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九州大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

19世紀初頭のグアテマラと植民地フィリピンにおけ る国家と民衆反乱の比較研究

デ, レオン, ロリーニ, バイロン, ホスエ

http://hdl.handle.net/2324/4475213

出版情報:Kyushu University, 2020, 博士(学術), 課程博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

(2)

(様式3)

氏 名 : デ レオン ロリーニ バイロン ホスエ

論 文 名 : States and Popular Uprisings in Guatemala and the Colonial Philippines in the early 19

th

century in Comparative Perspective (19 世紀初頭のグアテマラと植民地フィリピンにおける国家と民衆反 乱の比較研究 )

区 分 : 甲

論 文 内 容 の 要 旨

本論文は1837年にグアテマラで生じたラファエロ・カレーラ(Rafael Carrera)が率いる民衆反乱 と、1841年にスペイン領フィリピンで生じたアポリナリオ・デ・ラ・クルス(Apolinario de la Cruz) が組織したサン・ホセ兄弟会(the cofradía de San José)による民衆反乱を事例に、それぞれの反乱 がなぜ生じたのかを 19 世紀前半の両国の政治、経済、社会、宗教の状況から比較分析し、グアテ マラとスペイン領フィリピンそれぞれの国家がどのような特徴を持っていたのかを明らかにするこ とを目的としている。これまでこの二つの民衆反乱と、グアテマラ、フィリピンそれぞれの国家は ともに、グアテマラ研究、フィリピン研究という一国研究の枠組み、もしくは中南米地域研究、東 南アジア地域研究という、異なる地域研究の枠組みの中で研究されてきた。本論文は、従来の一国 研究や当該地域のみを対象にした地域研究の枠組みでは十分に解明されてこなかった、19世紀初頭 に中南米諸国がスペインの植民地統治から独立したことによって生じた政治、経済、社会、宗教的 変化が、この二つの反乱に及ぼした影響を資料に基づいて分析し、二つの反乱が持つ特徴を比較史 的観点から描き出している点に特徴がある。加えて 19 世紀初頭のグアテマラとスペイン領フィリ ピン、それぞれの国家がおこなった政治、経済、社会、宗教それぞれの側面における政策を、18世 紀以降のスペイン統治下で生じた植民地国家の改革の文脈の中に位置づけることにより、その類似 点と相違点、さらにはスペイン統治下での改革との連続面と非連続面を明らかにし、それぞれの国 家が持つ特徴を描き出している。

本論文は序論と結論を含む6章で構成されている。以下、各章の内容を説明する。

まず序論では、本論文の問いと意義、手法を提示し、関連する先行研究に対する本研究の位置づ けが述べられる。特に序論では、グアテマラとフィリピンを比較する意義として、共にスペインの 植民地統治を経験したという点だけではなく、現在のメキシコに置かれたヌエバ・エスパーニャ副 王領の管轄下におかれその辺境に位置する植民地であったこと、財政的にこの副王領からの送金に 依存していたこと、貴金属の鉱山を持たず主要産業が農業であり、住民に占める棒民の割合が大き かったことなどの共通点を持っていたことなどが指摘される。第一章ではまずスペイン帝国の中で のグアテマラとフィリピンの位置づけを述べた後、18世紀にスペイン本国で始まったブルボン改革

(the Bourbon Reform)に焦点を当て、この改革がグアテマラとフィリピンでどのように実施された

のか、その意義と限界について議論している。この改革は本国と植民地の近代化を意図したもので、

政治機構改革、財政改革、植民地での原住民の登用、教会との関係の改革など様々な側面での改革 が意図されていた。しかし植民地ではその多くは実際に実施されることはなく、その一部が導入さ

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れたにすぎなかったことが指摘される。続く第二章は 1837 年にグアテマラで生じたラファエロ・

カレーラが率いた民衆反乱を取り上げ、この民衆反乱が生じた政治、経済、社会、宗教的背景、そ の展開、帰結を描いている。本章では当時、グアテマラが属していた中央アメリカ連合州(Provincias

Unidas del Centro de América)が進めていた自由主義的改革の影響と反乱との関係を詳細に記述

している。第三章は 1841 年にスペイン領フィリピンで生じたアポリナリオ・デ・ラ・クルスが組 織したサン・ホセ兄弟会による民衆反乱に焦点を当て、この民衆反乱が生じた政治、経済、社会、

宗教的背景、その展開、帰結を述べる。本章ではヌエバ・エスパーニャ副王領からの送金を失った 植民地国家が、その税収を増やすためにおこなった税制改革と経済改革と反乱との関係、アポリナ リオが組織した兄弟会が植民地国家から危険視された要因について植民地国家の行政文書の分析を 通じて明らかにされる。第四章は第二章、第三章で取り上げた二つの民衆反乱を比較し、この民衆 反乱が 19 世紀初頭にグアテマラ、スペイン領フィリピン、それぞれで進められた税制改革と経済 改革に対する反発として生じたこと、二つの民衆反乱の帰結が異なるのはこの改革がグアテマラで はすべての地域で一様に施行されたのに対して、フィリピンでは地域ごとで格差があったこと、そ してこの施行面での違いは 18 世紀にはじまったブルボン改革にその起源をもつことなどが示され る。最後に結論では、これまでの議論をまとめ、その上で 19 世紀初頭のグアテマラ、スペイン領 フィリピンの国家の特徴として、中南米諸国のスペイン植民地統治からの独立の影響を、特に財政 面で大きく受けていたこと、財政基盤を強化するために税制改革と経済改革を進めようとしたこと、

グアテマラではこの改革がアメリカ独立の影響を受けた自由主義者の下で、自由主義改革の名のも とにおこなわれていたのに対して、フィリピンではスペイン植民地国家が引き続き、従来の政治構 造、社会構造を維持したまま進められようとしたこと、そしてその理由として社会構造の改革を進 めることにより、フィリピンで中南米と同じような独立運動が生じることを植民地国家がおそれて いたことなどを指摘し、本論文を結んでいる。

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