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Round Table Discussion記事 「冠動脈疾患患者の脂質管理」

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(1)

 急性冠症候群( ACS)は心血管イベントの再発

リスクが高いため,他の危険因子の管理とともに

早期からの厳格なLDLコレステロール(LDL-C)低下

療法が必要とされている。一方,近年はPCSK9

阻害薬の登場により,従来の治療薬よりもさらに

強力なLDL-Cの低下が可能となってきた。そこで,

今回は循環 器 専門医として活躍中の先 生 方に

お集まりいただき,冠動脈疾患患者の脂質管理を

テーマに討議していただいた。

(2017年 3月19日収録)

冠動脈疾患患者の脂質管理

–Beyond the current lipid lowering therapy–

代田 浩之

(座長) 順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学 教授

大村 寛敏

順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学 准教授

横井 宏佳

福岡山王病院 循環器センター長/ 国際医療福祉大学 教授

飯島 雷輔

東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科 講師 出席者(発言順/敬称略)

座 談 会

Hirotoshi Ohmura Hiroyoshi Yokoi Hiroyuki Daida Raisuke Iijima

R o u n d T a b l e D i s c u s s i o n

(2)

代田 わが国の動脈硬化性疾患予防ガイドライン2012では, リスクの程度に応じてLDL-C管理目標値が定められ,一定 の目標値以下に低下させることを目指す“ Treat to target” と いう考え方が基盤となっています。欧米においても一時議論 のあった,目標値を定めずスタチンによる強力な治療を行う “ Fire and forget”の考え方から,より低いLDL-C低下療法 を目指す“the lower, the better”へ回帰する傾向になってきま した。その背景には,いくつかの新しいエビデンスが追加さ れたことがあるわけですが,特に最近PCSK9阻害薬の登場 により,かなり低いレベルまでのLDL-C低下が可能となり, 米国も含めて,今後のガイドラインの方向性が期待されます。  そこで,今回は冠動脈疾患の二次予防に焦点を当て, LDL-Cの管理目標,PCSK9阻害薬への期待,積極的に LDL-C低下療法を行うべき症例像などについて先生方のご 意見を伺っていきたいと思います。最初に,大村先生から, 国内外のガイドラインにおけるLDL-C低下療法の考え方につ いて解説していただきます。 大村 1990年代からのスタチンを用いた大規模臨床試験の結 果から,冠動脈疾患イベントの発症率と治療後のLDL-C値 には直線的関係が認められ,LDL-Cの管理はthe lower, the betterと考えられるようになりました1)2)。一方で,スタチンに よるLDL-C低下療法後にもリスクが残存する(残余リスク)と いう懸念が注目され,Beyond LDL-CとしてTGやHDL-Cに 対する薬剤介入なども試みられました。しかし,スタチンで LDL-Cを下げること以外の薬物介入試験によって,冠動脈疾 患イベントの抑制効果は認められませんでした。そこで,動脈 硬化性心血管疾患(ASCVD)のリスク減少を目的とした高コ レステロール血症治療に関するACC/AHAガイドライン(2013 年)3)では,スタチンのみがエビデンスを有する脂質低下薬であ り,LDL-Cの治療目標の絶対値を示すエビデンスは存在しな いことから,“Fire and forget”の考え方に基づいた指針が公 表されました。  一方,わが国の動脈硬化性疾患予防ガイドライン(2012年 版)では,国内の疫学研究や臨床試験の結果から,一次予防 においては冠動脈疾患の絶対リスクに基づくカテゴリー分類に 応じてLDL-Cの管理目標値が決定され,二次予防においては LDL-Cを100 mg/dL未満にすることが管理目標とされています4) 代田 最近は,さらにLDL-Cを低下させる必要性が議論さ れていますが,これについてはいかがですか。 大村 幾つかの試験で、LDL-Cを50 mg/dLまでさらに低下 させることで,再発が予防される可能性が示唆されています。 ASCVDのリスク減少には,LDL-Cを70mg/dLまで低下させるだ けでは不十分ではないか,と考えられるきっかけにもなっています。  また,近年は遺伝子解析を用いた“Mendelian Randomization Study”により,LDL-Cの代謝に関与するLDLR,HMGCR, NPC1L1,PCSK9などの遺伝子変異に基づくLDL-C低下 は,冠動脈イベントの抑制効果と直線的な関係があること が確認されています(図1)5)。この結果は,LDL-Cは“the

lower, the better”であると同時に,より早期からの治療介 入が重要であることを示唆するものとして注目されます。 代田 LDL-C低下療法の現状についてはいかがですか。 大村 高リスク患者を対象としたスタチンを用いた大規模臨 床試験のメタ解析によると,高用量のストロングスタチンを用 いてもLDL-Cを70 mg/dL未満まで低下させることができな い症例が40%以上存在することが示されています6)。また,

代田 浩之

(座長) 順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学 教授

PCSK9阻害薬により厳格なLDL-C管理が可能となりました。

またガイドライン改訂版では管理目標について

一歩踏み込んだ表現が追加される見通しです。

LDL-Cは“ the lower, the better”

(3)

わが国におけるLDL-C管理目標達成率は,ACSで約70%, 冠動脈疾患,末梢動脈疾患,糖尿病などの高リスク症例で は50%前後と低いことが報告されています7)  一方,家族性高コレステロール血症(FH)は,冠動脈疾 患のリスクがきわめて高いことから厳格な治療が必要とされ, 一次予防でもLDL-Cの管理目標は100 mg/dL未満とするこ とが望ましいとされています4)。しかし,FHに対してスタチン を中心とした積極的な脂質低下治療を行っても,LDL-C 100 mg/dL未満の達成率は20%程度であることが海外から報告 されています8)。また,幼少時からLDL-Cが高値のFH患者 は,若年で冠動脈疾患を発症するリスクが高いことも報告さ れ9),FH患者は早期からの厳格なLDL-C低下療法が必要で あることがわかります。  このように,高リスク患者やFH患者などに対しては厳格 なLDL-C管理目標が設定されていますが,従来の治療法で は達成率が十分ではないため,今後は,PCSK9阻害薬など の新たな治療薬に期待がかけられています。 代田 では,次に横井先生からPCSK9阻害薬の有用性に ついて解説していただきたいと思います。 横井 プラルエント®を用いたODYSSEY JAPAN 試験が, 日本人に対するPCSK9阻害薬の有用性を示したエビデンス として注目されています(図 2)10)。本試験は,ヘテロFHま たは心血管イベントリスクを有する高コレステロール血症患 者で,スタチン投与下でもLDL-Cが管理目標に達していな い日本人 216 例を対象に,プラルエント®の有効性と安全 性について評価したプラセボ対照二重盲検比較試験です。 なお,対象症例の中の19%がヘテロFH,81%が非 FHで あり,全体の約 70%の症例が糖尿病を合併していました。 その結果,試験開始から24週後までのLDL-Cの変化率 はプラルエント®群−62.5%,プラセボ群1.6%であり,プ ラルエント®群はプラセボ群に対し有意なLDL-C 低下を示

日本人に対するPCSK9 阻害薬のエビデンス

大村 寛敏

順天堂大学大学院医学研究科 循環器内科学 准教授

LDL-Cを70mg/dL未満まで低下させることが

できない患者が 40%以上存在しているのが現状です。

遺伝的解析と臨床介入試験によるLDL-C低下と冠動脈イベントの発症抑制効果

図1

Ference BA, et al. J Am Coll Cardiol. 2015; 65(15): 1552-61.5)

Mendelian Randomization Study:

Genetically Lower LDL-C Pharmacologically Lower LDL-C 30 20 10 (%)

Primary end-point: 1st occurrence of CHD death or a nonfatal MI

0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0 8.0 9.0 10.0 11.0 12.0 13.0 14.0 15.0 16.0 17.0 18.0 19.0 20.0 21.0 P ro po rt io na l R is k R ed uc tio n (S E) lo g s ca le Lower LDL-C PCSK9 46L rs11591147 ALLHAT-LLT SEARCH GISSI-P A to Z NPC1L1 LDL-C score LDLR rs2228671 PCSK9 rs11206510 ABCG5/8 rs4299376 HMGCR rs12916 PCSK9 rs2479409 NPC1L1 rs217386 LDLR rs6511720 HMGCR LDL-C score IMPROVE-IT Combined NPC1L1 & HMGCR LDL-C score HMGCR LDL-C score NPC1L1 LDL-C score (mg/dL) ■ ■■

(4)

しました( p<0.0001,MMRM)。また,プラルエント® 群のLDL-C 値は試験開始時の141.1 mg/dLから4週後に は 53.4 mg/dLまで減少し,このLDL-C 低下作用は 52 週 後まで維持されることが確認されました。そして,追跡期 間中の有害事象の発現率に,両群間で差は認められません でした。この結果から,プラルエント®は日本人に対して も有用性が期待できるPCSK9阻害薬であることがわかり ます。  さらに,約18,000 例のACS患者を対象に,プラルエン ト®を強化スタチン療法に追加投与することによる心血管 イベント抑制効果を前向きに検討するため,国際共同試験 ODYSSEY OUTCOMES試験が現在進行中です(図 3)11) 加えて,日本人のACS患者を対象に,プラルエント®投与 による冠動脈プラーク容積の変化を,血管内超音波( IVUS) 検査によって評価するODYSSEY J-IVUS試験も進行してお り(図 4),今後ますますプラルエント®のエビデンスが蓄積 されることに期待をしています。

横井 宏佳

福岡山王病院 循環器センター長/国際医療福祉大学 教授

PCI Zoneには血管内イメージングによる最適なPCI,

OMT ZoneにはPCSK9 阻害薬などによる

厳格な薬物療法,これが理想的な冠動脈治療です。

アリロクマブ投与24週時までのLDL-Cの変化率および52週時までのLDL-C値の推移

(国内第Ⅲ相試験)

図2

Teramoto T, et al. Circ J. 2016; 80(9): 1980-7. 承認時評価資料10)

LDL コレステロール値 評価時点 試験デザイン 試 験 方 法 主要評価項目 副次評価項目 解 析 計 画 安 全 性 利 益 相 反 日本人患者を対象にアリロクマブの有効 性と安全性を評価する。 ランダム化,二重盲検,プラセボ対照, 並行群間,多施設共同試験。 脂質低下療法でコントロール不十分な 家族性高コレステロール血症ヘテロ接合体 患者または心血管リスクの高い非家族 性高コレステロール血症患者216例 アリロクマブ群またはプラセボ群に2:1で 割り付け,試験薬を2週に1回,52週間皮 下投与。アリロクマブは75mgから開始し, 8週時にLDL-Cが管理目標値まで低下し ない場合,12週以降は150mgへ増量。 スタチンと他の脂質低下療法は継続した。 ベースラインから24週時までのLDL-C 変化率 ベースラインから12,24,52週時までの 各脂質パラメータ変化率とLDL-C変化量, 変化率,推移,その他 主要有効性解析集団は1つでも測定値 があるすべての症例(ITT解析)とした。 有 害 事 象 発 現 率は,アリロクマブ 群 9 0 . 9%( 1 3 0 / 1 4 3 例 ),プラセボ群 83.3%(60/72例)。重篤な有害事象発 現率は,アリロクマブ群7.0%(10/143 例),プラセボ群12.5%(9/72例)で死亡 例はない。投与中止に至った有害事象は アリロクマブ群4.9%(7/143例),プラセ ボ群5.6%(4/72例)に認められた。 発表者の一部はサノフィ社から報酬や研 究費,寄付講座の提供をうけているほか, 一部はサノフィ社の社員である。 : : : : : : : : : 投与後24週時のLDLコレステロール変化率(ITT解析:主要評価項目) LDLコレステロール値の推移(ITT解析:副次評価項目) 160 150 140 130 120 110 100 90 80 70 60 50 40 30 20 10 0 (mg/dL) 投与 開始時 4週 8週 12週 16週 24週 36週 52週 141.6mg/dL 141.6mg/dL 141.1mg/dL 141.1mg/dL 135.6mg/dL135.6mg/dL 53.4mg/dL 53.4mg/dL アリロクマブ群(143例) プラセボ群(72例) 最小二乗平均値±標準誤差 LDLコレステロール変化率(vs ベースライン)* p値(95%信頼区間) アリロクマブ群 (n=143) プラセボ群(n=72) -62.5±1.3% +1.6±1.8% p<0.0001(-68.5 ~-59.8) vs プラセボ(MMRMによる解析) * 最小二乗推定値

(5)

飯島 雷輔

東邦大学医療センター大橋病院 循環器内科 講師

良好な臨床成績が期待できますが,特にLDL-Cを

70mg/dL未満に管理しておくことが重要です。

Schwartz GG, et al. Am Heart J. 2014; 168(5): 682-9.11)

ODYSSEY OUTCOMES試験デザイン

図3

対象患者 主要評価項目 2015年12月: 18,000例の患者登録が完了 ・ACS発症後,4~52週の患者 ・40歳以上 スクリーニング 来院 トレーニング注射 来院 導入時の脂質パラメーター ・LDL-C≧70 mg/dL [≧1.81 mmol/L] または ・ApoB≧80 mg/dL [≧0.8 mmol/L] または ・Non-HDL-C≧100 mg/dL [≧2.59 mmol/L] ・冠動脈疾患死 ・非致死性心筋梗塞 ・脳卒中    ・不安定狭心症による入院 導入期間 スタチン用量最適化: アトルバスタチン40~80mg, ロスバスタチン20~40mg またはいずれかの最大耐用量 n=9,000 n=9,000 R アリロクマブ 75mg 2週に1回投与 必要に応じ,150mgに増量 プラセボ 二重盲検試験(64ヵ月) NCT02984982

ODYSSEY J-IVUS試験デザイン

図4

●36週, オープンラベル, 盲検解析(core lab analysis), 1:1無作為化2群間並行比較試験 ●組 み 入 れ 基 準:ACS (STEMI, NSTEMI, UAP)で入院した患者

ACS発症1週間以内に解析可能なIVUS画像がある患者

ACS発症時にスタチン投与ありの患者:ACS発症時に LDL-C レベル≧100mg/dL,または ACS発症時にスタチン投与なしの患者:スタチン投与2~4週後にLDL-C 値≧100mg/dL         または医師が不十分と判断した場合は≧70mg/dL

●主 要 評 価 項 目:Total Atheroma Volume (TAV)の変化率 ●Key二次評価項目:Percent Atheroma Volume (PAV)の変化量

●他の二次評価項目:TAVの絶対変化量, LDL-C/apoB/non-HDL-Cなどの変化率, MACEイベント(冠動脈疾患死,非致死性心筋梗塞,脳卒中,           入院を必要とする不安定狭心症,虚血に基づく血行再建) 目標 LDL-C<100mg/dL (もし12週時に LDL-C≧100mg/dL なら アリロクマブを2週に1回150mgに増量) オープンラベル治療期間(34~36週) 4週以内 目標LDL-C<100mg/dL n=100 n=100 R 標準治療群 標準治療 +アリロクマブ 75mg 2週に1回 ベースライン IVUS ACS発症 0週 36週 フォローアップ IVUS

(6)

代田 横井先生は,冠動脈インターベンション(PCI)の 第一人者としても活躍されていますが,PCI施行例に対する LDL-C低下療法についてコメントいただけますか。 横井 PCIはあくまでも冠動脈の局所的な治療ですので,冠 動脈全体をケアするためには生活習慣の改善や薬物療法が 重要となります。PCI施行例は高リスクであるため,できるだ け厳格なLDL-Cの管理目標を目指したいところですが,従来 のスタチンを中心とした脂質低下療法では達成が困難でした。 しかし,最近はPCSK9阻害薬の登場により,この目標達成が 現実的になってきており,私たちも期待をしているところです。  また,最近はPCI前後の至適薬物療法(Optimal Medical Therapy:OMT)が注目されていますが,私は冠動脈全体を よく見て,PCI ZoneとOMT Zoneに分けて治療していく必要 があるのではないかと考えています。PCI Zoneには冠動脈予 備能比(fractional flow reserve:FFR)で血行動態的に虚血 病変を検出する血管内イメージングを使って最適なPCIを施 行します。加えて,IVUSやOCT,さらには血管内視鏡など も活用しながら,冠動脈内の不安定プラークを定性的,定 量的に把握します。そして,症例ごとに70 mg/dL未満,100 mg/dL未満など LDL-C管理目標を設定し,そこに向かって スタチンやPCSK9阻害薬などを用いたOMTを行います。こ のような,冠動脈全体を網羅するPCIとOMTによる治療戦 略は,冠動脈バイパス術(CABG)の治療成績に追いつく新 しい治療法だと考えています。 代田 飯島先生は,どのような症例に対して積極的な LDL-C低下療法を行うべきと考えますか。 飯島 PCI後の2次予防の観点で考えると,糖尿病,慢 性腎臓病(CKD),全身性動脈硬化性疾患(poly-vascular disease),多岐病変,SYNTAXスコアが23以上の症例, ACS,FH,狭心症を繰り返す症例などに対しては,より厳 格なLDL-C低下療法が必要であると考えています()。な お,日常診療の中でのこれらの症例の頻度ですが,当院の 調査では糖尿病とCKDはそれぞれ 40%程度,poly-vascular diseaseは30 % 程 度, 多 岐 病 変 は70 % 程 度,SYNTAX scoreが23以上の症例は30%程度,ACSは50%程度,FH は5%程度,狭心症を繰り返す症例は数%程度です。 代田 大村先生のご意見はいかがですか。 大村 わが国の動脈硬化性疾患予防ガイドラインでは,二 次予防においてより厳格な管理が必要な患者病態として, ACS,喫煙,糖尿病,CKD,非心原性脳梗塞・末梢動脈疾患, メタボリックシンドローム,主要危険因子の重複があげられ ています4)。飯島先生が指摘されたような多岐病変や狭心症 をくり返す症例などについても,今後はガイドラインに追加さ れる必要があるのではないかと思います。 代田 先ほど,横井先生からPCIとOMTによる治療戦略に ついてのお話がありましたが,飯島先生はOMTの重要性に ついてはどのように考えますか。 飯島 PCIを施行した697例のACS症例を平均3.4年間追跡 調査する検討が海外で行われましたが,PCI後1年以降も心 血管イベントは増え続けている結果が示されています12)。こ のように,冠動脈の局所にステントを留置する治療のみでは, 患者さんの長期予後の改善は難しいことがわかります。そこで, PCI施行時のOMTが重要な役割を果たすと考えられます。  横井先生らが運営委員となり,わが国において2種類の薬

積極的なLDL-C 低下療法を行うべき症例像

積極的なOMTによりLDL-Cを厳格に管理

血管内イメージングによる最適なPCIと,

PCSK9 阻害薬を用いたOMT

カテーテル治療後の2次予防の観点から

厳格なLDL-C低下療法を行うべき症例

Nakamura M. EXPLORE J (Exploration into the Lipid Management and Persistent Risk in Patients Hospitalized for Acute Coronary Syndrome in Japan): Baseline Data Iijima R. Benefit of Optimal Medical Therapy in Patients with Polyvascular Disease Undergoing Drug Eluting Stent Implantation. JCS 2017 Iijima R, et al. Rev Esp Cardiol (Engl Ed). 2015; 68(1): 54-62.

糖尿病 慢性腎臓病 Poly-vascular disease 多枝病変 Syntax score > 23 急性冠症候群 家族性高コレステロール血症 狭心症を繰り返す症例 43% 42% 30% 72% 33% 50% 3% 数%

(7)

床試験としてJ-DESsERT試験が実施されました。さらに,私 たちはJ-DESsERT試験のサブ解析として,DES留置時の OMTの達成度と臨床成績との関連性についての検討を行いま した13)。なお,OMTの達成については,LDL-C 100 mg/dL未 満,HbA1c 7.0%未満,収縮期血圧 130 mmHg未満と定義しま した。解析の結果,対象となった3,004例の中で,DES留置 時にOMTを達成していた症例は548例(18.2%)でした。そし て,OMT達成群と未達群の主要評価項目(心臓死,心筋梗塞, 再治療の複合)の発生率は,12ヵ月(5.3% vs. 8.9%, p=0.01), 24ヵ月(7.9% vs. 11.0%, p=0.04)といずれもOMT達成群で有 意に低い結果が示されました(χ2 text)。また,多変量解析 からは12 ヵ月の主要評価項目の予測因子としては,OMTの 達成(OR:0.65, 95%CI:0.43-0.98, p=0.04),HbA1c 7.0%未 満(OR:0.54, 95%CI:0.40-0.72, p<0.01)などが確認されまし た。さらに,糖尿病合併例(1,463例)の中でLDL-C 70 mg/dL 未満を達成していた症例はわずか55例(3.7%)で,達成群は 未達成群に比べて主要評価項目の発生リスクが低い傾向が示 されていました(5.6% vs. 11.7%,p=0.17,fisher's exact test)。  以上の結果から,PCI施行前の積極的な薬物療法でOMT が達成できれば,PCI後の臨床成績がさらに改善する可能 性があり,特にハイリスク患者に対してはLDL-Cを70 mg/ dL未満に管理しておくことが重要であることがわかります。 代田 ハイリスク患者に対しては,ガイドラインによる管理目 標よりもさらに厳格なLDL-C低下療法が求められる症例もあ ることがよく理解できました。しかし,すべてのハイリスク患 者にこの治療法を選択することは,医療経済性の観点からも 現実的ではありません。そこで,優先して治療対象とすべき 患者については,どのように見分ける必要があるでしょうか。 飯島 先ほどの横井先生のお話のように,IVUSやOCT, 血管内視鏡などを活用して冠動脈内のリスクを評価するこ とは理想的だと思います。しかし,これはどの施設でもで きることではありません。そこで,これを代用する簡便な方 法としては,血管造影所見によって情報を得ることができる SYNTAXスコアが,リスクの層別化に有効だと考えています。 代田 横井先生のご意見はいかがですか を目指した治療を開始する必要があります。一方,FHでない 患者については,私もSYNTAXスコアによる評価が,日常 臨床に即した方法だと思います。また,poly-vascular disease は全身に動脈硬化病変が広がっているため,厳格なLDL-C 低下療法が必要となります。 代田 PCSK9阻害薬の登場により,LDL-Cを50 mg/dL未 満に管理することも可能な時代になってきました。ここまで 厳格な治療が必要な症例があるとすれば,その患者像につ いては,先生方はどのように考えますか。 飯島 SYNTAXスコアが高くpoly-vascular diseaseを有する ような患者は,LDL-C 50 mg/dL未満の管理目標を視野に入 れてもいいのではないかと考えます。 横井 LDL-Cは70 mg/dL程度に管理されていても,HDL-C が低値を示すような場合はハイリスクと判断し,さらに厳格 なLDL-C低下療法を目指す必要があるかもしれません。 大村 若年齢のACSまたは糖尿病を併存したACSなどは, LDL-C 50 mg/dL未満を視野に入れた治療を考慮してみてもよい かもしれません。また,PCSK9阻害薬などによる厳格な治療は, 特にACSの急性期に行うことが重要ではないかと考えます。 代田 今回は,冠動脈疾患患者の脂質管理について,先 生方から示唆に富む貴重なお話を伺うことができました。 PCSK9治療薬の登場により新時代を迎えた脂質低下療法で すが,今後も先生方が中心となって新たなエビデンスが蓄積 されていくことに期待をしたいと思います。  本日はありがとうございました。

特にPCSK9 阻害薬による厳格な治療が

必要となる患者の選択

REFERENCES

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5) Ference BA, et al. J Am Coll Cardiol. 2015; 65(15): 1552-61. 6) Boekholdt SM, et al. J Am Coll Cardiol. 2014; 64(5): 485-94. 7) Teramoto T, et al. Atherosclerosis. 2016; 251: 248-54. 8) Pijlman AH, et al. Atherosclerosis. 2010; 209(1): 189-94.

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(8)

参照

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