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福島県郡山地区における温泉掘削における一事例 

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Academic year: 2022

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全文

(1)

福島県郡山地区における温泉掘削における一事例 

郡山観光センター(有)  渡邊信夫 福島地下開発㈱  会員  須藤明徳        安藤正勝 1.はじめに 

   温泉は一般に、火山性温泉と非火山性(深層地下水型)に大きく分類されるが、郡山地区特に郡山盆地 内では非火山性温泉が比較的多く開発されてきた。本報告は、郡山地区の温泉開発の一例において、既存 事例の分析から温泉掘削完了までの過程を報告し、当該地区の温泉開発におけるポイントを述べる。

2.地域特性 

(1)

地形・地質1,2):当該地区は、郡山盆地の西部域に位置し、西側山地からの扇状地堆積物に覆われた『郡 山台地』である。地質構造は、上部から第四系洪積統の大槻層(礫及び砂)、新第三紀鮮新統の片平層(礫 岩・砂岩(半固結堆積物)、層厚:300m)、新第三紀中新統の白石層(礫岩・砂岩、層厚

400m)および河

内層(砂岩・シルト岩、層厚

500m)が中生代の花崗岩類および古生代の結晶片岩類を被覆している。当

該地の地下水は、西側山地(奥羽脊梁山地)から供給される豊富な浸透水が第四期層下部に賦存している。

(2)

当該地区の温泉概要3):当区郡山市盆地内(須賀川・矢吹地区を含む)の範囲で開発された温泉の一覧 を図2.1および表2.1に示す。当該地域の温泉の大半は、掘削深度

500〜1000m、湧出量 135~700ℓ/min、

揚湯温度

38〜50℃の範囲である。特に地温勾配は大半が約 4℃/100m

を示し、一般的な非火山性温泉の地

温勾配(2〜3℃/100m)よりも高い傾向にある。したがって、当該温泉開発には非火山性温泉と位置づけ、

目標揚湯量

200ℓ/min、目標揚湯温度 45℃とし、掘削深度は 800〜1000mと想定して工事を実施した。

3.当該温泉の特徴 

当該温泉掘削結果の柱状図(概要)を図3.1に示し、揚湯試験結果の概要を表3.2に示す。

当該温泉の施工仕様は、仕上げ口径φ200A、掘削長

900mとした。揚湯温度は 51℃、地温勾配は約 4.2℃

/100mとなり、郡山盆地内の他温泉と同様の結果となったが、泉質(アルカリ性単純泉)は郡山市南部の須賀

川・矢吹地区の傾向を示した。

揚湯量は、段階揚湯試験の結果得られた

246ℓ/min(ポンプ全開運転)を最大揚湯量として連続揚湯試験

にのぞみ、72 時間の連続揚湯試験を実施した試験結果から、平衡水位

GL-188m、揚湯温度 51℃、揚湯量 246 ℓ/min

を得ることが出来た。

4.当該地区における温泉開発における考察 

今回の温泉開発の事例では、地域特性から非火山性温泉と位置づけ、豊富な深層地下水による長期安定 した揚湯量の確保、及び一般的な地温勾配(2〜3℃/100m)よりも高い勾配を想定することから、掘削深 度に応じたより高い揚湯温度を確保することを目的とした温泉の開発を実施出来た。

温泉開発は、比較的リスクの高い開発事業と位置づけられているが、リスク低減には既存資料を有効に 利用し、事前調査の精度を高めることが必須条件であると考えられる。

≪ 謝辞≫  

発表に際しては、資料整理及び論旨のまとめについて㈱福島地下開発の服部隆行・先﨑廣明・遠藤大輔 各氏に協力をいただきました事に謝意を表します。 

 

【株式会社福島地下開発】 福島県郡山市田村町金屋字新家

110

番地 TEL024-943-2298 FAX024-943-3453

III-37

土木学会東北支部技術研究発表会(平成21年度)

(2)

                             

≪ 参考文献≫  

1)福島県地質図,福島県,内外地図,1968 

2)地下水要覧,地下水要覧編集委員会,山海堂,1988 

3)日本温泉・鉱泉分布図及び一覧(第2版),独立行政法人産業技術総合研究所地質調査総合センター,2005 

.2.1

 当該地温泉分布一覧表(当社掘削地含む)

3.1

 ボーリング柱状図・検層図 図

.2.1

 郡山市近郊温泉分布状況図3)

当該地範囲 

 

:温度25度未満

:温度34度未満

:温度42度未満

:温度60度未満

:温度60度未満以上

:第四紀〜新第三紀

:第四紀火砕流堆積物

:第三紀火山岩類 温 泉

地 質

:先第三紀基盤岩類 堆積岩類

源泉所在地 掘削深度(m) 泉       質 湧出量(L/min) 泉 温  (℃) PH上限値 平均増温率

(℃/100m)

磐梯熱海 郡山市熱海町 800 (Na-SO̲4・Cl),単純S泉(H̲2S型) 3042 54.2 9.1 5.0

三森荘2号源泉 郡山市逢瀬町 500 硫酸塩泉 (Ca・Na-SO4) 380 39.0 9.2 4.9

笹川(安達保養園) 郡山市安積町 650 (HCO̲3型)含食塩−芒硝泉 1844 43.0 8.4 4.4

あさか第2号泉 郡山市安積町 800 硫酸塩泉 (Ca・Na-SO4) 360 43.5 8.9 3.6

バ-デン2号泉 郡山市安積町 551 硫酸塩泉 (Ca・Na-SO4) 337 41.0 8.93 4.9

安積野温泉 郡山市安積町 703 硫酸塩泉 (Ca・Na-SO4) 1002 50.0 8.85 5.1

南東北 郡山市八山田 1000 硫酸塩泉 (Ca・Na-SO4) 286 40.0 9.15 2.5

新郡山 郡山市 500 - 700 38.0 - 4.7

当該(郡山温泉2号泉) 郡山市大槻町 900 アルカリ性単純泉 260 51.8 8.89 4.2

ひばり温泉 須賀川市滑川 850 塩化物泉 (Na-Cl・HCO3・So4) 65 45.0 8.5 3.6

グリ−ン モ−ル 須賀川市森宿 1000 アルカリ性単純泉 490 45.6 8.8 3.1

指薬第1689号泉 須賀川市森宿 800 アルカリ性単純泉 278 44.6 8.7 3.8

指薬第1572号泉 須賀川市仁井田 800 塩化物泉 (Na-Cl・HCO3・So4) 673 46.2 7.9 4.0

観音湯温泉 西白河郡矢吹町 800 アルカリ性単純泉 596 50.8 9.4 4.6

指薬第10-16号泉 西白河郡矢吹町 900 アルカリ性単純泉 600 56.9 8.8 4.7

矢吹原温泉 西白河郡矢吹町 798 アルカリ性単純泉 160 49.4 8.6 4.4

★ : (株) 福島地下開発  調査施工  △:日本温泉・鉱泉分析及び一覧 源 泉 名

2.1

 当該地温泉分布一覧表(当社掘削地含む)

3.2

連続揚湯試験及び揚湯温度

-200 -190 -180 -170 -160 -150 -140 -130 -120 -110 -100

0 500 1000 1500 2000 2500 3000 3500 4000 4500

経 過 時 間 (min)

孔 内 水 位  (m)

0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0

揚 湯 温 度  (℃)

孔内水位データ 揚湯温度データ

(自然水位 GL-141.50m)

365

440

470

510

585 593

温度グラフ 見掛け比抵抗

φ150A ケーシング

断面図

800

柱状図 地質名

400 標尺 深度

300

黒色片岩

珪質片岩 500

600

700

シルト岩 礫質砂岩 凝灰岩互層

泥質岩

砂岩 泥岩互層

φ100A

900

片麻岩質片岩

黒色片岩

珪質片岩 726

900

300

400

500

600

700

800

900

30 40 50 60 温  度 (℃)

300

400

500

600

700

800

900

0 100 200 300 400 500 600 見掛比抵抗 (Ωm)

土木学会東北支部技術研究発表会(平成21年度)

参照

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