社団法人 電子情報通信学会
THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,
INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS
信学技報
TECHNICAL REPORT OF IEICE.
過負荷非直交 STBC のための凸最適化に基づく復号法
早川 諒† 林 和則††
†
京都大学大学院情報学研究科 〒606-8501
京都市左京区吉田本町††
大阪市立大学大学院工学研究科 〒558-8585
大阪市住吉区杉本3-3-138 E-mail: [email protected], [email protected]
あらまし 本稿では,受信アンテナが送信ストリーム数よりも少ない過負荷
MIMO(multiple-input multiple-output)
システムにおける非直交
STBC(space-time block codes)の復号法を提案する.提案手法では送信シンボルの離散性
を利用した凸最適化問題の解を,その目的関数のパラメータを更新しながら繰り返し求める.また,巡回多元体に基 づく非直交STBC
に対して,符号の構造を利用して提案復号法の計算量を削減する手法も提案する.キーワード 過負荷
MIMO,非直交 STBC,凸最適化,近接分離法
Convex Optimization-Based Decoding for Overloaded Non-Orthogonal STBCs
Ryo HAYAKAWA
†and Kazunori HAYASHI
††† Graduate School of Informatics, Kyoto University, Yoshida-Honmachi, Sakyo-ku, Kyoto, 606-8501 Japan
†† Graduate School of Engineering, Osaka City University, 3-3-138 Sugimoto, Sumiyoshi-ku, Osaka, 558-8585 Japan
E-mail: [email protected], [email protected]
Abstract In this paper, we propose a decoding scheme for non-orthogonal space-time block codes (NO-STBCs) in overloaded multiple-input multiple-output (MIMO) systems, where the number of receive antennas is less than that of transmitted streams. The proposed method iteratively solves a convex optimization problem with updating parameters in the cost function, which utilizes the discreteness of the transmitted symbols. For the NO-STBC based on cyclic division algebra, we also reduce the order of computational complexity of the proposed algorithm by using the structure of the code.
Key words overloaded MIMO, non-orthogonal STBC, convex optimization, proximal splitting methods
1.
ま え が きMIMO
(multiple-input multiple-output
)通信システム[1]
において,高レートと高ダイバーシチの両方を達成するために 非直交
STBC
(space-time block code
)[2]
が検討されている.例えば
[3]
では,巡回多元体に基づく非直交STBC
が提案され ており,最尤復号のもとでフルダイバーシチを達成することが 示されている.さらに,その符号のレートは送信アンテナ数と 等しい.しかし,最尤復号の計算量はアンテナ数が増加するに つれて指数的に増大するため,低演算量な復号法がいくつか提 案されている.例えば,近傍探索に基づく手法[4, 5]
,確率伝搬 法に基づく手法[6]
,probabilistic data association
に基づく 手法[7]
などがある.MIMO
システムにおいて,受信機の大きさや重さ,消費電 力などの制限により,十分な数の受信アンテナを用いることができない場合がある.このような,受信アンテナ数が送信スト リーム数よりも少ない
MIMO
システムは過負荷MIMO
と呼 ばれる[8]
.過負荷MIMO
においては,レートが送信アンテナ 数に等しい非直交STBC
の復号は劣決定の問題となるため,従 来の低演算量な復号法の特性は大きく劣化する.一方で,最尤 復号と同等の特性を達成する過負荷MIMO
信号検出法(例え ば[8]
や[9]
など)は,大規模な非直交STBC
の復号に適用す るには計算量が大きいという問題がある.本稿では,過負荷
MIMO
システムにおける非直交STBC
の ための復号アルゴリズムを提案する.提案手法では,大規模 過負荷MIMO
信号検出法に対して提案されているIW-SOAV
(
iterative weighted sum-of-absolute-value
)最適化[10]
のア プローチを非直交STBC
の復号に応用する.IW-SOAV
では送 信シンボルの離散性を利用した凸最適化問題の解を,目的関数 のパラメータを更新しながら繰り返し求める.IW-SOAV
の特— 1 — - 79 -
一般社団法人 電子情報通信学会 信学技報
THE INSTITUTE OF ELECTRONICS,
INFORMATION AND COMMUNICATION ENGINEERS
This article is a technical report without peer review, and its polished and/or extended version may be published elsewhere.
Copyright ©2018 by IEICE
IEICE Technical Report
RCC2018-16,MICT2018-16(2018-05)
性は通信路行列のサイズや構造に大きく依存し,
MIMO
信号 検出と非直交STBC
の復号では通信路行列の構造が異なるこ とに注意されたい.さらに,巡回多元体に基づく非直交STBC
に対して,符号の構造を利用して提案復号法の計算量を削減す る手法も提案する.計算機シミュレーションにより, 送信アン テナ数が10
本程度の過負荷MIMO
システムにおいて,提案復 号法が従来の手法に比べて良いBER
(bit error rate
)特性を 達成することを示す.また,通信路行列の各成分に相関がある 場合でも,提案復号法が従来の手法よりも良い特性をもつこと を示す.本稿では,以下の記法を用いる.
Re {·}
とIm {·}
はそれぞれ 実部と虚部を示す.虚数単位をj
,N × N
の単位行列をI
N,成 分がすべて0
のベクトルを0と表す.行列U = [u
1· · · u
N] ∈
CM×Nに対して,vec(U ) = [
u
T1· · · u
TN]
T∈
CM N と定義す る.クロネッカー積を⊗
,符号関数をsgn( · )
で表す.2.
システムモデル送信アンテナ数が
N
t,受信アンテナ数がN
r のMIMO
シ ステムを考える.STBC
を用いて,K
個の複素データシン ボル˜ s
1, . . . , ˜ s
K∈
CをP
タイムスロットで送信するとする.STBC
行列をX ˜ = [ ˜ x
1· · · x ˜
P] ∈
CNt×P と定義する.ここで,˜
x
p= [˜ x
1,p· · · x ˜
Nt,p]
T∈
CNt(p = 1, . . . , P
)はp
番目のタイ ムスロットにおける送信信号ベクトルであり,x ˜
nt,pがn
番目の 送信アンテナから送信されるシンボルを表す(n
t= 1, . . . , N
t).線形の
STBC
では,STBC
行列X ˜
はX ˜ =
∑
K k=1C ˜
k˜ s
k(1)
で与えられる.ここで,C ˜
k∈
CNt×P はデータシンボルs ˜
kに 対応する重み行列である.例えば[3]
では,巡回多元体に基づ く非直交STBC
行列X ˜ =
N
∑
t−1 nt=0
¯
s
0,ntδ¯ s
Nt−1,ntω
nNtt
· · · δ¯ s
1,ntω
(NNt−1)ntt
¯
s
1,nts ¯
0,ntω
nNtt· · · δ¯ s
2,ntω
(NNtt−1)nt¯
s
2,nts ¯
1,ntω
nNtt· · · δ¯ s
3,ntω
(NNtt−1)nt. .
. . . . . . . . . .
¯
s
Nt−2,nts ¯
Nt−3,ntω
nNtt· · · δ s ¯
Nt−1,ntω
(NNtt−1)nt¯
s
Nt−1,nts ¯
Nt−2,ntω
nNtt
· · · ¯ s
0,ntω
N(Nt−1)ntt
ρ
nt(2)
が 提 案 さ れ て い る .こ こ で ,¯ s
nt,n′t= ˜ s
ntNt+n′t+1∈
C(
n
t, n
′t= 0, . . . , N
t− 1
)は送信される複素データシンボル であり,ω
Nt= e
j2πNt である.式(2)
の符号を用いた場合,K = N
t2個のシンボルをP = N
tタイムスロットで送信するた め,そのレートはK/P = N
tとなる.さらに,δ = e
√5jかつ
ρ = e
jのとき,最尤復号のもとでフルダイバーシチを達成する ことが示されている[3]
.送信信号行列
X ˜
に対する受信信号行列Y ˜ ∈
CNr×P はY ˜ = ˜ H X ˜ + ˜ V (3)
と書ける.ここで,
H ˜ ∈
CNr×Ntは通信路行列,V ˜ ∈
CNr×P は平均0
の加法性白色ガウス雑音行列である.式(1)
およ び式(3)
よりY ˜ = ∑
Kk=1
H ˜ C ˜
k˜ s
k+ ˜ V
が成り立つ.よって,˜
y := vec( ˜ Y ) ∈
CNrP は˜ y =
∑
K k=1(I
P⊗ H)vec( ˜ ˜ C
k)˜ s
k+ vec( ˜ V ) (4)
= (I
P⊗ H) ˜ ˜ C s ˜ + ˜ v (5)
= ˜ A˜ s + ˜ v (6)
と書ける.ここで,
s ˜ = [˜ s
1· · · ˜ s
K]
T∈
CK,v ˜ = vec( ˜ V ) ∈
CNrP,C ˜ =
[
vec( ˜ C
1) · · · vec( ˜ C
K)
] ∈
CNtP×K,A ˜ = (I
P⊗ H) ˜ ˜ C ∈
CNrP×Kである[4]
.複素数値の信号モデル(6)
は実 数値の信号モデルy = As + v (7)
に変形できる.ここで,y = [
Re { y ˜ }
TIm { y ˜ }
T]
T∈
R2NrP,s = [
Re{˜ s}
TIm{˜ s}
T]
T∈
R2K,v = [
Re{˜ v}
TIm{˜ v}
T]
T∈
R2NrP,およびA =
[ Re{ A} −Im{ ˜ A} ˜ Im{ A} ˜ Re{ A} ˜
]
∈
R2NrP×2K(8)
である.
N
r< N
tの場合に式(2)
で与えられる非直交STBC
を用いると,2K = 2N
tP > 2N
rP
よりA
が横長の行列とな るため,その復号は劣決定の問題となる.3.
提案復号法本節では,
IW-SOAV [10]
に基づく非直交STBC
の復号法 を提案する.式(2)
で与えられる非直交STBC
を用いるものと し,δ = e
√5jかつρ = e
jであるとする.したがって,P = N
tおよび
K = N
t2である.また,符号の構造を利用して提案復号 法の計算量を削減する手法も提案する.3. 1 IW-SOAVに基づく復号
IW-SOAV
は大規模過負荷MIMO
信号検出のために提案さ れた手法であり,STBC
の信号モデル(7)
にも適用可能である.IW-SOAV
はQAM
(quadratic amplitude modulation
)にも 拡張可能である[10]
が,本稿では,QPSK
(quadrature phase shift keying
)を仮定して˜ s
k∈ {1 + j, −1 + j, −1 − j, 1 − j}
とする.この場合
s
の各成分は1
か−1
のどちらかの値をと る.この離散性を利用して,IW-SOAV
では以下のW-SOAV
(
weighted sum-of-absolute-value
)最適化問題s ˆ = arg min
z∈R2Nt2
2N
∑
t2k=1
( w
+k|z
k− 1| + w
−k|z
k+ 1| )
+ α
2 ∥ y − Az ∥
22)
(9)
の解をパラメータw
k+, w
−k を更新しながら繰り返し求める.ここで,
z
kはz
のk
番目の成分を表し,α
(> 0
)は第一項∑
2Nt2k=1
(w
+k|z
k− 1|+w
−k|z
k+ 1|)
と第二項 12∥y − Az∥
22のバAlgorithm 1
IW-SOAV
に基づく提案復号法(1)sˆ=0とし,(a)–(c)をL回繰り返す.
(a)ˆsに基づいてw+k とw−k を更新する.
(b)ε∈(0,1),γ >0,r0∈R2N2t,Mitr∈Nとする.
(c)m= 0,1,2,· · ·, Mitrに対して以下を繰り返し,sˆ=zMitr
とする.
zm= proxγfw(rm) θm∈[ε,2−ε]
rm+1=rm+θm
((
I2N2
t +αγATA)−1
·(
2zm−rm+αγATy)
−zm
) .
(2)sgn(ˆs)をsの推定値とする.
ランスを決めるパラメータである.重みパラメータ
w
+k, w
k− は 最 初 の 繰 り 返 し で はw
+k= w
−k= 1/2
と し ,そ れ 以 降 は 一 つ 前 の 繰 り 返 し で 得 ら れ た 推 定 値s ˆ
に 基 づ い て 定 め る.[10]
では,一つ前の繰り返しで得られた推定値を用い て計算した事後LLR
(log likelihood ratio
)の推定値Λ ˆ
kを用 いてw
+k= e
Λˆk/(1 + e
Λˆk), w
k−= 1/(1 + e
Λˆk)
とする方法が提 案されている.IW-SOAV
に基づく提案復号法をAlgorithm 1
に示す.最適 化問題(9)
を解くアルゴリズムとしてはDouglas-Rachford
ア ルゴリズム[11]
を用いた.(1) (a)
で重みパラメータを更新した 後,W-SOAV
最適化(9)
の解を(1) (b)
および(1) (c)
で求める.prox
γfw(·)
は関数f
w(z) = ∑
2Nt2 k=1( w
k+|z
k− 1| + w
k−|z
k+ 1| )
のproximity operator [11]
であり,そのk
番目の成分は[prox
γfw(r)]
k=
r
k+ γ (r
k< − 1 − γ)
− 1 ( − 1 − γ < = r
k< − 1 − ξ
kγ) r
k+ ξ
kγ ( − 1 − ξ
kγ < = r
k< 1 − ξ
kγ) 1 (1 − ξ
kγ < = r
k< 1 + γ) r
k− γ (1 + γ < = r
k)
(10)
で 与 え ら れ る .こ こ で ,
r
k はr
のk
番 目 の 成 分 で あ り,ξ
k= w
k+− w
−k とする.3. 2 逆行列演算の計算量削減
Algorithm 1
には逆行列(
I
2N2t
+ αγA
TA
)
−1∈
R2Nt2×2Nt2 の計算が含まれており,直接的な計算ではO (
N
t6)
の計算量が 必要になる.しかし,式
(2)
で与えられる非直交STBC
を用い る場合,行列A ∈
R2NtNr×2Nt2の構造を利用してその計算量 のオーダーを削減することができる.計算量を削減するため,
C ˜ ∈
CNt2×Nt2がC ˜ C ˜
H= N
tI
N2t を
満たす
[4, 6]
という性質を利用して( I
2N2t
+ αγA
TA
)
−1を変 形する.まず,逆行列補題
[12]
により( I
2N2t
+ αγA
TA
)
−1= I
2N2t
− αγA
T(
I
2NtNr+ αγAA
T)
−1A (11)
が 成 り 立 つ .行 列(
I
2NtNr+ αγAA
T)
−1は 行 列
B ˜ :=
(
I
NtNr+ αγ A ˜ A ˜
H)
−1∈
CNtNr×NtNrを用いて(
I
2NtNr+ αγAA
T)
−1=
[ Re{ B} −Im{ ˜ B} ˜ Im { B ˜ } Re { B ˜ }
] (12)
と書ける.さらに行列
B ˜
はB ˜ =
(
I
NtNr+ αγ (
I
Nt⊗ H ˜ ) C ˜ C ˜
H(
I
Nt⊗ H ˜ )
H)
−1(13)
= (
I
NtNr+ αγN
t(
I
Nt⊗ H ˜ ) (
I
Nt⊗ H ˜
H))
−1(14)
= (
I
NtNr+ αγN
t(
I
Nt⊗ H ˜ H ˜
H))
−1(15)
= (
I
Nt⊗ (
I
Nr+ αγN
tH ˜ H ˜
H))
−1(16)
= I
Nt⊗ (
I
Nr+ αγN
tH ˜ H ˜
H)
−1(17)
と 変 形 で き る .逆 行 列(
I
Nr+ αγN
tH ˜ H ˜
H)
−1の 計 算 に 必 要 な 計 算 量 は
O (
N
tN
r2)
と な る た め ,
B ˜
お よ び( I
2NtNr+ αγAA
T)
−1は
O ( N
t2N
r2)
の計算量で計算可能であ る.この逆行列の計算はアルゴリズム全体で一度だけ実行すれば よいことに注意されたい.式
(11)
より,(
I
2NtNr+ αγAA
T)
−1 が得られれば,アルゴリズム中のr
mの更新はベクトル同士の 和および行列とベクトルの積のみで実行可能であり,その計算 量はO (
N
t3N
r)
となる.重みパラメータw
+k, w
k−の更新も繰り 返し1
回あたりO (
N
t3N
r)
で行える[10]
ので,提案アルゴリ ズム全体の計算量はO (
N
t3N
r)
となる.4.
シミュレーション結果本節では,提案復号法の特性を計算機シミュレーションで 評価する.変調方式は
QPSK
として,式(2)
の非直交STBC
(
δ = e
√5jおよび
ρ = e
j)を用いるとする.IW-SOAV
の重み パラメータの更新は,[10]
の手法と同じものを用いる.その他 のパラメータはε = 0.1
,γ = 1
,r
0=
0,M
itr= 50
およびθ
m= 1.9
(m = 0, . . . , M
itr)とする.4. 1 相関のない通信路
過負荷
MIMO
における非直交STBC
の復号に対するBER
特性を図1–3
に示す.ここでは相関のない通信路を仮定しH ˜ = ˜ H
i.i.d.とする.ここで,H ˜
i.i.d.の各成分はi.i.d.
(inde- pendent and identically distributed
)で平均0
,分散1
の円対 称な複素ガウス分布に従うとする.“LMMSE”
は線形のMMSE
(
minimum mean-square-error
)法,“RTS”
はRTS
(reactive tabu search
)を用いた復号法[5]
,“ML”
は最尤復号,“IW- SOAV”
は提案復号法を表す.また,大規模過負荷MIMO
信号 検出法として提案されているERTS
(enhanced RTS
)[13]
の 特性も示している.RTS
およびERTS
のパラメータはそれぞ れ[5]
および[13]
と同じものを用いた.IW-SOAV
で解く最適 化問題のパラメータα
は,[10]
と同じ表1
に示された値を用 いた.(N
t, N
r) = (3, 2)
である図1
ではA
のサイズは12 × 18
であり,
IW-SOAV
の特性は最尤復号に比べてはるかに悪くなる.アンテナ数が
(N
t, N
r) = (9, 6)
に増えた図2
(A
のサイズ は108 × 162
)では,最尤復号は計算量が大きく非現実的であ- 81 -
0 5 10 15 20 25 30
SNR per receive antenna (dB)
10−4 10−3 10−2 10−1 100
BER LMMSE
RTS ERTS ML
IW-SOAV (L= 1) IW-SOAV (L= 2) IW-SOAV (L= 3) IW-SOAV (L= 4) IW-SOAV (L= 5)
図1 相関のない通信路におけるBER特性(Nt= 3, Nr= 2)
0 5 10 15 20 25 30
SNR per receive antenna (dB)
10−410−3 10−2 10−1 100
BER
LMMSE RTS ERTS
IW-SOAV (L= 1) IW-SOAV (L= 2) IW-SOAV (L= 3) IW-SOAV (L= 4) IW-SOAV (L= 5)
図2 相関のない通信路におけるBER特性(Nt= 9, Nr= 6)
0 5 10 15 20 25 30
SNR per receive antenna (dB)
10−410−3 10−2 10−1 100
BER
LMMSE RTS ERTS
IW-SOAV (L= 1) IW-SOAV (L= 2) IW-SOAV (L= 3) IW-SOAV (L= 4) IW-SOAV (L= 5)
図3 相関のない通信路におけるBER特性(Nt= 12, Nr= 8)
表1 パラメータαの値 SNR (dB) 0–10 12.5–20 22.5 25–30
α 0.01 0.1 0.3 1
るが,高
SNR
(signal-to-noise ratio
)の場合IW-SOAV
が他 の手法に比べて良い特性を達成することがわかる.SNR
が15
0 5 10 15 20 25 30
SNR per receive antenna (dB)
10−410−3 10−2 10−1 100
BER
LMMSE RTS ERTS
IW-SOAV (L= 1) IW-SOAV (L= 2) IW-SOAV (L= 3) IW-SOAV (L= 4) IW-SOAV (L= 5)
図4 相関のある通信路におけるBER特性(Nt= 9, Nr= 6)
0 5 10 15 20 25 30
SNR per receive antenna (dB)
10−410−3 10−2 10−1 100
BER
LMMSE RTS ERTS
IW-SOAV (L= 1) IW-SOAV (L= 2) IW-SOAV (L= 3) IW-SOAV (L= 4) IW-SOAV (L= 5)
図5 相関のある通信路におけるBER特性(Nt= 12, Nr= 8)
dB
付近の場合はERTS
がIW-SOAV
よりも良い特性をもつ が,ERTS
の計算時間はL = 3
としたIW-SOAV
の計算時間 の約10
倍である[10]
.(N
t, N
r) = (12, 8)
とした図3
(A
のサ イズは192 × 288
)では,IW-SOAV
はすべてのSNR
において 最も良い特性を達成している.4. 2 空間相関のある通信路
空間相関のある通信路における
BER
特性を図4,5
に示す.図
4
では(N
t, N
r) = (9, 6)
,図5
では(N
t, N
r) = (12, 8)
で あ る .通 信 路 行 列 はH ˜ =
Φ1 r2
H ˜
i.i.d.Φ1 2
t と し た .こ こ で , Φr
∈
CNr×Nr およびΦt∈
CNt×Nt はそれぞれ受信側と送 信側の空間相関を表す正定値対称行列である[14]
.シミュ レーションでは,受信側と送信側双方で等間隔リニアアレー を用いると仮定して[Φ
r]
i1,i2= J
0( | i
1− i
2| · 2πd
r/λ)
および[Φ
t]
i1,i2= J
0(|i
1− i
2| · 2πd
t/λ)
とした.ここで,[Φ
r]
i1,i2と[Φ
t]
i1,i2はそれぞれΦrとΦtの(i
1, i
2)
成分を表す.また,J
0(·)
は0
次の第一種ベッセル関数であり,λ
は波長を表す.d
rとd
tはそれぞれ受信側と送信側でのアンテナ間隔であり,シミュ レーションではd
r= d
t= 0.5λ
とした.図4, 5
より,相関の ある通信路の場合はERTS
の特性が大きく劣化し,IW-SOAV
の方が良い特性を達成することがわかる.5.
ま と め本稿では,過負荷
MIMO
システムにおける非直交STBC
の 復号法を提案した.提案手法はW-SOAV
最適化問題の解を,目的関数のパラメータを更新しながら繰り返し求める.また,
巡回多元体に基づく非直交
STBC
に対しては,符号の構造を 利用することで提案復号法の計算量を削減することが可能であ る.計算機シミュレーションにより,従来の手法に比べて提案 復号法が良いBER
特性を達成することを示した.また,空間 相関のある通信路の場合でも,提案復号法が良い特性をもつこ とを示した.今後の課題としては,提案復号法の複素数値信号 への拡張や,提案復号法の特性の理論解析などがあげられる.謝辞 本研究の一部は,科学研究費補助金(研究課題番号
15K06064, 15H2255, 17J07055
)の助成を受けたものです.文 献
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