5 章 齧歯類の性行動と脳の性分化
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ホルモンから見た生命現象と進化シリーズ常染色体へ導入した雄マウス( XY - Sry, “Y - ” は, Y 染色体から Sry を除 去したことを意味する.“Sry” は,常染色体に Sry を補ったことを意味する)
と正常雌マウス(XX)を交配すると,精巣をもった遺伝的雄マウス(XY - Sry)と卵巣をもった遺伝的雌マウス(XX)の仔の他に,卵巣をもった遺 伝的雄マウス(XY -,Y 染色体があっても Sry がないため,生殖腺は卵巣 となる)と精巣をもった遺伝的雌マウス(XXSry,Y 染色体がなくても常染 色体にある Sry が働き生殖腺は精巣となる.)の仔が生まれる
5-6).このよう な遺伝的性と生殖腺の組合せが異なる 4 種類のマウス(four core genotypes モデル)を調べた結果,中脳のドーパミンニューロンと LS のバソプレッ シン神経繊維の数は,精巣・卵巣のいずれをもっていても遺伝的雄マウス
(XY - Sry と XY -)の方が遺伝的雌マウス(XX と XXSry)よりも多かった.
卵巣から分泌されるエストラジオール
周生期 成熟期
精巣から分泌されるテストステロン
性的に未分化な脳
雌型脳
雄型脳 春機発動期
ホルモン分泌の変化
雌性化と脱雄性化の過程 雄性化と脱雌性化の過程
卵巣由来の エストラジオール
精巣由来の テストステロン 精巣由来の
テストステロン XX XY
vs 性染色体遺伝子
図
5.7
齧歯類における脳の性分化の要因と過程脳の性分化の要因には,周生期の精巣から分泌される
T,春機発動期の生殖腺から分
泌される性ホルモン,脳内で発現する性染色体遺伝子がある.周生期には,精巣から 高濃度のT
が分泌される時期がある.周生期の卵巣はエストラジオールをほとんど 分泌しない.春季発動期には,精巣のT
分泌が再び増加し,卵巣のE2
分泌も増加す る.周生期と春機発動期の精巣から分泌されたT
は,脳の雄性化と脱雌性化を促す.春機発動期の卵巣から分泌された
E2
は,脳の雌性化と脱雄性化を促す.また,性ホ ルモンの作用に関係なく,性染色体遺伝子の働きにより,性分化する脳の部分もある.7 章 棘皮動物の産卵行動
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ホルモンから見た生命現象と進化シリーズ支えるためだろうか,お尻がすこし膨らんで見える.そして頭部を左右に 振り始めた.振り幅は 10 cm を越えるくらいに大きくゆっくり振っている.
周りでは他の個体が同じように頭を振っているが,とくに他の個体を気にす るような様子は窺えなかった.放卵は頭を振り始めて 20 分ほど経ってから,
放精は頭を振り始めて間もなく始まり,それぞれ 1 時間ほど続くが,その間,
どの個体もずっと頭を振り続けていた (図 7.2,図 7.3) .海水だけを注射し た対照群の個体は,石山に触れても登る気配さえ見せなかったし,放卵・放 精も起こらなかった.また,石山を登り始める頃になると,どの個体も体表 のイボ状の突起がぴんと伸びて直立していた.移動に役立っているのかもし れないが,その機能は不明である.
クビフリンを注射したどの個体も,雌雄に関わりなく,①歩行の活発化,
②高所への移動,③頭振り動作,そして④放卵・放精を行うことがわかった.
クビフリンは,in vitro で卵巣片からの卵成熟・排卵現象を指標に精製を進 め見いだしたホルモンであり,少なくとも,その作用点が卵巣であることは 間違いない.また精巣にも作用することが明らかとなっている.それにもか
図
7.1
石山を登っているマナマコ右端の