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論文内容要旨

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Academic year: 2021

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論文内容要旨

論文題名 口蓋裂初回手術後から成人期までの長期経過観察

―唇顎口蓋裂 40 例の言語成績―

掲載雑誌名 日本口蓋裂学会雑誌 第 41 巻 第 1 号 8-16 頁 2016 年 外科系形成外科学専攻 木村智江

内容要旨

目的:Pushback 法による初回口蓋裂手術を 1 歳代で施行した症例の幼児 期の言語成績は、鼻咽腔閉鎖機能(以下 VPC)良好が 80%以上、正常構音が 50%以上との報告が多い。しかし、成人期の最終的な言語成績は不明であ る。そこで本研究では、成人期までの音声言語(VPC と構音)の長期経過と 最終的な言語成績を明らかにし、今後の言語治療の改善に役立てるために 後方視的検討を行った。

方法:対象は唇顎口蓋裂 40 例(男 21 例/女 19 例)で、裂型の内訳は片側唇 顎口蓋裂が 30 例、両側唇顎口蓋裂が 10 例であった。全例が 1978~1995 年の期間に 1 歳代で pushback 法による口蓋裂手術を受けた。手術は昭和 大学形成外科の複数の術者が施行した。

音声言語の聴覚判定は口蓋裂言語を専門とする言語聴覚士 3 名が行っ た。VPC は口蓋裂言語検査(日本コミュニケーション障害学会、2007)に基 づいて開鼻声と呼気鼻漏出による子音の歪みを 4 段階で評価した。VPC「良 好」は聴覚判定がいずれも段階0「なし」の場合である。VPC「ごく軽度不全」

は、日常会話に支障がない実用的な VPC と見なした。機器による精査を行 った症例ではそれらの結果も合わせて重症度を判定した。構音障害の有無 と種類は構音検査法に基づいて判定した。構音障害は、特異な構音操作に よる誤りとその他に分類した。

音声言語の評価時年齢は、幼児期(3~5 歳)、学童前期(6~7 歳)、学童 後期(9~12 歳)、青少年期 (13~18 歳)、成人期(19 歳以上)の 5 期であ る。結果: 40 例全体の結果は以下のとおりである。

1. VPC 良好例は幼児期 27 例(67.5%)から成人期 19 例(47.5%)に減少し、

ごく軽度不全例が 6 例(15.0%)から 18 例(45.0%)に増加した。成人期はこ れらを合わせて 37 例(92.5%)が実用的な VPC を獲得した。

2. 学童前期から成人期にかけて、VPC の変化を 31 例(77.5%)に認め、悪 化例は学童後期から青少年期、改善例は学童前期と成人期に多かった。

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3.正常構音は幼児期 18 例(45.0%)であり、学童前期以降 9 例に構音障害が 出現したが、成人期は全例正常構音であった。

4.構音障害の 22 例中 21 例(95.5%)は幼児期から構音訓練を受け、学童後 期から成人期にかけて構音障害の半数が消失した。

5.構音障害は口蓋化構音が最も多く幼児期に 11 例あり、成人期は 6 例に 残存した。

6.成人期正常構音は 28 例(70.0%)であった。

考察:成人期の VPC を幼児期の音声言語の判定のみで予測することはでき ない。今回の結果から、幼児期の判定に関わらず音声言語の再評価を 10 歳、16 歳、治療が終了する 20 歳頃に行うことが望ましいと考える。

構音障害については、構音訓練を終了した後も成人期まで長期にわたり改 善する可能性があり、ST が経過観察と指導を継続することは有用である。

参照

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