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また、列車見 通しの悪い区間では多数の列車見張員を配置している

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Academic year: 2022

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キーワード:列車接近警報装置、列車見張員、GPS携帯電話、CTC中央装置、列車運行情報  連絡先 〒530‑8341 大阪市北区芝田二丁目 4 番 24 号 Tel:06‑6375‑8734 Fax:06‑6376‑6154 

GPS携帯電話を活用した列車接近警報装置の開発 

 

  西日本旅客鉄道株式会社 正会員 ○川添 雅弘  西日本旅客鉄道株式会社 正会員  清水 郁夫   

1.はじめに 

鉄道線路内で作業や調査を行う場合に配置される列車 見張員は、列車の接近を目視で検知し、作業員に列車が 接近したことを通知することで、作業員の安全を確保し ているため、列車見張員が列車の接近を見落とすと、作 業員は大変危険な状態に陥ることになる。また、列車見 通しの悪い区間では多数の列車見張員を配置している。 

そこで、列車見張員のヒューマンエラー対策として、

列車接近検知機能と接近情報伝達機能をシステム化する ことで保安度を向上させ、さらに複数名配置する列車見 張員の一部を代替することにより、効率的な作業体制の 構築を目的として、GPS携帯電話を活用した列車接近 警報装置を開発している。 

 

2.

システムの概要 

本システムは、図1に示すとおり、作業員位置を作業 責任者が持つGPS携帯電話から取得し、一方、列車在 線位置をCTC中央装置から取得する。そして、それぞ れの位置情報を制御サーバに伝達し、制御サーバ内で列 車接近及び通過の判定を行い、列車が接近した場合には、

無線回線を通じて列車見張員が持つ警報端末に列車接近 情報を警報音等で通知する仕組みである。 

 

制御サーバ 制御サーバ 警報端末

警報端末 GPS衛星

GPS衛星

GPSGPS携帯携帯 作業責任者

作業責任者 列車見張員列車見張員

CTC中央装置CTC中央装置 列車情報伝達装置列車情報伝達装置 列車接近・通過情報通知 列車接近・通過情報通知

列車在線位置情報 列車在線位置情報 作業員位置情報

作業員位置情報

列車接近・通過判定 列車接近・通過判定 無線回線

無線回線

制御サーバ 制御サーバ 警報端末

警報端末 GPS衛星

GPS衛星

GPSGPS携帯携帯 作業責任者

作業責任者 列車見張員列車見張員

CTC中央装置CTC中央装置 列車情報伝達装置列車情報伝達装置 列車接近・通過情報通知 列車接近・通過情報通知

列車在線位置情報 列車在線位置情報 作業員位置情報

作業員位置情報

列車接近・通過判定 列車接近・通過判定 無線回線

無線回線

  図1 システム概要 

 

3.作業員位置の取得 

 作業責任者が、線路立入り前にGPS携帯電話の電源 を投入すると、GPS衛星から現在地の緯度・経度を自 動で取得する。そして、取得した緯度・経度情報は制御

サーバに送信され、制御サー バ内で線路キロ程に変換し、

作業員位置が認識される。一 方、線路キロ程情報はGPS 携帯電話に返信され、作業責 任者は現在の作業位置を現 場で認識することもできる。

線路キロ程を表示した携帯 電話画面を写真1に示す。 

なお、GPS携帯電話の測

位誤差は数m〜数十mとなっているため、作業員位置の 上下線の区別は行っていない。 

 

4.列車在線位置の取得 

今回、本システムのために製作した列車情報伝達装置 がCTC中央装置から線区、線別、列車番号、在線軌道 回路等の列車運行情報を抜き出し、2秒周期で制御サー バへ送信し、サーバ内で列車在線位置が認識される。 

なお、CTC装置のセキュリティー対策として、情報 の伝達は列車情報伝達装置から制御サーバ方向への一方 通行としている。 

 

5.列車接近・通過の判定  5.1 判定処理の概要 

列車の接近・通過の判定については、図2に示すよう に、あらかじめ 100m単位で線路を区分けした作業エリア を設定し、その作業エリアから列車見通し距離を確保で きる軌道回路を接近軌道回路として、接近軌道回路が落 下すれば列車接近と判定する仕組みとした。 

一方、通過については、列車の去り側方向で作業エリ ア直近の軌道回路を通過軌道回路として、通過軌道回路 が落下すれば通過と判定する仕組みとした。また、折返 し列車のような現場を通過しない列車については、作業 エリアに接近してくる場合は安全のため接近と認識して 警報を発するが、折返し時の列車番号の変化をトリガー として警報を停止する仕組みとし、警報の鳴りっ放しを 防止した。 

写真1 GPS携帯画面 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

-303- 4-152

(2)

12 12

11 11

13 13

システム列車見通し距離(

システム列車見通し距離(1,9561,956m)m)

通過軌道回路

通過軌道回路 接近軌道回路

接近軌道回路 軌道回

軌道回 1405

1405 軌道回路軌道回路

1406 1406

軌道回路軌道回 1407 1407

軌道回路 軌道回路 1408 1408

14014099

1404 1404

【作業エリア作業エリア1212の場合の場合】

12 12

11 11

13 13

システム列車見通し距離(

システム列車見通し距離(1,9561,956m)m)

通過軌道回路

通過軌道回路 接近軌道回路

接近軌道回路 軌道回

軌道回 1405

1405 軌道回路軌道回路

1406 1406

軌道回路軌道回 1407 1407

軌道回路 軌道回路 1408 1408

14014099

1404 1404

【作業エリア作業エリア1212の場合の場合】

  図2 列車接近・通過判定 

 

接近・通過判定処理は、あらかじめ各作業エリアに対 して接近または通過と判定する軌道回路を表1のような マスタテーブルとして制御サーバで管理している。サー バ内で常に作業エリアと軌道回路落下情報を照合してお き、接近と判定された場合には警報端末を警報させる、

一方、通過と判定された場合には警報を停止させる仕組 みとなっている。 

表1 接近・通過判定マスタテーブル  作業エリア  接近軌道回路  通過軌道回路 

11 1406、1407、1408  1404  12 1406、1407、1408  1405  13 1407、1408、1409  1405   

5.2 列車見通し距離 

携帯端末が列車接近の警報を発した時点で、列車と作 業員間の距離は、最低でも列車見通し距離以上必要であ る。ちなみに、現在試験中の線区では最高速度 110km/h のため、列車見通し距離は 1,000mである。 

しかし、本システムでは、測位結果に数m〜数十m程 度の誤差があるGPS測位情報や、現場と若干のタイム ラグがあるCTC列車情報、さらに情報の伝達には無線 回線を利用していること、また作業員が移動することな どを考慮して、安全を担保するために現行の列車見通し 距離に対して式1のように下記の①②③項目を付加して、

システム列車見通し距離を設定している。 

●システム列車見通し距離 

=現行の列車見通し距離+①GPSの測位誤差 

+②通信伝送時間+③作業員の移動・・・式1 

①GPSの測位誤差 

GPS携帯電話の測位誤差は数m〜数十mとされてい るが、本システムでは測位誤差は最大 100mと想定して、

安全担保として現行の列車見通し距離に 100mを付加し ている。 

②通信伝送時間 

列車が、接近軌道回路に進入してから警報端末が警報 を開始するまでに、CTC中央装置から列車在線情報を 制御サーバに取込み、制御サーバで接近・通過の判定を

行い、さらに無線回線で警報端末に接近・通過情報を伝 えるなど、最大26秒を要する仕様となっている。 

つまり、列車が接近軌道回路に進入してから最大80 6m(26秒×31m/s(列車最高速度 110km/h))作業 員側に列車が接近した時点で警報が開始する可能性があ るため、安全担保として列車見通し距離に806mを付 加している。 

③作業員の移動

GPSによる作業員の位置測定は、一定周期で行って いるため、次回の測位結果が出力されるまでに作業員が 列車接近方向に移動すると危険な状態となる。 

そこで、作業員の線路内での移動速度は3km/h 程度と 想定し、測位間隔時間で約50m列車に接近して移動す る可能性があることから、安全担保として列車見通し距 離に作業員の移動距離50mを付加している。 

 

6.警報端末の鳴動  列車が接近すると、警報 端末から接近警報音が発 せられるとともに、端末が 振動することで、列車見張 員に接近を通知している。

また、写真2のように端末 画面には接近列車の列車 番号及び線別(上り、下り)

を表示させ、通過列車の確認も可能としている。 

なお、列車が遅延している場合や臨時列車であっても、

CTC装置を活用してリアルタイムな列車運行情報を接 近判定に使用しているため、列車を見落とすことなく確 実に列車接近を通知することができるシステムである。 

 

7.システムの生存監視 

通信遅延や大きな測位誤差が発生した場合や、端末や サーバに故障が発生した場合には、列車接近警報が発せ られない可能性がある。そこで、作業員の安全を担保す るために、通信遅延状態や測位精度、また各装置の故障 状態を常に監視し、何らかの不具合が発生すると端末が エラー警報を発する仕組みとなっている。 

 

8.さいごに 

これまで実施してきたモニタリング試験においては、

列車接近時及びエラー発生時において確実に警報を発す ることが確認できている。今後は、エラー警報回数を低 減させ、安価で使い勝手の良いシステムの構築を目指し ていきたい。 

写真2 警報端末画面 土木学会第60回年次学術講演会(平成17年9月)

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参照

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