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平成23年11月22日東京電力株式会社【参考資料】

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(1)

福島第一原子力発電所1号機非常用復水器の動作状況の評価について

福島第一原子力発電所1号機の非常用復水器(以下、ICという)については、平成 23 年 10 月 18 日に実施した現場調査で、格納容器外側の機器、配管に冷却材の流出に至るよ うな損傷は確認されなかった。また、現場で確認したICの冷却水量を示す胴側水位レベ ルについてもA系が 65%、B系が 85%であることを確認した。今回、この確認した胴側水 位に基づき実施したICの動作状況の評価結果について、以下の通りとりまとめた。

1.ICの胴側冷却水水位

・ ICの系統構成を図1に示す。ICは、原子炉の蒸気を導き、ICの冷却管をその蒸気 が通ることによって、胴側の冷却水と熱交換する。これにより原子炉からの蒸気は冷 却・凝縮され、原子炉へ戻ることで原子炉を除熱する機能を有する設備である。

・ 当該系統は図に示す通り、A系、B系の2系統があり、それぞれ格納容器を挟むように 4つの弁(A系の弁:1A~4A、B系の弁:1B~4B)から構成される。通常状態 では、これらの弁のうちA系では3A弁、B系では3B弁が閉となっており、その他の 弁は開の状態となっている。

・ 通常の起動/停止は、この3A弁または3B弁の開閉により行われる。

・ 現場調査により確認された冷却水の水位(A系 65%、B系 85%)は、通常水位が 80%

であることから、A系は「胴側の冷却水が減少しており、ある一定程度機能していた」、 B系は「胴側冷却水は減少していないため、短時間しか機能していない」と考えられる。

MO 3B MO

4B MO

4A MO

3A

PLR-B

原子炉圧力容

PLR-A MO

2A

MO 1A

MO 1B

MO 2B

原子炉建

大気 放出

非常用復水器A 非常用復水器B

MO 10A

MO 10B

LO 消火系より

補給水系 より

MO 3B MO 3B MO

4B MO 4B MO 4B MO

4A MO 4A MO 4A MO

3A MO 3A

PLR-B

原子炉圧力容原子炉圧力容

PLR-A MO

2A MO 2A MO 2A

MO 1A MO 1A MO 1A

MO 1B MO 1B MO 1B

MO 2B MO 2B MO 2B

原子炉建

大気 放出

非常用復水器A 非常用復水器B

MO 10A MO 10A MO 10A

MO 10B MO 10B MO 10B

LO 消火系より

補給水系 より

冷却水

水位

←蒸気

戻り水→

(凝縮水)

図1:非常用復水器の系統構成

平成 23 年 11 月 22 日 東 京 電 力 株 式 会 社

【参考資料】

(2)

2.地震発生以降、津波到達までのIC冷却水の水位変化の評価

・ 地震発生以降、ICは3月 11 日 14 時 52 分に「原子炉圧力高」により自動起動するが、

その後A系、B系ともに一旦手動で停止し、津波到達までA系のみを手動で起動/停止 し、圧力制御を行っていることが、原子炉圧力や原子炉冷却材再循環ポンプ(PLRポ ンプ)入口温度のチャート等から確認できている。(平成 23 年5月 24 日公表)

・ また、ICの冷却水温度のチャート(平成 23 年5月 16 日公表済:図2に示す)を確認 したところ、蒸気と冷却水の熱交換により、A系、B系ともに冷却水温度が上昇してい ることが確認できる。A系は自動起動した後、一旦停止するまでに約 70℃まで上昇す るが、その後も津波が到達する 15 時 30 分頃まで継続して上昇し約 100℃に到達してい る。一方、B系は一旦停止する 15 時以降、約 70℃で一定となっている。

・ このように冷却水のチャートに残されている温度推移は、地震後のICの使用実績から 考えられる挙動と一致する。

・ したがって、A系のICは、津波到達まで断続的に使用されたために、原子炉からの蒸 気により冷却水が約 100℃まで上昇し、B系のICでは、自動起動から手動停止するま で(14 時 52 分から 15 時 03 分頃)の間に、冷却水が約 70℃まで温度上昇した。このた め、ICの自動起動から津波到達までに交換された熱は、A系、B系ともに主に冷却水 の温度上昇のために使われ、水位変化を伴う冷却水の蒸発は少なかったものと考えられ る。

図2 IC冷却水の温度記録チャート(5月 16 日公表済)

IC から原子炉への 戻り水温度(A 系)

IC から原子炉への 戻り水温度(B 系)

IC 冷却水温度(B 系)

IC 冷却水温度(A 系)

3 月 11 日 3 月 24 日

IC 手動停止

IC(A 系)手動起動 原子炉圧力制御開始

津波到達頃に 100℃到達 IC 自動起動

11 日 12:00 時点:IC(A系)のデータ IC冷却水温度(A系):23.0℃

IC戻り水温度(A系):25.6℃、25.7℃

11 日 12:00 時点:IC(B 系)のデータ IC冷却水温度(B 系):23.6℃

IC戻り水温度(B 系):26.0℃、26.9℃

24 日 12:00 時点:IC(B 系)のデータ IC冷却水温度(B 系):36.2℃

IC戻り水温度(B 系):38.7℃、38.3℃

24 日 12:00 時点:IC(A系)のデータ IC冷却水温度(A系):566.4℃※

IC戻り水温度(A系):135.1℃、141.7℃

※ 大気開放の IC 冷却水の水温が 100℃を 大幅に超えることは考えられないため、計 測機器の故障と考えられる。

(3)

3.津波到達後のIC冷却水の水位変化の評価

・ 前 述 し た よ う に 、 津 波 到 達 時 点 と 同 じ 頃 に A 系 の 冷 却 水 温 度 が 飽 和 温 度 で あ る

100℃程度に上昇していることから、A系の冷却水の水位の低下は津波到達後の熱交換

による冷却水の蒸発によるものと考えられる。このことは、直流電源喪失に伴い作動し たインターロックにより閉動作要求が働いたと考えられる格納容器内側弁1A弁及び 4A弁が、開度は不明であるものの、全閉ではないことを意味している。

・ 実際、これまでの調査結果から、格納容器外側弁2A弁及び3A弁の開操作を実施し、

蒸気の発生を確認していたことが判明している。

津波の影響で喪失していた直流電源が一時的に復活し、2A弁、3A弁の表示 ランプが点灯していることを発見、これらの弁が閉であったことから、18 時 18 分に2A弁、3A弁を開操作し蒸気発生確認。その後 18 時 25 分に3A弁の 閉操作実施。これは、弁の開操作で一旦ICの冷却水の蒸気が発生したものの、

その後に蒸気発生が停止したことから、1A弁及び4A弁が隔離信号により閉 となっている可能性や、ICの冷却水である胴側の水が何らかの原因でなくな っている可能性を懸念したものである。また、ICが機能していないと考える とともに、胴側の冷却水の補給に必要な注水ラインの構成が出来ていなかった ことも考え合わせて3A弁の閉操作を実施した。

21 時 30 分に3A弁を開操作し蒸気発生確認。これは、高圧注水系ポンプ(H PCIポンプ)に期待できない状態の中、ディーゼル駆動消火ポンプが起動で きたことで、ICの冷却水の補給にも対応できるようになり、冷却水の不足の 懸念が減ずる一方、3A弁の状態表示灯が不安定で消えかかっており、ICの 次の操作がいつできるか分からない状況であることから開操作した。

・ このため、21 時 30 分以降、ICの弁状態は以下に示すような状態にあったものと考え る。

表1 ICを構成する弁の開閉状態

A系の弁 1A 2A 3A 4A

開閉状態 開 全開 全開 開

B系の弁 1B 2B 3B 4B

開閉状態 不明 全閉 全閉 不明

B系の弁のうち2B弁、3B弁については、現場調査(10

18

日)時に全閉 であることを確認している。1B弁、4B弁は格納容器内にあるため現場で確 認することができていない。

・ ただし、A系の冷却水の水位が約 65%残っていることから、ICの機能は限定的であ ったと考えられる。限定的となった理由は次にあげるようなことが考えられる。

燃料の過熱に伴って、水-ジルコニウム反応により発生した水素がICの冷却 管の中に滞留し、除熱性能が低下した可能性が考えられる。

時期は不明だが、遅くとも 12 日3時頃には原子炉圧力が低下していることか ら、この圧力の低下により原子炉で発生した蒸気のICへの流れ込む量が低下 し、結果としてIC性能が低下した。

※ 開度は不明

(4)

・ 「図2 IC冷却水の温度記録チャート」において、3月 24 日に電源が復旧して再度デ ータが収録されているが、B系の「ICから原子炉への戻り水温度」が約 38℃、A系 の「ICから原子炉への戻り水温度」が約 140℃を示している。このことは以下のこと を示しているものと考える。

B系は少なくとも2B弁、3B弁が閉鎖されているために原子炉からの蒸気流 入がなく、戻り水の加熱源がないために低い温度になっていた。

A系は格納容器内側の1A弁、4A弁の開度は不明であるものの、全ての弁が 開いた状態であるために、若干ながら原子炉からの蒸気が流入し、温度計に熱 が伝わっていたものと考えられる。

4.まとめ

・ 地震発生後から津波到達までの間で、ICのA系、B系の冷却水は原子炉からの蒸気と の熱交換により加熱され温度が上昇した。(B系は 14 時 52 分から 15 時 03 分の手動停 止の間で温度上昇したが、それ以降、弁の開閉状態から機能していないと考えられる)

・ 津波到達後、A系は1A弁、4A弁が全閉となっておらず、2A弁、3A弁が開となっ ている期間で、A系の冷却水が原子炉からの蒸気との熱交換により蒸発し、冷却水の水 位が低下したものの、そのレベルが約 60%でとどまっていたことから、ICの機能は 限定的であったと考えられる。

・ なお、冷却水の水位は、10 月 18 日の現場調査時はA系 65%、B系 85%であったが、

地震発生直後はA系、B系ともに 80%弱(5月 16 日公表の過渡現象記録装置のデータ より)であり、4月3日に中央制御室で計器を確認した際はA系 63%、B系 83%であ ることから、徐々に計器誤差が生じてきているものと考えられる。

図3 ICの冷却水水位,水温と稼働状況の関係(イメージ)

3/11 14:52 15:03 15:37 18:18 18:25 21:30

約100℃

B系 A系 A系

非常用復水器稼働状況

自動起動 3A全開

手動停止

3A全閉

圧力制御

3A開閉

約70℃

B系

自動起動 3B全開

手動停止

3B全閉

電源喪失

手動起動 2A,3A全開

手動停止

3A全閉

手動起動 3A全開

80%

約36℃※

60%

蒸発

10/18 85%

65%

A系 B系

上昇上昇

非常用復水器冷却水水位 非常用復水器冷却水

100℃

70℃

上昇上昇上昇 蒸発蒸発

63%

83%

3/24 4/3

A系の値は計測機器故障と考えられるため、B系の値のみ記載。

以 上

参照

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