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ヘルダーの作品群における感覚論とその受容

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Academic year: 2021

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ヘルダーの作品群における感覚論とその受容

著者 松下 泰之

雑誌名 独逸文学

巻 61

ページ 223‑224

発行年 2017‑03‑20

URL http://hdl.handle.net/10112/10876

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223 関西大学『独逸文学』第 61 号 2017年 3 月

関西大学独逸文学会研究発表概要

(第109回研究発表会)

ヘルダーの作品群における感覚論とその受容

松下 泰之

 本発表はヨハン・ゴットフリート・ヘルダーの著作群で触れられる内 容に共通する感覚論的思想を明らかにし、思想史的意義を問うことを目 的とする。方法としては、後期のヘルダー作品において語られた感覚論 的世界観の原型となる概念が若年期の作品でいかなる形で取り扱われて いたかを比較検証することで、ヘルダー思想に含まれる基本的特徴の共 通項を明らかにする。そのために、まずヘルダーの晩年の著作において 登場する思想概念の解釈を行う。本発表では、具体的にはヘルダーが捉 える „Nachphysik“ の意義、„Kräfte“ 概念を通じた感覚論と存在論の結び つきについて取り扱う。

 „

Nachphysik

“ とは、人間的な認識の進歩の過程における「最後の学問」

であり、あらゆる学問の基盤となる „Metaphysik“ との対極的な概念であ る。ヘルダーは、理性概念と、それに関わる形而上学は感覚的経験に由 来する言語に依存したものであると考え、あらゆる経験に依存しない純 化した理性概念を否定した。この傾向はヘルダー思想において感覚を重 視するという基本的特徴を成していると言える。

 „

Kräfte

“ は、ヘルダー作品において広く取り扱われる「力」の概念で

あり、感覚論、認識論、存在論に渡って多義的に用いられる。存在論で 用いられる „

Kräfte

“ とは、存在を形成する有機的諸力の意味であるが、

同時に感覚として触覚に感知される力の意味も当然含んでいた。

 以上を基として、二十代に執筆された草稿である『触覚という感覚に ついて(

Zum

 

Sinn

 

des

 

Gefühls

)』の内容の検証を行う。この草稿は触

(3)

松下 泰之

224

覚を中心として捉える独自の感覚論を取り扱い、触覚の感知する引力と 斥力や、触覚のみがもたらす盲人の言語について言及し、「存在物の中 に進展する諸力」に関しての問題提起を行う。つまり若年期において既 に存在を取り巻く概念として „

Nachphysik

“ や „

Kräfte

“ を捉えていたと考 えるべきである。

 こういった傾向はヘルダー晩年の著作である『純粋理性批判のメタ批 判』(Metakritik der 

Kritik der reinen Vernunft

)において展開される議 論の前提となっている。つまり、カントによる批判を回避し、独自の世 界観の中で思想を展開するための基盤は若年期において既に成立してい たと考えられる。

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