実 践 報 告
学級集団アセスメントを基盤にしたグループ体験活動の試み
‑Q‑U と連想法、疎外感アンケートの活用と対応一
はじめに
松尾博愛(教育学研究科/南島原市立南有馬中学校) 中田富士男(教育学部人開発達講座)
上菌恒太郎(教育学部人開発達講座) 木下信義(教育学部初等教育講座) 内野成美(教育学部人開発達講座)
本 研 究 は 、 教 師 が 学 問 に 媒 介 さ れ た 知 に よ っ て 、 自 分 の 経 験 知 を 確 か め な が ら 安 心 し て 学 級 運 営 を 行 う た め に 学 級 集 団 を ア セ ス メ ン ト し 、 得 ら れ た 結 果 を 基 に 日 々 の 教 育 活 動 に 結 び つ け る こ と が 重 要 で あ る と い う 視 点 に 立 ち 行 っ た も の で あ る 。 教 師 が 経 験 知 と 学 問 に 媒 介 さ れ た 知 を も と に し た 学 級 運 営 を 行 う こ と で 、 生 徒 が 安 心 し て 学 校 生活を送ることができるのである。
学 級 運 営 の 課 題 で あ る い じ め 、 不 登 校 、 引 き こ も り 、 非 行 等 の 学 校 不 適 応 行 動 に は 様 々 な 要 因 が 指 摘 さ れ て い る が 、 本 研 究 で は 中 で も 、 人 間 関 係 を 構 築 す る 力 の 低 下 を 学校不適応行動の一つの要因として取り上げる。人間関係、を構築する力を取り扱った の は 、 将 来 に わ た り 社 会 生 活 を 営 む に は 人 と 関 わ っ て 生 き て い く 必 要 が あ り 、 人 と 人 をつなぐことは大切であると考えたからである。
第
1
章 研 究 の 目 的 と 方 法 第1
節 研 究 の 目 的本 研 究 の 目 的 は 、 普 段 教 師 が 行 っ て い る 観 察 法 に よ る ア セ ス メ ン ト に 加 え 、 他 の 質 問 紙 法 を 組 み 合 わ せ る こ と に よ り 客 観 的 な 見 方 か ら 生 徒 を 捉 え 、 浮 か び 上 が っ た よ さ や課題をもとに指導・支援計画を策定し、ゲルー
7 '
体 験 活 動 を 行 い 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ス キ ル の 向 上 、 関 係 性 の 構 築 を 図 り 、 よ り よ い 人 間 関 係 を は ぐ く む こ と で あ る 。 こ こ で 述 べ る よ り よ い 人 間 関 係 を は ぐ く む と は 、 学 級 集 団 で の 活 動 を 通 し て 心 理 的 、 行 動 的 ア プ ロ ー チ を 行 い 、 心 理 的 援 助 、 人 間 的 成 長 の 促 進 、 ソ ー シ ヤ ル ス キ ル の 向 上 を 目 指 し て お り 、 本 実 践 で は 人 間 関 係 の 構 築 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ス キ ル の 向 上 を ね ら った。実 践 に あ た っ て は 、 集 団 の 今 あ る 状 態 を さ ら に 高 め る こ と で 、 個 人 を も 支 援 で き る と 考 え 、 個 々 人 の 場 合 の 個 別 支 援 で は な く 、 集 団 と の か か わ り の 中 で グ ル ー プ 体 験 活
‑149
一動を通した指導・支援を取り入れた。ここで述べるグ、ループ体験活動とは、構成的グ ノレープ・エンカウンター(以後
SGE)
とアサーション・トレーニングのこととする。先 行 研 究 に よ る と 「 シ ョ ー ト エ ク サ サ イ ズ に よ る 継 続 的 な
SGE
が 生 徒 の 学 級 生 活 満足感を高めるJ
(小野寺、河村 2005) こ と が 既 に 示 唆 さ れ て い る 。 先 行 研 究 に お い てはショートエクササイズにおけるSGE
の 内 容 を 固 定 し 、 継 続 し た 実 践 で 効 果 が 示 されている。本 研 究 で は 、 ア セ ス メ ン ト 結 果 を 受 け 、 学 級 集 団 の 課 題 や 友 人 関 係 に お い て 課 題 を 抱える生徒に配慮、し、あえて内容や形態を固定しない継続したショートエクササイズ による
SGE
と ア サ ー シ ョ ン ・ ト レ ー ニ ン グ を 組 み 合 わ せ た グ ル ー プ 体 験 活 動 を 実 践した。
第
2
節 研 究 の 仮 説実践にあたっての研究仮設を以下に示す。
1. Q‑Uと連想、法、疎外感アンケートの分析、生徒の行動観察を組み合わせた学級集団ア セ ス メ ン ト を 行 う こ と に よ り 、 学 級 集 団 と 個 人 に お け る よ さ や 課 題 が よ り 明 確 に 見 えてくるであろう。
2 .
学 級 集 団 ア セ ス メ ン ト に よ っ て 捉 え た よ さ や 課 題 を 基 に 、 生 徒 理 解 が 深 ま り よ り 効 果的な指導・支援計画が立案できるであろう。3 .
指 導 ・ 支 援 の 中 に グ ル ー プ 体 験 活 動 を 仕 組 む こ と で 、 自 尊 感 情 や 社 会 性 が 芽 生 え 学 級 に 所 属 す る 生 徒 た ち の 関 係 が 構 築 さ れ 、 コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 活 発 と な る で あ ろフ。
4 .
グ ル ー プ 体 験 活 動 の 中 で 活 動 内 容 や 活 動 形 態 を 工 夫 し た 計 画 を 意 図 的 に 仕 組 む こ と で 、 学 級 全 体 で の 指 導 ・ 支 援 が 、 友 人 関 係 に お い て 特 に 教 育 的 配 慮 を 必 要 と す る 生徒に対しても有効な手立てと成り得るであろう。5 .
短 学 活 の 場 ( 一 般 的 に 朝 の 会 、 帰 り の 会 と 言 わ れ る ) を 有 効 に 活 用 す る こ と で 生 徒 同士の人間関係をはぐくむことが可能であろう。第
3
節 研 究 の 内 容 と 方 法 研 究 の 対 象 学 級 に つ い て調 査 学 級 は 、 長 崎 県 内
A
中学校 男 子18
名 、 女 子14
名 、 合 計32
名1
年 生1
ク ラ ス で あ る 。 学 級 担 任 と の 連 携 の も と 学 級 集 団 ア セ ス メ ン ト を 行 っ た 結 果 、 友 人 関 係 に お い て 特 に 教 育 的 配 慮 を 必 要 と す る 生 徒4
名(A
さん、B
君、C
君、D
さん)を 抽 出 し た 。 学 級 集 団 ア セ ス メ ン ト 作 業 で は 、 ま ず 、 フ ィ ー ル ド ワ ー ク と 調 査 学 級 の 学 級 担 任 と の 十 分 な 情 報 交 換 を も と に 個 人 や 学 級 の よ さ や 課 題 を 見 つ け る こ と か ら 始 め た 。 次 に 、 そ こ か ら 出 た 課 題 を 考 察 し 、 質 問 紙 法 を 選 定 し て 調 査 を 行 っ た 。 ア セ ス メ ン ト で 用 い た 質 問 紙 法 は 、 ①Q‑U
、②中学生用疎外感尺度(宮下・小林、198
1)、③nU
FO
唱i
中学生学校社会的スキル尺度(橋口、
1 9 9 6 )
、④道徳性アンケートであり、実際の指導・支 援 に か か る 前 の
5
月 (一部6
月 に 実 施 ) と9
月に実施した。グ ル ー プ 体 験 活 動 後 の 効 果 を 検 証 す る た め に 用 い た 方 法 は 、 ① エ ク サ サ イ ズ 振 り 返 り用紙
( 5
件 法 、 感 想 ) 、 ② 行 動 観 察 ( フ ィ ー ル ド ノ ー ツ ) 、 ③ 授 業 に お け る チ ェ ッ ク リ ス ト ( 学 習 に 対 す る 適 応 行 動 調 査 ) 、 ④ 連 想 法 に よ る 授 業 分 析 ( ア サ ー シ ョ ン ・ ト レ ーニング)、⑤Q‑U
、⑥中学生用疎外感尺度(宮下・小林、198
1)、⑦中学生学校社会 的スキル尺度(橋口、1 9 9 6 )
である。学 級 集 団 の ア セ ス メ ン ト 第
2
章Q‑U
、 中 学 生 用 疎 外 感 尺 度 、 連 想 法 、 フ ィ ー ル ド ノ ー ツ を 活 用 し て 学 級 集 団 の ア こ こ で は 紙 面 の 都 合 上 、 そ の 一 部 を 紹 介 す る 。Q‑U
と 疎 外 感 と の 重 回 帰 分 析 の 結 果 、 以 下 の 点 が わ か っ た 。被 侵 害 得 点 は 、 孤 独 感 が 高 く な る ほ ど 高 い こ と が 見 出 さ れ た 。 こ れ は 、 学 年 の 重 回 帰 分 析 で の 結 果 と も 共 通 し て い る 。 次 に 、 学 校 生 活 意 欲 総 合 得 点 は 、 孤 独 感 が 低 い ほ ど 、 ま た 自 己 嫌 悪 感 が 低 い ほ ど 、 高 く な る こ と が 見 出 さ れ た 。 つ ま り 、 孤 独 感 や 自 己 嫌 悪 感 が 低 い 生 徒 ほ ど 、 学 校 生 活 意 欲 総 合 得 点 「 友 人 と の 関 係 、 学 習 意 欲 、 教 師 と の 関 係 、 学 級 と の 関 係 、 進 路 意 識
J
が 高 い 傾 向 に あ る と 考 え ら れ セスメントを行った。1.
さ ら に 、 学 年 の 傾 向 と し て 、 学 習 意 欲 は 、 自 己 嫌 悪 感 が 低 い ほ ど 高 く な る こ 自 尊 感 情 が 高 い 生 徒 ほ ど 、 学 習 意 欲 が 高 い 傾 向 に あ る る。
とが見出された。 つまり、
点
I
[学年・学級共通](学年 N=169)
l彊 独 感 ‑.32牢牢
l空虚感 i
l圧迫拘束感 ‑‑TI学習意欲 l i自己盛霊感 レ‑‑‑
(学年 N=169) {学級
N=30)
i祖 独 感 k ‑.28
*
i空虚盛
ll¥¥¥
│圧迫拘束感 ミ同学技生活意欲総合得点 l l自己蜂悪感
レ ‑ ‑ ‑ ‑ ‑
‑.26寧(学年 N=169) *p<O.05、**p<O.Ol
2 .
作成した連想マップは、Q‑U
において既に記述された「楽しいと思うこと」、「いごこち の デ ー タ を 基 に 回 答 語 と し て 抽 出 し 、 完 成 さ せ た も の で あ る 。t骨 量
その値目岨開
の よ い 場 所J
・
"
・.陶....4..・:.Lいl.ド
. .
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こ....." ...,...̲.". ~:u'J ・・a・・・a・・
tピュ,?IIII:.....同省.ピν,,,.鍋.・・・1 trP::t'J. .・・・圃輸 禽,.."リ肉a・"
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輔 鋤 岬U"
a・ ・
'
・ ・. .
・.
・. . . . '
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. 圃1
・ . .
・
1 1 . . ' . . . . ' . .
抽..‑ ・a川 崎 凶'L・・・・同
牢 曹
ー
. 人
軍'"
図2・2 9月「いごこちのよい場所Jに関する回答跨の連想マップ
t町 値
図2・1 9月 f楽しいと思うことJに関する回答語の連想マップ
噌i
F
目 ︒
5
月と9
月を比較すると、「楽しいと思うことJ
の質問からは、カテゴリ<<遊び>>、くく友達>>が減少し、カテゴリくく部活>>、くく個人>>の回答語数が増加している。こ の こ と か ら 中 学 校 の 部 活 動 の 存 在 が 色 濃 く 出 て い る こ と 、 友 達 と の 遊 び か ら 一 人 遊 びに変化していることがわかった。また、「し、ごこちのよい場所J の質問からは、カ テゴリくく家>>、くくその他の場所>>が減少し、カテゴリくく個人>>が増加しているo
カテゴリくくその他の場所>>の内訳は、「公園」、「図書館」、「外
J
といった回答語であ り、カテゴリくく個人>>の回答語は、「部屋J
、「ベッド」、「静かな所J
などである。回 答 語 数 の 増 減 や 回 答 結 果 か ら 、 家 庭 の 中 で も よ り 一 人 に な る こ と が で き る 部 屋 の 方 が 居 心 地 が よ い と 感 じ て お り 、 ま た 、 人 が 大 勢 い る よ う な 所 よ り 一 人 の 方 が 居 心 地 がょいと感じていることがわかった。以上のことから判断すると、一人の方が楽しく居心地がよいと感じる傾向が強く、
人と関わらなくてよい一人遊び、内遊びへと変化していることが明らかとなった。
「楽しいと思うことJ回答語教の差 そ
部 遊 個 友 の 学
活 び 人 達 他 家 校
「いごこ?よい場所j回 答 鰍 の 差 の
他
の 人 そ
場 掌 個 の の 家 所 校 入 家 他
o o n o d
‑ q
&
n u n L a a z p o o n
F 0 4 4 n
︐u h u n a d a z
戸O A O
図2・3 楽しいと思うことJ各カテゴリの回答話教の差 図2・4 いごこちのよい場所j各 カ テ ゴ リ の 回 答 癒 数 の 差
第3章 アセスメントを基にした分析と対応 第
1
節 ア セ ス メ ン ト に 基 づ く 学 級 集 団 の 分 析第
1
項 ア セ ス メ ン ト に 基 づ く 学 級 の 分 析事 前 調 査 や 学 級 担 任 と の 情 報 交 換 を 通 し て 、 学 級 集 団 の 分 析 を 行 っ た 結 果 、 以 下 に示す学級の傾向がわかった。
1. 学級全体のソーシャルスキルの傾向として、
主 張 性 ス キ ル が 最 も 低 く 、 配 慮 の ス キ ル が 最 も 高 い 。 授 業 や 学 級 で の 話 し 合 う 場 面 で は 学 級 の リ ー ダ ー に 任 せ き り で 自 分 の 意 見 を 発 表 す る こ と が 少 な か っ た 。 友 達 と の 関 係 性 が 構 築 で き な い た め 、 自 分 の 意 見 を 人 前 で 表 現 す る こ と が 苦 手 で あ る こ と 、 自 分
級学
レ' ' '
キス ル 守 ル 一 遵 恥 ル の
2シ
ソ
‑スレ・フるり
誘 入
三 聴くスキ ル
ス キ ル ス キ ル
図3・1 ソーシヤルスキルにおける各スキルの比較
‑152‑
道徳性アンケート
1.主として 自分自身に関 すること 3.5
自己開示することに恥ずかし の意見を主張し、
さを感じているなどフィールドノーツの結果か
‑学級平均
2,主として 他の人との関 わりに関する
こと
らも明らかとなった。
道徳性アンケートの結果、「主として自分自身に
2 .
4,主として 集団や社会と の関わりに関 すること
関すること」や「主として他の人とのかかわり に関すること
J
の内容項目が、「主として自然や3,主として 自然や崇高な ものとの関わ りに関するこ
と
「主と の 自分に自信 崇高なものとのかかわりに関すること」、
して集団や社会とのかかわりに関すること
J
内容項目よりも低い結果となった。が持てないでいることや友達との人間関係がう
道徳学習指導要領の4つの領域との比較 図3・2
まく結べないでいることが考えられる。
フィールドノーツから、学級内で孤立しているかグループを組んでいるかの二極化が
3 .
また、友達同士の関係がつくれず会話が少ないことが示唆されたロ さらに、学級内にルールが確立されており、学校内の生活面で規律を守ろうとする生 徒が多いが、教師が主導しないと自分からは動けないでいることがわかった。
起きていること、
アセスメントに基づく抽出児の分析
アセスメントの結果、学級の中で抽出児 4名は孤立している、不安や悩みを抱えてい る、友達に対して粗野な言動をとるなどのいずれか
第2項
5
月9
月におけるQ‑U
関連項目の比較友 教 学
人 師 級
と 学 と と の 習 の の 関 意 関 関 係 欲 係 係
の課題を強く抱えている生徒であることが明らかと
進路意識 被侵害得点
ここでは 承認得点
この 4名の特徴を以下に示すが、
なった。
6 4 2 0 2 4 6
その一部を紹介する。
Q‑U
の結果、4
名のうち3
名(A
さん、C
君、D
さん)が学級生活不満足群に属していることが わかった。 (B君は非承認群)紙面の都合上、
1.
Q.U
における内容項目の差疎外感における抽出児と学級との比較 C君
図3・3 抽 出 児 の 所 属 群 の 変 化
表
3
・1
6
2 .
中学生疎外感尺度を用いた調査から、学級の他の 5生徒より疎外感合計得点、が高いことがわかった。
ー 噌 ー Dさん
ー ー ‑c
君4
輔 噌‑ Aさん
特に 4名のうち
D
さん、C
君に関してその傾向が欄嶋田
B
君強く表れている。
田 嶋 田 学 級 平 均 圧迫拘束感自己嫌悪感
図3・4 疎外感における抽出児と学級の比較 孤1虫感 空車感
o
っο
FO
唱E a‑
3 .
中学生学校社会的スキノレ尺度を用いた調査か ら は 、 主 張 性 ス キ ル が 低 い こ と が 明 ら か と な った。これは学級の傾向とも共通しており、D
さんを除くA
さん、B
君、C
君 の3
名 は 特 に低い傾向にある。4 .
フ ィ ー ル ド ノ ー ツ か ら は 、 多 面 的 に 抽 出 児 の 特 徴 を 捉 え る こ と が で き た 。 特 にB
君 に 関 し ては、学習面で不適応を起こしていたため、君
但 ι v 守
遵
ネ 間
以
γ
'''HW ヤシ
ソ
誘う・入るスキ
ノレ 聴くスキル
主張性ス
フ ィ ー ル ド ノ ー ツ と あ わ せ 、 学 習 に 対 す る 適 応 行 動 調 査 に よ り 実 態 把 握 を 行 っ た 。
図3・5 B君 ソ ー シ ャ ル ス キ ル
第
2
節 ア セ ス メ ン ト を 基 に し た 指 導 ・ 支 嬢 計 画指 導 ・ 支 援 計 画 を 立 て る に あ た り 、 学 級 の 課 題 と 友 人 と の 人 間 関 係 で 教 育 的 配 慮 を 必 要 と す る 生 徒 の 課 題 が 重 な る 部 分 が あ る こ と 、 集 団 で の 関 わ り の 中 で 個 を 伸 ば す と い う ア プ ロ ー チ か ら 、 学 級 全 体 で の 指 導 ・ 支 援 を 行 う こ と と し た 。 グ ル ー プ 体 験 活 動 で は 、 関 係 性 の 構 築 と コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 活 発 に す る こ と を ね ら い 、 以 下 の 点 に 配 慮した計画を立てた。
1 . 体 を 動 か す よ う な ゲ ー ム 性 の 強 い エ ク サ サ イ ズ を は じ め に 仕 組 み 、 全 体 の モ チ ベ ー シ ョンを高めた後、自己開示や自己発見を取り入れる活動を仕組んだ。
2 .
友人関係で教育的配慮、を必要とする生徒に対しては、活動の内容の工夫、友達との組 み 合 わ せ へ の 配 慮 、 机 間 指 導 を 通 し た 声 か け や 励 ま し に よ る 支 援 を 計 画 し た 。3.2人 組 か ら 小 集 団(3"'"'4人)、中集団(5"'"'6人)での活動へ移行する活動人数の工夫やメ ジパーの入れ替えなどの構成員に配慮を図ることで、段階的にリレーションを形成し、
普 段 は あ ま り 話 さ な い 級 友 と も コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 行 う こ と が で き る よ う に し た 。
実 践 実 習 で は 、 合 計
1 0
回 の 指 導 ・ 支 援 計 画 を 仕 組 み 、 短 学 活 に お け る 9回の エ ク サ サ イ ズ 、 そ の う ち8
回目に 50分のアサーショ ン ・ ト レ ー ニ ン グ の 授 業 を 行 っ た 。 実 施 し た 指 導 ・ 支 援 計 画 を 表3・2に示す。表 3・2 実 銭 実 習 に お け る 指 導 ・ 支 援 計 画
回数 エクササイズの内容 形 態
1
回 質問じゃんけん 2人組(隣同士) 2回 ジェスチャー伝言ゲーム 列3回 背中文字送り 列
4回 さいころトーキング 3""'‑'4人 5回
X
さんからの手紙 全 体 6回 いし、とこさがし 4"'"'5人 7回 私の短所 5""6人8
回 自他尊重の自己表現 2人組(隣同士) 9回 二 者 択 一 5""6人10
回 すごろくトーキング 6"'"'7人4
FD
噌i
第
4
章 ア セ ス メ ン ト に 基 づ い た 実 践 か ら の 考 察学級集団に関しては、グ ループ体験活動の回を追うごとに振り返りアンケートの各項 目において全体的に数値が上昇していた。また、実践初日と最終日のグループ体験活動
1 0
回のゲト7
0体験活動は、学級の生徒に の平均点を比べると各項目とも伸びている。肯定的な効果をもたらしたといえる。
さらに、肯定的な感想の増加から判断すると自分の内面を見つめながら、自己省察を 促 す 効 果 や 相 手 を 理 解 し よ う
と す る 気 持 ち が 高 ま っ た と 考 学級平均
... ー 質 問 ① 今 日 の エ ク サ
一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一ー サイズ(活動)は楽 しかったですか。
n u R U
向U E a n U R d n U E d n u
£u h U R U a q s a
可
A AU
町o q a n
︐ .︐
a
‑ a n υ a υ
えられる。
2
日目の「ジェスチャー伝言 ゲームJ
において、高い数値を 示しているが、これはグループ 体 験 活 動 の 中 で 体 を 動 か す と い う ゲ ー ム 性 の あ る 内 容 で あー唱ー質問②友だちと協力 して参加できました か。
す ご ろ く ト
1ク
二者択一
山骨一質問③グループの人 たちについて何か新 しい発見(気づき) がありましたか。
自 他 尊 重 の 自 己 表 現 私 の 短 所 い い と こ さ が し
X
さ ん か ら の 手 紙 さ い こ ろ ト
1
キ ン グ 背 中 文 字 送 り ジ エ ス チ ヤ
│ 伝 言 ゲ ー ム
つため、学級全体のモチベーシ
質 問 じ ゃ ん け ん
ョ ン が 上 が っ た こ と が 予 想 さ fすごろくト
1 0
日目のれる。
ーク
J
においては、活動自体の 楽しさもあるが、活動を通して 級友との距離が近くなり、関係 性が芽生え始め、他者理解や自分 を 表 現 す る 方 法 に つ い て 学 図
4
・1
学級全体の振り返り び始めたといえる。D
さ4
ノ6.0
抽出児に関しては、表情に明るさが増し、友達と の 関 係 を 築 こ う と す る 前 向 き な 気 持 ち を 持 ち 始 め 5.0
4.0 3.0
た生徒もいる。抽出生徒も含め学級全体として、生 徒同士の会話の増加、友達への配慮、授業に積極的
に関わる場面が増えたことから判断すると、学級内 2.0
1.0 ←一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一一 でお互いを認め合う気持ちが芽生え、生徒同士の関
係 性 の 構 築 と 活 発 な コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン が 促 進 で
図
4 ‑ 2 D
さんの振り返りグループ体験活動直後の生徒の変容を
Q‑U
、中学生用疎外感尺度(宮下・1981)
、中学生学校社会的スキル尺度(橋口、1996)
を通して検証する予定であっ たが、調査学級における学級担任が逝去するという予期せぬできごとが発生し、調査す0.0
きたといえる。
さらに、
小林、
FD
Fh u
るには至らなかった。
終 章
第
1
節 実践研究を終えて今回、実践実習
1• 1 1
における学級の実態を基に学級集団アセスメントを実施し、アセ スメント結果に基づく指導・支援計画を立て実践を試みた。その結果、以下に示すような ことがわかった。1. 実践後のエクササイズの学級平均点の伸びや感想、また、連想法での授業分析から、
生徒同士の人間関係をはぐくむ効果が高まったといえる。アセスメントによって浮き 上がった学級のよさや課題を基に、意図的・計画的な活動内容を仕組むことで、短学 活という短い時開設定であっても生徒の人間関係、を構築することが可能である。
2 .
人間関係をはぐくむためのグループ体験活動は、友人関係において教育的配慮を必要 とする生徒にとっても学級全体への指導・支援の中で有効に働くことがわかった。活 動を重ねることで、生徒の自尊感情や社会性の高揚に僅かではあるが影響したといえ る。これは、感想やアンケート結果、フィールドノーツから自己を肯定的に捉えよう とする気持ちの高まりや相手を思いやる会話の増加が見られたこと、さらに、連想法 での授業後の回答語の変化やカテゴリマップでの自己肯定を表す回答語の増加からも いえる。3 .
普段教師が行っている観察法によるアセスメントに加え、学問に媒介された知による アセスメントを実施することで、一人ひとりの生徒の多面性が見え、生徒の姿をより 客観的に捉えることができた。また、学級集団の状態を把握することによって実態に 即した指導・支援ができるため、生徒の実体を捉えた学習指導や他の教育活動の指導・支援に対しても有効に働く。
4 .
フィールドノーツでは、顕在的な側面から学級や生徒個々のプラス・マイナス面を捉 えることができた。また、連想法や質問紙法を組み合わせたアセスメントでは、潜在 的な側面から学級や生徒個々の状態を客観的に捉えることができた。教師の経験知と 学問に媒介された知の整合性を図ることで、より正確な学級集団の実態を掴むことが 可能となった。5 .
連想法を用いた分析から、学級の実態のみでなく生徒のおかれている社会的・環境的 課題を探ることが可能であった。連想法は授業効果の検証のみならず、提示語を工夫 することで学級集団の臨床診断や生徒の抱えている課題を鮮明にし、学問に媒介され た知による生徒理解の充実へとつながる。6 .
学級集団アセスメントを実施することは、現時点での学級や生徒一人ひとりの状態を 見極め、そこから指導・支援ができるといった学級臨床診断ができ、教師自身の学級 運営を客観的に振り返ることができる。つまり、教師の自立した学級運営へと発展す るといえる。氏U
Fhd
噌a A
第
2
節 今 後 の 課 題本研究を通して、その他残された課題として具体的には以下のようなものが考えられた。
l 複数の質問紙や観察法を組み合わせたアセスメントであっても、判断を行う場合は、
教師の教育観や主観的判断が評価に混入してしまうおそれがある。また、複数の質問 紙を生徒に課すのは、負担が大きいことから、限られた情報から判断するとなると、
教師自身のより高度な専門性や教師間の協働性が求められる。また、アセスメント結 果を受けて教師間でコンサルテーションを行う際は、校内の組織体制の課題や専門家 によるアドバイスが受けられる状況にあるか否かといった課題も生じてくる。
2 .
生徒の人間関係を限害する社会、物質、環境的要因は様々考えられる。また、個人が 抱えている課題やパーソナリティによっても異なる。人間関係を築くためのアプロー チは個人や学級の実態に応じて、様々な角度から試みることが必要である。本研究で は、主に短学活を活動の場として設定したが、人間関係の構築を進めていくためには、学校行事との関連や人権教育、キャリア教育の観点から、学年・学校全体で取り組む 必要がある。同時に、学級活動だけでなく日々の教科指導において学習方法を工夫す ることで、人間関係を構築する必要があるが、本研究ではそのことについては言及し ていない。
3 .
特に友人関係において教育的配慮、を必要とする生徒を抽出したが、学級には他にも 様々な課題を抱えている生徒が所属しており、絶えず生徒の日常の観察や気づきから 学問に媒介された知によるアセスメントを行うことが有効である。しかし、質問紙法 による心理アセスメントは、生徒への十分な説明や保護者の理解を得るとともに、生 徒の置かれている状況を考え、計画性を深め実施していく必要がある。4 .
短学活という限られた時間であったために、グループ体験活動をお互いに振り返る十 分な時間が取れなかったが、生徒の感想やアンケート結果を還元することで活動の動 機付けにつながる。また、他の友達の感想に触れることにより、他者理解が一層促さ れ実践の効果が期待できるため、今後は全体へのフィードバックによる価値の深まり を視野に入れた活動を仕組む必要がある。5 .
質問紙法やフィールドワークでのアセスメントには出てこない課題もある。普段から 生徒の出すシグナノレをキャッチできるアンテナをはりめぐらしておくとともに、生徒 の気づきを受け入れる資質を高めておくこと、また、日常から家庭や地域との情報交 換を密に行い生徒の多様な情報を得ることが大切である。さらに、不安や悩みを相談 できる生徒との信頼関係をつくっておくことが重要となる。6 .
アセスメントの結果、保護者や兄弟など家庭環境に関わるような問題、倫理的な問題 など、判明した時点でプライバシーに十分配慮し厳正に対処することとともに、個人 情報の保護については慎重に行うことが大切である。‑157‑
第 3節 学 校 教 育 現 場 で の ア セ ス メ ン ト の 活 用 に つ い て
本研究で活用したアセスメントによる教育活動を、実際の学校現場でどのように生 かしていくかという視点から次の
3
点を考えた。1. 学級経営に関しては、アセスメントを学級経営の評価分析の手段として活用できると 考える。継続的にアセスメントを行うことによって学級運営の指導指針の策定や実態 を捉えた的確な指導につながる。
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学習指導に関しては、目的に応じたアセスメントを実施することで、各教科、道徳、特別活動等における診断的評価の資料を得ることや、また、アセスメント結果をもと にした形成的な評価の観点から指導と評価の一体化を図ることができる。
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生徒指導に関しては、日常観察、教育相談等で得た情報と質問紙調査や行動観察によ るデータとを総合的に捉えることで、多面的な生徒理解につながり、協働による生徒 指導が可能になる。おわりに
学 級 の 実 態 が 見 え な い あ ま り に 、 一 人 ひ と り の 生 徒 の 適 性 が 理 解 さ れ ず 、 適 切 な 対 応 が 行 わ れ な い こ と か ら い じ め の 対 象 と な っ た り 、 不 主 主 校 に な っ た り す る 場 合 が あ る 。 学 級 や 個 々 の 生 徒 の ニ ー ズ に 対 応 す る 学 級 運 営 を 推 進 す る に は 、 教 師 の 経 験 知 と 学 問 に 媒 介 さ れ た 知 に よ る 学 級 集 団 ア セ ス メ ン ト が 同 時 に 必 要 で あ る と 考 え る 。 ま た 、 現 代 の 深 刻 化 す る い じ め や 不 登 校 等 を 未 然 に 防 止 す る た め に も 生 徒 の 実 態 を 把 握 す る こ と は 重 要 で あ る 。
現 在 、 特 別 支 援 教 育 に つ い て の ニ ー ズ も 高 ま り 、 特 別 支 援 を 対 象 と す る 生 徒 に つ い て は 、 障 害 に 関 す る 診 断 の 確 定 に こ だ わ ら ず 、 生 徒 の 適 性 を 見 極 め 、 プ ラ ス の 支 援 を 行 う こ と が 必 要 で あ る 。 生 徒 の 実 態 を よ り 正 確 に 捉 え る こ と で 、 そ れ に 対 応 し た 指 導 ・ 支 援 を 行 う こ と が 可 能 と な る 。 ま た 、 こ う し た 考 え 方 が 学 校 全 体 に 浸 透 す る こ と に よ り 、 教 師 聞 の 協 働 に よ る 指 導 ・ 支 援 の 充 実 に つ な が り 、 生 徒 の 確 か な 学 力 の 向 上 や 豊 か な 心 の 育 成 に も 資 す る も の と い え る 。
学 級 集 団 ア セ ス メ ン ト が 普 及 ・ 定 着 す る こ と は 、 現 在 の 学 校 教 育 が 抱 え て い る 様 々 な 課 題 の 解 決 や 改 革 に 大 い に 役 立 つ も の と 考 え ら れ 、 積 極 的 な 意 義 を 有 す る
ものである。
謝 辞
今 回 、 教 育 実 践 実 習 を 行 う に あ た り 、 実 習 校 に お か れ ま し て は 御 多 用 中 に も か か わ ら ず 教 育 実 習 を 引 き う け て く だ さ り 、 心 よ り 御 礼 申 し 上 げ ま す 。
本 研 究 を 行 う 中 で 、 調 査 対 象 学 級 の 担 任 が 逝 去 す る と い う 予 期 せ ぬ で き ご と が あ り ま し た 。 お 世 話 に な り ま し た 担 任 の 先 生 に 対 し 、 こ の 場 を お 借 り し て 御 冥 福 を お 祈 り し 、 哀 悼 の 意 を 述 べ た い と 思 い ま す 。