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戦国期九州政治史の研究

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Academic year: 2021

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九州大学学術情報リポジトリ

Kyushu University Institutional Repository

戦国期九州政治史の研究

堀本, 一繁

http://hdl.handle.net/2324/4475221

出版情報:Kyushu University, 2020, 博士(文学), 論文博士 バージョン:

権利関係:Public access to the fulltext file is restricted for unavoidable reason (3)

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(様式3)

氏 名 : 堀 本 一 繁

論 文 名 : 戦国期九州政治史の研究

区 分 : 乙

論 文 内 容 の 要 旨

本論文は、戦国時代(1467~1587)の九州における政治史の展開を、個別大名の支配領域を 越えた広域的な政治的連関の追求という観点から実証的に考察するものである。意図するとこ ろは、政治過程とそれに対応した政治構造を総合し、戦国期九州政治史の総体を体系的に把握 することにある。

本論文は、大きく2部構成とした。先ず第一部では、戦国期九州政治史の展開における重要 な政治史上の画期について、それぞれの政治過程を明らかにし、その政治史的意義を考察した。

第一章では、明応 2年(1493)に発生した畿内における室町幕府将軍権力の分裂が九州の政治 動向に与えた影響を分析することを通し、九州における諸勢力の政治的連関を動態的に把握し た。第二章では、明応の政変が九州に与えた影響の具体的事例として少弐氏の政治動向を分析 し、少弐政資・高経父子が筑前奪回に失敗し敗死したことの政治史的意義を検討した。第三章 では、1550年代における大友氏の北部九州支配の進展のあり方について、大内・大友両氏の支 配が交錯する筑前国を中心に、大内氏の内紛を契機に同家の家督に擁立された大内義長(大友 義鎮実弟)の当主期から大友氏の権限が漸次拡大していった様相を具体的に明らかにした。第 四章では、少弐氏の終末の様相について、少弐冬尚が永禄 2年(1559)に肥前国内の国衆に滅 ぼされる際の政治状況を1550年代の政治構造の変動のなかに位置付け検討した。第五章では、

龍造寺氏の勢力拡大過程を大友氏の肥前支配の展開に即しながら検討した。従来、戦国大名化 の画期とみなされてきた元亀元年(1570)説を否定し、天正 6年(1578)末が画期となること を明らかにし、ここに至り九州の政治構造は大友・島津・龍造寺 3氏による鼎立状態となるこ とを指摘した。

第一部が戦国期九州政治史の段階設定を意図し、総体的な政治過程の考察を中心としたのに 対し、第二部では、戦国期九州政治史の展開に重要な役割を果たした大名・国衆に即して、そ れらの個別動向を考察するものである。第六章では、博多の南縁に築かれた防御施設「房州堀」

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が築かれた時期や築造主体を、博多をめぐる支配状況から検討した。築造は1550年代末、九州 の政治構造の転換にともない北部九州一帯に広がった戦乱を収束させ、それまでの二元的支配 体制に代わり一元的支配を実現させた大友氏による博多復興の一環であったことを指摘した。

第七・八章は、少弐氏家臣の立場から、大内氏あるいは大友氏に属することによって肥前勝尾 城を本拠として肥前・筑前・筑後3 ヶ国の国境地帯に割拠した国衆筑紫氏を考察した。第七章 では、大名支配下における国衆としての政治的地位と勝尾城の歴史的性格を検討した。第八章 では、筑紫氏と勝尾城をめぐる政治動向を戦国期九州政治史の展開過程に位置付けながら検討 した。第九章では、起請文神文からみえる肥前国内の神々の序列観、同国鎮守河上社の戦国期 における存在形態を分析し、河上社と地域権力との関係を検討した。河上社が肥前国内におい て千栗社に次ぐ位置付けであったことを明らかにし、河上社との関わりにおいて龍造寺氏が周 辺国衆と比べ卓越した立場になく、他の国衆と共同で河上社を支えていたことから、龍造寺氏 の関わりを国主としての活動として特別視できないことを指摘した。第十章では、肥前龍造寺 氏の家督交替前後にみられた新旧両当主による二頭政治のあり方を、充行・安堵・偏諱授与・

軍事指揮権等について権限の移管の側面から検討した。補論とした第十一章では、龍造寺隆信 の勢力拡大について、勢力拡大の諸段階、婚姻関係や養子縁組を介した周辺国衆の取り込み、

戦国大名化に際しての周辺国衆の対応を検討した。

以上、2部11章の考察により、従来、実証的分析をともなうものではなかった戦国期九州政 治史の諸段階を設定し、その歴史的展開を明らかにし、いくつかの新たな知見を提示した。

戦国期九州における政治史の展開は、以下のような変遷をたどった。室町期以来の大内・九 州探題渋川氏と少弐・大友氏を対抗軸とする二元的政治構造は、明応6年(1497)、それまで九 州政治史の展開において主軸をなした少弐氏が、筑前奪回に失敗し肥前東部の局地勢力となっ て政治的求心力を失うことで、大内氏と大友氏を主軸とする対抗関係に収斂されていった。次 いで、1550年代の動乱により大内氏が滅亡するに及び、九州の政治構造は大きく転回し、永禄 2年(1559)、筑前・豊前・肥前3ヶ国一帯に拡大した戦乱を収めた大友氏が、従来からの豊後・

筑後・肥後に加え北部九州 6ヶ国を一元的に支配する体制に移行した。毛利氏の九州進出とそ れに呼応した国衆の動きはあるものの、大友氏による支配はその後も継続し、天正6年(1578)

末、戦国期最終段階になってようやく大友・島津・龍造寺三氏による鼎立状態が成立した。

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