九州大学学術情報リポジトリ
Kyushu University Institutional Repository
電解液の高濃度化によるデュアルカーボン電池の高 エネルギー密度化に関する研究
三好, 誠治
http://hdl.handle.net/2324/1807125
出版情報:Kyushu University, 2016, 博士(工学), 課程博士 バージョン:
権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)
(様式6-2)
氏 名 三好 誠 治
論 文 名 電解液の高濃度化によるデュアルカーボン電池の高エネルギー密度 化に関する研究
論文調査委員 主 査 九州大学 教授 石原 達己 副 査 九州大学 教授 岡田 重人 副 査 九州大学 教授 田中 敬二
論 文 審 査 の 結 果 の 要 旨
現在 、高 容量 で、 充放 電レ ート に優れ た電 池は 、電 気自 動車 やロ ボッ トな どの 次世 代移 動媒 体の 分野 にお いて 要望 され てい るとと もに 、再 生可 能エ ネル ギー の平 準化 など でも 開発 が要 望さ れて いる 。そ こで 、種 々の 新しい 革新 型電 池の 開発 が行 われ てお り、 デュ アル 炭素 電池 は、 高電 位な 2次 電池 とし て、 実用化 の期 待さ れて いる 革新 電池 の一 つで ある 。現 在の 課題 は、 高エ ネル ギー 密度 化と 高濃 度電解 液中 で、 炭素 電極 中に イン ター カレ ート した イオ ンの 状態 の解 析に よる 、繰 り返 し特 性の向 上で ある 。以 上の よう な背 景の もと に、 本論 文は デュ アル 炭素 電池 とし ての 高エ ネル ギー密 度化 を達 成す るこ とを 目的 に検 討を 行っ たも ので 、主 な成果は以 下の様 にまとめ られる 。
(1) 電解 質の 支持 塩濃 度が 、炭 素中 へのPF6-とLi+の イン タカ レー ショ ンに 与え る影 響を検 討し てい る。 従来 より 用い てき た電解 液で は、 粘度 の影 響が ある ので 、高 濃度 では 使用 でき ないが、電 解液に ジメチル カーボ ネートを 用いる と3.6 M程 度まで高 濃度化 しても 、PF6-とLi+ はと もに イン ター カレ ート でき ること を示 して いる 。さ らに 、高 濃度 化が 電極 反応 に及 ぼす 影響 を検 討し 、負 極で は高 濃度 化によ り、 電極 反応 の見 かけ 活性 化エ ネル ギー が増 加す る。
一方、正 極ではPF6-は溶媒 和して いないの で、見かけ活 性化エ ネルギー に変化 はないこ とを明 確にしてい る。さ らに溶媒 和構造 について も明ら かにして いる。
(2)デュア ル炭素 電池の出 力密度 に影響す る正極 グラファ イト内に おけるPF6-の拡散 性につ いて検討し、2 つの電 気化学的 な手法 で求めた 拡散係 数はほぼ 同等で あること を示し ている。
見積 もら れた 拡散 定数 は、 市販 のリチ ウム イオ ン電 池の 正極 活物 質と 比べ ても 十分 に高 く、
小さいイオ ンサイ ズのLi+の拡散と ほぼ同 じであ ることを 示して いる。 この結果 、デュ アル炭 素電 池の 優れ た充 放電 レー ト特 性が、 正極 、負 極内 での イオ ンの 速い 拡散 に起 因す るこ とを 示している 。
(3)グ ラファイ ト内に インタ ーカレ ートされ たPF6-の 電子状 態につ いて検討 し、PF6-は、グ ラファ イト の層 間に 傾い た状 態(Tilted)で挿 入さ れて いる こと を明 らか にし てい る。 一方、
グラフ ァイト にPF6-が挿 入され ると 、F原 子が酸 化状 態にな り、 これが5Vと いう高 い電 位を発 現する機構 である ことを示 してい る。現在まで にFの酸 化還元 を利用し た蓄電 デバイス の報告 はな く、 デュ アル 炭素 電池 の蓄 電メカ ニズ ムは 非常 に興 味あ る現 象で ある こと を明 確に して いる。
以上、要するに本論文は、デュアル炭素の蓄電メカニズムおよび高エネルギー密度化に適した
電解液を明確 にしてお り、新しい蓄電デバイスであるデュアル炭素電池に関して多くの成果を挙 げており、電気化学の分野で寄与するところが大きい。よって、本論文は博士(工学)の学位論文 に値すると認める。
最終試験の 結果の 要旨
調査委員から,(1)電極の見かけ活性化エネルギーの帰属,(2)炭素内拡散係数の求め方と 意味,(3)アニオンとカチオンの拡散係数の違いなどについて質問がなされたが,いずれも著 者から適切な回答が得られた。また,公聴会においては多くの出席者があり,様々な質問がなさ れたが,著者の説明で理解が得られた。 以上の結 果によ り、著者は最 終試験 に合格し たもの と認める。