異 な 用 例 で あ る と せ ね ば な る ま い 。 ま た 、 止

に 関 わ る 記 述 に 於 い て 「 大 虚 空 字 輪 」 と い う

現 が 用 い ら れ て い た と し て も 、 止 の

に 行 じ ら れ る 観 で 字 輪 を 靉

と し て 行 じ る こ と が な い た め 、 『 大 毘 盧 遮 那 成 佛

詩 經 』 ( 以 下 『 大 日 經 』 ) な ど に 見 ら れ る

輪 観 の よ

な 姓 格 を そ こ に 認 め る こ と は で き な い だ ろ う 。 し か し 、

虚 空 字

空 を 意 味

る も の で あ る に せ よ 、 止 に 際 し て そ こ に 視 線 が 注 が れ る と い

こ と は 、 虚 空 を 敢 え て 「

し と

現 し 、 そ こ に

を 注 ぐ べ き だ と 指

し て い る と

す る こ と が で き る 。 つ ま り 、 こ 一

68

一 N工工一Electronlc  Llbrary  

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